特許第6977100号(P6977100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6977100半導体構造上にエピタキシャルスムージング加工を実行するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6977100
(24)【登録日】2021年11月12日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】半導体構造上にエピタキシャルスムージング加工を実行するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/302 20060101AFI20211125BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20211125BHJP
   H01L 27/12 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   H01L21/302 201A
   H01L27/12 B
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2020-72339(P2020-72339)
(22)【出願日】2020年4月14日
(62)【分割の表示】特願2017-532623(P2017-532623)の分割
【原出願日】2015年12月18日
(65)【公開番号】特開2020-123737(P2020-123737A)
(43)【公開日】2020年8月13日
【審査請求日】2020年4月14日
(31)【優先権主張番号】62/094,466
(32)【優先日】2014年12月19日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518112516
【氏名又は名称】グローバルウェーハズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GlobalWafers Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100112911
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・ロバート・ロッツ
【審査官】 田中 崇大
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−031715(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0060899(US,A1)
【文献】 特開2001−168046(JP,A)
【文献】 特表2012−510180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/302
H01L 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造を加工する方法であって、前記半導体構造は、前記半導体構造の外面を形成するデバイス層を含み、
前記方法は、
前記デバイス層の初期厚さプロファイルを測定するステップと、
前記デバイス層の前記初期厚さプロファイルを補完する除去マッププロファイルを決定することによって、前記デバイス層についての所望の除去マッププロファイルを決定するステップと、
前記所望の除去マッププロファイルに基づいて、ガスエッチャントエピタキシャルスムージング加工において使用するための加工パラメータセットを決定するステップと、
決定された加工パラメータセットを使用して前記外面上にエピタキシャルスムージング加工を実行することによって、前記除去マッププロファイルに従って前記デバイス層から材料を選択的に除去するステップと、を含み、
前記加工パラメータセットを決定するステップは、前記所望の除去マッププロファイルに基づいて、それぞれの所定の加工パラメータセットが所定の除去マッププロファイルに関連付けられた複数の所定の加工パラメータセットから、前記加工パラメータセットを選択することを含み、
前記方法は、
前記半導体構造の実際の除去マッププロファイルと、前記エピタキシャルスムージング加工中に使用される選択された加工パラメータセットに関連付けられた所定の除去マッププロファイルと、を比較して、前記実際の除去マッププロファイルと前記所定の除去マッププロファイルとの間の差を決定するステップと、
前記実際の除去マッププロファイルと前記所定の除去マッププロファイルとの間の差が閾値限界を超えた場合、前記エピタキシャルスムージング加工中に使用される前記選択された加工パラメータセットに関連付けられた前記所定の除去マッププロファイルを更新するステップと、を更に含む、
方法。
【請求項2】
半導体構造を加工する方法であって、前記半導体構造は、前記半導体構造の外面を形成するデバイス層を含み、
前記方法は
前記デバイス層の初期厚さプロファイルを測定するステップと、
前記デバイス層の前記初期厚さプロファイルを補完する除去マッププロファイルを決定することによって、前記デバイス層についての所望の除去マッププロファイルを決定するステップと、
前記所望の除去マッププロファイルに基づいて、ガスエッチャントエピタキシャルスムージング加工において使用するための加工パラメータセットを決定するステップと、
決定された加工パラメータセットを使用して前記外面上にエピタキシャルスムージング加工を実行することによって、前記除去マッププロファイルに従って前記デバイス層から材料を選択的に除去するステップと、を含み、
前記加工パラメータセットを決定するステップは、前記所望の除去マッププロファイルに基づいて、それぞれの所定の加工パラメータセットが所定の除去マッププロファイルに関連付けられた複数の所定の加工パラメータセットから、前記加工パラメータセットを選択することを含み、
前記加工パラメータセットを決定するステップは、
前記エピタキシャルスムージング加工の第1部分についての第1加工パラメータセットを決定するステップと、
前記エピタキシャルスムージング加工の第2部分についての第2加工パラメータセットを決定するステップと、を含む、
方法。
【請求項3】
前記デバイス層から材料を選択的に除去するステップは、前記エピタキシャルスムージング加工の前記第1部分についての前記第1加工パラメータセットと、前記エピタキシャルスムージング加工の第2部分についての第2加工パラメータセットと、を使用して、前記外面上に前記エピタキシャルスムージング加工を実行するステップを含む請求項に記載の方法。
【請求項4】
半導体構造を加工するシステムであって、前記半導体構造は、前記半導体構造の外面を形成するデバイス層を含み、
前記システムは、
前記デバイス層の厚さプロファイルを測定するように構成されたウエハ測定装置と、
ウエハ加工装置と、
厚さ測定装置に通信可能に接続された演算装置と、
前記演算装置に通信可能に接続された除去マッププロファイルライブラリとを含み、
前記演算装置は、
前記デバイス層の前記厚さプロファイルに基づいて、前記半導体構造の前記デバイス層についての所望の除去マッププロファイルを決定し、
前記所望の除去マッププロファイルに基づいて、ガスエッチャントエピタキシャルスムージング加工において使用するための加工パラメータセットを決定するように構成され、
前記除去マッププロファイルライブラリは、複数の所定の除去マッププロファイルと、複数の所定の加工パラメータセットと、を含み、
それぞれの所定の除去マッププロファイルは、前記所定の加工パラメータセットの1つに関連付けられ、
前記演算装置は、前記所望の除去マッププロファイルに基づいて、複数の所定の加工パラメータセットから、前記加工パラメータセットを選択することによって、前記加工パラメータセットを決定し、
前記ウエハ加工装置は、決定された加工パラメータセットを使用して前記外面上にガスエッチャントエピタキシャルスムージング加工を実行することによって、前記除去マッププロファイルに従って前記デバイス層から材料を選択的に除去するように構成され、
前記演算装置は、
前記半導体構造の実際の除去マッププロファイルと、前記エピタキシャルスムージング加工中に使用される選択された加工パラメータセットに関連付けられた所定の除去マッププロファイルと、を比較して、前記実際の除去マッププロファイルと前記所定の除去マッププロファイルとの間の差を決定し、
前記実際の除去マッププロファイルと前記所定の除去マッププロファイルとの間の差が閾値限界を超えた場合、更新イベントを開始するように構成されている、
システム。
【請求項5】
前記演算装置は、前記実際の除去マッププロファイルと前記所定の除去マッププロファイルとの間の前記差が前記閾値限界を超えたことを示す通知を出力することによって、更新イベントを開始するように構成されている請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記演算装置は、前記除去マッププロファイルライブラリの中に前記実際の除去マッププロファイルを記憶することによって、前記除去マッププロファイルライブラリを更新し、前記実際の除去マッププロファイルが選択された加工パラメータセットに関連付けられるように構成されている請求項に記載のシステム。
【請求項7】
半導体構造を加工するシステムであって、前記半導体構造は、前記半導体構造の外面を形成するデバイス層を含み、
前記システムは、
前記デバイス層の厚さプロファイルを測定するように構成されたウエハ測定装置と、
ウエハ加工装置と、
厚さ測定装置に通信可能に接続された演算装置と、
前記演算装置に通信可能に接続された除去マッププロファイルライブラリとを含み、
前記演算装置は、
前記デバイス層の前記厚さプロファイルに基づいて、前記半導体構造の前記デバイス層についての所望の除去マッププロファイルを決定し、
前記所望の除去マッププロファイルに基づいて、ガスエッチャントエピタキシャルスムージング加工において使用するための加工パラメータセットを決定するように構成され、
前記除去マッププロファイルライブラリは、複数の所定の除去マッププロファイルと、複数の所定の加工パラメータセットと、を含み、
それぞれの所定の除去マッププロファイルは、前記所定の加工パラメータセットの1つに関連付けられ、
前記演算装置は、前記所望の除去マッププロファイルに基づいて、複数の所定の加工パラメータセットから、前記加工パラメータセットを選択することによって、前記加工パラメータセットを決定し、
前記ウエハ加工装置は、決定された加工パラメータセットを使用して前記外面上にガスエッチャントエピタキシャルスムージング加工を実行することによって、前記除去マッププロファイルに従って前記デバイス層から材料を選択的に除去するように構成され、
前記演算装置は、
エピタキシャルスムージング加工の第1部分の間に使用するために、複数の所定の加工パラメータセットから第1加工パラメータセットを選択し、
前記エピタキシャルスムージング加工の第2部分の間に使用するために、複数の所定の加工パラメータセットから第2加工パラメータセットを選択するように構成され、
前記ウエハ加工装置は、前記エピタキシャルスムージング加工の前記第1部分についての前記第1加工パラメータセットと、前記エピタキシャルスムージング加工の第2部分についての第2加工パラメータセットと、を使用して、前記外面上に前記エピタキシャルスムージング加工を実行するように構成されている
ステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2014年12月9日に出願された米国仮出願第62/094,466の優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示の分野は、一般的に、半導体構造を加工するためのシステムおよび方法に関し、特に、シリコン・オン・インシュレータ構造上でエピタキシャルスムージング加工を実行するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体ウエハは、一般的に、単結晶インゴット(例えば、シリコンインゴット)から製造され、次に、スライスされて個々のウエハになる。いくつかの適用では、多層構造(一般的に、多層構造または単にウエハと呼ばれることもある)が使用されてもよい。多層構造の一般的な形態は、半導体・オン・インシュレータ構造であり、そのうちの最も一般的なものの1つは、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)ウエハである。SOIウエハは、典型的には、誘電体層(すなわち絶縁層)の上にシリコンの薄層を含む。これは順に基板(すなわちハンドルウエハ)の上に配置される。典型的には、基板またはハンドルウエハは、シリコンである。
【0004】
SOIウエハを製造する例示的なプロセスは、ドナーウエハの研磨された表面上に酸化物の層を堆積させることを含む。粒子(例えば、水素原子または水素原子とヘリウム原子の組合せ)は、ドナーウエハの表面下の特定の深さに注入される。注入された粒子は、注入された特定の深さでドナーウエハ中に劈開面を形成する。ドナーウエハの表面を洗浄して、注入プロセス中にウエハ上に堆積した有機化合物を除去する。
【0005】
次に、ドナーウエハの表面はハンドルウエハに接合され、親水性接合プロセスにより接合ウエハを形成する。いくつかのプロセスでは、ドナーウエハとハンドルウエハは、例えば酸素と窒素を含むプラズマにウエハ面を暴露することによって共に接合される。プラズマへの暴露は、しばしば表面活性化と呼ばれるプロセスの中で表面の構造を変化させる。次に、ウエハは、共に押圧され、その間に接合が形成される。その後、ドナーウエハは、接合されたウエハから劈開面に沿って分離され(すなわち、劈開され)、SOIウエハが形成される。
【0006】
得られたSOIウエハは、酸化物層およびハンドルウエハの上に配置されたシリコンの薄層(劈開後に残るドナーウエハの一部)を含む。シリコン薄層の劈開面は、最終用途には適さない粗い面を有する。表面への損傷は、粒子注入の結果であり、結果として生じるシリコンの結晶構造内の転位である。したがって、劈開面を平滑にするために追加の加工が必要である。
【0007】
シリコンの表面層(すなわち、劈開面)を平滑化するとともに薄くするために使用される公知の方法は、アニールと、化学機械研磨と、高温ガスエッチング(すなわち、エピタキシャルスムージングまたは「エピ・スムージング」)と、劈開面上への犠牲酸化物層の形成と、の組合せを含む。これらのスムージング加工は、一般的に、各SOIウエハと同一の加工パラメータを使用して実行される。すなわち、現在のスムージング加工の加工条件は、一般的に、同一のバッチ内のSOIウエハ間では調整されない。
【0008】
SOIウエハの現在の製造プロセスは、ほとんどの用途において、上部シリコン層の満足な厚さの均一性を提供している。しかしながら、現在のスムージング加工は、極薄SOI(ETSOI)用途または完全空乏トランジスタゲートを必要とする用途などの特定の用途に対しては、最適ではない厚さの均一性しか提供できないが、それはなぜなら、そのような用途のための厚さの均一性の必要条件が、時にはより厳しいものであるからである。例えば、部分的に空乏化したSOI(PDSOI)用途の産業仕様は、30オングストローム(Å)以上の最上層の厚さ均一性を許容するが、完全空乏型SOI(FDSOI)用途では、10Å以下の最上層の厚さ均一性が必要である。したがって、向上した厚さ均一性を有するシリコン層を有するSOIウエハの製造を可能にするSOIウエハ加工のシステムおよび方法の必要性が存在する。
【0009】
この背景技術のセクションは、以下に説明および/または請求される本開示の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介することを意図するものである。この議論は、背景情報を読者に提供し、本開示の様々な態様のより良好な理解を容易にするのに役立つと考えられる。したがって、これらの説明は、この観点から読まれるべきであり、従来技術の承認として読まれるべきではないことが理解されなければならない。
【発明の概要】
【0010】
一態様では、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)構造を加工する方法が提供される。SOI構造は、ハンドルウエハと、シリコン層と、ハンドルウエハとシリコン層との間の誘電体層と、を含む。シリコン層は、SOI構造の外面を形成する劈開面を有する。この方法は、シリコン・オン・インシュレータ構造のシリコン層についての所望の除去マッププロファイル(removal map profile)を決定するステップと、所望の除去マッププロファイルに基づいてエピタキシャルスムージング加工の中で使用するための加工パラメータセットを決定するステップと、決定された加工パラメータセットを使用して劈開面上にエピタキシャルスムージング加工を実行することによって、除去マッププロファイルに従ってシリコン層から材料を選択的に除去するステップと、を含む。
【0011】
別の態様では、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)構造を加工するためのシステムが提供される。SOI構造は、ハンドルウエハと、シリコン層と、ハンドルウエハとシリコン層との間の誘電体層と、を含む。シリコン層は、構造の外面を形成する劈開面を有する。このシステムは、シリコン層の厚さプロファイルを測定するように構成されたウエハ測定装置と、ウエハ加工装置と、厚さ測定装置に通信可能に接続された演算装置と、を含む。演算装置は、シリコン層の厚さプロファイルに基づいて、SOI構造のシリコン層についての所望の除去マッププロファイルを決定し、所望の除去マッププロファイルに基づいて、エピタキシャルスムージング加工の中で使用するための加工パラメータセットを決定するように構成されている。ウエハ加工装置は、決定された加工パラメータセットを使用して劈開面上にエピタキシャルスムージング加工を実行することによって、除去マッププロファイルに従ってシリコン層から材料を選択的に除去するように構成されている。
【0012】
上述の態様に関連して示された特徴の様々な改良が存在する。更なる特徴も上述の態様に組み込まれ得る。これらの改良および追加的な機能は、個別にまたは任意に組み合わされて存在する。例えば、示されている具体例のいずれかに関して以下に説明される様々な特徴は、単独で、または任意に組み合わされて、上記の態様のいずれかに組み込まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】シリコン・オン・インシュレータ(SOI)構造の形態で示された例示的な半導体構造の断面図である。
図2】ウエハ加工装置と演算装置とを含むウエハ加工システムの概略図である。
図3】化学気相堆積(CVD)リアクタの形態で示されている、図2のウエハ加工システムと共に使用するのに適した例示的なウエハ加工装置の断面図である。
図4図1のウエハ加工システムと共に使用するのに適した例示的な演算装置のブロック図である。
図5】SOI構造のシリコン層の特徴的な除去マッププロファイルを示すグラフである。
図6】SOI構造のシリコン層の特徴的な除去マッププロファイルを示すグラフである。
図7】SOI構造のシリコン層の特徴的な除去マッププロファイルを示すグラフである。
図8】SOI構造のシリコン層の特徴的な除去マッププロファイルを示すグラフである。
図9図1のSOI構造を加工するための例示的な方法のフローチャートである。
図10図1のSOI構造を加工するための別の例示的な方法のフローチャートである。
図11図1のSOI構造を加工するための別の例示的な方法のフローチャートである。
図12図1のSOI構造を加工するための別の例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
対応する参照符号は、図面のいくつかを通して対応する部分を示す。
【0015】
図1を参照すると、本開示の具体例の中で使用するのに適した半導体層構造の全体が1で示されている。構造1は、半導体層2と、誘電体層3(絶縁層とも呼ばれる)と、基板4と、を含む。構造の半導体層2は、一般的に、その上または中にマイクロ電子デバイスが形成される部分である。本開示で利用される1つの典型的な半導体層2(デバイス層とも呼ばれる)は、シリコンである。例示的な具体例では、構造1は、シリコン半導体層2を有するシリコン・オン・インシュレータ(SOI)構造であり、したがって、半導体構造1は、本明細書では交換可能にSOI構造と呼ばれるが、本開示の態様は、SOI構造以外の半導体構造と共に使用するのにも適している。さらに、半導体層2は、本開示においてシリコン層として説明される一方で、半導体層2は、例えば、限定的ではないが、シリコン、ゲルマニウム、砒化ガリウム、窒化アルミニウム、シリコンゲルマニウム、窒化ガリウム、およびこれらの組合せを含む他の半導体層または複数の層を含んでもよい。
【0016】
基板4(ハンドルウエハとも呼ばれる)は、例えば、限定的ではないが、シリコン、ゲルマニウム、砒化ガリウム、窒化アルミニウム、シリコンゲルマニウム、窒化ガリウム、サファイア、およびそれらの組合せを含む層構造を形成するのに適した材料であってもよい。
【0017】
誘電体層3(絶縁層とも呼ばれる)は、半導体層2とハンドルウエハ4との間に配置される。誘電体層3は、例えば、限定的ではないが、SiO、Si、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、およびそれらの組合せを含む半導体・オン・インシュレータ構造に使用するのに適した電気絶縁材料であってもよい。典型的には、SOI構造は、絶縁層を含み、例えばその絶縁層は一部または全体がSiOである。
【0018】
SOI構造1の層は、酸化および/または表面活性化を含む当技術分野で一般的に知られている適切な手段を用いて接合されてもよい。例えば、いくつかの具体例では、SOI構造は、接合の前のドナーウエハ、ハンドルウエハ、またはドナーウエハとハンドルウエハの両方の酸化によって接合される。他の具体例では、SOI構造は、ドナーウエハ、ハンドルウエハ、またはドナーウエハとハンドルウエハの両方の上の誘電体層の表面活性化によって結合されてもよい。
【0019】
SOI構造の製造の例示的なプロセスは、ドナーウエハの研磨された表面上に誘電体層(例えば、酸化物層)を堆積させることを含む。粒子(例えば、水素イオンまたは水素イオンとヘリウムイオンの組合せ)は、ドナーウエハの表面下の特定の深さに注入される。注入された粒子は、注入された特定の深さでドナーウエハ中に劈開面を形成する。ドナーウエハの表面を1つ以上の洗浄操作で洗浄して、注入プロセス中にウエハ上に堆積した汚染物質(例えば、有機化合物および他の汚染粒子)を除去する。
【0020】
次に、ドナーウエハの表面はハンドルウエハに接合され、例えば親水性接合プロセスにより接合ウエハを形成する。いくつかの具体例では、ドナーウエハとハンドルウエハは、プラズマにウエハ面を暴露することによって共に接合される。プラズマは、しばしば表面活性化と呼ばれるプロセスにおいて表面の構造を変化させる。次に、ウエハは、共に押圧され、その間に接合が形成される。この接合は典型的には比較的弱いので、構造を劈開してドナーウエハの一部を除去する前に強化され得る。
【0021】
いくつかのプロセスでは、ドナーウエハとハンドルウエハとの間の親水性接合(すなわち、接合ウエハ)は、接合ウエハのペアを加熱またはアニールして、ドナーウエハとハンドルウエハの隣接面の間に共有結合を形成し、その結果ドナーウエハとハンドルウエハとの間の接合を凝固させることによって強化される。接合ウエハの加熱またはアニールと同時に、ドナーウエハに先に注入された粒子は、劈開面を弱める。その後、ドナーウエハの一部は、接合ウエハから劈開面に沿って分離され(すなわち、劈開され)、SOI構造が形成される。
【0022】
劈開面に沿ってドナーウエハを劈開する1つの方法は、ドナーウエハの一部を接合ウエハから引き剥がすために、接合ウエハの対向する側に対して垂直に機械的な力を加える固定具の中に接合された構造を置くことを含む。この対向する力は、本出願の範囲から逸脱することなく、対向する側に完全に垂直である必要はない。いくつかの具体例によると、機械的な力を加えるために吸着カップが利用される。ドナーウエハの一部の分離は、劈開面の結合されたウエハの縁に機械的くさびを当てることによって開始され、劈開面に沿って亀裂の伝播を開始させることができる。次に、吸着カップによって加えられる機械的な力は、接合されたウエハからドナーウエハの一部を引っ張り、SOI構造を形成する。他の方法によると、接合されたペアは、代わりに一定時間にわたって高温にさらされ、接合されたウエハからドナーウエハの一部を分離してもよい。高温にさらすことは、劈開面に沿って亀裂の伝播を開始させ、したがってドナーウエハの一部を分離させる。
【0023】
得られるSOI構造は、誘電体層3およびハンドルウエハ4の上に配置されたシリコンの薄層2(劈開後に残るドナーウエハの一部)を含む。シリコン層2の劈開面5は、SOI構造の外面を形成し、最初は粗く不均一な面を有する。劈開面5には、エピタキシャルスムージング前アニールおよび化学機械研磨などのエピタキシャルスムージング前加工と、エピタキシャルスムージング(「エピ・スムージング」)加工と、が施され、最初の処理されていない劈開面に比べて平滑で均一な表面を得ることができる。1つの特定の具体例では、シリコン層2の劈開面5は、(例えば、劈開面5の酸化および酸化物の剥ぎ取りによる)酸化層薄化プロセスに続いてアルゴンガス雰囲気の中で高温アニールプロセスを施され、その後、第2酸化物層薄化ステップを受ける。次に、シリコン層2にはエピ・スムージング加工が施され、シリコン層2を目標厚さまで薄くし、厚さの均一性を向上させる。
【0024】
SOI構造などの半導体構造は、典型的にはバッチで処理される。いくつかの例では、エピ・スムージング加工は、同一のバッチのSOI構造内のSOI構造間では調整されない。そのようなバッチのエピ・スムージング加工は、典型的には、部分空乏型のSOI構造のみを必要とする用途などの、より厳しくないウエハ内の厚さ均一性要件を有する用途には適している。しかしながら、特定の用途に対しては、外側シリコン層2は、エピ・スムージング加工がウエハ毎に調整または「チューニング」されることを必要とする厚さの均一性を有することが望ましい。例えば、完全空乏型SOI構造を必要とする用途などのいくつかの用途の産業仕様は、10Å以下のウエハ内の厚さ均一性を必要とする。このような厚さの均一性には、加工されるSOI構造の初期厚さプロファイルに基づいてエピ・スムージング加工を調整またはチューニングすることが必要である。
【0025】
本開示のシステムおよび方法は、高度に均一な厚さの外形を有する半導体デバイス層(例えば、シリコン層)を備える半導体構造の製造を容易にする。本明細書に記載のシステムおよび方法は、特に、約100Å〜約5000Åの、より適切には約100Å〜約1000Åのエピ・スムージング前厚さのシリコン層を有するSOI構造と共に使用するのに適している。本明細書に記載のシステムおよび方法は、シリコン層を有するSOI構造を製造するのにも適しており、そのシリコン層は、約100Å〜約1000Åの、より適切には約100Å〜約500Åのエピ・スムージング後の厚さを有し、約±10Å、より適切には約±5Åのシリコン層の厚さ均一性を有する。本開示のシステムおよび方法は、SOIウエハに関して説明されているが、本開示の態様は、SOIウエハ以外の半導体構造との使用にも適している。
【0026】
図2を参照すると、図1のSOI構造1などの半導体構造上にスムージング加工を実行するためのウエハ加工システムが概略的に示され、全体が100として示されている。例示的なウエハ加工システム100は、エピ・スムージング加工を使用してSOIウエハを加工するのに特に適している。しかし、ウエハ加工システム100は、SOI構造以外の半導体構造を処理するために使用され、エピ・スムージング加工以外のスムージング加工を実行するために使用されてもよい。
【0027】
図示されている加工システム100は、ウエハ測定装置102と、ウエハ加工装置104と、演算装置106と、を含む。ウエハ測定装置102およびウエハ加工装置104は、いずれも、適切な通信システム(例えば、有線および/または無線ネットワーク)によって演算装置106に通信可能に接続され、SOI構造またはSOI構造の加工に使用される加工パラメータについての情報などの情報を、演算装置106へ送信し、および演算装置106から受信する。使用時には、ウエハ加工システム100を使用して、受入(incoming)(すなわち、エピ・スムージング前の状態の)SOI構造108の厚さプロファイルに基づいてSOI構造に対してエピ・スムージング加工を実行する。具体的には、受入SOI構造108の厚さプロファイルは、ウエハ測定装置102を用いて測定され、演算装置106を用いて受入SOI構造108のシリコン層2についての除去マッププロファイルが決定される。加工パラメータセット、または「レシピ」は、演算装置106を用いて決定される。SOI構造は、ウエハ加工装置104を使用して、決定された加工パラメータセットによって加工される。
【0028】
示されているウエハ加工システム100は、「フィードフォワード」システムであり、適切な通信システム(例えば、有線および/または無線ネットワーク)によって演算装置106とウエハ加工装置104に通信可能に接続され、演算装置106とウエハ加工装置104と情報を送受信する除去マッププロファイルライブラリ110を含む。除去マッププロファイルライブラリ110は、複数の除去マッププロファイル112と、複数の加工パラメータセット114と、を含む。各加工パラメータセット114は、除去マッププロファイル112の1つに関連付けられている。特に、各加工パラメータセット114は、エピ・スムージング加工を使用して、SOI構造のシリコン層2(図1)上の除去マッププロファイル(加工パラメータセット114に関連付けられた除去マッププロファイル112に実質的に一致する)を達成するように設計される。したがって、標準的な操作条件の下では、所与の加工パラメータセット114を使用して加工されるSOI構造は、加工パラメータセットに関連付けられた除去マッププロファイル112に実質的に一致する除去マッププロファイルを有する。
【0029】
例示的な具体例では、除去マッププロファイル112のそれぞれは、除去マッププロファイル112に関連付けられた加工パラメータセット114を使用して、あらかじめ実行されたエピ・スムージング加工から一般的に知られまたは決定される。したがって、除去マッププロファイル112と加工パラメータセットは、本明細書では交換可能に所定の除去マッププロファイルおよび所定の加工パラメータセットと呼ばれる。
【0030】
除去マッププロファイルライブラリ110は、除去マッププロファイル112と加工パラメータセット114とを記憶するように構成される。除去マッププロファイル112と加工パラメータセット114は、演算装置106および/またはウエハ加工装置104によって検索、修正、または他の方法でアクセスされることができる。除去マッププロファイルライブラリ110は、ウエハ加工システム100を本明細書に記載のように機能させることができる適切な構造を含んでもよい。その適切な構造は、例えば、限定的ではないが、本明細書でより詳細に説明される演算装置400(図4)のプロセッサ、メモリデバイス、および他の構成要素を含む。
【0031】
ウエハ測定装置102は、受入SOI構造108の厚さプロファイルを測定するように構成される。用語「厚さプロファイル」は、シリコン層2の様々な点で測定された上部シリコン層2(図1)の厚さを指し、シリコン層2の劈開面5(図1)の全体的な外形の代表的なサンプルを提供するものである。SOI構造の厚さプロファイルは、一般的に、シリコン層2の複数の厚さを含む。各厚さは、関連する厚さが測定されたシリコン層2に沿った点に関連付けられている。厚さプロファイルは、ウエハ加工装置を本明細書に記載のように機能させることができる適切な数の厚さを含んでもよい。一例では、厚さプロファイルは、17個の厚さ測定結果を含む。この測定結果は、シリコン層2の中心から4つの異なる半径で取得された4組の厚さ測定結果と、シリコン層2の中心で取得された1つの厚さ測定結果とを含む。
【0032】
ウエハ測定装置102は、ウエハ加工システム100を本明細書に記載のように機能させることができる適切な測定装置を含んでもよい。SOI構造中の上部層のシリコンの厚さを測定するための適切なウエハ測定装置の一例は、分光エリプソメータである。SOI構造中の上部層のシリコンの厚さを測定するための他の適切なウエハ測定装置は、例えば、限定的ではないが、反射率測定に基づく測定装置およびフーリエ変換赤外(FTIR)分光分析に基づく測定装置を含む。
【0033】
ウエハ加工装置104は、非接触スムージング加工を用いて、受入SOI構造108のシリコン層2(図1)から材料を除去するように構成される。具体的には、ウエハ加工装置104は、受入SOI構造108の厚さプロファイルに基づく加工パラメータを使用して、劈開面5(図1)にエピ・スムージング加工を実行することによって、SOI構造のシリコン層2(図1)から材料を選択的に除去するように構成される。
【0034】
図3は、図2のウエハ加工システム100と共に使用するのに適した例示的なウエハ加工装置の概略的な断面図であり、化学気相堆積(CVD)リアクタ300の形態で示されている。本開示による使用に適したCVDリアクタの一例は、ASMインターナショナルによるASM Epsilon 3000である。例示的なウエハ加工装置は、本明細書ではCVDリアクタを参照して説明されるが、ウエハ加工装置104は、CVDリアクタ以外のウエハ加工装置を含んでもよい。
【0035】
図3に示されているように、CVDリアクタ300は、反応または加工チャンバ302と、加工チャンバ302内に配置され、加工チャンバ302内の図1のSOI構造などの基板306を支持するように構成された回転可能なサセプタ304と、加工チャンバ302の一端に配置されたガス噴射口308と、加工チャンバ302の反対側の端部に配置されたガス排出口310と、を含む。
【0036】
サセプタ304は、シャフト312に接続されている。シャフト312は、シャフト312とサセプタ304を回転軸314の周りに回転させるように構成された回転装置(図示せず)に接続されている。サセプタ304の回転速度は、図1に示されている演算装置106などの適切なコントローラを使用して制御されてもよい。
【0037】
CVDリアクタ300はまた、ガス噴射口308と加工チャンバ302との間に配置されたガスマニホールド316を含む。ガスマニホールド316は、ガス噴射口308から加工チャンバ302内にガスエッチャントなどの流入ガス318を導くように構成されている。いくつかの具体例では、ガスマニホールド316は、複数のガス噴射流路320(そのうちの1つは図3に示されている)を形成し、加工チャンバ302内のガスの分配を制御する。いくつかの具体例では、ガス噴射口308は、2つ以上の別個のプロセスライン(図示せず)を含む多口噴射器であってもよく、プロセスラインのそれぞれは、ガスエッチャントまたは水素ガス源などの加工ガス源(図示せず)に流体連通して接続されている。プロセスラインは、同一の加工ガス源または異なる加工ガス源に接続される。各プロセスラインは、ガス噴射流路320の1つと流体連通して接続され、ガスマニホールド316内に複数のガス噴射流入領域を形成する。異なる流入領域における加工ガスの組成および流速は、図1の演算装置106などの適切なコントローラを使用して、互いに独立して変更および制御され、基板306上のガスの半径方向の流れ分布、およびその結果として基板表面の相対的なエッチング速度を制御してもよい。
【0038】
CVDリアクタ300はまた、基板306および/または加工チャンバ302内に供給されるガス318を加熱するように構成された複数の加熱要素322を含む。一例では、加熱要素322は、CVDリアクタ300のサセプタ304および/または他の熱放射吸収要素を加熱するように構成された高強度放射熱ランプを含む。サセプタ304および予熱リング324によって吸収された熱は、ガス318が予熱リング324およびサセプタ304の上を通過する際に、流入ガス318に伝達される。他の具体例では、加熱要素322は、例えば、限定的ではないが、抵抗加熱器および誘導加熱器を含む高強度放射熱ランプ以外の装置を含んでもよい。
【0039】
再び図1を参照すると、演算装置106は、ウエハ測定装置102、ウエハ加工装置104、および除去マッププロファイルライブラリ110のそれぞれに通信可能に接続され、ウエハ測定装置102、ウエハ加工装置104、および除去マッププロファイルライブラリ110へおよび/またはから情報を送信および/または受信するように構成され、ウエハ加工システム100によってSOI構造を加工することを容易にする。いくつかの具体例では、例えば演算装置106は、サセプタ304、ガス噴射口308、および加熱要素322などのウエハ加工装置104の構成要素を、ユーザによって選択されまたは入力された加工パラメータに従って制御するように構成されてもよい。
【0040】
いくつかの具体例では、演算装置106は、加工パラメータセットをウエハ加工装置104に送信するように構成されてもよい。ウエハ加工装置104は、送信された加工パラメータセットによってウエハ加工装置104の構成要素を制御するように構成された統合コントローラを含んでもよい。他の具体例では、演算装置106は、ウエハ加工装置104に統合され、ウエハ加工装置104の構成要素を制御するように構成されてもよい。
【0041】
いくつかの具体例では、演算装置106は、受入SOI構造108または加工SOI構造116のシリコン層2の厚さプロファイルなどの受入SOI構造108についての情報をウエハ測定装置102から受信するように構成されてもよい。演算装置106は、ウエハ測定装置102から受信した情報に基づいてSOI構造上にエピ・スムージング加工を実行する際に使用する加工パラメータセットを決定するように構成されてもよい。いくつかの具体例では、例えば、演算装置106は、受入SOI構造108の初期厚さプロファイルに基づいて、受入SOI構造108の所望の除去マッププロファイルを決定するように構成され、および所望の除去マッププロファイルに基づいて加工パラメータセットを決定するように構成されてもよい。ここで、除去マッププロファイルは、シリコン層2上の様々な位置でシリコン層2から除去される材料の量を表す。いくつかの具体例では、演算装置106は、受入SOI構造108の所望の除去マッププロファイルに実質的に一致する除去マッププロファイル112を除去マッププロファイルライブラリ110から識別するとともに、SOI構造上のエピ・スムージング加工を実行する際に使用するために、識別された除去マッププロファイルに関連する加工パラメータセット114を選択するように構成されてもよい。
【0042】
いくつかの具体例では、演算装置106は、加工SOI構造116の実際の厚さプロファイル(すなわち、エピ・スムージング加工後の厚さプロファイル)と加工SOI構造116の期待厚さプロファイル(例えば、SOI構造を加工するために使用される加工パラメータセット114に関連付けられた除去マッププロファイル112に基づくもの)との比較に基づいて更新イベントを開始するように構成されてもよい。1つの具体例では、例えば、演算装置106は、実際の厚さプロファイルと期待厚さプロファイルとの間の差が1つ以上の閾値限界を超える場合に、通知または警告をウエハ加工システム100のユーザに出力するように構成されてもよい。閾値限界は、例えば、絶対的もしくは固定の限界値(例えば、ウエハの仕様要求に対応するウエハ厚さの差の平均)、または例えばウエハ上の複数の点におけるエッチング速度を追跡し、ウェスタン・エレクトリック・ルールなどの決定規則を使用して統計的プロセス制御パラメータによってデータを解析することに基づく閾値限界であってもよい。演算装置106がユーザに通知または警告を出力すると、ユーザは、SOI構造を加工するために使用されるウエハ加工装置104のSOI構造および/または加工履歴を評価して、ウエハ加工装置104がメンテナンスを必要とするかどうか、および/または除去マッププロファイルライブラリ110を更新すべきかどうかを決定することができる。
【0043】
他の具体例では、演算装置106は、除去マッププロファイルライブラリに新しい除去マッププロファイルおよび/または加工パラメータセットを記憶することによって、または除去マッププロファイル112および加工パラメータセット114のうちの1つまたは複数を修正することによって、除去マッププロファイルライブラリ110を自動的に修正または更新するように構成されてもよい。いくつかの具体例では、例えば、演算装置106は、加工SOI構造116の実際のエピ・スムージング後の厚さプロファイルを期待されるエピ・スムージング後の厚さプロファイル(例えば、SOI構造を加工するために使用される加工パラメータセット114に関連付けられた除去マッププロファイル112に基づくもの)と比較し、期待厚さプロファイルと実際の厚さプロファイルとの間の差が、1つ以上の閾値限界を超える場合、SOI構造を加工するために使用される加工パラメータセット114に関連付けられた除去マッププロファイル112を置換または変更する。例えば、期待厚さプロファイルと実際の厚さプロファイルとの間の差が、1つ以上の閾値限界を超える場合、演算装置106は、(例えば、SOI構造のエピ・スムージング前および後の厚さプロファイルに基づく)新しい除去マッププロファイルを決定し、除去マッププロファイルライブラリ110の中に新しい除去マッププロファイルを記憶して、新しい除去マッププロファイルが、SOI構造を加工するために使用される加工パラメータセットに関連付けられるように構成されてもよい。
【0044】
さらに、または代わりに、演算装置106は、SOI構造の期待除去マッププロファイルと実際の除去マッププロファイルとの比較に基づいて更新イベントを開始するように構成されてもよい。いくつかの具体例では、例えば、演算装置106は、(例えば、SOI構造のエピ・スムージング前および後の厚さプロファイルに基づく)加工SOI構造116の実際の除去マッププロファイルを決定し、その実際の除去マッププロファイルとエピ・スムージング加工に使用される加工パラメータセット114に関連付けられた除去マッププロファイル112とを比較して、期待除去マッププロファイルと実際の除去マッププロファイルとの間の差が1つ以上の閾値限界を超える場合に、除去マッププロファイルライブラリ110の中の除去マッププロファイル112を実際の除去マッププロファイルに置換または更新するように構成されてもよい。
【0045】
さらに、演算装置106は、ウエハ加工システム100によって加工された複数のSOI構造の実際の厚さプロファイルと期待厚さプロファイルとの間の計算された差を解析または監視して、例えば統計的プロセス制御を使用してウエハ加工装置104の将来のメンテナンス要件を評価または予測するように構成されてもよい。
【0046】
図2には1つの演算装置106が示されているが、ウエハ加工システム100は、ウエハ加工システム100を本明細書に記載のように機能させることができる、任意の適切な数の演算装置を含んでもよい。さらに、図示の演算装置106は、ウエハ測定装置102、ウエハ加工装置104、および除去マッププロファイルライブラリ110とは別個のものとして示されているが、1つ以上の演算装置が、ウエハ測定装置102、ウエハ加工装置104、および除去マッププロファイルライブラリ110のうちの1つまたは複数の中に統合されてもよい。
【0047】
図4は、図2のウエハ加工システム100と共に使用するのに適した演算装置400の例示的な具体例のブロック図である。例えば、演算装置400は、図2を参照して以上に示して説明した演算装置106を表す。ウエハ測定装置102、ウエハ加工装置104、および除去マッププロファイルライブラリ110は、演算装置400の構成要素の全部または一部を含んでもよい。演算装置400は、命令を実行するためのプロセッサ405を含む。いくつかの具体例では、実行可能命令がメモリ領域410に格納される。プロセッサ405は、(例えば、マルチコア構成の)1つ以上の処理ユニットを含んでもよい。メモリ領域410は、実行可能な命令および/またはデータなどの情報を記憶および検索することができるデバイスである。メモリ領域410は、1つ以上のコンピュータ可読記憶デバイスまたは他のコンピュータ可読媒体を含んでもよい。これらは、一時的コンピュータ可読媒体および非一時的コンピュータ可読媒体を含む。
【0048】
少なくともいくつかの実装では、演算装置400は、ユーザ401に情報を提示するための少なくとも1つの媒体出力構成要素415も含む。媒体出力構成要素415は、ユーザ401に情報を伝達することができる構成要素である。いくつかの具体例では、媒体出力構成要素415は、ビデオアダプタおよび/または音声アダプタなどの出力アダプタを含む。出力アダプタは、プロセッサ405に動作可能に接続され、表示デバイス(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、ブラウン管(CRT)、または「電子インク」ディスプレイ)または音声出力デバイス(例えば、スピーカまたはヘッドフォン)などの出力デバイスに動作可能に接続可能である。いくつかの具体例では、媒体出力構成要素415には、少なくとも1つのこのような表示デバイスおよび/または音声デバイスが含まれる。
【0049】
いくつかの具体例では、演算装置400は、ユーザ401からの入力を受け取る入力デバイス420を含む。入力デバイス420は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、マウス、スタイラス、タッチ感知パネル(例えば、タッチパッドまたはタッチスクリーン)、ジャイロスコープ、加速度計、位置検出器、または音声入力デバイスを含んでもよい。タッチスクリーンのような1つの構成要素は、媒体出力構成要素415の出力デバイスおよび入力デバイス420の両方として機能することができる。
【0050】
演算装置400はまた、通信インターフェース425を含んでもよい。これは、ウエハ測定装置102、ウエハ加工装置104、および/または除去マッププロファイルライブラリ110などの1つ以上のリモートデバイスに通信可能に接続される。通信インターフェース425は、例えば、携帯電話ネットワーク(例えば、グローバル携帯電話通信システム(GSM)、3G、4Gまたはブルートゥース(登録商標))または他の移動型データネットワーク(例えば、世界標準マイクロ波通信方式(WIMAX))と共に使用するための有線または無線ネットワークアダプタまたは無線データトランシーバを含んでもよい。
【0051】
メモリ領域410に記憶されるものには、例えば、媒体出力構成要素415を介してユーザ401にユーザインタフェースを提供し、選択的に入力デバイス420からの入力を受け取って処理するためのプロセッサ実行可能命令がある。メモリ領域410は、プロセッサ実行可能命令および/またはデータを記憶および/または検索するのに適したコンピュータ動作ハードウェアを含んでもよいが、これに限定されない。メモリ領域410は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、例えば動的RAM(DRAM)または静的RAM(SRAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、および不揮発性RAM(NVRAM)などを含んでもよい。さらに、メモリ領域410は、redundant array of inexpensive disks(RAID)構成内のハードディスクまたはソリッドステートディスクなどの複数の記憶ユニットを含んでもよい。メモリ領域410は、記憶エリアネットワーク(SAN)および/またはネットワーク接続記憶装置(NAS)システムを含んでもよい。いくつかの具体例では、メモリ領域410は、演算装置400に統合されたメモリを含む。例えば、演算装置400は、メモリ領域410として、1つ以上のハードディスクドライブを含んでもよい。メモリ領域410は、演算装置400の外部にあり、複数の演算装置によってアクセスされ得るメモリを含んでもよい。上記のメモリのタイプは例示的なものに過ぎず、したがって、プロセッサ実行可能命令および/またはデータの記憶のために使用可能なメモリのタイプに関して限定するものではない。
【0052】
再び図1〜3を参照すると、受入SOI構造108上にエピ・スムージング加工を実行するために、SOI構造は、エピ・スムージング加工中に劈開面5が加工ガス318にさらされるように劈開面5が上方を向いた状態で、加工チャンバ302内のサセプタ304上に配置される。次に、リアクタ内の温度が、加熱要素322を使用して所望の加工温度に設定される。いくつかの具体例によると、エピ・スムージング加工は、約900℃〜約1050℃の加工温度で行われる。
【0053】
次に、加工チャンバ302への加工ガスの流入が開始される。いくつかの具体例によれば、加工ガスの流入は、SOI構造がリアクタに挿入された直後に開始される。これらの具体例では、リアクタの温度は、既に適切な温度に設定されており、エッチング反応が所望の加工温度で行われることを保証する。
【0054】
加工ガスは、少なくとも1つのガスエッチャントを含む。ガスエッチャントは、塩化水素ガス(HCl)と、塩素ガス(Cl)と、水素ガス(H)と、の混合物であってもよい。加工ガスは、Hなどのキャリアガスを含んでもよい。1つの適切な具体例では、HClがガスエッチャントとして使用され、Hがエッチャントについてのキャリアガスとして使用される。各加工ガスの絶対的および相対的な流量は、適切なコントローラを使用して制御され、劈開表面5上のエッチング速度の均一性を制御する。
【0055】
CVDリアクタ300へのガスエッチャントの流入は、その後一定時間継続する。一定時間の長さは、SOI構造1の劈開面5から除去されるシリコンの量と、シリコンがエッチングされる速度と、に基づいて決定されてもよい。例えば、エッチング速度が3.0Å/秒であり、除去されるシリコンの量が900Åである場合、ガスエッチャントの流れが開始されてから約300秒後に、CVDリアクタ300へのガスエッチャントの流入が停止される。
【0056】
エピ・スムージング加工中、サセプタ304は、所望の回転速度で回転し、SOI構造の劈開表面5の全域により均一なエッチング速度を提供する。いくつかの具体例によると、サセプタは、約10回転/分(RPM)〜約40RPMの回転速度で回転する。
【0057】
エピ・スムージング加工が完了すると、SOI構造がCVDリアクタ300から取り外される。加工SOI構造116は、その後、デバイス製造のために更に処理されまたは使用されてもよい。
【0058】
エピ・スムージング加工の結果、除去マッププロファイルに従って、シリコン層2から材料が除去される。特定のエピ・スムージング加工に関連する除去マッププロファイルは、シリコン層2の劈開面5上の様々な位置でシリコン層2から除去される材料の量を表す。エピ・スムージング加工は、一般的に、凹状の除去マッププロファイル、凸上の除去マッププロファイル、シリコン層2のエッジおよび中心でエッチング速度がより高い「M」字形状のプロファイル、シリコン層2のエッジおよび中心でエッチング速度がより低い「W」字形状のプロファイルを含む、特徴的な除去マッププロファイルに関連付けられる。エピ・スムージング加工は、例えば、エピ・スムージング加工が行われるリアクタに応じて、他の特徴的な除去マッププロファイルを有してもよい。
【0059】
図5〜8は、異なる加工ガス流量と異なるサセプタ回転速度で実行されたエピ・スムージング加工についての様々な特徴的な除去マッププロファイルを示すグラフである。特に、各グラフは、4つの異なるSOI構造の上部シリコン層から除去されたシリコンの量を示し、それぞれのシリコン層の中心の厚さに基づいて規格化されている。各グラフは、それぞれのシリコン層の中心からの径方向距離の関数として規格化されたシリコンの除去量を示している。図5〜8に示されている各グラフは、異なるサセプタ回転速度と同一の加工ガス流量で加工された4つのSOI構造についての規格化されたシリコン除去量を示している。図5〜8に示されている各グラフによって描かれている4つのサセプタ回転速度は、10RPM、20RPM、30RPM、および40RPMである。図5は、毎分80標準リットル(sl/m)の加工ガス流量を使用して加工されたSOI構造の除去マッププロファイルを示している。図6は、100sl/mの加工ガス流量を使用して加工されたSOI構造の除去マッププロファイルを示している。図7は、120sl/mの加工ガス流量を使用して加工されたSOI構造の除去マッププロファイルを示している。図8は、140sl/mの加工ガス流量を使用して加工されたSOI構造の除去マッププロファイルを示している。
【0060】
図5〜8に示されているように、SOI構造を加工するために使用される加工パラメータの変化は、SOI構造についての異なる除去マッププロファイルをもたらす。本明細書に記載されているシステムおよび方法は、エピ・スムージング加工パラメータを調整または「チューニング」してSOI構造の所望の除去マッププロファイルを得ることによって、SOI構造の厚さ均一性を改善することを容易にする。いくつかの具体例では、例えば、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、エピ・スムージング加工の加工パラメータを調整して、シリコン層2のエピ・スムージング前の厚さプロファイルを補完する除去マッププロファイルを得ることを可能にし、その結果として得られる(すなわち、エピ・スムージング後の)シリコン層の厚さプロファイルは、実質的に均一(例えば、±5Åのウエハ内の厚さ均一性)となる。本明細書でより詳細に説明するように、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、SOI構造に適用される除去マッププロファイルを決定することと、所望の除去マッププロファイルを達成するためにエピ・スムージング加工で使用される加工パラメータセットを決定することと、を容易にする。
【0061】
図9は、図1に示されているSOI構造1を加工するための例示的な方法900のフローチャートである。方法900は、一般的に、SOI構造1のシリコン層2についての所望の除去マッププロファイルを決定するステップ910と、その所望の除去マッププロファイルに基づいてエピ・スムージング加工の中で使用するための加工パラメータセットを決定するステップ920と、決定された加工パラメータセットを使用して劈開面5上にエピ・スムージング加工を実行することによって、所望の除去マッププロファイルに従ってシリコン層2から材料を選択的に除去するステップ930と、を含む。
【0062】
いくつかの具体例では、SOI構造1のシリコン層2についての所望の除去マッププロファイルを決定するステップ910は、シリコン層の初期厚さプロファイル(すなわち、エピ・スムージング前の厚さプロファイル)を補完する除去マッププロファイルを決定するステップを含む。図2を参照すると、例えば、受入SOI構造108の初期厚さプロファイルは、ウエハ加工システム100のウエハ測定装置102を使用して決定されてもよい。受入SOI構造の初期厚さプロファイルを決定することは、シリコン層に沿った複数の点で上部シリコン層2(図1)の厚さを測定することを含んでもよい。1つの特定の具体例では、シリコン層の厚さは、シリコン層の中心と、シリコン層の中心から4つの異なる径方向距離とを含む17個の異なる点で測定される。次に、所望の除去マッププロファイルは、受入SOI構造108の初期厚さプロファイルに基づいて決定され、受入SOI構造108の初期厚さプロファイルを補完する。
【0063】
他の具体例では、SOI構造1のシリコン層2についての所望の除去マッププロファイルは、SOI構造の厚さ均一性に対して周知のまたは予測可能な効果を有する1つ以上のエピ・スムージング後の加工に基づいて決定され、それにより最終的なSOI構造に実質的に均一な厚さをもたらしてもよい。例えば、所望の除去マッププロファイルは、SOI構造のエピ・スムージング後の厚さプロファイルが、エピ・スムージング後の加工の除去マッププロファイルを補完するように決定されてもよい。このように、エピ・スムージング加工は、エピ・スムージング加工後にSOI構造に対して1つ以上の加工が実行された場合でも、SOI構造の最終的な厚さ均一性を正確に制御するように使用される。
【0064】
所望の除去マッププロファイルに基づいて加工パラメータセットを決定するステップ920は、一般的に、所望の除去マッププロファイルに従ってSOI構造1のシリコン層2から材料を除去するエピ・スムージング加工についての加工パラメータを決定するステップを含む。シリコン層を横切る除去速度の均一性に影響を与える加工パラメータ、およびしたがって除去マッププロファイルは、例えば、限定的ではないが、絶対的および相対的な加工ガス流量と、サセプタ回転速度と、SOI構造を加工する加工チャンバのパージ流量と、SOI構造を加工するために使用されるサセプタのSOI構造に対する高さと、を含む。エピ・スムージング加工のための除去マッププロファイルに影響を与える他の加工パラメータは、サセプタの回転軸に対するサセプタ上のSOI構造の相対位置と、エピ・スムージング加工が実行される加工温度を含む。したがって、加工パラメータセットは、ガスエッチャント(例えば、HCl)の流量と、キャリアガス(例えば、H)の流量と、図3のガス噴射流路320などの複数のガス噴射流路のそれぞれを通る相対ガス流量と、サセプタ回転速度と、サセプタの回転軸に対するSOI構造の相対位置と、加工温度と、パージ流量と、SOI構造に対するサセプタの高さと、を含んでもよい。
【0065】
いくつかの具体例によると、所望の除去マッププロファイルについての加工パラメータセットは、トライアルアンドエラーによって決定される。特に、エピ・スムージング加工は、所望の除去マッププロファイルがテストウエハの1つで得られるまで、異なる加工パラメータセットを使用してテストウエハに対して実行される。加工パラメータは、当業者の一般的な知識および技術に基づいて変更されてもよい。または加工パラメータは、実験設計理論などの体系的方法を使用して変更されてもよい。使用されるテストウエハは、受入SOI構造108のシリコン層と実質的に同一の寸法(すなわち、厚さと直径)を有するシリコンウエハを含んでもよい。またはテストウエハは、受入SOI構造108と実質的に同一のSOI構造であってもよい。他の具体例では、加工パラメータセットを決定するステップ920は、除去マッププロファイルライブラリ110などの除去マッププロファイルライブラリの中に記憶された複数の所定の加工パラメータセットから加工パラメータセットを選択するステップを含んでもよい。ここでは、それぞれの所定の加工パラメータセットは、所定の除去マッププロファイル(例えば、図10参照)に関連付けられている。
【0066】
所望の除去マッププロファイルの加工パラメータセットが決定されると、決定された加工パラメータセットを使用してSOI構造が加工される。特に、シリコン層からの材料は、決定された加工パラメータセットを使用して劈開面上にエピ・スムージング加工を実行することによって、所望の除去マッププロファイルに従って選択的に除去される(930)。エピ・スムージング加工は、図3のCVDリアクタ300の中で行われてもよい。
【0067】
エピ・スムージング加工中に使用される加工パラメータは、決定された加工パラメータセットに従って設定および/または制御される。したがって、SOI構造のシリコン層から材料を選択的に除去するステップは、ガスエッチャント(例えば、HCl)の流量を制御するステップと、キャリアガス(例えば、H)の流量を制御するステップと、複数のガス噴射流路を通る相対ガス流量を制御するステップと、CVDリアクタの加工チャンバのパージ流量を制御するステップと、サセプタ回転速度を制御するステップと、サセプタ上のサセプタの回転軸に対する相対位置にSOI構造を配置するステップと、エピ・スムージング加工の加工温度を制御するステップと、を含んでもよい。エピ・スムージング加工が行われるCVDリアクタの加工パラメータおよび構成要素は、例えば、限定的ではないが、演算装置106(図2)を含む適切なコントローラを用いて制御されてもよい。
【0068】
図10は、図1のSOI構造1を加工するための例示的な方法1000のフローチャートである。方法1000は、一般的に、SOI構造1のシリコン層2についての所望の除去マッププロファイルを決定するステップ1010と、それぞれの所定の加工パラメータセットが所定の除去マッププロファイルに関連付けられている複数の所定の加工パラメータセットから加工パラメータセットを選択するステップ1020と、選択された加工パラメータセットを使用して劈開面5上にエピ・スムージング加工を実行することによって、所望の除去マッププロファイルに従ってシリコン層2から材料を選択的に除去するステップ1030と、を含む。
【0069】
所望の除去マッププロファイルを決定するステップ1010と、シリコン層から材料を選択的に除去するステップ1030は、図9を参照して前述したのと実質的に同一の方法で行われてもよい。
【0070】
いくつかの具体例では、加工パラメータセットを選択するステップ1020は、ウエハ加工システム100の除去マッププロファイルライブラリ110(両者とも図2に示されている)などの、複数の所定の加工パラメータセットを含むライブラリまたはデータベースから加工パラメータセットを選択するステップを含む。加工パラメータセットは、所望の除去マッププロファイルに基づいて、演算装置106(図2)などの適切な演算装置を使用して自動的に選択されてもよい。例えば、所望の除去マッププロファイルが決定されると(1010)、演算装置106は、除去マッププロファイルライブラリ110から、所望の除去マッププロファイルに実質的に一致する除去マッププロファイルの1つを自動的に識別する。次に、演算装置106は、除去マッププロファイル112に対応する加工パラメータセット114を選択し、エピ・スムージング加工を実行するために、選択された加工パラメータセットをウエハ加工装置104に送信する。加工パラメータセットは、除去マッププロファイルライブラリ110からウエハ加工装置104に直接送信されてもよい。または、加工パラメータセットは、演算装置106を経由してウエハ加工装置104に送信されてもよい。
【0071】
いくつかの具体例では、除去マッププロファイルライブラリ110は、各テストウエハについて異なる加工パラメータセットを使用して、複数のテストウエハ上にエピ・スムージング加工を行うことによって形成される。特に、各テストウエハのエピ・スムージング前の厚さプロファイルは、例えば図2のウエハ測定装置102を用いて測定される。次に、エピ・スムージング加工は、特定の加工パラメータセットを使用して実行される。エピ・スムージング加工に続いて、各テストウエハのエピ・スムージング後の厚さプロファイルが測定され、テストウエハに対して使用される加工パラメータセットに関連付けられた除去マッププロファイルは、エピ・スムージング前の厚さプロファイルとエピ・スムージング後の厚さプロファイルとの間の差に基づいて決定される。次に、各テストウエハの除去マッププロファイルおよび関連する加工パラメータセットは、除去マッププロファイルライブラリに記憶され、除去マッププロファイルライブラリ内で相互に関連付けられる。異なるテストウエハに対して使用される加工パラメータは、様々な異なる除去マッププロファイルを得るために変更される。加工パラメータは、例えば、限定的ではないが、実験設計理論を含む適切な方法を使用して変更される。
【0072】
図11は、図1のSOI構造1を加工するための例示的な方法1100のフローチャートである。方法1100は、一般的に、SOI構造1のシリコン層2についての所望の除去マッププロファイルを決定するステップ1110と、エピ・スムージング加工の第1部分の間に使用される第1除去マッププロファイルに関連付けられた第1加工パラメータセットを選択するステップ1120と、エピ・スムージング加工の第2部分の間に使用される第2除去マッププロファイルに関連付けられた第2加工パラメータセットを選択するステップ1130と、エピ・スムージング加工の第1部分に対して第1加工パラメータセットを、エピ・スムージング加工の第2部分の間に第2加工パラメータセットを使用して、劈開面5上にエピ・スムージング加工を実行することによって、所望の除去マッププロファイルに従ってシリコン層2から材料を選択的に除去するステップ1140と、を含む。
【0073】
図11の方法1100は、加工パラメータセットが選択されるライブラリ(例えば、図2の除去マッププロファイルライブラリ110)が、所望の除去マッププロファイルに実質的に一致する除去マッププロファイルを含まない場合の使用に特に適している。特に、図11の方法1100は、除去マッププロファイルライブラリが所望の除去マッププロファイルと実質的に一致する除去マッププロファイルを含まない場合、2つ以上の所定の加工パラメータセットを1つのエピ・スムージング加工の中で組み合わせて、所望の除去マッププロファイルを達成する。この加工は、本明細書において「マルチセット加工」とも呼ばれる。
【0074】
いくつかの具体例では、例えば、第1加工パラメータセットを選択するステップ1120と、第2加工パラメータセットを選択するステップ1130は、それぞれ複数の所定の加工パラメータセットから加工パラメータセットを選択するステップを含む。ここで、各所定の加工パラメータセットは、所定の除去マッププロファイルに関連付けられている。所定の加工パラメータセットと除去マッププロファイルは、例えば、除去マッププロファイルライブラリ110(図2)などのライブラリの中に記憶されてもよい。
【0075】
第1および第2加工パラメータセットは、所望の除去マッププロファイルと、第1および第2加工パラメータセットのそれぞれに関連付けられたそれぞれの所定の除去マッププロファイルと、に基づいて選択される。いくつかの具体例では、第1および第2加工パラメータセットは、関連する除去マッププロファイルが所望の除去マッププロファイルに結びつくように選択される。すなわち、第1および第2加工パラメータセットは、所望の除去マッププロファイルに関連付けられた値が、第1および第2加工パラメータセットに関連付けられた除去マッププロファイルに関連付けられた値の間に収まるように選択される。用例では、以下の表は、全体的なエッチング速度(すなわち、SOI構造の劈開面5上のシリコン除去の平均速度)によって表された、所定の加工パラメータセットおよび関連する所定の除去マッププロファイルの一覧を示している。
【0076】
【表1】
【0077】
用例では、パラメータセット「0」とパラメータセット「1」に指定された、2つの所定の加工パラメータセットを含む。パラメータセットおよび関連する除去マッププロファイルは、除去マッププロファイルライブラリ110(図2)などのライブラリまたはデータベースの中に記憶されてもよい。用例では、各加工パラメータセットは、H流量と、HCl流量と、サセプタ回転速度と、を含む。他の具体例では、加工パラメータセットは、H流量、HCl流量、およびサセプタ回転速度以外の加工パラメータを含んでもよいことが理解される。
【0078】
受入SOI構造108(図2)などの受入SOI構造が、4.78Å/sの所望の除去マッププロファイルを有する場合、所定の除去マッププロファイルのいずれも、所望の除去マッププロファイルに一致しない。しかし、所定の除去マッププロファイルと所定のパラメータセットを使用して、所望の除去マッププロファイルを実現することができる。具体的には、パラメータセット「0」とパラメータセット「1」は、1つのエピ・スムージング加工の中で組み合わせられ、4.78Å/sの所望の除去マッププロファイルを実現することができる。例えば、エピ・スムージング加工の第1部分に対してパラメータセット「0」が選択され、エピ・スムージング加工の第2部文に対してパラメータセット「1」が選択される。次に、エピ・スムージング加工の第1部分に対してパラメータセット「0」の加工パラメータを、エピ・スムージング加工の第2部分に対してパラメータセット「1」の加工パラメータを使用して、エピ・スムージング加工が実行される。
【0079】
エピ・スムージング加工中に各加工パラメータセットが使用されるべき相対的持続時間は、既知の加工パラメータセットおよび/または既知の除去マッププロファイルを内挿または外挿することによって決定することができる。例えば、用例では、サセプタ回転速度の値を内挿して、4.78Å/sの望ましい全体的エッチング速度に対応するエピ・スムージング加工の平均サセプタ回転速度を決定することができる。用例では、内挿を用いて決定される、4.78Å/sの全体的エッチング速度をもたらす平均サセプタ回転速度は、およそ30RPMである。エピ・スムージング加工の全体についての30RPMの平均サセプタ回転速度と、4.78Å/sの全体的エッチング速度と、を実現するために、エピ・スムージング加工の時間の50%についてパラメータセット「0」を使用し、エピ・スムージング加工の時間の50%についてパラメータセット「1」を使用して、エピ・スムージング加工が実行される。
【0080】
他の具体例では、所望の除去マッププロファイルについての加工パラメータの1つのセットは、既知の加工パラメータセットおよび/または除去マッププロファイルの値を内挿および/または外挿することによって決定されてもよい。すなわち、エピ・スムージング加工時間の全部に対して使用される加工パラメータの1つのセットは、既知の加工パラメータセットおよび/または除去マッププロファイルの値を内挿および/または外挿することによって決定することができる。更に他の具体例では、既知の加工パラメータセットと除去マッププロファイル、例えば除去マッププロファイルライブラリ110の中に記憶された除去マッププロファイル112および加工パラメータセット114(全て図2に示されている)などは、「応答曲面」を作成するために使用されてもよい。「応答曲面」では、加工パラメータセットおよびそれらの結果として得られる除去マッププロファイルは、最小二乗適合法または他の標準的な数学的手法によって関数関係に変換される。しかし、しばしばエピ・スムージング加工の加工パラメータは、SOI構造からのシリコンの除去速度と非線形の関係を示す。したがって、内挿、外挿、または他の数学的手法によって決定されたエピ・スムージング加工のための1つの加工パラメータセットを使用すると、所望の除去マッププロファイルとは著しく異なる除去マッププロファイルが得られる可能性がある。図11の方法1100は、2つ以上の所定のプロセスパラメータセットを1つエピ・スムージング加工の中に組み合わせることによって、非線形の加工パラメータ応答に関するこれらの問題を克服する。
【0081】
方法1100はまた、新しい除去マッププロファイルおよび関連する加工パラメータセットにより除去マッププロファイルライブラリを更新するステップを含んでもよい。いくつかの具体例では、例えば、方法100は、所定の加工パラメータのマルチセットを使用して、加工されたSOI構造のシリコン層について、結果としての、または実際の除去マッププロファイルを決定するステップと、除去マッププロファイルライブラリの中に実際の除去マッププロファイルおよび関連するマルチセット加工パラメータセットを記憶するステップと、を含む。再び上記の用例を参照すると、以下の表は、パラメータセット「0/1」で指定された新しいマルチセット加工パラメータセットと、その加工パラメータセットを使用した結果実現された除去マッププロファイルを示している。用例では、パラメータセット「0/1」を使用して実現された除去マッププロファイルは、4.78Å/sであった。
【0082】
【表2】
【0083】
上記の表に記載されている加工パラメータセットおよび除去マッププロファイルは、例示的な目的のみのためのものであり、限定的なものではない。加工パラメータセットは、H流量、HCl流量、およびサセプタ回転速度以外の加工パラメータを含むことができ、除去マッププロファイルは、全体的エッチング速度以外の情報を含むことができることが理解される。
【0084】
図12は、図1のSOI構造1を加工するための例示的な方法1200である。方法1200は、一般的に、SOI構造1のシリコン層2についての所望の除去マッププロファイルを決定するステップ1210と、それぞれの所定の加工パラメータセットが所定の除去マッププロファイルに関連付けられている複数の所定の加工パラメータセットから加工パラメータセットを選択するステップ1220と、選択された加工パラメータセットを使用して劈開面5上にエピ・スムージング加工を実行することによって、シリコン層2から材料を除去するステップ1230と、SOI構造1の実際の除去マッププロファイルと、選択された加工パラメータセットに関連付けられた所定の除去マッププロファイルとを比較して、実際の除去マッププロファイルと所定の除去マッププロファイルとの間の差を決定するステップ1240と、実際の除去マッププロファイルと所定の除去マッププロファイルとの間の差が閾値限界を超えた場合に、エピ・スムージング加工中に使用される選択された加工パラメータセットに関連付けられた所定の除去マッププロファイルを更新するステップ1250と、を含む。
【0085】
図12の方法1200は、所定の加工パラメータセットと所定の除去マッププロファイルが記憶された、図2の除去マッププロファイルライブラリ110などの除去マッププロファイルライブラリと共に使用するのに特に適している。特に、SOI構造を加工するために使用されるウエハ加工装置の条件は、時間の経過とともに変化または「ドリフト」して、その結果同一の加工パラメータセットの下で加工されるSOI構造に対して異なる除去マッププロファイルをもたらす。例えば、CVDリアクタ300を加熱するために使用される加熱要素322(図3)は、加熱要素322が劣化するにつれて、CVDリアクタ300全体に異なるように熱を分配することができる。その結果、所定の加工パラメータセットの1つを使用して加工されたSOI構造の実際の除去マッププロファイルは、期待除去マッププロファイル(すなわち、SOI構造を加工するために使用される所定の加工パラメータセットに関連付けられた所定の除去マッププロファイル)と異なってもよい。図12の方法1200は、エピ・スムージング加工を用いて加工されたSOI構造についてのウエハ−ウエハ間およびウエハ内の厚さ均一性に対するCVDリアクタドリフトの影響を最小にすることを容易にする。
【0086】
所望の除去マッププロファイルを決定するステップ1210と、加工パラメータセットを選択するステップ1220と、シリコン層2から材料を選択的に除去するステップ1230とは、図9および図10を参照して前述したのと実質的に同一の方法で行われてもよい。
【0087】
SOI構造1の実際の除去マッププロファイルと所定の除去マッププロファイルとを比較するステップ1240は、SOI構造1の実際の除去マッププロファイルを決定するステップを含む。SOI構造1の実際の除去マッププロファイルは、例えば、SOI構造(特に、SOI構造のシリコン層2)のエピ・スムージング前の厚さプロファイルを測定するステップと、SOI構造のエピ・スムージング後の厚さプロファイルを測定するステップと、エピ・スムージング前の厚さプロファイルからエピ・スムージング後の厚さプロファイルを差し引くステップと、によって決定されてもよい。エピタキシャル前と後の厚さプロファイルは、例えば、限定的ではないが、図2を参照して前述したウエハ測定装置102を用いて測定されてもよい。
【0088】
いくつかの具体例では、SOI構造1の実際の除去マッププロファイルと所定の除去マッププロファイルとを比較するステップ1240は、実際の除去マッププロファイルのそれぞれに関連付けられたシリコン除去量値と所定の除去マッププロファイルとを比較するステップを含む。1つの具体例では、例えば、各除去マッププロファイルは、複数のシリコン除去量値を含み、ここで各シリコン除去量値は、シリコン層上の特定の位置におけるシリコン層からの実際のまたは期待される(例えば、オングストローム単位の)シリコン除去量を表す。実際の除去マッププロファイルおよび所定の除去マッププロファイルからの対応するシリコン除去量値は、実際の除去マッププロファイルと所定の除去マッププロファイルとを比較するために互いから差し引かれてもよい。SOI構造1の実際の除去マッププロファイルと所定の除去マッププロファイルとを比較するステップ1240は、図2を参照して前述した演算装置106などの演算装置を使用して実行されてもよい。
【0089】
SOI構造1の実際の除去マッププロファイルと所定の除去マッププロファイルとを比較するステップ1240に加えてまたはこれに代えて、方法1200は、SOI構造の実際の厚さプロファイルとSOI構造の期待厚さプロファイルとを比較するステップを含んでもよい。
【0090】
所定の除去マッププロファイルを更新するステップ1250は、除去マッププロファイルを手動で更新するステップ、または例えば演算装置106(図2)を使用して除去マッププロファイルを自動で更新するステップを含んでもよい。いくつかの具体例では、例えば、ユーザは、SOI構造についての実際のおよび期待される除去マッププロファイルを手動で比較し、実際の除去マッププロファイルと期待除去マッププロファイルとの間の差が閾値限界を超えた場合に、所定の除去マッププロファイルを更新してもよい。所定の除去マッププロファイルは、所定の除去マッププロファイルを修正することによって、または所定の除去マッププロファイルを実際の除去マッププロファイルに置き換えることによって、更新されてもよい。
【0091】
他の具体例では、演算装置106(図2)などの演算装置は、SOI構造の実際の除去マッププロファイルと期待除去マッププロファイルと(または実際の厚さプロファイルと期待厚さプロファイルと)を自動的に比較し、実際の除去マッププロファイルと期待除去マッププロファイルとの間の差が閾値限界を超えた場合に、通知または警告をユーザに出力して実際の除去マッププロファイルと期待除去マッププロファイルとの間の差が閾値限界を超えたことを示す。次に、ユーザは、SOI構造を加工するために使用されるウエハ加工装置のSOI構造および/または加工履歴を評価して、ウエハ加工装置にメンテナンスが必要かどうか、および/または所定の除去マッププロファイルを更新すべきかどうかを決定する。更に他の具体例では、演算装置106(図2)などの演算装置は、実際の除去マッププロファイルと期待除去マッププロファイルとの間の差が閾値限界を超えた場合に、所定の除去マッププロファイルを自動的に更新する。
【0092】
所定の除去マッププロファイルが除去マッププロファイルライブラリ(図2)などのライブラリの中に記憶されている場合、所定の除去マッププロファイルを更新するステップ1250は、SOI構造を加工するために使用される加工パラメータセットに関連付けられた除去マッププロファイルを修正しまたは置換するステップを含んでもよい。1つの具体例では、例えば、所定の除去マッププロファイルを更新するステップ1250は、(例えば、除去マッププロファイルライブラリの中に実際の除去マッププロファイルを記憶することによって)所定の除去マッププロファイルを実際の除去マッププロファイルで置換するステップを含む。他の具体例では、例えば、所定の除去マッププロファイルを更新するステップ1250は、例えば、所定の除去マッププロファイルに関連付けられた加工パラメータセットを使用して、テストウエハに対して1つ以上のエピ・スムージング加工を実施することによって新しい除去マッププロファイルを決定するステップを含んでもよい。
【0093】
所定の除去マッププロファイルが更新されるべきかどうかを決定するために使用される閾値限界は、本明細書で記載されているように方法1200を実行することを可能にする適切な閾値であってもよい。いくつかの具体例では、閾値限界は、実際の除去マッププロファイルのシリコン除去量値と期待除去マッププロファイルのシリコン除去量値との間の差の最大値であってもよい。
【0094】
本明細書に記載のシステムおよび方法は、高度に均一な厚さプロファイルを有する半導体デバイス層(例えば、上部シリコン層)を備えるSOI構造などの半導体構造の製造を容易にする。特に、本明細書に記載のシステムおよび方法は、高度に均一な厚さプロファイルを実現するためにデバイス層に適用される除去マッププロファイルを決定することと、所望の除去マッププロファイルを得るためにエピ・スムージング加工の中で使用される加工パラメータセットを決定することと、を容易にする。いくつかの具体例では、例えば、所望の除去マッププロファイルに実質的に一致する所定の除去マッププロファイルを識別し、所定の除去マッププロファイルに関連付けられた所定の加工パラメータセットを選択することによって、エピ・スムージング加工の中で使用する加工パラメータセットを決定するために除去マッププロファイルライブラリが利用される。所定の除去マッププロファイルと関連する加工パラメータセットとを利用することにより、個々の半導体構造の目標とする加工をすることができる一方で、個々の半導体構造のそれぞれの加工パラメータを決定するためにテストウエハを使用することに関連する廃棄物を低減または排除することができる。
【0095】
さらに、本明細書に記載のシステムおよび方法により、半導体構造のエピ・スムージング前の厚さプロファイルに基づいて、および/または半導体構造の厚さ均一性に対して周知のまたは予測可能な効果を有するエピ・スムージング後の加工に基づいて、所望の除去マッププロファイルを選択することができる。そして、最終的な半導体構造は、半導体構造に対して1つ以上のエピ・スムージング後の加工が実行された場合でも、実質的に均一な厚さプロファイルを有する。
【0096】
さらに、いくつかの具体例では、それぞれ既知の除去マッププロファイルに関連付けられた2つ以上の加工パラメータセットは、1つのエピ・スムージング加工の中で組み合わされて、既知の除去マッププロファイルとは異なる所望の除去マッププロファイルを実現する。1つのエピ・スムージング加工の中でマルチ加工パラメータセットまたはマルチセット加工を使用することは、しばしば、数学的な方法またはモデルを使用して(例えば、内挿によって)決定された1つの加工パラメータセットを使用することと比較して、より予測可能かつより正確な除去マッププロファイルを提供する。
【0097】
さらに、本明細書に記載のシステムおよび方法は、実際の除去マッププロファイルと期待除去マッププロファイルとの間の不一致が検出された場合、所定の除去マッププロファイルを更新することによって、半導体構造の厚さ均一性に対するCVDリアクタドリフトの影響を最小限にすることを容易にする。さらに、いくつかの具体例では、本明細書に記載のシステムおよび方法は、CVDリアクタなどの半導体構造の加工に使用される装置にメンテナンスが必要であるかどうかを予測または評価することを容易にし、それによって半導体製造プロセス全体の管理を容易にする。
【0098】
本明細書において使用されるプロセッサという用語は、中央処理ユニット、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、縮小命令セット回路(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、および本明細書に記載の機能を実行することができる他の回路またはプロセッサを指す。
【0099】
本明細書において使用される「ソフトウェア」および「ファームウェア」という用語は、交換可能であり、プロセッサによる実行のために、RAMメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、EEPROMメモリ、および不揮発性RAM(NVRAM)メモリを含むメモリの中に記憶された全てのコンピュータプログラムを含む。上記のメモリタイプは、例示的なものに過ぎず、したがって、コンピュータプログラムの記憶のために使用可能なメモリのタイプを限定するものではない。
【0100】
前述の明細書に基づいて理解されるように、本開示の上記の具体例は、コンピュータソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアまたはそれらの任意の組合せもしくはサブセットを含むコンピュータプログラミング技術またはエンジニアリング技術を使用して実行されてもよい。その結果としてのコンピュータプログラムは、コンピュータ可読命令および/またはコンピュータ実行可能命令を有し、1つ以上のコンピュータ可読媒体内に具現化または提供され、それにより説明した本開示の具体例に係るコンピュータプログラムプロダクト、すなわち製品を製造する。これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーションまたはコードとしても知られている)は、プログラマブルプロセッサ用の機械命令を含み、高水準手続型および/またはオブジェクト指向型のプログラミング言語で、および/またはアセンブリ/機械語で、実装することができる。
【0101】
本明細書において使用される「機械可読媒体」、「コンピュータ可読媒体」および「コンピュータ可読メディア」という用語は、機械命令および/またはデータをプログラマブルプロセッサに提供するために使用されるあらゆるコンピュータプログラム製品、装置および/またはデバイス(例えば、磁気ディスク、光学ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLD))を指し、これらは機械可読信号として機械命令を受け取る機械可読媒体を含む。しかしながら、「機械可読媒体」、「コンピュータ可読媒体」および「コンピュータ可読メディア」は、一時的な信号を含まない(すなわち、これらは「非一時的」なものである)。「機械可読信号」という用語は、機械命令および/またはデータをプログラマブルプロセッサに提供するために使用されるあらゆる信号を指す。
【0102】
この記載された説明は、例を使用して、最良の形態を含む本発明を開示するとともに、デバイスまたはシステムを製造および使用することと、組み込まれた方法を実行することとを含む本発明を、当業者が実施できるようにするものである。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、かつ当業者が想到する他の例を含む。そのような他の例は、特許請求の範囲の文字通りの言葉と異ならない構造的な要素を有する場合、または特許請求の範囲の文字通りの言葉とは実質的に相違するが等価な構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることが意図される。
【0103】
本発明またはその具体例の要素を紹介する場合、「ある(a)」、「ある(an)」、「その(the)」、および「上記(said)」の冠詞は、1またはそれ以上の要素があることを意味することを意図する。「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」の用語は、包括的であることを意図し、列挙された要素以外の追加の要素も存在することを意味する。
【0104】
本発明の範囲から逸脱することなく、上記の構造および方法において様々な変更を行うことができるから、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されているすべての事項は、例示的なものであり限定的な意味ではないものとして解釈されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12