(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
チタン粉は、現在、ほとんどがクロール法にて製造されるスポンジチタンを原料としている。また、経済性、資源保護の観点から、スクラップを原料として活用する場合もある。
【0016】
[クロール法の説明]
クロール法とは、チタン鉱石を塩素化して得られる四塩化チタン(TiCl
4)をマグネシウム(Mg)で還元して金属チタンを得る方法である。
【0017】
クロール法においては、還元工程(TiCl
4+2Mg→Ti+2MgCl
2)で生じるMgCl
2がスポンジチタンと共存するため、そのMgCl
2を分離工程で除去した後のスポンジチタンが使用される。ところが、そのスポンジチタンをよく調べると、完全にMgCl
2が除去できているわけではなく、スポンジチタンの表面に付着しているMgCl
2(表面MgCl
2)と、スポンジチタンの内部に閉じ込められ外部と遮断されたMgCl
2(内部MgCl
2)の2種類が残存していることが分かった。
【0018】
分離工程で十分取りきれずスポンジチタンの表面に残存するMgCl
2(表面MgCl
2)は、再度、減圧下で熱を加えることにより、除去することができる。一方、減圧下で熱を加えた後のスポンジチタンを切断して内部を調べたところ、スポンジチタンの内部に閉じ込められたMgCl
2(内部MgCl
2)は、この方法では取り除くことができないことがわかった。
【0019】
[アトマイズ法チタン粉製造方法の説明]
チタン粉の製造方法は、アトマイズ法とHDH法に大別される。アトマイズ法では、チタン原料を溶融させた後、Arガス中で液状化したチタンを細かい液状の粒にすると同時に、急冷し、固化させることでチタン粉を製造する。
【0020】
本発明者の研究調査では、アトマイズ法においては、チタン粉中にポアが発生する2つの機構があると結論づけた。1つ目は、チタン原料の内部に存在するMgCl
2(内部MgCl
2)が一気にガス化し、直ちに急冷されることにより、ガス化したMgCl
2が液状化したチタンの粒内部に閉じ込められチタン粉中にポアが発生する機構である。2つ目は、液状化したチタンの粒がArガスもしくは気化したMgCl
2ガスを巻き込んで凝固することにより、チタン粉中にポアが発生する機構である。このため、本発明の目的を達成するにはHDH法が適するとの結論に至った。
【0021】
[HDH法チタン粉製造方法の説明]
HDH法とは、チタン原料を一旦水素化し、脆いTiH
2を形成した後、粉砕し、脱水素することでチタン粉を得る方法である。すなわち、水素化〜粉砕〜脱水素〜解砕の工程によりチタン粉(HDH粉)を製造する方法である。上記解砕工程は任意であるがチタン粉(HDH粉)の製造では解砕工程を行うことが好ましい。
【0022】
この際、水素化の工程ではチタン原料を真空置換可能な水素化炉に装入し、400℃以上の温度で、水素ガス雰囲気中で水素化処理を行い、水素ガス雰囲気からArガス雰囲気に置換することにより水素化チタンの塊状体を得る。チタン原料は、水素化の工程によって水素脆化される。
【0023】
次は粉砕の工程である。粉砕の工程では、水素化チタンの塊状体を機械粉砕して、機械的な破面すなわち粉砕面を有する水素化チタン粉末にする。得られた水素化チタン粉末は、分級および/または篩別して水素化チタンの微粉を除去する。水素化チタンの機械的粉砕には、ボールミル、振動ミルなどの粉砕装置が使用でき、水素化チタン粉末の粒度調整には円形振動篩、気流分級機などの篩別分級装置を用いてもよい。
【0024】
脱水素化工程では、上記の水素化チタン粉末を容器に充填して、真空加熱型の脱水素炉に装入し、例えば10
-3Torr(0.13Pa)以下の真空中で、450℃以上の温度に加熱して脱水素することで脱水素チタン粉末にする。また、必要に応じてArガスを挿入する。
【0025】
解砕工程では、脱水素工程で仮焼結した脱水素チタンの塊状体の仮焼結部分を解きほぐし、粉砕後の粉砕面または解砕面を有するチタン粉形状に戻す。
【0026】
[HDH法でのポア発生機構の説明]
本発明者は、HDH法の各製造工程における条件をポアの観点から詳細に研究調査し、いかに、ポアの発生を防ぐかを調べた。HDH法では、各製造工程中でチタンが溶融され液化されることが無ければ、雰囲気中のArガスが巻き込まれてポアの原因となることはない。HDH法での熱処理は、水素化と脱水素化の2工程であることから、いずれも融点以下で行えばよいことになる。ただし、一般的にチタン材を入れる容器としてはステンレス鋼が使用されることから、ステンレス鋼に含まれる鉄とチタンとが接触して、両者の温度が鉄とチタンとの共晶温度以上になるとチタンが液体となり、上記目的にそぐわなくなる。その為、本発明者は、ポアの発生を防ぐためにはチタンを鉄とチタンとの共晶温度以下で制御し、チタンの液化を防ぐ必要があることを見出した。すなわち、上限温度を制御することが本発明の重要な構成要素になる。
【0027】
例えば、特許文献1及び特許文献2では、「650℃まで真空雰囲気下に昇温した」としか記載がなく、その後の水素ガス導入後のチタン材の温度制御については記載がない。チタンを水素化する水素化反応は発熱反応のため、最初は、例えば真空炉内で、650℃で水素吸収を行わせるが、その後は自発的に温度が上昇する。このため、局所部も含めいずれの場所も共晶温度以下になるようチタン材料の容器への入れ方、水素およびAr投入量、投入時間、および各部位の温度を常時観察しながら温度上昇を抑えるため冷却する等、細かな制御をする必要がある。
【0028】
常圧下でのMgCl
2の沸点は1412℃であり、この温度においては、チタン原料の内部に閉じ込められたMgCl
2(内部MgCl
2)は気体化する。一方、チタンの融点は1668℃であるため、1412℃では、チタンは固体の状態で存在する。気体化された内部MgCl
2は、固体の状態に比べて体積が大きくなり、これが原因でチタンの内部では非常に高圧な状態が形成される。この気体化された内部MgCl
2による高圧状態は、水素化によって脆くなった水素化チタンに亀裂を発生させ、そこからMgCl
2を水素化チタン外部に排出されることが可能である。
【0029】
しかし、前記したように、HDH法においては、チタン材を入れる容器はステンレス鋼の場合が多く、鉄とチタンの共晶温度(1085℃)以上にはあげられない。本発明では、この制限された温度を順守し、かつ、ポアの原因となるMgCl
2を取り除く従来にない制御方法を見出し、本発明を完成させた。つまり、チタン原料の温度を最低でもMgCl
2の融点(714℃)以上の温度にしてMgCl
2を液相とし、MgCl
2の体積を固体の状態に比べて膨張させる。このとき、チタンは固体の状態で存在するため、内部MgCl
2は固体の状態に比べて液体の状態のほうが体積が大きくなり、これが原因でチタンの内部では非常に高圧な状態が形成される。この液相の内部MgCl
2による高圧状態は、水素化によって脆くなった水素化チタンに亀裂を発生させる。亀裂によりチタン外部に露出した液相のMgCl
2は、徐々に蒸発により気化できるようにする。この場合の炉内の温度及び加熱時間(温度の維持時間)の制御は、水素化するチタン原料の厚みや水素化時間も考慮して決定される。これが、例えば、チタンが脆化する前に、蒸発したMgCl
2にてチタン内部の圧力が高まると、高温ではチタンは軟化し容易に変形する為、チタン内部に球状のポアを形成させる結果となってしまい、本発明とは逆方向になる。例えば、本発明においては、716℃以上1050℃以下の範囲で90分以上の時間をかけることによって、チタン原料の内部に存在するMgCl
2はチタンの亀裂から蒸発し、併せてチタンの水素化も実現することができる。理論的には、チタン原料の温度をMgCl
2の融点(714℃)以上から鉄とチタンの共晶温度(1085℃)未満の範囲で設定することができるが、上記温度範囲とすることでより確実な温度制御を行うことができる。
【0030】
なお、本実施形態に係るHDH法においては、温度を制御することで原料のチタンが溶融しないようにする。しかしながら、チタン原料の表面にMgCl
2が付着している場合には、HDH法の工程中にMgCl
2が気化することから、表面のMgCl
2を取り除くために高真空にすることが好ましい。本実施形態に係るHDH法においては、チタン原料と共に持ち込まれる表面に付着したMgCl
2量を低減するとともに、温度、時間、真空度、Ar置換等、コストを考え最適化することが重要である。
【0031】
本実施形態に係る水素化工程では、ポアを発生させないようにし、かつ、チタン内部に存在するMgCl
2(内部MgCl
2)を除去するため、本発明で見いだされた上記機構を具現化する水素化工程とする。十分な時間をかけて水素化による脆化を行えば、MgCl
2を排出させることは可能であるが、工業的には生産性及びコスト的に適切ではない。
【0032】
研究調査の結果、チタン原料の表面に付着するMgCl
2量を制御すること以上に、チタン原料の内部に存在するMgCl
2量を制御することが生産性及びコストに大きく影響することが判明した。種々の実験をしたところ、チタン原料の全MgCl
2濃度を1.0mass%以下に抑えることが必要であることが判明した。そして、チタン原料の全MgCl
2濃度は、0.05mass%以下に抑えることが好ましく、0.001mass%以下に抑えることがより好ましい。特に、チタン原料の内部に存在するMgCl
2濃度(内部MgCl
2濃度)を0.5mass%以下にすれば、HDH法においてチタン原料の温度をMgCl
2の融点(714℃)以上から鉄とチタンの共晶温度(1085℃)未満の範囲で維持する時間が90分であってもポアの原因となるMgCl
2を効率よく取り除くことができることがわかった。チタン原料の内部に存在するMgCl
2濃度(内部MgCl
2濃度)を0.1mass%以下とすることでさらに明確に効果が表れる。本発明ではチタン原料の内部に閉じ込められたMgCl
2濃度(内部MgCl
2濃度)を0.1mass%以下とすることが好ましく、0.001mass%以下とすることがより好ましい。
【0033】
〔原料でのポア抑制方法〕
なお、本発明のHDH法では、チタンが溶融しないため、Arガス等の巻き込みによるポアの発生はない。
【0034】
チタン原料の全MgCl
2濃度を1.0mass%以下に抑え、さらにはチタン原料内部に閉じ込められたMgCl
2濃度(内部MgCl
2濃度)を0.1mass%以下に抑える方法としては、コストはかかるものの事前にスポンジチタンをさらに細かくし、再度、真空中で熱処理する方法も有効である。
【0035】
また、チタン原料は、その最大厚みが20mm以下、より好ましくは10mm以下であるとよい。チタン原料の最大厚みが20mm以下であることにより、水素化時に水素が充分に原料内部に行き渡り、チタンを脆化させ亀裂を速やかに生じさせるためである。
【0036】
[全MgCl
2濃度の定義]
全MgCl
2の濃度の測定方法を説明する。対象とするチタン原料の塩素濃度を硝酸銀滴定法(JIS H 1615)により測定し、その塩素濃度の値よりMgCl
2濃度に換算し、これをチタン原料に含まれるMgCl
2濃度(全MgCl
2濃度)とする。
【0037】
[内部MgCl
2濃度の定義]
内部MgCl
2の濃度の測定方法を説明する。まず、対象とするチタン原料を減圧下(50pa以下)にて、約750℃×1時間の熱処理をすることにより表面のMgCl
2を飛ばす。その後、本材料の塩素濃度を硝酸銀滴定法(JIS H 1615)により測定し、その塩素濃度の値よりMgCl
2濃度に換算し、これをチタン原料の内部に閉じ込められ存在するMgCl
2濃度(内部MgCl
2濃度)とする。
【0038】
[チタン粉の大きさの説明]
粉砕工程にて、水素化された水素化チタンを粉砕し細かくした、粉砕面を有する水素化チタン粉とすることで、水素化チタンに残存しているポアが起点となり割れて、開放される確率をさらに高めることができる。ポアが開放される確率は、水素化チタン粉の粒径をより細かくすればより高くなる。しかしながら、工業的にはコストおよび時間の制限があることから、水素化チタン粉の粒径は300μm以下、好ましくは150μm以下であればよい。ここで、HDH法で製造され粉砕された水素化チタン粉の粒径は分布を持っており、全水素化チタン粉の粒径の95%以上が上記値以下であればよい。すなわち、水素化チタン粉末のD95粒径は300μm以下であり、好ましくは150μm以下にまで抑えるとより一層効果がある。D95粒径の下限側は特に限定されないがあえて一例を挙げると70μm以上としてもよく、80μm以上としてもよい。本発明においてD95は、レーザー回折・散乱法により求められる粒度分布測定において、体積基準の積算分布が、それぞれ、95%となる粒径を指す。詳細には、JIS Z8825:2013に基づき測定する。
【0039】
また、HDH法で製造され解砕されたチタン粉の全チタン粒径の95%以上が150μm以下であればよい。
【0040】
〔球状化工程への適用〕
上記したHDH法で製造されたチタン粉では、MgCl
2の残留が少ない。このため、本発明のHDH法で製造されたチタン粉は、チタン粉の表面を溶融させ(例えばプラズマ溶融)、粉砕面または解砕面である角ばった表面を球状化させて、球状粉を得るための原料粉末として好適である。HDH法で製造され解砕されたチタン粉は、凹凸構造を有する粉砕面または解砕面を有しているため、その広い表面積により、プラズマに導入した際の溶融を促進させることができる。なお、球状化する為にチタン粉表面を溶融させてもAr等のプラズマガスの巻き込みはなく、新たなポアは抑制できる。
【0041】
以上、HDH法におけるポア発生を抑えるためには、上記したように温度、時間、水素吹込み量、材料形状、MgCl
2持ち込み量(全体の量と封じ込められたMgCl
2の量)を適切に制御することにより達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0042】
本実施形態においては、チタン粉に基づいて説明した。しかしながら、チタンに50質量%以下のAlやV等の元素を含有するチタン合金粉においても、HDH法で温度を制御することで原料のチタン合金が溶融しないようにし、チタン粉と同様の効果を得ることができる。チタンに含有させる元素は20質量%以下が好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。チタン合金粉は複数種類の元素を含んでもよい。例えば、チタン合金粉はTi−Al−V合金粉としてもよい。この場合、該Ti−Al−V合金粉は、Al含有量を5.5〜7.5質量%、V含有量を3.5〜4.5質量%とすることができる。
【0043】
[断面のポア面積比の説明]
本実施形態に係るチタン系粉の製造方法によって、チタン系粉の任意の断面を観察し現れた内包されたポア(以下、内部ポア)の断面積を、チタン系粉の断面の面積で割った値(断面のポア面積比)が0.3パーセント以下であることを実現することができる。また、本発明において製造されたチタン系粉は、チタン系粉の任意の断面を観察し現れた内部ポアの数が単位面積当たり20個/mm
2以下であることが好ましい。ここでチタン系粉断面のポア面積比が0.3パーセント以下とは、チタン系粉末を樹脂に埋め込み研磨した後、断面を光学顕微鏡で、倍率500倍で、700μm×500μmサイズの任意の箇所を16箇所観察した際に、画像処理により輝度90〜250の範囲の像として観察された内部ポアの断面積を、粉の総断面積で除した値が0.3パーセント以下であることを意味する。内部ポアの数とは、上記観察した際に、画像処理により輝度90〜250の範囲の像として観察された、内部ポアの数を意味する。なお、いずれの観察の際にも、画像処理により長径10μm以下の粉は除外する。また、画像処理では、内部ポアに見えても元画像から明らかにオープンになっているポアは除外した(
図1は画像処理前の写真であり、
図2は画像処理後の写真である)。また、明らかに2つのポアが接している場合であっても、画像処理で接続した1個の内部ポアである限り1個として計算した。本発明においては、上記断面のポア面積比が0.3パーセント以下となるから、本発明に係る製造方法で製造されたチタン粉はポアが少なければならない技術分野(たとえば、航空機材料等)において使用することに好適である。他方、断面のポア面積比が0.3パーセントを超えると、該技術分野で使用することが難しいということが判明した。
【実施例】
【0044】
[実施例1]
チタン原料としてスポンジチタンを使用した。使用したチタン原料は、全MgCl
2濃度および内部MgCl
2濃度とも0.05mass%以下で、直径は1/2インチ以下のものを使用した。
【0045】
原料300kgを5Pa以下に真空引きした後、ヒーターで雰囲気を650℃に加熱し、120分間保持した。その後、水素を供給して水素吸蔵発熱の反応を起こさせるとともにヒーターの制御やArガス挿入および冷却装置を稼働させ、チタン原料が1000℃以下になるように温度制御しながら120分間水素化した。このときの温度範囲は716℃以上1000℃以下であった。
【0046】
水素化時におけるチタン原料の嵩密度は1.2g/cm
3であった。
【0047】
その後、水素化チタンの塊状体は粉砕/分級機で粉砕して粒径が10μm〜150μmの水素化チタン粉末を得た。
【0048】
真空熱処理炉条件で脱水素処理を行った後、脱水素チタンの塊状体は解砕処理をした。得られたチタン粉のD95粒径は100μmであった。
【0049】
得られたチタン粉の光学顕微鏡写真を
図3に示す。チタン粉は樹脂に埋め込み、サンプルの断面を研磨した後、光学顕微鏡で倍率500倍で、700μm×500μmサイズの任意の箇所を16箇所観察した。ポアの数と面積比を解析した結果、検出したポアは単位面積当たり20個/mm
2であった。またポア面積比は0.11%であった。
【0050】
[実施例2]
全MgCl
2濃度が0.1mass%以下であるスポンジチタン原料を用いて製造した全MgCl
2濃度0.0002mass%以下で、その最大厚みが7mmの切粉をチタン原料として用いた。すなわち、該チタン原料の内部MgCl
2濃度も0.0002mass%以下であった。原料300kgを5Pa以下に真空引きした後、ヒーターで雰囲気を650℃に加熱し、120分間保持した。その後、水素を供給して水素吸蔵発熱の反応を起こさせるとともにヒーター制御やArガス挿入および冷却装置を稼働させ、チタン原料が1000℃以下になるように温度制御しながら120分間水素化した。このときの温度範囲は716℃以上1000℃以下であった。
【0051】
水素化時の嵩密度は1.2g/cm
3であった。その後、水素化チタンの塊状体は粉砕/分級機で粉砕して粒径が10μm〜150μmの水素化チタン粉末を得た。その後、真空熱処理炉条件で脱水素処理を行った後、脱水素チタンの塊状体は解砕処理した。得られたチタン粉のD95粒径は100μmであった。
【0052】
得られたチタン粉を樹脂に埋め込み、サンプルの断面を研磨した後、光学顕微鏡で倍率500倍で、700μm×500μmサイズの任意の箇所を16箇所観察した結果、検出したポアは単位面積当たり8個/mm
2であった。またポア面積比は0.02%であった。
【0053】
なお、上記実施例2では、チタン原料における不純物である鉄濃度が200質量ppm以下、および200質量ppm超500質量ppm以下の2通りでチタン粉を製造した。いずれの場合も検出したポアは単位面積当たり8〜10個/mm
2であった。いずれの場合もポア面積比は0.02%であった。このため、不純物である鉄量の多少、言い換えればチタン純度は、ポアの挙動と相関はないと考える。
【0054】
[実施例3]
全MgCl
2濃度が0.1mass%以下であるスポンジチタン原料と60%Al−40%Vの合金を用いて製造した90%Ti−6%Al−4%V(質量%)切粉を原料として用いた。原料として用いたチタン合金切粉の全MgCl
2濃度は0.0002mass%以下で、その最大厚みは7mmであった。すなわち、該チタン合金切粉の内部MgCl
2濃度も0.0002mass%以下であった。原料300kgを5Pa以下に真空引きした後、ヒーターで雰囲気を650℃に加熱し120分間保持した。その後、水素を供給して水素吸蔵発熱の反応を起こさせるとともにヒーター制御やArガス挿入および冷却装置を稼働させ、チタン合金切粉が1000℃以下になるように温度制御しながら120分間水素化した。このときの温度範囲は716℃以上1000℃以下であった。
【0055】
水素化時の嵩密度は1.2g/cm
3であった。その後、水素化チタンの塊状体は粉砕/分級機で粉砕して10μm〜150μmの粉末を得た。その後、真空熱処理炉条件で脱水素処理を行い、脱水素チタンの塊状体は解砕処理した。得られたチタン粉のD95粒径は100μmであった。
【0056】
得られたチタン合金粉を樹脂に埋め込み、サンプルの断面を研磨した後、光学顕微鏡で倍率500倍で、700μm×500μmサイズの任意の箇所を16箇所観察した結果、検出したポアは単位面積当たり9個/mm
2であった。またポア面積比は0.03%であった。
【0057】
上記で得たチタン合金粉を、高周波熱誘導プラズマ装置にてArガスをプラズマガスとして表面を融解し球状化した。なお、球状化の条件は表1のとおりである。得られたチタン合金粉の光学顕微鏡写真を
図4に示す。チタン合金粉は樹脂に埋め込み、サンプルの断面を光学顕微鏡で倍率500倍として、700μm×500μmサイズの任意の箇所を16箇所観察した。ポアの数と面積比を解析した結果、検出したポアは単位面積当たり3個/mm
2であった。またポア面積比は0.01%であった。HDH法で製造され解砕されたチタン合金粉は、球状粉の原料粉末として有用であることが確認できた。
【0058】
【表1】
【0059】
[実施例4]
全MgCl
2濃度が0.1mass%以下であるスポンジチタン原料と70%Al−40%Vの合金を用いて製造した89%Ti−7%Al−4%V(質量%)切粉を原料として用いた。原料として用いたチタン合金切粉の全MgCl
2濃度は0.0002mass%以下で、その最大厚みは2mmであった。すなわち、該チタン合金切粉の内部MgCl
2濃度も0.0002mass%以下であった。原料300kgを5Pa以下に真空引きした後、ヒーターで雰囲気を650℃に加熱し120分間保持した。その後、水素を供給して水素吸蔵発熱の反応を起こさせるとともにヒーター制御やArガス挿入および冷却装置を稼働させ、チタン合金切粉が1000℃以下になるように温度制御しながら120分間水素化した。このときの温度範囲は716℃以上1000℃以下であった。
【0060】
水素化時の嵩密度は1.2g/cm
3であった。その後、水素化チタンの塊状体は粉砕/分級機で粉砕して10μm〜150μmの粉末を得た。その後、真空熱処理炉条件で脱水素処理を行い、脱水素チタンの塊状体は解砕処理した。得られたチタン粉のD95粒径は100μmであった。
【0061】
得られたチタン合金粉を樹脂に埋め込み、サンプルの断面を研磨した後、光学顕微鏡で倍率500倍で、700μm×500μmサイズの任意の箇所を16箇所観察した結果、検出したポアは単位面積当たり9個/mm
2であった。またポア面積比は0.03%であった。
【0062】
実施例2のチタン切粉を用いた結果と比較して、実施例3および実施例4のTi−Al−V合金、切粉を用いた結果は同等であった。このため、本実施形態に係るチタン粉の製造方法は、チタン合金粉の製造にも好適であると考える。
【0063】
[比較例1]
チタン原料として内部MgCl
2濃度が0.2mass%のスポンジチタンを用い、その他は、実施例1と同様の条件でチタン粉を製造した。なお、該スポンジチタンの全MgCl
2濃度は0.3mass%であった。得られたチタン粉末を樹脂に埋め込み、サンプルの断面を研磨した後、光学顕微鏡で倍率500倍として、700μm×500μmサイズの任意の箇所を16箇所観察した。ポアの数と面積比を解析した結果、検出したポアは単位面積当たり85個/mm
2であった。ポア面積比は、0.7%であった。
【0064】
[比較例2]
実施例1と同粒径のガスアトマイズ法で製造されたチタン粉末を購入し、樹脂に埋め込み、サンプルの断面を研磨した後、光学顕微鏡で倍率500倍として、700μm×500μmサイズの任意の箇所を16箇所観察した。ポアの数と面積比を解析した結果、検出したポアは単位面積当たり130個/mm
2となった。またポア面積比は、1.0%であった(
図5)。