(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976444
(24)【登録日】2021年11月11日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】高分子電解質及びこの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0565 20100101AFI20211125BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20211125BHJP
H01B 1/06 20060101ALI20211125BHJP
H01B 1/12 20060101ALI20211125BHJP
C08G 65/32 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
H01M10/0565
H01M10/052
H01B1/06 A
H01B1/12 Z
C08G65/32
【請求項の数】10
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2020-535064(P2020-535064)
(86)(22)【出願日】2019年7月24日
(65)【公表番号】特表2021-508159(P2021-508159A)
(43)【公表日】2021年2月25日
(86)【国際出願番号】KR2019009179
(87)【国際公開番号】WO2020022777
(87)【国際公開日】20200130
【審査請求日】2020年6月23日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0086287
(32)【優先日】2018年7月25日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】505282042
【氏名又は名称】ポステック・アカデミー‐インダストリー・ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】デイル・キム
(72)【発明者】
【氏名】ムン・ジョン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ジョンヒョン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ハ・ヨン・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】スファン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ソン・チョル・イム
(72)【発明者】
【氏名】ジフン・アン
【審査官】
村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−243568(JP,A)
【文献】
特開2011−090957(JP,A)
【文献】
特開2001−043896(JP,A)
【文献】
特開2002−334698(JP,A)
【文献】
特開平06−236770(JP,A)
【文献】
特開2001−253921(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0308245(US,A1)
【文献】
国際公開第2010/083325(WO,A1)
【文献】
特表2011−506629(JP,A)
【文献】
特開2013−073846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05−10/0587
H01B 1/06
H01B 1/12
C08G 65/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンオキシド単量体を含む高分子;及び
リチウム塩;を含む高分子電解質であって、
前記高分子の末端が1個ないし4個の窒素化合物官能基またはリン化合物官能基に置換されていて、
前記高分子の末端と窒素化合物官能基またはリン化合物官能基は、C2ないしC20のアルキレンリンカー、C2ないしC20のエーテルリンカー及びC2ないしC20のアミンリンカーからなる群から選択される1種によって連結され
、
前記エチレンオキシド単量体を含む高分子は、下記化学式1ないし10からなる群から選択される1種以上である、高分子電解質。
[化学式1]
【化1】
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
[化学式4]
【化4】
[化学式5]
【化5】
[化学式6]
【化6】
[化学式7]
【化7】
[化学式8]
【化8】
[化学式9]
【化9】
[化学式10]
【化10】
(ただし、1≦n≦200で、1≦m≦200である。)
【請求項2】
前記化学式9及び化学式10は、ジャイロイド(gyroid)構造であることを特徴とする請求項1に記載の高分子電解質。
【請求項3】
前記リチウム塩は、LiTFSI, LiFSI, LiPF6, LiCl, LiBr, LiI, LiClO4, LiBF4, LiB10Cl10, LiPF6, LiCF3SO3, LiCF3CO2, LiAsF6, LiSbF6, LiPF6, LiAlCl4, CH3SO3Li, CF3SO3Li、クロロボランリチウム及び4−フェニルホウ酸リチウムからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の高分子電解質。
【請求項4】
前記エチレンオキシド単量体を含む高分子の分子量は1ないし20kg/molであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の高分子電解質。
【請求項5】
前記高分子電解質において、
前記エチレンオキシド単量体を含む高分子の[EO]と前記リチウム塩の[Li+]の割合である[Li+]/[EO]値が0.02ないし0.08であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の高分子電解質。
【請求項6】
前記高分子電解質のイオン輸送特性が10−5ないし10−3S/cmであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の高分子電解質。
【請求項7】
前記高分子電解質は全固体電池用固体電解質であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の高分子電解質。
【請求項8】
(a)エチレンオキシド単量体を含む高分子に、窒素化合物またはリン化合物を添加して前記高分子の末端を改質する段階;及び
(b)リチウム塩を添加する段階;を含む高分子電解質の製造方法であって、
前記高分子電解質が、請求項1から7のいずれか一項に記載の高分子電解質である、高分子電解質の製造方法。
【請求項9】
前記高分子に窒素化合物またはリン化合物を添加する前に、エチレンオキシド単量体を含む高分子の末端をヒドロキシ基またはアミン基で改質する段階をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の高分子電解質の製造方法。
【請求項10】
正極、負極及びその間に介在される固体高分子電解質を含んで構成される全固体電池であって、
前記固体高分子電解質は、請求項1から7のいずれか一項に記載の高分子電解質であることを特徴とする全固体電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年7月25日付韓国特許出願第10−2018−0086287号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容を本明細書の一部として含む。
【0002】
本発明は、高分子電解質及びこの製造方法に係り、より詳しくは、リチウム陽イオンの輸率が向上された高分子電解質及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
携帯電話、ノートパソコン、カムコーダーなどの携帯用機器だけでなく、電気自動車に至るまで充放電が可能な二次電池の適用分野がますます拡がっていて、これによって二次電池の開発が活発に行われている。また、二次電池を開発する時、容量密度及び比エネルギーを向上させるための電池設計に対する研究開発も行われている。
【0004】
一般に、電池の安全性は、液体電解質<ゲルポリマー電解質<固体電解質の順に向上されるが、これに対して電池性能は減少すると知られている。
【0005】
従来電気化学反応を利用した電池、電気二重層キャパシターなどの電気化学素子用電解質では、液体状態の電解質、特に非水系有機溶媒に塩を溶解したイオン伝導性有機液体電解質が主に使われてきた。しかし、このように液体状態の電解質を使えば、電極物質が退化し、有機溶媒が揮発する可能性が高いだけでなく、周りの温度及び電池自体の温度上昇による燃焼などのような安全性に問題がある。
【0006】
特に、リチウム二次電池に使用される電解質は液体状態で、高温の環境で可燃性の危険があるので、電気自動車に適用するにあたって少なくない負担要因になれる。また、溶媒が可燃性の有機電解液を使っているため、漏液だけでなく発火燃焼事故の問題も常に伴っている。このため、電解液に難燃性のイオン性液体やゲル状電解質、または高分子状電解質を使用することが検討されている。よって、液体状態のリチウム電解質を固体状態の電解質に代替する場合、このような問題を解決することができる。ここで、現在まで様々な固体電解質が研究開発されてきた。
【0007】
固体電解質は難燃性素材を主に使っていて、これによって安定性が高くて非揮発性素材で構成されているので、高温で安定している。また、固体電解質が分離膜の役目をするので、既存の分離膜が不要であり、薄膜工程の可能性がある。
【0008】
最も理想的な形態は、電解質にも無機固体を使用する全固体型として安全性だけでなく安定性や信頼性に優れる二次電池が得られる。大きい容量(エネルギー密度)を得るために、積層構造の形態を取ることも可能である。また、従来の電解液と同様、溶媒化リチウムが脱溶媒化される過程も不要で、イオン伝導体固体電解質の中をリチウムイオンのみが移動すればよいので、不要な副反応を発生することなくサイクル寿命も大幅に伸ばすことができる。
【0009】
全固体二次電池を現実化するにあたり、解決しなければならない最大の問題点である固体電解質のイオン伝導度は、以前は有機電解液に大きく及ばなかったが、最近イオン伝導度を向上させる様々な技術が報告されていて、これを使用した全固体二次電池の実用化方案に対する研究が続いている。
【0010】
このようなリチウムイオン電池(Lithium ion battery)に使われる電解質の一つであるポリエチレンオキシド(PEO)とリチウム塩の複合体電解質は、既存の液体電解質に比べて高い安定性を有する長所がある。
【0011】
しかし、この電解質に使われるPEOは高い結晶性を有する高分子であり、これによって高分子の融点(約50℃)以下で結晶化される場合、イオン伝導度が極めて低くなる問題がある。従来はPEOの分子量を極めて低めて常温で液体状態を有する高分子を使用する場合が頻繁であったが、これはPEOの結晶化特性を緩和した根本的な研究とは認めがたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Ito,K.;Nishina,N.;Ohno,H.J.Mater.Chem.1997、7、1357−1362.
【非特許文献2】Jo,G.;Anh,H.;Park,M.J.ACS Macro Lett.2013、2、990−995.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述したように、PEOを電解質に使用する場合、高分子の低い融点によって、約50℃以下で結晶化される場合、イオン伝導度が極めて低くなる問題が発生した。ここで、本発明者らは多角的に研究した結果、PEO鎖の内在的な結晶性を減らすことができる新しい高分子を合成することで問題を解決できる方法を見つけ出して本発明を完成した。
【0014】
よって、本発明の目的は、1個以上の新しい官能基が導入された高分子を通じてリチウム塩を含むPEO系の高分子電解質が常温で優れたイオン伝導度を有し、リチウム陽イオンの輸率も向上されたリチウム電池用電解質を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、
本発明は、エチレンオキシド単量体を含む高分子;及び
リチウム塩;を含む高分子電解質であって、
前記高分子の末端が1個ないし4個の窒素化合物官能基またはリン化合物官能基に置換されていて、
前記高分子の末端と窒素化合物官能基またはリン化合物官能基はC2ないしC20のアルキレンリンカー、C2ないしC20のエーテルリンカー及びC2ないしC20のアミンリンカーからなる群から選択される1種によって連結された高分子電解質を提供する。
【0016】
また、本発明は、(a)エチレンオキシド単量体を含む高分子に窒素化合物またはリン化合物を添加して前記高分子の末端を改質する段階;及び
(b)リチウム塩を添加する段階;を含む高分子電解質の製造方法を提供する。
【0017】
また、本発明は、正極、負極及びその間に介在される固体高分子電解質を含んで構成される全固体電池であって、
前記固体高分子電解質は、前記本発明の高分子電解質であることを特徴とする全固体電池を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の高分子電解質を全固体電池に適用すれば、エチレンオキシド単量体を含む高分子の分子量を変化させないまま、様々な末端官能基を1個ないし4個導入した高分子の合成を通じて高分子の結晶性を減らすことができ、それによって本発明の高分子電解質は常温でも優れたイオン伝導度を有することができる。また、末端官能基とリチウム塩の間の分子引力を制御することでリチウム陽イオンの輸率を向上させることができ、放電容量及び充・放電速度を向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施例1ないし3及び比較例1のNMRデータ測定結果を示すグラフである。
【
図2】本発明の実施例4ないし6及び比較例2のNMRデータ測定結果を示すグラフである。
【
図3】本発明の実施例7、実施例8、比較例2及び比較例3のNMRデータ測定結果を示すグラフである。
【
図4】本発明の実施例1ないし3及び比較例1の示差走査熱量分析法(differential scanning calorimeter、DSC)の分析結果を示すグラフである。
【
図5】本発明の実施例4ないし8及び比較例2の示差走査熱量分析法(differential scanning calorimeter、DSC)の分析結果を示すグラフである。
【
図6】[Li
+]/[EO]値が0.02(r=0.02)である時、本発明の実施例1ないし3及び比較例1のイオン伝導度を分析した結果を示すグラフである。
【
図7】[Li
+]/[EO]値が0.06(r=0.06)である時、本発明の実施例1ないし3及び比較例1のイオン伝導度を分析した結果を示すグラフである。
【
図8】[Li
+]/[EO]値が0.02(r=0.02)である時、本発明の実施例4ないし8及び比較例2のイオン伝導度を分析した結果を示すグラフである。
【
図9】[Li
+]/[EO]値が0.06(r=0.06)である時、本発明の実施例9、実施例10及び比較例1のイオン伝導度を分析した結果を示すグラフである。
【
図10】本発明の実施例1ないし3及び比較例1の電極分極測定結果を示すグラフである。
【
図11】本発明の実施例4ないし6及び比較例2の電極分極測定結果を示すグラフである。
【
図12】本発明の実施例1ないし3及び比較例1のX線小角散乱(Small Angle X−ray Scattering、SAXS)の測定結果を示すグラフである。
【
図13】本発明の実施例9、実施例10及び比較例1のX線小角散乱(Small Angle X−ray Scattering、SAXS)の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0021】
高分子電解質
本発明は、エチレンオキシド単量体を含む高分子;及び
リチウム塩;を含む高分子電解質であって、
前記高分子の末端が1個ないし4個の窒素化合物官能基またはリン化合物官能基に置換されていて、
前記高分子の末端と窒素化合物官能基またはリン化合物官能基は、C2ないしC20のアルキレンリンカー、C2ないしC20のエーテルリンカー及びC2ないしC20のアミンリンカーからなる群から選択される1種によって連結された高分子電解質に関する。
【0022】
本発明の高分子電解質は、窒素化合物またはリン化合物を、エチレンオキシド単量体を含む高分子の末端に官能基で導入することで、高分子に導入された官能基とリチウム塩の間に様々な相互作用を誘導することでイオン伝導特性を向上させることができる。
【0023】
同時に、前記高分子の末端と窒素化合物官能基またはリン化合物官能基は、C2ないしC20のアルキレンリンカー(linker)、C2ないしC20のエーテルリンカー及びC2ないしC20のアミンリンカーからなる群から選択される1種によって連結されている。前記C2ないしC20のエーテルリンカーは1ないし4個の酸素を有することができ、前記酸素の数によって窒素化合物官能基またはリン化合物官能基が高分子の末端に1個ないし4個置換されることができる。また、前記C2ないしC20のアミンリンカーは、エチレンオキシド単量体と連結して残った2個の結合位置にアルキレン基と連結された窒素化合物官能基またはリン化合物官能基が置換されることができる。よって、本発明の高分子は、前記窒素化合物官能基またはリン化合物官能基が1個以上置換されることができて、より優れたイオン伝導度を示すことができる。
【0024】
前記窒素化合物官能基またはリン化合物官能基は、高分子の末端に1ないし4個置換されてもよく、好ましくは高分子の末端に1個または2個置換されてもよい。
【0025】
また、前記C2ないしC20のアルキレンリンカー、C2ないしC20のエーテルリンカー及びC2ないしC20のアミンリンカーは、好ましくはC2ないしC8のアルキレンリンカー、C2ないしC8のエーテルリンカー及びC2ないしC8のアミンリンカーであることが好ましい。
【0026】
末端が置換されていない状態のエチレンオキシド単量体を含む高分子は、ポリスチレン−b−ポリエチレンオキシド及びポリエチレンオキシドからなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0027】
また、前記窒素化合物官能基は、ニトリル(nitrile)、アミン(amine)、ピリジン(pyridine)またはイミダゾール(imidazole)であってもよく、リン化合物官能基では、ジエチルホスホネート(diethyl phosphonate)またはホスホン酸(phosphonic acid)であってもよい。
【0028】
よって、本発明の前記エチレンオキシド単量体を含む高分子は、下記化学式1ないし10からなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0029】
[化学式1]
【化1】
[化学式2]
【化2】
[化学式3]
【化3】
[化学式4]
【化4】
[化学式5]
【化5】
[化学式6]
【化6】
[化学式7]
【化7】
[化学式8]
【化8】
[化学式9]
【化9】
[化学式10]
【化10】
【0030】
(ただし、1≦n≦200で、1≦m≦200である。)
【0031】
本発明の高分子電解質は、前記のようにエチレンオキシド単量体を含む高分子の分子量を変化させないまま、前記アルキレンリンカー、エーテルリンカーまたはアミンリンカーに連結された様々な末端官能基が1個ないし4個導入された高分子の合成を通じて高分子の結晶性を非置換ポリエチレンオキシド(PEO)に対して20ないし80%程度に減らすことができて、イオン伝導度を向上させることができる。
【0032】
また、前記化学式9及び化学式10はジャイロイド(gyroid)構造を持ち、前記ジャイロイド構造は各単量体が3次元的に連結されたドメインを持っていて高い機械的強度及びイオン伝導度の特性を同時に具現することができる。
【0033】
また、本発明の高分子電解質は、全固体電池用固体電解質で使用されてもよい。
【0034】
固体電解質は難燃性素材を主に使用し、これによって安定性が高くて非揮発性素材で構成されているので、高温で安定する。また、固体電解質が分離膜の役目をするので既存の分離膜が不要であり、薄膜工程の可能性がある。
【0035】
最も理想的な形態は、電解質にも無機固体を使用する全固体型であって、安全性だけでなく安定性や信頼性に優れる二次電池が得られる。大きい容量(エネルギー密度)を得るために、積層構造の形態を取ることも可能である。また、従来の電解液と同様、溶媒化リチウムが脱溶媒化される過程も不要で、イオン伝導体固体電解質の中をリチウムイオンのみが移動すればよく、不要な副反応を発生しないので、サイクル寿命も大幅に伸ばすことができる。
【0036】
また、本発明の高分子電解質は、後述するようにイオン伝導度が向上されているため、全固体イオン電池への適用に好ましい。
【0037】
また、本発明は、前記のような高分子にリチウム塩を導入して複合体電解質を製作し、イオン伝導度及びリチウム陽イオンの輸送特性を向上させる。
【0038】
このために、本発明はエチレンオキシド単量体を含む高分子にリチウム塩をドーピングさせる。
【0039】
前記リチウム塩は、特に制限はしないが、好ましくはLiTFSI, LiFSI, LiPF
6, LiCl, LiBr, LiI, LiClO
4, LiBF
4, LiB
10Cl
10, LiPF
6, LiCF
3SO
3, LiCF
3CO
2, LiAsF
6, LiSbF
6, LiPF
6, LiAlCl
4, CH
3SO
3Li, CF
3SO
3Li、クロロボランリチウム及び4−フェニルホウ酸リチウムからなる群から選択される1種以上を使用することができる。
【0040】
本発明の高分子電解質は、エチレンオキシド単量体を含む高分子の分子量を変化させないまま、前記アルキレン基、エーテル基またはアミン基に連結された様々な末端官能基を1個ないし4個導入した高分子の合成を通じて高分子の結晶性を減らすことができるので、高分子電解質の分子量を1ないし20kg/molで使用することができる。
【0041】
また、本発明の高分子電解質は、リチウム電池の実用的な性能を確保するために、前記高分子の[EO]と前記リチウム塩の[Li
+]の割合である[Li
+]/[EO]値が0.02ないし0.08であってもよい。前記高分子の[EO]と前記リチウム塩の[Li
+]濃度が前記範囲に含まれれば、電解質が適切な伝導度及び粘度を有するので、優れた電解質の性能が表れることがあり、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0042】
前記高分子の[EO]は、エチレンオキシド単量体を意味する。
【0043】
また、本発明の高分子電解質のイオン輸送特性は、10
−5ないし10
−3S/cmであってもよい。
【0044】
高分子電解質の製造方法
また、本発明は、前記のような高分子電解質を製造するために、
(a)エチレンオキシド単量体を含む高分子に、窒素化合物またはリン化合物を添加して前記高分子の末端を改質する段階;及び
(b)リチウム塩を添加する段階;を含む高分子電解質の製造方法を提供する。
【0045】
前記(a)段階でエチレンオキシド単量体を含む高分子に窒素化合物またはリン化合物を添加して前記高分子の末端を改質し、これを通じて前記高分子の末端が窒素化合物またはリン化合物官能基に置換されてもよい。
【0046】
本発明の高分子電解質は、窒素化合物またはリン化合物をエチレンオキシド単量体を含む高分子の末端に官能基として導入することで、高分子に導入された官能基とリチウム塩の間に様々な相互作用を誘導することで、イオン伝導特性を向上することができる。
【0047】
前記エチレンオキシド単量体を含む高分子は、ポリスチレン−b−ポリエチレンオキシド及びポリエチレンオキシドからなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0048】
前記窒素化合物またはリン化合物を添加する方式は特に制限されずに業界で通常用いられる方式で添加することができる。
【0049】
具体的に、前記窒素化合物官能基は、ニトリル(nitrile)、アミン(amine)、ピリジン(pyridine)またはイミダゾール(imidazole)であってもよく、前記リン化合物官能基は、ジエチルホスホネート(diethyl phosphonate)またはホスホン酸(phosphonic acid)であってもよい。
【0050】
また、前記(a)段階で高分子に窒素化合物またはリン化合物を添加する前に、エチレンオキシド単量体を含む高分子の末端をヒドロキシ基またはアミン基で改質する段階をさらに含むことができる。
【0051】
前記(a)段階で末端が改質された高分子は、下記化学式1ないし10からなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0052】
[化学式1]
【化11】
[化学式2]
【化12】
[化学式3]
【化13】
[化学式4]
【化14】
[化学式5]
【化15】
[化学式6]
【化16】
[化学式7]
【化17】
[化学式8]
【化18】
[化学式9]
【化19】
[化学式10]
【化20】
【0053】
(ただし、1≦n≦200で、1≦m≦200である。)
【0054】
前記(a)段階の末端が改質された高分子の分子量は1ないし20kg/molであってもよい。
【0055】
もし、前記ヒドロキシ基またはアミン基で改質する段階を追加せずに、窒素化合物官能基またはリン化合物官能基を添加して高分子の末端を改質すると、前記化学式1ないし3の高分子を得ることができる。
【0056】
具体的に、前記化学式1ないし3の高分子は、前記ポリスチレン−b−ポリエチレンオキシドの末端と窒素化合物官能基またはリン化合物官能基がアルキレン基によって連結され、前記化学式1ないし3の高分子は窒素化合物官能基またはリン化合物官能基を1個含む。
【0057】
もし、前記ヒドロキシ基またはアミン基で改質する段階を追加し、以後窒素化合物官能基またはリン化合物官能基を添加して高分子の末端を改質したら、前記化学式4ないし10の高分子を得ることができる。
【0058】
具体的に、前記化学式4ないし10の高分子は、前記ポリエチレンオキシドの末端と窒素化合物官能基またはリン化合物官能基がエーテル基またはアミン基によって連結され、前記化学式4ないし10の高分子は窒素化合物官能基またはリン化合物官能基を2個含む。
【0059】
よって、本発明の高分子電解質は、高分子の分子量を変化させないまま様々な末端官能基を1個または2個導入した高分子の合成を通じて高分子の結晶性を、非置換エチレンオキシド単量体を含む高分子に対して20ないし80%程度で減少させることができる。
【0060】
また、本発明は、(b)段階でリチウム塩を添加する段階を通じて、前記(a)段階で改質された高分子にリチウム塩を導入して複合体電解質を製作し、イオン伝導度及びリチウム陽イオンの輸送特性を向上させる。
【0061】
このために、本発明は、前記(a)段階で製造した高分子にリチウム塩をドーピングさせることができる。
【0062】
前記リチウム塩の種類は上述したとおりである。
【0063】
また、本発明の高分子電解質は、リチウム電池の実用的な性能を確保するために、前記高分子の[EO]と前記リチウム塩の[Li
+]の割合である[Li
+]/[EO]値が0.02ないし0.08であってもよい。前記高分子の[EO]と前記リチウム塩の[Li
+]濃度が前記範囲に含まれると、電解質が適切な伝導度及び粘度を有するので、優れた電解質性能が表れることがあり、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0064】
また、前記高分子電解質のイオン輸送特性は、10
−5ないし10
−3S/cmであってもよい。
【0065】
全固体電池
また、本発明は、正極、負極及びその間に介在される固体高分子電解質を含んで構成される全固体電池に係り、前記固体高分子電解質は上述した本発明の高分子電解質である。
【0066】
本発明において、電極活物質は本発明で示す電極が正極の場合は正極活物質が、負極の場合は負極活物質が使用されてもよい。この時、各電極活物質は従来電極に適用される活物質であればいずれも可能で、本発明で特に限定しない。
【0067】
正極活物質はリチウム二次電池の用途によって変わることがあって、具体的な組成は公知された物質を使用する。一例として、リチウム−リン酸−鉄系化合物、リチウムコバルト系酸化物、リチウムマンガン系酸化物、リチウム銅酸化物、リチウムニッケル系酸化物及びリチウムマンガン複合酸化物、リチウム−ニッケル−マンガン−コバルト系酸化物からなる群から選択されたいずれか一つのリチウム遷移金属酸化物を挙げることができる。より具体的には、Li
1+aM(PO
4−b)X
bで表されるリチウム金属リン酸化物の中で、Mは第2ないし12族金属の中で選択される1種以上であり、XはF、S及びNの中で選択された1種以上であって、−0.5≦a≦+0.5、及び0≦b≦0.1であることが好ましい。
【0068】
この時、負極活物質はリチウム金属、リチウム合金、リチウム金属複合酸化物、リチウム含有チタン複合酸化物(LTO)及びこれらの組み合わせからなる群から選択された1種が可能である。この時、リチウム合金は、リチウムとNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra、Al及びSnから選択される少なくとも一つの金属からなる合金を使用することができる。また、リチウム金属複合酸化物は、リチウムとSi、Sn、Zn、Mg、Cd、Ce、Ni及びFeからなる群から選択されたいずれか一つの金属(Me)酸化物(MeO
x)で、一例としてLi
xFe
2O
3(0<x≦1)またはLi
xWO
2(0<x≦1)であってもよい。
【0069】
この時、必要な場合、前記活物質に加えて導電材(Conducting material)、または高分子電解質をさらに添加してもよく、導電材ではニッケル粉末、酸化コバルト、酸化チタン、カーボンなどを例示することができる。カーボンでは、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、黒鉛、炭素繊維及びフラーレンからなる群から選択されたいずれか一つまたはこれらの中で1種以上を挙げることができる。
【0070】
全固体電池の製造は、電極及び固体電解質を粉末状態で製造した後、これを所定のモールドに投入した後でプレスする乾式圧縮工程、または活物質、溶媒及びバインダーを含むスラリー組成物の形態で製造し、これをコーティングした後で乾燥するスラリーコーティング工程を通じて製造されている。前記構成を有する全固体電池の製造は、本発明で特に限定せずに、公知の方法が用いられてもよい。
【0071】
一例として、正極及び負極の間に固体電解質を配置した後、これを圧縮成形してセルを組み立てる。前記組み立てられたセルを外装材の内に設けた後、加熱圧縮などによって封止する。外装材としては、アルミニウム、ステンレスなどのラミネートパック、円筒状や角形の金属製容器が適する。
【0072】
電極スラリーを集電体上にコーティングする方法は、電極スラリーを集電体上に分配させた後、ドクターブレード(Doctor blade)などを使用して均一に分散させる方法、ダイキャスティング(Die casting)、コンマコーティング(Comma coating)、スクリーンプリンティング(Screen printing)などの方法を挙げることができる。また、別途基材(Substrate)の上に成形した後、プレッシング(Pressing)またはラミネーション(Lamination)方法によって電極スラリーを集電体と接合させることもできる。この時、スラリー溶液の濃度、またはコーティング回数などを調節して最終的にコーティングされるコーティングの厚さを調節することができる。
【0073】
乾燥工程は、金属集電体にコーティングされたスラリーを乾燥するためにスラリー内の溶媒及び水分を取り除く過程であって、使用する溶媒によって変わることがある。一例として、50〜200℃の真空オーブンで行う。乾燥方法では、例えば、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、遠赤外線や電子線などの照射による乾燥法を挙げることができる。乾燥時間に対しては特に限定していないが、通常30秒ないし24時間の範囲で行われる。
【0074】
前記乾燥工程以後は、冷却過程をさらに含むことができ、前記冷却過程はバインダーの再結晶組職がよく形成されるように室温まで徐冷(Slow cooling)することであってもよい。
【0075】
また、必要な場合、乾燥工程以後、電極の容量密度を高めて集電体と活物質の間の接着性を増加させるために、高温加熱された2個のロールの間に電極を通過させて所望の厚さで圧縮する圧延工程を行うことができる。前記圧延工程は本発明で特に限定せず、公知の圧延工程(Pressing)が可能である。一例として、回転ロールの間に通過させたり平板プレス機を利用して行う。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳しく説明する。しかし、本発明による実施例は幾つか異なる形態で変形されてもよく、本発明の範囲が以下で述べる実施例に限定されるものとして解釈してはならない。本発明の実施例は、当業界で平均の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0077】
実施例1。ニトリルに置換されたポリスチレン−b−ポリエチレンオキシド製造(SEO−CN)
ポリスチレン−b−ポリエチレンオキシド(Poly(styrene−b−ethylene oxide)、SEO、Mn=16495g/mol、2.0g、0.12mmol)とアクリロニトリル(acrylonitrile)(40mL)を0℃で30分間撹拌させた後、KOH(20mg、0.36mmol)を入れた。反応物の色が黄色になると、10mLのHClを入れて反応を終了させた。得られた反応物をジクロロメタン(dichloromethane)を利用して抽出した後、回転蒸発濃縮機を利用して溶媒を取り除いて高分子を得て、前記高分子を、エーテル(ether)を利用して精製した。
【0078】
製造された物質のNMRDATAを測定して
図1のSEO−CNに示し、前記SEO−CNは前記化学式1の構造を有する。
【0079】
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δppm:7.10−6.40(n×5H,−CH
2CH(C
6H
5))3.99−3.43(n×4H,−OCH
2CH
2O−)、2.59(2H,−OCH
2CH
2CN)、2.21−1.20(b,n×3H,CH
2CH(C
6H
5))。
【0080】
実施例2。ジエチルホスホネートに置換されたポリスチレン−b−ポリエチレンオキシド製造(SEO−PE)
50mLの丸底フラスコにジエチルビニルホスホネート(diethylvinylphosphonate、2.5mL、16.3mmol)、セシウムカーボネート(cesium carbonate、0.5g、1.5mmol)をアルゴン(Ar)雰囲気で混ぜて90℃で30分間撹拌した後、SEO(Mn=16495g/mol、2.0g、0.12mmol)をacetonitrile 12mLに溶かして落とした。3日間反応させた後、HClを入れて反応を終決させた。
【0081】
製造された物質のNMR DATAを測定して
図1のSEO−PEに示し、前記SEO−PEは前記化学式2の構造を有する。
【0082】
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δppm:7.10−6.40(n×5H,−CH
2CH(C
6H
5))、4.15(4H,−P=O(OCH
2CH
3)
2)、3.99−3.43(n×4H,−OCH
2CH
2O−)、2.26(2H,−PCH
2CH
2O−)、2.21−1.20(b,n×3H,CH
2CH(C
6H
5))、1.33(4H,−P=O(OCH
2CH
3)
2)。
【0083】
実施例3。ホスホン酸に置換されたポリスチレン−b−ポリエチレンオキシド製造(SEO−PA)
末端がホスホネート(phosphonate)に置換されたSEO(0.5g、0.03mmol)を12mLクロロホルム(chloroform)に溶かして0℃にした。ブロモトリメチルシラン(bromotrimethylsilane、0.1mL、0.75mmol)をゆっくり落とした。40℃で15時間反応させた後、メタノールを入れて反応を終決させた。
【0084】
製造された物質のNMR DATAを測定して
図1のSEO−PAに示し、前記SEO−PAは前記化学式3の構造を有する。
【0085】
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δppm:7.10−6.40(n×5H,−CH
2CH(C
6H
5))、3.99−3.43(n×4H,−OCH
2CH
2O−)、2.21−1.20(b,n×3H,CH
2CH(C
6H
5))、1.99(2H,−PCH
2CH
2O−)。
【0086】
実施例4。2個のニトリルに置換されたポリエチレンオキシド製造(PEO−O−2CN)
末端がジ−ヒドロキシル(di−hydroxyl)に置換されたポリエチレングリコールメチルエーテル(poly(ethylene glycol)methyl ether、2.0g、0.96mmol)とアクリロニトリル(acrylonitrile)(20mL)を0℃で30分間撹拌させた後、KOH(10mg、0.18mmol)を入れた。反応物の色が黄色になると、5mLのHClを入れて反応を終了させた。得られた反応物をジクロロメタン(dichloromethane)を利用して抽出した後、回転蒸発濃縮機を利用して溶媒を取り除いた。得られた高分子をエーテル(ether)を利用して精製した。
【0087】
製造された物質のNMR DATAを測定して
図2のPEO−O−2CNに示し、前記PEO−O−2CNは前記化学式4の構造を有する。
【0088】
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δppm:3.99−3.43(n×4H,−OCH
2CH
2O−)、3.37(3H,−OCH
3)、2.59(2H,−OCH
2CH
2CN)。
【0089】
実施例5。2個のジエチルホスホネートに置換されたポリエチレンオキシド製造(PEO−O−2PE)
50mLの丸底フラスコにジエチルビニルホスホネート(diethylvinylphosphonate、2.5mL、16.3mmol)、セシウムカーボネート(cesium carbonate、0.5g、1.5mmol)をアルゴン(Ar)雰囲気で混ぜて90℃で30分間撹拌させた後、末端がジ−ヒドロキシル(di−hydroxyl)に置換されたポリエチレングリコールメチルエーテル(poly(ethylene glycol)methyl ether、2.0g、0.96mmol)をacetonitrile 12mLに溶かして落とした。3日間反応させた後、HClを入れて反応を終決させた。
【0090】
製造された物質のNMR DATAを測定して
図2のPEO−O−2PEに示し、前記PEO−O−2PEは前記化学式5の構造を有する。
【0091】
1H NMR(300MHz,D
2O)δppm:4.15(4H,−P=O(OCH
2CH
3)
2)、3.99−3.43(n×4H,−OCH
2CH
2O−)、3.37(3H,−OCH
3)、2.26(2H,−PCH
2CH
2O−)、1.33(4H,−P=O(OCH
2CH
3)
2)。
【0092】
実施例6。2個のホスホン酸に置換されたポリエチレンオキシド製造(PEO−O−2PA)
ジ−ホスホネート(di−phosphonate)に置換されたポリエチレングリコールメチルエーテル(poly(ethylene glycol)methyl ether、1.0g、0.4mmol)を25mLのクロロホルム(chloroform)に溶かして0℃にした。ブロモトリメチルシラン(bromotrimethylsilane、0.1mL、0.75mmol)をゆっくり落とした。40℃で15時間反応させた後、メタノールを入れて反応を終決させた。
【0093】
製造された物質のNMR DATAを測定して
図2のPEO−O−2PAに示し、前記PEO−O−2PAは前記化学式6の構造を有する。
【0094】
1H NMR(300MHz,D
2O)δppm:3.99−3.43(n×4H,−OCH
2CH
2O−)、3.37(3H,−OCH
3)、1.99(2H,−PCH
2CH
2O−)。
【0095】
実施例7。2個のジエチルホスホネートに置換されたポリエチレンオキシド製造(PEO−N−2PE)
末端がアミン(amine)に置換されたポリエチレングリコールメチルエーテル(poly(ethylene glycol)methyl ether、0.5g、0.24mmol)とジエチルビニルホスホネート(diethylvinylphosphonate、0.3mL、4mmol)を蒸溜水(10mL)に溶かした後、60℃で24時間反応させた。得られた反応物をジクロロメタン(dichloromethane)を利用して抽出した後、回転蒸発濃縮機を利用して溶媒を取り除いた。得られた高分子を、エーテル(ether)を利用して精製した。
【0096】
製造された物質のNMR DATAを測定して
図3のPEO−N−2PEに示し、前記PEO−N−2PEは前記化学式7の構造を有する。
【0097】
1H NMR(300MHz,D
2O)δppm:4.15(4H,−P=O(OCH
2CH
3)
2)、3.99−3.43(n×4H,−OCH
2CH
2O−)、3.37(3H,−OCH
3)、2.82(2H,−NCH
2CH
2−)、2.59(2H,−CH
2CH
2N−)、2.12(2H,−NCH
2CH
2−)、1.77(2H,−OCH
2CH
2CH
2−)、1.34(4H,−P=O(OCH
2CH
3)
2)。
【0098】
実施例8。2個のホスホン酸に置換されたポリエチレンオキシド製造(PEO−N−2PA)
末端がジ−ホスホネート(di−phosphonate)に置換されたポリエチレングリコールメチルエーテル(poly(ethylene glycol)methyl ether、1.0g、0.4mmol)を25mLのクロロホルム(chloroform)に溶かして0℃にした。ブロモトリメチルシラン(bromotrimethylsilane、0.1mL、0.75mmol)をゆっくり落とした。40℃で15時間反応させた後、メタノールを入れて反応を終決させた。
【0099】
製造された物質のNMR DATAを測定して
図3のPEO−N−2PAに示し、前記PEO−N−2PAは前記化学式8の構造を有する。
【0100】
1H NMR(300MHz,D
2O)δppm:3.99−3.43(n×4H,−OCH
2CH
2O−)、3.37(3H,−OCH
3)、1.99(2H,−PCH
2CH
2O−)。
【0101】
実施例9.2個のニトリルに置換されたポリスチレン−b−ポリエチレンオキシド製造(SEO−N−2CN)
末端がアミン(amine)に置換されたSEO(0.3g、0.018mmol)とアクリロニトリル(acrylonitrile)(0.5mL、7.6mmol)をTHF15mLに完全に溶かした後、蒸溜水15mLを入れた。反応は60℃で24時間行った。得られた反応物を、回転蒸発濃縮機を利用して溶媒を取り除いて、エーテル(ether)を利用して沈殿精製した。
【0102】
製造された物質のNMR DATAを測定した。前記製造された物質であるSEO−N−2CNは、前記化学式9の構造を有する。
【0103】
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δppm:7.10−6.40(n×5H,−CH
2CH(C
6H
5))、3.99−3.43(n×4H,−OCH
2CH
2O−)、3.01(2H,−NCH
2CH
2−)、2.73(2H,−NCH
2CH
2−)、2.59(2H,−CH
2CH
2N−)、2.21−1.20(b,n×3H,−CH
2CH(C
6H
5))。
【0104】
実施例10。2個のジエチルホスホネートに置換されたポリスチレン−b−ポリエチレンオキシド製造(SEO−N−2PE)
末端がアミン(amine)に置換されたSEO(0.3g、0.018mmol)とジエチルビニルホスホネート(diethylvinylphosphonate、0.5mL、6.7mmol)をTHF15mLに完全に溶かした後、蒸溜水15mLを入れた。反応は60℃で24時間行った。得られた反応物を回転蒸発濃縮機を利用して溶媒を取り除いて、エーテル(ether)を利用して沈殿精製した。
【0105】
製造された物質のNMR DATAを測定した。前記製造された物質であるSEO−N−2PEは、前記化学式10の構造を有する。
【0106】
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δppm:7.10−6.40(n×5H,−CH
2CH(C
6H
5))、4.15(4H,−P=O(OCH
2CH
3)
2)、3.99−3.43(n×4H,−OCH
2CH
2O−)、2.82(2H,−NCH
2CH
2−)、2.59(2H,−CH
2CH
2N−)、2.21−1.20(b,n×3H,−CH
2CH(C
6H
5))、2.12(2H,−NCH
2CH
2−)、1.77(2H,−OCH
2CH
2CH
2−)、1.34(4H,−P=O(OCH
2CH
3)
2)。
【0107】
比較例1。ポリスチレン−b−ポリエチレンオキシド製造(SEO)
溶媒で使用するベンゼン(Benzene)をCaH
2で一日、sec−ブチルリチウム(sec−Butyllithium)で一日攪拌(stirring)して精製した。スチレン単量体(Styrene monomer)は、CaH
2で一日、ジ−n−ブチルマグネシウム(Di−n−butylmagnsium)で一日間精製を行い、エチレンオキシド単量体(Ethylene oxide monomer)はCaH
2で一日、n−ブチルリチウム(n−Butyllithium)で30分間攪拌(stirring)を2回繰り返して精製した。精製した200mLのベンゼン(Benzene)にsec−BuLi(0.9mL、1.26mmol)を入れて脱ガス(degassing)を行って真空状態にした。これに精製したスチレン(styrene)(8.8mL、77mmol)を蒸溜した後、40℃で4時間反応させた。精製したエチレンオキシド(ethylene oxide)1mLを入れてエンドキャッピング(end−capping)後にグローブボックスに移してt−Bu−P4(1.5mL、1.5mmol)を入れて脱ガス(degassing)を行って真空状態にした。これに精製したエチレンオキシド(ethylene oxide)(9mL、182mmol)を蒸溜した後、40℃で3日間反応させた。反応は10mLのMeOHを入れて終決させた。反応を終決させた後、エーテル(ether)を利用して沈殿精製を行った。
【0108】
製造された物質のNMR DATAを測定して
図1のSEOに示す。
【0109】
1H NMR(300MHz,D
2O)δppm:7.10−6.40(n×5H,−CH
2CH(C
6H
5))3.99−3.43(n×4H,−OCH
2CH
2O−)、2.21−1.20(b,n×3H,CH
2CH(C
6H
5))。
【0110】
比較例2。ポリエチレンオキシド製造(PEO)
エチレンオキシド単量体(Ethylene oxide monomer)は、CaH
2で一日、n−ブチルリチウム(n−Butyllithium)で30分間攪拌(stirring)を2回繰り返して行って精製した。メタノール(Methanol)はマグネシウム(magnesium)を利用して精製し、溶媒で使用するTHFはベンゾフェノンケチル(benzophenone kethyl)を利用して精製した。精製した100mLのTHFにメタノール(Methanol)(0.04mL、1mmol)、t−Bu−P4(1mL、1mmol)を入れて脱ガス(degassing)を行って真空状態とする。これに精製したエチレンオキシド(ethylene oxide)(5mL、100mmol)を蒸留(distill)した後、常温で3日間反応させる。反応は0.1mLの酢酸(acetic acid)を入れて終決させる。反応を終決させた後、ヘキサン(hexane)を利用して精製させた。
【0111】
製造された物質のNMR DATAを測定して
図2及び
図3のPEOに示す。
【0112】
1H NMR(300MHz,D
2O)δppm:3.99−3.43(n×4H,−OCH
2CH
2O−)、3.37(3H,−OCH
3)、1.99.
【0113】
比較例3。アミンに置換されたポリエチレンオキシド製造(PEO−NH
2)
ボラン−THF錯体(Borane−THF complex)(5mL、THFにおいて1M、5mmol)を無水THF(anhydrous THF)(15mL)と混ぜた後、0℃に下げた。末端がニトリル(nitrile)に置換されたポリエチレングリコールメチルエーテル(poly(ethylene glycol)methyl ether、2.0g、0.97mmol)を無水THF(anhydrous THF)(10mL)に溶かした後で落とした。アルゴン(Ar)雰囲気で4時間反射(reflex)して反応を行った。温度を0℃に下げて、MeOH(5mL)を入れた。HCl(0.25mL)をゆっくり加えた後、1時間反応させた。得られた反応物をジクロロメタン(dichloromethane)を利用して抽出した後、回転蒸発濃縮機を利用して溶媒を取り除いた。得られた高分子を、エーテル(ether)を利用して精製する。
【0114】
製造された物質のNMR DATAを測定して
図3のPEO−NH
2に示す。
【0115】
1H NMR(300MHz,CDCl
3)δppm:3.99−3.43(n×4H,−OCH
2CH
2O−)、3.37(3H,−OCH
3)、2.59(2H,−OCH
2CH
2CN)。
【0116】
実験例1。NMR測定結果
(1)実施例1ないし3
1H NMRを通じて実施例1ないし3で製造した高分子の末端置換効率を確認した。ニトリル官能基が導入された実施例1のSEO−CN高分子の場合、99%以上の高い置換効率を示し、ジエチルホスホネート官能基が導入された実施例2のSEO−PE高分子も77%以上の高い置換効率を有することが分かった。また、実施例2のSEO−PEを加水分解して合成したホスホン酸官能基を有する実施例3のSEO−PAの場合、100%の加水分解効率を示した。さらに
31P NMRを通じて実施例3のSEO−PAの加水分解効率が100%であることを確認し、副反応も起きなかったことを確認した。
【0117】
(2)実施例4ないし6
1H NMRを通じてPEOの末端と2個の官能基がエーテル基によって連結された実施例4ないし6で製造した高分子の末端置換効率を確認した。ニトリル官能基が2個導入された実施例4のPEO−O−2CN高分子の場合は約62%、ジエチルホスホネート官能基が2個導入された実施例5のPEO−O−2PEは約52%の置換効率を示した。また、実施例5のPEO−O−2PEを加水分解して実施例6のPEO−O−2PAを合成し、100%加水分解が行われたことを
31P NMRを通じてさらに確認した。
【0118】
(3)実施例7及び8
1H NMRを通じてPEOの末端と2個の官能基がアミン基によって連結された実施例7及び8で製造した高分子の末端置換高分子の置換効率を確認した。ジエチルホスホネート官能基が2個導入された実施例7のPEO−N−2PEは約75%の置換効率を示した。実施例7のPEO−N−2PEを加水分解して実施例8のPEO−N−2PAを合成し、100%加水分解が行われたことを
31P NMRを通じてさらに確認した。
【0119】
実験例2。DSC測定結果(官能基が高分子の結晶性に及ぼす影響の確認)
前記実施例1ないし8及び比較例1ないし2で製造した高分子のDSC温度記録図(thermogram)は、TA機器(Instruments)(model Q20)を利用して測定した。約5mgの試料をアルゴンで満たされたグローブボックスの中でアルミニウムパンに入れ、空いたアルミニウムファンを基準(reference)にして使用した。10℃/minの昇温/冷却速度に対して−65℃〜120℃の間の熱力学的特性が測定された。
【0120】
(1)実施例1ないし3及び比較例1
示差走査熱量分析法(Differential Scanning Calorimeter、DSC)を通じて末端官能基が結晶性に及ぼす影響を定量的に分析し、その結果を表1及び
図4に示す。
【0122】
末端に官能基が導入された実施例1ないし3の高分子は、比較例1のSEOに比べて低い融解熱(ΔH
m)を示すことが分かる。PEOの融解熱(ΔH
m)215.6J/gの時の結晶性を100%にして計算した比較例1(SEO)、実施例1(SEO−CN)、実施例2(SEO−PE)及び実施例3(SEO−PA)の結晶性は、それぞれ49%、44%、32%及び20%であった。末端に導入した官能基の濃度は1mol%未満であるため、このような結晶性減少を示すことはとても興味深い結果である。PEOは、融点以下で結晶化によって伝導度が急激に落ちて、非常に低い常温伝導度を示すが、エチレンオキシド単量体を含む高分子の末端に官能基を導入すれば前記のように結晶性を顕著に減少させることができるので、常温での伝導特性を向上させることができることが分かる。
【0123】
(2)実施例4ないし8及び比較例2
示差走査熱量分析法(Differential Scanning Calorimeter、DSC)を通じて末端官能基が結晶性に及ぼす影響を定量的に分析し、その結果を表2及び
図5に示す。
【0125】
PEOの融解熱(ΔH
m)が215.6J/gの時の結晶性を100%にして計算した実施例4ないし6(PEO−O−2CN、PEO−O−2PE、PEO−O−2PA)の結晶性は、それぞれ79%、76%及び69%である。一方、末端に官能基が2個置換されていても、高分子の末端と官能基を連結させる連結基によって違う特性を示し、実施例7及び8(PEO−N−2PE、PEO−N−2PA)の結晶性は、それぞれ64%及び30%の結晶性を示した。これは、リンカーの種類によって伝導特性に相違する影響を及ぼすことがあることを示す。
【0126】
実験例3。イオン伝導性測定結果
前記実施例1ないし8及び比較例1ないし2で製造した高分子にリチウム塩(LiTFSI)をドーピングした後、ポテンシオスタット(Potentiostat)(VersaSTAT3、Princeton Applied Research)を用いてイオン伝導度を分析した。
【0127】
リチウム塩をドーピングした試料は、アルゴン環境のグローブボックス(glove box)でポテンシオスタット(potentiostat)(VersaSTAT3、Princeton Applied Research)を利用してスループレーン(throughplane)伝導度を測定した。実験室で作った2つの電極セル(ステンレススチールブロッキング電極(blocking electrode)と1cm×1cm白金作用/対(working/counter)電極で構成)を使用し、サンプルの厚さは200μmになるように製作した。
【0128】
(1)実施例1ないし3及び比較例1
リチウム塩を2%ドーピング(r=0.02)した結果を
図6に示す。
【0129】
末端が官能基に置換された実施例1(SEO−CN)、実施例2(SEO−PE)及び実施例3(SEO−PA)の高分子は、常温付近での伝導度が比較例1(SEO)に比べて遥かに向上されることを明らかに観察することができ、特に、最も低い結晶性を示した実施例3(SEO−PA)が最も高い常温伝導度を示すことを確認することができる。
【0130】
リチウム塩を6%ドーピング(r=0.06)した結果を
図7に示す。
【0131】
温度が高くなるほど末端が官能基に置換された実施例1(SEO−CN)、実施例2(SEO−PE)及び実施例3(SEO−PA)の高分子がもう少し高い伝導特性を示すことを観察することができた。これは末端が結晶性に影響を及ぼして常温での伝導特性を向上させるだけでなく、リチウム塩との相互作用によってさらに伝導度を向上させることができることを意味する。
【0132】
(2)実施例4ないし8及び比較例2
リチウム塩を2%ドーピング(r=0.02)した結果を
図8に示す。
【0133】
結晶性が相対的に低い実施例6(PEO−O−2PA)及び実施例8(PEO−N−2PA)の高分子は、常温での伝導度が比較例2(PEO)に比べてそれぞれ40倍、20倍程度増加したことを観察した。また、高分子の末端に2個の官能基が置換された本発明の実施例4ないし8の高分子のガラス転移温度(T
g)が向上されるにもかかわらず、実施例4(PEO−O−2CN)及び実施例7(PEO−N−2PE)の高分子は、全温度区間でイオン伝導効率が増加した。
【0134】
(3)実施例9、10及び比較例1
リチウム塩を6%ドーピング(r=0.06)した結果を
図9に示す。
【0135】
結晶性が相対的に低い実施例9(SEO−N−2CN)及び実施例10(SEO−N−2PE)の高分子は、末端に官能基を導入することでガラス転移温度(T
g)が向上されるにもかかわらず、伝導度が比較例1(SEO)と類似するか、または約1.2倍程度高い伝導特性を示した。
【0136】
実験例4。電極分極(ELECTRODE POLARIZATION)測定結果
リチウム塩と高分子の末端官能基の間の相互作用が電解質内部でのイオンの拡散に及ぼす影響を分析するために電極分極を測定した。
【0137】
(1)実施例1ないし3及び比較例1
前記実施例1ないし3及び比較例1で製造した高分子にリチウム塩(LiTFSI)を6%ドーピング(r=0.06)した後、2つのリチウム電極の間に位置させて分極実験を行った。試料の温度は45℃にし、分極電圧(polarization voltage、DV)は0.1Vに維持したまま、2時間流れる電流を観察した。全ての過程はアルゴン環境のグローブボックス(glove box)で行われた。
【0140】
末端が置換された実施例1ないし3(SEO−CN、SEO−PE、SEO−PA)の高分子が比較例1(SEO)に比べてもっと高い最終電流値を有することを確認することができた。これは高分子末端に存在する官能基によって高分子の緩和(relaxation)が遅くなったにもかかわらず(Tg上昇)、リチウム塩を効果的に解離させてリチウムを拡散するのに有利に作用するためだと考えられる。特に、リチウムと配位(coordination)をすることでよく知られているニトリル官能基に置換された実施例1(SEO−CN)の高分子は、0.64の最も高い電流維持率を示した。
【0141】
(2)実施例4ないし6及び比較例2
前記実施例4ないし6及び比較例2で製造した高分子にリチウム塩(LiTFSI)を6%ドーピング(r=0.06)した後、2つのリチウム電極の間に位置させて分極実験を行った。試料の温度は30℃にし、分極電圧(polarization voltage、DV)は0.1Vに維持したまま、2時間流れる電流を観察した。全ての過程はアルゴン環境のグローブボックス(glove box)で行われた。
【0144】
高分子の末端に官能基が2個置換された実施例4ないし6の高分子(PEO−O−2CN、PEO−O−2PE、PEO−O−2PA)は、いずれも比較例2(PEO)よりもっと高い最終電流値を有することを確認することができた。特に、2個のニトリル官能基が置換された実施例4(PEO−O−2CN)の場合、従来の1個のニトリルが導入されたPEO−CNより約1.3倍高い電流維持率を示すことが分かった。これは、高分子の末端に官能基をいくつか置換すれば、その効果を極大化することができることを意味する。
【0145】
実験例5。構造(morphology)分析
前記実施例1ないし3、9、10及び比較例1で製造した高分子のX線小角散乱実験(Small Angle X−Ray Scattering、SAXS)を行って前記高分子の構造を分析した。
【0146】
測定は、浦項加速器研究所(Pohang Light Source、PLS)4Cと9A beam lineで行われた。入射X−rayの波長(l)は、0.118nm(Dλ/λ =10−4)である。試料が測定過程中に酸素及び水分を吸収することを防ぐために、カプトンフィルムを使って密閉されたセルを製作して使用した。試料から検出器までの距離は2mを使用した。
【0147】
(1)実施例1ないし3及び比較例1
比較例1(SEO)、実施例1(SEO−CN)及び実施例2(SEO−PE)は、いずれも1q
*、2q
*のブラッグピーク(Bragg peak)を示し、これは整列されたラメラ(lamellar)構造の形成を意味する。比較例1(SEO)、実施例1(SEO−CN)及び実施例2(SEO−PE)に対して、ドメイン間隔(domain spacing)(d
100)がそれぞれ17.4nm、17.7nm及び17nmでほぼ類似な相分離挙動を示す。
【0148】
一方、実施例3(SEO−PA)の場合、1q
*、√3q
*、√4q
*、√7q
*、√9q
*のブラッグピーク(Bragg peak)を示したが、これは六角柱構造(hexagonal cylinder)を意味する。ドメイン間隔(Domain spacing)(d
100)は23nmで、実施例2(SEO−PE)と完全に同じ置換効率であるにもかかわらず、末端のホスホン酸官能基がとても大きい体積変化を引き起こすということが分かる。このような相転移は、PEOの結晶性変化による結果から予測される。結晶性PEOの密度は1.21g/cm
3である一方、無定形PEOの密度は1.12g/cm
3で、実施例3(SEO−PA)の場合、80%の大きい結晶性減少によって自由体積(free volume)が増加して相転移挙動を示すものと見られる(
図12)。
【0149】
(2)実施例9、10及び比較例1
ポリスチレン−b−ポリエチレンオキシド(SEO)と2個の末端官能基がアミン基によって連結された実施例9(SEO−N−2CN)及び実施例10(SEO−N−2PE)の高分子は、末端官能基の種類と関係なくジャイロイド(gyroid)構造が観察された。
図12に示された逆三角形は、√6q
*、√8q
*、√14q
*、√16q
*、√20q
*、√22q
*、√24q
*、√30q
*、√32q
*、√38q
*、√42q
*、√46q
*、そして√48q
*のブラッグピーク(Bragg peaks)を示し、これはとてもよく整列されたジャイロイド構造を示す(
図13)。ジャイロイド構造は各ブロックが3次元的に連結されたドメインを有するので、高い機械的強度と伝導特性を同時に具現することができる構造的長所があるが、相図(phase diagram)上で凄く狭い領域に分布していて具現しにくい構造で知られている。しかし、本発明では末端を官能基に置換する簡単な方法で前記構造を具現することができ、とても高い構造再現性を示した。
【0150】
また、前記ジャイロイド構造の場合、70%以上の置換効率でないと表れない構造であるため、構造を分析することで前記実施例9及び10の高分子は末端が70%以上置換されたことが分かる。