(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6977672
(24)【登録日】2021年11月15日
(45)【発行日】2021年12月8日
(54)【発明の名称】調芯用光回路および光調芯方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/30 20060101AFI20211125BHJP
G02B 6/12 20060101ALI20211125BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20211125BHJP
H01L 31/10 20060101ALI20211125BHJP
G02B 6/34 20060101ALI20211125BHJP
G02B 6/122 20060101ALI20211125BHJP
【FI】
G02B6/30
G02B6/12 301
H01L31/02 D
H01L31/10 A
G02B6/34
G02B6/122 311
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-115148(P2018-115148)
(22)【出願日】2018年6月18日
(65)【公開番号】特開2019-219453(P2019-219453A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2020年10月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】前田 圭穂
(72)【発明者】
【氏名】三浦 達
(72)【発明者】
【氏名】福田 浩
【審査官】
山本 貴一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2018−005067(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/034655(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2017/0003449(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0086149(US,A1)
【文献】
特表2017−520764(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/30,6/12,6/122,6/34
H01L 31/0232,31/10
G01M 11/00
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体からなるコアから構成されて基板の上に形成された光導波路と、
前記光導波路の一端の前記コアに形成されたグレーティングによるグレーティングカプラと、
前記光導波路の他端に前記光導波路に光学的に結合して形成された反射部または光検出部と、
前記グレーティングカプラの前記コアに形成されたp型領域およびn型領域によるフォトダイオードと
を備えることを特徴とする調芯用光回路。
【請求項2】
請求項1記載の調芯用光回路において、
前記p型領域および前記n型領域の各々は、前記グレーティングの配列方向に延在する平面視矩形の領域に形成され、前記p型領域および前記n型領域は、前記グレーティングの配列方向に直交して前記基板の平面に平行な方向に配列されている
ことを特徴とする調芯用光回路。
【請求項3】
請求項2記載の調芯用光回路において、
前記p型領域および前記n型領域の各々は、複数形成されて交互に配列されていることを特徴とする調芯用光回路。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の調芯用光回路において、
前記半導体は、シリコンであることを特徴とする調芯用光回路。
【請求項5】
請求項4に記載された調芯用光回路を用いた光調芯方法であって、
調芯対象の光ファイバより出射した調芯用光が前記グレーティングカプラに光結合可能な状態とする粗調芯をする第1工程と、
粗調芯の後で前記調芯用光の前記グレーティングカプラへの光結合が最大となる状態にする微調芯をする第2工程と
を備え、
前記第1工程では、前記光導波路を導波する第1光と前記フォトダイオードが感度を有する波長の第2光とを多重させた光を、調芯対象の光ファイバに導波させて出射端より前記調芯用光として出射させる
ことを特徴とする光調芯方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレーティングカプラと光ファイバとの光接続に用いる調芯用光回路および光調芯方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光通信のトラフィック増大に伴って、光送受信器の高速化・小型化と共に低コスト化が求められている。光送受信器の小型・低コスト化には、構成部品である光フィルターや光変調器等を含む光回路についても、低コストに製造可能でありより小型なものが求められる。
【0003】
小型な光回路を低コストに実現する技術として、近年シリコンフォトニクス(Silicon photonics:SiPh)が注目を集めており、SiPh光回路の研究開発が盛んに行われている。例えば、SiPh光回路を用いた機器の例として光送受信器がある。この光送受信器の製造コストのうち、実装・検査工程が占める割合は大きく、光送受信器の低コスト化を進めることが重要となっている。このためには、SiPh光回路をチップに切り出す前のウエハ上で検査して良品選別し、この後でチップに切り出して選別した良品のチップをモジュール実装することが望ましい。
【0004】
SiPh光回路の検査としては、外部光源からSiPh光回路に光を入射し、挿入損失(insertion loss:IL)や動作特性を評価する方法が一般的である。このため、外部からSiPhの光導波路に光を結合することが可能なグレーティングカプラ(Grating Coupler)が、ウエハ上での検査には重要となる。
【0005】
グレーティングカプラを用いた検査では、従来、光ファイバからの入射光の角度・波長・偏波を設計値に設定したうえで、光ファイバを走査し、グレーティングカプラとの光結合効率が最大になる点を探索することで調芯を行っていた。
【0006】
グレーティングカプラを用いた調芯用光回路について、
図7を参照して説明する。例えば、
図7の(a)に示すように、半導体からなるコア301から構成された光導波路の一端に形成されたグレーティングカプラ302と、コア301から構成された光導波路の他端に形成されたGeフォトダイオード303aとを備える調芯用光回路がある。この調芯用光回路はでは、グレーティングカプラ302と結合した光のみが光導波路中を伝搬し、Geフォトダイオード303aにおける光電流が信号として得られる。
【0007】
また、
図7の(b)に示すように、コア301から構成された光導波路の他端には、反射部303bが形成されている調芯用光回路がある。この調芯用光回路では、グレーティングカプラ302と結合した光のみが光導波路中を伝搬し、調芯用光回路からの戻り光が信号として得られる。
【0008】
上述した信号が最大となるように、光ファイバを広範囲に走査し(粗調芯)、光ファイバとグレーティングカプラを調芯する。
【0009】
ここで、非特許文献1に示されているように、グレーティングカプラの光結合効率は、平面座標のみならず、入射光の角度・偏波・波長に敏感である。従って、高効率な光結合のためには、光ファイバとグレーティングカプラの間のX軸、Y軸、Z軸、および各軸に対する角度の6軸の調芯に加え、偏波・波長をあわせることが必要となる。
【0010】
このような調芯においては、光ファイバの位置を走査・掃引することで、グレーティングカプラとの光結合がとれる位置に移動し(粗調芯)、さらにグレーティングカプラと光ファイバが結合している状態で精密な位置合わせ、角度・波長・偏波あわせ(微調芯)を行っている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】D. Taillaert et al., "An Out-of-Plane Grating Coupler for Efficient Butt-Coupling Between Compact Planar Waveguides and Single-Mode Fibers", IEEE Journal of Quantum Electronics, vol. 38, no. 7, pp. 949-955, 2002.
【非特許文献2】A. Mekis et al., "A Grating-Coupler-Enabled CMOS Photonics Platform", IEEE Journal of Selected Topics in Quantum Electronics, vol. 17, no. 3, pp. 597-608, 2011.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前述したように、SiPh光回路へ光を入射するためには、光ファイバとグレーティングカプラとの精密な調芯および、偏波・波長あわせが必要となる。精密な調芯および、偏波・波長あわせを行うためには、光ファイバとグレーティングカプラが結合し、調芯用の信号が確認できる状態が重要となる。
【0013】
しかしながら、グレーティングカプラは他の光回路と比較して製造ばらつきが大きく、最適な結合位置や角度・波長には設計からのずれや個体差がでやすい。さらに、調芯用光回路からの戻り光を信号として用いる調芯では、光回路が形成されている基板の表面の光回路周辺構造からの散乱光が、戻り光に背景雑音として重畳してしまう。また、フォトダイオードの光電流を信号として用いる調芯では、フォトダイオードの暗電流が背景雑音として重畳する。
【0014】
特に、粗調芯時の光ファイバの角度・波長・偏波が最適な条件から大きくずれるときは、S/N比が極端に低下するため、調芯用光回路からの応答信号が雑音に埋もれてしまい、粗調芯および、この後の微調芯が困難になるという問題があった。
【0015】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、調芯用光回路を用いた光調芯におけるS/N比が改善できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る調芯用光回路は、半導体からなるコアから構成されて基板の上に形成された光導波路と、光導波路の一端のコアに形成されたグレーティングによるグレーティングカプラと、光導波路の他端に光導波路に光学的に結合して形成された反射部または光検出部と、グレーティングカプラのコアに形成されたp型領域およびn型領域によるフォトダイオードとを備える。
【0017】
上記調芯用光回路において、p型領域およびn型領域の各々は、グレーティングの配列方向に延在する平面視矩形の領域に形成され、p型領域およびn型領域は、グレーティングの配列方向に直交して基板の平面に平行な方向に配列されている。
【0018】
上記調芯用光回路において、p型領域およびn型領域の各々は、複数形成されて交互に配列されている。
【0019】
上記調芯用光回路において、半導体は、シリコンである。
【0020】
本発明に係る光調芯方法は、上記調芯用光回路を用いた光調芯方法であって、調芯対象の光ファイバより出射した調芯用光がグレーティングカプラに光結合可能な状態とする粗調芯をする第1工程と、粗調芯の後で調芯用光のグレーティングカプラへの光結合が最大となる状態にする微調芯をする第2工程とを備え、第1工程では、光導波路を導波する第1光とフォトダイオードが感度を有する波長の第2光とを多重させた光を、調芯対象の光ファイバに導波させて出射端より調芯用光として出射させる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、グレーティングカプラのコアに形成されたp型領域およびn型領域によるフォトダイオードを備えるようにしたので、調芯用光回路を用いた光調芯におけるS/N比が改善できるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態における調芯用光回路の構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、実際に作製した調芯用光回路の光学顕微鏡写真である。
【
図3】
図3は、シリコンからなるフォトダイオード107に対してバイアスを印加したときの電流電圧特性を示す特性図である。
【
図4A】
図4Aは、本発明の実施の形態における調芯用光回路を用いた光調芯方法について説明するための構成図である。
【
図4B】
図4Bは、本発明の実施の形態における調芯用光回路を用いた光調芯方法について説明するための斜視図である。
【
図5A】
図5Aは、実施の形態における調芯用光回路で粗調芯を実施した場合の、光ファイバの位置に対する受信信号の分布を示す分布図である。
【
図5B】
図5Bは、実施の形態における調芯用光回路で粗調芯を実施した場合の、光ファイバの位置に対する受信信号の分布を示す分布図である。
【
図7】
図7は、グレーティングカプラを用いた調芯用光回路の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態おける調芯用光回路について
図1,
図2を参照して説明する。この調芯用光回路は、まず、半導体からなるコア102から構成されて基板101の上に形成された光導波路を備える。この光導波路の一端には、グレーティングカプラ103が設けられている。
【0024】
グレーティングカプラ103は、光導波路の一端におけるコア102の上面に形成された複数の溝によるグレーティングから構成されている。光導波路の一端にかけて、コア102はコア幅が徐々に拡大するテーパ部102aを備える。テーパ部102aによりテーパ光導波路が構成されている。グレーティングカプラ103は、コア102により光導波路と、テーパ部102aによるテーパ光導波路を介し、断熱的に接続されている。なお、グレーティングカプラ103は、非特許文献2のFig.3に示されているような扇形などの構造とされていてもよい。
【0025】
また、この調芯用光回路は、上述した光導波路の他端に光導波路に光学的に結合して形成された反射部104を備える。反射部104の代わりに光検出部を設けてもよい。
【0026】
半導体は、例えば、シリコンである。基板101は、例えば、よく知られたSOI(Silicon on Insulator)基板であり、この埋め込み絶縁層が下部クラッドとなり、表面シリコン層をパターニングすることでコア102,グレーティングカプラ103におけるグレーティングなどが形成されている。このように構成された下部クラッド、コア102,およびコア102の上部の空気層を上部クラッドとして光導波路が構成されている。上部クラッドは、SiO
2およびSiNの2層構造としてもよい。
【0027】
上述した構成のよく知られた調芯用光回路に、実施の形態では、グレーティングカプラ103のコア102に形成されたp型領域105およびn型領域106によるフォトダイオード107を備える。この例では、p型領域105およびn型領域106の各々は、グレーティングの配列方向に延在する平面視矩形の領域に形成され、p型領域105およびn型領域106は、グレーティングの配列方向に直交して基板101の平面に平行な方向に配列されている。
【0028】
また、この例では、p型領域105およびn型領域106の各々は、複数形成されて交互に配列されている。なお、複数のp型領域105は、p型引き出し部105aに接続して等電位とされている。また、複数のn型領域106も、n型引き出し部106aに接続して等電位とされている。複数のp型領域105および複数のn型領域106は、各々櫛歯状に形成され、各櫛歯が、交互に入り込んで配置されている。また、この例では、隣り合うp型領域105とn型領域106とによりpn接合が形成されている。
【0029】
p型引き出し部105aおよびn型引き出し部106aには、各々電極が接続されており、n型引き出し部106aを接地し、p型引き出し部105aに負のバイアス電圧を印加することで、p型領域105とn型領域106とのpn接合によるフォトダイオード107は、1.13μmより短い波長に対して感度を持つものとなる。
【0030】
シリコンからなるフォトダイオード107に対してバイアスを印加したときの電流電圧特性を
図3に示す。波長635nmの赤色光を2W入射したときの光電流(a)と、暗電流(b)とを示している。この結果より見積もられる受光感度は、約0.05A/W程度である。
【0031】
なお、コア102の幅、グレーティングカプラ103の幅、グレーティングカプラ103の長さ、グレーティングカプラ103を構成するグレーティングの周期(溝ピッチ)、デューティー比、溝深さは、調芯用光回路の設計に合わせて適宜に設定する。例えば、コア102は、断面視で幅0.44μm、高さ0.22μmとすればよい。また、グレーティングカプラ103は、幅を20μm、長さを30μmとし、溝ピッチを0.635μm、デューティー比を0.5、溝深さを0.07μmとすればよい。
【0032】
次に、本発明の実施の形態における調芯用光回路を用いた光調芯方法について、
図4A、
図4Bを参照して説明する。
【0033】
まず、調芯対象の光ファイバより出射した調芯用光がグレーティングカプラ103に光結合可能な状態とする粗調芯をする(第1工程)。シリコンから構成した光導波路およびフォトダイオード107の場合、光導波路を導波する第1光(信号光)とフォトダイオード107が感度を有する波長の第2光(粗調芯用光)とを多重させた光を、調芯対象の光ファイバに導波させて出射端より調芯用光として出射させる。
【0034】
例えば、
図4Aに示すように、光源201により粗調芯用の赤色光(波長635nm)と信号光のIR光(波長1550nm)とを波長多重した光源光を生成し、この光源光を光サーキュレータ(Optical circulator)202を介して光ファイバ203に導波させる。この状態で、光ファイバ203を走査する。ここで、粗調芯用の粗調芯用光は、波長635nmの赤色光に限らず、シリコンから構成されたフォトダイオード107が感度を有する1.13μm以下の光であれば良い。また、信号光についても、調芯用光回路の設計に応じて、所望の波長を選択すれば良い。
【0035】
上述した構成において、光ファイバ203を出射した光源光が、グレーティングカプラ103に結合すれば、光源光の中の信号光が、コア102による光導波路を伝搬する。この光導波路の他端に反射部104を設けておけば、反射部104で反射した戻り光は、再び光ファイバ203で受光され、光サーキュレータ202を介して光検出器204で検出される。従って、光検出器204で信号光をモニタしながら、光ファイバ203を走査することで、戻り光による調芯が実施できる。なお、反射部104の代わりに光導波路の他端に、Geフォトダイオードなどの光検出部を設けておけば、光検出部における光電流による調芯が実施できる。
【0036】
一方、光ファイバ203を出射した光源光が、グレーティングカプラ103に結合した場合、光源光の中の赤色光(粗調芯用光)は、グレーティングカプラ103に設けられているフォトダイオード107で吸収され。フォトダイオード107に負のバイアスを印加しておき、赤色光の吸収による光電変換で生成される光電流を、ソースメジャーユニット(SMU)205でモニタすることで、前述した信号光による調芯と同時に、赤色光を用いた調芯を行うことができる。
【0037】
赤色光による調芯によって、グレーティングカプラ103に対する粗調芯を行い(第1工程)、この粗調芯によりグレーティングカプラ103と弱く結合している状態で、信号光を用いて微調芯および角度・偏波・波長あわせを行う(第2工程)。
【0038】
赤色光による調芯において、赤色光はグレーティングカプラ103の領域に形成されたフォトダイオード107で直接吸収され、グレーティングカプラ103の光結合効率と無関係である。また、戻り光による調芯のように、周囲からの散乱光の影響も受けにくい。このため、
図7を用いて説明した従来の調芯に比較して、高いS/Nで粗調芯を行うことができる。
【0039】
図5A、
図5Bに、上述した実施の形態における調芯用光回路で粗調芯を実施した場合の、光ファイバの位置に対する受信信号の分布を示す。
図5Aは、IR光(信号光)に対する受信信号の分布である。
図5Bは、赤色光(粗調芯用光)に対する受信信号の分布である。なお、光ファイバの角度が10°、IR光の波長は1550nm、グレーティングカプラからの光ファイバの出射端までの高さは約100μmである。
【0040】
また、
図5A、
図5Bの中心位置におけるX軸断面プロファイルを
図6に示す。
図6の(a)は、IR光(信号光)に対する受信信号の分布の中心位置におけるX軸断面プロファイルを示している。また、
図6の(b)は、赤色光(粗調芯用光)に対する受信信号の分布の中心位置におけるX軸断面プロファイルを示している。
図6に示すように、IR光に対する受信信号(a)は背景雑音の成分が大きく、S/Nが約3dBに留まっている。一方で、赤色光に対する受信信号(b)は、約20dBの高いS/Nが得られている。
【0041】
これらの結果から明らかなように、実施の形態によれば、グレーティングカプラや光回路の周辺構造からの散乱光による背景雑音や、光ファイバの角度・波長・偏波のずれによるS/N低下の影響を受けずに、粗調芯が実施でき、この後の微調芯を行うことができる。
【0042】
以上に説明したように、本発明によれば、グレーティングカプラのコアに形成されたp型領域およびn型領域によるフォトダイオードを備えるようにしたので、調芯用光回路を用いた光調芯におけるS/N比が改善できるようなり、雑音に埋もれずに光ファイバと調芯用光回路のグレーティングカプラとの調芯ができるようになる。
【0043】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0044】
101…基板、102…コア、102a…テーパ部、103…グレーティングカプラ、104…反射部、105…p型領域、105a…p型引き出し部、106…n型領域、106a…n型引き出し部、107…フォトダイオード。