特許第6976310号(P6976310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6976310導電性フィルム、3次元形状を有する導電性フィルムおよびその製造方法、延伸フィルムの製造方法、タッチセンサーフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976310
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】導電性フィルム、3次元形状を有する導電性フィルムおよびその製造方法、延伸フィルムの製造方法、タッチセンサーフィルム
(51)【国際特許分類】
   H01B 5/14 20060101AFI20211125BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20211125BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20211125BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   H01B5/14 B
   H01B5/14 A
   H01B13/00 503D
   H01B13/00 503B
   B32B27/18 J
   G06F3/041 495
   G06F3/041 660
【請求項の数】16
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2019-501170(P2019-501170)
(86)(22)【出願日】2018年1月30日
(86)【国際出願番号】JP2018003045
(87)【国際公開番号】WO2018155106
(87)【国際公開日】20180830
【審査請求日】2019年8月6日
(31)【優先権主張番号】特願2017-31005(P2017-31005)
(32)【優先日】2017年2月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(72)【発明者】
【氏名】中平 真一
(72)【発明者】
【氏名】石井 陽大
(72)【発明者】
【氏名】舩津 景勝
【審査官】 須藤 竜也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−345899(JP,A)
【文献】 特開2015−178595(JP,A)
【文献】 国際公開第2017/057640(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/208371(WO,A1)
【文献】 特開2016−136455(JP,A)
【文献】 特開2016−122517(JP,A)
【文献】 特開2009−009860(JP,A)
【文献】 特開2016−027137(JP,A)
【文献】 特開2013−246741(JP,A)
【文献】 特開2014−006865(JP,A)
【文献】 特開2014−119984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 1/02−1/24
H01B 5/00−5/16
H01B 13/00
B32B 27/18
G06F 3/03
G06F 3/041−3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
前記支持体上に配置され、パターン形成された細線状の導電部と、を有する導電性フィルムの製造方法であって、
導電性成分およびバインダーを用いて、前記支持体上に前記パターン形成された細線状の導電部を作製する工程を有し、
前記導電性成分を構成する材料が金属であり、
前記バインダーは主成分として熱可塑性樹脂を含有し、
前記熱可塑性樹脂のゲル分率が70%以上であり、
前記熱可塑性樹脂の含水率が3%以下である、導電性フィルムの製造方法。
ただし、前記導電部を作製する工程において、前記熱可塑性樹脂および分散剤を含むラテックスを用いた場合には、前記熱可塑性樹脂のゲル分率は、前記ラテックスの塗膜を乾燥して得られる膜のゲル分率であり、前記熱可塑性樹脂の含水率は、前記ラテックスの塗膜を乾燥して得られる膜を、温度23℃、相対湿度50%RH下で24時間保持した後の含水率である。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂が架橋構造を有する、請求項1に記載の導電性フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記架橋構造が、シランカップリング剤に由来する架橋構造、及び、1分子中にエチレン性不飽和基を2個以上有するモノマーに由来する架橋構造からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項2に記載の導電性フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記架橋構造が、シランカップリング剤に由来する架橋構造である、請求項2または3に記載の導電性フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記導電部における、前記バインダーの体積に対する前記導電性成分の体積の比が、0.2〜2.0である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の導電性フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記熱可塑性樹脂が、アクリル系樹脂またはメタクリル系樹脂である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の導電性フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記導電部を作製する工程において、前記支持体の両面に前記導電部を作製し、前記導電部が前記支持体の両面上に配置される導電性フィルムを得る、請求項1〜6のいずれか1項に記載の導電性フィルムの製造方法。
【請求項8】
前記支持体のガラス転移温度が120℃以上である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の導電性フィルムの製造方法。
【請求項9】
前記支持体が、環状オレフィン系樹脂を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の導電性フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記導電部上に粘着層を形成する工程をさらに有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の導電性フィルムの製造方法。
【請求項11】
前記粘着層上に保護基板を形成する工程をさらに有する、請求項10に記載の導電性フィルム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法で製造された導電性フィルムを変形させて、3次元形状を有する導電性フィルムを得る工程Xを有する、3次元形状を有する導電性フィルムの製造方法。
【請求項13】
前記工程Xの前に、70℃以上の温度にて前記導電性フィルムを加熱する工程Yを有する、請求項12に記載の3次元形状を有する導電性フィルムの製造方法。
【請求項14】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の製造方法で製造された導電性フィルムを一軸延伸または二軸延伸して、延伸フィルムを得る工程Zを有する、延伸フィルムの製造方法。
【請求項15】
前記3次元形状が曲面を含む、請求項12または13に記載の3次元形状を有する導電性フィルムの製造方法。
【請求項16】
請求項12、13および15のいずれか1項に記載の3次元形状を有する導電性フィルムの製造方法であって、
前記導電部が、検知用電極および/または引き出し配線であり、
前記3次元形状を有する導電性フィルムがタッチセンサーフィルムである、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、導電性部材に係り、特に、導電性フィルム、および、3次元形状を有する導電性フィルムを含むタッチセンサーフィルムに関する。
また、この発明は、3次元形状を有する導電性フィルムおよびその製造方法、延伸フィルムおよび、延伸フィルムの製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯情報機器などの電子機器において、画面に接触することにより電子機器への入力操作を行うタッチパネルの普及が進んでいる。
このようなタッチパネル中にはタッチセンサーフィルムが含まれており、タッチセンサーフィルムは基板上に導電部が配置された導電性フィルムより構成される。
近年、種々の導電性フィルムが提供されており、例えば、特許文献1においては、支持体と、支持体上に配置され、金属銀および樹脂バインダーを含有する導電部とを有する導電シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−112512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、上記のようなタッチパネルを搭載する機器の操作性をより高めるために、タッチ面が曲面など3次元形状であるタッチパネルが提案されている。
本発明者らは、特許文献1に記載される導電性フィルムを変形させて3次元形状を付与しようとしたところ、変形された導電性フィルムにおいては導電部にて断線が生じ、導電性が低下してしまうことを知見した。
また、通常、3次元形状を有する導電性フィルム中の導電部上には粘着層などの他の層が配置される場合が多く、導電部に隣接して配置される隣接層の密着性が優れることも求められる。
【0005】
本発明は、上記実情を鑑みて、変形時にも導電部の断線が生じにくく、かつ、粘着層など導電部に隣接して配置される層の密着性にも優れる導電性フィルムを提供することを課題とする。
また、本発明は、上記導電性フィルムを用いた3次元形状を有する導電性フィルムの製造方法、延伸フィルムの製造方法、および、3次元形状を有する導電性フィルムを提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、以下の構成により上記課題が解決できることを見出した。
【0007】
(1) 支持体と、
支持体上に配置され、導電性成分およびバインダーを含有する導電部と、を有し、
バインダーは樹脂を含有し、
樹脂のゲル分率が70%以上であり、
樹脂の含水率が3%以下である、導電性フィルム。
(2) 樹脂が架橋構造を有する、(1)に記載の導電性フィルム。
(3) 導電部における、バインダーの体積に対する導電性成分の体積の比が、0.2〜2.0である、(1)または(2)に記載の導電性フィルム。
(4) 樹脂が、アクリル系樹脂またはメタクリル系樹脂である、(1)〜(3)のいずれかに記載の導電性フィルム。
(5) 導電部が支持体の両面上に配置される、(1)〜(4)のいずれかに記載の導電性フィルム。
(6) 支持体のガラス転移温度が120℃以上である、(1)〜(5)のいずれかに記載の導電性フィルム。
(7) 支持体が、環状オレフィン系樹脂を含む、(1)〜(6)のいずれかに記載の導電性フィルム。
(8) 導電部上に配置された粘着層をさらに有する、(1)〜(7)のいずれかに記載の導電性フィルム。
(9) 粘着層上に配置された保護基板をさらに有する、(8)に記載の導電性フィルム。
(10) (1)〜(9)のいずれかに記載の導電性フィルムを変形させて、3次元形状を有する導電性フィルムを得る工程Xを有する、3次元形状を有する導電性フィルムの製造方法。
(11) 工程Xの前に、70℃以上の温度にて導電性フィルムを加熱する工程Yを有する、(10)に記載の3次元形状を有する導電性フィルムの製造方法。
(12) (1)〜(9)のいずれかに記載の導電性フィルムを一軸延伸または二軸延伸して、延伸フィルムを得る工程Zを有する、延伸フィルムの製造方法。
(13) (10)〜(12)のいずれかに記載の方法によって得られた導電性フィルムを含む、タッチセンサーフィルム。
(14) 3次元形状を有する支持体と、
支持体上に配置され、導電性成分およびバインダーを含有する導電部と、を有し、
バインダーは樹脂を含有し、
樹脂のゲル分率が70%以上であり、
樹脂の含水率が3%以下である、3次元形状を有する導電性フィルム。
(15) 3次元形状が曲面を含む、(14)に記載の3次元形状を有する導電性フィルム。
(16) (14)または(15)に記載の3次元形状を有する導電性フィルムを含むタッチセンサーフィルム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、変形時にも導電部の断線が生じにくく、かつ、粘着層など導電部に隣接して配置される層の密着性にも優れる導電性部材を提供することができる。
また、本発明によれば、導電性フィルムおよびこれを用いた3次元形状を有する導電性フィルムの製造方法、延伸フィルムの製造方法、および、3次元形状を有する導電性フィルムを提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】導電性部材の一実施形態の断面図である。
図2】導電性細線により形成される導電部の一実施形態を示す平面図である。
図3】導電性部材の他の実施形態の断面図である。
図4】導電性部材の他の実施形態の断面図である。
図5】3次元形状を有する導電性フィルムの一実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態および具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に制限されるものではない。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。また、本発明における図は発明の理解を容易にするための模式図であり、各層の厚みの関係または位置関係などは必ずしも実際のものとは一致しない。
なお、(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリルを意図する。(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートを意図する。(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を意図する。
【0011】
導電性部材の特徴点としては、導電部が所定の特性を有する樹脂を含む点が挙げられる。
【0012】
以下、導電性部材の好適形態について図面を参照して説明する。
図1に、導電性部材の一実施形態の断面図を示す。導電性フィルム10は、支持体12と、複数の細線状の導電部(以後、導電性細線とも称する)14とを備える。なお、図1においては、導電部は細線状であるがこの形態に制限されず、種々のパターン状であってもよく、いわゆるベタ膜であってもよい。
以下に、導電性フィルム10を構成する各部材について詳述する。
【0013】
[支持体]
支持体としては、導電部を支持することができれば制限されず、絶縁性支持体が好ましい。また、支持体としては、いわゆる可撓性支持体が好ましく、絶縁性の可撓性支持体がより好ましい。
支持体を構成する材料としては、樹脂が好ましい。樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、および、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)、および、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、および、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、環状オレフィン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリスチレン、ならびに、EVA(Ethylene-vinyl acetate)などが挙げられる。
なお、環状オレフィン系樹脂としては、例えば、環状オレフィン構造単位のみを含む単独重合体(シクロオレフィンポリマー(COP)ともいう)、および、環状オレフィン構造単位と他の構造単位との共重合体(環状オレフィン共重合体、シクロオレフィンコポリマー(COC)ともいう)が挙げられる。
【0014】
導電性フィルムに高い透過性が要求される場合、支持体の全可視光透過率は70〜100%が好ましく、85〜100%がより好ましく、90〜100%がさらに好ましい。
支持体を構成する材料としては、成形性および加工性の観点からは、PET、PC、または、環状オレフィン系樹脂が好ましく、環状オレフィン系樹脂がより好ましい。
【0015】
支持体は、着色されていてもよい。
上記支持体は、単層で用いることもできるが、2層以上を組み合わせた積層体として用いることもできる。
支持体の厚みは特に制限されないが、タッチセンサーフィルムまたは電磁波シールドなどへの応用の点からは、通常、5〜500μmの範囲で任意に選択することができる。なお、支持体の機能の他にタッチ面の機能をも兼ねる場合は、500μmを超えた厚みで設計することも可能である。
【0016】
支持体の表面上には、下塗り層がさらに配置されていてもよい。この下塗り層上に感光性層が形成されることにより、後述する導電部の密着性がより向上する。
下塗り層を構成する材料は特に制限されないが、例えば、所定の特性(ゲル分率および含水率)を有する樹脂が挙げられる。
下塗り層の形成方法は特に制限されないが、例えば、下塗り層形成用組成物を支持体上に塗布して、必要に応じて加熱処理を施す方法が挙げられる。
下塗り層の厚みは特に制限されないが、導電部の密着性がより優れる点で、0.02〜5μmが好ましく、0.03〜3μmがより好ましい。
【0017】
[導電性細線]
導電性細線は、細線状の導電部であり、上記支持体上に設けられる。導電性細線には、導電性成分およびバインダーが含有される。なお、図1において、導電性細線14は支持体12の一方の表面上にのみ配置されているがこの形態には制限されない。図4に示す導電性部材の他の態様のように、支持体12の両面に導電性細線14が配置されていてもよい。つまり、支持体の両面に導電部が配置されていてもよい。
また、導電性細線14の数は特に制限されない。
【0018】
導電性細線の線幅は特に制限されないが、30μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましく、9μm以下が特に好ましく、7μm以下が最も好ましく、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。上記範囲であれば、導電性細線を低抵抗の電極として好適に用いることができる。
導電性細線の厚みは特に制限されないが、0.01〜20μmが好ましく、0.01〜10μmがより好ましく、0.01〜5μmがさらに好ましく、0.5〜2μmが特に好ましい。上記範囲であれば、低抵抗で視認性に優れた電極を形成できる。
【0019】
導電性細線は所定のパターンを形成していてもよく、例えば、そのパターンは特に制限されず、正三角形、二等辺三角形、および、直角三角形などの三角形、四角形(例えば、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、および、台形など)、(正)六角形、(正)八角形などの(正)n角形、円、楕円、星形、ならびに、これらを組み合わせた幾何学図形であることが好ましく、メッシュ状(メッシュパターン)であることがより好ましい。
【0020】
メッシュ状とは、図2に示すように、交差する導電性細線14により構成される複数の開口部16を含んでいる形状が挙げられる。開口部16の一辺の長さWは特に制限されないが、1500μm以下が好ましく、1300μm以下がより好ましく、1000μm以下がさらに好ましく、5μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、80μm以上がさらに好ましい。
開口部の一辺の長さが上記範囲である場合には、導電性フィルムの透明性がより良好となる。
【0021】
図2において、開口部16は、略ひし形の形状を有しているが、他の形状であってもよい。例えば、多角形状(例えば、三角形、四角形、六角形、および、ランダムな多角形)としてもよい。また、一辺の形状を直線状の他、湾曲形状にしてもよいし、円弧状にしてもよい。円弧状とする場合は、例えば、対向する二辺については、外方に凸の円弧状とし、他の対向する二辺については、内方に凸の円弧状としてもよい。また、各辺の形状を、外方に凸の円弧と内方に凸の円弧が連続した波線形状としてもよい。もちろん、各辺の形状を、サイン曲線にしてもよい。
【0022】
可視光透過率の点から、導電性細線より形成されるメッシュパターンの開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。開口率とは、導電性細線がある領域を除いた支持体上の領域が全体に占める割合に相当する。
【0023】
導電性細線には、導電性成分が含まれる。導電性成分の形状は特に制限されず、例えば、粒子状が挙げられる。つまり、導電性成分は、導電性粒子であってもよい。
導電性成分を構成する材料は特に制限されず、例えば、金属が挙げられる。金属としては、銀、銅、ニッケル、パラジウム、金、白金、および、すずが挙げられ、金、銀または銅が好ましい。また、金属以外の導電性成分としては、グラフェン、導電性ポリマー、および、ITO(酸化インジウムスズ)などが挙げられる。
導電性成分が微粒子である場合、導電部の導電性がより向上するという点で、繊維状または平板状などの異方形状を有する微粒子も好ましく使用できる。
また、導電性成分が微粒子である場合、導電性細線中で微粒子の疎密分布が少ないことが導電性フィルムの変形の際に導電性細線の断線の発生を抑制でき好ましい。
【0024】
導電性細線には、バインダーが含まれる。
バインダーは、導電性細線中において導電性成分以外の成分を意図する。
バインダーは、樹脂(ポリマー)を含有し、通常、樹脂がバインダーの主成分を構成する。なお、上記主成分とは、バインダー全質量に対して樹脂の割合が80質量%以上であることを意図し、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。樹脂以外の成分としては、例えば、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、消泡剤、および、酸化防止剤などの機能性成分が挙げられる。このような機能性成分の含有量は特に制限されないが、バインダー全質量に対して、1質量%以上5質量%未満の場合が多い。
【0025】
樹脂のゲル分率は70%以上であり、80%以上が好ましく、90%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。上限は特に制限されないが、99%以下の場合が多く、98%以下の場合がより多い。
樹脂のゲル分率が上記の範囲にあることにより、導電性フィルムを変形加工(特に延伸)する際に、導電性細線の断線を抑制することが可能となる。導電性細線の断線を抑制するために求められる樹脂の特性として、導電性フィルムを延伸した際に樹脂自身を破断しにくくすることが重要と予想されたが、本発明者らが鋭意検討した結果、驚くべきことに、樹脂自身の破断のしやすさよりもむしろ樹脂のゲル分率の高さが重要であることを知見し、本発明を成すに到った。すなわち、破断の生じにくい樹脂であってもゲル分率が低いと導電性細線の断線が生じやすく、比較的破断のしやすい樹脂であっても、樹脂のゲル分率を高く設定することにより、導電性細線の断線が生じにくいという状況を作り出せることを知見した。樹脂のゲル分率が低い場合に導電性細線の断線が生じやすくなる理由は定かではないが、導電性フィルムの延伸の際、局所的にゲル分率が低い部分で樹脂の変形(特に延伸)が優先的に生じ、結果として断線が生じやすくなるためと推定される。
上記ゲル分率は、以下の手順に従って測定する。
測定対象である樹脂(約100mg)の試料を用意し、25℃にて24時間かけて真空乾燥を実施する。乾燥後の樹脂を予め質量を測定した400メッシュのステンレス金網に包み、乾燥後の樹脂の質量Waを求める。
次に、ステンレス金網で包んだ樹脂を酢酸エチル5ml中で25℃にて72時間静置して溶解成分を抽出する。その後、樹脂を取り出し、さらに5mlの酢酸エチルを加えて洗浄することを2回繰り返す。その後、洗浄された樹脂を25℃にて24時間乾燥し、乾燥後の樹脂の質量Wbを測定する。ゲル分率Rg(%)は次式で算出する。
Rg=(Wb/Wa)×100
なお、後述するように導電性細線(いわゆる導電部)を作製する際に、樹脂および分散剤を含むラテックスを用いた場合には、このラテックスを用いて得られる試料をゲル分率の測定対象とする。より具体的には、例えば、ラテックスを剥離性基材上に塗布して塗膜を形成して、必要に応じて、乾燥処理を実施して、得られる膜を測定対象として用いる。
【0026】
樹脂のゲル分率が上記範囲であれば、樹脂の破断伸度に制限はない。なかでも、破断伸度が極端に低いと樹脂自身のクラックにより断線が発生する可能性も起こり得るため、樹脂の破断伸度としては20%以上が好ましい。なお、上限値は特に制限されないが、300%以下の場合が多い。
上記破断伸度は、以下の手順に従って測定する。
測定対象である樹脂の膜(長さ70mm、幅5mm、膜厚100μm)を準備し、得られた膜を用いて、精密万能試験機オートグラフAGX−S((株)島津製作所製)にて、引っ張り試験を実施し、破断伸度を求める。引っ張り試験の条件は、チャック間距離50mm、引っ張り速度5mm/min、サンプル温度180℃で実施する。
なお、上記樹脂の膜の作製方法は特に制限されず、例えば、剥離性基材上に樹脂を塗布して塗膜を形成して、必要に応じて、乾燥処理を実施する方法が挙げられる。
また、上述したように、導電性細線(いわゆる導電部)を作製する際に、樹脂および分散剤を含むラテックスを用いた場合には、このラテックスを用いて得られる試料を破断伸度の測定対象とする。
【0027】
また、樹脂のゲル分率が上記範囲であれば、樹脂の硬さ(弾性率)に制限はない。なかでも、変形加工時にシワの発生および他層との延伸率の違いによる密着不良などが抑制され、かつ、意図しない変形またはブロッキングが生じることが抑制される点で、180℃における樹脂の貯蔵弾性率は、0.05〜100MPaが好ましく、0.08〜1MPaがより好ましい。
上記貯蔵弾性率は、以下の手順に従って測定する。
まず、測定対象である樹脂の膜(膜厚:40〜60μm)を作製する。次に、得られた膜を用いて、アイティ計測制御社製DVA−225型粘弾性試験機にて、引張りモード、温度50〜200℃、および、測定周波数1Hzの条件で測定を行い、180℃における貯蔵弾性率の値を読み取る。
また、上述したように、導電性細線(いわゆる導電部)を作製する際に、樹脂および分散剤を含むラテックスを用いた場合には、このラテックスを用いて得られる試料を貯蔵弾性率の測定対象とする。
これら破断伸度および貯蔵弾性率は、後述する導電性フィルムの好ましい変形加工温度の範囲において上記の範囲であることが望ましい。
【0028】
樹脂の含水率は、3%以下であり、導電性フィルム中の導電部に隣接する隣接層(例えば、粘着層)の密着性がより優れる点で、2.5%以下が好ましく、2%以下がより好ましく、1.5%以下がさらに好ましい。下限は特に制限されないが、0%が挙げられる。
上記樹脂の含水率の測定方法は、まず、測定対象である樹脂の膜(膜厚:50μm)を作製し、得られた膜を温度23℃、相対湿度50%RHの環境下にて24時間保持した後、カールフィッシャー水分計(京都電子工業(株)製カールフィッシャー水分計 MKC−610、水分気化装置ADP611)を用いて樹脂の含水率を測定する。
また、上述したように、導電性細線(いわゆる導電部)を作製する際に、樹脂および分散剤を含むラテックスを用いた場合には、このラテックスを用いて得られる試料を含水率の測定対象とする。
【0029】
樹脂のガラス転移温度は特に制限されないが、70℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましい。上記範囲内であれば、導電性フィルムの延伸性がより優れる。また、後述するようにラテックスを含む組成物を用いて導電部を形成する際に、加熱時にラテックスが造膜しやすく、透明性に優れる導電部が得られやすい。
なお、上記樹脂のガラス転移温度の下限は特に制限されないが、取り扱い性の点から、10℃以上が好ましい。
【0030】
樹脂の重量平均分子量は特に制限されず、10万〜1000万が好ましく、50万〜500万がより好ましい。
【0031】
樹脂は、上述したゲル分率および含水率が所定の範囲内であれば、その種類は特に制限されない。例えば、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、および、ポリアミド系樹脂などの熱可塑性樹脂、ならびに、ポリエステル−メラミン樹脂、メラミン樹脂、エポキシ−メラミン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、および、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂のいずれも使用できる。
なかでも、所定の特性を有する樹脂の合成が容易で、かつ、取り扱い性に優れる点で、アクリル系樹脂またはメタクリル系樹脂((メタ)アクリル系樹脂)が好ましい。
なお、上記(メタ)アクリル系樹脂とは、(メタ)アクリレートモノマーに由来する繰り返し単位を全繰り返し単位に対して50質量%超含む樹脂を意図する。(メタ)アクリル系樹脂には、(メタ)アクリレートモノマーに由来する繰り返し単位以外の他の繰り返し単位が含まれていてもよい。(メタ)アクリレートモノマーとは、(メタ)アクリロイル基を有するモノマーである。
【0032】
樹脂は、ゲル分率を本発明の範囲に制御するために、架橋構造を有することが好ましい。樹脂中に架橋構造を導入する方法は特に制限されず、例えば、多官能性のモノマーを用いて樹脂を製造する方法、および、樹脂中に架橋性基を導入し、樹脂間を架橋する方法が挙げられる。なお、樹脂間を架橋する際には、必要に応じて、シランカップリング剤を用いてもよい。
多官能性のモノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、および、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの1分子中にエチレン性不飽和基を2個以上有するモノマーが挙げられる。
樹脂中に架橋性基を導入する方法としては、架橋性基を有するモノマーを用いて樹脂を製造する方法がある。架橋性基を有するモノマーとしては、具体的には、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、および、ダイアセトン(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、および、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノ基含有モノマー;メトキシエチル(メタ)アクリレート、および、ブトキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシ基含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、および、グリシジルアリルエーテルなどのグリシジル基含有モノマー;、ならびに、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメトキシシラン、および、アクリロキシトリメトキシシランなどの加水分解可能なアルコキシ基を有するシラン系モノマーなどが挙げられる。なかでも、架橋効率に優れゲル分率を高めやすいという点で、シラン系モノマーを用いることが好ましい。
【0033】
樹脂には、以下の式(1)で表される繰り返し単位が含まれることが好ましい。樹脂に式(1)で表される繰り返し単位が含まれることにより、樹脂中に架橋構造が導入され、ガラス転移温度およびゲル分率が上昇する。
【0034】
【化1】
【0035】
式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基中の炭素数は特に制限されないが、1〜3が好ましく、1がより好ましい。
1は、それぞれ独立して、単結合、エステル基(−COO−)、アミド基(−CONH−)、または、フェニレン基を表す。Lは、エステル基であることが好ましい。
2は、2価の連結基を表す。2価の連結基の種類は特に制限されないが、例えば、2価の炭化水素基(2価の飽和炭化水素基であっても、2価の芳香族炭化水素基であってもよい。2価の飽和炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状であってもよく、炭素数1〜20であることが好ましく、例えば、アルキレン基が挙げられる。また、2価の芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20であることが好ましく、例えば、フェニレン基が挙げられる。それ以外にも、アルケニレン基、アルキニレン基であってもよい。)、2価の複素環基、−O−、−S−、−SO2−、−NRL−、−C(=O)−、−C(=O)O−、−C(=O)NRL−、−SO3−、−SO2NRL−、または、これらを2種以上組み合わせた基(例えば、アルキレンオキシ基、アルキレンオキシカルボニル基、アルキレンカルボニルオキシ基など)が挙げられる。ここで、RLは、水素原子またはアルキル基(好ましくは炭素数1〜10)を表す。
【0036】
式(1)で表される繰り返し単位の含有量は特に制限されないが、所定の特性を有する樹脂が得られやすい点で、樹脂に含まれる全繰り返し単位に対して、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜5質量%がより好ましい。
【0037】
樹脂には、式(2)で表される繰り返し単位が含まれることが好ましい。
【0038】
【化2】
【0039】
式(2)中、R3は水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、または−CH2COOR10を表す。アルキル基中の炭素数は特に制限されないが、1〜3が好ましく、1がより好ましい。R10は、水素原子または炭素数1〜80のアルキル基を表す。
4は、アルキル基、アルケニル基、または、アルキニル基を表す。R4に含まれる炭素数は特に制限されないが、1〜80が好ましく、1〜50がより好ましく、1〜30がさらに好ましく、1〜20が特に好ましい。
式(2)で表される繰り返し単位としては1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。例えば、R4が炭素数1〜3の、アルキル基、アルケニル基、または、アルキニル基を表す繰り返し単位と、R4が炭素数4〜80の、アルキル基、アルケニル基、または、アルキニル基を表す繰り返し単位とを併用することが好ましい。
式(2)で表される繰り返し単位の含有量は特に制限されないが、樹脂に含まれる全繰り返し単位に対して、0.5〜95質量%が好ましい。
【0040】
樹脂には、式(3)で表される繰り返し単位、および/または、式(4)で表される繰り返し単位が含まれていてもよい。
【0041】
【化3】
【0042】
式(3)中、R5は、メチル基またはハロゲン原子を表す。なかでも、メチル基、塩素原子、または、臭素原子が好ましい。pは0〜2の整数を表し、0または1が好ましく、0がより好ましい。
式(4)中、R6は、水素原子またはメチル基を表し、好ましくは水素原子を表す。
qは0または1を表し、0が好ましい。
3は、2価の連結基を表し、好ましくは式(5)で表される基である。
式(5):−(CO−X1−X2
式(5)中、X1は、酸素原子または−NR11−を表す。ここでR11は、水素原子、アルキル基、アリール基、またはアシル基を表し、それぞれ置換基を有してもよい。R11としては、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、または、アシル基が好ましい。X1としては、酸素原子または−NH−が好ましい。
2は、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンアリーレン基、アリーレンアルキレン基、または、アルキレンアリーレンアルキレン基を表し、これらの基には−O−、−S−、−OCO−、−CO−、−COO−、−NH−、−SO2−、−N(R12)−、または、−N(R12)SO2−などが途中に挿入されてもよい。R12は炭素数1〜6の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基を表す。
rは0または1を表す。
【0043】
式(3)で表される繰り返し単位の含有量は特に制限されないが、樹脂に含まれる全繰り返し単位に対して、3〜60質量%が好ましく、3〜50質量%がより好ましく、3〜40質量%がさらに好ましい。
式(4)で表される繰り返し単位の含有量は特に制限されないが、樹脂に含まれる全繰り返し単位に対して、0.5〜25質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜20質量%がさらに好ましい。
【0044】
上記樹脂には、上述した繰り返し単位以外の繰り返し単位(例えば、水酸基を有する繰り返し単位)などが含まれていてもよい。
上記樹脂は、例えば、特許第3305459号および特許第3754745号などを参照して合成することができる。
また、上記樹脂が水中に粒子状に分散したラテックスを製造する際には、一般的な乳化重合法、または、懸濁重合法を採用することができる。
【0045】
導電性細線(導電部に該当)における、バインダーの体積に対する導電性成分の体積の比(導電性成分の体積/バインダーの体積)は特に制限されないが、導電性細線の導電性がより優れる点から、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましく、0.5以上が特に好ましい。また、上限は特に制限されないが、導電性細線の延伸性の点から、4.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、1.5以下がさらに好ましく、1.0以下が特に好ましい。なお、導電性フィルムの延伸形状に応じて、部分的に延伸を実施しない、または、延伸率が低い部分が導電性フィルム中にある場合には、導電性フィルム中の該当部分の導電性細線において上記比(導電性成分の体積/バインダーの体積)は4以上であっても構わない。
なお、上記バインダーの体積および導電性成分の体積の測定方法は特に制限されないが、以下のように求めることが可能である。まず、支持体上に占める導電性細線の面積比率を、光学顕微鏡観察により求める。次に、支持体上における導電性成分の塗布量を求め、得られた数値に先に求めた導電性細線の面積比率で除し、導電性細線部分における導電性成分の塗布量(g/m2)を求める。得られた数値を導電性成分の密度で除し、導電性細線中における導電性成分の体積(m3/m2)を求める。このとき、導電性成分の塗布量の測定方法は特に制限されないが、導電性成分が金属である場合においては、蛍光X線分析を用いることが好ましい。なお、導電性細線が支持体の両面上に存在する場合には、導電性成分の塗布量の算出は、一方の面上の導電性細線をエッチング、および、脱膜などにより除去して、片面ごとに実施する。
次に、導電性細線の厚みを求め、バインダーと導電性成分との合計体積に相当する導電性細線の体積(m3/m2)を求める。
得られた導電性細線の体積から導電性成分の体積を減じて、バインダーの体積(m3/m2)を算出し、上記比(導電性成分の体積/バインダーの体積)を求める。
なお、導電性細線の厚みの測定は、測定精度が許容されればいずれの測定装置でも測定可能であり、例えば、接触式膜厚計、光学式の非接触式膜厚計、および、レーザー顕微鏡のいずれも好ましく使用できる。なお、導電性細線の厚みが薄い場合、導電性細線の断面を走査型顕微鏡にて観察して、導電性細線の厚みを算出することが望ましい。このとき、導電性細線の厚みは、平均厚みの10倍以上の区間に渡り測定した厚みの平均値とすることが望ましい。
また、既知の体積を有する導電性成分とバインダーを混合して印刷することにより導電性細線を形成する際において、導電性成分の体積およびバインダーの体積の比が明確な場合には、上記方法によらず、既知の導電性成分およびバインダー成分の体積比の値を用いてこれらの比を算出してもよい。
なお、上記では導電性細線の場合を一例として比(導電性成分の体積/バインダーの体積)の算出方法を述べたが、導電部が他の形状(例えば、ベタ膜)であっても同様の手順にして、上記比を算出できる。
さらに、上記では、導電性成分の体積およびバインダーの体積を算出し、比(導電性成分の体積/バインダーの体積)を算出する方法を述べたが、他の方法で算出してもよい。例えば、単位面積当たりの導電性細線の体積(m3/m2)は高さ(m)ともいえるため、(導電性成分の高さ)/(導電性細線の高さ−バインダーの高さ)からも同様の比を算出できる。
【0046】
上記導電性細線(導電部)の製造方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、以下の2つの方法が挙げられる。
(1)ハロゲン化銀を用いる方法
(2)導電性成分またはその前駆体、および、バインダーを含むペーストを用いる方法
以下、上記2つの方法について詳述する。
【0047】
(ハロゲン化銀を用いる方法)
本方法の手順としては、支持体上に所定のハロゲン化銀含有感光性層を形成する工程Aと、ハロゲン化銀含有感光性層に露光および現像処理を行う工程Bとを含む。なお、必要に応じて、上記工程Bの後に、加熱処理を行う工程C、および/または、ゼラチン除去工程Dを実施してもよい。本方法を実施することにより、金属銀粒子を含む導電性細線(導電部)が得られる。
以下、各工程の手順について詳述する。
【0048】
工程Aは、支持体に、ハロゲン化銀とバインダーとを含むハロゲン化銀含有感光性層(以後、単に「感光性層」とも称する)形成用組成物を塗布して、ハロゲン化銀含有感光性層を形成する工程である。本工程を実施することにより、支持体上に、ハロゲン化銀とバインダーとを含む感光性層が形成される。
【0049】
ハロゲン化銀に含有されるハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子およびフッ素原子のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。例えば、塩化銀、臭化銀、または、ヨウ化銀を主体としたハロゲン化銀が好ましく、臭化銀または塩化銀を主体としたハロゲン化銀がより好ましい。
なお、ここで、例えば、「臭化銀を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。
【0050】
ハロゲン化銀は、固体粒子状であることが好ましい。また、露光および現像処理後に形成される導電性細線のパターン性の観点からは、ハロゲン化銀の平均粒子サイズは、球相当径で0.1〜1000nmであることが好ましく、0.1〜100nmであることがより好ましく、1〜50nmであることがさらに好ましい。
なお、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径である。
【0051】
使用されるバインダーとしては、所定の特性(ゲル分率および含水率)を有する樹脂および機能性成分が挙げられる。なお、樹脂は、感光性層形成用組成物中において粒子状に分散していてもよい。例えば、感光性層形成用組成物は、樹脂が水中に粒子状に分散したラテックスであってもよい。感光性層形成用組成物には、ベンジルアルコール、または、グリコール系もしくはセロソルブ系等の造膜助剤が含まれていてもよい。造膜助剤を用いることにより、感光性層の造膜がより低い温度で進行し、光学特性の向上(特にヘーズ値の低減)、および、感光性層の支持体への密着性向上が期待でき好ましい。
【0052】
感光性層形成用組成物には、必要に応じて、上述したバインダー以外の他の材料が含まれていてもよい。
例えば、感光性層形成用組成物には、溶媒が含まれていてもよい。溶媒としては、例えば、水、有機溶媒(例えば、アルコール類、ケトン類、アミド類、スルホキシド類、エステル類、および、エーテル類など)、または、これらの混合溶媒が挙げられる。
感光性層形成用組成物中における溶媒の含有量は特に制限されないが、組成物全質量に対して、30〜90質量%が好ましく、50〜80質量%がより好ましい。
また、感光性層形成用組成物には、所定の特性(ゲル分率および含水率)を有する樹脂以外の他の樹脂が含まれていてもよい。他の樹脂としては、例えば、ゼラチンが挙げられる。
【0053】
工程Bでは、まず、感光性層を露光する。露光部分において、ハロゲン化銀が潜像を形成する。なお、露光はパターン状に実施してもよく、例えば、導電性細線からなるメッシュパターンを得るためには、メッシュ状の開口パターンを有するマスクを介して、露光する方法が挙げられる。
露光の際に使用される光源は特に制限されず、可視光線および紫外線などの光、または、X線などの放射線が挙げられる。
【0054】
また、上記露光後に、感光性層を現像して、金属銀を含有する導電性細線を形成する。一方、露光がなされなかった未露光領域では、現像処理の際にハロゲン化銀が溶解して感光性層から流出し、透明な膜(非導電部)が得られる。
現像処理の方法は特に制限されず、公知の現像処理が実施される。
【0055】
なお、工程Bの後、必要に応じて、得られた導電性フィルムに対して加熱処理を施す工程Cを実施してもよい。本工程を実施することにより、導電性細線中の樹脂同士が融着し、より強固な層を構成する。
また、上述した他の樹脂としてゼラチンを用いた場合、必要に応じて、ゼラチン除去工程Dを実施してもよい。ゼラチン除去の方法は特に制限されず、例えば、得られた導電性フィルムをタンパク質分解酵素で処理して、ゼラチンを除去する方法が挙げられる。なお、ゼラチン除去工程Dを実施すると、未露光部に含まれていたハロゲン化銀およびゼラチンが除去され、上記バインダーを含む非導電部が形成される。
【0056】
(導電性成分またはその前駆体、および、バインダーを含むペーストを用いる方法)
本方法の手順としては、導電性成分またはその前駆体、および、バインダーを含むペーストを支持体上の所定の位置に塗布して、必要に応じて、加熱処理を実施する。
導電性成分の定義は、上述した通りである。
導電性成分の前駆体とは、加熱処理などエネルギーの付与により導電性成分を形成し得る成分を意図し、例えば、金属酸化物または有機金属化合物などの金属原子を含む化合物が挙げられる。このような化合物であれば、エネルギーの付与により、還元または分解が容易に進行し、導電性成分を形成し得る。
金属酸化物としては、酸化金、および、酸化銀などが挙げられる。特に、酸化銀は、自己還元性を有しているので好ましい。有機金属化合物としては、比較的分子量の小さい酢酸銀およびクエン酸銀などが好ましい。
使用される樹脂は、所定の特性(ゲル分率および含水率)を満たす。
【0057】
ペーストには、上記導電性成分またはその前駆体およびバインダー以外の成分が含まれていてよい。
例えば、ペーストには、通常、溶媒が含まれる。溶媒の種類は特に制限されないが、例えば、アルコール類およびアルキルエーテル類が挙げられる。
また、ペーストには、必要に応じて、還元剤が含まれていてもよい。特に、導電性成分の前駆体が還元により導電性成分を形成する場合、ペーストに還元剤が含まれることにより、導電性成分が形成されやすくなる。
ペーストの粘度としては、使用する印刷方式または溶媒に応じて適宜設定可能であるが、5〜20000mPa・sが好ましい。
【0058】
支持体上に上記ペーストを塗布する方法は特に制限されず、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、活版印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、および、インクジェット印刷法などが挙げられる。
【0059】
ペーストを支持体上に塗布後、必要に応じて、ペーストが塗布された支持体に対して加熱処理を施してもよい。加熱処理を施すことにより、有機成分が除去され、かつ、導電性成分(特に、金属粒子)同士が付着し、表面抵抗値が低下する。
加熱温度は、例えば、50〜200℃が好ましく、70〜200℃がより好ましく、加熱時間は、例えば、3〜2000分が好ましく、10〜120分がより好ましい。
【0060】
図1においては、支持体12と導電性細線14を含む導電部とを有する導電性フィルムの形態について述べたが、この形態には制限されない。例えば、図3に示すように、導電部18上に配置された粘着層20と、粘着層20上に配置された保護基板22とをさらに有する導電性フィルム100であってもよい。また、図4に示すように、支持体12の両面に、導電部18、粘着層20、および、保護基板22がこの順で配置された導電性フィルム110であってもよい。支持体12の一方の面に配置された導電部18(第1の導電部)と、支持体の他方の面に配置された導電部18(第2の導電部)とは、絶縁状態で、対向して配置されている。
【0061】
粘着層は、導電部上に配置され、後述する保護基板と支持体とを接着するために配置される層である。
粘着層の構成は特に制限されず、公知の粘着層を用いることができる。
粘着層の形成方法は特に制限されず、導電部が表面上に配置された支持体の導電部側上に粘着層形成用組成物を塗布して、粘着層を形成する方法、および、導電部が表面上に配置された支持体の導電部側上にシート状の粘着層を貼合する方法が挙げられる。
【0062】
保護基板は、粘着層上に配置される基板であり、外部環境から導電部を保護する役割を果たす。
保護基板として、樹脂基板が好ましい。上記樹脂基板の材料としては、上述した支持体で例示した樹脂が挙げられる。
保護基板の厚みはそれぞれの用途に応じて適宜選択することが望ましい。
保護基板の形成方法は特に制限されず、粘着層上に保護基板を貼合する方法が挙げられる。
【0063】
[3次元形状を有する導電性フィルムおよびその製造方法]
上述した構成を有する導電性フィルムは、屈曲処理などの成形処理が施されるフィルムとして好適に用いることができる。より具体的には、上述した導電性フィルムを変形(3次元変形)させて、3次元形状を有する導電性フィルムを得ることができる。
以下、導電性フィルムを変形させて3次元形状を有する導電性フィルムを得る工程Xについて詳述する。
【0064】
導電性フィルムを変形させて、3次元形状を有する導電性フィルムを得る工程Xは、例えば、図5に示すような、半球状変形させた導電性フィルム200を得る工程である。
なお、図5においては、3次元形状の一例として半球形状を例示したが、この形態に制限されない。3次元形状としては、例えば、曲面を含む3次元形状が挙げられ、より具体的には、直方体形状、ボタン形状、円柱形状、かまぼこ形状、波型形状、凸凹形状、および、これらを組み合わせた形状などが挙げられる。
【0065】
上記変形の方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、真空成形、ブロー成形、フリーブロー成形、圧空成形、真空圧空成形、および、熱プレス成形などの公知の方法が挙げられる。なお、変形処理には、延伸処理も含まれる。
なお、導電性フィルムを特定の温度および荷重条件下で3次元形状に変形するための装置としては、公知の装置を使用でき、例えば、超小型真空成形機 FVS−500型(脇坂エンジニアリング社製)、小型真空圧空成形機FKS型((株)浅野研究所製)、および、小型真空圧空成形機NGF−0406-S型(布施真空(株)製)などが挙げられる。
また、導電性フィルムを金型上にセットして、射出成形を行い、3次元形状を付与してもよい。
また、導電性フィルム中に粘着層および保護基板が含まれる場合は、それらも合わせて変形される。
【0066】
導電性フィルムを変形させる際には、加熱条件下にて上記変形を実施することが好ましい。加熱条件は支持体の種類に依存するが、80〜250℃が好ましく、100〜220℃がより好ましく、130〜200℃がさらに好ましい。
上記温度範囲内であれば、変形時に導電性フィルムの柔軟性が優れるとともに、導電性フィルムの溶融などが生じにくい。なお、上記温度は、成形機の設定温度、すなわち、成形時の雰囲気の温度を意味する。
【0067】
導電性フィルムを変形させる際の変形量は、特に制限されない。樹脂の特性、または、バインダーと導電性成分との体積比率を好ましい範囲に設定することにより、変形率が120%以上であっても導電部の断線を防ぐことが可能となる。
ここで、変形率とは、導電性フィルムの面上において、変形により最も高い延伸率で延伸された延伸方向の両端を結ぶ線(面上に沿って引いた線)の最短長さの、成形前の導電性フィルムにおける対応する方向の両端を結ぶ線(面上に沿って引いた線)の最短長さに対する割合(%)を意図する。
【0068】
導電性フィルムの変形時における変形速度は、1000mm/min以下が好ましく、50〜1000mm/minがより好ましく、50〜300mm/minがさらに好ましい。ここで、変形速度とは、導電性フィルムの面上において、最も高い変形率で変形された変形方向への変形速度を意味する。変形速度が上記範囲内であれば、生産性に優れるとともに、導電部での断線が生じにくい。
【0069】
なお、上記工程Xを実施する前に、導電性フィルムを予め乾燥し、支持体中に含まれる水分を除去することが好ましい。乾燥方法としては特に制限はなく、加熱処理、減圧乾燥(真空乾燥)処理、および、乾燥剤を用いる方法が挙げられる。
なかでも、上記工程Xを実施する前に、70℃以上の温度にて導電性フィルムを加熱(予備加熱)する工程Yを実施することが好ましい。工程Yを実施することにより、得られた3次元形状を有する導電性フィルム中において導電部と隣接して配置される層(例えば、粘着層)との剥離(気泡発生)が生じにくくなる。特に、粘着層を介して保護基板を積層した状態で上記変形を実施する際に、導電性フィルムと粘着層との間、および、保護基板と粘着層との間の剥離(気泡発生)を防ぐことが可能となる。乾燥後に吸湿することにより乾燥の効果が消失してしまうことを防ぐため、乾燥は上記工程Xを実施する直前まで実施しておくことが望ましい。
上記加熱時間は特に制限されないが、上記効果がより優れる点で、10分以上が好ましく、20分以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、生産性の点で、180分以下の場合が多い。
なお、予備加熱の好適態様としては、予備加熱中の剥離(気泡発生)を防ぐ点で、70℃以上90℃以下の加熱温度で60分以上加熱することが好ましい。予備加熱中の剥離(気泡発生)が許容される場合においては、さらに高温で予備加熱を行うことで加熱時間を短縮することが可能となり好ましい。
【0070】
上記手順によって、3次元形状を有する導電性フィルムが得られる。
3次元形状を有する導電性フィルムは、3次元形状を有する支持体と、支持体上に配置され、導電性成分およびバインダーを含有する導電部と、を有し、バインダーは樹脂を含有し、樹脂のゲル分率が70%以上であり、樹脂の含水率が3%以下である。つまり、支持体の3次元形状に沿って、支持体上に導電部が配置される。
3次元形状は特に制限されず、上述したように、種々の形状が挙げられ、例えば、曲面を含む3次元形状が挙げられる。
3次元形状を有する導電性フィルム中の導電部上には、さらに粘着層が配置されていてもよい。その場合、粘着層は3次元形状を有する支持体の表面に沿って配置される。つまり、粘着層は、3次元形状を有する支持体の形状に対応した、3次元形状を有する。
また、3次元形状を有する導電性フィルム中の粘着層上には、さらに保護基板が配置されていてもよい。その場合、保護基板は、3次元形状を有する支持体の表面に沿って配置される。つまり、保護基板は、3次元形状を有する支持体の形状に対応した、3次元形状を有する。
【0071】
保護基板および粘着層を有する3次元形状を有する導電性フィルムを得るには、上述のように、保護基板および粘着層を有する導電性フィルムを変形させる方法が挙げられる。
また、この方法以外にも、例えば、別途、3次元形状を有し、支持体および導電部を含む積層フィルムと、3次元形状を有する保護基板とを粘着層を介して貼り合わせる方法が挙げられる。この場合、粘着層としてはホットメルト系の粘着剤を用いることが好ましく、粘着剤は保護基板または積層フィルム上に予め積層しておくことが好ましい。
また、上記以外の方法としては、TOM(Three dimension Overlay Method)成形または熱板式成形などによって形成した3次元形状を有し、支持体および導電部を含む積層フィルム上に保護基板を3次元形状に被覆成形させる方法が挙げられる。被覆成形の際は被覆時の圧力によるフィルムの変形を抑止するため、積層フィルムに沿う形状に加工した抑え型を積層フィルムの内側に設置することが望ましい。
【0072】
上記3次元形状を有する支持体の厚みのバラツキは特に制限されないが、支持体の最も薄い部分の厚みが、支持体の最も厚い部分の厚みの90%以下である場合が多い。
上記厚みの測定方法は、次の通りである。まず、支持体の3次元形状部分の任意の20点の厚みを測定して、それら20点の測定値のうちの最大値(最も厚い部分の厚み)および最小値(最も薄い部分の厚み)を選択する。得られた最大値に対する、最小値の割合{(最小値/最大値)×100}を求める。
【0073】
[延伸フィルムおよびその製造方法]
上述した構成を有する導電性フィルムは、一軸延伸処理または二軸延伸処理が施されるフィルムとして好適に用いることもできる。より具体的には、上述した導電性フィルムを一軸延伸または二軸延伸(面方向に延伸)して、延伸フィルムを得ることができる。
一軸延伸または二軸延伸の方法は特に制限されず、公知の方法を採用でき、例えば、引張成形が挙げられる。導電性フィルムを特定の温度および荷重条件下で延伸するための装置としては、引っ張り試験機、例えば、テンシロン万能試験機(エーアンドデイ社製)、および、精密万能試験機オートグラフAGS−Xシリーズ((株)島津製作所製)などが挙げられる。
なお、延伸時の延伸率および延伸速度は特に制限されないが、上述した3次元形状を有する導電性フィルムを製造する際の変形率および変形速度で述べた範囲であることが好ましい。
【0074】
[用途]
上述した3次元形状を有する導電性フィルムおよび延伸フィルムは、種々の用途に用いることができる。例えば、各種電極フィルム(例えば、タッチパネル用電極フィルム、EL(electro-luminescence)素子用電極フィルム、または、太陽電池用電極フィルム)、発熱シート、および、プリント配線基板が挙げられる。なかでも、3次元形状を有する導電性フィルムおよび延伸フィルムは、タッチセンサーフィルムに用いられることが好ましく、静電容量方式のタッチセンサーフィルムに用いられることがより好ましい。なお、3次元形状を有する導電性フィルムおよび延伸フィルムがタッチセンサーフィルムに用いられる場合は、導電部は検知用電極および/または引き出し配線として用いられる。
また、他の用途としては、3次元形状を有する導電性フィルムおよび延伸フィルムは、パーソナルコンピュータまたはワークステーションから発生する電波またはマイクロ波(極超短波)などの電磁波を遮断し、かつ、静電気を防止する電磁波シールドとして用いることもできる。なお、パソコン本体に使用される電磁波シールド以外にも、映像撮影機器または電子医療機器などで使用される電磁波シールドとしても用いることができる。
さらには、3次元形状を有する導電性フィルムおよび延伸フィルムは、透明発熱体としても用いることができる。
【実施例】
【0075】
以下に本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、および、処理手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により制限的に解釈されるべきものではない。
【0076】
<実施例A−1>
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
38℃、pH4.5に保たれた下記1液を攪拌しながら、そこに、下記の2液および3液各々の90%に相当する量を、同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて、得られた溶液に下記4液および5液を8分間にわたって加え、さらに、下記の2液および3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、核粒子を0.21μmまで成長させた。その後、得られた溶液にヨウ化カリウム0.15gを加え、5分間熟成し、粒子形成を終了した。
【0077】
1液:
水 750ml
ゼラチン 8.6g
塩化ナトリウム 3g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
2液:
水 300ml
硝酸銀 150g
3液:
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム
(0.005%KCl 20%水溶液) 5ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム
(0.001%NaCl 20%水溶液) 7ml
4液:
水 100ml
硝酸銀 50g
5液:
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
【0078】
次いで、常法に従ってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、粒子形成終了後の溶液の温度を35℃に下げ、そこに硫酸を加えることによってハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.6±0.2の範囲であった)。次に、得られた溶液から上澄み液を約3リットル除去した(第一水洗)。次に、上澄み液を除去した溶液に、3リットルの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度、得られた溶液から上澄み液を3リットル除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返して(第三水洗)、水洗および脱塩工程を終了した。水洗および脱塩後の乳剤をpH6.4、pAg7.5に調整し、そこにゼラチン2.5g、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mgおよび塩化金酸10mgを加え、55℃にて最適感度を得るように化学増感を施した。化学増感後の乳剤に、安定剤として1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、および、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。最終的に得られた乳剤は、沃化銀を0.08モル%含み、塩臭化銀の比率を塩化銀70モル%、臭化銀30モル%とする、平均粒子径0.22μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤であった。
【0079】
(感光性層形成用組成物の調製)
上記乳剤に1,3,3a,7−テトラアザインデン1.2×10-4モル/モルAg、ハイドロキノン1.2×10-2モル/モルAg、クエン酸3.0×10-4モル/モルAg、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウム塩0.90g/モルAg、および、微量の硬膜剤を添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整した。
上記塗布液に、架橋構造を有するポリマーP−1(本発明の樹脂に該当)の粒子および分散剤を含むラテックス(以後、「ラテックス1」とも称する)を、上記塗布液中のゼラチンに対して、ポリマーP−1/ゼラチン(質量比)=1/1になるように添加した。
なお、ポリマーP−1の粒子を含むラテックスは、分散剤としてジアルキルフェニルPEO(polyethylene oxide)硫酸エステル存在下にて、メチルメタクリレート(52.8質量部)、ブチルアクリレート(40.1質量部)、ヒドロキシエチルメタクリレート(4.1質量部)、アクリル酸(2.0質量部)、エチレングリコールジメタクリレート(0.5質量部)、および、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(0.5質量部)を乳化重合して得られた。上記モノマー中、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)および3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(SC)は、ポリマーに架橋構造を導入するためのモノマー(いわゆる架橋モノマー)である。
なお、ラテックス中において、分散剤/ポリマーP−1の質量比は2.0/100=0.02であり、固形分濃度47質量%であった。
さらに、得られた塗布液に、ゼラチンに対する架橋剤であるビニルスルホン系架橋剤を添加した。なお、架橋剤の添加量は、後述する感光性材料1中のゼラチンに対する比率が3質量%となるように調整した。
以上のようにして感光性層形成用組成物を調製した。
【0080】
(下塗り層付き支持体作製工程)
表面にコロナ処理を施した厚み80μmのシクロオレフィンポリマー(COP)フィルム(ガラス転移温度:133℃)の両面に下記下塗り層形成用組成物を塗布して、厚み0.05μmの下塗り層を形成し、下塗り層付き支持体を作製した。
【0081】
(下塗り層形成用組成物の組成)
上述のラテックス1・・・55mg/m2
界面活性剤:ラビゾール A−90(商品名:日油(株)製)・・・1.3mg/m2
界面活性剤:ナロアクティ CL−95(商品名:三洋化成工業(株)製)・・・0.8mg/m2
架橋剤:カルボジライト V−02−L2(商品名:日清紡(株)製)・・・10mg/m2
コロイダルシリカ(粒子サイズ40〜50nm):スノーテックスXL(商品名:日産化学工業(株)製)・・・1.3mg/m2
カルナバワックス・・・2.5mg/m2
【0082】
(感光性材料形成工程)
上述の下塗り層付き支持体の片側の下塗り層上に、上述のラテックス1とゼラチンと下記構造の染料の固体分散物とを混合したハロゲン化銀不含有層形成用組成物を塗布して、厚み1.0μmのハロゲン化銀不含有層を設けた。なお、ポリマーP−1とゼラチンとの混合質量比(ポリマーP−1/ゼラチン)は2.5/1であり、ポリマーP−1の含有量は0.88g/mであった。また、染料の含有量は0.08g/mであった。
【0083】
【化4】
【0084】
次に、ハロゲン化銀不含有層上に、上述の感光性層形成用組成物を塗布し、厚み2.5μmのハロゲン化銀含有感光性層を設けた。なお、ハロゲン化銀含有感光性層中のポリマーP−1の含有量は0.88g/mであった。
【0085】
次に、ハロゲン化銀含有感光性層上に、上述のラテックス1とゼラチンとを混合した保護層形成用組成物を塗布して、厚み0.15μmの保護層を設けた。なお、ポリマーP−1とゼラチンとの混合質量比(ポリマーP−1/ゼラチン)は0.1/1であり、ポリマーP−1の含有量は0.015g/mであった。
次に、他方の下塗り層上に、上述のハロゲン化銀不含有層、ハロゲン化銀含有感光性層、保護層を順次作製した。なお、得られた下塗り層、ハロゲン化銀不含有層、ハロゲン化銀含有感光性層、及び、保護層を全て含む部分を、感光性材料1と呼ぶ。
【0086】
(露光および現像処理)
上記で作製した積層体を複数用意し、導電性細線/非導電部が5.0μm/215μmの導電パターンを与える格子状(メッシュ状)のフォトマスクを介して、高圧水銀ランプを光源とした平行光を両面の積層体に露光した。露光後、下記の現像液で現像し、さらに定着液(商品名:CN16X用N3X−R:富士フイルム(株)製)を用いて現像処理を行った後、純水でリンスした。その後、得られた基板を乾燥して、導電性細線/非導電部が5.0μm/215μmのメッシュパターン電極を各面に有するサンプルを得た(図2参照)。
【0087】
(現像液の組成)
現像液1リットル(L)中に、以下の化合物が含まれる。なお、現像液には、以下の化合物以外に水が含まれる。
ハイドロキノン 0.037mol/L
N−メチルアミノフェノール 0.016mol/L
メタホウ酸ナトリウム 0.140mol/L
水酸化ナトリウム 0.360mol/L
臭化ナトリウム 0.031mol/L
メタ重亜硫酸カリウム 0.187mol/L
【0088】
(加熱処理)
上記で得られたサンプルを120℃の過熱蒸気槽に130秒間静置して、加熱処理を行った。
【0089】
(ゼラチン分解液の調製)
タンパク質分解酵素(ナガセケムテックス(株)製ビオプラーゼ30L)の水溶液(タンパク質分解酵素の濃度:0.5質量%)に、トリエタノールアミンおよび硫酸を加えてpHを8.5に調製した。
(ゼラチン分解処理)
(加熱処理)が施されたサンプルを、タンパク質分解酵素水溶液(40℃)に120秒間浸漬した。サンプルを水溶液から取り出し、温水(液温:50℃)に120秒間浸漬し、洗浄した。この工程で、ゼラチンは実質的に完全に分解され、サンプルから除去されていることを別途BCA法によるたんぱく質定量より確認した。
【0090】
(カレンダ処理)
上記(ゼラチン分解処理)後のサンプルに対して、表面が鏡面加工された金属ローラー(直径95mm)と樹脂製のローラー(直径95mm)の組み合わせによるカレンダ装置を使用して、ジャッキ圧11.4MPaの圧力をかけ、120mm/分の速度で搬送して、カレンダ処理を行った。
【0091】
(加熱処理(その2))
上述のカレンダ処理後のサンプルを120℃の過熱蒸気槽に130秒間静置して、加熱処理した。
このようにして導電性フィルム(サンプルA−1)を得た。
【0092】
[各種評価]
(ゲル分率評価)
上記ポリマーP−1および分散剤を含むラテックス1を、シリコーンコートされた離型フィルム上に固形分が約100mgとなるよう滴下した。その後、ラテックス1が滴下された離型フィルムを25℃にて24時間かけて真空乾燥させた。なお、乾燥時間を延長しても質量に変化はなく、同条件にて十分乾燥が行われていることを別途確認した。乾燥後の不揮発成分を離型フィルムから剥離して予め質量を測定した400メッシュのステンレス金網に包み、乾燥後の試料の質量Waを求めた。
次に、ステンレス金網で包んだ試料を酢酸エチル5ml中で25℃にて72時間静置して溶解成分を抽出した。抽出後の残存成分(試料)を取り出し、さらに5mlの酢酸エチルを加えて洗浄することを2回繰り返した。その後、洗浄された残存成分を25℃にて24時間乾燥し、乾燥後の固形分の質量を測定し、得られた質量をWbとした。ゲル分率Rgは次式で算出した。Rg=(Wb/Wa)×100
【0093】
(含水率評価)
上記ラテックス1を用いて試料を作製し、含水率を測定した。具体的には、上記(ゲル分率評価)で述べた方法と同様の手順で作製した試料を、温度23℃、相対湿度50%RH下で24時間保持した後、カールフィッシャー水分計(京都電子工業(株)製カールフィッシャー水分計 MKC−610、水分気化装置ADP611)を用いて、含水率を測定した。
【0094】
(導電性成分/バインダー比)
上記サンプルA−1のメッシュパターンの線幅をデジタルマイクロスコープ((株)キーエンス製VHX−2000)で観察することにより、サンプルA−1の導電性細線の支持体表面に対する面積比率Sr(%)を求めた。
次に、サンプルA−1の導電性成分である銀の平均塗布量Wg(g/m)を、走査型蛍光X線分析装置((株)リガク製ZSX PrimusII)を用いて測定した。
さらに、導電性細線部分の膜厚Th(μm)を、走査型顕微鏡((株)日立製作所製走査型電子顕微鏡S−5200)による断面観察から求めた。
得られた各数値から、導電性細線中の導電性成分とバインダーとの体積比(Vr)を下式によって算出した。
Vr=((Wg/ρ)/(Sr/100))/(Th−((Wg/ρ)/(Sr/100)))
ここでρは導電性成分の比重であり、銀の比重値として10.5の値を用いた。
【0095】
(延伸性評価)
サンプルA−1を30mm×100mmサイズにカットし、カットしたサンプルを引っ張り試験((株)島津製作所製、精密万能試験機オートグラフAGX−S)にセットして180℃に加温し、500mm/minの速度で長軸方向に引張延伸した後、導電性細線の破断の有無をマイクロスコープによる観察で判定した。この時、延伸倍率を各種変更することにより試験を実施し、以下の基準に従って、延伸性を評価した。
「A」:延伸倍率150%で導電性細線の破断箇所がない。
「B」:延伸倍率140%未満では破断個所がなく、延伸倍率140%以上で破断箇所がある。
「C」:延伸倍率130%未満では破断個所がなく、延伸倍率130%以上で破断箇所がある。
「D」:延伸倍率120%未満では破断個所がなく、延伸倍率120%以上で破断箇所がある。
「E」:延伸倍率110%未満では破断個所がなく、延伸倍率110%以上で破断箇所がある。
「F」:延伸倍率110%未満で破断箇所がある。
【0096】
(密着性評価)
上記サンプルA−1に対し、粘着シートを介して保護基板を積層した導電性フィルムを作製した後、真空成形により、ドーム形状に真空圧空成形を施し(図5参照)、3次元形状を有する導電性フィルムを作製した。
得られた導電性フィルムに対し、温度85℃、相対湿度85%RHの条件で16時間放置した後、導電性細線と粘着シートとの間の密着性が維持されているか、以下の基準に従って評価した。
なお、粘着シートとしては、厚さ約50μmの3M社製の光学粘着シート(OCA)8172を、保護基板としては、厚さ80μmのCOPフィルムを用い、導電性フィルムに粘着シートおよび保護基板を積層した後、40℃、0.5MPa、20分の条件でオートクレーブ処理を実施した。真空圧空成形は、小型真空圧空成形機FKS機((株)浅野研究所製)を用い、フィルム加熱温度170℃、型温度100℃、圧空圧力0.4MPaの条件で実施し、導電性フィルムは成形直前に130℃、30分の条件で予備乾燥を実施した。
「A」:導電性細線と粘着シートの界面で剥がれの発生が認められない。
「B」:導電性細線と粘着シートの界面で僅かに剥がれが認められる。
「C」:導電性細線と粘着シートの界面ではっきり剥がれが認められる。
【0097】
(導電性評価)
上記サンプルA−1に対して、四探針式シート抵抗計(ロレスタGP:三菱化学アナリテック(株)製)を用いてシート抵抗値Rs(Ω/□)を測定した。得られたシート抵抗値および、上記面積比率Srおよび導電性細線部分の膜厚Thから、導電性細線部の体積抵抗率Rv(Ω・m)を下記式によって求めた。
Rv(Ω・m)=Rs(Ω/□)×Th×10−6(m)×(100/Sr)
後述する各実施例および比較例のサンプルの導電性はサンプルA−1と同様に体積抵抗率を測定し、下記基準に従ってランクを判定した。
「A」:サンプルA−1の体積抵抗率に対し、0.8倍未満。
「B」:サンプルA−1の体積抵抗率に対し、0.8倍以上1.2倍未満。
「C」:サンプルA−1の体積抵抗率に対し、1.2倍以上1.5倍未満。
「D」:サンプルA−1の体積抵抗率に対し、1.5倍以上2.0倍未満。
「E」:サンプルA−1の体積抵抗率に対し、2.0倍以上。
【0098】
<比較例H−1>
ポリマーP−1の代わりに、以下のポリマーCを用いた以外は、実施例A−1と同様の手順に従って、比較サンプルH−1を作製し、各種評価を実施した。
【0099】
【化5】
【0100】
<実施例A−2〜A−7>
(感光性層形成工程)において導電性粒子とバインダーとの体積比を変更すること以外は実施例A−1と同様の手順に従って、サンプルA−2〜A−7を作製し、実施例A−1と同様の評価を実施した。
【0101】
<実施例A−8〜A−12および比較例H−2>
ポリマーの合成時に表1に記載の架橋モノマーを表1に記載の種類および質量比率となるように用いて実施例A−1と同様の手順に従ってポリマーを合成し、ポリマーD〜Iとした。ポリマーP−1に代え、これらポリマーを用いた以外は、実施例A−1と同様の手順に従ってサンプルA−8〜A−12及び比較サンプルH−2を作製し、同様の評価を実施した。結果を表1にまとめて示す。
【0102】
<実施例A−13>
ポリマーP−1の粒子を含むラテックスの代わりに、ポリマーP−2の粒子を含むラテックスを用いた以外は、実施例A−1と同様の手順に従って、サンプルA−13を作製し、各種評価を実施した。
ポリマーP−2の粒子を含むラテックスは、モノマーとして、メチルメタクリレート(53.5質量部)、ブチルメタクリレート(12.2質量部)、エチルメタクリレ−ト(10.2質量部)、ヒドロキシエチルメタクリレート(2.1質量部)、メチルアクリレート(4.1質量部)、エチルアクリレート(4.1質量部)、ブチルアクリレート(5.1質量部)、2−エチルヘキシルアクリレート(5.1質量部)、アクリル酸(1.0質量部)、および、エチレングリコールジメタクリレート(2.6質量部)を用いて、ラテックス1と同様の手順に従って作製した。
【0103】
<実施例A−14>
ラテックス1の代わりに、ポリマーP−3の粒子を含むラテックスを用いた以外は、実施例A−1と同様の手順に従って、サンプルA−14を作製し、各種評価を実施した。
ポリマーP−3の粒子を含むラテックスは、モノマーとして、ブチルアクリレート(27.5質量部)、ブチルメタクリレート(31.5質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(32.0質量部)、ヒドロキシエチルメタクリレート(4.0質量部)、アクリル酸(1.0質量部)、エチレングリコールジメタクリレート(3.0質量部)、および、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(0.5質量部)を用いて、ラテックス1と同様の手順に従って作製した。
【0104】
<実施例A−15>
ラテックス1の代わりに、ポリマーP−4の粒子を含むラテックスを用いた以外は、実施例A−1と同様の手順に従って、サンプルA−15を作製し、各種評価を実施した。
ポリマーP−4の粒子を含むラテックスは、モノマーとして、メチルメタクリレート(40.0質量部)、ブチルアクリレート(40.0質量部)、シクロヘキシルメタクリレート(10.0質量部)、ヒドロキシエチルメタクリレート(2.0質量部)、アクリル酸(1.0質量部)、エチレングリコールジメタクリレート(0.5質量部)、および、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(0.3質量部)を用いて、ラテックス1と同様の手順に従って作製した。
【0105】
<実施例B−1>
厚み100μmのポリカーボネート(帝人(株)製パンライト D−100)支持体(ガラス転移温度:150℃)の両面にコロナ放電処理を施し、支持体の片面上に下塗り層を形成した後、インクジェット法により、下記の銀インクをメッシュ状に印刷した。
次いで、150℃で60分加熱処理し、導電性フィルム(サンプルB−1)を得た。得られた導電性フィルム中のメッシュパターンは、ライン幅30μm、ピッチ300μmの銀の格子状メッシュであった。
上記で得られたメッシュパターンを有するサンプルB−1を用いて、実施例A−1と同様の評価を実施した。
(銀インクの作製)
Carey−Leaの銀ゾル調製法(M.Carey Lea,Brit.J.Photog.,24巻297頁(1877)および27巻279頁(1880)参照)に準拠して、硝酸銀溶液を還元し、金属銀粒子を含む溶液を調製した。その後、得られた溶液に塩化金酸溶液を加え、銀を主成分とする銀金粒子を含む溶液を調製し、限外ろ過を行って、副生成する塩を除いた。得られた粒子の粒子サイズは、電子顕微鏡観察の結果、ほぼ10nmであった。導電性成分であるこの粒子およびラテックス1を混合し、銀インクを作製した。
【0106】
<実施例B−2〜B−3>
ポリマーP−1の代わりに、ポリマーEまたはHを用いた以外は、実施例B−1と同様の手順に従ってサンプルB−2およびB−3を作製し、各種評価を実施した。結果を表1にまとめて示す。
【0107】
<比較例H−3〜H−4>
ポリマーP−1の代わりに、ポリマーCまたはゼラチンを用いた以外は、実施例B−1と同様の手順に従って比較サンプルH−3およびH−4を作製し、各種評価を実施した。結果を表1にまとめて示す。
【0108】
表1中、「方式」欄では、ハロゲン化銀を用いた方法により導電性細線を形成した場合を「銀塩」、銀インクを用いた方法により導電性細線を形成した場合を「印刷」とする。
また、「架橋構造」欄では、用いたポリマーに架橋構造が含まれる場合を「有」、含まれない場合を「無」とする。
また、「架橋モノマー種」欄は、各ポリマー中の架橋モノマー種の種類および使用量を示す。なお、括弧内の数値は、全モノマーに対する、各モノマーの質量%を表す。EGDMAはエチレングリコールジメタクリレートを、SCは3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを、DVBはジビニルベンゼンを表す。
また、「ゲル分率」欄および「含水率」欄は、それぞれポリマーを含む試料のゲル分率および含水率を表す。
【0109】
【表1】
【0110】
上記表1から分かるように、本発明の導電性フィルムは、3次元形状の成形に適した導電性フィルムであって、かつ、導電部に隣接する隣接層との密着性が良好なことが確認された。
【0111】
(タッチセンサーの作製)
上記実施例A−1において、露光パターンを変更する以外は同様の方法にて、両面にタッチセンサーパターンを有する導電性フィルムを作製し、サンプルZを得た。
タッチセンサーパターンは、中央部に検知用電極パターン、周辺部に検知用電極パターンと接続する引き出し配線パターンを有しており、引き出し配線パターンの端部は信号取り出し用の端子部を有していた。
サンプルZの導電部における導電性成分とバインダーとの体積比は、サンプルA−1と実質的に等しい値を有していた。
次に、上記サンプルZを用いて、粘着シートを介して保護基板を積層した導電性フィルムを作製した。粘着シートとしては、厚さ約50μmの3M社製の光学粘着シート(OCA)8172を用いた。また、保護基板としては、成形時の外面側(ドーム形状の外面側)にポリカーボネートに易成形性のハードコート層が積層された厚さ約300μmの樹脂シート(三菱ガス化学(株)製、DF02PU)を、反対面に厚さ80μmのCOPフィルムを用いた。なお、粘着シートおよび保護基板は、上記端子部を除いて積層された。
上記密着性評価と同様、導電性フィルムのオートクレーブ処理を行った後、上記密着性評価に用いた型と同じドーム型を用いて、同条件にて真空圧空成形を行い、3次元形状を有する導電性フィルムを作製した。ここで、真空圧空成形に先立ち、導電性フィルムに対して80℃にて16時間で予備乾燥を実施した。
得られた3次元形状を有する導電性フィルムにおいては導電部の断線はなく、上記の条件にて密着性評価を実施した結果、浮きや剥がれは認められなかった。得られた3次元形状を有する導電性フィルムの引き出し配線の端子部に対し、ACF(異方性導電フィルム)を介してコントロールICの接続されたFPC(フレキシブルプリント基板)を接続し、タッチセンサーとして良好に駆動することを確認した。
【0112】
実施例で用いた一部のポリマーについて下記の方法で貯蔵弾性率および破断伸度を評価した。
【0113】
(貯蔵弾性率評価)
ラテックス1を用いて作製した試料を用いて、ポリマーの貯蔵弾性率を測定した。具体的には、ラテックス1を剥離性基材上にバー塗布し、剥離性基材上に形成された膜を剥離性基材から剥離して、評価サンプルとした。なお、得られた膜の膜厚は、50μmであった。
貯蔵弾性率の測定は、上記で得られた評価サンプルを使用し、DVA−225型粘弾性試験機(アイティ計測制御(株)製)を用いて、引張りモード、温度50〜200℃、および、測定周波数1Hzの条件で測定を行い、180℃の貯蔵弾性率の値を読み取った。
【0114】
(破断伸度評価)
ラテックス1を剥離性基材上にバー塗布し、剥離性基材上に形成された膜を、幅5mmの長方形に剥離性基材から剥離して切り出し、評価サンプルとした。得られた膜の膜厚は、約100μmであった。得られた評価サンプルを用いて、精密万能試験機オートグラフAGX−S((株)島津製作所製)にて、引っ張り試験を実施し、破断伸度を求めた。引っ張り試験の条件は、チャック間距離50mm、引っ張り速度5mm/min、サンプル温度180℃で実施した。
【0115】
得られた貯蔵弾性率および破断伸度と各例の延伸性評価結果、およびゲル分率の結果を表2に示す。表2に示す通り、延伸性、すなわち導電性細線の破断しにくさは、貯蔵弾性率および破断伸度と相関せず、延伸性はゲル分率と相関していた。
【0116】
【表2】
【0117】
なお、他の態様を付記すると以下の通りである。
導電性成分およびバインダーを含有する導電部を有し、バインダーは樹脂を含有し、樹脂のゲル分率が70%以上であり、樹脂の含水率が3%以下である導電性部材。
この導電性部材は、電極として構成されうる。また導電性部材は、導電性シートであってもよく、導電性シートは導電性フィルムを含む。
【符号の説明】
【0118】
10,100,110 導電性フィルム
12 支持体
14 導電性細線
16 開口部
18 導電部
20 粘着層
22 保護基板
200 3次元形状を有する導電性フィルム
W 一辺の長さ
図1
図2
図3
図4
図5