特許第6977290号(P6977290)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6977290
(24)【登録日】2021年11月15日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 33/26 20060101AFI20211125BHJP
【FI】
   F16L33/26
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-70660(P2017-70660)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-173107(P2018-173107A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2020年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】猪谷 崇明
【審査官】 岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−098929(JP,A)
【文献】 特開2008−304047(JP,A)
【文献】 特開2005−325989(JP,A)
【文献】 特開2014−182068(JP,A)
【文献】 特開2007−162901(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 33/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス管であるフレキシブル管と機器とをつなぐための管継手であって、
軸方向の一方の側の端部からフレキシブル管が挿入される内孔を有し、前記内孔において前記フレキシブル管を結合する管結合部と、
前記管結合部における前記一方の側とは反対の側に配置されると共に、前記管結合部とは反対の側に機器接続用のねじ部が形成された機器接続部と、
を備え、
前記フレキシブル管が前記管継手に固定された状態において、前記機器接続部は、前記管結合部に対して、前記軸方向を中心として回転可能に連結され、
前記管継手は、更に、
前記管結合部と前記機器接続部との間をシールするシール部材を備え、前記シール部材は、気密Oリングを含む、管継手。
【請求項2】
請求項1に記載の管継手であって、
前記機器接続部は、
前記機器接続部の外周に配置され、操作工具によって係合可能な工具係合部と、
前記工具係合部の内側の内周面と、
を備え、
前記管結合部は、
大径部と、
前記大径部の前記一方の側に配置され、前記大径部よりも径の小さい小径部と、
を備え、
前記内周面の少なくとも一部は、前記小径部に嵌合し、
前記シール部材は、前記小径部の外周面と前記内周面との間に配設されるOリングである、管継手。
【請求項3】
請求項1に記載の管継手であって、
前記管結合部は、
大径部と、
前記大径部の前記一方の側に配置され、前記大径部よりも径の小さい小径部と、
を備え、
前記シール部材として、前記大径部の外周面に配設される水密Oリングと、前記小径部の外周面に配設される気密Oリングと、を備える、管継手。
【請求項4】
請求項3に記載の管継手であって、
前記気密Oリングの線径は、前記水密Oリングの線径よりも大きい、管継手。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の管継手であって、更に、
前記管結合部と前記機器接続部との間に配置される耐火性リングを備える、管継手。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の管継手であって、
前記管結合部は、前記内孔を有する継手本体と、前記内孔の中に組み付けられる結合機構部と、を備え、
前記結合機構部は、前記フレキシブル管を前記継手本体に固定するリテーナを含む、管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル管と機器とをつなぐための管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の管継手は、特許文献1に記載されているように、例えばガス配管等に使用されるフレキシブル管が挿入されると、圧縮スプリングが解放され、パッキンが管挿入方向と逆方向に押されリテーナを縮径させることにより、リテーナがフレキシブル管をロックする構造を有している。この管継手によれば、作業者は、フレキシブル管を挿入するだけで管継手にフレキシブル管を結合することができる。このため、この管継手は、フレキシブル管を機器とつなぐ作業における管継手とフレキシブル管とを結合する作業において、施工がし易いという長所を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−52763号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
管継手では、フレキシブル管のつなぎ先である機器を入れ替えたい場合がまれにあった。この場合に、特許文献1に記載された管継手では、管継手とフレキシブル管とがシールされて結合された状態を保って、機器から管継手を取り外すことが困難であった。このため、管継手を分解して管継手とフレキシブル管との結合を取り外すか、フレキシブル管を切断するかした後に、新しい管継手を使用して新たな機器とつなぐ必要があり、再施工がし難いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本発明の一形態は、ガス管であるフレキシブル管と機器とをつなぐための管継手である。この管継手は、軸方向の一方の側の端部からフレキシブル管が挿入される内孔を有し、前記内孔において前記フレキシブル管を結合する管結合部と、前記管結合部における前記一方の側とは反対の側に配置されると共に、前記管結合部とは反対の側に機器接続用のねじ部が形成された機器接続部と、を備える。前記フレキシブル管が前記管継手に固定された状態において、前記機器接続部は、前記管結合部に対して、前記軸方向を中心として回転可能に連結され、前記管継手は、更に、前記管結合部と前記機器接続部との間をシールするシール部材を備え、前記シール部材は、気密Oリングを含む。この形態の管継手によれば、フレキシブル管を管継手に結合した後に、作業者は、フレキシブル管と管結合部とを回転させないで、機器接続部だけを回転させることによって、機器接続用のねじ部にねじ止めされた機器から管継手を取り外すことができる。このため、この形態の管継手によれば、接続されている機器から管継手を取り外して、フレキシブル管のつなぎ先である機器を入れ替えて接続する場合に、フレキシブル管と管結合部とを相対的に回転させなくて済むので、フレキシブル管と管結合部とがシールされて結合された状態を保ちつつ、管継手を機器から取り外したり、管継手を機器に再接続することができる。したがって、この形態の管継手は、フレキシブル管と機器とをつなぎなおす再施工がし易いという効果を奏する。
【0007】
(2)前記形態の管継手において、前記機器接続部は、前記機器接続部の外周に配置され、操作工具によって係合可能な工具係合部と、前記工具係合部の内側の内周面と、を備え、前記管結合部は、大径部と、前記大径部の前記一方の側に配置され、前記大径部よりも径の小さい小径部と、を備え、前記内周面の少なくとも一部は、前記小径部に嵌合し、前記シール部材は、前記小径部の外周面と前記内周面との間に配設されるOリングであってもよい。この形態の管継手によれば、軸方向において、工具係合部の少なくとも一部が小径部と重なることから、工具係合部と大径部とが重なる位置に工具係合部を配置したときと比較して、工具係合部と内周面との間の距離を大きくすることができる。このため、この形態の管継手によれば、工具係合部の内側の肉厚を大きくすることができることから、操作工具によって工具係合部に過大な力が加えられた場合に、機器接続部が損傷することを抑制することができる。
【0008】
(3)前記形態の管継手において、前記管結合部は、大径部と、前記大径部の前記一方の側に配置され、前記大径部よりも径の小さい小径部と、を備え、前記シール部材として、前記大径部の外周面に配設される水密Oリングと、前記小径部の外周面に配設される気密Oリングと、を備えてもよい。この形態の管継手によれば、軸方向において異なる位置に水密Oリングと気密Oリングとが備えられていることから、シールする隙間のがたつきを抑制することができ、水密Oリングおよび気密Oリングの噛み込みを抑制することができる。また、小径部の外周面に配設される気密Oリングは、大径部の外周面に配設される水密Oリングと比較して内径が小さいことから、機器接続部が回転されたときに、ねじれが生じにくい。このため、この形態の管継手によれば、シール性能の信頼性を高めることができる。
【0009】
(4)前記形態の管継手において、前記気密Oリングの線径は、前記水密Oリングの線径よりも大きい構成としてもよい。線径(Oリング断面の太さ)の大きいOリングはねじれが生じにくいから、気密Oリングは、よりねじれが生じにくいものとなる。このため、この形態の管継手によれば、シール性能の信頼性をより高めることができる。
【0010】
(5)前記形態の管継手において、前記管結合部と前記機器接続部との間に配置される耐火性リングを備えてもよい。この形態の管継手によれば、火災等で高温に曝された場合のガス漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態としての管継手を示す部分断面側面図である。
図2】管継手を分解した状態を示す断面図である。
図3】継手本体に備えられる嵌合部の周辺の拡大断面図である。
図4】第2実施形態としての管継手が備える嵌合部の周辺の拡大断面図である。
図5】第3実施形態としての管継手を示す部分断面側面図である。
図6】嵌合部の周辺の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
A.第1実施形態:
図1は本発明の第1実施形態としての管継手1を示す部分断面側面図であり、図2は管継手を分解した状態を示す断面図である。両図に示すように、第1実施形態としての管継手1は、管結合部100と、機器接続部200と、を備える。図中のX方向は、管継手1の中心軸OXに沿った方向(軸方向)である。以下、X方向の図中の右側の向きを+X方向と呼び、X方向の図中の左側の向きを−X方向と呼ぶ。
【0013】
管結合部100は、−X方向の側の端部からフレキシブル管Tが挿入される内孔112を有した筒状の継手本体110と、継手本体110に組み付けられる結合機構部150と、を備える。フレキシブル管Tは、例えば、樹脂被覆した蛇腹状の金属コルゲート管である。継手本体110は、例えば、鋳鉄製である。継手本体110は、−X方向の側に位置する本体胴部110Aと、+X方向の側に位置する嵌合部110Bと、を備える。本体胴部110Aの内周面が内孔112となっており、この内孔112に結合機構部150が組み付けられる。内孔112は、中心軸OXに沿った方向に延びている。
【0014】
結合機構部150は、押ナット20と、気密パッキン40と、耐火パッキン44と、水密リング47と、水密パッキン48と、リテーナ50と、選択透過性部材60と、ストップリング61と、分解用リング63と、保持部材70と、弾性部材71と、可動部材80と、を備える。結合機構部150に備えられる各部20,40,44,47,48,50,60,61,63,70,71,80の形状と、各部20〜80が組み付けられる継手本体110の内周面の形状は、特許文献1(特開2011−52763号公報)に記載された管継手と同一である。各部20〜80の材質も特許文献1と同一である。
【0015】
結合機構部150によれば、特許文献1に記載された管継手と同じ作用によって、フレキシブル管Tを管結合部100に強固に結合することができる。具体的には、フレキシブル管Tが挿入されると、弾性部材(圧縮スプリング)71が解放され、気密パッキン40が管挿入方向とは逆方向(−X方向)に押されリテーナ50を縮径させることによって、リテーナ50の爪部52がフレキシブル管Tの谷部に係り合い、この結果、フレキシブル管Tと管結合部100とが強固に結合される。
【0016】
気密パッキン40によって、管結合部100とフレキシブル管Tとのシール性を確保することができる。耐火パッキン44によって、火災等で高温に曝された場合のガス漏れを防止することができる。水密リング47によって、管結合部100と押ナット20を水密にシールすることができる。水密パッキン48によって、押ナット20とフレキシブル管Tを水密にシールすることができる。
【0017】
結合機構部150の残りの部品、すなわち、押ナット20、選択透過性部材60、ストップリング61、分解用リング63、保持部材70、弾性部材71、および可動部材80は、特許文献1に記載された管継手と同じように作用することによって、フレキシブル管Tの結合作業を、確実かつ容易なものとしている。
【0018】
図3は、継手本体110に備えられる嵌合部110Bの周辺の拡大断面図である。嵌合部110Bは、筒状の機器接続部200の内周面に回転可能に嵌合する部分である。機器接続部200は、継手本体110と同じ材料、例えば、鋳鉄製である。嵌合部110Bは、外周面が先細りとなった形状である。具体的には、嵌合部110Bは、外周面が二段階で階段状に小径となっており、本体胴部110Aの側(−X方向の側)に位置する大径部120と、先側(+X方向の側)に位置する小径部130と、を有する。
【0019】
大径部120の外周面には、+X方向に向かって順に、水密Oリング222が嵌め込まれる環状のOリング溝122と、ストップリング224が係止される環状のストップリング溝124と、が形成されている。機器接続部200の内周面におけるストップリング溝124と対向する部分にも環状の係止溝212が設けられており、係止溝212とストップリング溝124との間の空間にストップリング224が填め込まれている。水密Oリング222は、主に液体の浸入を防ぐように機能する。ストップリング224は、鋼線をC字型に成形したものである。ストップリング224は、ストップリング溝124に縮径させて収納し、係止溝212の位置に来たとき拡径する。ストップリング224によって、機器接続部200に対する管結合部100の抜けが防止される。また、ストップリング224によって、管結合部100と機器接続部200とが接続された状態で、管結合部100に対して機器接続部200を回転させることが可能となる。
【0020】
小径部130には、気密Oリング226が嵌め込まれる環状のOリング溝126が形成されている。気密Oリング226は、主に気体(ガス)が外部に漏れ出すことを防ぐように機能する。嵌合部110Bと機器接続部200との隙間における外界に連なる部分(以下、「外界口」と呼ぶ)は図中のEXの部分であるが、この外界口EXに近い方のOリング222が水密(液体の浸入を防ぐ)の役割をし、外界口EXに遠い方のOリング226が気密(気体が漏れ出るのを防ぐ)の役割をしている。気密Oリング226は、ゴム製であり、例えば、EPDM(エチレン‐プロピレン‐ジエンゴム)やNBR(ニトリルブタジエンゴム)などが用いられる。大径部120に配置される水密Oリング222も、ゴム製であり、例えば、EPDM(エチレン‐プロピレン‐ジエンゴム)やNBR(ニトリルブタジエンゴム)などが用いられる。
【0021】
気密Oリング226の線径(Oリング断面の太さ)は、水密Oリング222の線径よりも大きい。気密Oリング226は小径部130の外周面に配設され、水密Oリング222は大径部120の外周面に配設されていることから、気密Oリング226の内径(リング内径)は、水密Oリング222の内径よりも小さい。気密Oリング226および水密Oリング222が、「シール部材」に相当する。
【0022】
機器接続部200の−X方向の側の端部200eから+X方向に向かう所定範囲Zは、内周面が−X方向に向かって径方向に広がった形状である。所定範囲ZのX方向の長さは、嵌合部110BのX方向の長さとほぼ同一である。所定範囲Zにおける内周面の形状は、嵌合部110Bの外周面の形状とほぼ一致している。具体的には、所定範囲Zにおける内周面は、−X方向に向かって二段階で階段状に大径となっており、嵌合部110Bにおける大径部120と小径部130とに嵌合可能な形状となっている。所定範囲Zにおける内周面と、嵌合部110Bにおける大径部120および小径部130との間に、前述した水密Oリング222、ストップリング224、および気密Oリング226が介在される。
【0023】
機器接続部200の外周面には、スパナやレンチ等の操作工具によって係合可能な六角部250が形成されている。機器接続部200の外周面は、管結合部100の側(−X方向の側)に位置する第1の円筒部分200Aと、先側(+X方向の側)に位置する第2の円筒部分200Bと、を備え、第1の円筒部分200Aと第2の円筒部分200Bとの間に、六角部250が形成されている。
【0024】
第1の円筒部分200Aは、本体胴部110Aの+X方向の側の端部110Ae付近の外周面に対して、同一の径(中心軸OXからの距離の2倍)となっている。六角部250の外径は、第1の円筒部分200Aの径よりも大きい。第2の円筒部分200Bの径は、第1の円筒部分200Aの径よりも小さい。図1に示すように、第2の円筒部分200Bには、機器接続用のねじ部210が形成されている。六角部250に操作工具を係合させて操作することによって、機器接続部200は中心軸(X方向の軸)回りに回転する。六角部250は「工具係合部」に相当する。ねじ部210にネジ止めする機器(図示せず)は、例えば、ガス燃焼機器である。
【0025】
図3に示すように、六角部250の内側の内周面250aは、嵌合部110Bの小径部130の全体を嵌合する。換言すれば、X方向において、六角部250は、嵌合部110Bの小径部130の全体を包含する位置関係にある。なお、六角部250と小径部130とは、上記の位置関係に替えて、X方向において、小径部130が六角部250の全体を包含する位置関係となるように構成してもよいし、六角部250の一部と小径部130の一部とが重なる位置関係となるように構成してもよい。
【0026】
第2の円筒部分200Bの内側の内周面200Baは、嵌合部110Bの小径部130の内側の内周面130aに対して、同一の径(中心軸OXからの距離の2倍)となっている。
【0027】
以上のように構成された第1実施形態の管継手1を用いて、機器にフレキシブル管Tをつなぐ際には、まず、六角部250に操作工具を係合させて機器接続部200を回転させることによって、管継手1を機器に接続する。その後、管結合部100の内孔112にフレキシブル管Tを挿入することによって、管結合部100にフレキシブル管Tを結合する。この結果、フレキシブル管Tは、機器に対してシール性を確保した状態でつながれる。特に、管結合部100と機器接続部200との間は、水密Oリング222と気密Oリング226とによってシール性が確保されている。フレキシブル管Tを機器につないだ後に、機器を入れ替えたい場合には、フレキシブル管Tと管結合部100とを回転させないで、機器接続部200の六角部250に操作工具を係合させて機器接続部200だけを回転させることによって、ねじ部210にねじ止めされた機器から管継手1を取り外すことができる。したがって、第1実施形態の管継手1によれば、機器からの取り外しが容易であり、再施工がし易いという効果を奏する。
【0028】
第1実施形態の管継手1によれば、上述したように、機器からの取り外しの際にフレキシブル管Tは管結合部100に対して回転することがないことから、再施工に際しても、フレキシブル管Tと管結合部100との間のシール性能を保持することができる。これに対して、従来技術によれば、機器から取り外そうとすると、フレキシブル管Tの外周面とパッキン(気密パッキン40、水密パッキン48等)の内面とが相対的に位置ずれしたり、継手本体110の内面とパッキンの外面とが相対的に位置ずれしたりして、シール性能が低下する虞があった。また、従来技術によれば、機器から取り外そうとすると、フレキシブル管Tにねじれが生じる虞があった。このため、従来技術によれば、フレキシブル管を管継手1に結合した状態で機器から取り外すことができなかった。
【0029】
第1実施形態の管継手1によれば、X方向において、機器接続部200に備えられる六角部250は、嵌合部110Bの小径部130の全体を包含する位置関係にある。このため、第1実施形態の管継手1によれば、六角部250の内側の肉厚を大きくすることができることから、操作工具によって六角部250に過大な力が加えられた場合に、機器接続部200が変形して損傷することを抑制することができる。また、六角部250の内側に気密Oリング226が配置されることから、シール部と六角部とをX方向に並べた構成と比較して、管継手1の全長をコンパクトにすることができる。
【0030】
第1実施形態の管継手1によれば、継手本体110に備えられる嵌合部110Bと機器接続部200の内周面との間が、X方向において異なる位置にある水密Oリング222と気密Oリング226とによってシールされていることから、二点支持となって嵌合部110Bと機器接続部200の内周面との隙間のがたつきを抑制することができる。このため、両Oリング222,226の噛み込みを抑制することができる。また、気密Oリング226の内径(リング内径)は水密Oリング222の内径よりも小さいことから、機器接続部200が回転されたときに、気密Oリング226はねじれが生じにくい。さらに、気密Oリング226の線径は、水密Oリング222の線径よりも大きいことから、機器接続部200が回転されたときに、気密Oリング226はねじれがより生じにくい。したがって、第1実施形態の管継手1によれば、シール性能の信頼性を高めることができる。
【0031】
B.第2実施形態:
図4は、本発明の第2実施形態としての管継手が備える嵌合部310Bの周辺の拡大断面図である。第2実施形態における管継手は、第1実施形態における管継手1と比べて、嵌合部310Bの形状と、嵌合部310Bの外周に更に耐火パッキン333が備えられていることが相違する。第2実施形態における管継手のその他の構成は、第1実施形態における管継手1の構成と同一であるので、同一の構成要素については、図4において、図3と同一の符合を付し、その説明を省略する。
【0032】
図4に示すように、第2実施形態における管継手は、第1実施形態と同一の機器接続部200を備える。機器接続部200に内嵌される嵌合部310Bは、第1実施形態と同様に、大径部320と小径部330とを有する。小径部330は第1実施形態と同一であり、気密Oリング226が配設されている。大径部320には、+X方向に向かって順に、水密Oリング332が嵌め込まれる環状のOリング溝322と、耐火パッキン333が嵌め込まれる環状のリング溝323と、ストップリング224が係止される環状のストップリング溝124と、が形成されている。水密Oリング332およびOリング溝322は、第1実施形態における水密Oリング222(図3)およびOリング溝122(図3)と比べて配設位置が−X側に移動しただけで、形状および材質は同一である。ストップリング224およびストップリング溝124は、第1実施形態と同一である。
【0033】
耐火パッキン333は、環状であり、例えば、天然ゴム(NR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム(SR)等のゴムと、無発泡状態で熱膨張する黒鉛層間化合物と、加硫剤と、必要に応じて充填材、軟化材等の混練物を加硫することにより製造される。黒鉛層間化合物は例えば黒鉛を硫酸で処理することにより得られる。黒鉛層間化合物は約170℃以上に加熱されると無発泡状態で数倍〜数十倍に膨張し、800〜1000℃に加熱すると見掛けの体積は100〜250倍に増加する。なお耐火パッキン333の体積および黒鉛層間化合物の配合量は、耐火パッキン333の膨張量および膨張後のガス透過性を考慮して設定するのが好ましい。またシール性の点から、耐火パッキン333は50〜80のショアーA硬度を有するのが好ましい。
【0034】
耐火パッキン333は「耐火性リング」に相当する。耐火性リングは、常温では嵌合部310Bと機器接続部200との隙間をシールせず、常温より高い温度である、例えば150〜200℃以上の高温時に熱膨張して嵌合部310Bと機器接続部200との隙間をシールする環状の部材である。
【0035】
以上のように構成された第2実施形態の管継手によれば、第1実施形態の管継手1と同様に、機器からの取り外しが容易であり、再施工がし易いという効果を奏する。さらに、第2実施形態の管継手によれば、管継手が火災等で高温に曝されてゴム製の気密Oリング226や水密Oリング332が焼失しても、耐火パッキン333が熱膨張して嵌合部310Bと機器接続部200との隙間を充たすので、ガス漏れを防止することができる。
【0036】
C.第3実施形態:
図5は、本発明の第3実施形態としての管継手401を示す部分断面側面図である。第1実施形態の管継手1と同様に、第3実施形態としての管継手401は管結合部400と機器接続部500とを備え、管結合部400は継手本体410と結合機構部150とを備える。結合機構部150は、第1実施形態と同一の構成である。継手本体410は、第1実施形態の管継手1と同様に、本体胴部110Aと嵌合部410Bとを備える。本体胴部110Aは第1実施形態と同一の構成であるの対して、嵌合部410Bは第1実施形態と異なり独自の構成である。機器接続部500は、第1実施形態と異なり独自の構成である。第1実施形態と同一の構成要素については、図5において、図1と同一の符合を付し、その説明を省略する。
【0037】
第1実施形態では、嵌合部110Bは外周面が先細りとなった形状であった(図1参照)。これに対して、本実施形態では、嵌合部410Bは、外周面が本体胴部110Aの外周面から段差なく+X方向にまっすぐ伸びた形状である。嵌合部410Bの内径も本体胴部110Aの主要な部分の内径と同じである。
【0038】
第1実施形態では、先細りとなった嵌合部110Bの外周面に機器接続部200の内周面が嵌合している(図1参照)。これに対して、本実施形態では、嵌合部410Bの内周面に機器接続部500の外周面が嵌合している。
【0039】
図6は、嵌合部410Bの周辺の拡大断面図である。嵌合部410Bに嵌合する機器接続部500は、−X方向の側に位置する第1の円筒部分500Aと、+X方向の側に位置する第2の円筒部分500Bと、を備え、第1の円筒部分500Aと第2の円筒部分500Bとの間に、六角部550が形成されている。第1の円筒部分500Aは、嵌合部410Bに内嵌される部分であり、嵌合部410Bの内径とほぼ同じサイズの外径を有する。
【0040】
第1の円筒部分500Aの外周面には、+X方向に向かって順に、ストップリング532が係止される環状のストップリング溝522と、気密Oリング534が嵌め込まれる環状のOリング溝524と、水密Oリング536が嵌め込まれる環状のOリング溝526と、が形成されている。嵌合部410Bの内周面におけるストップリング溝522と対向する部分にも環状の係止溝412が設けられており、係止溝412とストップリング溝522との間の空間にストップリング532が填め込まれている。ストップリング532によって、機器接続部500に対する管結合部400の抜けが防止される。また、ストップリング532によって、管結合部400と機器接続部500とが接続された状態で、管結合部400に対して機器接続部500を回転させることが可能となる。
【0041】
嵌合部410Bと機器接続部500との隙間における外界口EXに近い方のOリング536が水密の役割をし、外界口EXに遠い方のOリング534が気密の役割をしている。気密Oリング534と水密Oリング536のそれぞれは、ゴム製であり、例えば、EPDM(エチレン‐プロピレン‐ジエンゴム)やNBR(ニトリルブタジエンゴム)などが用いられる。
【0042】
以上のように構成された第3実施形態の管継手401によれば、フレキシブル管Tを機器につないだ後に、機器を入れ替えたい場合には、フレキシブル管Tと管結合部400とを回転させないで、機器接続部500の六角部550に操作工具を係合させて機器接続部500だけを回転させることによって、ねじ部510にねじ止めされた機器から管継手401を取り外すことができる。したがって、第3実施形態の管継手401によれば、第1および第2実施形態と同様に、機器からの取り外しが容易であり、再施工がし易いという効果を奏する。また、第3実施形態の管継手401によれば、第1および第2実施形態の管継手と比較して、嵌合部410BのX方向の端部付近が段付き構造でないことから、構成が容易である。
【0043】
D.変形例:
なお、この発明は上記の第1ないし第3実施形態やその変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0044】
・変形例1:
第1ないし第3実施形態では、管結合部100に備えられる結合機構部150は、リテーナ50によってフレキシブル管Tを係止する機能と、気密パッキン40等によってシール性を確保する機能以外にも、フレキシブル管の結合確認を行う機能や、押ナット20を継手本体110内に押し込むことによって管継手1を分解することができる機能等を備える。これに対して、変形例として、結合機構部は、フレキシブル管Tを係止する機能と、シール性を確保する機能と、だけを有する構成としても良い。要は、管結合部は、フレキシブル管が挿入される内孔を有し、内孔においてフレキシブル管を結合することができれば、いずれの構成としても良い。
【0045】
・変形例2:
第1ないし第3実施形態では、工具係合部として六角部250が採用されている。これに対して、変形例として、四角形や八角形等の六角形以外の多角形の係合部としても良い。また、多角形である必要もなく、長方形の角が丸くなった形状等でも良く、要は、操作工具に係合可能な形状であれば、いずれの形状としても良い。
【0046】
・変形例3:
第1ないし第3実施形態では、フレキシブル管をつなげる機器は、ガス燃焼機器としたが、これに替えて、ガスメータやガス栓等の他の機器としても良い。また、フレキシブル管をつなげる機器は、鋼管等の簡単な器具であっても良い。
【0047】
・変形例4:
第1ないし第3実施形態では、管結合部100と機器接続部200との間をシールするシール部材として、2つのOリングを配置したが、これに替えて、1つのOリングであっても良いし、3つ以上の数のOリングであってもよい。また、第1および第3実施形態において、水密Oリング222,536を耐火パッキンに替えても良い。
【0048】
なお、前述した実施形態および各変形例における構成要素の中の、独立請求項で記載された要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…管継手
20…押ナット
40…気密パッキン
44…耐火パッキン
47…水密リング
48…水密パッキン
50…リテーナ
52…爪部
60…選択透過性部材
61…ストップリング
63…分解用リング
70…保持部材
71…弾性部材
80…可動部材
100…管結合部
110…継手本体
110A…本体胴部
110B…嵌合部
112…内孔
120…大径部
122…Oリング溝
124…ストップリング溝
126…Oリング溝
130…小径部
130a…内周面
150…結合機構部
200…機器接続部
200A…第1の円筒部分
200B…第2の円筒部分
200Ba…内周面
200e…端部
210…ねじ部
212…係止溝
222…水密Oリング
224…ストップリング
226…気密Oリング
250…六角部
250a…内周面
310B…嵌合部
320…大径部
322…Oリング溝
332…水密Oリング
333…耐火パッキン
400…管結合部
401…管継手
410…継手本体
410B…嵌合部
412…係止溝
500…機器接続部
500A…第1の円筒部分
500B…第2の円筒部分
510…ねじ部
522…ストップリング溝
524…Oリング溝
526…Oリング溝
532…ストップリング
534…気密Oリング
536…水密Oリング
550…六角部
EX…外界口
OX…中心軸
T…フレキシブル管
図1
図2
図3
図4
図5
図6