特許第6976972号(P6976972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6976972マイクロデバイスのマスクレス並列ピックアンドプレース移載
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6976972
(24)【登録日】2021年11月12日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】マイクロデバイスのマスクレス並列ピックアンドプレース移載
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/00 20100101AFI20211125BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20211125BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20211125BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20211125BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20211125BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20211125BHJP
   G02F 1/13 20060101ALN20211125BHJP
【FI】
   H01L33/00 H
   H01L21/52 F
   H05K3/34 501Z
   G09F9/00 338
   G02B26/08 E
   G02B26/10 101
   !G02F1/13 101
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-564747(P2018-564747)
(86)(22)【出願日】2017年6月9日
(65)【公表番号】特表2019-530201(P2019-530201A)
(43)【公表日】2019年10月17日
(86)【国際出願番号】US2017036804
(87)【国際公開番号】WO2017214540
(87)【国際公開日】20171214
【審査請求日】2020年6月5日
(31)【優先権主張番号】62/348,691
(32)【優先日】2016年6月10日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100101502
【弁理士】
【氏名又は名称】安齋 嘉章
(72)【発明者】
【氏名】トタドリ マニバンナン
(72)【発明者】
【氏名】ビィッサー ロバート ジャン
【審査官】 淺見 一喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−251360(JP,A)
【文献】 特開2007−025085(JP,A)
【文献】 特開2006−041500(JP,A)
【文献】 特開2008−122681(JP,A)
【文献】 特開2004−299814(JP,A)
【文献】 特開2006−163102(JP,A)
【文献】 特開2003−005100(JP,A)
【文献】 特開2002−118124(JP,A)
【文献】 特表2008−535275(JP,A)
【文献】 特開2010−251359(JP,A)
【文献】 特表2014−515883(JP,A)
【文献】 特表2016−504753(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/010113(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0103664(US,A1)
【文献】 特開2003−077940(JP,A)
【文献】 特開平8−021977(JP,A)
【文献】 特開2006−173215(JP,A)
【文献】 特開2005−175264(JP,A)
【文献】 特開2001−305664(JP,A)
【文献】 特開2010−014797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00−33/64
H01L 21/52
H05K 3/34
G09F 9/00
G02B 26/08
G02B 26/10
G02F 1/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移載先基板上にマイクロデバイスを位置決め配置するための装置であって、
移載先基板を保持するための第1の支持体と、
その表面に形成された連続粘着層を有する移載体と、
前記移載体を提供又は保持するための第2の支持体と、
前記第1の支持体と前記第2の支持体の互いに対する相対動作を提供するように構成された1つ以上のアクチュエータと、
前記移載体の前記連続粘着層の領域を選択的にかつマスクを使用せずに露光するように構成された照射システムであって、
前記照射システムはデジタルマイクロミラーの二次元アレイ及び光学系を備え、
前記デジタルマイクロミラーの二次元アレイ及び光学系は、前記デジタルマイクロミラーの二次元アレイからのイメージが前記移載体全体に及ぶような視野を有している、照射システムと、
コントローラであって、
前記1つ以上のアクチュエータに相対動作を生じさせることで、前記連続粘着層に取り付けられた複数のマイクロデバイスを前記移載先基板に接触させ、
前記照射システムに選択的に前記連続粘着層の1つ以上の部分を露光させることで、前記視野内の前記連続粘着層の前記1つ以上の部分のすべてを同時に露光しながら、1つ以上の無効化された部分を作り出し、
前記1つ以上のアクチュエータに相対動作を生じさせることで、前記表面と前記移載先基板が互いに離れ、前記連続粘着層の前記1つ以上の無効化された部分に対応する1つ以上のマイクロデバイスが前記移載先基板上に残るように構成されたコントローラと、
移載元基板を保持する第3の支持体であって、
前記1つ以上のアクチュエータは、前記第2の支持体と前記第3の支持体の互いに対する相対動作を提供するように構成され、
前記コントローラは、前記1つ以上のアクチュエータに前記移載元基板と前記移載体の互いに対する相対動作を生じさせることで、前記複数のマイクロデバイスが前記移載元基板上にあるときに前記移載体の前記表面の前記連続粘着層が前記複数のマイクロデバイスに接触して、前記複数のマイクロデバイスが前記移載体の前記連続粘着層に付着するように構成されている、第3の支持体と、
前記マイクロデバイスから前記移載元基板を分離するためのエネルギー源とを備える装置。
【請求項2】
前記第2の支持体は、ロボットアームを備えて前記移載体を保持し、
前記ロボットアームは、前記第3の支持体と前記第1の支持体との間で前記移載体を移動させるように動作可能になっている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
移載先基板上にマイクロデバイスを位置決め配置するための装置であって、
移載先基板を保持するための第1の支持体と、
その表面に形成された連続粘着層を有する移載体と、
前記移載体を提供又は保持するための第2の支持体と、
前記移載体と前記第1の支持体の互いに対する相対動作を提供するように構成された1つ以上のアクチュエータと、
光ビームを発生させる光源と、
前記光ビームを前記移載体の前記連続粘着層に調節可能に当てるように構成されたデジタルマイクロミラーの二次元アレイ及び光学系であって、前記デジタルマイクロミラーの二次元アレイからのイメージが前記移載体全体に及ぶような視野を有するデジタルマイクロミラーの二次元アレイ及び光学系と、
コントローラであって、
前記1つ以上のアクチュエータに相対動作を生じさせることで、前記移載体の前記連続粘着層に取り付けられた複数のマイクロデバイスを前記移載先基板に接触させ、
前記光源に前記光ビームを発生させ、前記デジタルマイクロミラーの二次元アレイ及び光学系を調整して前記光ビームを前記連続粘着層に当てることで、選択的に前記連続粘着層の1つ以上の部分を露光して、前記視野内の前記連続粘着層の前記1つ以上の部分のすべてを同時に露光しながら、1つ以上の無効化された部分を作り出し、
前記1つ以上のアクチュエータに相対動作を生じさせることで、前記移載体と前記移載先基板が互いに離れて、前記連続粘着層の前記1つ以上の無効化された部分に対応する1つ以上のマイクロデバイスが前記移載先基板上に残るように構成されたコントローラと、
移載元基板を保持する第3の支持体であって、
前記1つ以上のアクチュエータは、前記第2の支持体と前記第3の支持体の互いに対する相対動作を提供するように構成され、
前記コントローラは、前記1つ以上のアクチュエータに前記移載元基板と前記移載体の互いに対する相対動作を生じさせることで、前記複数のマイクロデバイスが前記移載元基板上にあるときに前記移載体の前記表面の前記連続粘着層が前記複数のマイクロデバイスに接触して、前記複数のマイクロデバイスが前記移載体の前記連続粘着層に付着するように構成されている、第3の支持体と、
前記マイクロデバイスから前記移載元基板を分離するためのエネルギー源とを備える装置。
【請求項4】
前記移載体は着脱可能な移載基板を備えている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の支持体は、ロボットアームを備えて前記移載体を保持し、
前記ロボットアームは、移載元基板を保持するための第3の支持体と前記移載先基板を保持するための前記第1の支持体との間で前記移載体を少なくとも横方向に移動させるように動作可能である、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記1つ以上のアクチュエータに相対動作を生じさせることで、前記移載元基板から前記移載体に移載される前記複数のマイクロデバイスが、前記移載体へ移載される前記移載元基板上の全ての前記マイクロデバイスを含むように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記1つ以上のアクチュエータに相対動作を生じさせることで、前記移載元基板から前記移載体に移載される前記複数のマイクロデバイスが、前記移載元基板上の全ての前記マイクロデバイスよりも少なくなるように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記1つ以上のアクチュエータに相対動作を生じさせることで、前記移載元基板から前記移載体に移載される前記複数のマイクロデバイスが、前記複数のマイクロデバイスのみであるように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項9】
前記エネルギー源は、前記連続粘着層の前記1つ以上の部分を溶融するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、移載元基板から移載先基板へのマイクロデバイスの移載に関する。
【背景】
【0002】
多種多様な製品が基板上に別個のデバイスのアレイを備えており、それらのデバイスは、その基板上の回路によってアドレス指定可能又は制御可能である。個々のデバイスがミクロンスケール、例えば幅100ミクロン未満である場合、それらのデバイスはマイクロデバイスと見なすことができる。一般に、マイクロデバイスは、一連の層を堆積及び製作するための、堆積技術、リソグラフィー技術、エッチング技術などの一連の微細加工技術を使用して製造され得る。
【0003】
別個のマイクロデバイスのアレイを含むデバイスを製造するための1つの手法は、製品の一部を形成することになる基板上に別個のマイクロデバイスを直接製造することである。この技術を使用して、例えばアクティブマトリクス方式液晶ディスプレイ(LCD)のTFTパネル及びカラーフィルターパネルが製造されてきた。
【0004】
ある提案されたディスプレイパネル技術ではLEDのアレイが使用されており、ここでは個々のLEDが個別に制御可能なピクセル素子を形成している。このようなLEDパネルは、コンピュータ、タッチパネル装置、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、テレビモニターなどに用いられ得る。
【0005】
有機発光ダイオード(OLED)パネルが使用されているが、III−V族半導体技術に基づくミクロンスケールのLED(マイクロLEDとも呼ばれる)を使用するLEDパネルはさらなる問題に直面している。特に、最終のディスプレイ基板上に直接III−V族半導体マイクロLEDを堆積させて成長させることには、技術上及び製造上の困難が伴う。さらに、マイクロLEDパネルは、湾曲ディスプレイ又は屈曲可能なディスプレイに製造するのが困難である。
【概要】
【0006】
本開示は、一般に、大面積にわたってマイクロデバイスを表面実装するためのシステム及び方法に関する。
【0007】
一つの態様において、移載先基板上にマイクロデバイスを位置決め配置するための装置は、移載先基板を保持するための第1の支持体と、粘着層を受け入れる表面を有する移載体を提供又は保持するための第2の支持体と、第1の支持体と第2の支持体との間に相対動作を提供するように構成された1つ以上のアクチュエータと、移載体の粘着層の領域を選択的にかつマスクを使用せずに露光するように構成された照射システムと、コントローラとを備える。コントローラは、1つ以上のアクチュエータに相対動作を生じさせることで、粘着層に取り付けられた複数のマイクロデバイスを移載先基板に接触させ、照射システムに選択的に粘着層の1つ以上の部分を露光させることで、1つ以上の無効化された部分を作り出し、1つ以上のアクチュエータに相対動作を生じさせることで、表面と移載先基板が互いに離れ、粘着層の1つ以上の無効化された部分に対応する1つ以上のマイクロデバイスが移載先基板上に残るように構成されている。
【0008】
実施形態は、以下のフィーチャーの1つ以上を含んでもよい。
【0009】
第3の支持体が移載元基板を保持してもよい。1つ以上のアクチュエータは、第1の支持体と第3の支持体との間に相対動作を提供するように構成されてもよい。コントローラは、1つ以上のアクチュエータに移載元基板と移載体との間に相対動作を生じさせることで、複数のマイクロデバイスが移載元基板上にあるときに移載基板の表面の粘着層が複数のマイクロデバイスに接触して、複数のマイクロデバイスが移載体の粘着層に付着するように、構成されてもよい。第2の支持体は、移載体を保持するためのロボットアームを備えてもよい。ロボットアームは、移載体を第3の支持体と第1の支持体との間で移動させるように動作可能であってもよい。ロボットアームは、第1の支持体及び第3の支持体に対して移載体を垂直に移動させるように動作可能であってもよい。
移載体は、第2の支持体から着脱可能な移載基板であってもよい。第2の支持体は、移載基板を解放可能に保持するためのエンドエフェクタを有するロボットアームを備えてもよい。
【0010】
照射システムは、個別に作動可能なミラーのアレイを有するデジタルミラーデバイスを備えてもよい。デジタルミラーデバイスは、ミラーの二次元アレイを備えてもよい。照射システムの視野は移載体の一部にしか及ばず、アクチュエータが、二次元アレイ直線アレイと1つ以上の支持体との間に相対動作を生じさせてもよい。デジタルミラーデバイスはミラーの直線アレイであって、アクチュエータが直線アレイと1つ以上の支持体の間に相対動作を提供してもよい。
【0011】
別の態様では、マイクロデバイスの表面実装方法は、粘着層を有する移載面に移載元基板上の複数のマイクロデバイスを付着させることと、複数のマイクロデバイスが移載面に付着した状態を維持すると共に、移載元基板から複数のマイクロデバイスを取り除くことと、移載先基板に対して移載面を位置決め配置して、移載面の複数のマイクロデバイスの少なくとも一部を移載先基板上の複数の収容位置の少なくとも一部に当接させることと、マイクロデバイスのサブセットに対応する移載面の粘着層の複数の領域を選択的にかつマスクを使用せずに光に露光して、マイクロデバイスのサブセットを粘着層から取り外すことであって、サブセットは2つ以上のマイクロデバイスを含むが、複数のマイクロデバイスの全マイクロデバイスよりは少ないマイクロデバイスを含むことと、移載体を移載先基板から引き離して、マイクロデバイスのサブセットを移載先基板上に残すこととを含む。
【0012】
実施形態は、以下のフィーチャーの1つ以上を含んでもよい。
【0013】
複数のマイクロデバイスは、移載元基板上の全てのマイクロデバイスを含んでもよい。移載元基板は、その上に複数のマイクロデバイスが製造された移載元基板であってもよい。
【0014】
複数のマイクロデバイスは、移載面上に第1のアレイ状に配置されてもよく、複数の収容位置は、移載先基板上に第2のアレイ状に配置されてもよい。第1のアレイの空間密度は、第2のアレイの空間密度よりも大きくてもよい。第1のアレイは、第1の軸に沿った第1のピッチPX1及び第1の軸に直交する第2の軸に沿った第2のピッチPY1で配置された複数のマイクロデバイス用のセルを有する第1の長方形アレイであってもよい。第2のアレイは、第1の軸に沿った第3のピッチPX2及び第1の軸に直交する第2の軸に沿った第4のピッチPY2で配置された収容位置を有する第2の長方形アレイであってもよい。第3のピッチPX2は第1のピッチPX1の整数倍であってもよく、第4のピッチPY2は第2のピッチPY1の整数倍であってもよい。
【0015】
マイクロデバイスはマイクロLEDを含んでもよい。パッシベーション層が、移載先基板上のマイクロデバイスのサブセットに被さって配置されてもよい。
【0016】
複数の領域の選択的な露光には、デジタルミラーデバイスに光を向けることと、デジタルミラーデバイスから選択されたミラーを作動させて、複数の領域へ向けて光を反射させることが含まれてもよい。
【0017】
別の態様では、移載先基板上にマイクロデバイスを位置決め配置するための装置は、移載先基板を保持するための第1の支持体と、粘着層を受け入れる表面を有する移載体を提供又は保持するための第2の支持体と、移載体と第1の支持体との間に相対動作を提供するように構成された1つ以上のアクチュエータと、光ビームを発生させる光源と、平行光ビームを移載体の粘着層に調節可能に当てるように構成されたミラーと、コントローラとを備える。コントローラは、1つ以上のアクチュエータに相対動作を生じさせることで、移載体の粘着層に取り付けられた複数のマイクロデバイスを移載先基板に接触させ、光源に光ビームを発生させてミラーを調整して光ビームを粘着層に当てることで、選択的に粘着層の1つ以上の部分を露光して1つ以上の無効化された部分を作り出し、1つ以上のアクチュエータに相対動作を生じさせることで、表面と移載先基板が互いに離れ、粘着層の1つ以上の無効化された部分に対応する1つ以上のマイクロデバイスが移載先基板上に残るように、構成されている。
【0018】
実施形態は、以下のフィーチャーの1つ以上を含んでもよい。
【0019】
移載体は、着脱可能な移載基板であってもよい。第2の支持体は、移載体を保持するためのロボットアームを備えてもよい。ロボットアームは、移載元基板を保持するための第3の支持体と移載先基板を保持するための第1の支持体との間で移載体を少なくとも横方向に移動させるように動作可能であってもよい。
【0020】
ミラーは、ガルバノミラースキャナのミラーであってもよい。光源はレーザ装置でもよく、光ビームはレーザビームでもよい。
【0021】
別の態様では、マイクロデバイスの表面実装方法には、第1の複数のマイクロデバイスを移載元基板から第1の移載面に移載し、第1の移載面の第1の粘着層に付着させることと、第1の複数のマイクロデバイスを第1の移載面から第2の移載面に移載し、第2の移載面の第2の粘着層に付着させることと、第1の粘着層の領域を選択的に無効化してマイクロデバイスの1列を第1の粘着層から取り外すことによって複数のマイクロデバイスを一度に1列ずつ第1の移載面から解放し、列移載の各間に第2の移載面に対して第1の移載面を移動させて列を第1のピッチで揃えることと、第1の複数のマイクロデバイスを第2の移載面から移載先基板に移載し、第2の粘着層の領域を選択的に無効化してマイクロデバイスの1行を第1の粘着層から取り外すことによって複数のマイクロデバイスを一度に1行ずつ第2の移載面から解放することと、行移載の各間に移載先基板に対して第2の移載面を移動させて行を第2のピッチで揃えることが含まれる。
【0022】
実施形態は、以下のフィーチャーの1つ以上を含んでもよい。
【0023】
第1の複数のマイクロデバイスの移載元基板から第1の移載面への移載には、移載元基板上の全てのマイクロデバイスの第1の移載面への移載が含まれてもよい。第1の複数のマイクロデバイスは、移載元基板上の全てのマイクロデバイスよりも少なくてもよい。第1の複数のマイクロデバイスの第1の移載面から第2の移載面への移載には、第1の複数のマイクロデバイスのみの移載が含まれてもよい。
【0024】
複数のマイクロデバイスは、第1の移載面上に第1のアレイ状に配置されてもよく、複数の収容位置は、移載先基板上に第2のアレイ状に配置されてもよい。第1のアレイの空間密度は、第2のアレイの空間密度よりも大きくてもよい。
【0025】
移載元基板は、その上に複数のマイクロデバイスが製造された移載元基板であってもよい。マイクロデバイスはマイクロLEDであってもよい。パッシベーション層が、移載先基板上のマイクロデバイスのサブセットに被さって配置されてもよい。
【0026】
領域の選択的な無効化には、領域の選択的な露光が含まれてもよい。複数の領域の選択的な露光には、光をデジタルミラーデバイスに向けることと、デジタルミラーデバイスの選択されたミラーを作動させて複数の領域へ向けて光を反射させることとが含まれてもよい。
【0027】
実施形態は、以下の利点のうちの1つ以上を(これらに限定されないが)任意選択的に提供することができる。移載元基板上のマイクロデバイスを、移載先基板に対して望まれる空間密度よりも高い空間密度で作り上げることができ、それによってマイクロデバイスを作り上げるときのスループットが向上し、ウェハスペースが節約される。多数のマイクロデバイスを移載元基板から移載先基板に並行して移載することができる。高精度な移載が可能である。したがって、歩留まりを向上させることができ、製造時間及びコストを削減することができる。移載元基板上の欠陥を有するマイクロデバイスを識別し、それを移載から除外することができる。マイクロデバイスが移載元基板とは異なるピッチで移載先基板上に配置される場合には、従来技術と比較して移載工程の回数を減らすことができる。
【0028】
マイクロデバイスがマイクロLEDである場合には、この技術を用いて3色以上の副画素を有するディスプレイなどの多色ディスプレイを製造できる。フレキシブルディスプレイ及び/又は伸縮性ディスプレイをさらに容易に製造できる。
【0029】
他の態様、フィーチャー、及び利点は、本明細書及び図面、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0030】
以下に様々な実施形態を説明する。ある1つの実施形態の要素及びフィーチャーは、具体的な記述がなくとも、他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが企図されている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】マイクロデバイスのアレイを有する移載元基板の概略斜視図である。
図2】移載先基板の概略斜視図である。
図3】移載元基板から移載先基板へ複数のマイクロデバイスを移載する方法を示すフロー図である。
図4】〜
図10】移載元基板から移載先基板へ複数のマイクロデバイスを移載する方法を説明する概略側面断面図である。
図11A】移載元基板から移載先基板へマイクロデバイスを移載するためのシステムの概略側面断面図である。
図11B】移載基板上の粘着層を照射するためのシステムの概略側面断面図である。
図11C】デジタルマイクロミラーデバイスの概略斜視図である。
図12】マイクロデバイスのアレイが実装された移載先基板の概略斜視図である。
図13】一部のマイクロデバイスが移載された後の移載装置の概略斜視図である。
図14】セル当たりに複数のマイクロデバイスを有する移載先基板の概略斜視図である。
図15】マイクロLEDが実装されたフレキシブル基板の概略斜視図である。
図16】多段階移載プロセスを説明する概略上面図である。種々の図面における同様の参照符号は、同様の構成要素を示す。
【詳細な説明】
【0032】
一部のデバイスを製造するためには、大面積基板又はフレキシブル基板などの基板上にマイクロデバイスを正確かつ優れた費用対効果で形成する新しい手法が必要とされている。例えば、マイクロLEDには、明るさ、寿命、効率の点で有機発光ダイオード(OLED)装置を上回る優位な利点があるので、III−V族半導体技術に基づくLEDパネルを提供することは、望ましいことである。
【0033】
別個のマイクロデバイスから成るアレイを備える装置を製造する方法に、初期基板上にマイクロデバイスをひとまとめに製作し、その後、そのマイクロデバイスを製品の一部になる受入基板又は移載先基板へ移載する方法がある。初期基板でマイクロデバイスを造る理由の1つは、移載先基板が、例えばエッチングや堆積といった、マイクロデバイスを形成するのに必要とされる製造プロセスと両立しない材料である場合があるからである。例えば、LEDの場合には、LEDの堆積は、単結晶窒化ガリウム(GaN)膜がサファイヤウェハ上に成長するエピタキシャル成長プロセスである(サファイヤウェハは、主に、他のウェハ材料と比較してGaN成長に対する格子不整合が小さいために使用されている)。初期基板でマイクロデバイスを造るもう1つの理由は、移載先基板で必要とされる空間密度よりも高い空間密度でマイクロデバイスを製造できることで、マイクロデバイスを造る際にスループットを高め、ウェハ資源を節約でき、その結果としてコストが下がるからである。
【0034】
初期基板から移載先基板へマイクロデバイスを移載する手法の1つが、例えば、一度に1つのマイクロデバイスを移載するロボットのような、ピックアンドプレース装置である。しかし、この手法は価値のない製造方法である。なぜならば、移載しなければならないマイクロデバイスが多数になることを特に考慮すると、低いスループットが欠点になっているからである。
【0035】
前述のように、マイクロデバイスを製造するための方法には改良が必要とされている。以下の記載のように、大面積にわたってマイクロデバイスを表面実装するための方法が開示される。本方法は、粘着層を有する移載基板を移載元基板上のマイクロデバイスの上に配置し、粘着層をマイクロデバイスに付着させ、マイクロデバイスを粘着層に付着させておくと共に、移載元基板から取り外し、移載先基板上の目標位置にマイクロデバイスの位置を合わせ、マイクロデバイスを配置し、光源に移載基板を露光させてマイクロデバイスを移載基板から分離させ、マイクロデバイスが移載基板に残ると共に、マイクロデバイスから移載基板を遠ざけるステップを含む。本方法を利用したマイクロデバイスをポリマーフォトレイヤーへ移載し、その後、マスクレスリソグラフィを用いて多数のパターンで移載先基板に移載することができる。本方法を利用したマイクロデバイスは、多種多様な基板に移載可能である。
【0036】
さらに、マスクレスリソグラフィ技術を使用して、マイクロデバイスを選択的に粘着層から解放することができる。粘着層上への光のマスク投影法とは対照的に、マスクレス技術は、種々の解放パターンに適応でき、各々の解放計画ごとに新たなマスクを作る必要もないのでコストも低く、マスクを製作する時間も必要ないので、より敏速である。
【0037】
図1には、マイクロデバイス110のアレイを有する移載元基板100が示されている。マイクロデバイス110は、例えば発光ダイオード(LED)などの小型電子素子及び論理IC、プロセッサ、メモリ、コントローラなどの集積回路チップである。マイクロデバイス110はミクロンスケールのデバイスであり、例を挙げると、最大横寸法は約1〜100ミクロンである。このデバイスの横寸法は、例えば約1〜50ミクロン、例えば5〜50ミクロン、例えば10〜30ミクロンの場合があり得る。全てのマイクロデバイス110を同一に、すなわち、同一の寸法、回路パターン及びレイヤー構造にすることが可能である。
【0038】
図1には、移載元基板の面に平行な2つの直交方向にPX1及びPY1のピッチで、規則的な長方形アレイ状に並べられたマイクロデバイス110が示されているが、例えば千鳥アレイなどの他のアレイ構成も可能である。
【0039】
マイクロデバイス110を移載元基板100の上に直接製造することが可能であり、例えばデバイス基板などの別の基板の上で製造しておいて、ピッチを変えることなく、移載元基板100に移載することも可能である。例えば、デバイス基板の上ではマイクロデバイスを比較的高密度に製造することが可能であり、移載元基板100を粘着テープにして、デバイスと接触させて配置することも可能である。次に、デバイス基板を取り除くか、切り離して、各マイクロデバイス110を例えば粘着テープである移載元基板に個別に取り付けることが可能である。
【0040】
図2は、セル205のアレイを有する移載先基板200を示す。各セル205には、マイクロデバイス110を収容するスポット210がある。したがって、スポット210もアレイ状に配置されている。しかし、移載先基板200上のスポット210のアレイの間隔は、移載元基板100上のマイクロデバイス110の間隔とは異なる場合がある。通常は、スポット210間の間隔は、移載元基板100上のマイクロデバイス110間の間隔よりも大きい。例えば、図2には、移載先基板200の面に平行な2つの直交方向にPX2及びPY2のピッチで、長方形アレイ状に並べられたスポット210が示されている。したがって、ピッチPX2はピッチPX1よりも大きく、ピッチPY2はピッチPY1よりも大きい場合がある。上記のように、例えば千鳥アレイなどの他のアレイ構成も可能である。スポット210間の間隔はマイクロデバイス110間の間隔とは異なるので、マイクロデバイスをひとまとめに移載しようとして、移載元基板100を単純に移載先基板200に当接させて置くことはできない。
【0041】
図2に示されていないが、移載先基板100は、特にそれが製品の一部を形成することになる基板である場合には、正しくスポット210に固定された時に、マイクロデバイス110に電力を供給するために、及び/又はマイクロデバイス110をアドレス指定するために、及び/又はマイクロデバイス110を制御するために、回路及び他の構成部品を備えることができる。例えば、各スポット210は、マイクロデバイス110の1つ以上のボンドパッドに電気的に接続するボンドパッドを1つ以上備えることができる。
【0042】
図11Aは移載元基板から移載先基板へマイクロデバイスを移載するためのシステムの概略側面断面図である。図11Aには、移載元基板100から移載先基板200へマイクロデバイスを移載するためのシステム600が示されている。議論のため、Z軸を基板100、200の平面に対して垂直な方向、X軸及びY軸を基板400の平面に平行な2つの直交する方向とする。通常は、Z軸は鉛直軸、すなわち重力の方向と一致する軸であるが、このことは必須ではない。
【0043】
装置600は、移載元基板100を支持するステージ610、移載先基板200を支持するステージ510、及び移載装置630を備える。移載装置630は、粘着層420を配置することが可能な表面632を備える。移載装置630は、入れ替え可能な移載基板420を備えることが可能であり、この移載基板に粘着層420が形成される。選択的に、表面632は、移載装置630と一体になっている部分でもよい。
【0044】
表面632は平面、例えば平板の底部とすることができ、ステージ610、510の上面と平行にすることができる。選択的に、表面632は円筒形、例えば回転ドラムの外面とすることができる。
【0045】
1つ以上のアクチュエータが、移載装置630と、ステージ610及び620との間の相対動作を提供する。例えば、移載装置630は、表面632をX軸、Y軸及びZ軸に沿って移動させることができる3軸ロボットアーム512を備えることができる。しかし、他にも多くの構成が可能である。例えば、ロボットアーム512はY軸及びY軸の運動のみを提供すると共に、ステージ610、620が垂直に移動可能であるか、又は、両ステージはY軸に沿って移動可能である場合などの構成が可能である。移載装置630が交換可能な移載基板410を備えるならば、ロボットアーム512はその移載基板を保持するためのエンドエフェクタを備えてもよい。このエンドエフェクタは、真空チャック又は端縁把持用アクチュエータでもよい。
【0046】
装置600はまた、表面632に接する粘着層420の一部を選択的に「無効化」するためのシステムを備える。この文脈において、「無効化」には、例えば溶解又は溶融によって粘着層を完全に除去すること、又はその材料の物理的性質を改変して、粘着層がもはや粘着性を持たなくなる(「変性される」とも呼ばれる)ことのいずれかが含まれている。そのシステムを、表面632を備える物体の背面に光源からの光を選択的に向ける照射システム530とすることができる。選択的に、そのシステムは、表面632を備える物体に埋め込まれた、個別に制御可能なヒーターを備えてもよい。
【0047】
プログラム可能なコンピュータなどのコントローラ650は、装置の各種構成要素、例えばアクチュエータ及び照射システムの動作を調整する。動作にあたっては、表面632に接する粘着層420は、移載元基板100上のマイクロデバイス110と接触するように降ろされて、そのマイクロデバイスと共に持ち上げられる。粘着層420上のマイクロデバイス110は、移載先基板200の上まで横に移動して、移載先基板200の上に降ろされる。次に、選択された領域内の粘着層が無効化され、表面632は、残った粘着層420と共に移載先基板200から離れて持ち上げられて、マイクロデバイスは、粘着層が無効化された領域に対応する移載先基板上のスポットに残ったままになる。上記の説明では、表面632が相対動作を提供するものとして表現されているが、ステージ610、620の動作が必要な相対動作の一部又は全部を提供することも可能であることが理解されよう。
【0048】
図3は、移載元基板から移載先基板へ複数のマイクロデバイスを移載する方法300のフロー図である。図4〜10は、移載元基板から移載先基板へ複数のマイクロデバイスを移載する方法を説明する概略側面断面図である。
【0049】
図4に示されるように、マイクロデバイス110のアレイを有する移載元基板100を製造するか、又は製造工場から受け取る。(ステップ304)
【0050】
図5に示されるように、移載元基板100は、移載装置630の表面632に近接して位置決め配置される(ステップ308)。移載元基板の方向を合わせることで、移載装置630と向かい合う移載元基板100の面にマイクロデバイス110が来る。移載装置は、粘着層420を備える。粘着層420は、着脱可能な移載基板400の一部とすることができる。粘着層420は、例えば未硬化又は部分的に硬化したポジ型フォトレジストなどの粘着性ポリマーでもよい。
【0051】
粘着層420は、少なくともマイクロデバイス110のアレイに対応する表面632の部分の全体にわたって延在する。いくつかの実施形態では、粘着層420は、全マイクロデバイス110にまたがる連続した単一層である。このような単一層の利点は、移載元基板100に対して移載装置630を横方向に正確に位置決めする必要がないことである。いくつかの実施形態では、粘着層632は複数の別々の島状に分割され、各島がマイクロデバイス110の1つずつに対応している。しかし、そのような実施形態では、移載装置630を横方向に位置決めして、島を移載元基板100上のマイクロデバイス110に接触させる必要がある。
【0052】
スピンコーティング又は液滴吐出型描画法によって移載装置630の表面632に粘着層420を塗布できる。例えばバッキング基板410のような表面632を備える物体の材料は、例えばガラス又は石英のように、粘着層420を硬化又は溶解するために使用される光の波長に対して実質的に透明な材料である。
【0053】
図5では、粘着層420が連続層として示されているが、このことは必須ではない。例えば、移載元基板110上のマイクロデバイス110の位置に対応する個々のスポットに、又は縞模様状や他のパターンで、粘着層420を塗布できる。
【0054】
次に、図6に示されるように、移載装置630を移載元基板100に近接して配置して、マイクロデバイス110を粘着層420に付着させる(ステップ312)。
【0055】
図5、6に示される方法の代替方法として、粘着層420を移載元基板100上に直接堆積させて、粘着材料が少なくともマイクロデバイス110を覆うことが可能である。例えば、粘着材料の全面連続層420を、少なくともマイクロデバイス110のアレイの全体にわたって堆積させることができる。次いで、移載装置630の表面632を下降させて粘着層420と接触させることができる。
【0056】
図7に示されるように、ここで、移載元基板100を取り除いて(ステップ316)、マイクロデバイス110を移載装置630の粘着層420に取り付けた状態にしておくことができる。例えば、レーザ装置などの赤外線熱源を使用して、各マイクロデバイス110が移載元基板100に取り付けられている領域を溶融することで、マイクロデバイス110から移載元基板100を取り外すことができる。
【0057】
図8を参照する。移載装置630を位置決め配置して、マイクロデバイス110を移載先基板200と接触させて置くことが可能である(ステップ320)。
【0058】
図8及び図9を参照する。移載先基板200に引き渡されるべきマイクロデバイス110に対応する、粘着層420の選択された領域430に、例えば除去や変性などの無効化が施される(ステップ324)。例えば、光450は、例えばバッキング基板410などの表面632を備える物体を通過して、領域430に選択的に向けられ得る。光は、粘着層420の領域430を溶融又は溶解することができ、あるいは領域430を非粘着性組成物に硬化させることができる。いくつかの実施形態では、光は粘着層420を露光し、その露光部分は現像液で除去される。
【0059】
図11Bは、移載基板400から移載先基板200へマイクロデバイスを移載するための装置500の例を示している。議論のため、Z軸を移載基板400の平面に対して垂直な方向、X軸及びY軸を移載基板400の平面に平行な2つの直交する方向とする。通常は、Z軸は鉛直軸、すなわち重力の方向と一致する軸であるが、このことは必須ではない。
【0060】
装置500は移載先基板200を支持するステージ510と、移載基板400を保持する、例えば端縁把持用アクチュエータなどのホルダ520を備える。リニアアクチュエータなどのアクチュエータ512によって、ステージ510とホルダ520との間にZ軸に沿う相対動作が提供される。図示されるように、アクチュエータ512を連結し、かつ構成して、ホルダ520が静止している状態を維持すると共に、ステージ510をZ軸に沿って移動させることが可能である。また、その逆も同様に可能である。
【0061】
いくつかの実施形態では、1つ以上の追加アクチュエータによって、ステージ510とホルダ520の間にX軸及びY軸に沿う相対動作が提供される。ここでも再び、そのアクチュエータを連結し、かつ構成して、ホルダ520が静止している状態を維持すると共に、ステージ510をX−Y平面内で移動させることが可能である。また、その逆も同様に可能である。例えば、X−Y平面内での動作を提供するロボットアームにホルダ520を位置決め配置することができる。
【0062】
装置500はまた、照射システム530を備える。照射システム530は、光源532と、光源からの光を選択的に移載基板400の背面に向ける機構とを備える。ある実施形態では、照射システム530は、独立して制御可能なミラー、例えばデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)534の二次元アレイを備える。照射システム530はまた、光源532からの光をDMD534に向けるための照射光学系536、及び/又は、DMD534の駆動ミラーによって反射された光を粘着層420に向けるための投影光学系538を備えることができる。DMD534のどのミラーを作動させるかを制御することによって、光450を所望の領域430に選択的に向けることができる。
【0063】
図11Cを参照する。DMD534は複数の独立したミラー550を備えることができる。例えばミラー550aによって示される第1の位置と、例えばミラー550bによって示される第2の位置との間で、各ミラー550を独立して傾けることが可能である。第1の位置では、光源532からの入射光は、反射されて投影光学系538に送られ、結像面内の特定の画素(例えば移載基板400に接する粘着層)を照射し、第2の位置では、光源532からの入射光は、反射光が結像領域(例えば移載基板400に接する粘着層)に到達しない経路に沿って反射される。個々のミラー550を制御するために回路が形成される基板554の上の支柱552で、ミラー550を支持することができる。しかし、それ以外にも多くの形式がDMDには可能である。
【0064】
光源532は、例えば水銀アーク灯などのアーク灯、又は、例えば固体レーザダイオードなどのレーザ装置とすることができる。一群の光ファイバーの束の一方の端を、1つ以上のレーザダイオードに接続することが可能であり、その光ファイバーの他方の端からの光を照射光学系536に向けるか、又は直接DMD534に送ることも可能である。
【0065】
DMDを備える照射システムに関する更なる議論は、米国特許出願公開第2016/0282728号、第2016/0219684号、第2016/0124316号に記載されている。特に、米国特許公開第2016/0124316号は、照射−投影ビームセパレータを備える光学システムについて述べており、その照射−投影ビームセパレータを使用して光源532からの光をDMD534に向け、反射した光450を分離することが可能である。
【0066】
いくつかの実施形態では、投影光学系538の視野は、移載基板400の全体に及ぶ。この場合には、光450と移載基板400との間で横方向の動作を行う必要はない。しかし、いくつかの実施形態では、投影光学系538の視野は、移載基板400の一部にしか及ばない。この場合には、アクチュエータが、移載基板400の露光の各間に、照射システム530と移載基板400との間のX−Y平面内の相対動作を提供することが可能である。
【0067】
照射システム530は、ミラーの二次元アレイではなく、むしろミラーの直線アレイを備え、アクチュエータが照射システム530と移載基板400との間のX−Y平面内の相対動作を提供し、移載基板400の全域にわたってミラーの直線アレイを走査させることが可能である。選択的に、照射システム530は、ミラーの直線アレイを備え、例えばガルバノスキャナなどのアクチュエータで直線DMDアレイ534を回転させ、結果として生じる反射光を移載基板400の全域にわたって走査させることが可能である。
【0068】
別の実施形態として、例えばレーザ装置からの光ビームを移載基板400の全域にわたってラスタ走査させ、走査に伴ってDMDと同じ機能を提供しながら、その光ビームを変調することが可能である。例えば、照射システム430は、2つの直交軸の周りに1つのミラーを回転させることができる2軸ミラージンバルを備えることで、光ビームを移載基板上で2つの直交軸に沿って走査させることが可能である。別の実施例として、照射システム430は、2つのガルバノミラースキャナを(光ビームの経路に沿って)直列に備えることができ、これによって、光ビームを移載基板上で2つの直交軸に沿って走査させることが可能になる。
【0069】
図10及び図12〜13に示されるように、選択された領域430が照射されたならば、移載装置630は持ち上げられ、選択されたマイクロデバイス110aは移載先基板200上の所定の位置に残されたままになる(ステップ328)。粘着層430が露光されなかった位置に残ったマイクロデバイス110bは、移載基板400に接した状態を維持している。
【0070】
図1−2及び図12−13を参照する。移載元基板100上でのマイクロデバイスの初期の空間密度は、上記故に移載装置630上での空間密度も、移載先基板200上のスポット210の空間密度よりも大きい。しかし、スポット210と移載基板上の特定のマイクロデバイス110の位置が合うならば、スポット210に対応するマイクロデバイス110だけを移載することができる。例えば、ピッチPX2がピッチPX1の整数倍であり、ピッチPY1がピッチPX2の整数倍である場合、(PX2*PY2)/(PX1*PY1)個のマイクロデバイス110毎に1個が移載される。長方形アレイでは、PX2/PX1列毎、及びPY2/PY1行毎に、移載されたマイクロデバイス110が位置決め配置され得る。
【0071】
図13に示されるように、その結果である移載装置630’には、マイクロデバイス110bが欠けているセル440が存在することになる。しかし、移載装置630’は、別の移載先基板200で再利用が可能である。手短に言えば、ステップ320、324、328を繰り返すことができるが、別の移載先基板を用いて、さらに移載装置630から別組のマイクロデバイスを使用する必要がある。すなわち、移載装置630’を新しい移載先基板に近接させて位置決め配置することができるが、別組のマイクロデバイスをスポット120と位置決め配置する必要がある。例えば、移載装置630’を各繰り返しにつき1セルだけ移動させることができる。これにより、理想的には、長方形アレイでは、移載装置630を合計で(PX2×PY2)/(PX1×PY1)回、使用することが可能になる。
【0072】
図14に示されるように、いくつかの製品では、各セル205内に異なる種類の複数のマイクロデバイス110i、110j、110kが必要になる場合がある。例えば、カラーLEDディスプレイの場合には、赤色、青色、緑色のそれぞれに1個ずつ、合計3個のマイクロLEDが必要になることがある。各マイクロLEDは、1つのサブピクセルを提供することができる。サブピクセルには様々なパターンが可能である。例えば、異なる色のサブピクセルを単純に単一の行又は列に配置することができる。選択的に、例えば、セル内のサブピクセルを、例えば赤色及び緑色の2つの色を別個に持つ2つのサブピクセルと、例えば青色である第3の色の単一サブピクセルとで、五の目型パターンに配置することができる(このパターンはまた、ペンタイルアレイとして知られている)。これらの移載技術を用いて、4色以上のサブピクセルを有するディスプレイ、例えば、赤色、緑色、青色及び黄色のマイクロLEDを有するディスプレイを形成することも可能である。
【0073】
こうした異なる色のLEDは、異なる色の光を放射する蛍光体層を有するLEDであってもよい。又は、異なる色のフィルタ層を有するLEDであってもよい。又は、白色光を放射するが、白色光を吸収して異なる色の光を再放射するオーバーレイ用蛍光体材料(この材料は量子ドットでもよい)も備えるLEDであってもよい。
【0074】
異なるマイクロデバイス、例えば異なる色のマイクロLEDを、移載先基板に必要とされる空間密度よりも高い空間密度で別々の移載元基板上に製造できる。その後、各移載元基板に対して移載プロセスを実行できる。すなわち、それぞれ特定の移載元基板から得られたマイクロデバイスを、それ自体の移載基板へ移載することができる。例えば、青色のマイクロLEDを載せた移載基板、赤色のマイクロLEDを載せた移載基板、及び緑色のマイクロLEDを載せた移載基板があり得る。各移載基板では、各セルに対して1個のマイクロデバイスが移載先基板へ移載される。
【0075】
図15に示されるように、いくつかの実施形態では、移載先基板200はフレキシブル基板である。例えば、移載先基板200をフレキシブル回路として、マイクロデバイス110をマイクロLEDとすることで、フレキシブルディスプレイスクリーンを提供することができる。選択的に、又は、それに加えて、移載先基板200を伸縮性基板とすることができる。
【0076】
上記の説明は、移載元基板には(したがってターゲット基板にも)、移載先基板上の各セルでの移載先スポットと適切に位置が合わさるマイクロデバイスがあると仮定していた。これにより、1回の解放操作で全てのマイクロデバイスを移載基板から移載先基板に移載することが可能になる(すなわち、粘着層の対応する全領域を同時に露光する)。
【0077】
しかし、移載元基板上のマイクロデバイス間の間隔が、1回の解放操作で全てのマイクロデバイスを移載先スポットに移載することが不可能な間隔になっている場合があり得る。例えば、ピッチPX2がピッチPX1の整数倍ではない場合、及び/又はピッチPY1がピッチPX2の整数倍ではない場合がある。
【0078】
それでも、少なくとも個々のマイクロデバイスをピックアンドプレースしなければならない場合と比較すると、製造スループットの大幅な向上を達成することは、依然として可能である。図16を参照する。改良プロセスでは、移載元基板上のマイクロデバイスの当初の間隔に対して任意の間隔を有する長方形アレイにマイクロデバイスを配置することが可能になる。
【0079】
最初に、マイクロデバイス110が、移載元基板から第1の移載装置の第1の表面、例えば第1の移載基板400aに移載される。マイクロデバイス110は、X軸に沿うピッチPX1及びY軸に沿うピッチPY1で第1の移載基板110上に並べられている。次に、第2の移載装置の第2の表面、例えば第2の移載基板400bに第1の移載基板400aを近接させて位置決め配置する。全てのマイクロデバイスを一度に第2の移載基板に移載するのではなく、一度に1列だけが移載されるが、この時、第1の移載基板には移載の各間に横方向の再位置決め配置が行われて、一方の方向に適切な間隔がもたらされる。続いて、マイクロデバイスは、一度に1行ずつ、第2の移載基板から移載先基板に移載されるが、この時、第1の移載基板には移載の各間に横方向の再位置決め配置が行われて、他の方向に適切な間隔がもたらされる。
【0080】
例えば、移載先基板にはN行M列のセルがあって、マイクロデバイス110を収容すると仮定する。第1の移載基板400aは、第2の基板400bに近接して位置決め配置される。照射システムを制御して、単一列内のN個のマイクロデバイス110に対応する領域を照射する。したがって、N個のマイクロデバイス110を含む1列だけが第2の移載基板400bに移載されることになる。次に、第1の移載基板400aを第2の移載基板400bに対してX軸に沿って移動させ、照射システムを制御して別の単一列内の別のN個のマイクロデバイス100に対応する領域を照射することで、N個のマイクロデバイスの列がもう1列、配置される。N行のマイクロデバイスを有するM列が第2の移載基板400bに移載されるまで、この移動と配置のプロセスがM−1回繰り返される。第2の移載基板400bに対する第1の移載基板400aの移動量は、第2の移載基板400b上のX軸に沿ったマイクロデバイスのピッチが、移載先基板の所望のピッチPX2と一致するピッチになる移動量である。Y軸に沿ったマイクロデバイスのピッチは、PY1又はPY1の整数倍であればよい。
【0081】
N行のマイクロデバイスを有するM列のアレイが第2の移載基板400bに移載されたならば、マイクロデバイス110を移載先基板200に移載することができる。第2の移載基板400bは、第2の基板400bに近接して位置決め配置される。照射システムを制御して、単一行内のM個のマイクロデバイス110に対応する領域を照射する。したがって、M個のマイクロデバイス110を含む単一行だけが移載先基板200に移載されることになる。次に、第2の移載基板400bを移載先基板400bに対してY軸に沿って移動させ、照射システムを制御して別の単一行内の別のM個のマイクロデバイス100に対応する領域を照射することで、M個のマイクロデバイスの行がもう1行、配置される。M列のマイクロデバイスを有するN行が移載先基板200に移載されるまで、この移動と配置のプロセスがN−1回繰り返される。移載先基板200に対する第2の移載基板400bの移動量は、移載先基板200上のY軸に沿ったマイクロデバイスのピッチが、移載先基板200の所望のピッチPY2と一致するピッチになる移動量である。その結果、移載先基板上のマイクロデバイスのピッチは、PX1とPX2の関係及びPY1とPY2の関係は際限なく自由でありながらも、今やX軸方向にPX2、Y軸方向にPY2になっている。
【0082】
この多段階移載プロセスの利点は、移載工程の総回数が概ねM+Nになっていることである。高解像度ディスプレイでは、この合計数M+Nは依然として多い数かも知れないが、個別ピックアンドプレース法に必要とされるであろう移載工程の数、すなわちM*Nよりは遙かに少ない。
【0083】
いくつかの実施形態では、マイクロデバイスは、移載先基板に移載される前に点検又は検査を受けることになる。マイクロデバイスがまだ移載元基板上にある時に検査が行われることもあり、マイクロデバイスが移載基板上にある時に点検が行われることもある。点検又は検査によってマイクロデバイスに欠陥があることが明らかになった各セルには、移載システムの照射システムを制御して、欠陥のあるマイクロデバイスに対応する移載基板の領域を照射しない。したがって、識別された欠陥のあるマイクロデバイスは、移載先基板に移載されない。こうしてマイクロデバイスを欠くことになった移載先基板上のセルは、どれもがその後のピックアンドプレース操作で機能するマイクロデバイスを収容することができる。これにより、移載先基板を、故に製品をも、非常に高い歩留まりで製造することが可能になる。
【0084】
いくつかの実施形態では、マイクロデバイスのどちらの面を移載先基板と接触させる必要があるかに応じて、マイクロデバイスを裏返すために、そのマイクロデバイスを第3の移載基板に移載することが必要になる(第3の移載基板への移載が、第1の移載基板の前、第2の移載基板の後、又は第1の移載基板と第2の移載基板との間ということもあり得る)。
【0085】
上記の方法は単一のマイクロデバイスの表面実装方法を説明しているが、この方法は2つ以上のマイクロデバイスを含み得ることを理解すべきである。
【0086】
コントローラは、デジタル電子回路、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせで実現される。コントローラは、1つ以上のコンピュータプログラム製品を、すなわち例えば非一時的な機械読取り可能記録媒体又は伝搬信号などの情報媒体に明白に具体化される1つ以上のコンピュータプログラムを備えることができる。そして、例えばプログラム可能なプロセッサ、コンピュータ又は複数のプロセッサなどのデータ処理装置、若しくは複数のコンピュータによって実行すること、又はこれら機器の操作の制御を行うことができる。コンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとも呼ばれる)は、コンパイル言語又はインタープリター言語を含む任意の形式のプログラミング言語で書かれてもよく、スタンドアロンプログラムや、あるいはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、その他コンピュータ環境での使用に適した他の構成単位を含むどのような形式でも導入され得る。コンピュータプログラムは、1台のコンピュータで、若しくは1つのサイトにある、又は複数のサイトにわたって分散しているが通信ネットワークによって相互に接続されている、複数台のコンピュータで実行されるように、導入され得る。
【0087】
本明細書に記載されたプロセス及び論理フローは、1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルプロセッサによって実行されて、入力データに基づく動作と出力の生成とによる機能が発揮され得る。例えばFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)などの専用ロジック回路によって、それらプロセス及び論理フローを実行することも可能であり、そうした専用ロジック回路として装置を実現することも可能である。
【0088】
鉛直や横といった位置決め配置に関する用語を使用してきた。しかし、そのような用語は、重力に対する絶対的な位置決め配置ではなく、相対的な位置決め配置を指すことを理解されたい。例えば、横方向とは基板表面に平行な一方向であり、それに対して、鉛直方向は基板表面に垂直な方向である。
【0089】
当業者には、上記の例が例示を意図したものであって、限定を意図したものではないことが理解されるであろう。本明細書を読み、図面を検討した当業者には明白である、これらの例に対する全ての置換、強化、等価物及び改良は、本開示の真の趣旨及び範囲に含まれることが意図されている。したがって、添付された以下の特許請求項は、これらの教示の真の趣旨及び範囲に含まれる、このような全ての変更、置換及び等価物を含むことが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14
図15
図16