【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)一実施形態に係る骨付き肉の全長測定装置は、
骨付き肉を把持し水平方向へ移動可能なクランプ具と、
前記骨付き肉の搬送経路に設けられる接触子と、
前記接触子を前記骨付き肉に押し付け可能な押付部と、
前記接触子の上下位置を検出可能な位置センサと、
前記接触子の動作を制御可能な制御部であって、前記クランプ具の搬送と共に移動する移動座標系において、基準位置から、前記位置センサが前記骨付き肉の搬送方向下流側末端を検出した末端検出位置までの距離を前記骨付き肉の全長として求める演算部を含む制御部と、
を備える。
ここで、「移動座標系」とは、クランプ具と共に移動する観測者から視たときの座標系である。
【0007】
上記(1)の構成において、上記クランプ具によって把持された骨付き肉が搬送経路上を移動するとき、接触子が骨付き肉に接触する。骨付き肉に接触した接触子の上下位置を位置センサで検出する。上記演算部は、移動座標系において、既知の基準位置から位置センサが検出した骨付き肉の搬送方向下流側末端までの距離を骨付き肉の全長として求める。このように、移動座標系で、既知の基準位置から検出した骨付き肉の下流側末端までの距離を求めるだけで、骨付き肉の全長を容易に求めることができる。また、搬送される骨付き肉を停止させずに全長測定が可能になり、測定効率を向上できる。
【0008】
(2)一実施形態では、前記(1)の構成において、
前記基準位置は、全長が既知の複数本の骨付き肉について得られた前記末端検出位置から演算される。
上記(2)の構成によれば、基準位置は今まで得た骨付き肉の実測値から適宜設定できる。この基準位置から上記移動座標系で検出した末端検出位置までの距離を求めるだけで骨付き肉の全長を容易に求めることができる。
【0009】
(3)一実施形態では、前記(1)又は(2)の構成において、
前記骨付き肉の筋入れを行うための筋入れ刃を備え、
前記制御部は、前記筋入れ刃による筋入れ時に前記接触子を前記骨付き肉の押えとして動作させるように構成される。
上記(3)の構成によれば、上記筋入れ刃を備えることで、骨付き肉の全長測定と共に、骨付き肉の筋入れを行うことができる。そして、筋入れ時に接触子を骨付き肉の押えとして利用できるので、筋入れ時に骨付き肉のぐらつきを抑制できる。これによって、筋入れを正確に行うことができる。
【0010】
(4)一実施形態では、前記(1)又は(2)の構成において、
前記制御部は、前記移動座標系において、前記位置センサにより前記骨付き肉の関節部が検出される関節検出位置(C点)よりも上流側の位置において前記骨付き肉に対して前記接触子が接触するように動作するように構成される。
上記(4)の構成によれば、筋入れ時に複雑な形状を有する骨付き肉の関節部を接触子で支持できるので、該関節部を正確に筋入れできる。
【0011】
(5)一実施形態では、前記(1)又は(2)の構成において、
前記基準位置は、前記搬送経路上で前記クランプ具が前記接触子に到達した時の前記クランプ具の位置とし、
前記制御部は、前記クランプ具が前記基準位置に到達した時を起点として前記押付部を作動させ、前記接触子を前記骨付き肉に接触させるように構成される。
上記(5)の構成によれば、前記クランプ具が上記基準位置に来た時を起点として押付部を作動させ、接触子を動作させるので、クランプ具にぶつかることなく、クランプ具の搬送方向下流側でかつ骨付き肉の搬送方向上流側部位で接触子を骨付き肉にタイミング良く接触できる。
【0012】
(6)一実施形態では、前記(1)〜(5)の何れかの構成において、
前記演算部は、前記接触子が前記骨付き肉に接触した後から前記末端検出位置までの間で選択された選択位置における前記位置センサの検出値が閾値外であるとき、前記骨付き肉が前記クランプ具に把持されていないと判定するように構成される。
上記(6)の構成によれば、位置センサの検出値からクランプ具に骨付き肉が把持されていない場合を検出できる。これによって、全長測定装置の誤検出を防止できる。
【0013】
(7)一実施形態では、前記(1)〜(6)の何れかの構成において、
前記押付部はエアシリンダで構成される。
上記(7)の構成によれば、押付部がエアシリンダで構成されることで、接触子を骨付き肉の表面に弾性力をもって押圧できる。これによって、骨付き肉を傷付けることなく、かつ接触子が骨付き肉から離れることなく、接触子を骨付き肉の表面に倣わせることができる。
【0014】
(8)一実施形態では、前記(1)〜(7)の何れかの構成において、
前記位置センサの検出値を第1座標軸とし、第2座標軸として前記骨付き肉の搬送方向位置とした移動座標軸からなる2次元移動座標で、少なくとも前記基準位置から前記末端検出位置までの前記接触子の軌跡を表示した表示部を備える。
上記(8)の構成によれば、接触子の位置を上記2次元座標上に表すことで、接触子の軌跡をビジュアルに表すことができ、骨付き肉の全長をビジュアルに表すことができる。
【0015】
(9)一実施形態に係る骨付き肉の全長測定方法は、
骨付き肉を水平方向に沿って搬送する搬送ステップと、
前記搬送ステップで搬送される前記骨付き肉に接触子を押し付け、該接触子の上下位置を検出する検出ステップと、
検出された前記接触子の上下位置から前記接触子が前記骨付き肉の搬送方向下流側末端位置に達したと判定する判定ステップと、
前記骨付き肉の搬送と共に移動する移動座標系において、基準位置から、前記判定ステップで判定した前記骨付き肉の前記搬送方向下流側末端位置までの距離を前記骨付き肉の全長として求める演算ステップと、
を備える。
【0016】
上記(9)の方法によれば、上記演算ステップにおいて、移動座標系で、既知の基準位置から検出した骨付き肉の搬送方向下流側末端位置までの距離を求めるだけで、骨付き肉の全長を容易に求めることができる。また、搬送される骨付き肉を停止させずに全長測定が可能になり、測定効率を向上できる。
【0017】
(10)一実施形態では、前記(9)の方法において、
前記移動座標系で前記基準位置から前記搬送方向下流側末端位置までの距離は、前記基準位置から前記接触子が前記骨付き肉の前記搬送方向下流側末端位置に達した時までの時間差と、前記骨付き肉の搬送速度との積で求める。
上記(10)の方法によれば、上記基準位置と接触子が骨付き肉が搬送方向下流側末端位置に達した時との時間差と骨付き肉の搬送速度との積から骨付き肉の全長を容易に求めることができる。
【0018】
(11)一実施形態では、前記(9)又は(10)の方法において、
前記搬送ステップにおいて前記骨付き肉を搬送しながら、搬送される前記骨付き肉の骨部の下部に筋入れ刃を挿入して前記骨付き肉の前記骨部と肉部との間に切れ目を形成する筋入れステップを備え、
前記筋入れステップにおいて、前記接触子を前記骨付き肉に接触させ前記骨付き肉を支持させる。
上記(11)の方法によれば、筋入れ時に接触子を骨付き肉の押えとして利用できるので、筋入れ時に骨付き肉のぐらつきを抑制できる。これによって、筋入れを正確に行うことができる。
【0019】
(12)一実施形態では、前記(9)〜(11)の何れかの方法において、
前記搬送ステップにおいて、前記骨付き肉をクランプ具で把持し、前記骨付き肉の骨部が水平方向に沿う横向きで前記骨付き肉を搬送する。
上記(12)の方法によれば、骨付き肉をクランプ具で把持し、骨付き肉の骨部が水平方向に沿う横向きで骨付き肉を搬送するために、骨付き肉を搬送しながら停止させることなく接触子による全長測定が可能になる。