(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の説明では、提示された実施形態の完全な理解を可能にするために、数々の具体的詳細が特定されている。しかしながら、当業者にならば、本発明がこれらの具体的詳細の一部又は全部を伴わずに実施されてもよいことが明らかである。また、本発明を不必要に不明瞭にしないために、周知のプロセス工程の詳細な説明は省略される。
【0021】
図1は、本発明の一部の実施形態にしたがった、プラズマ処理チャンバを含むプラズマ処理のためのシステムを示している。プラズマ処理チャンバ100は、1枚以上の側壁101Aと、上部構造101Bと、底部構造101Cとによって画定される外部構造101を含む。一部の実施形態では、プラズマ処理チャンバ100の外部構造101は、導電性材料で形成でき、基準大地電位への電気的接続部を有することができる。一部の実施形態では、プラズマ処理チャンバ100は、基板105を通らせてプラズマ処理チャンバ100に対して出し入れすることができる開閉式の進入路103を含むことができる。その他の実施形態では、処理チャンバ100の上方部分は、基板105の出し入れを可能にするために、処理チャンバ100の下方部分から離れて構成される。
【0022】
プラズマ処理チャンバは、下方支持構造109上に配置される静電チャック107を含む。静電チャック107は、セラミックアセンブリとして形成される。一部の実施形態では、静電チャック107は、セラミック材料及びその他の内部材料の層が複数枚積層状に集められて共焼成されたものを含む。下方支持構造109は、導電性材料で形成され、底板部材109Bと、該底板部材109Bから上向きに伸びる環状壁部材109Cとで形成されるボール形状を有する。静電チャック107のセラミックアセンブリは、静電チャック107のセラミックアセンブリの底面の外周領域が下方支持構造109の環状壁部材109Cの上面によって支持されて、下方支持構造109の内部領域が静電チャック107のセラミックアセンブリの底面の一部分に露出するように、下方支持構造109に固定される。
【0023】
一部の実施形態では、下方支持構造109は、静電チャック107の下面の外周で静電チャック107を支持するように構成された上方フランジ構造109Aを含む。一部の実施形態では、下方支持構造109及びその上方フランジ構造109Aは、アルミニウムで形成される。しかしながら、その他の実施形態では、下方支持構造109及びその上方フランジ構造109Aは、静電チャック107の動作をサポートするのに十分な電気伝導、熱伝導、及び機械的強度を提供する限り、その他の材料又は材料の組み合わせで形成できる。静電チャック107の上面は、処理中に基板105を支持するように構成された区域を含む。一部の実施形態では、静電チャック107の上面は、メサ構造と呼ばれる複数の隆起構造の共平面上面によって形成される。基板105がメサ構造の上面で支持されることで、メサ構造の側面間の領域は、基板105の裏側に対してヘリウムガスなどの流体の流れを提供し、基板105の温度制御の向上を可能にする。
【0024】
プラズマ処理チャンバ100は、更に、上部電極117を、該上部電極117と静電チャック107との間にプラズマ処理領域119が存在するように静電チャック107の上方に配置されて含む。一部の実施形態では、上部電極117は、基準大地電位125に電気的に接続される。プロセスガス源123からプラズマ処理領域119にプロセスガスを供給するために、プロセスガス供給ライン121が配管される。一部の実施形態では、プロセスガス供給ライン121は、プラズマ処理チャンバ100内の1つ以上の位置でプロセスガスを単純に吐出するように構成される。一部の実施形態では、上部電極117は、複数の吐出口に通じる複数の内部流路を含むシャワーヘッド電極として画定され、プロセスガス供給ライン121は、プロセスガスが複数の内部流路を経て複数の吐出口に及びプラズマ処理領域119内に分散方式で流れるように、シャワーヘッド電極の入力に配管される。
【0025】
RF電力源129が、整合モジュール131を通じて接続部127にRF信号を供給するように接続され、接続部127は、供給されたRF信号を下方支持構造109に伝送するように構成される。動作時に、プロセスガスは、プラズマ処理領域119に流し込まれ、RF信号は、下方支持構造109に供給される。RF信号は、下方支持構造109から静電チャック107を経て、次いでプラズマ処理領域119を経て上部電極117に伝送される。RF信号は、プラズマ処理領域119内のプロセスガスをプラズマ133に変換し、基板105に照射させ、それによって、イオン及び/又はラジカルなどのプラズマ133の反応性成分が、基板105の被照射部分を改質するように作用する。一部の実施形態では、処理チャンバ100内のガスが、プラズマ処理領域119から側方通気口135を経て排出口137へ流れ、該排出口137は、処理チャンバ100の内部空間から流体を引き出すように構成された排出モジュール139に接続部138を通じて配管される。
【0026】
プラズマ処理チャンバ100は、本書では、説明を容易にするために簡略化して示されていることが、理解されるべきである。実際は、プラズマ処理チャンバ100は、本書では説明されていない多くのコンポーネントを含む。しかしながら、本議論について理解されるべきは、プラズマ処理チャンバ100が、注意深く制御された条件下で1種類以上のプロセスガス組成の被制御流を受けるように接続されること及び基板105を保持するための静電チャック107を含むことであり、この場合、静電チャック107は、指定方式での基板105の処理を可能にするために、及び/又は静電チャック107の上のプラズマ処理領域119内のプラズマ133へのRFバイアスを可能にするために、プラズマ処理領域119にRF信号を伝送して1種類以上のプロセスガス組成をプラズマ133に変換するように接続される。プラズマ処理チャンバ100によって実施されえるプラズマ処理工程の例として、数あるなかでも特に、エッチング工程、デポジション工程、及びアッシング工程が挙げられる。
【0027】
プラズマ処理チャンバ100は、静電チャック107を利用するタイプの容量結合プラズマ(CCP)処理チャンバの一例である。しかしながら、静電チャック107は、誘導結合プラズマ(ICP)処理チャンバや、変換器結合プラズマ(TCP)処理チャンバなど、静電チャック107によって保持されている基板の上方のプラズマ処理領域に静電チャック107からRF信号が伝送されえるその他のタイプのプラズマ処理チャンバでも利用できることが、理解されるべきである。本書の開示内容は、主に、静電チャック107の設計及び動作における改良に関する。したがって、本書で開示される静電チャック107の様々な実施形態例は、原則的にあらゆるタイプのプラズマ処理チャンバに利用でき、
図1のプラズマ処理チャンバ100は、議論を目的とした1つの例を提供している。
【0028】
一実施形態例では、本書で使用される基板105という用語は、半導体ウエハを指している。しかしながら、その他の実施形態では、本書で使用される基板105という用語は、サファイヤ、GaN、GaAs、若しくはSiC、又はその他の基板材料で形成される基板を指すことができ、ガラスパネル/基板、金属箔、金属シート、ポリマ材料などを含むことができる。また、様々な実施形態において、本書で言う基板105は、形態、形状、及び/又は大きさが様々であってよい。例えば、一部の実施形態では、本明細書で言う基板105は、200mm(ミリメートル)半導体ウエハ、300mm半導体ウエハ、又は450mm半導体ウエハに相当してよい。また、一部の実施形態では、本明細書で言う基板105は、数あるなかでも特に、フラットパネルディスプレイのための矩形の基板などの、非円形の基板に相当してよい。
【0029】
図2Aは、本発明の一部の実施形態にしたがった、1つ以上の(1つ又は複数の)クランプ電極201と、主要RF電力供給電極203と、1つ以上の抵抗ヒータ205とを含むように構成された静電チャック107のセラミック材料を示している。一部の実施形態では、1つ又は複数のクランプ電極201は、静電チャック107の上面で基板105を保持するための電場を生成するために使用される単一電極であることができる。一部の実施形態では、1つ又は複数のクランプ電極201は、バイポーラ動作用に構成される2つの別々のクランプ電極を含むことができ、ここでは、静電チャック107の上面で基板105を保持するための電場を生成するために、これらの2つの別々のクランプ電極間に、差動電圧が印加される。各種の実施形態において、2つの別々のクランプ電極は、バイポーラ動作を可能にするために、幾何学的に互いに噛み合わせる又は交互配置することができる。一部の実施形態では、1つ又は複数のクランプ電極201は、多相方式で動作するように接続された3つ以上の別々のクランプ電極を含むことができる。1つ又は複数のクランプ電極201の各電極は、接続部134を通じてDC電圧供給部132に接続される。一部の実施形態では、RF信号のフィルタリングを提供するために、1つ以上のコンデンサ136が、1つ又は複数のクランプ電極201と下方支持構造109との間に電気的に接続できる。DC電圧供給部132は、1つ又は複数のクランプ電極201上に存在する電圧を制御するように構成される。1つ又は複数のクランプ電極201が複数の別々のクランプ電極を含む実施形態では、複数の別々のクランプ電極の各電極は、その電圧及び/又は位相がその他の1つ又は複数のクランプ電極201に対して独立した方式で制御されるように、DC電圧供給部132に(又は別々のDC電圧供給部132に)接続される。
【0030】
一部の実施形態では、静電チャック107の底面と、下方支持構造109の上面との間に、周辺シール207が配置される。周辺シール207は、プラズマ133成分及び/又はプロセス副生成物材料が下方支持構造109内の領域内に進入するのを防ぐように構成される。
【0031】
各種の実施形態において、静電チャック107は、様々な冷却メカニズム、加熱メカニズム、クランプメカニズム、バイアス電極、基板リフトピン、及びセンサを含むように構成でき、この場合、センサは、数あるパラメータのなかでも特に、温度、圧力、電圧、及び/又は電流の測定を提供することができる。例えば、静電チャック107のセラミックは、冷却流体が流れることができる複数の冷却路211を含むように構成できる。また、静電チャック107のセラミックは、裏側ガスが中を通って基板105の下のメサ構造間の領域内に裏側ガスを流し込む及び吐出することができる流体流路配置を含むことができる。下方支持構造109は、1つ又は複数の抵抗ヒータ205、裏側ガス配送システム、基板リフトピン、1つ又は複数のクランプ電極201、冷却路211、センサなどの、静電チャック107の内部コンポーネントのための様々な回路構成、配管構成、制御コンポーネント、及び支持パーツを保持するように構成できることがわかる。
【0032】
議論を目的として、主要RF電力供給電極203を伴わない静電チャック107の一実施形態を考える。この実施形態では、例えばRF周波数が約1MHz以上であるなどの高周波数RF電力用途の場合、RF信号をプラズマ処理領域119に分布させるために、1つ又は複数のクランプ電極201が頼ることになるだろう。例えば、場合によっては、RF信号は、静電チャック107を通じて成される1つ又は複数のクランプ電極201への及び最終的にはプラズマ処理領域119へのRF信号の容量結合に頼ることによって、下方支持構造109に印加されるだろう。しかしながら、この場合は、静電チャック107の内部を通じて成されるRF信号の伝送には、関連の困難がある。例えば、静電チャック107の内部を経てRF信号を伝送すると、静電チャック107の様々な内部領域内で不要な(寄生)プラズマが発生する可能性があり、これは、基板105の損傷及び/又はデチャックを引き起こす恐れがある。また、静電チャック107の内部を通じて伝送されるRF信号は、1つ又は複数の抵抗ヒータ205の素子を通じて結合するかもしれず、これは、プラズマ処理領域119に到達するRF電流分布の不均一性を引き起こし、ひいては、例えばエッチング均一性及び限界寸法均一性などのプロセス均一性に悪影響を及ぼす。また、静電チャック107の内部を通じて伝送されるRF信号は、その中の様々な回路構成を損傷させる恐れがあり、そのような回路構成として、数あるなかでも特に、1つ又は複数の抵抗ヒータ205の駆動回路が挙げられる。また、例えばRF周波数が約1MHz未満であるなどの低周波数RF電力用途の場合、静電チャック107は、RF信号への高インピーダンス絶縁体のように振る舞う。したがって、低周波数RF電力用途では、外部コンデンサなどの並列結合メカニズムを含めることなしに、下方支持構造109から静電チャック107のセラミックを経てプラズマ処理領域119に至る低周波数RF信号の伝送に頼ることは困難である。
【0033】
静電チャック107内に主要RF電力供給電極203が存在することによって、問題がある静電チャック107の内部領域を通じてRF信号を伝送する必要がなくなり、直接的なRF電力伝送のために1つ又は複数のクランプ電極201を電気的に接続する必要もなくなる。主要RF電力供給電極203は、より低い及び高いRF信号周波数を含む広い周波数範囲にわたってプラズマ処理領域119への安全で且つ信頼できるRF信号伝送を提供する。
【0034】
図2Aに戻り、主要RF電力供給電極203は、静電チャック107の、主要RF電力供給電極203と1つ又は複数のクランプ電極201との間の領域が他の導電性材料を実質的に含まないように、静電チャック107のセラミック内で、静電チャック107の上面に実質的に平行な向きで且つ1つ又は複数のクランプ電極201の垂直方向下方の位置に位置決めされる。また、主要RF電力供給電極203は、静電チャック107の上面の、基板105を支持するように構成された区域の下の全区域に少なくとも及ぶために、静電チャック107のセラミック内で水平方向に広がるように構成される。主要RF電力供給電極203は、反応性容量を最適にするために、静電チャック107の頂部の近くに置かれる。また、
図2Aの静電チャック107構成では、1つ又は複数のクランプ電極201と静電チャック107の上面との間の領域が他の導電性材料を実質的に含まないように、1つ又は複数のクランプ電極201は、静電チャック107のセラミック内で、静電チャック107の上面に実質的に平行な向きで且つ静電チャック107のセラミック内の上方の位置に位置決めされることも、留意されるべきである。
図2Aに示されるように、主要RF電力供給電極203は、1つ又は複数のクランプ電極201から発する電場が、主要RF電力供給電極203によって妨げられないように、主要RF電力供給電極203は、1つ又は複数のクランプ電極201の下方に位置決めされることが望ましい。
【0035】
一部の実施形態では、静電チャック107の、主要RF電力供給電極203と1つ又は複数のクランプ電極201との間の領域が、他の導電性材料を実質的に含まないということは、この領域が、導電性材料を含まないことに相当する。一部の実施形態では、静電チャック107の、主要RF電力供給電極203と1つ又は複数のクランプ電極201との間の領域が、他の導電性材料を実質的に含まないということは、この領域が、RF信号の伝送を妨げないまばらに分布された導電性材料を含むことに相当する。一部の実施形態では、静電チャック107の、主要RF電力供給電極203と1つ又は複数のクランプ電極201との間の領域が、他の導電性材料を実質的に含まないということは、この領域が、周囲の他の導電性材料から電気的に絶縁された、即ち電気的に浮遊している何らかの導電性材料を含むことに相当する。一部の実施形態では、静電チャック107の、主要RF電力供給電極203と1つ又は複数のクランプ電極201との間の領域が、他の導電性材料を実質的に含まないということは、この領域が、RF信号を遮断しない十分な薄さの導電性材料を含むことに相当する。
【0036】
一部の実施形態では、静電チャック107の、1つ又は複数のクランプ電極201と静電チャック107の上面との間の領域が、他の導電性材料を実質的に含まないということは、この領域が、導電性材料を含まないことに相当する。一部の実施形態では、静電チャック107の、1つ又は複数のクランプ電極201と静電チャック107の上面との間の領域が、他の導電性材料を実質的に含まないということは、この領域が、RF信号の伝送を妨げないまばらに分布された導電性材料を含むことに相当する。一部の実施形態では、静電チャック107の、1つ又は複数のクランプ電極201と静電チャック107の上面との間の領域が、他の導電性材料を実質的に含まないということは、この領域が、周囲の他の導電性材料から電気的に絶縁された、即ち電気的に浮遊している何らかの導電性材料を含むことに相当する。一部の実施形態では、静電チャック107の、1つ又は複数のクランプ電極201と静電チャック107の上面との間の領域が、他の導電性材料を実質的に含まないということは、この領域が、RF信号を遮断しない十分な薄さの導電性材料を含むことに相当する。
【0037】
一部の実施形態では、主要RF電力供給電極203は、基板リフトピン、1つ又は複数のクランプ電極201のための電気的接続部、ガス流路などの貫通構造を受け入れるための各種の通し穴を除いて、導電性材料で形成された原則的に固体の円盤状部材として構成される。また、一部の実施形態では、主要RF電力供給電極203は、導電性材料で形成された方眼紙として構成される。各種の実施形態において、主要RF電力供給電極203は、数あるなかでも特に、モリブデン、タンタル、タングステン、パラジウム、ルテニウム、プラチナで形成される。しかしながら、主要RF電力供給電極203は、所要の周波数のRF信号の導体として機能することができ且つ製造及び工程に関係付けられた機械的及び熱的要件を満たす限り、原則的にあらゆる導電性材料で形成できることが理解されるべきである。一部の実施形態では、主要RF電力供給電極203の厚さは、印加RF信号周波数におけるRF信号伝送の浸入厚さの約2〜3倍である。一例として、印加RF周波数13.56MHzにおけるRF信号伝送の浸入厚さは、約0.001778センチである。別の一例として、印加RF周波数400kHにおけるRF信号伝送の浸入厚さは、約0.01016センチである。一部の実施形態では、主要RF電力供給電極203の厚さは、約0.0127センチから約0.0381センチにわたる範囲内である。しかしながら、その他の実施形態では、主要RF電力供給電極203の厚さは、約0.0127センチ未満又は約0.0381センチを超えることも可能であることが理解されるべきである。また、一部の実施形態では、主要RF電力供給電極203は、静電チャック107の製作時に金属箔を例えば積層させる、共焼成するなどして施すことによって形成される。また、一部の実施形態では、静電チャック107製作時に、主要RF電力供給電極203は、スクリーン印刷プロセスを使用して形成され、このプロセスでは、インクが、主要RF電力供給電極203を形成する金属材料を含有するように処方される。しかしながら、その他の実施形態では、主要RF電力供給電極203を形成するために、異なる方法及び技術が使用できることが理解されるべきである。
【0038】
下方支持構造109への主要RF電力供給電極203の電気的接続を提供するために、複数のRF電力供給接続モジュール209が、静電チャック107の周辺に実質的に均一に分布され、これらの複数のRF電力供給接続モジュール209は、各自、下方支持構造109と主要RF電力供給電極203との間にRF信号のための低インピーダンス伝送経路を提供する。複数のRF電力供給接続モジュール209は、各自、そのそれぞれの位置で下方支持構造109から主要RF電力供給電極203へのRF電力伝送経路を形成するために、そのそれぞれの位置で下方支持構造109から(より具体的には、下方支持構造109の上方フランジ109Aから)主要RF電力供給電極203への電気的接続を形成するように構成される。
【0039】
図3Aは、本発明の一部の実施形態にしたがった、
図2Aで参照される視点A−Aに対応して主要RF電力供給電極203と複数のRF電力供給接続モジュール209との間の境界で静電チャック107を切り取った断面図である。
図3Aの例では、周部221に沿って静電チャック107の外周に実質的に均等に、8つのRF電力供給接続モジュール209が分布されており、これらの8つのRF電力供給接続モジュール209は、各自、静電チャック107の上面に垂直に伸びる静電チャック107の中心軸202を中心として測定したときに、上記8つのRF電力供給接続モジュール209のうちの隣接する各モジュールから約45度の角度で隔てられている。その他の実施形態では、7つ以下の又は9つを超えるRF電力供給接続モジュール209が使用できる。例えば、別の例の実施形態は、最多で1000のRF電力供給接続モジュール209を含むことができる。
【0040】
また、例えば60MHz以上の高周波数用途では、場合によっては、均一性を理由として主要RF電力供給電極203が花弁状などの断面形状を有することが望ましいだろう。
図3Bは、本発明の一部の実施形態にしたがった、
図3Aの主要RF電力供給電極203の変形版を示した図であり、主要RF電力供給電極203は、静電チャック107の中心線202を中心として放射状に対称的に割り込まれている。
図3Bの実施形態例では、ギャップ309が、主要RF電力供給電極203の各領域301〜308をそれに隣接する主要RF電力供給電極203の区域から分離しており、主要RF電力供給電極203の各領域301〜308は、静電チャック107の中心軸202の近くで繋ぎ合わされている。また、主要RF電力供給電極203の各領域301〜308は、複数のRF電力供給接続モジュール209A〜209Hのそれぞれを通じて下方支持構造109からRF電力を受け取るように接続されている。
【0041】
図3Cは、本発明の一部の実施形態にしたがった、
図3Aの主要RF電力供給電極203の変形版を示した図であり、主要RF電力供給電極203は、静電チャック107の中心線202を中心として放射状に対称的に区切られている。
図3Cの実施形態例では、主要RF電力供給電極203の各区分311〜318が、それに隣接する主要RF電力供給電極203の区分311〜318から分離されている。また、主要RF電力供給電極203の各区分311〜318は、複数のRF電力供給接続モジュール209A〜209Hのそれぞれを通じて下方支持構造109からRF電力を受け取るように接続されている。一部の実施形態では、複数のRF電力供給接続モジュール209A〜209Hは、各自、主要RF電力供給電極203の各区分311〜318を通じたRF信号伝送が独立に制御できるように、別個に制御されるRF信号を受け取るように接続できる。
【0042】
下方支持構造109から主要RF電力供給電極203へのRF信号の均一な伝送を提供するために、複数のRF電力供給接続モジュール209は、静電チャック107の中心線202を中心として実質的に均一に分布できる。しかしながら、複数のRF電力供給接続モジュール209の位置は、それらの、静電チャック107内におけるその他の構造及び/又は通路に対する配置に適合させるために、何らかの調整が可能である。一部の実施形態では、複数のRF電力供給接続モジュール209は、下方支持構造109と主要RF電力供給電極203との間に直接的な電気的接続を提供する受動接続部として定めることができる。しかしながら、その他の実施形態では、複数のRF電力供給接続モジュール209の一部又は全部が、下方支持構造109から主要RF電力供給電極203に伝送されるRF信号の振幅及び/又は周波数を制御するように定めることができる。また、一部の実施形態では、複数のRF電力供給接続モジュール209の個々のモジュールが、それを通じてリアルタイムで伝送されるRF信号の振幅及び/又は周波数を制御するように構成できる。
【0043】
なお、下方支持構造109、複数のRF電力供給接続モジュール209、及び主要RF電力供給電極203は、全体で、主要RF電力供給電極203の下方で且つ複数のRF電力供給接続モジュール209が沿って配置される周部221内に存在する静電チャック107の内部空間の周りにRF電力伝送を方向付けるためのファラデーケージを形成することが、理解されるべきである。
図2Bは、本発明の一部の実施形態にしたがった、
図2Aの構成を太い実線250でRF信号伝送経路を記して示した図である。RF信号は、RF電力源129から整合モジュール131を経て接続部127を通じて下方支持構造109に伝送される。RF信号は、次いで、下方支持構造109の表面付近で移動して、下方支持構造109の上方フランジ109Aに至る。RF信号は、次いで、上方フランジ109Aの表面に沿って移動して複数のRF電力供給接続モジュール209のそれぞれに及び次いで主要RF電力供給電極203に至る。
【0044】
下方支持構造109から複数のRF電力供給接続モジュール209を通じて主要RF電力供給電極203にRF信号を伝送することによって、静電チャック107の内部空間は、原則的に、RF信号誘起電場による影響を受けない。また、静電チャック107内で、RF信号を伝達しないことが望ましい他の導電性コンポーネントを複数のRF電力供給接続モジュール209及びその他の意図的なRF導体が貫通するところである様々な位置に、RF信号フィルタリング機器が実装できる。このように、下方支持構造109と、複数のRF電力供給接続モジュール209と、主要RF電力供給電極203とによって形成されるファラデーケージは、各種のRFフィルタリング機器と相まって、静電チャック107の内部の回路構成及び接続層をRF場から保護及び遮断する働きをする。また、RF信号誘起電圧を、静電チャック107内で上方の主要RF電力供給電極203のところで高くすることによって、静電チャック107の内部でプラズマを不注意で発生させる可能性が低くなる。したがって、静電チャック107の内部空間内の例えばヒータ回路構成、センサ回路構成などの電子コンポーネントを、静電チャック207構造全体を流れるRF電流によって引き起こされる悪影響に曝さなくすることが可能である。
【0045】
また、下方支持構造109と、複数のRF電力供給接続モジュール209と、主要RF電力供給電極203とによって形成されるファラデーケージは、広いRF信号周波数範囲にわたって基板105へのRF信号伝送の一貫性の向上を提供するとともに、静電チャック107内のその他の内部回路構成及び関連の変動とは関係ない基板105へのRF信号伝送の一貫性の向上を提供し、そうすることによって、異なる静電チャック107間における基板105へのRF信号伝送の一貫性の向上を提供する。したがって、下方支持構造109と、複数のRF電力供給接続モジュール209と、主要RF電力供給電極203とによって形成されるファラデーケージは、RF信号周波数及び高調波が様々に異なる様々な静電チャック107の動作を更に均一で且つ一貫したものにする。
【0046】
また、静電チャック107の頂部の近くで且つ1つ又は複数のクランプ電極201のすぐ下方である主要RF電力供給電極203の位置は、数あるなかでも特に、400kHz、100kHz、55kHzなどの低RF信号周波数の伝送を提供する。また、複数のRF電力供給接続モジュール209による、下方支持構造109への主要RF電力供給電極203の直接的な接続は、低RF周波数信号のパルス発振を可能にし、これは、特定のプラズマ処理工程にとって有用だろう。また、高RF電流を伝達するように構成された複数のRF電力供給接続モジュール209によって、主要RF電力供給電極203を通じて高いRF電流を低いRF信号周波数でプラズマ処理領域119に伝送することが可能である。
【0047】
図4は、本発明の一部の実施形態にしたがった、複数のRF電力供給接続モジュール209のうちの1つの縦断面図である。RF電力供給接続モジュール209は、下方支持構造109の上方フランジ109Aと静電チャック107内の露出埋め込み導電性セグメント403との間に伸びる第1の電気的接続部401を含む。また、RF電力供給接続モジュール209は、露出埋め込み導電性セグメント403と主要RF電力供給電極203との間で電気的接続を行うために露出埋め込み導電性セグメント403から静電チャック107を経て主要RF電力供給電極203に至る第2の電気的接続部405も含む。一部の実施形態では、露出埋め込み導電性セグメント403は、平面状である。その他の実施形態では、露出した埋め込み導電性セグメント403は、数あるなかでも特に、凸状、凹状、円筒状などのように、非平面状である。露出埋め込み導電性セグメント403の一部分403Aは、静電チャック107の底側に露出しており、第1の電気的接続部401の部材に物理的に接触している。一部の実施形態では、露出埋め込み導電性セグメント403は、第1の電気的接続部401との電気的接続を可能にするためにめっきできる。
【0048】
第1の電気的接続部401及び第2の電気的接続部405は、静電チャック107の支持/周囲/界接構造の、熱によって誘発される膨張及び収縮に適合するように構成される。一部の実施形態では、第1の電気的接続部401は、露出埋め込み導電性セグメント403の露出部分403Aに押し付けられる導電性のピン407を含む。一部の実施形態では、第1の電気的接続部401は、下方支持構造109に対して電気的に短絡している。その他の実施形態では、第1の電気的接続部401は、下方支持構造109から電気的に絶縁され、ただし、下方支持構造109から第1の電気的接続部401を通じてRF信号が優先的に伝送されるように配置される。
図4に示されるような一部の実施形態では、導電性のピン407は、下方支持構造109から導電性のピン407へのRF信号の伝送を可能にするために、下方支持構造109に電気的に接続される。具体的には、導電性のピン407は、その基部構造409に電気的に接続するように配置され、基部構造409は、更に、下方支持構造109に電気的に接続するように配置される。この構成では、RF信号は、下方支持構造109の外側表面に沿って進み、下方支持構造109の上方フランジ109Aを横断し、基部構造409に至り、ピン407に至り、露出埋め込み導電性セグメント403に上り、第2の電気的接続部405を経て、主要RF電力供給電極203に至る。一部の実施形態では、導電性のピン407は、導電性のピン407を露出埋め込み導電性セグメント403の露出部分403Aに押し付けるように構成されたバネを含む。また、一部の実施形態では、導電性のピン407は、最大30アンペアのRF電流を伝送するように構成される。しかしながら、その他の実施形態では、導電性のピン407は、静電チャック107によって実施されるプロセスに応じて更に多量又は少量のRF電流を伝送するように構成できることが、理解されるべきである。
【0049】
また、一部の実施形態では、導電性のピン407を使用する代わりに、下方支持構造109と露出埋め込み導電性セグメント403との間の接続は、ろう付けされた接続部又ははんだ付けされた接続部を使用して成される。一部の実施形態では、第1の電気的接続部401が導電性のピン407、又はろう付けされた接続部、又ははんだ付けされた接続部、又はその他の何らかのタイプの接続部をRF導体として使用するかどうかに関わらず、第1の電気的接続部401は、露出埋め込み導電性セグメント403と下方支持構造109との間をRF導体が突っ切る距離が可能な限り短くて、第1の電気的接続部401の電気インピーダンスを最小にできるように構成される。
【0050】
一部の実施形態では、第2の電気的接続部405は、静電チャック107のセラミック内に、1つ以上の内部埋め込み導電性セグメント411を含む。一部の実施形態では、内部埋め込み導電性セグメント411は、各自、主要RF電力供給電極203に実質的に平行な向きにされる。また、第2の電気的接続部405は、内部埋め込み導電性セグメント411を(内部埋め込み導電性セグメント411が複数ある場合は)互いに、及び露出埋め込み導電性セグメント403に、及び主要RF電力供給電極203に電気的に接続するように位置決めされた1つ以上の垂直導電性構造413を含むことができる。一部の実施形態では、垂直導電性構造413のうちの少なくとも1つが、露出埋め込み導電性セグメント403と、内部埋め込み導電性セグメント411のうちの最も下のものとの間で静電チャック107のセラミック内を通って伸びており、垂直導電性構造413のうちの少なくとも1つが、内部埋め込み導電性セグメント411のうちの最も上のものと、主要RF電力供給電極203との間で静電チャック107のセラミック内を通って伸びており、垂直導電性構造413のうちの少なくとも1つが、内部埋め込み導電性セグメントのうち隣り合う各2つが存在するときに、それらの間で静電チャック107のセラミック内を通って伸びている。
【0051】
内部埋め込み導電性セグメント411の使用は、内部埋め込み導電性セグメント411を接続するために垂直導電性構造413を使用することで、静電チャック107を積層状に製作することに適していることがわかる。また、垂直導電性構造413は、所定の内部埋め込み導電性セグメント411の両側の様々な位置に配置できることも、理解されるべきである。このように、RF電力供給接続モジュール209の第2の電気的接続部405内の電気的接続は、様々な垂直位置及び様々な水平位置で成すことができる。また、垂直導電性構造413は、所定のRF電力供給接続モジュール209内に、冗長方式で配置することもできる。例えば、一部の実施形態では、所定の1つのRF電力供給接続モジュール209において、少なくとも4つの垂直導電性構造413が、露出埋め込み導電性セグメント403と、内部埋め込み導電性セグメント411のうちの最も下のものとの間で静電チャック107のセラミック内を通って伸びており、少なくとも4つの垂直導電性構造413が、内部埋め込み導電性セグメント411のうちの最も上のものと、主要RF電力供給電極203との間で静電チャック107のセラミック内を通って伸びており、少なくとも4つの垂直導電性構造413が、内部埋め込み導電性セグメント411のうち隣り合う各2つが存在するときに、それらの間で静電チャック107のセラミック内を通って伸びている。
【0052】
図5は、本発明の一部の実施形態にしたがった、内部埋め込み導電性セグメント411のうちの隣り合う2つの間に4つの垂直導電性構造413を冗長方式で使用する一例を示した図である。なお、
図5の例における4つの垂直導電性構造413の描写は、例として提供されているに過ぎないことが、理解されるべきである。その他の実施形態では、埋め込み導電性セグメント411のうちの隣り合う2つの間に、5つ以上の又は3つ未満の垂直導電性構造413が配置できる。例えば、
図5は、更なる垂直導電性構造413Aを有する選択肢を示している。各種の実施形態において、所定のRF電力供給接続モジュール209において内部埋め込み導電性セグメント411のうちの隣り合う2つの間に配置される垂直導電性構造413の数は、垂直導電性構造413及び/又は内部埋め込み導電性セグメント411を製作するために使用される1つ又は複数の材料の選択と、選択されたそれらの1つ又は複数の材料の電気容量とによって決定できる。
【0053】
図6Aは、本発明の一部の実施形態にしたがった、段差構成を有するセラミック材料で形成される静電チャック107Aを示した図である。
図6Bは、本発明の一部の実施形態にしたがった、静電チャック107Aの上面図を示している。静電チャック107Aは、中央領域601と、周縁領域603とを含む。中央領域601は、基板105を支持するように構成された区域を含む。周縁領域603は、中央領域601を囲うように構成される。静電チャック107Aは、中央領域601及び周縁領域603の両方にわたって実質的に均一に平面状に広がる底面を有する。中央領域601は、静電チャック107Aの底面に垂直に測定される第1の全厚605を有する。周縁領域603は、静電チャック107Aの底面に垂直に測定される第2の全厚607を有する。第2の全厚607は、第1の全厚605未満であり、それが、静電チャック107Aのその半径方向外周部に段差構成を与えている。また、主要RF電力供給電極203は、その全体が、静電チャック107Aの中央領域601内で1つ又は複数のクランプ電極201のすぐ下の位置に位置決めされる。そして、静電チャック107Aの周縁領域603は、周辺RF電力供給電極609の一部分を含む。周辺RF電力供給電極609は、主要RF電力供給電極203の外側部分の下で、静電チャック107Aの中央領域601内へ広がってもいる。
【0054】
周辺RF電力供給電極609は、静電チャック107A内で、主要RF電力供給電極203の下方の垂直位置に形成される。周辺RF電力供給電極609は、上面と、底面と、内縁609Aと、外縁609Bとによって画定される環状形状を有する。一部の実施形態では、周辺RF電力供給電極609の上面及び底面は、主要RF電力供給電極203に実質的に平行な向きにされる。主要RF電力供給電極203と周辺RF電力供給電極609との間に重なり613が存在するように、周辺RF電力供給電極609の内縁609Aは、主要RF電力供給電極203の外縁203Aと比べて、静電チャック107Aの中心線202に対して半径方向に近くに位置決めされる。繰り返しになるが、静電チャック107Aの中心線202は、静電チャック107Aの上面の中心点において静電チャック107Aの上面に垂直に伸びると見なされる。周辺RF電力供給電極609の外縁609Bは、主要RF電力供給電極601の外縁203Aと比べて、静電チャック107Aの中心線202から半径方向に遠くに位置決めされる。周辺RF電力供給電極609の、主要RF電力供給電極601の外への半径方向の広がりは、基板105の半径方向の周部の随所におけるRF信号の伝送を可能にし、これは、一部の処理用途では、基板105の半径方向縁部における処理パフォーマンスを向上させるために使用できる。周辺RF電力供給電極209は、基板105の最外領域及び縁部における処理パフォーマンスを向上させられるように、プラズマへのRF結合を基板105の半径方向の外周部の外へ拡張させる。
【0055】
周辺RF電力供給電極609及び主要RF電力供給電極203の、下方支持構造109への電気的接続を提供するために、複数のRF電力供給接続モジュール629が、静電チャック107Aの周辺に実質的に均一に分布され、これらの複数のRF電力供給接続モジュール629は、各自、下方支持構造109と周辺RF電力供給電極609及び主要RF電力供給電極203との間に、RF信号のための低インピーダンス伝送経路を提供する。複数のRF電力供給接続モジュール629は、静電チャック107の周縁における複数のRF電力供給接続モジュールの分布に関して本書で論じられたのと同様に、静電チャック107Aの周縁に分布させることができる。
【0056】
図6Cは、本発明の一部の実施形態にしたがった、複数のRF電力供給接続モジュール629のうちの1つの縦断面図である。一部の実施形態では、RF電力供給接続モジュール629は、各自、下方支持構造109と静電チャック107A内の露出埋め込み導電性セグメント403との間に伸びる第1の電気的接続部401を含み、露出埋め込み導電性セグメント403の一部分403Aは、静電チャック107Aの底側に露出している。
図4に関して前述されたように、第1の電気的接続部401は、一部の実施形態では、導電性のピン407によって形成できる。或いは、その他の実施形態では、第1の電気的接続部401は、下方支持構造109と露出埋め込み導電性セグメント403との間に伸びるろう付けされた又ははんだ付けされた接続部によって形成できる。
【0057】
RF電力供給接続モジュール629は、各自、露出埋め込み導電性セグメント403から静電チャック107Aを経て主要RF電力供給電極203に至る第2の電気的接続部621も含む。第2の電気的接続部621は、静電チャック107Aを通って露出埋め込み導電性セグメント403から周辺RF電力供給電極609に伸びる下方電気的接続部623を含む。第2の電気的接続部621は、また、静電チャック107Aを通って周辺RF電力供給電極609から主要RF電力供給電極203に伸びる上方電気的接続部625も含む。下方電気的接続部623は、
図4の第2の電気的接続部405に関して論じられたのと同様に、幾つかの内部埋め込み導電性セグメント411と垂直導電性構造413とを使用して形成できる。
図6Cの例では、内部埋め込み導電性セグメント411のうちの1つと、2つの垂直導電性構造413とが、露出埋め込み導電性セグメント403から周辺RF電力供給電極609に伸びる下方電気的接続部623を形成するために使用される。同様に、上方電気的接続部625も、
図4の第2の電気的接続部405に関して論じられたのと同様に、幾つかの内部埋め込み導電性セグメント411と垂直導電性構造413とを使用して形成できる。
図6Cの例では、3つの内部埋め込み導電性セグメント411と、4つの垂直導電性構造413とが、周辺RF電力供給電極609から主要RF電力供給電極203に伸びる上方電気的接続部625を形成するために使用される。
【0058】
図6Cに示されるような一部の実施形態では、RF信号は、周辺RF電力供給電極609を通じて主要RF電力供給電極203に伝送される。しかしながら、その他の実施形態では、RF信号は、初めに主要RF電力供給電極203に、次いで主要RF電力供給電極203を経て周辺RF電力供給電極609に伝送できる。また、一部の実施形態では、RF信号は、初めに主要RF電力供給電極203を経ることなく下方支持構造109から周辺RF電力供給電極609に伝送でき、また、RF信号は、初めに周辺RF電力供給電極609を経ることなく下方支持構造109から主要RF電力供給電極203に伝送できる。
【0059】
また、一部の実施形態では、周辺RF電力供給電極609は、主要RF電力供給電極203から、静電チャック107Aセラミックの一部分が両者の間の絶縁体として機能することによって電気的に絶縁できる。これらの実施形態では、周辺RF電力供給電極609及び主要RF電力供給電極203は、下方支持構造109から直接的にRF信号を受信するために、それぞれ独立に接続できる。また、この構成では、一部の実施形態では、静電チャック107Aの基板105支持中央領域601に送られるRF電流に対して静電チャック107Aの周縁に送られるRF電流を独立に制御可能にするために、周辺RF電力供給電極609及び主要RF電力供給電極203の各自へのRF信号伝送経路が、それぞれ独立に制御できる。したがって、各種の実施形態では、周辺RF電力供給電極609及び主要RF電力供給電極203の両方を有することで、周辺RF電力供給電極609では更なるRF信号周波数の適用が可能であるのに対して主要RF電力供給電極203ではそうでないように、及び主要RF電力供給電極203では更なるRF信号周波数の適用が可能であるのに対して周辺RF電力供給電極609ではそうではないようにし、そうして、基板105の縁の処理における操作上の柔軟性を高めることができる。
【0060】
図6Dは、本発明の一部の実施形態にしたがった、複数のRF電力供給接続モジュール629のうちの1つの縦断面図であり、ここでは、独立に制御されたRF信号が、それぞれに複数のRF電力供給接続モジュール629及び下方支持構造109に伝送できるように、第1の電気的接続部401が、下方支持構造109から電気的に絶縁されている。
図6Dの例では、導電性のピン407の基部構造409は、それが下方支持構造109から電気的に絶縁されるように、誘電体スリーブなどとしての電気絶縁部材410内に配置される。導電性のピン407の基部構造409は、適切なインピーダンス整合回路構成によって、RF電力源412に接続される。この構成では、RF電力源412によって生成されるRF信号が、下方支持構造109を経て伝わるのではなく、基部構造409に、そして基部構造409から導電性のピン407に、そして導電性のピン407から露出埋め込み導電性セグメント403に伝わる。一部の実施形態では、RF電力源412は、RF電力源412から導電性のピン407の基部構造409に伝送されるRF信号がRF制御モジュール165によって制御されるように、RF制御モジュール165に接続される。
【0061】
図1に戻り、システムは、また、主要RF電力供給電極203にかかる電圧(V1)を測定するように接続された第1の電圧センサ161と、1つ又は複数のクランプ電極201にかかる電圧(V2)を測定するように接続された第2の電圧センサ163とを含むことができる。第1の電圧センサ161及び第2の電圧センサ163は、下方支持構造109から主要RF電力供給電極203にRF信号を送るために使用される接続部とは別個に画定及び配置される。第1の電圧センサ161及び第2の電圧センサ163は、各自、そのそれぞれの測定された電圧V1及びV2を示す信号をRF制御モジュール165に伝送するように接続される。RF制御モジュール165は、主要RF電力供給電極203から静電チャック107の上面を経るRF電流伝送の量を、主要RF電力供給電極203にかかる測定された電圧V1、1つ又は複数のクランプ電極201にかかる測定された電圧V2、及び主要RF電力供給電極203と1つ又は複数のクランプ電極201との間の電気容量Cを使用して決定するように構成される。また、一部の実施形態では、RF制御モジュール165は、更に、主要RF電力供給電極203から静電チャック107の上面を経るものとして決定されたRF電流伝送の量に基づいてRF電力源129を閉ループフィードバック方式で制御して、静電チャック107の上面を通じて既定の量のRF電流を送るために、接続部166を通じてRF電力源129に制御信号を伝送するように構成される。また、一部の実施形態では、RF制御モジュール165は、更に、RF電力源129を閉ループフィードバック方式で制御して、基板105上に存在する電圧を制御するために、接続部166を通じてRF電力源129に制御信号を伝送するように構成される。また、一部の実施形態では、RF制御モジュール165は、更に、RF電力源129を閉ループフィードバック方式で制御して、静電チャック107の上面を通じて伝送されるRF電力の量を位相を考慮して制御するために、接続部166を通じてRF電力源129に制御信号を伝送するように構成される。
【0062】
主要RF電力供給電極203と1つ又は複数のクランプ電極201との間の容量(C)は、静電チャック107のセラミック材料の誘電率と、主要RF電力供給電極203及び1つ又は複数のクランプ電極201の幾何学形状とに基づいて測定又は計算できる。主要RF電力供給電極203と1つ又は複数のクランプ電極201との間の容量(C)が決定されると、次いで、その量(2×π×f×C)の逆数、即ちX
C=1/(2πfC)として、主要RF電力供給電極203と1つ又は複数のクランプ電極201との間の静電チャック107のセラミック材料のリアクタンス(X
C)が決定できる。ここで、周波数fは、Hzを単位とし、容量Cは、ファラッドを単位とする。次いで、主要RF電力供給電極203と1つ又は複数のクランプ電極201との間の、測定された電圧差(|V1−V2|を、静電チャック107のセラミック材料の、決定されたリアクタンス(X
C)で割ることによって、主要RF電力供給電極203から1つ又は複数のクランプ電極201に伝送されているリアルタイムRF電流(I)が決定できる。リアルタイムRF電流(I)は、基板105を経てプラズマ処理領域119内に流れ出すRF電流を表している。また、リアルタイムRF電流(I)は、主要RF電力供給電極203及び1つ又は複数のクランプ電極201にかかる測定された電圧に基づくので、プラズマ処理チャンバ101内で静電チャック107に対して周縁の構造に沿って流れる寄生RF電流によって歪められないことがわかる。また、いかなる少量の残留寄生電流損失も、較正及び補償によって打ち消せる。
【0063】
反対に、基準接地電位125近くの下流で測定されるRF電流は、プラズマ処理領域119を通って流れるRF電流と、チャンバ101内で周縁構造に沿って流れる寄生RF電流とを含む。また、低密度プラズマ133の場合は、寄生RF電流が、基準接地電位125近くの下流で測定されるRF電流を占有している。したがって、基準接地電位125近くの下流でRF電流を測定すると、低密度プラズマ133工程の場合は特に、プラズマ処理領域119を通って流れるRF電流のみを高い信頼度で測定することができないだろう。しかしながら、主要RF電力供給電極203にかかる測定された電圧V1、1つ又は複数のクランプ電極201にかかる測定された電圧V2、及び主要RF電力供給電極203と1つ又は複数のクランプ電極201との間の電気容量Cを使用して、主要RF電力供給電極203から静電チャック107の上面を経てプラズマ処理領域119内に至るRF電流伝送の量を決定するための、上述された方法は、基準接地電位125近くの下流でRF電流を測定する代わりに使用できる。
【0064】
図7は、本発明の一部の実施形態にしたがった、プラズマ処理工程におけるRF電流伝送を決定するための方法を示したフローチャートである。方法は、静電チャック(107/107A)内で主要RF電力供給電極(203)にRF電力を伝送するための動作701を含む。主要RF電力供給電極(203)は、静電チャック(107/107A)のセラミック内で、静電チャック(107/107A)の上面に実質的に平行な向きで位置決めされる。静電チャック(107/107A)の上面は、基板(105)を支持するように構成された区域を含む。主要RF電力供給電極(203)は、静電チャック(107/107A)の、主要RF電力供給電極(203)と1つ又は複数のクランプ電極(201)との間の領域が他の導電性材料を実質的に含まないように、静電チャック(107/107A)内で、1つ又は複数のクランプ電極(201)の垂直方向下方の位置に位置決めされる。主要RF電力供給電極(203)及び1つ又は複数のクランプ電極(201)は、各自、静電チャック(107/107A)の上面の、基板(105)を支持するように構成された区域の下の全区域に少なくとも及ぶために、それぞれ静電チャック(107/107A)内で水平方向に広がるように構成される。静電チャック(107/107A)内で主要RF電力供給電極(203)にRF電力を伝送するための動作701は、RF信号が、下方支持構造(109)から、静電チャック(107/107A)の周辺に実質的に均一に分布された複数のRF電力供給接続モジュール(209/629)に進むように、及びRF信号が、複数のRF電力供給接続モジュール(209/629)のそれぞれの位置で、複数のRF電力供給接続モジュール(209/629)のそれぞれを通じて主要RF電力供給電極(203)に進むように、静電チャック(107/107A)の下方支持構造(109)にRF信号を伝送することを含むことができる。
【0065】
方法は、また、主要RF電力供給電極(203)と1つ又は複数のクランプ電極(201)との間の電気容量(C)を決定するための動作703も含む。方法は、また、主要RF電力供給電極(203)にかかる電圧(V1)を測定するための動作705も含む。方法は、また、1つ又は複数のクランプ電極(201)にかかる電圧(V2)を測定するための動作707も含む。方法は、また、主要RF電力供給電極(203)から静電チャック(107/107A)の上面を経るRF電流(I)伝送の量を、主要RF電力供給電極(203)と1つ又は複数のクランプ電極(201)との間の決定された電気容量(C)、主要RF電力供給電極(203)にかかる測定された電圧(V1)、及び1つ又は複数のクランプ電極(201)にかかる測定された電圧(V2)を使用して決定するための動作709も含む。主要RF電力供給電極(203)から静電チャック(107/107A)の上面を経るRF電流(I)伝送の量を決定するための動作709は、主要RF電力供給電極(203)にかかる測定された電圧(V1)と、1つ又は複数のクランプ電極(201)にかかる測定された電圧(V2)との間の差に、主要RF電力供給電極(203)と1つ又は複数のクランプ電極(201)との間の決定された電気容量(C)を乗じることを含む。
【0066】
静電チャック107/107A内で基板105の近くに、主要RF電力供給電極203にかかる電圧(V1)を測定するように接続された第1の電圧センサ161及び1つ又は複数のクランプ電極201にかかる電圧(V2)を測定するように接続された第2の電圧センサ163に関係付けられたものなどの電圧監視回路構成を組み入れることによって、又はその目的のための少なくともピックアップ電極及び接続部を、静電チャック107/107A構造の内部に組み入れることによって、静電チャック107/107Aからプラズマ処理領域119に伝送されるRF電流の、より正確なユースポイントブロードバンド測定を得ることが可能である。プラズマ処理領域119に流れ込むRF電流のユースポイントブロードバンド測定は、診断、監視、及び/又は制御の目的に使用できる。例えば、プラズマ処理領域119に流れ込むRF電流のユースポイントブロードバンド測定は、プラズマ処理領域119内に伝送されるRF電流のリアルタイム閉ループフィードバック制御などの制御戦略を実現するために、RF制御モジュール165内などの外部回路構成を通じて処理できる。また、ユースポイントにおける、即ち基板105支持区域の近くにおける、RF電圧及びRF電流の位相の十分に正確な解明によって、制御の目的で、ユースポイントにおける供給ブロードバンドRF電力が決定及び随意に使用できる。
【0067】
静電チャック107/107A内の、少なくとも2つの位置(基板105支持場所の近くの、主要RF電力供給電極203上の位置、及び1つ又は複数のクランプ電極201上の位置など)の間の電圧差を測定することによって、並びにこれらの少なくとも2つの位置の間のインピーダンス(リアクタンス)を知ることによって、特殊な電流測定ハードウェアを実装することなしに、これらの少なくとも2つの位置の間を流れるRF電流を決定することが可能である。そして、電圧測定は、静電チャック107/107A内の、基板105支持場所の近くの高い場所で成されるので、数あるなかでも特に周囲セラミック絶縁リングによって提示される並列浮遊容量などの、周囲支持構造によって提示される並列浮遊容量内を流れる寄生RF電流に対して相対的に耐性がある。電圧測定の、これらの寄生RF電流対する相対的耐性は、静電チャック107/107Aからプラズマ処理領域119に伝送されるRF電流のユースポイントブロードバンド測定が実質的に、基板105に流れる及び基板105を通って流れるRF電流のみを表すという、大きな利点を提供する。次いで、基板105を通じて静電チャック107/107Aからプラズマ処理領域119に流れるRF電流を知ることによって、及び基板105の容量を知ることによって、基板105にかかる電圧を決定することが可能である。そして、前述のように、RF制御モジュール165は、RF電力源129を閉ループフィードバック方式で制御して、基板105にかかる電圧、基板105を通じて伝送されるRF電流、及び基板105を通じて伝送されるRF電力のうちの1つ以上を制御するために、接続部166を通じてRF電力源129に制御信号を伝送するように動作させることができる。
【0068】
図8は、本発明の一部の実施形態にしたがった、静電チャック(107/107A)を製造するための方法を示したフローチャートである。方法は、基板(105)を支持するように構成された区域を含む上面を有する静電チャック(107/107A)のセラミックアセンブリを形成するための動作801を含む。動作801は、1つ以上の1つ又は複数のクランプ電極(201)を、セラミックアセンブリの、1つ又は複数のクランプ電極(201)とセラミックアセンブリの上面との間の領域が他の導電性材料を実質的に含まないように、セラミックアセンブリ内で、セラミックアセンブリの上面に実質的に平行な向きで且つセラミックアセンブリ内の上方の位置に位置決めすることを含む。動作801は、主要RF電力供給電極(203)を、セラミックアセンブリの、主要RF電力供給電極(203)と1つ又は複数のクランプ電極(201)との間の領域が他の導電性材料を実質的に含まないように、セラミックアセンブリ内で、セラミックアセンブリの上面に実質的に平行な向きで且つ1つ又は複数のクランプ電極(201)の垂直方向下方の位置に位置決めすることを含む。主要RF電力供給電極(203)は、セラミックアセンブリの上面の、基板(105)を支持するように構成された区域の下の全区域に少なくとも及ぶために、セラミックアセンブリ内で水平方向に広がるように構成される。動作801は、複数のRF電力供給接続モジュール(209/629)を、セラミックアセンブリの周辺に実質的に均一に分布されるように位置決めすることを含む。複数のRF電力供給接続モジュール(209/629)は、各自、そのそれぞれの位置で下方支持構造(109)から主要RF電力供給電極(203)へのRF電力伝送経路を形成するために、そのそれぞれの位置で下方支持構造(109)から主要RF電力供給電極(203)への電気的接続を形成するように構成される。
【0069】
方法は、また、セラミックアセンブリを下方支持構造(109)に取り付けるための動作803を含む。下方支持構造(109)は、導電性材料で形成される。下方支持構造(109)は、底面部材(109B)と、該底面部材(109B)から上向きに伸びる環状壁部材(109C)とで形成されるボール形状を有する。セラミックアセンブリは、セラミックアセンブリの底面の外周領域が下方支持構造(109)の環状壁部材(109C)の上面によって支持されて、下方支持構造(109)の内部領域がセラミックアセンブリの底面の一部分に露出するように、下方支持構造(109)に取り付けられる。
【0070】
本書で論じられるように、下方支持構造109、複数のRF電力供給接続モジュール209/629、及び主要RF電力供給電極203は、全体で、静電チャック107/107Aの底面と主要RF電力供給電極203との間に存在する静電チャック107の内部空間の周りに、及び複数のRF電力供給接続モジュール209/629が沿って配置される静電チャック107/107Aの周部内にRF電力伝送を方向付けるための、ファラデーケージを形成する。このファラデーケージが、静電チャック107/107Aの内部領域の周りにRF電流を伝える働きをすることによって、静電チャック107/107Aの内部領域内の内部コンポーネント及び回路構成が、RF誘起損傷から保護される。また、ファラデーケージ構成は、静電チャック107/107Aの上方領域に均一にRF信号を送る働きをし、これは、基板105の全域にわたってプラズマ密度をより均一にする。また、ファラデーケージ構成では、主要RF電力供給電極203は、静電チャック107/107Aの上面の近くに位置するので、例えば2MHzから小さくは400kHz又はそれ未満などの低周波数RF信号を、高い信頼度でプラズマ処理領域119に送ることが可能である。また、低周波数RF信号は、静電チャック107/107Aの内部領域の周りに伝送されるので、静電チャック107/107Aの内部領域内における寄生放電の可能性が、大幅に低減される。
【0071】
以上の実施形態は、理解を明確にする目的で幾分詳細に説明されてきたが、添付の特許請求の範囲内で、或る種の変更及び修正がなされえることが明らかである。したがって、これらの実施形態は、例示的であって限定的ではないと見なされ、本発明は、本明細書で与えられた詳細に限定されず、説明された実施形態の範囲内及び均等物の範囲内で変更されてよい。