特許第6977356号(P6977356)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6977356
(24)【登録日】2021年11月15日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20211125BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20211125BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
   G03G21/00 390
   B41J29/38 203
   H04N1/00 C
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-141282(P2017-141282)
(22)【出願日】2017年7月20日
(65)【公開番号】特開2019-20661(P2019-20661A)
(43)【公開日】2019年2月7日
【審査請求日】2020年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(72)【発明者】
【氏名】青木 豊和
【審査官】 山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−178359(JP,A)
【文献】 特開2005−081748(JP,A)
【文献】 特開平07−148996(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0024888(US,A1)
【文献】 特開2004−110708(JP,A)
【文献】 特開2013−059872(JP,A)
【文献】 特開2003−051928(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2011−0138207(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
B41J 29/00−29/70
H04N 1/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に印刷するプリント部と、
前記記録媒体に印刷するコピー部およびFAX部のうちの少なくとも1つと
を備える画像形成装置において、
印刷前の施錠管理が不要な記録媒体を格納する施錠していないトレイ、および印刷前の施錠管理が必要な記録媒体を格納する施錠可能な鍵付きトレイを含む複数のトレイと、
ユーザからの要求に応じて前記プリント部、前記コピー部または前記FAX部を制御する画像形成制御部と
を有し、
前記画像形成制御部は、
前記ユーザからの要求が、前記鍵付きトレイを選択した前記プリント部へのプリント要求である場合は、前記鍵付きトレイと前記鍵付きトレイからの印刷を許可されたユーザとの対応付けに基づき、前記ユーザが前記鍵付きトレイからの印刷を許可されたユーザであるかを判断し、前記許可されたユーザであれば前記プリント要求に含まれる印刷画像を、前記鍵付きトレイに格納した前記記録媒体に印刷するように制御し、
前記ユーザからの要求が、前記コピー部へのコピー要求または前記FAX部へのFAX要求である場合は、前記鍵付きトレイからの印刷をしないように制御するとともに、
前記画像形成制御部は、前記プリント要求に含まれる印刷画像に、前記記録媒体上の所定箇所に印刷される画像が存在しない場合は、前記プリント要求を破棄することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、外部サーバ装置と通信する通信制御部を有し、前記画像形成制御部は、前記外部サーバ装置から前記外部サーバ装置が記憶する前記鍵付きトレイと前記鍵付きトレイからの印刷を許可されたユーザとの対応付けを取得することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成制御部は、前記プリント要求に含まれる印刷画像に、前記記録媒体上に印刷される所定面積以上の画像部分が存在しない場合は、前記プリント要求を破棄することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、前記画像形成装置への指示を受け付ける操作部を有し、前記画像形成制御部は、前記コピー要求または前記FAX要求に対して、前記鍵付きトレイを前記操作部から選択できないようにすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
記録媒体に印刷するプリント部と、
前記記録媒体に印刷するコピー部およびFAX部のうちの少なくとも1つと
印刷前の施錠管理が不要な記録媒体を格納する施錠していないトレイ、および印刷前の施錠管理が必要な記録媒体を格納する施錠可能な鍵付きトレイを含む複数のトレイと、
ユーザからの要求に応じて前記プリント部、前記コピー部または前記FAX部を制御する画像形成制御部と
を有する画像形成装置と、
前記プリント部へのプリント要求を前記画像形成装置に送信する端末装置と
からなる画像形成システムであって、
前記端末装置は、前記プリント要求を作成するプリンタドライバを有し、前記プリンタドライバは、前記プリント要求に含まれる印刷画像、該印刷画像を印刷するトレイおよび前記ユーザを識別する情報を含む前記プリント要求を作成し、
前記画像形成制御部は、
前記ユーザからの要求が、前記鍵付きトレイを選択した前記プリント部への前記プリント要求である場合は、前記鍵付きトレイと前記鍵付きトレイからの印刷を許可されたユーザとの対応付けに基づき、前記ユーザが前記鍵付きトレイからの印刷を許可されたユーザであるかを判断し、前記許可されたユーザであれば前記印刷画像を、前記鍵付きトレイに格納した前記記録媒体に印刷するように制御し、
前記ユーザからの要求が、前記コピー部へのコピー要求または前記FAX部へのFAX要求である場合は、前記鍵付きトレイからの印刷をしないように制御するとともに、
前記画像形成制御部は、前記プリント要求に含まれる印刷画像に、前記記録媒体上の所定箇所に印刷される画像が存在しない場合は、前記プリント要求を破棄することを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
前記端末装置は、前記印刷画像を作成する印刷アプリケーションを有し、前記ユーザを識別する情報は前記印刷アプリケーションの固有識別情報であることを特徴とする請求項5記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記端末装置は、前記印刷画像が所定条件を満たしていない場合には前記プリント要求の作成を中止することを特徴とする請求項5または6記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機密性が高い情報を印刷する用紙等の記録媒体、例えば自治体や各種事業者・会員組織が発行する証明書や医療機関が発行する処方箋、また、財産的価値を有する情報が印刷される用紙等の記録媒体、例えば権利証や各種チケットには、地紋印刷や特定の印章等特別な印刷を施してセキュリティ管理をしている。
【0003】
一般的に、プリンタ等において印刷前の用紙はトレイに格納されており、その間に持ち出される可能性がある。上述のような特別な印刷を施した特殊用紙は、特別な印刷を施している分、通常の用紙と比較して高価になる。また不特定の人物の手に渡ると、偽造や不正目的に用いられる可能性があり、特にトレイからの持ち出しが問題となる。
【0004】
特許文献1では、用紙の盗難を防止する目的で、用紙が格納されているトレイに施錠し、格納されている用紙が無くなるまで開錠できない、または開錠するのにパスワードによる認証が必要な画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、施錠されたトレイを選択して、白紙画像、または白紙に近い内容の画像を出力することにより、特別な印刷を施した特殊用紙をほぼ無傷で排紙させることができる。この結果、不特定の人物によって特殊用紙が持ち出される可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1にかかる発明は、記録媒体に印刷するプリント部と、前記記録媒体に印刷するコピー部およびFAX部のうちの少なくとも1つとを備える画像形成装置において、印刷前の施錠管理が不要な記録媒体を格納する施錠していないトレイ、および印刷前の施錠管理が必要な記録媒体を格納する施錠可能な鍵付きトレイを含む複数のトレイと、ユーザからの要求に応じて前記プリント部、前記コピー部または前記FAX部を制御する画像形成制御部とを有し、前記画像形成制御部は、前記ユーザからの要求が、前記鍵付きトレイを選択した前記プリント部へのプリント要求である場合は、前記鍵付きトレイと前記鍵付きトレイからの印刷を許可されたユーザとの対応付けに基づき、前記ユーザが前記鍵付きトレイからの印刷を許可されたユーザであるかを判断し、前記許可されたユーザであれば前記プリント要求に含まれる印刷画像を、前記鍵付きトレイに格納した前記記録媒体に印刷するように制御し、前記ユーザからの要求が、前記コピー部へのコピー要求または前記FAX部へのFAX要求である場合は、前記鍵付きトレイからの印刷をしないように制御するとともに、前記画像形成制御部は、前記プリント要求に含まれる印刷画像に、前記記録媒体上の所定箇所に印刷される画像が存在しない場合は、前記プリント要求を破棄することを特徴とする
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、鍵付きトレイに格納されている用紙等の記録媒体を、不特定の人物が画像形成装置から排出して持ち出すのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態のネットワーク構成図である。
図2】第1の実施形態の画像形成装置1ハードウェア構成図である。
図3】第1の実施形態の端末装置2ハードウェア構成図である。
図4】第1の実施形態の画像形成装置1と端末装置2との使用形態の説明図である。
図5】第1の実施形態の画像形成装置1および画像形成装置2の機能ブロック図である。
図6】トレイ種類テーブルの例である。
図7】トレイ権限テーブルの例である。
図8】第1の実施形態の端末装置2の処理フローである。
図9】第1の実施形態の画像形成装置1の処理フローである。
図10】第1の実施形態の端末装置2へのエラーメッセージ表示シーケンスである。
図11】第1の実施形態の画像形成装置1の処理フローである。
図12】第2の実施形態の画像形成装置1および画像形成装置2の機能ブロック図である。
図13】第2の実施形態の画像形成装置1の処理フローである。
図14】第3の実施形態の画像形成装置1および画像形成装置2の機能ブロック図である。
図15】第3の実施形態の端末装置2の処理フローである。
図16】第4の実施形態のネットワーク構成図である。
図17】第4の実施形態のサーバ装置3のハードウェア構成図である。
図18】第4の実施形態の画像形成装置1および端末装置2およびサーバ装置3の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の実施の形態を説明するための各図面において、同一の機能もしくは形状を有する部材や構成部品等の構成要素については、判別が可能な限り同一符号を付すことにより一度説明した後ではその説明を省略する。
【0010】
まず、本発明の第1の実施形態に係るシステム構成について説明する。図1に示すように画像形成装置1と、PC(Personal Computer)などの端末装置2とが、ネットワーク1000によって接続されている。ここで、ネットワーク1000はLAN(Local Area Network)、インターネット、LAN経由のインターネット等を含む概念である。端末装置2はネットワーク1000に有線で接続されていてもよいし、無線接続のいわゆるモバイル端末などでもよい。一つの画像形成装置1に対し、複数の端末装置2が接続されていてもよい。
【0011】
画像形成装置1は、コピー機能、FAX機能、プリント機能、スキャナ機能、また、入力画像(スキャナ機能による読み取り原稿や、プリンタ機能あるいはFAX機能により入力された画像)を保存や配信する機能等を複合して有するいわゆるMFP(Multi Function Peripheral)と称される複合機である。なお、本実施形態において、画像形成装置1で処理される「画像」には画像データだけでなく、画像データが含まれていないデータ、つまりテキスト情報のみのデータも含むものとする。
【0012】
次に、画像形成装置1のハードウェア構成について説明する。図2に示すように、画像形成装置1は、CPU(Central Processing Unit)10と、ROM(Read Only Memory)11と、RAM(Random Access Memory)12と、HDD(Hard Disk Drive)13と、通信I/F(interface)15と、操作パネル16と、エンジン部17と、外部接続I/F18とを備え、これらがシステムバス19を介して相互に接続されている。HDD13は、CPU10の制御にしたがって電子データを記憶可能な記憶媒体であるHD(Hard Disk)14に対するデータの読み出し又は書き込みを行う。
【0013】
CPU10は、画像形成装置1の動作を制御する。CPU10は、RAM12をワークエリア(作業領域)としてROM11又はHD14に格納されたプログラムを実行することで、画像形成装置1全体の動作を制御し、上述したコピー機能、スキャナ機能、ファクス機能、プリンタ機能などの各種機能を実現する。これらの各種機能の実行した動作(以降ジョブと呼ぶことがある)は、その都度、画像処理装置100の動作ログとしてHD14に保存可能である。
【0014】
通信I/F15は、ネットワーク1000と接続するためのインタフェースである。
【0015】
操作パネル16は、操作者の操作に応じた各種の入力を受け付けるとともに、各種の情報(例えば受け付けた操作を示す情報、画像形成装置1の動作状況を示す情報、画像形成装置1の設定状態を示す情報など)を表示する。操作パネル16は、一例としてタッチパネル機能を搭載した液晶表示装置(LCD:Liquid Cristal Display)で構成されるが、これに限られるものではない。例えばタッチパネル機能が搭載された有機EL(Electoro−Luminescence)表示装置で構成されてもよい。さらに、これに加えて又はこれに代えて、ハードウェアキー等の操作部やランプ等の表示部を設けることもできる。
【0016】
エンジン部17は、プリンタ機能、コピー機能、FAX機能、などを実現させるための、汎用的な情報処理及び通信以外の処理を行うハードウェアである。プリンタ機能を行うプリンタ部1701、コピー機能を行うコピー部1702、FAX機能を行うFAX部1703を有する。その他印刷済み記録媒体を仕分けるフィニッシャや、原稿を自動給送するADF(Auto Document Feeder)のような特定のオプションを備えることもできる。
【0017】
外部接続I/F18は、操作者が操作パネル16にログインする時に用いるIC(Integrated Circuit)カードを読み込ませるICカードリーダ1001と接続するためのインタフェースである。
【0018】
図3を用いて端末装置2のハードウェア構成を説明する。端末装置2は、CPU20と、ROM21と、RAM22と、HDD23と、通信I/F25と、ディスプレイ26と、入力手段27と、記録媒体ドライブ28とを備え、これらがシステムバス29を介して相互に接続されている。HDD23は、CPU20の制御にしたがって電子データを記憶可能な記憶媒体であるHD24に対するデータの読み出し又は書き込みを行う。
【0019】
CPU20は、端末装置2の動作を制御する。CPU20は、RAM22をワークエリアとしてROM21またはHD24に格納されたプログラムを実行することで、端末装置2全体の動作を制御し、操作者から受け付けた入力に応じて各種機能を実現する。
【0020】
入力手段27は、操作者の操作に応じた各種の入力を受け付ける。キーボードやマウスを採用することができるがこれに限られない。
【0021】
図4を用いて、画像形成装置1および端末装置2を用いた画像形成システムについて説明する。
【0022】
まず画像形成装置1のプリント機能について説明する。本実施形態の画像形成装置1は、ネットワーク1000を通じて端末装置2からの印刷指示を受け、用紙などの記録媒体に印刷する、プリント機能を実行可能である。
【0023】
端末装置2のHD24にはCPU20が実行可能なプログラムである印刷画像作成アプリケーション(以下印刷アプリと呼ぶことがある)2000およびプリンタドライバ2001が記憶されている。
【0024】
印刷アプリ2000は、操作者の入力に従って、印刷画像を作成するアプリケーションである。ここで印刷画像とは、用紙などの記録媒体へ印刷する画像である。プリンタドライバ2001は、操作者が入力する印刷に関する各種設定(以下印刷設定と呼ぶことがある)、例えば画質、印刷部数、ページ割付、トレイ等に基づき、印刷画像を印刷データに変換するアプリケーションである。ここで印刷データとは、画像形成装置1が解釈してエンジン部17で記録媒体への画像形成を実行可能なデータである。
【0025】
端末装置2の動作としては、端末装置2の操作者が印刷アプリ2000を立ち上げ印刷画像を作成する。作成した印刷画像について操作者が印刷指示を入力すると、プリンタドライバ2001が立ち上がり、操作者は、プリンタドライバ2001に印刷設定を入力する。
【0026】
するとプリンタドライバ2001は、印刷アプリ2000を使って作成された印刷画像および入力された各種印刷設定に基づき、印刷画像を印刷データに変換する。プリンタドライバ2001は、画像形成装置1のプリント機能に対する要求(以降プリント要求と呼ぶ)として、少なくとも印刷データおよび印刷設定を、通信I/F25からネットワーク1000を通じて画像形成装置1に送信する。
【0027】
次に画像形成装置1について述べる。画像形成装置1のエンジン部17は、ADF171、画像読取部172、排紙部173、画像形成部174、両面ユニット175、給紙部176を有する。給紙部176は、第1のトレイ1761、第2のトレイ1762、第3のトレイ1763、第4のトレイ1764、第1の施錠部1765、第2の施錠部1766を有する。
【0028】
第1〜第4のトレイ1761〜1764は、操作者が画像形成装置1から引き出し、内部に印刷前の記録媒体を格納できる。なお、第1〜第4のトレイ以外にさらに、取り外し可能なトレイを追加することも可能である。
【0029】
トレイは、給紙キャビネット、給紙デッキ、給紙トレイ、給紙ホッパー、ペーパートレイ、手差しトレイなどと呼ばれることもある。また、画像形成装置1から取り外し可能な場合は、外付けトレイ、給紙カセット、ペーパーカセットなどと呼ばれることもある。
【0030】
画像形成装置1に対し端末装置2から送信されてきたプリント要求には、印刷設定の一部として、端末装置2の操作者によって選択されたトレイの情報が含まれている。給紙部176の第1〜4のトレイ1761〜1764のうち、選択されたトレイからエンジン部17へ記録媒体が搬送され、画像形成部174によって画像形成が実行される。図4には一例として給紙部176から搬送された記録媒体が画像形成部174で印刷画像を形成され、排紙部173へ排出される搬送経路を点線で示している。片面印刷の場合を搬送経路R1、両面印刷の時には両面ユニット175を通る搬送経路R2で示す。
【0031】
第3のトレイ1763と第4のトレイ1764はさらに、それぞれ第1の施錠部1765、第2の施錠部1766を有する。第3のトレイ1763と第4のトレイ1764は施錠部により施錠することで画像形成装置1に物理的に固定可能である。第1の施錠部1765、第2の施錠部1766は一例として、一般的なシリンダー錠を有している。シリンダー錠の鍵穴に鍵を差し込み回転することで、施錠・開錠できる。施錠時にトレイは、画像形成装置1の本体フレーム等に係止され、画像形成装置1から引き出されることはない。この鍵を使用できる人物を管理することにより、第3のトレイ1763と第4のトレイ1764は、特定の人物のみが開閉可能となる。
【0032】
つまり、第1のトレイ1761、第2のトレイ1762は、すでに格納されている用紙を誰でも取り出すことが可能なのに対し、第3のトレイ1763、第4のトレイ1764に格納されている記録媒体は、トレイが施錠管理されているため、特定の人物以外はトレイを引き出して取り出すことができない。なお、このような鍵と鍵穴による施錠に限られず、電子的な錠、例えば操作パネル16から管理者がログインして施錠・開錠を操作できる錠でもよい。
【0033】
次に、画像形成装置1のコピー機能を使用する形態について説明する。ADF171または画像読取部172にコピーする原稿を置き、操作者が操作パネル16からコピーに関する指示を入力すると、コピー機能の実行を要求する(以下コピー要求と呼ぶことがある)。
【0034】
ADF171を使用する場合であれば、ADF171は原稿を、搬送経路R1のように画像読取部172に搬送してまた装置の外へ排出する。画像読取部172は原稿を光学的に読み取り、印刷データを生成する。生成した印刷データおよび印刷設定に基づき、画像形成部174が記録媒体に画像形成を行う。画像形成が行われた記録媒体は排紙部173へ排出される。
【0035】
給紙部176の第1〜4のトレイ1761〜1764のうち、操作パネル16で操作者によって選択されたトレイから、格納されている記録媒体が搬送され、画像形成部174がその記録媒体上に画像形成を行う。図4には一例として給紙部176から搬送された記録媒体が画像形成部174により画像を形成された後、排紙部173へ排出される搬送経路を点線で示している。片面印刷の場合を搬送経路R1、両面印刷の時には両面ユニット175を通る搬送経路R2で示す。
【0036】
FAX機能についても、受信したFAXを記録媒体に印刷する場合、操作者が画像形成装置1の操作パネル16や端末装置2の入力手段27から印刷設定の一部としてトレイを選択し、選択されたトレイから、格納されている記録媒体が搬送され、画像形成部174がその記録媒体上に画像形成を行う点、上述のプリント機能、コピー機能と同様である。
【0037】
なお、画像形成部174における画像形成は、用紙等の記録媒体へ印刷可能な方式として電子写真方式やインクジェット方式などを採用することができるが、これに限られない。
【0038】
図5は、第1の実施形態の画像形成装置1および端末装置2の機能ブロック図である。
【0039】
画像形成装置1は、入力受付部100と、表示制御部110と、通信制御部120と、画像形成制御部130と、読出・書込処理部140と、記憶部150とを備える。
【0040】
入力受付部100は、操作パネル16の処理によって実現され、操作者に対し操作に必要な情報を表示し、操作者による各種入力を受け付ける機能を実行する。
【0041】
表示制御部110は、CPU10がHD14に記憶されたプログラムを実行することで実現され、入力受付部100に表示する表示画面を制御する機能を実行する。
【0042】
通信制御部120は、通信I/F15の処理によって実現され、画像情報を外部へメール送信したり、各種設定情報を外部機器から設定可能な場合には、外部機器とネットワーク1000経由で通信したりする機能を実行する。
【0043】
画像形成制御部130は、CPU10がHD14に記憶されたプログラムを実行することによって実現され、コピー機能、スキャナ機能、FAX機能、プリンタ機能を実行する。
【0044】
読出・書込処理部140は、HDD13の処理によって実行され、記憶部150に各種データを記憶したり、記憶部150に記憶された各種データを読み出したりする機能を実行する。
【0045】
記憶部150は、HD14の処理によって実行され、プログラムや文書データ、画像形成装置1の動作に必要な各種設定情報、画像処理装置1の動作ログ等を格納する機能を実行する。
【0046】
画像形成制御部130はさらに、要求種類判断部131、プリント処理部132、コピー処理部133、FAX処理部134を有する。要求種類判断部131は、CPU10がHD14に記憶されたプログラムを実行することによって実現され、エンジン部17の各機能いずれが要求されているのかを判断する機能を実行する。プリント処理部132、コピー処理部133、FAX処理部134は、それぞれCPU10がHD14に記憶されたプログラムであるプリンタアプリケーション、コピーアプリケーション、FAXアプリケーションを実行することによって実現され、それぞれコピー機能、スキャナ機能、FAX機能、プリンタ機能を実行する。
【0047】
記憶部150はさらに、トレイ種類記憶部151と、トレイ権限記憶部152とを有する。トレイ種類記憶部151と、トレイ権限記憶部152はHD14によって実行され,それぞれ後述するテーブルを記憶する機能を実行する。
【0048】
端末装置2は、入力受付部200と、表示制御部210と、通信制御部220と、プリント要求作成部230とを備える。
【0049】
入力受付部200は、入力手段27の処理によって実現され、操作者による各種入力を受け付ける機能を実行する。
【0050】
表示制御部210は、CPU10がHD24に記憶されたプログラムを実行することで実現され、ディスプレイ26に表示する表示画面を制御する機能を実行する。
【0051】
通信制御部220は、通信I/F25の処理によって実現され、画像情報を外部へメール送信したり、各種設定情報を外部機器から設定可能な場合には、外部機器とネットワーク1000経由で通信したりする機能を実行する。
【0052】
プリント要求作成部230は、CPU20がHD24に保存されたプログラムを実行することで実現され、画像形成装置1へのプリント機能の実行の要求である、プリント要求を作成し、通信制御部220を介し画像形成装置1に送信する機能を実行する。
【0053】
プリント要求作成部230は、印刷画像作成部231、データ変換部232、ユーザID付加部233を有する。プリント要求作成部230は、印刷画像作成部231、データ変換部232、ユーザID付加部233の各部を制御してプリント要求を作成する。
【0054】
印刷画像作成部231は、CPU20がHD24に保存されたプログラム、一例として印刷画像作成アプリケーション2000を実行して実現され、端末装置2に対する操作者の操作に従い画像形成装置1で印刷する画像を作成する機能を実行する。
【0055】
データ変換部232は、CPU20がHD24に保存されたプログラム、一例として、プリンタドライバ2001を実行して実現され、作成された印刷画像および印刷設定に基づき、作成された印刷画像を、画像形成装置1で印刷可能なデータである印刷データに変換する機能を実行する。
【0056】
ユーザID付加部233は、CPU20がHD24に保存されたプログラム、一例として、印刷アプリ2000またはプリンタドライバ2001を実行して実現され、プリント要求に、プリント要求元であるユーザを識別する情報(以降ユーザIDと呼ぶことがある。)を付加する機能を実行する。
【0057】
ここで、プリント要求は、少なくとも前述の印刷データおよび、印刷設定情報として、少なくとも操作者によって選択されたトレイの情報を有している。
【0058】
選択されたトレイの情報としては、一例として画像形成装置1が有するトレイにあらかじめ定められたトレイ名を用いることができる。操作者は、画像形成装置1の操作パネル16や端末装置2の入力手段27からトレイ名を選択して、選択されたトレイの情報とすることができる。別の例として画像形成装置1が有するトレイにあらかじめ定められたトレイ番号などでもよい。
【0059】
プリント要求に付加するユーザIDは、プリント要求の出所を識別できる情報を管理者があらかじめ定めておけばよい。例えば印刷アプリが、印刷アプリの購入者自身や印刷アプリをインストールする端末装置をライセンス登録し、操作者が使用時にログインして使用する使用形態のアプリである場合がある。その場合は、ユーザIDとして個々の印刷アプリの識別情報、具体的にはプロダクトキー、ライセンスキー、シリアル番号、製造番号をさだめることができる。
【0060】
また、ユーザIDの別の例として、プリント要求を行った端末装置を操作している人物自体を特定する情報、例として端末装置へのログインID、またはログインIDとパスワードのセットでもよい。
【0061】
また、印刷アプリ自体が特定のシステム用に作成された特注品である場合がある。その場合はユーザIDの別の例として、印刷アプリで作成する印刷画像の拡張子でもよい。
【0062】
ユーザIDとして何を用いるかによって、印刷アプリ2000が収集して印刷画像とともに付加してプリンタドライバ2001に渡してもよく、プリンタドライバ2001が収集して、プリント要求に付加してもよい。また印刷アプリ2000がプリンタドライバ2001に渡した印刷画像からプリンタドライバ2001がユーザIDを作成してプリント要求に付加してもよい。
【0063】
図6を用いて、図5のトレイ種類記憶部151に記憶されるトレイ種類テーブルについて説明する。トレイ種類記憶部151にはあらかじめ、管理者によって以下の対応付けが記憶されている。すなわち画像形成装置1が有する各トレイの「トレイ名」と、各トレイが施錠管理されているか、されていないかによってそれぞれ鍵付、または通常のいずれかを「状態」として対応付けている。さらに、「トレイ名」と、プリンタアプリ、コピーアプリ、FAXアプリの機能アプリのうち、そのトレイを使った機能の実行を許可されたアプリケーション、言い換えるとそのトレイを使用できるアプリケーションとを、「使用できるアプリケーション」として対応付けている。本テーブルでは、鍵付トレイに対しては、「使用できるアプリケーション」としてプリンタのみが対応づけられる。
【0064】
図6のテーブルでは、第3のトレイ1763と第4のトレイ1764の二つが、「状態」が鍵付のトレイである。それぞれのトレイで異なる管理をする場合のために、鍵付1、鍵付2と区別して記憶されている。第1のトレイ1761と第2のトレイ1762は、通常として記憶されている。トレイ種類判断部1321は、印刷設定情報に含まれる選択されたトレイ名をキーに、鍵付で管理されているか、通常使用であるか、およびそのトレイを使った機能の実行を許可されたアプリケーションを抽出する。
【0065】
なお、施錠部により施錠可能な第3のトレイ1763や第4のトレイ1764を、施錠せずに通常のトレイとして使用したい場合もある。その場合は、「状態」として通常を記憶させ、使用できるアプリとしてプリンタ以外の機能アプリケーションを記憶させてよい。また、図6のテーブルでは通常トレイについて、「使用できるアプリケーション」をコピー、プリンタ、FAXアプリのすべてを対応付けているが、すべてを対応付ける必要はない。
【0066】
次に図7を用いて、図5のトレイ権限記憶部152に記憶されるトレイ権限テーブルを説明する。図7(a)に示すテーブルにはあらかじめ、管理者によって以下の情報が記憶されている。すなわち鍵付トレイである第3のトレイ1763、および第4のトレイ1764それぞれについて、トレイを使用する権限、言い換えるとトレイに格納されている記録媒体に印刷する権限を有するユーザIDとして、印刷アプリ2000のシリアル番号があらかじめ記憶されている。第3のトレイは鍵付1という管理であり、「SN12345/00」「SN12345/01」という二つのシリアル番号をユーザIDとして記憶させている。第4のトレイは鍵付2という管理であり、「SN12345/01」というシリアル番号の印刷アプリをユーザとして使用権限を設定している。トレイ権限判断部1322は、選択されたトレイ名をキーに、ユーザIDである印刷アプリシリアル番号を抽出する。
【0067】
図7(b)に示すテーブルは、ユーザIDとして、公知の技術により端末装置2にログインしたログインIDとパスワードが記憶されている例である。ログインIDのみでも管理可能であるが、パスワードと合わせることでより強固な管理が可能である。第3のトレイは鍵付1という管理であり、ログインID「Abcde」とパスワード「123abc」、およびログインID「Bcdef」とパスワード「123bcd」で端末装置2にログインしたユーザに使用権限を与えている。第4のトレイは鍵付2という管理であり、ユーザIDとしてログインID「Bcdef」とパスワード「123bcd」を記憶させている。この場合トレイ権限判断部1322は、選択されたトレイ名をキーに、トレイを使用する権限を有するユーザIDであるログインID とパスワードのセットを抽出する。
【0068】
図7(c)に示すテーブルは、ユーザIDとして印刷画像のデータ拡張子が記憶されている例である。前述のように印刷アプリ自体が特定のシステム用に作成された特注品である場合、印刷アプリで作成する印刷画像の拡張子も特有のものとなり、ユーザIDとして用いることができる。第3のトレイは鍵付1という管理であり、ユーザIDとして印刷画像のデータ拡張子「.xxx」を記憶している。第4のトレイは鍵付2という管理であり、ユーザIDとして、印刷画像のデータ拡張子「.yyy」を記憶されている。この場合トレイ権限判断部1322はトレイを使用する権限を有するユーザIDである印刷画像のデータ拡張子を抽出する。
【0069】
図8のフローチャートで端末装置2の動作を、ユーザIDとして図7(a)の印刷アプリのシリアル番号を用いた場合を説明する。プリント要求作成部230は、操作者が行う印刷アプリ2000を使用するためのログインを受け付ける(S1)。印刷画像作成部231は、ログインした操作者の入力にしたがい、印刷画像を作成する(S2)。プリント要求作成部230は、操作者による作成した印刷画像の印刷指示を受け付ける(S3)。データ変換部232は、操作者による印刷設定を受け付け、印刷データを作成する(S4)。
【0070】
ここで印刷設定には各種があるが、少なくとも選択されたトレイの情報、一例として画像形成装置1が有する各トレイに付与されたトレイ名のうち、操作者により選択されたトレイ名が含まれている。操作者が印刷画像を所望の特殊用紙へ印刷することを希望する場合には、操作者はその特殊用紙が格納されている鍵付トレイをあらかじめ把握しており、その鍵付トレイを選択する。
【0071】
次にユーザID付加部233は、ユーザIDとして印刷アプリのシリアル番号を抽出し、印刷データと選択されたトレイの情報に付加する(S6)。プリント要求作成部230は、印刷データ、選択されたトレイの情報およびユーザIDとしての印刷アプリのシリアル番号を、ひとつのプリント要求として画像形成装置1に送信する(S7)。
【0072】
図9のフローチャートで画像形成装置1の動作を説明する。画像形成制御部130は、画像形成装置1の操作パネル16や端末装置2の入力手段27から、プリント機能、コピー機能、FAX機能などの各種要求を受け付ける(S8)。要求種類判断部131は、トレイ種類記憶部151からトレイ種類テーブルを取得し、受け付けた要求がプリント要求であるか、その他の要求、つまりコピー要求やFAX要求などであるかを判断する(S9)。プリント要求でない場合は、後述するフローAに進み、プリント要求の場合は、S11に進む(S10)。
【0073】
プリント処理部132のトレイ種類判断部1321は、トレイ種類テーブルからプリント要求に含まれる選択されたトレイ名をキーに、状態を抽出し、状態が鍵付であるかを判断する。選択されたトレイが鍵付トレイでない、つまり状態が通常である場合は、選択されたトレイに格納された記録媒体に印刷を実行して終了する(S12)。選択されたトレイが鍵付きトレイであればS11にすすむ。S11として、トレイ権限判断部1322は、トレイ権限記憶部152からトレイ権限テーブルを取得し、選択されたトレイ名をキーにユーザID、つまり印刷アプリ2000のシリアル番号が登録されているかどうかを判断し、登録済みのユーザIDであれば、選択されたトレイから印刷を実行する(S12)。登録済みでなければ、プリント要求を破棄し(S13)、プリント要求の要求元である端末装置2へ印刷エラーを通知する(S14)。
【0074】
図10に示すように、画像形成装置1からプリント要求の要求元である端末装置2へのエラー通知に基づき、端末装置2の表示制御部210は、表示部に対してエラーメッセージを表示する(S15)ようにしてもよい。つまりエラーメッセージとして、“選択したトレイからの印刷には、対象プリンタに対する管理者によるユーザ登録が必要です。”などと表示する。操作者は、管理者に使用している印刷アプリのシリアル番号の登録を依頼し、画像形成装置1のトレイ権限記憶部152のトレイ権限テーブルに、鍵付トレイと印刷アプリのシリアル番号の対応付けが新たに登録されれば、当該鍵付トレイへの印刷が可能となる。
【0075】
図11を用いて、図9の処理フローAを説明する。画像形成制御部130は、表示制御部110を制御することによりトレイ種類テーブルで「状態」が鍵付と記憶されているトレイを、操作パネル16に選択不可に表示する(S16)。選択不可に表示とは、例えば操作パネル16に該当トレイの表示自体を行わない、また、該当トレイが選択できないことが操作者にわかるように、色や文字を変えて表示するなどである。
【0076】
操作者の要求がコピー要求であればコピー処理部133が、FAX要求であればFAX処理部134が、操作パネル16に表示されたトレイの中から操作者が選択したトレイ情報を受け付ける(S17)。すると、操作パネル16で選択されたトレイから、記録媒体が搬送されてコピー処理、FAX処理の結果として、印刷が行われる(S18)。
【0077】
図12を用いて、第2の実施形態を説明する。図12は第2の実施形態の画像形成装置1および端末装置2の機能ブロック図である。なお第2の実施形態のネットワーク構成およびハードウェア構成は第1の実施形態と同様であるため、省略する。
【0078】
図12の機能ブロック図において、端末装置2は第1の実施形態と同じである。画像形成装置1は、第1の実施形態のプリント処理部132が、さらに印刷画像判断部1323を有している。印刷画像判断部1323は、印刷アプリ2000で作成された印刷画像が、鍵付トレイで印刷するのに適した印刷画像であるかを判断する。善意悪意で、鍵付トレイに実質的には画像の無い印刷画像を印刷指示すると、鍵付トレイ内の記録媒体をほぼそのまま取り出すことになる。そこで適切な印刷画像であるかどうか、つまりある程度の画像が印刷される印刷画像の条件を設定し、その条件を満たしているかどうかを判断する。
【0079】
図13を用いて第2の実施形態の処理フローを説明する。S19〜S22までは第1の実施形態S8〜S11とそれぞれ同様である。本実施形態では、S22でユーザIDが登録済みだった場合、印刷画像判断部1323が、印刷画像が後述の印刷画像条件を満たすか判断する(S23)。満たしていれば選択されたトレイから印刷する(S24)。満たしていない場合は、プリント要求を破棄し(S25)、端末装置2にエラーを通知して終了する(S26)。第1の実施形態と同様、エラー通知に基づき端末装置2でエラーメッセージを表示させてもよく、本実施例の場合エラーメッセージとしては“印刷画像が選択用紙に印刷するための要件を満たしていません。入力項目に不足がないか確認して下さい。”など通知すればよい。
【0080】
印刷画像条件は一例として、記録媒体に印刷される画像の面積が所定以上であることが挙げられる。別の例として、印字率、つまり用紙全体の面積に占める画像部分の積算面積の割合が所定以上であることが挙げられる。印字率は、印字デューティ、印刷率、印字比率、画像面積比、画像ドット比などで表されることもある。また、印刷画像条件のその他の例として、記録媒体上の所定位置に画像があるかどうかを用いることもできる。
【0081】
以上説明した第2の実施形態においては、印刷画像自体を判断している為、誤って白紙や白紙に近い内容の印刷画像を鍵付きトレイから印刷することを防止できる。
【0082】
図14を用いて、第3の実施形態を説明する。図14は画像形成装置1および端末装置2の機能ブロック図である。ネットワーク構成およびハードウェア構成は第1の実施形態と同様であるため、省略する。
【0083】
図14の機能ブロック図は、画像形成装置1については第1の実施形態と同じである。端末装置2の第1の実施形態のプリント要求作成部230が、さらに印刷画像判断部234を有している。印刷画像判断部234は、印刷画像が印刷画像条件を満たすか判断する。
【0084】
図15のフローチャートで第3の実施形態の端末装置2の動作を説明する。第1、または第2の実施形態では印刷指示受付後、印刷設定受付に進んだが、本実施形態においては印刷指示受付後に、印刷画像判断部234が、印刷画像条件を満たすかを判断する(S30)。印刷画像条件を満たしていない場合は、プリント要求作成を中止して、端末装置2の表示部にエラーメッセージを表示する(S35)。印刷画像条件の例、エラーメッセージの例は第2の実施形態と同じである。
【0085】
以上説明した第3の実施形態においては、誤って白紙や白紙に近い内容の印刷画像を鍵付きトレイから印刷することを防止できる。第2の実施形態に比べてより早い段階、つまり画像形成装置1へプリント要求を送信する前に操作者に印刷画像のエラーを知らせることができる。
【0086】
次に図16を用いて第4の実施形態のネットワーク構成を説明する。第1の実施形態と比較して、サーバ装置3をさらに有する。また、画像形成装置1を複数有している。サーバ装置3は端末装置2と同様に、画像形成装置1とネットワーク1000で接続されている。
【0087】
図17にサーバ装置3のハードウェア構成を示す。第1〜3の実施形態の端末装置2と同じ構成のため、その説明は省略する。
【0088】
図18は、第4の実施形態の機能ブロック図である。第1の実施形態と端末装置2は同様である。第1の実施形態では画像形成装置1が、トレイ種類記憶部およびトレイ権限記憶部を有していたが、本実施形態ではサーバ装置3がトレイ種類記憶部341およびトレイ権限記憶部342を有している。本実施形態において入力受付部300は、管理者のトレイ種類記憶部341およびトレイ権限記憶部342へのテーブル作成・更新を受け付け、読出・書込処理部330は記憶部340に記憶する。画像形成装置1のトレイ種類判断部1321およびトレイ権限判断部1322は、通信制御部120を制御して、それぞれトレイ種類テーブル、トレイ権限テーブルをサーバ装置3から取得する。
【0089】
第4の実施形態では、管理対象のユーザが複数の画像形成装置1を使用するシステムの場合に、すべての画像形成装置1にトレイ種類テーブル、トレイ権限テーブルを作成しなくても、サーバ装置3のテーブルのみ最新情報に更新すれば、管理者は一元管理することが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
1 画像形成装置
130 画像形成制御部
131 要求種類判断部
1321 トレイ種類判断部
1322 トレイ権限判断部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0091】
【特許文献1】特開2011−1194
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17
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