(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ベルト状部材に対して、シート状光学部材が載置される側の上方に配置されるロールであって、シート状光学部材が搬送されるときに該ロールが回転しながらベルト状部材上のシート状光学部材と接触するように配置されるロールを更に有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の搬送装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明によると、シート状部材を搬送するための搬送装置であって、
シート状部材を載置して搬送方向に搬送するためのベルト状部材であって、厚さ方向に貫通した複数の孔を有するベルト状部材と、
ベルト状部材に対して、シート状部材が載置される側と反対側に配置される吸引部であって、周囲雰囲気を吸引することにより、ベルト状部材の前記孔を通じた吸引力でシート状部材をベルト状部材に対して保持する吸引部とを有し、および、
シート状部材が搬送されるときにシート状部材に作用する吸引力が、該シート状部材の少なくとも2つの領域において相違する搬送領域を有する、搬送装置が提供される。
【0012】
以下、本発明による、シート状部材を搬送するための搬送装置について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本発明の搬送装置の概略を示す上面図である。また、
図2は、上記態様における搬送装置の概略を示す側面図である。
図1および
図2において、1は搬送装置、10はベルト状部材、11はベルト状部材10の厚さ方向に貫通した孔、20はシート状部材、21はシート状部材20における一領域、22はシート状部材20における別の領域、30は吸引部、41aは一領域における吸引力、41bは別の領域における吸引力、50はテールローラー、60は搬送方向である。
搬送装置1は、シート状部材が搬送されるときにシート状部材に作用する吸引力が該シート状部材の少なくとも2つの領域において相違する搬送領域12を有する。
ここで、搬送領域12は、ベルト状部材10における孔11を通じた吸引力でシート状部材20を吸引しながら搬送する領域であって、ベルト状部材10が吸引部30と対面する領域に一致する。
例えば、
図1および
図2で示される態様において、搬送領域12は、ベルト状部材10の孔11を介して、吸引部30からシート状部材20への吸引力(41a, 41b)が作用する領域である。このような搬送領域12において、シート状部材が搬送されるときにシート状部材に作用する吸引力が、該シート状部材の少なくとも2つの領域において相違する。なおベルト状部材10は、シート状部材に吸引力が作用しない領域を有してもよい。すなわち、本発明の搬送装置においては、シート状部材を搬送する際に、シート状部材に対して吸引力が作用する領域と、実質的に吸引力が作用しない領域が混在してもよい。
【0014】
ベルト状部材10は、シート状部材20を載置して搬送方向に搬送するための部材であり、ベルト状部材10が上流側から下流側に向かって走行すると共に、所定の距離だけベルト状部材10に載置したシート状部材20を搬送できる。なお、上流側は、搬送装置にシート状部材を載置する側であり、下流側は、例えば、貼合工程等の別工程が続き得る側である。
ここで、ベルト状部材10は、厚さ方向に貫通した孔11を複数個有する。厚さ方向に貫通した孔11を有することにより、ベルト状部材10に対して、シート状部材20が載置される側と反対側に配置される吸引部30を介して周囲雰囲気を吸引することにより、ベルト状部材10の孔11を通じた吸引力(例えば、
図2における吸引力41aおよび41b)でシート状部材20をベルト状部材10に対して保持できる。
吸引力を介して、シート状部材20をベルト状部材10に対して保持できるので、シート状部材の搬送中に起こり得るばたつきを低減または抑制できる。また、搬送中におけるシートのズレを抑制できる。これにより、例えば、薄型(厚さ100μm程度)のシート状部材20であっても、安定して搬送でき、生産工程の短縮を導ける。
【0015】
ベルト状部材10の材質は、搬送するシート状部材20に含まれる成分に応じて適宜選択できる。例えば、合成ゴム製、シリコンゴム製であってもよく、金属製であってもよい。また、ベルト状部材10の幅などについても、搬送するシート状部材に応じて適宜選択できる。ある態様において、ベルト状部材10は、メッシュ状の合成ゴムベルト、樹脂製ベルトであってもよい。これにより、例えば、薄型のシート状部材20の搬送時に、シート状部材に傷が生じることを抑制できる。
【0016】
厚さ方向に貫通した孔11の形状、すなわち、ベルト状部材10の搬送面に存在する孔の形状は特に限定されず、例えば、円状、楕円状、多角形等であっても良く、ベルト状部材10の搬送方向に対して垂直方向に延びた形状(例えば、スリット状)であってもよく、ベルト状部材10の搬送方向に対して、所定の角度を設けて配置した形状であってもよい。また、孔のサイズは特に限定されず、例えば四角形の場合、一辺が0.35mm〜5.0mmの範囲内であり、円の場合、直径が0.4mm〜3.0mmの範囲内であり得る。
ある態様において、ベルト状部材10の厚さ方向に貫通した孔11は、少なくともシート状部材20の搬送方向に対して垂直な方向(シート状部材20の幅方向)に沿って、均等に配置される。これにより、シート状部材20は、均等な力で吸引される。
厚さ方向に貫通した孔11の数は限定されず、シート状部材が搬送されるときにシート状部材に作用する吸引力が、該シート状部材の少なくとも2つの領域において相違するよう、適宜配置できる。例えば、シート状部材の全面を均等に吸引できるように孔11を配置できる。
【0017】
本発明の搬送装置によると、ベルト状部材に対して、シート状部材が載置される側と反対側に配置される吸引部30は、周囲雰囲気を吸引することにより、ベルト状部材の前記孔11を通じた吸引力(例えば、
図2における吸引力41aおよび41b)でシート状部材20をベルト状部材10に対して保持できる。
本発明の搬送装置によると、シート状部材20が搬送されるときに、シート状部材に作用する吸引力が、該シート状部材の少なくとも2つの領域において相違する。
例えば、
図1および2において、シート状部材20における一領域21と、シート状部材20における別の領域22とにおける吸引力は、相違する。
本明細書において、シート状部材20における一領域とは、シート状部材における任意の領域であり、別の領域とは同一のシート状部材または他のシート状部材における上記一領域とは異なる任意の領域である。
なお、一の吸引部において吸引力の違いを生じさせることは、当該技術分野において既知の手段により行える。
【0018】
このように、シート状部材に作用する吸引力(例えば、
図2における吸引力41aおよび41b)が、該シート状部材の少なくとも2つの領域において相違することにより、シート状部材20が一気に吸引されることを抑制でき、シート状部材に対するシワの発生を抑制できる。
また、シート状部材を平坦な状態で搬送でき、シート状部材のカールを抑制できる。さらに、薄型(厚さ50〜300μm)程度のシート状部材であっても、搬送中にシートを伸ばすことができ、カールの発生を抑制できる。
例えば、薄いシート状部材20の場合、搬送時のシワを防止でき、シートの位置合わせ調整前にシートを平坦な状態に保持できる。よって、本発明の搬送装置を用いることにより、シート状部材の位置合わせを高精度に行うことができる。例えば、予め貼合軸を調整したシート状部材を、本発明の搬送装置で搬送することにより、シート状部材の位置合わせを更に高精度に行うことができる。
【0019】
シート状部材が搬送されるときにシート状部材に作用する吸引力が、該シート状部材の少なくとも2つの領域において相違する限り、作用する吸引力の大きさは限定されず、例えば、吸引力は、0.01〜55kPaの範囲内であってもよい。シート状部材の少なくとも2つの領域において吸引力が相違できるよう、このような範囲で吸引力を適宜設定できる。
例えば、
図1および
図2における下流側に位置するシート状部材の領域22における吸引力と、上流側に位置するシート状部材の領域21における吸引力は異なっており、下流側の吸引力を0.02〜55kPaの範囲内、上流側の吸引力を0.01〜50kPaの範囲内に設定できる。
このように、シート状部材が搬送されるときにシート状部材に作用する吸引力が、該シート状部材の少なくとも2つの領域において相違することにより、シート状部材のばたつきを抑え、シート状部材を平坦な状態で搬送でき、また、搬送時におけるシート状部材へのシワの発生を抑制でき、更にシート状部材に存在し得るシワを伸ばすことができる。
また、例えば、他のシート状部材との貼合時において、貼合軸の位置合わせ精度を高めることができ、タクトタイムの短縮を導ける。
【0020】
ある態様において、シート状部材が搬送されるときにシート状部材に作用する吸引力が、該シート状部材の少なくとも2つの領域において相違するとは、シート状部材に作用する吸引力の差の絶対値が、0.01〜50kPa、例えば、0.1〜20kPaの範囲内である。
【0021】
例えば、搬送方向において、シート状部材の下流側の領域に作用する吸引力が、シート状部材の上流側の領域に作用する吸引力よりも大きい態様の場合、下流側の領域に作用する吸引力から上流側の領域に作用する吸引力を差引いた値は、0.01〜50kPa、例えば、0.1〜20kPaの範囲内である。
このような範囲で吸引力の差を設けることにより、吸引力が急激に変化することを抑制でき、シート状部材を平坦な状態で搬送でき、また、搬送時におけるシート状部材へのシワの発生を抑制でき、シート状部材に存在し得るシワを伸ばすことができる。
【0022】
また、例えば、シート状部材20における別の領域22から下流側において、シート状部材に作用する吸引力は、領域22における吸引力と同一であってもよく、段階的に分布してもよく、または連続的に分布してもよい。
本明細書において段階的に分布するとは、上流側から下流側に向かって、吸引力が階層的に変化することを意味する。例えば、所定の間隔または任意の間隔で吸引力が変化し、次の領域における吸引力が前の領域における吸引力とは異なることを指す。一方、連続的に分布するとは、上流側から下流側に向かって、吸引力の変化勾配が一定であることを意味する。
【0023】
本発明により搬送できるシート状部材は、例えば、吸着部材、プリント配線基板及び光学部材等が挙げられ、薄く、カール、シワ等が生じやすい部材に対して好適に利用できる。ある態様においては、シート状部材は、光学部材であり、例えば、厚さ50〜500μmのものを使用できる。シート状部材のサイズは、例えば、幅30cm〜150cm、長さ、30cm〜150cmである。
光学部材は、例えば、位相差フィルム、偏光フィルム、反射防止フィルム、視野角向上フィルム、輝度向上フィルムなどから選択される少なくとも1の光学フィルムを有することができる。光学部材は、これらの光学フィルムの単層構造であってもよく、上記のような光学フィルムを含む、複数のフィルムを積層した複層構造であってもよい。
本発明により、異なる領域における吸引力が相違することにより、例えば、厚さ120μm以下のシート状部材、および多層構造を有する部材のように、カール、シワ等が生じやすい構成の(積層)部材に対して、安定した搬送が可能である。例えば、偏光フィルムを有する多層構造のシート状部材などであっても、このような顕著な効果を得ることができる。
【0024】
また、本発明の搬送装置であれば、シート状部材の変形例として、例えば、後述の
図7および
図8に示されるような長尺状部材25を搬送できる。本発明においては、全ての態様において、長尺状部材を用いることができる。本発明の搬送装置であれば、長尺状部材のシワを効果的に伸ばすことができ、また、長尺状部材を平坦な状態で搬送できる。
【0025】
ある態様において、複数の吸引部を設けることにより、シート状部材20が搬送されるときに、シート状部材に作用する吸引力を、該シート状部材の少なくとも2つの領域において相違させることができる。例えば、
図3および
図4は、複数の吸引部を含んで成る搬送装置の態様を示す概略図である。
図3および
図4において、10はベルト状部材、11はベルト状部材の厚さ方向に貫通した孔、20はシート状部材、21はシート状部材20における一領域、22はシート状部材20における別の領域、23は吸引力の境界部、31は第1の吸引部、32は第2の吸引部、41は第1の吸引部における吸引力、42は第2の吸引部における吸引力、50はテールローラー、60は搬送方向である。
搬送装置1は、シート状部材20が搬送されるときにシート状部材20に作用する吸引力が該シート状部材の少なくとも2つの領域において相違する搬送領域(12a,12b)を有する。
ここで、搬送領域12aは、ベルト状部材10における孔11を通じた吸引力でシート状部材20を吸引しながら搬送する領域であって、ベルト状部材10が第1の吸引部31と対面する領域に一致する。
搬送領域12bは、ベルト状部材10における孔11を通じた吸引力でシート状部材20を吸引しながら搬送する領域であって、ベルト状部材10が第2の吸引部32と対面する領域に一致する。
例えば、
図3および
図4で示される態様において、搬送領域(12a,12b)は、ベルト状部材10の孔11を介して、吸引部(31,32)からシート状部材20への吸引力(41,42)が作用する領域である。このような搬送領域12において、シート状部材が搬送されるときにシート状部材に作用する吸引力が、該シート状部材の少なくとも2つの領域において相違する。
また、ベルト状部材10は、シート状部材に吸引力が作用しない領域を有してもよい。すなわち、本発明の搬送装置においては、シート状部材を搬送する際に、シート状部材に対して吸引力が作用する領域と、実質的に吸引力が作用しない領域が混在してもよい。
なお、
図3および
図4において示される態様において、第1の吸引部31と第2の吸引部32とが異なる吸引力を有する形態であってもよい。別の態様においては、第1の吸引部31に対応する搬送領域12a内で、シート状部材に作用する吸引力が少なくとも2つの領域において相違していてもよい。また、第2の吸引部32に対応する搬送領域12b内で、シート状部材に作用する吸引力が少なくとも2つの領域において相違していてもよい。
【0026】
複数の吸引部を有する態様において、例えば、
図3および
図4に示すように、第1の吸引部31における吸引力41と、第2の吸引部32における吸引力42を相違させることができる。ある態様においては、下流側の吸引部の吸引力が、上流側の吸引部の吸引力よりも大きい態様を挙げられる。
図3および
図4によると、例えば、第2の吸引部32における吸引力42が第1の吸引部31における吸引力41よりも大きい。
例えば、下流側の吸引力を0.02〜55kPaの範囲内、上流側の吸引力を0.01〜50kPaの範囲内に設定できる。
【0027】
また、搬送方向において、シート状部材の下流側の領域に作用する吸引力が、シート状部材の上流側の領域に作用する吸引力よりも大きい態様の場合、下流側の領域に作用する吸引力から、上流側の領域に作用する吸引力を差引いた値は、0.01〜50kPa、例えば、0.1〜20kPaの範囲内である。
このような範囲で吸引力の差を設けることにより、吸引力が急激に変化することを抑制でき、シート状部材を平坦な状態で搬送でき、また、搬送時におけるシート状部材へのシワの発生を抑制でき、シート状部材に存在し得るシワを伸ばすことができる。
【0028】
複数の吸引部を有する態様において、同じ吸引部の上流側から下流側に向かって吸引力を変化させてもよい。
【0029】
また、複数の吸引部を設ける場合、一の吸引部と、他の吸引部との間に、吸引力の境界部23を設けてもよい。境界部を設けることにより、より効率的にシート状部材を伸ばすことができ、シワの除去、シート状部材の平坦化を行うことができる。吸引力の境界部23は、隣接する吸引部を、間隔を開けて配置することで設けることができる。
【0030】
ある態様において、シート状部材に作用する吸引力が、搬送方向に対して平行な方向において段階的に分布する。
図5は、本発明の搬送装置の一態様における概略を示す上面図であり、
図6は、上記本発明の一態様における搬送装置の概略を示す側面図である。
図5及び
図6において、10はベルト状部材、11はベルト状部材の厚さ方向に貫通した孔、20はシート状部材、21はシート状部材20における一領域、22はシート状部材20における別の領域、23は吸引力の境界部、31は第1の吸引部、32は第2の吸引部、33は第3の吸引部、41は第1の吸引部における吸引力、42は第2の吸引部における吸引力、43は第3の吸引部における吸引力、50はテールローラー、51は貼合ロール、52はロール、53は送出しロール、60は搬送方向、70は第2のシート状部材、80は積層体である。
搬送装置1は、シート状部材20が搬送されるときにシート状部材20に作用する吸引力が該シート状部材の少なくとも2つの領域において相違する搬送領域(12a,12b,12c)を有する。搬送領域(12a,12b,12c)のうち、少なくとも2つの搬送領域における吸引力が相違する態様であってもよく、例えば搬送領域(12a,12b,12c)のうち、少なくとも1つの搬送領域内で吸引力が相違する態様であってもよい。
ここで、搬送領域12aは、ベルト状部材10における孔11を通じた吸引力でシート状部材20を吸引しながら搬送する領域であって、ベルト状部材10が第1の吸引部31と対面する領域に一致する。
搬送領域12bは、ベルト状部材10における孔11を通じた吸引力でシート状部材20を吸引しながら搬送する領域であって、ベルト状部材10が第2の吸引部32と対面する領域に一致する。
搬送領域12cは、ベルト状部材10における孔11を通じた吸引力でシート状部材20を吸引しながら搬送する領域であって、ベルト状部材10が第3の吸引部33と対面する領域に一致する。
このような搬送領域12において、シート状部材が搬送されるときにシート状部材に作用する吸引力が、該シート状部材の少なくとも2つの領域において相違する。
また、ベルト状部材10は、シート状部材に吸引力が作用しない領域を有してもよい。すなわち、本発明の搬送装置においては、シート状部材を搬送する際に、シート状部材に対して吸引力が作用する領域と、実質的に吸引力が作用しない領域が混在してもよい。
なお、
図5および
図6において示される態様において、後述するように、第1の吸引部31と、第2の吸引部32と、第3の吸引部33とが異なる吸引力を有する態様であってもよい。別の態様においては、第1の吸引部31に対応する搬送領域12a内で、シート状部材に作用する吸引力が少なくとも2つの領域において相違していてもよい。また、第2の吸引部32に対応する搬送領域12b内で、シート状部材に作用する吸引力が少なくとも2つの領域において相違していてもよい。さらに、第3の吸引部33に対応する搬送領域12c内で、シート状部材に作用する吸引力が少なくとも2つの領域において相違していてもよい。
【0031】
シート状部材に作用する吸引力が、搬送方向に対して平行な方向において段階的に分布する態様において、例えば、
図5及び
図6に示すように、本発明の搬送装置は、第1の吸引部31、第2の吸引部32、第3の吸引部33を有することができる。
このような態様において、シート状部材が搬送されるときにシート状部材に作用する吸引力が、該シート状部材の少なくとも2つの領域において相違する。例えば、第1の吸引部31における吸引力41と、第2の吸引部32における吸引力42と、第3の吸引部33における吸引力43とが、それぞれ異なる吸引力を示してもよい。また、第1の吸引部31における吸引力41と第2の吸引部32における吸引力42が同一の吸引力を示し、第3の吸引部33における吸引力43が、他の2つの吸引部における吸引力と異なる吸引力を示してもよい。
【0032】
ある態様において、下流側の第3の吸引部33における吸引力から、第2の吸引部32における吸引力、および上流側の第1の吸引部31に吸引力の順で、吸引力は大きくなる。このような関係で吸引力を有することにより、シート状部材から段階的にシワを伸ばして、より安定した搬送ができる。
【0033】
例えば、シート状部材に作用する吸引力が、搬送方向に対して平行な方向において段階的に分布する態様において、最下流に配置される吸引部の吸引力は0.02〜55kPaの範囲内であり、最上流側に配置される吸引部の吸引力は0.01〜50kPaの範囲内である。また、ある態様において、上記関係に加えて、最下流側に配置される吸引部の吸引力は、最上流側に配置される吸引部の吸引力よりも大きい。
シート状部材に作用する吸引力が、搬送方向に対して平行な方向において段階的に分布する態様において、少なくとも、シート状部材が搬送されるときにシート状部材に作用する吸引力が、該シート状部材の少なくとも2つの領域において相違している限り、用いるシート状部材の性質、厚さなどに応じて、最下流側に配置される吸引部と、最上流側に配置される吸引部との間に配置される吸引部における吸引力は、適宜調整できる。
【0034】
ある態様において、本発明の搬送装置は、ベルト状部材に対して、シート状部材が載置される側の上方に配置されるロールであって、シート状部材が搬送されるときに該ロールが回転しながらベルト状部材上のシート状部材と接触するように配置されるロールを更に有する。例えば、
図5および
図6におけるロール52は、ベルト状部材上のシート状部材と接触するように配置されるロールに該当する。
このロールを有することにより、シート状部材のシワをより効果的に除去できる。ベルト状部材上のシート状部材と接触するように配置されるロール52は、任意の場所に配置できる。例えば、吸引力の境界部23の下流側に設けてもよい。このような位置に配置すると、より効果的にシート状部材のシワを除去でき、シワ伸ばし効果に優れる。また、複数のロール52を配置でき、各ロールを任意の位置に配置できる。
【0035】
ある態様において、シート状部材の搬送経路にロールを配置する場合、ロール通過前後で吸引力を調整してもよい。例えば、シート状部材がロールを通過する前における吸引力を強くし、シート状部材がロールを通過する際の吸引力を弱くし、ロールを通過後の吸引力を強くするように調整してもよい。このように、ロールの前後における吸引力を強くし、シート状部材とロールが接触している間の吸引力を弱くすることにより、ロール通過時にシワを効果的に伸ばすことができ、ロールの通過後にしっかりと吸引させることで、シート状部材の平坦化をより効率よく行うことができる。
【0036】
また、セパレートフィルム剥離等の処理工程がある場合、その処理工程の通過前後で吸引力を調整してもよい。この態様においても、処理工程の前後における吸引力を強くし、処理工程の間における吸引力を弱くすることにより、処理工程の間にシワを効果的に伸ばすことができ、処理工程の後にしっかりと吸引させることで、シート状部材の平坦化をより効率よく行うことができる。
【0037】
ある態様においては、シート状部材に作用する吸引力が、搬送方向に対して平行な方向において連続的に分布する。
図7は、本発明の搬送装置の一態様における概略を示す上面図であり、
図8は、上記本発明の一態様における搬送装置の概略を示す側面図である。
図7及び
図8において、10はベルト状部材、11はベルト状部材の厚さ方向に貫通した孔、25は長尺状部材、21は長尺状部材25における一領域、22は長尺状部材25における別の領域、24は長尺状部材25における更に別の領域、30は吸引部、44は吸引部30における上流側の吸引力、45は吸引部30における中流部の吸引力、46は吸引部30における下流側の吸引力、50はテールローラー、51は貼合ロール、60は搬送方向である。
搬送装置1は、シート状部材の一態様である長尺状部材25が搬送されるときに長尺状部材25に作用する吸引力が該シート状部材の少なくとも2つの領域において相違する搬送領域12を有する。
ここで、搬送領域12は、ベルト状部材10における孔11を通じた吸引力で長尺状部材25を吸引しながら搬送する領域であって、ベルト状部材10が吸引部30と対面する領域に一致する。
このような搬送領域12において、シート状部材(長尺状部材)が搬送されるときにシート状部材(長尺状部材)に作用する吸引力が、該シート状部材(長尺状部材)の少なくとも2つの領域において相違する。
また、ベルト状部材10は、シート状部材(長尺状部材)に吸引力が作用しない領域を有してもよい。すなわち、本発明の搬送装置においては、シート状部材を搬送する際に、シート状部材(長尺状部材)に対して吸引力が作用する領域と、実質的に吸引力が作用しない領域が混在してもよい。
【0038】
シート状部材に作用する吸引力が、搬送方向に対して平行な方向において連続的に分布する態様において、例えば、吸引部30における上流側の吸引力44から、吸引部30における中流部の吸引力45および吸引部30における下流側の吸引力46に向かって、吸引力は連続的に分布する。例えば、吸引部30における上流側の吸引力44が弱く、下流側の吸引力46が強くなるように、連続的に吸引力は分布する。
シート状部材に作用する吸引力が、搬送方向に対して平行な方向において連続的に分布することにより、シート状部材のシワを伸ばして、より安定した搬送ができることに加えて、特に、長尺状部材を搬送する場合により効率よく搬送できる。また、連続的に吸引することによって、反りの生じやすいシート状部材、反りが生じた(カールが大きい)シート状部材に対して、より効率的に搬送でき、反り(カール)、折れを防止または平坦な状態に回復できる。
また、長尺状部材を搬送する場合において、長尺状部材をより平坦に搬送できる。
【0039】
この態様においては、上流側における吸引力は0.01〜50kPaの範囲内であり、下流域における吸引力は0.02〜55kPaの範囲内であることができる。また、ある態様において、上記関係に加えて、下流域における吸引力は上流側における吸引力よりも大きい。
【0040】
シート状部材に作用する吸引力が、搬送方向に対して平行な方向において連続的に分布する態様において、少なくとも、シート状部材が搬送されるときにシート状部材に作用する吸引力が、該シート状部材の少なくとも2つの領域において相違している限り、用いるシート状部材の性質、厚さなどに応じて、下流域における吸引力と、上流側における吸引力は、適宜調整できる。
【0041】
ある態様においては、シート状部材に作用する吸引力が、搬送方向に対して垂直な方向にある少なくとも2つの領域において相違する搬送装置が提供される。搬送方向に対して垂直な方向にある少なくとも2つの領域において吸引力が相違することにより、シート状部材のカールを防止でき、シワを効果的に伸ばすことができ、また、シート状部材を平坦な状態で搬送できる。例えば、シート状部材における長手方向周辺部の吸引力と、シート状部材における長手方向に沿った中心領域の吸引力に差を設けてもよい。
【0042】
<積層体の製造方法>
本発明の別の態様によると、第1のシート状部材と第2のシート状部材とを有する積層体の製造方法であって、上記本発明に係る搬送装置を用いて、第1のシート状部材を搬送すること、および該第1のシート状部材と第2のシート状部材とを貼合することを含む、積層体の製造方法が提供される。
別の態様においては、シート状部材と長尺状部材とを有する積層体の製造方法であって、上記本発明に係る搬送装置を用いて、シート状部材を搬送すること、および該シート状部材と長尺状部材とを貼合することを含む、積層体の製造方法が提供される。
【0043】
以下、上述の
図5及び
図6を参照しながら説明する。
図5及び
図6において、20はシート状部材、51は貼合ロール、53は送出しロール、60は搬送方向、70は第2のシート状部材、80は積層体である。本発明の搬送装置を用いて搬送することにより、シワが伸ばされたシート状部材(第1のシート状部材)20と、第2のシート状部材70とを、貼合ロール51を用いて貼合し、積層体80を製造できる。
第1のシート状部材を、本発明の搬送装置を用いて搬送することにより、第1のシート状部材のシワを伸ばし、平坦にできる。さらに、第1のシート状部材のカールに影響されることなく、位置合わせを行え、第1のシート状部材と、第2のシート状部材との貼合を高精度に行える。
ある態様においては、第2のシート状部材が長尺状部材であってもよく、第1のシート状部材が長尺状部材であってもよく、および第1及び第2のシート状部材が共に長尺状部材であってもよい。
第2のシート状部材は、特に限定されず、例えば、セパレートフィルム、保護フィルム、光学部材であることができる。