特許第6976443号(P6976443)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6976443-封止用組成物 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976443
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】封止用組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20211125BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20211125BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20211125BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20211125BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20211125BHJP
   C08L 23/26 20060101ALI20211125BHJP
   H01L 51/44 20060101ALI20211125BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20211125BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   C08L63/00 Z
   H05B33/14 A
   H05B33/04
   H05B33/10
   C08L23/00
   C08L23/26
   H01L31/04 120
   H01L23/30 F
【請求項の数】20
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-533808(P2020-533808)
(86)(22)【出願日】2018年12月18日
(65)【公表番号】特表2021-508348(P2021-508348A)
(43)【公表日】2021年3月4日
(86)【国際出願番号】KR2018016101
(87)【国際公開番号】WO2019124924
(87)【国際公開日】20190627
【審査請求日】2020年6月18日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0174041
(32)【優先日】2017年12月18日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ソ・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スン・ミン・イ
(72)【発明者】
【氏名】セ・ウ・ヤン
【審査官】 岡谷 祐哉
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2016−0114541(KR,A)
【文献】 特表2018−513889(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0118984(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2016−0114542(KR,A)
【文献】 特表2018−513890(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0072925(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2016−0114540(KR,A)
【文献】 特表2018−513888(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0051193(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2016−0144933(KR,A)
【文献】 特表2018−524432(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0171188(US,A1)
【文献】 特開2019−073691(JP,A)
【文献】 特表2020−533463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 63/00
H01L 51/50
H05B 33/04
H05B 33/10
C08L 23/00
C08L 23/26
H01L 51/44
H01L 23/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オレフィン系樹脂、硬化性モノマー及び前記オレフィン系樹脂100重量部に対して26〜90重量部で含まれ、硬化後のガラス転移温度が55℃以下である硬化性オリゴマーを含むことを特徴とする、有機電子素子封止用組成物。
【請求項2】
前記オレフィン系樹脂は、重量平均分子量が10万以下であることを特徴とする、請求項1に記載の有機電子素子封止用組成物。
【請求項3】
前記オレフィン系樹脂は、少なくとも一つ以上の反応性官能基を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の有機電子素子封止用組成物。
【請求項4】
前記反応性官能基は、酸無水物基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、イソシアネート基、オキサゾリン基、オキセタン基、シアネート基、フェノール基、ヒドラジド基又はアミド基を含むことを特徴とする、請求項3に記載の有機電子素子封止用組成物。
【請求項5】
前記硬化性オリゴマーは、重量平均分子量が400〜5万g/molの範囲内であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の有機電子素子封止用組成物。
【請求項6】
前記硬化性オリゴマーは、1以上の硬化性官能基を含むことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の有機電子素子封止用組成物。
【請求項7】
前記硬化性官能基は、エポキシ基、グリシジル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミド基、ウレタン基、環状エーテル(cyclic ether)基、スルフィド(sulfide)基、アセタール(acetal)基又はラクトン(lactone)基を含むことを特徴とする、請求項6に記載の有機電子素子封止用組成物。
【請求項8】
前記硬化性モノマーは、重量平均分子量が400g/mol未満であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の有機電子素子封止用組成物。
【請求項9】
前記硬化性モノマーは、エポキシ化合物、オキセタン化合物又はアクリル単量体を含むことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の有機電子素子封止用組成物。
【請求項10】
前記硬化性モノマーは、オレフィン系樹脂100重量部に対して10〜45重量部で含まれることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の有機電子素子封止用組成物。
【請求項11】
無機フィラーをさらに含むことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の有機電子素子封止用組成物。
【請求項12】
前記無機フィラーは、オレフィン系樹脂100重量部に対して0.1重量部〜30重量部で含まれることを特徴とする、請求項11に記載の有機電子素子封止用組成物。
【請求項13】
陽イオン開始剤又はラジカル開始剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の有機電子素子封止用組成物。
【請求項14】
開始剤は、陽イオン開始剤及びラジカル開始剤を含み、前記陽イオン開始剤は、オレフィン系樹脂100重量部に対して0.01〜5重量部で含まれ、前記ラジカル開始剤は、オレフィン系樹脂100重量部に対して3〜12重量部で含まれることを特徴とする、請求項13に記載の有機電子素子封止用組成物。
【請求項15】
水分吸着剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の有機電子素子封止用組成物。
【請求項16】
前記水分吸着剤は、水分反応性吸着剤を含むことを特徴とする、請求項15に記載の有機電子素子封止用組成物。
【請求項17】
前記水分吸着剤は、平均粒径が0.1〜10μmの範囲内であることを特徴とする、請求項15または16に記載の有機電子素子封止用組成物。
【請求項18】
前記水分吸着剤は、オレフィン系樹脂100重量部に対して10〜150重量部で含まれることを特徴とする、請求項15から17のいずれか一項に記載の有機電子素子封止用組成物。
【請求項19】
基板;前記基板上に形成された有機電子素子;及び前記基板の周縁部上に前記有機電子素子の側面を取り囲むように形成され、請求項1から18のいずれか一項に記載の有機電子素子封止用組成物を含む側面封止層を含むことを特徴とする、有機電子装置。
【請求項20】
上部に有機電子素子が形成された基板の周縁部上に請求項1から18のいずれか一項に記載の有機電子素子封止用組成物を前記有機電子素子の側面を取り囲むように塗布する段階及び前記有機電子素子封止用組成物を硬化する段階を含むことを特徴とする、有機電子装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は、2017年12月18日に出願された大韓民国特許出願第10−2017−0174041号に基づく優先権の利益を主張し、当該大韓民国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
技術分野
本発明は、有機電子素子封止用組成物、それを含む有機電子装置及び前記有機電子装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
有機電子装置(OED;organic electronic device)は、正孔及び電子を用いて電荷の交流を発生する有機材料層を含む装置を意味し、その例としては、光電池装置(photovoltaic device)、整流器(rectifier)、トランスミッター(transmitter)及び有機発光ダイオード(OLED;organic light emitting diode)などが挙げられる。
【0004】
前記有機電子装置のうち有機発光ダイオード(OLED: Organic Light Emitting Diode)は、既存の光源に比べて電力消費量が少なく、応答速度が速く、表示装置又は照明の薄型化に有利である。また、OLEDは、空間活用性に優れて各種携帯用機器、モニター、ノートパソコン及びTVにわたる多様な分野において適用されるものと期待されている。
【0005】
OLEDの商用化及び用途拡大において、最も主要な問題点は耐久性問題である。OLEDに含まれた有機材料及び金属電極などは水分などの外部的要因によって非常に容易に酸化される。したがって、OLEDを含む製品は環境的要因に非常に敏感である。これによって、OLEDなどの有機電子装置に対する外部からの酸素又は水分などの浸透を効果的に遮断するために多様な方法が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、外部から有機電子装置に流入される水分又は酸素を効果的に遮断できる封止構造の形成が可能なので有機電子装置の寿命を確保することができ、前記封止構造の高温高湿での耐久信頼性を具現することができ、封止構造の形態維持性が高い封止用組成物及びそれを含む有機電子装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、封止用組成物に関する。前記封止用組成物は、例えば、OLEDなどの有機電子装置を封止又はカプセル化することに適用される封止材であってもよい。一つの例示で、本発明の封止用組成物は、有機電子素子の少なくとも一つの側面を封止又はカプセル化して封止構造を形成することに適用され得る。したがって、前記封止用組成物がカプセル化に適用された後には有機電子装置の周縁部に存在し得る。
【0008】
本明細書で用語「有機電子装置」は、互いに対向する一対の電極の間に正孔及び電子を用いて電荷の交流を発生する有機材料層を含む構造を有する物品又は装置を意味し、その例としては、光電池装置、整流器、トランスミッターおよび有機発光ダイオード(OLED)などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。本発明の一つの例示で、前記有機電子装置はOLEDであってもよい。
【0009】
例示的な有機電子素子封止用組成物は、オレフィン系樹脂、硬化性オリゴマー及び硬化性モノマーを含み得る。前記硬化性オリゴマーは、前記オレフィン系樹脂100重量部に対して、20〜90重量部、22〜70重量部、25〜50重量部、26〜45重量部、29〜40重量部又は30〜38.5重量部で含まれ得る。上記で硬化性オリゴマーは、硬化後のガラス転移温度が55℃以下、50℃以下、30℃以下、0℃以下、−10℃以下、−18℃以下、−25℃以下、−30℃以下又は−40℃以下である化合物であってもよく、下限は特別に限定されないが、−100℃以上であってもよい。一つの例示で、本発明の組成物は、ガラス転移温度が55℃超、30℃超、0℃超又は−10℃超である硬化性オリゴマーは含まないこともある。本発明は、オレフィン系樹脂、硬化性オリゴマー及び硬化性モノマーの封止組成物の配合において前記硬化性オリゴマーの含量及びガラス転移温度の範囲を調節することで、水分遮断性能を具現すると共に苛酷条件で封止構造の形態維持性及び耐湿熱耐久性を具現する。
【0010】
一つの例示で、本発明は、後述する水分吸着剤を封止組成物に含ませるようになるが、水分吸着剤は、封止構造に浸透した水分乃至は酸素との化学的反応を通じて上記を除去し得る物質を意味する。通常的に、水分吸着剤が封止構造内で水分と反応すると、水分と反応したほど体積が膨脹して応力(stress)が発生する。さらに、本発明の封止構造は、後述するように、有機電子素子が形成された基板の周縁部に水分吸着剤を多量含ませるようになるので、水分の吸着による膨脹応力を緩和させ得る程度の十分な弾性を有しないと、封止構造が被着体から薄利されるか、封止構造が破壊され得る。これによって、本発明は、前記封止用組成物の特定配合により水分遮断性能を具現する共に苛酷条件で封止構造の形態維持性及び高温高湿での耐久性を具現する。
【0011】
本明細書でガラス転移温度は、硬化後の物性であってもよい。本明細書で特に他に規定しない限り、前記ガラス転移温度は、50〜300℃のうちいずれか一つの温度で20分〜200分間硬化された後のガラス転移温度;照射量1J/cm〜10J/cmの紫外線を照射した後のガラス転移温度;又は前記紫外線の照射以後に前記熱硬化を追加で進行した後のガラス転移温度を意味し得る。
【0012】
本発明の具体例で、封止用組成物のオレフィン系樹脂は、反応性官能基を一つ以上含むオレフィン系樹脂であってもよい。一つの例示で、前記オレフィン系樹脂は、疎水性樹脂であってもよく、その透湿度が50g/m・day以下であってもよい。本発明の封止用組成物は、有機電子装置を封止又はカプセル化するのに適用されることを考慮するとき、前記透湿度の範囲を満足するオレフィン系樹脂を含むことで、優れた水分遮断性を提供し得る。本明細書で「透湿度が50g/m・day以下である樹脂」とは、前記樹脂を5〜100μmのうちいずれか一つの厚さの樹脂層に形成されたフィルム形態で製造された状態で前記フィルムの厚さ方向に対して測定した透湿度(Water Vapor Transmission Rate)が50g/m・day以下で測定される樹脂を意味し得る。前記透湿度は、100°F及び100%の相対湿度下で測定され、50g/m・day以下、40g/m・day以下、30g/m・day以下、20g/m・day以下又は10g/m・day以下であってもよい。前記透湿度は、低いほど優れた水分遮断性を示すことができるため、その下限は特に限定されないが、例えば、0g/m・day又は0.01g/m・dayであってもよい。
【0013】
具体的に、本発明の例示的なオレフィン系樹脂は、単量体の混合物から誘導されたオレフィン系樹脂を含み、混合物は、少なくとも炭素数4〜7のイソオレフィン単量体成分又はマルチオレフィン単量体成分を有することができる。イソオレフィンは、例えば、全単量体重量に対して70〜100重量%、又は85〜99.5重量%の範囲で存在し得る。マルチオレフィン誘導成分は、0.5〜30重量%、0.5〜15重量%又は0.5〜8重量%の範囲で存在し得る。
【0014】
イソオレフィンは、例えば、イソブチレン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、1−ブテン、2−ブテン、メチルビニルエーテル、インデン、ビニルトリメチルシラン、ヘキセン又は4−メチル−4−ペンテンが例示され得る。マルチオレフィンは、炭素数4〜14であり得、例えば、イソプレン、ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、ミルセン、6,6−ジメチル−フルベン、ヘキサジエン、シクロペンタジエン又はピペリレンが例示され得る。また、他の重合可能な単量体、例えば、スチレンとジクロロスチレンが単独重合又は共重合され得る。
【0015】
本発明でオレフィン系樹脂は、イソブチレン系単独重合体又は共重合体を含んでいてもよい。上記で言及したように、イソブチレン系オレフィン系樹脂又は重合体は、イソブチレンから70モル%以上の繰り返し単位と一つ以上の他の重合可能な単位を含むオレフィン系樹脂又は重合体を意味し得る。
【0016】
本発明で、オレフィン系樹脂は、ブチルゴム又は分枝されたブチル型ゴムであってもよい。例示的なオレフィン系樹脂は、不飽和ブチルゴム、例えば、オレフィン又はイソオレフィンとマルチオレフィンの共重合体である。本発明の封止用組成物に含まれるオレフィン系樹脂としてポリ(イソブチレン−コ−イソプレン)、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリ(スチレン−コ−ブタジエン)、天然ゴム、ブチルゴム及びこれらの混合物が例示され得る。本発明で有用なオレフィン系樹脂は、本技術で公知にされた任意の適合した手段によって製造され得、本発明はここでオレフィン系樹脂を製造する方法によって限定されない。
【0017】
一つの例示で、前記オレフィン系樹脂は、低分子量のポリイソブチレン樹脂であってもよい。例えば、前記オレフィン系樹脂は、重量平均分子量が10万g/mol以下、10万g/mol未満、9万g/mol以下又は7万g/mol以下であり、下限は、500g/mol以上又は55,000g/mol以上であってもよい。本発明は、前記範囲でオレフィン系樹脂の重量平均分子量を制御することで、塗布及びカプセル化工程に適合した封止用組成物を具現し得る。封止用組成物は、液状の形態を有し得、後述する有機電子装置の側面封止の塗布に適切に適用され得る。
【0018】
前記オレフィン系樹脂に含まれる反応性官能基は、極性官能基であってもよい。また、前記反応性官能基は、上述した硬化性オリゴマー及び/又は硬化性モノマーと反応性を有し得る。前記反応性官能基の種類は特に制限されないが、例えば、酸無水物基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシ基、イソシアネート基、オキサゾリン基、オキセタン基、シアネート基、フェノール基、ヒドラジド基又はアミド基であり得る。前記反応性官能基を有するオレフィン系樹脂の例示としては、琥珀酸無水物変性ポリイソブチレン、無水マレイン酸変性液状ポリイソブチレン、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレン、エポキシ変性ポリイソプレン、ヒドロキシル基変性液状ポリイソプレン又はアリル変性液状ポリイソプレンを含み得る。本発明は、上記のようなオレフィン系樹脂が上述した硬化性オリゴマー及び/又は硬化性モノマーと架橋構造を形成することで、本発明で目的とする水分遮断性、取り扱い性などの物性を有する封止用組成物を具現し得る。
【0019】
一つの例示で、本発明の封止用組成物は、硬化性オリゴマーを含み得る。前記オリゴマーは、硬化性官能基が1以上であるか、2以上の多官能性であってもよい。本発明は、前記硬化性オリゴマーを含むことで、既存のオレフィン系樹脂が有する高温高湿での低い耐熱耐久性を補いながら封止構造が有する弾性を維持するようにする。
【0020】
前記硬化性オリゴマーは、重量平均分子量が400〜5万g/mol、430〜3万g/mol、450〜1万g/mol、500〜8000g/mol、800〜6000g/mol、1000〜5000g/mol又は1500〜4000g/molの範囲内であってもよい。本発明は、前記重量平均分子量の範囲を有するオリゴマーを含むことで、目的とする側面封止材としての物性を具現し得る。本明細書で「重量平均分子量」は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定した標準ポリスチレンに対する換算数値を意味する。
【0021】
一つの例示で、前記硬化性オリゴマーは、少なくとも一つ以上又は2以上の硬化性官能基を含み得る。前記硬化性官能基は、エポキシ基、グリシジル基、イソシアネート基、ヒドロキシ基、カルボキシル基又はアミド基などのような熱硬化可能な官能基を一つ以上含むか、あるいはウレタン基、エポキシド(epoxide)基、環状エーテル(cyclic ether)基、スルフィド(sulfide)基、アセタール(acetal)基又はラクトン(lactone)基などの電磁波の照射によって硬化可能な官能基を含み得る。本発明の具体例で、前記硬化性オリゴマーは、ウレタンアクリレート、シリコーンアクリレート、脂肪族アクリレート又はポリエステルアクリレートを含み得るが、これらに限定されるものではない。一つの例示で、上述したガラス転移温度の範囲を考慮するとき、前記硬化性オリゴマーは、エポキシアクリレートは含まないこともあるが、これに限定されるものではない。
【0022】
本発明の具体例で、前記封止用組成物は、硬化性モノマーをさらに含んでいてもよい。前記硬化性モノマーは、重量平均分子量が400g/mol未満、50〜380g/mol又は100〜300g/molであってもよい。本発明は、前記硬化性モノマーを含むことで、有機電子素子が形成された基板上に封止材を塗布する際において、優れた塗布特性及び工程性を具現する。また、本発明は、前記硬化性モノマーが含まれることによって、封止用組成物を無溶剤タイプで提供して素子に加えられる損傷を防止し得る。
【0023】
一つの例示で、前記硬化性モノマーは、25℃の温度、5%のストレン及び1Hzの振動数で測定した粘度が500cP以下又は50cP〜300cPの範囲であってもよい。本発明は、前記粘度範囲を有する硬化性モノマーを含むことで、封止用組成物を有機電子素子の周縁部に塗布する際において工程性を確保し得る。
【0024】
前記硬化性モノマーの素材は特に限定されず、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物又はアクリル単量体を含み得る。前記アクリル単量体は、単官能性アクリル化合物又は多官能性アクリル化合物を含み得る。
【0025】
一つの例示で、前記硬化性モノマーとして、芳香族又は脂肪族;又は直鎖型又は分枝鎖型のエポキシ樹脂を用いることができる。本発明の一具現例では、2個以上の官能基を含有するものとして、エポキシ当量が50g/eq〜350g/eq又は100g/eq〜300g/eqであるエポキシ化合物を用いることができる。本発明では、硬化性モノマーとして分子構造内に環状構造を含むエポキシ樹脂を用いることができ、例えば、脂環式エポキシ樹脂を用いることができる。前記脂環式エポキシ樹脂は、オレフィン系樹脂又は硬化性モノマーと相溶性に優れ、相分離なく硬化されて組成物の均一な架橋を具現し得る。
【0026】
また、直鎖又は分枝鎖の脂肪族エポキシ化合物は、脂肪族グリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルへキシルグリシジルエーテル又はネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルを含み得るが、これらに制限されない。
【0027】
また、前記硬化性モノマーとして前記オキセタン基化合物は、オキセタン官能基を有する限り、その構造は制限されず、例えば、TOAGOSEI社のOXT−221、CHOX、OX−SC、OXT101、OXT121、OXT221又はOXT212、又はETERNACOLL社のEHO、OXBP、OXTP又はOXMAが例示され得る。
【0028】
また、前記硬化性モノマーとして前記アクリル単量体は、ポリブタジエンジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオール(dodecanediol)ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)ジアクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート又はこれらの混合物を含み得る。
【0029】
本発明の具体例で、硬化性モノマーは、前記オレフィン系樹脂100重量部に対して、10〜45重量部、12〜43重量部、13〜38重量部又は14〜25重量部で含まれ得る。本発明は、前記含量範囲内で、封止用組成物の塗布特性を向上させ、耐熱維持力を具現し得る。
【0030】
一つの例示で、前記封止用組成物は、無機フィラーをさらに含んでいてもよい。前記無機フィラーは、後述する水分吸着剤とは別に、封止用組成物の揺変性特性を制御するために含まれ得る。本発明で用いられるフィラーの具体的な種類は特に制限されず、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ又はタルクなどの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0031】
また、本発明は、フィラー及び有機バインダーとの結合効率を高めるために、前記フィラーとして有機物質で表面処理された製品を用いるか、追加的にカップリング剤を添加して用いることができる。
【0032】
本発明の封止用組成物は、オレフィン系樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部、1重量部〜28重量部又は3重量部〜23重量部の無機フィラーを含み得る。本発明は、無機フィラーの含量を前記範囲内に調節することで、本発明で目的とする封止構造の形状が容易に具現可能な封止材を提供し得る。
【0033】
また、前記無機フィラーのBET表面積は、35〜500m/g、40〜400m/g、50〜300m/g又は60〜200m/gの範囲内にあってもよい。前記比表面積は、BET法を用いて測定し、具体的に、チューブに前記無機フィラー1gの試料を添加し、−195℃で前処理なしにASAP2020(Micromeritics、アメリカ)を用いて測定し得る。同一サンプルに対して3回測定して平均値を得られる。本発明は、無機フィラーの比表面積を前記範囲内に調節することで、本発明で目的とする封止構造の形状が容易に具現可能な封止材を提供し得る。
【0034】
また、本発明の具体例で、前記封止用組成物は、必要に応じて、硬化剤を含んでいてもよい。硬化剤は、熱硬化剤又は光硬化剤であってもよい。例えば、硬化剤は、オレフィン系樹脂、硬化性オリゴマー又は硬化性モノマーに含まれる官能基の種類によって適切な種類が選択及び用いられ得、1種以上が用いられ得る。
【0035】
一つの例示で、エポキシ基を含む場合、硬化剤としては、この分野で公知にされているエポキシ硬化剤として、例えば、アミン硬化剤、イミダゾール硬化剤、フェノール硬化剤、リン硬化剤又は酸無水物硬化剤などの1種又は2種以上を用いることができるが、これらに制限されるものではない。
【0036】
一つの例示で、前記硬化剤としては、常温で固相であり、融点又は分解温度が80℃以上であるイミダゾール化合物を用いることができる。このような化合物としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール又は1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾールなどが例示され得るが、これらに制限されるものではない。
【0037】
本発明の具体例で、前記硬化剤は、イミダゾール−イソシアヌル酸付加物、アミン−エポキシ付加物、三フッ化ホウ素−アミン錯体又はカプセル化イミダゾールなどの潜在性熱硬化剤であってもよい。すなわち、本発明は、前記封止用組成物の硬化工程で光の照射が先に進行されて初期流動性を制御することができ、前記硬化剤は、光の照射後に本硬化段階で潜在性硬化剤として完全硬化させ得る。
【0038】
硬化剤の含量は、組成物の組成、例えば、樹脂種類や割合によって選択され得る。例えば、硬化剤は、オレフィン系樹脂100重量部に対して、1重量部〜100重量部、1重量部〜90重量部又は1重量部〜80重量部で含み得る。前記重量割合は、オレフィン系樹脂、アクリルオリゴマー又は硬化性モノマーの官能基の種類及び割合、又は具現しようとする架橋密度などによって調節され得る。
【0039】
本発明の具体例で、封止用組成物は、開始剤を含んでいてもよい。開始剤として、例えば、陽イオン開始剤又は光ラジカル開始剤を含み得る。
【0040】
陽イオン開始剤としては、陽イオン光重合開始剤であってもよく、例えば、オニウム塩(onium salt)又は有機金属塩(organometallic salt)系列のイオン化陽イオン開始剤又は有機シラン又は潜在性硫酸(latent sulfonic acid)系列や非イオン化陽イオン光重合開始剤を用いることができる。オニウム塩系列の開始剤としては、ジアリールヨードニウム塩(diaryliodonium salt)、トリアリールスルホニウム塩(triarylsulfonium salt)又はアリールジアゾニウム塩(aryldiazonium salt)などが例示され得、有機金属塩系列の開始剤としては、鉄アレーン(iron arene)などが例示され得、有機シラン系列の開始剤としては、o−ニトリルベンジルトリアリールシリルエーテル(o−nitrobenzyl triaryl silyl ether)、トリアリールシリルパーオキサイド(triaryl silyl peroxide)又はアシルシラン(acyl silane)などが例示され得、潜在性硫酸系列の開始剤としては、α−スルホニルオキシケトン又はα−ヒドロキシメチルベンゾインスルホネートなどが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0041】
ラジカル開始剤は、光ラジカル開始剤であってもよい。光開始剤の具体的な種類は、硬化速度及び黄変可能性などを考慮して適切に選択され得る。例えば、ベンゾイン系、ヒドロキシケトン系、アミノケトン系又はホスフィンオキシド系光開始剤などを用いることができ、具体的には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインn−ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、アセトフェノン、ジメチルアミノアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−2−(ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、ベンゾフェノン、p−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ジクロロベンゾフェノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミノアントラキノン、2−メチルチオキサントン(thioxanthone)、2−エチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p−ジメチルアミノ安息香酸エステル、オリゴ[2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン]及び2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシドなどを用いることができる。
【0042】
光ラジカル開始剤の含量は、ラジカル光硬化性化合物の官能基の種類及び割合、又は具現しようとする架橋密度などによって変更され得る。例えば、前記光ラジカル開始剤は、オレフィン系樹脂100重量部に対して、0.1〜15重量部、3重量部〜12重量部又は6重量部〜10重量部の割合で配合され得る。本発明は、光ラジカル開始剤を前記含量範囲に制御することで、封止用組成物に適切な架橋構造を導入して高温での流動制御を具現し得る。
【0043】
一つの例示で、前記開始剤は、陽イオン開始剤及びラジカル開始剤を一緒に含み得、前記陽イオン開始剤は、オレフィン系樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部、0.05〜5重量部、0.1〜4重量部、0.3〜2重量部又は0.5重量部〜1.5重量部で含まれ、前記ラジカル開始剤は、オレフィン系樹脂100重量部に対して、3〜12重量部、4〜11重量部、5〜10重量部、6〜9重量部又は7〜8重量部で含まれ得る。一つの例示で、本発明のラジカル開始剤の含量は、陽イオン開始剤の含量よりさらに多いことがある。本発明は、上記含量範囲を調節することで、封止用組成物内の適正架橋構造を具現して高温高湿での耐熱耐久性を向上させ得る。
【0044】
また、本発明の封止用組成物は、水分吸着剤を含んでいてもよい。用語「水分吸着剤」は、物理的又は化学的反応などを通して外部から流入する水分又は湿気を吸着又は除去できる成分を総称する意味で用いられ得る。すなわち、水分反応性吸着剤又は物理的吸着剤を意味し、その混合物も使用可能である。
【0045】
前記水分反応性吸着剤は、樹脂組成物又はその硬化物の内部に流入した湿気、水分又は酸素などと化学的に反応して水分又は湿気を吸着する。前記物理的吸着剤は、樹脂組成物又はその硬化物に浸透する水分又は湿気の移動経路を長くしてその浸透を抑制することができ、樹脂組成物又はその硬化物のマトリックス構造及び水分反応性吸着剤などとの相互作用を通じて水分及び湿気に対する遮断性を最大化することができる。
【0046】
本発明で使用できる水分吸着剤の具体的な種類は特に制限されず、例えば、水分反応性吸着剤の場合、金属酸化物、金属塩又は五酸化燐(P)などの1種又は2種以上の混合物が挙げられ、物理的吸着剤の場合、ゼオライト、ジルコニア又はモンモリロナイトなどが挙げられる。
【0047】
上記で金属酸化物の具体的な例としては、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化カルシウム(CaO)又は酸化マグネシウム(MgO)などが挙げられ、金属塩の例としては、硫酸リチウム(LiSO)、硫酸ナトリウム(NaSO)、硫酸カルシウム(CaSO)、硫酸マグネシウム(MgSO)、硫酸コバルト(CoSO)、硫酸ガリウム(Ga(SO)、硫酸チタン(Ti(SO)又は硫酸ニッケル(NiSO)などの硫酸塩、塩化カルシウム(CaCl)、塩化マグネシウム(MgCl)、塩化ストロンチウム(SrCl)、塩化イットリウム(YCl)、塩化銅(CuCl)、フッ化セシウム(CsF)、フッ化タンタル(TaF)、フッ化ニオブ(NbF)、臭化リチウム(LiBr)、臭化カルシウム(CaBr)、臭化セシウム(CeBr)、臭化セレン(SeBr)、臭化バナジウム(VBr)、臭化マグネシウム(MgBr)、ヨウ化バリウム(BaI)又はヨウ化マグネシウム(MgI)などの金属ハロゲン化物;又は過塩素酸バリウム(Ba(ClO)又は過塩素酸マグネシウム(Mg(ClO)などの金属塩素酸塩などが挙げられるが、これらに制限されるものではない。
【0048】
本発明では、前記金属酸化物などの水分吸着剤を適切に加工した状態で組成物に配合することができる。例えば、水分吸着剤の粉砕工程が必要であり得、水分吸着剤の粉砕には、3ロールミル、ビーズミル又はボールミルなどの工程が用いられ得る。
【0049】
本発明の封止用組成物は、水分吸着剤をオレフィン系樹脂100重量部に対して、10〜150重量部、35〜120重量部、40〜100重量部、45〜90重量部、50〜85重量部、55〜80重量部、60〜79重量部又は63〜77重量部の量で含み得る。本発明の封止用組成物は、好ましくは、水分吸着剤の含量を10重量部以上に制御することで、封止用組成物又はその硬化物が優秀な水分及び湿気遮断性を表わすようにすることができる。また、水分吸着剤の含量を150重量部以下に制御して薄膜の封止構造を形成する場合、優れた水分遮断特性を現わすようにすることができる。
【0050】
一つの例示で、前記水分吸着剤の平均粒径は、0.1〜10μm、1〜8μm、1.5〜5μm又は1.5〜3.5μmの範囲内であってもよい。本発明で粒径は特に他に規定しない限り、D50粒度分析によって測定したものであり得る。本発明は、前記粒径を調節することで、水分との反応性を高めると共に、過量の水分吸着剤が封止構造に含まれて水分遮断性能を向上させ得る。
【0051】
一つの例示で、前記封止用組成物は、常温、例えば、約25℃で液状であってもよい。本発明の具体例で、封止用組成物は、無溶剤タイプの液状であってもよい。前記封止用組成物は、有機電子素子を封止することに適用され得、具体的には、有機電子素子の側面を封止することに適用され得る。本発明は、封止用組成物が常温で液状の形態を有することで、有機電子素子の側面に組成物を塗布する方式で素子を封止することができる。
【0052】
本発明の具体例で、有機電子素子の側面をシーリングする際において液状の組成物を塗布する工程を経るが、従来には塗布後に組成物の流動性が高くて目的とするカプセル化形状を維持しにくい問題があった。一つの例示で、本発明は、目的とする位置に塗布された封止用組成物に光を照射して仮硬化を進めることで、流動性が制御された後に本硬化を進めることができる。これによって、本発明は、塗布された封止用組成物を目的とするカプセル化形状で本硬化の前まで維持させ得る。すなわち、本発明は、封止用組成物が上述した特定組成物を含むことで、二重硬化方式を導入することができ、これによって、封止用組成物が塗布された以後に高温での流動制御が可能である。
【0053】
本発明による封止用組成物には、上述した構成の外にも前述した発明の効果に影響を及ぼさない範囲で多様な添加剤が含まれ得る。例えば、樹脂組成物は、消泡剤、カップリング剤、粘着付与剤、紫外線安定剤又は酸化防止剤などを目的とする物性により適正範囲の含量で含み得る。一つの例示で、封止用組成物は、消泡剤をさらに含んでいてもよい。本発明は、消泡剤を含むことで、上述した封止用組成物の塗布工程で脱泡特性を具現し、信頼性ある封止構造を提供し得る。また、本発明で要求する封止用組成物の物性を満足する限り、消泡剤の種類は特に限定されない。
【0054】
一つの例示で、前記封止用組成物は、粘着剤組成物又は接着剤組成物であってもよい。これによって、前記封止用組成物は、有機電子素子が形成された基板と素子上のカバー基板を付着する構造用接着剤としての役目もできる。
【0055】
また、本発明は、有機電子装置に関する。例示的な有機電子装置は、図1に示したように、基板21;前記基板21上に形成された有機電子素子23;及び前記基板21の周縁部上に前記有機電子素子23の側面を取り囲むように形成され、上述した封止用組成物を含む側面封止層10を含み得る。また、例示的な有機電子装置は、有機電子素子23の前面をカバーする前面封止層11を追加で含み得る。
【0056】
前記前面封止層及び側面封止層は、同一平面上に存在することができる。上記で「同一」とは、実質的同一を意味し得る。例えば、前記同一平面で実質的同一とは、厚さ方向に±5μm又は±1μmの誤差を有し得ることを意味する。前記前面封止層が素子の上部面を封止することができ、上部面だけでなく側面も共に封止することができる。側面封止層は素子の側面に形成できるが、有機電子素子の側面に直接接触しないこともある。例えば、前面封止層が素子の上部面及び側面と直接接触するように封止され得る。すなわち、側面封止層は素子と接触せずに有機電子装置の平面図で基板の周縁部に位置することができる。
【0057】
本明細書で用語「周縁部」とは、周りの縁部分を意味する。すなわち、上記で基板の周縁部は、基板の周りの縁部分を意味し得る。
【0058】
前記側面封止層を構成する素材は特に限定されないが、上述した封止用組成物を含むことができる。
【0059】
一方、前面封止層は封止樹脂を含むことができ、前記封止樹脂は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、スチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性エラストマー、ポリオキシアルキレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアミド樹脂又はこれらの混合物などが例示され得る。前面封止層を構成する成分は、前述した封止用組成物と同一であるか異なり得る。ただし、前面封止層は素子と直接接触するという点で、前述した水分吸着剤を含まないか少量含むことができる。例えば、前面封止層は、封止樹脂100重量部に対し、0〜20重量部の水分吸着剤を含み得る。
【0060】
一つの例示で、前記有機電子素子は、基板上に形成された反射電極層、前記反射電極層上に形成されて少なくとも発光層を含む有機層及び前記有機層上に形成される透明電極層を含むことができる。
【0061】
本発明で有機電子素子23は、有機発光ダイオードであってもよい。
【0062】
一つの例示で、本発明による有機電子装置は、前面発光(top emission)型であってもよいが、これに限定されず、背面発光(bottom emission)型にも適用され得る。
【0063】
前記有機電子素子は、上述した前面封止層又は側面封止層と素子の電極との間に前記電極を保護する保護膜(パッシベーション膜)をさらに含んでいてもよい。前記保護膜は、有機膜と無機膜が交代で積層されている形態であってもよい。一つの例示で、前記無機膜は、Al、Zr、Ti、Hf、Ta、In、Sn、Zn及びSiからなる群より選択された一つ以上の金属酸化物又は窒化物であってもよい。前記無機膜の厚さは、0.01μm〜50μm又は0.1μm〜20μm又は1μm〜10μmであってもよい。一つの例示で、本発明の無機膜は、ドーパントが含まれない無機物であるか、又はドーパントが含まれた無機物であってもよい。ドーピングできる前記ドーパントは、Ga、Si、Ge、Al、Sn、Ge、B、In、Tl、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Co及びNiからなる群より選択された1種以上の元素又は前記元素の酸化物であってもよいが、これらに限定されない。
【0064】
また、本発明は、有機電子装置の製造方法に関する。
【0065】
一つの例示で、前記製造方法は、上部に有機電子素子23が形成された基板21の周縁部上に前述した封止用組成物を前記有機電子素子23の側面を囲むように塗布する段階を含むことができる。前記封止用組成物を塗布する段階は、前述した側面封止層10を形成する段階であり得る。
【0066】
具体的に、上記側面封止層を形成する段階は、前述した封止用組成物を前記有機電子素子23の側面を囲むように塗布する段階を含むことができ、さらに前記封止用組成物を硬化する段階を含むことができる。前記封止用組成物を硬化する段階は、光を照射する段階及び/又は熱を加える段階を含むことができる。一つの例示で、前記封止用組成物は、光の照射1段階のみを通じて硬化され得るが、これに限定されず、仮硬化する段階及び本硬化する段階を含むことができる。前記仮硬化する段階は、光を照射することを含むことができ、本硬化する段階は、光を照射すること又は熱を加えることを含むことができる。
【0067】
上記で、有機電子素子23が形成された基板21は、例えば、ガラス又はフィルムなどの基板21上に真空蒸着又はスパッタリングなどの方法で反射電極又は透明電極を形成し、前記反射電極上に有機材料層を形成して製造され得る。前記有機材料層は、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子注入層及び/又は電子輸送層を含むことができる。引き続き、前記有機材料層上に第2電極をさらに形成する。第2電極は、透明電極又は反射電極であり得る。その後、前記基板21の周縁部上に前記有機電子素子23を側面カバーするように前述した側面封止層10を適用する。このとき、前記側面封止層10を形成する方法は特に限定されず、前記基板21の側面に前述した封止用組成物をスクリーン印刷、ディスペンサー塗布などの工程を用いることができる。また、前記有機電子素子の23の前面を封止する前面封止層11を適用することができる。前記前面封止層11を形成する方法は当業界の公知の方法を適用することができ、例えば、液晶滴下注入(One Drop Fill)工程を用いることができる。
【0068】
また、本発明では、有機電子装置を封止する前面又は側面封止層に対して硬化工程を行うこともできるが、このような硬化工程(本硬化)は、例えば、加熱チャンバー又はUVチャンバーで進行され得、好ましくは、両方で進行することもできる。本硬化時の条件は、有機電子装置の安定性などを考慮して適切に選択され得る。
【0069】
一つの例示で、前述した封止用組成物を塗布した後に前記組成物に光を照射して架橋を誘導することができる。前記光を照射することは、UV−A領域帯の波長範囲を有する光を0.3〜6J/cmの光量又は0.5〜4J/cmの光量で照射することを含み得る。上述のように、光の照射を通じて仮硬化することによって基本となり得る封止構造の形状を具現することができる。
【0070】
一つの例示で、前記製造方法は、光の照射後に仮硬化された封止用組成物を本硬化することを含むことができる。本硬化は、40℃〜200℃、50℃〜150℃又は70℃〜120℃の温度で1時間〜24時間、1時間〜20時間、1時間〜10時間又は1時間〜5時間の間熱硬化することをさらに含むことができる。又は本硬化は、UV−A領域帯の波長範囲を有する光を0.3〜6J/cmの光量又は0.5〜4J/cmの光量で照射することを含むことができる。前記熱を加える段階又は光を照射する段階を通じて封止用組成物は本硬化が進行され得る。
【発明の効果】
【0071】
本発明は、外部から有機電子装置に流入される水分又は酸素を効果的に遮断できる封止構造の形成が可能なので有機電子装置の寿命を確保することができ、前記封止構造の高温高湿での耐久信頼性を具現することができ、封止構造の形態維持性が高い封止用組成物及びこれを含む有機電子装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1図1は、本発明の一実施例による有機電子装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
以下、本発明による実施例及び本発明によらない比較例を通じて本発明をより詳しく説明するが、本発明の範囲は、下記提示された実施例によって制限されるものではない。
【0074】
以下、実施例及び比較例で、オレフィン系樹脂として酸無水物変性ポリイソブチレン樹脂(BASF社、Glissopal SA、以下、PIBSA)を用いた。2官能(多官能)硬化性オリゴマーとして、エポキシアクリレート(Sartomer、CN110、Tg60℃)、ウレタンアクリレート(Sartomer、CN9021、Tg−54℃)及びフレキシブルエポキシ(Epiclon−EXA−4816、以下、EXA4816、Tg−20℃)を用い、硬化性モノマーとして、脂環式エポキシ樹脂(Daicel社、Celloxide 2021P、Mw:250g/mol、エポキシ当量130g/eq、粘度250cPs、以下、C2021P)、単官能性アクリレート(SR420)及び1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を用いた。無機フィラーとして、フュームド(Fumed)シリカ(Aerosil、Evonik、R805、粒子サイズ10〜20nm、BET=150m/g)を用い、水分吸着剤として、酸化カルシウム(CaO、平均粒径8μm、Aldrich)を用いた。光開始剤として、光陽イオン開始剤(San−apro、CPI−101A)及びラジカル開始剤(TPO)を用いた。
【0075】
実施例1〜実施例4及び比較例1〜比較例4
前記組成に対して、下記表1の重量割合で配向して混合容器に投入した。単位は重量部である。前記混合容器をプラネタリーミキサー(Planetary mixer)(クラボウ、KK−250s)を用いて均一な組成物溶液を製造した。
【0076】
【表1】
【0077】
以下、実施例及び比較例で製造された封止用組成物に対する物性は下記の方式で評価した。
【0078】
1.弾性率の測定
実施例又は比較例で製造した封止用組成物を10×30mmの直四角形状(厚さ10〜400μm)で形成し、UVを照射(メタルハライドランプ3J/cm)した後、100℃で1時間硬化した試片を作って中心部が10×10mmになるように試片の上下を3Mテープで付ける。
【0079】
製作された試片の上下テープ部分を引長器に固定し、固定された試片の長さと幅が10×10mmになるようにローディングして、25℃で5mm/minの速度でy軸方向に引張するときかかる力を測定する。
【0080】
測定されたグラフ(X軸:試片の長軸長さ、Y軸:引張時にかかる力)で5mm以内の初盤の引張範囲での勾配を下記式に代入して弾性率を測定する(勾配、試片の長軸/短軸の長さ、試片の厚さを代入)。
【0081】
測定は、TA(Texture Analyser)−XT2 plus器機を用い、測定時間は、試片破断時に止めらせた。
【0082】
測定されたグラフの勾配を下の式に代入して弾性率を計算した。
【0083】
[一般式1]
E = Slope × (length/(width × thickness))
【0084】
2.伸長率の測定
前記弾性率の測定が完了したグラフで、破断のとき、前記試片の初期長さに対して伸びた長さの割合を計算する。
【0085】
伸長率(%)= ΔL / L × 100
【0086】
ΔLは、試片が破断するまで試片の長軸が伸びた長さを意味し、Lは、試片の初期長軸方向の長さを意味する。
【0087】
3.耐熱性及び耐湿性
実施例又は比較例で製造した封止用組成物溶液を、0.7T Soda−Limeガラスにコーティングバーを用いて200μmの層に塗布した。その後、同一のガラスで合着してサンプルを製造し、前記封止用組成物にUV−A領域帯の波長範囲を有する光(メタルハライドランプ)を3J/cmの光量で照射した後、100℃のオーブンで1時間の間熱を加えた。その後、サンプルを85℃及び85%の相対湿度の恒温恒湿チャンバーで約1000時間の間維持した。
【0088】
耐熱性の測定は、塗布領域内部及び側面に変化が全くない場合をO、塗布領域内部に空き空間 (void) が発生した場合、Xで表示した。
【0089】
耐湿性の測定は、水分が浸透した領域の浮きが全くない場合をO、ガラスの水分浸透部位に浮きが発生した場合、Xで表示した。
【0090】
4.水分遮断性
100mm×100mmサイズのガラス基板上にカルシウムを5mm×5mmのサイズ及び100nmの厚さで蒸着し、前記カルシウムを除外した縁部に実施例及び比較例の封止用組成物を塗布した。前記塗布された状態で、100mm×100mmサイズのカバーガラスで合着した後、メタルハライド光源を用いて3J/cmの光量でUVを照射した後、100℃のオーブンで1時間の間熱を加えた。上記得られた試片を85℃及び85%の相対湿度の恒温恒湿チャンバーで観察して、水分浸透による酸化反応によってカルシウムが透明になり始めた時点を観察する。
【0091】
【表2】
【符号の説明】
【0092】
1:封止用組成物
10:側面封止層
11:前面封止層
21:基板
22:カバー基板
23:有機電子素子
図1