【文献】
THE JOURNAL OF PHYSICAL CHEMISTRY A,2014年,Vol.118,pp.2591-2598
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、一般式(I)で表される化合物、当該化合物を含有する液晶組成物及び当該液晶組成物を使用した素子を提供する。
【0019】
一般式(I)において、R
1は水素原子、炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表し、当該アルキル基中の任意の水素原子がハロゲン原子に置換されていても良く、当該アルキル基中の1個又は2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられても良いが、酸素原子同士が結合することはない。液晶組成物への相溶性、屈折率異方性、電圧保持率、合成の容易さ及び原料の入手性の観点から、R
1は水素原子、基中の任意の水素原子がハロゲン原子に置換されていても良く、基中の1個又は2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことが好ましく、R
1は基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されていても良く、基中の1個又は2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−CH=CH−又は−C≡C−に置き換えられても良い炭素原子数1から12の直鎖状又は分岐状アルキル基を表すことがより好ましく、R
1は炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基、炭素原子数2から8のアルケニル基、炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基又は炭素原子数2から8のアルキニル基を表すことがさらに好ましく、R
1は炭素原子数2から5のアルキル基、炭素原子数1から4のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数3から7のアルキニル基を表すことが特に好ましい。
【0020】
一般式(I)において、A
1及びA
2は各々独立して置換されていてもよい炭素原子数3から16の炭化水素環又は複素環を表すが、A
1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、A
2が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。液晶組成物への相溶性、屈折率異方性、電圧保持率、合成の容易さ及び原料の入手性の観点から、A
1及びA
2が各々独立して、無置換であるか又は1つ以上の置換基L
1によって置換されていても良い、
(a)1,4−シクロへキシレン基(この基中に存在する1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−は−O−又は−S−に置き換えられても良い。)
(b)1,4−フェニレン基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
(c)1,4−シクロヘキセニレン基、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1,4−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、アントラセン−2,6−ジイル基、アントラセン−1,4−ジイル基、アントラセン−9,10−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基(これらの基中に存在する水素原子はフッ素原子又は塩素原子に置換されても良く、また、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル基、5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−1,4−ジイル基、アントラセン−2,6−ジイル基、アントラセン−1,4−ジイル基、アントラセン−9,10−ジイル基又はフェナントレン−2,7−ジイル基中に存在する1個の−CH=又は2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)
(d)チオフェン−2,5−ジイル基、ベンゾチオフェン−2,5−ジイル基、ベンゾチオフェン−2,6−ジイル基、ジベンゾチオフェン−3,7−ジイル基、ジベンゾチオフェン−2,6−ジイル基、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル基(この基中に存在する1個の−CH=又は隣接していない2個以上の−CH=は−N=に置き換えられても良い。)からなる群より選ばれる基を表すことが好ましく、A
1及びA
2は複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、各々独立して無置換であるか又は1つ以上の置換基L
1によって置換されていても良い、1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、ベンゾチオフェン−2,5−ジイル基、ベンゾチオフェン−2,6−ジイル基、ベンゾチアゾール−2,5−ジイル基、ベンゾチアゾール−2,6−ジイル基、ジベンゾチオフェン−3,7−ジイル基、ジベンゾチオフェン−2,6−ジイル基又はチエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル基から選ばれる基を表すことがより好ましく、A
1及びA
2は複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、各々独立して下記の式(A−1)から式(A−14)
【0022】
(式中、破線は結合位置を表し、L
1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。)から選ばれる基を表すことがさらに好ましく、A
1及びA
2は複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、各々独立して式(A−1)から式(A−7)及び式(A−12)から選ばれる基を表すことがさらにより好ましく、A
1及びA
2は複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、各々独立して式(A−1)、式(A−3)から式(A−7)から選ばれる基を表すことが特に好ましい。
【0023】
L
1はフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、ペンタフルオロスルファニル基、ニトロ基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、チオイソシアノ基、又は、1個の−CH
2−又は2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−若しくは−C≡C−によって置換されていても良い炭素原子数1から20の直鎖状アルキル基又は炭素原子数3から20の分岐状若しくは環状アルキル基を表すが、酸素原子同士が直接結合することはなく、当該アルキル基中の任意の水素原子はフッ素原子に置換されていても良い基を表す。液晶組成物への相溶性、屈折率異方性、電圧保持率、合成の容易さ及び原料の入手性の観点から、L
1はフッ素原子、塩素原子又は基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されていても良く、基中の1個の−CH
2−又は2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−CF=CF−若しくは−C≡C−によって置換されていても良い炭素原子数1から20の直鎖状アルキル基又は炭素原子数3から20の分岐状若しくは環状アルキル基を表すことが好ましく、L
1はフッ素原子又は基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されていても良く、基中の−CH
2−が−O−によって置換されていても良い炭素原子数1から10の直鎖状アルキル基又は炭素原子数3から10の分岐状若しくは環状アルキル基を表すことがより好ましく、L
1はフッ素原子又は炭素原子数1から10の直鎖状アルキル基又は炭素原子数3から10の分岐状若しくは環状アルキル基を表すことがさらに好ましく、L
1はフッ素原子又は炭素原子数1から8の直鎖状アルキル基を表すことが特に好ましい。
【0024】
一般式(I)において、Z
1、Z
2及びZ
3は各々独立して二価の連結基又は単結合を表すが、Z
1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Z
2が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。液晶組成物への相溶性、屈折率異方性、電圧保持率、合成の容易さ及び原料の入手性の観点から、Z
1、Z
2及びZ
3は各々独立して単結合、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−OCOO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CHCOO−、−OCOCH=CH−、−CH=C(CH
3)COO−、−OCOC(CH
3)=CH−、−CH
2−CH(CH
3)COO−、−OCOCH(CH
3)―CH
2−、−OCH
2CH
2O−、−N=N−、−C=N−N=C−、−CH=N−、−N=CH−又は炭素原子数2から20のアルキレン基を表し、このアルキレン基中の1個又は2個以上の−CH
2−は−O−、−COO−又は−OCO−で置換されてもよい基を表すことが好ましく、Z
1、Z
2及びZ
3は複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、各々独立して−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すことがより好ましく、Z
1、Z
2及びZ
3は複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、各々独立して−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すことがさらに好ましく、Z
1、Z
2及びZ
3は複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、各々独立して−CF
2O−、−OCF
2−、−C≡C−又は単結合を表すことがさらにより好ましく、Z
1、Z
2及びZ
3は複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、各々独立して−C≡C−又は単結合を表すことが特に好ましい。
【0025】
一般式(I)において、m1及びm2は各々独立して0から3の整数を表すが、m1+m2は0から3の整数を表す。液晶組成物への相溶性、屈折率異方性、電圧保持率、合成の容易さ及び原料の入手性の観点から、m1及びm2は各々独立して0、1又は2を表し、m1+m2は0から3の整数を表すことが好ましく、m1及びm2は各々独立して0、1又は2を表し、m1+m2は0、1又は2を表すことがより好ましく、m1及びm2は各々独立して0又は1を表し、m1+m2は0、1又は2を表すことがさらに好ましく、m1及びm2は各々独立して0又は1を表し、m1+m2は0又は1を表すことが特に好ましい。
【0026】
一般式(I)において、A
xは下記の式(Ax−1)及び式(Ax−2)
【0028】
(式中、破線は結合位置を表し、X
1及びX
2は各々独立して水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表し、Y
1、Y
3、Y
4及びY
6は各々独立して水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、Y
2及びY
5は各々独立してフッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、ペンタフルオロスルファニル基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数1から8のアルキル基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数1から7のアルコキシ基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数2から8のアルケニル基又は任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基を表すが、ここで1個の−CH
2−又は2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−若しくは−C≡C−によって置換されていても良い。)から選ばれる基を表す。
電圧保持率を高くする観点からは、Y
2及びY
5が上記の構造であることが好ましい。一方で、Y
2及びY
5としてチオイソシアノ基(-NCS)を用いた場合、チエノチオフェン構造との電子共役状態によっては電圧保持率の低下を招くことがある。
液晶組成物への相溶性、屈折率異方性、電圧保持率、合成の容易さ及び原料の入手性の観点から、A
xは下記の式(Ax−1−i)及び式(Ax−2−i)
【0030】
(式中、破線は結合位置を表し、X
11は水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表し、Y
11、Y
31、Y
41及びY
61は各々独立して水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、Y
21及びY
51は各々独立してフッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、ペンタフルオロスルファニル基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数1から8のアルキル基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数1から7のアルコキシ基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数2から8のアルケニル基又は任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基を表す。)から選ばれる基を表すことが好ましく、A
xは下記の式(Ax−1−ii)
【0032】
(式中、破線は結合位置を表し、X
12は水素原子又は炭素原子数1から5のアルキル基を表し、
Y
12及びY
32は各々独立して水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、Y
22はフッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、ペンタフルオロスルファニル基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数1から8のアルキル基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数1から7のアルコキシ基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数2から8のアルケニル基又は任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基を表す。)から選ばれる基を表すことがより好ましく、A
xは下記の式(Ax−1−iii)
【0034】
(式中、破線は結合位置を表し、X
13は水素原子、メチル基又はエチル基を表し、
Y
13及びY
33は各々独立して水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、Y
23はフッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表す。)から選ばれる基を表すことがさらに好ましく、A
xは下記の式(Ax−1−iv)
【0036】
(式中、破線は結合位置を表し、Y
14及びY
34は各々独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
24はフッ素原子又はシアノ基を表す。)から選ばれる基を表すことが特に好ましい。
【0037】
一般式(I)で表される化合物は、式中における
【0041】
で表される構造とが、同一の構造ではないことが好ましい。これは、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル基の両端に結合した前記二つの構造が同一である場合、化合物の構造の対称性が高いことから当該化合物の結晶状態がエネルギー的に安定になり、液晶組成物中から結晶の析出が起こりやすくなって保存安定性の低下を引き起こしやすくなるためである。
【0042】
一般式(I)で表される化合物は、液晶相を示す温度範囲の広さ、誘電率異方性、液晶組成物への相溶性、屈折率異方性、電圧保持率、合成の容易さ及び原料の入手性の観点から、下記の一般式(I−i)
【0044】
(式中、R
11は水素原子、基中の任意の水素原子がハロゲン原子に置換されていても良く、基中の1個又は2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキル基を表し、
A
11及びA
21は各々独立して1,4−フェニレン基、ナフタレン−2,6−ジイル基、ナフタレン−1,4−ジイル基、フェナントレン−2,7−ジイル基、ベンゾチオフェン−2,5−ジイル基、ベンゾチオフェン−2,6−ジイル基、ベンゾチアゾール−2,5−ジイル基、ベンゾチアゾール−2,6−ジイル基、ジベンゾチオフェン−3,7−ジイル基、ジベンゾチオフェン−2,6−ジイル基又はチエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル基を表すが、A
11が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、A
21が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、これらの基は無置換であるか又は1つ以上の置換基L
11によって置換されていても良く、
L
11はフッ素原子、塩素原子又は基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されていても良く、基中の1個の−CH
2−又は2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CH=CH−、−CF=CF−若しくは−C≡C−によって置換されていても良い炭素原子数1から20の直鎖状アルキル基又は炭素原子数3から20の分岐状若しくは環状アルキル基を表すが、L
11が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Z
11、Z
21及びZ
31は各々独立して−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Z
11が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Z
21が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m11及びm21は各々独立して0、1又は2を表すが、m1+m2は0から3の整数を表し、
A
x1は下記の式(Ax−1−i)及び式(Ax−2−i)
【0046】
(式中、破線は結合位置を表し、X
11は水素原子又は炭素原子数1から8のアルキル基を表し、Y
11、Y
31、Y
41及びY
61は各々独立して水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、Y
21及びY
51は各々独立してフッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、ペンタフルオロスルファニル基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数1から8のアルキル基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数1から7のアルコキシ基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数2から8のアルケニル基又は任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基を表す。)から選ばれる基を表す。)で表される化合物であることが好ましく、下記の一般式(I−ii)
【0048】
(式中、R
12は基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されていても良く、基中の1個又は2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−CH=CH−又は−C≡C−に置き換えられても良い炭素原子数1から12の直鎖状又は分岐状アルキル基を表し、
A
12及びA
22は各々独立して下記の式(A−ii−1)から式(A−ii−14)
【0050】
(式中、破線は結合位置を表し、L
12が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。)から選ばれる基を表すが、A
12が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、A
22が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
L
12はフッ素原子又は基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されていても良く、基中の−CH
2−が−O−によって置換されていても良い炭素原子数1から10の直鎖状アルキル基又は炭素原子数3から10の分岐状若しくは環状アルキル基を表し、
Z
12、Z
22及びZ
32は各々独立して−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Z
12が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Z
22が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m12及びm22は各々独立して0、1又は2を表し、m12+m22は0、1又は2を表し、
X
12は水素原子又は炭素原子数1から5のアルキル基を表し、
Y
12及びY
32は各々独立して水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、Y
22はフッ素原子、塩素原子、シアノ基、ニトロ基、ペンタフルオロスルファニル基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数1から8のアルキル基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数1から7のアルコキシ基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数2から8のアルケニル基又は任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基を表す。)で表される化合物であることがより好ましく、下記の一般式(I−iii)
【0052】
(式中、R
13は炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基、炭素原子数2から8のアルケニル基、炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基又は炭素原子数2から8のアルキニル基を表し、
A
13及びA
23は各々独立して下記の式(A−iii−1)から式(A−iii−7)及び式(A−iii−12)
【0054】
(式中、破線は結合位置を表し、L
13が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。)から選ばれる基を表し、
L
13はフッ素原子又は炭素原子数1から10の直鎖状アルキル基又は炭素原子数3から10の分岐状若しくは環状アルキル基を表し、
Z
13、Z
23及びZ
33は各々独立して−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表し、
m13及びm23は各々独立して0又は1を表し、m13+m23は0、1又は2を表し、
X
13は水素原子、メチル基又はエチル基を表し、
Y
13及びY
33は各々独立して水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、Y
23はフッ素原子、塩素原子又はシアノ基を表す。)で表される化合物であることがさらに好ましく、下記の一般式(I−iv−1)から一般式(I−iv−3)
【0056】
(式中、R
14は炭素原子数2から5のアルキル基、炭素原子数1から4のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数3から7のアルキニル基を表し、
A
14及びA
24は下記の式(A−iv−1)、式(A−iv−3)から式(A−iv−7)
【0058】
(式中、破線は結合位置を表し、L
14が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良い。)から選ばれる基を表し、
L
14はフッ素原子又は炭素原子数1から8の直鎖状アルキル基を表し、
Z
14、Z
24及びZ
34は各々独立して−C≡C−又は単結合を表し、
Y
14及びY
34は各々独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
24はフッ素原子又はシアノ基を表す。)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0059】
一般式(I)で表される化合物として具体的には、下記の式(I−1)から式(I−29)
【0067】
本発明の化合物は以下の製法で製造することができる。
(製法1)下記式(s−7)で表される化合物の製造
【0069】
(式中、R
14は炭素原子数2から5のアルキル基、炭素原子数1から4のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数3から7のアルキニル基を表し、A
14及びA
24は上記の式(A−iv−1)、式(A−iv−3)から式(A−iv−7)から選ばれる基を表し、Y
14及びY
34は各々独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
24はフッ素原子又はシアノ基を表す。)
式(s−1)で表される化合物を例えばN−ブロモスクシンイミドと反応させることにより式(s−2)で表される化合物を得ることができる。
【0070】
式(s−2)で表される化合物を例えばN−ヨードスクシンイミドと反応させることにより式(s−3)で表される化合物を得ることができる。
【0071】
式(s−3)で表される化合物を一般式(s−4)で表される化合物と反応させることにより一般式(s−5)で表される化合物を得ることができる。反応方法としては例えば金属触媒及び塩基存在下、クロスカップリングさせる方法が挙げられる。金属触媒の具体例としては[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド、酢酸パラジウム(II)、ジクロロビス[ジ−tert−ブチル(p−ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等が挙げられる。金属触媒として酢酸パラジウム(II)を使用する場合、トリフェニルホスフィン、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル等の配位子を添加してもよい。塩基の具体例としては炭酸カリウム、リン酸カリウム、炭酸セシウム等が挙げられる。
【0072】
一般式(s−5)で表される化合物を一般式(s−6)で表される化合物と反応させることにより一般式(s−7)で表される化合物を得ることができる。反応方法としては例えばパラジウム触媒、銅触媒及び塩基を用いた薗頭カップリング反応が挙げられる。パラジウム触媒の具体例としては上記のものが挙げられる。銅触媒の具体例としてはヨウ化銅(I)が挙げられる。塩基の具体例としてはトリエチルアミン等が挙げられる。
(製法2)下記式(s−14)で表される化合物の製造
【0074】
(式中、Alkylはアルキル基を表し、Y
14及びY
34は各々独立して水素原子又はフッ素原子を表し、Y
24はフッ素原子又はシアノ基を表す。)
式(s−8)で表される化合物をルイス酸存在下、式(s−9)で表される化合物と反応させることにより式(s−10)で表される化合物を得ることができる。ルイス酸の具体例としては塩化アルミニウム(III)等が挙げられる。
【0075】
式(s−10)で表される化合物のカルボニル基を還元することにより式(s−11)で表される化合物を得ることができる。反応方法としては例えば塩化アルミニウム(III)及び水素化リチウムアルミニウムを用いる方法が挙げられる。
【0076】
式(s−11)で表される化合物を例えばN−ブロモスクシンイミドと反応させることにより式(s−12)で表される化合物を得ることができる。
【0077】
式(s−12)で表される化合物を一般式(s−13)で表される化合物と反応させることにより一般式(s−14)で表される化合物を得ることができる。反応方法としては例えばパラジウム触媒、銅触媒及び塩基を用いた薗頭カップリング反応が挙げられる。パラジウム触媒、銅触媒及び塩基の具体例としては上記のものが挙げられる。
【0078】
各工程において記載した以外の反応条件として、例えば実験化学講座(日本化学会編、丸善株式会社発行)、Organic Syntheses(A John Wiley & Sons,Inc.,Publication)、Beilstein Handbook of Organic Chemistry(Beilstein−Institut fuer Literatur der Organischen Chemie、Springer−Verlag Berlin and Heidelberg GmbH & Co.K)、Fiesers’ Reagents for Organic Synthesis(John Wiley & Sons,Inc.)等の文献に記載のもの又はSciFinder(Chemical Abstracts Service,American Chemical Society)、Reaxys(Elsevier Ltd.)等のデータベースに収載のものが挙げられる。
【0079】
各工程において必要に応じて官能基を保護することができる。保護基としては、例えば、GREENE’S PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS((Fourth Edition)、PETER G.M.WUTS、THEODORA W.GREENE共著、A John Wiley & Sons,Inc.,Publication)等に記載の保護基が挙げられる。
【0080】
また、各工程において必要に応じて精製を行うことができる。精製方法としてはクロマトグラフィー、再結晶、蒸留、昇華、再沈殿、吸着、分液処理等が挙げられる。精製剤の具体例としてはシリカゲル、アルミナ、活性炭等が挙げられる。
【0081】
一般式(I)で表される化合物は、液晶組成物へ添加し使用されることが好ましい。液晶組成物が一般式(I)で表される化合物を含有する場合、一般式(I)で表される1つの化合物を含有しても良く、一般式(I)で表される複数の化合物を含有しても良い。本発明の液晶組成物が一般式(I)で表される化合物を含有する場合、液晶組成物における一般式(I)で表される化合物の含有量の合計が、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であり95質量%以下であることがより好ましく、15質量%以上であり90質量%以下であることがさらに好ましく、20質量%以上であり85質量%以下であることが特に好ましい。ここで、「一般式(I)で表される化合物の含有量の合計」とは、液晶組成物が一般式(I)で表される1つの化合物を含有する場合、一般式(I)で表される化合物の含有量を意味し、液晶組成物が一般式(I)で表される複数の化合物を含有する場合、一般式(I)で表される複数の化合物の含有量の合計を意味する。
【0082】
一般式(I)で表される化合物を含有する液晶組成物は、屈折率異方性(Δn)が0.15以上であり1.00以下であることが好ましい。液晶組成物の液晶相温度範囲、駆動電圧、回転粘度及び弾性率の観点から、屈折率異方性(Δn)は0.20以上であり0.95以下であることが好ましく、0.25以上であり0.90以下であることがより好ましく、0.30以上であり0.85以下であることがさらに好ましく、0.35以上であり0.80以下であることが特に好ましい。
【0083】
一般式(I)で表される化合物を含有する液晶組成物を、高周波移相器、フェーズドアレイアンテナ、画像認識装置、測距装置、液晶表示素子、液晶レンズ又は立体画像表示用複屈折レンズに使用する場合、一般式(I)で表される化合物を含有する液晶組成物は、誘電率異方性(Δε)が2以上であり60以下であることが好ましい。液晶組成物の液晶相温度範囲、保存安定性、耐候性、駆動電圧、回転粘度及び弾性率の観点から、誘電率異方性(Δε)は2.5以上であり50以下であることが好ましく、3以上であり40以下であることがより好ましく、3.5以上であり30以下であることが特に好ましい。
【0084】
一般式(I)で表される化合物を含有する液晶組成物は、高周波数素子に使用することが好ましい。周波数範囲としては、1MHz以上であり1THz以下であることが好ましく、1GHz以上であり500GHz以下であることがより好ましく、2GHz以上であり300GHz以下であることがさらに好ましく、5GHz以上であり150GHz以下であることが特に好ましい。
【0085】
一般式(I)で表される化合物を含有する液晶組成物は、下記の一般式(IV)
【0087】
(式中、R
2は炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基、炭素原子数2から8のアルケニル基又は炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基を表し、
A
3は下記の式(A6−1)から式(A6−8)
【0089】
(式中、破線は結合位置を表す。)から選ばれる基を表すが、A
3が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Z
4は−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Z
4が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m3は1から4の整数を表し、
A
yは下記の式(Ay−1)及び式(Ay−2)
【0091】
(式中、破線は結合位置を表し、Y
7、Y
9、Y
10及びY
12は各々独立して水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、Y
8及びY
11は各々独立してフッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオイソシアノ基、ニトロ基、ペンタフルオロスルファニル基、任意の水素原子がフッ素原子に置換された炭素原子数1から8のアルキル基、任意の水素原子がフッ素原子に置換された炭素原子数1から7のアルコキシ基、任意の水素原子がフッ素原子に置換された炭素原子数2から8のアルケニル基又は任意の水素原子がフッ素原子に置換された炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基を表すが、ここで1個の−CH
2−又は2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−若しくは−C≡C−によって置換されていても良い。)から選ばれる基を表す。)で表される化合物を含有することが好ましい。液晶組成物の液晶相温度範囲、屈折率異方性、誘電率異方性、回転粘度及び弾性率の観点から、一般式(VI)で表される化合物は下記の一般式(VI−i)
【0093】
(式中、R
21は炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から4のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から4のアルケニルオキシ基を表し、
A
31は上記の式(A6−1)から式(A6−6)から選ばれる基を表すが、A
31が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Z
41は−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Z
41が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m31は1から3の整数を表し、
A
y1は下記の式(Ay−1−i)及び式(Ay−2−i)
【0095】
(式中、破線は結合位置を表し、Y
71、Y
91、Y
101及びY
121は各々独立して水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、Y
81及びY
111は各々独立してフッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオイソシアノ基、ニトロ基、ペンタフルオロスルファニル基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数1から8のアルキル基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数1から7のアルコキシ基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数2から8のアルケニル基又は任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基を表す。)から選ばれる基を表す。)で表される化合物であることが好ましく、一般式(VI)で表される化合物は下記の一般式(VI−ii)
【0097】
(式中、R
22は炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から4のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から4のアルケニルオキシ基を表し、
A
32は上記の式(A6−1)から式(A6−5)から選ばれる基を表すが、A
32が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Z
42は−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Z
42が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m32は1、2又は3を表し、
Y
72及びY
92は各々独立して水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、Y
82はフッ素原子、塩素原子、シアノ基、チオイソシアノ基、ニトロ基、ペンタフルオロスルファニル基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数1から8のアルキル基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数1から7のアルコキシ基、任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数2から8のアルケニル基又は任意の水素原子がフッ素原子に置換されていてもよい炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基を表す。)で表される化合物であることがより好ましく、一般式(VI)で表される化合物は下記の一般式(VI−iii)
【0099】
(式中、R
23は炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から4のアルコキシ基又は炭素原子数2から5のアルケニル基を表し、
A
33は上記の式(A6−1)から式(A6−5)から選ばれる基を表すが、A
33が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Z
43は−CF
2O−、−OCF
2−、−C≡C−又は単結合を表すが、Z
43が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m33は1、2又は3を表し、
Y
73及びY
93は各々独立して水素原子、フッ素原子又は塩素原子を表し、Y
83はフッ素原子、塩素原子、シアノ基又はチオイソシアノ基を表す。)で表される化合物であることがさらに好ましく、一般式(VI)で表される化合物は下記の一般式(VI−iv−1)から一般式(VI−iv−21)
【0106】
(式中、R
614は炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から4のアルコキシ基又は炭素原子数2から5のアルケニル基を表す。)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0107】
一般式(I)で表される化合物を含有する液晶組成物は、下記の一般式(III)
【0109】
(式中、R
31及びR
32は各々独立して炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基、炭素原子数2から8のアルケニル基又は炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基を表し、
A
31及びA
32は各々独立して下記の式(A3−1)から式(A3−8)
【0111】
(式中、破線は結合位置を表す。)から選ばれる基を表すが、A
32が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m31は1から4の整数を表す。)で表される化合物を含有してもよい。液晶組成物の液晶相温度範囲、屈折率異方性、誘電率異方性、回転粘度及び弾性率の観点から、一般式(III)で表される化合物は下記の一般式(III−i)
【0113】
(式中、R
311及びR
321は各々独立して炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から4のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から4のアルケニルオキシ基を表し、
A
311及びA
321は各々独立して下記の式(A31−1)から式(A31−6)
【0115】
(式中、破線は結合位置を表す。)から選ばれる基を表すが、A
321が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m311は1から3の整数を表す。)で表される化合物であることが好ましく、一般式(III)で表される化合物は下記の一般式(III−ii)
【0117】
(式中、R
312及びR
322は各々独立して炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から4のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から4のアルケニルオキシ基を表し、
A
312及びA
322は各々独立して下記の式(A32−1)から式(A32−4)
【0119】
(式中、破線は結合位置を表す。)から選ばれる基を表すが、A
322が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m312は1又は2を表す。)で表される化合物であることがより好ましく、一般式(III)で表される化合物は下記の一般式(III−iii)
【0120】
(式中、R
313及びR
323は各々独立して炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から4のアルコキシ基又は炭素原子数2から5のアルケニル基を表し、
A
313及びA
323は各々独立して下記の式(A33−1)及び式(A33−2)
【0122】
(式中、破線は結合位置を表す。)から選ばれる基を表すが、A
323が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m313は1又は2を表す。)で表される化合物であることがさらに好ましく、一般式(III)で表される化合物は下記の一般式(III−iv−1)から一般式(III−iv−10)
【0125】
(式中、R
314及びR
324は各々独立して炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から4のアルコキシ基又は炭素原子数2から5のアルケニル基を表す。)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0126】
また、一般式(I)で表される化合物は、誘電率異方性(Δε)が中性又は負である液晶組成物へ添加して使用しても良い。その場合、一般式(I)で表される化合物を含有する液晶組成物は、誘電率異方性(Δε)が−20以上であり2以下であることが好ましい。液晶組成物の液晶相温度範囲、保存安定性、耐候性、駆動電圧、回転粘度及び弾性率の観点から、誘電率異方性(Δε)は−15以上であり1.5以下であることが好ましく、−10以上であり1以下であることがより好ましく、−5以上であり0.5以下であることが特に好ましい。
【0127】
一般式(I)で表される化合物を含有する液晶組成物の誘電率異方性(Δε)が中性又は負である場合、液晶組成物は下記の一般式(IV)
【0129】
(式中、R
41及びR
42は各々独立して炭素原子数1から8のアルキル基、炭素原子数1から7のアルコキシ基、炭素原子数2から8のアルケニル基又は炭素原子数2から7のアルケニルオキシ基を表し、
A
41及びA
42は各々独立して下記の式(A4−1)から式(A4−11)
【0131】
(式中、破線は結合位置を表す。)から選ばれる基を表すが、A
41が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、A
42が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Z
41及びZ
42は各々独立して−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Z
41が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Z
42が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m41及びm42は各々独立して0から3の整数を表すが、m41+m42は1から3の整数を表す。)で表される化合物を含有しても良い。液晶組成物の液晶相温度範囲、屈折率異方性、誘電率異方性、回転粘度及び弾性率の観点から、一般式(IV)で表される化合物は下記の一般式(IV−i)
【0133】
(式中、R
411及びR
421は各々独立して炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から4のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から4のアルケニルオキシ基を表し、
A
411及びA
421は各々独立して上記の式(A4−1)から式(A4−9)から選ばれる基を表すが、A
411が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、A
421が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Z
411及びZ
421は各々独立して−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Z
411が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Z
421が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m411及びm421は各々独立して0から3の整数を表すが、m411+m421は1から3の整数を表す。)で表される化合物であることが好ましく、一般式(IV)で表される化合物は下記の一般式(IV−ii)
【0135】
(式中、R
412及びR
422は各々独立して炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から4のアルコキシ基、炭素原子数2から5のアルケニル基又は炭素原子数2から4のアルケニルオキシ基を表し、
A
412及びA
422は各々独立して上記の式(A4−1)から式(A4−7)から選ばれる基を表すが、A
412が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、A
422が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Z
412及びZ
422は各々独立して−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−又は単結合を表すが、Z
412が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Z
422が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m412及びm422は各々独立して0、1又は2を表すが、m412+m422は1又は2を表す。)で表される化合物であることがより好ましく、一般式(IV)で表される化合物は下記の一般式(IV−iii)
【0137】
(式中、R
413及びR
423は各々独立して炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から4のアルコキシ基又は炭素原子数2から5のアルケニル基を表し、
A
413及びA
423は各々独立して上記の式(A4−1)から式(A4−5)から選ばれる基を表すが、A
413が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、A
423が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Z
413及びZ
423は各々独立して−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−又は単結合を表すが、Z
413が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、Z
423が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
m413及びm423は各々独立して0、1又は2を表すが、m413+m423は1又は2を表す。)で表される化合物であることがさらに好ましく、一般式(IV)で表される化合物は下記の一般式(IV−iv−1)から一般式(IV−iv−8)
【0140】
(式中、R
414及びR
424は各々独立して炭素原子数1から5のアルキル基、炭素原子数1から4のアルコキシ基又は炭素原子数2から5のアルケニル基を表す。)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0141】
一般式(I)で表される化合物を含有する液晶組成物は、その保存安定性を向上させるために、安定剤を添加することもできる。使用できる安定剤としては、例えば、ヒドロキノン類、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類、ピロガロール類、チオフェノール類、ニトロ化合物類、β−ナフチルアミン類、β−ナフトール類、ニトロソ化合物等が挙げられる。安定剤を使用する場合の添加量は、組成物に対して0.005質量%から1質量%の範囲が好ましく、0.02質量%から0.8質量%がより好ましく、0.03質量%から0.5質量%がさらに好ましい。また、1種類の安定剤を用いても良く、2種類以上の安定剤を併用して用いても良い。安定剤としては下記の一般式(X1)
【0143】
(式中、Sp
x1は1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−によって置換されても良い炭素原子数1から20のアルキレン基又は単結合を表し、A
x1は下記の式(Ax1−1)から式(Ax1−8)
【0145】
(式中、破線は結合位置を表す。)から選ばれる基を表すが、A
x1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Z
x1は−O−、−S−、−OCH
2−、−CH
2O−、−CH
2CH
2−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−OCO−NH−、−NH−COO−、−NH−CO−NH−、−NH−O−、−O−NH−、−SCH
2−、−CH
2S−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CF
2S−、−SCF
2−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−OCO−、−COO−CH=CH−、−OCO−CH=CH−、−COO−CH
2CH
2−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−、−CH
2CH
2−OCO−、−COO−CH
2−、−OCO−CH
2−、−CH
2−COO−、−CH
2−OCO−、−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=N−N=CH−、−CF=CF−、−C≡C−又は単結合を表すが、Z
x1が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
mx1は0又は1を表し、
mx2は0から4の整数を表す。)で表される化合物が挙げられる。電圧保持率、液晶組成物への相溶性の観点から、一般式(X1)で表される化合物は下記の一般式(X1−i)
【0147】
(式中、Sp
x11は1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−又は−OCO−によって置換されても良い炭素原子数1から20のアルキレン基又は単結合を表し、A
x11は下記の式(Ax11−1)及び式(Ax11−2)
【0149】
(式中、破線は結合位置を表す。)から選ばれる基を表すが、A
x11が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
Z
x11は−COO−、−OCO−、−OCO−CH
2CH
2−、−CH
2CH
2−COO−又は単結合を表すが、Z
x11が複数存在する場合それらは同一であっても異なっていても良く、
mx11は0又は1を表し、
mx21は0又は1を表す。)で表される化合物であることが好ましく、一般式(X1)で表される化合物は下記の一般式(X1−ii−1)から一般式(X1−ii−4)
【0151】
(式中、Sp
x12は炭素原子数1から20のアルキレン基又は単結合を表す。)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0152】
また、一般式(I)で表される化合物を含有する液晶組成物は、下記の一般式(X2)
【0154】
(式中、R
x21、R
x22、R
x23及びR
x24は各々独立して水素原子、酸素原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1から20のアルキル基又は炭素原子数1から20のアルコキシ基を表し、
Sp
x21、Sp
x22、Sp
x23及びSp
x22は各々独立してスペーサー基又は単結合を表し、
mx21は0又は1を表し、
mx22は0又は1を表し、
mx23は0又は1を表す。)で表される化合物が挙げられる。電圧保持率、液晶組成物への相溶性の観点から、一般式(X2)で表される化合物は下記の一般式(X2−i)
【0156】
(式中、R
x211、R
x221、R
x231及びR
x241は各々独立して水素原子、酸素原子、ヒドロキシル基、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数1から10のアルコキシ基を表し、
Sp
x211、Sp
x221、Sp
x231及びSp
x221は各々独立して、基中の任意の水素原子がフッ素原子に置換されても良く、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CO−S−、−S−CO−、−O−CO−O−、−CO−NH−、−NH−CO−、−CH=CH−、−CF=CF−又は−C≡C−に置き換えられても良い炭素原子数1から20の直鎖状又は分岐状アルキレン基又は単結合を表し、
mx211は0又は1を表し、
mx221は0又は1を表し、
mx231は0又は1を表す。)で表される化合物であることが好ましく、一般式(X2)で表される化合物は下記の一般式(X2−ii)
【0158】
(式中、R
x212及びR
x222は各々独立して水素原子、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数1から10のアルコキシ基を表し、
Sp
x212及びSp
x222は各々独立して、1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−O−、−COO−又は−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から10の直鎖状アルキレン基又は単結合を表し、
mx212は0又は1を表す。)で表される化合物であることがより好ましく、一般式(X2)で表される化合物は下記の一般式(X2−iii)
【0160】
(式中、R
x213及びR
x223は各々独立して水素原子、炭素原子数1から10のアルキル基又は炭素原子数1から10のアルコキシ基を表し、
Sp
x213は1個の−CH
2−又は隣接していない2個以上の−CH
2−が各々独立して−COO−又は−OCO−に置き換えられても良い炭素原子数1から10の直鎖状アルキレン基を表す。)で表される化合物であることが特に好ましい。
【0161】
本願発明において、1,4−シクロヘキシレン基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基及び1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基に含まれる環構造は、各々トランス体及びシス体のいずれであっても良いが、液晶性の観点から、各々トランス体の含有率がシス体の含有率よりも多いことが好ましく、環構造におけるトランス体の含有率が80%以上であることがより好ましく、環構造におけるトランス体の含有率が90%以上であることがさらに好ましく、環構造におけるトランス体の含有率が95%以上であることがさらにより好ましく、環構造におけるトランス体の含有率が98%以上であることが特に好ましい。また、本願発明において下記の表記(CY−1)
【0163】
(式中、破線は結合位置を表す。)は1,4−シクロヘキシレン基のトランス体及び/又はシス体を意味する。
【0164】
また、本願発明において、各元素は同じ元素の同位体に置き換えられていても良い。
【実施例】
【0165】
以下、実施例を挙げて本発明を更に記述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。各工程において酸素及び/又は水分に不安定な物質を取り扱う際は、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス中で作業を行うことが好ましい。各化合物の純度はUPLC(Waters ACQUITY UPLC、BEH C
18(100×2.1mm×1.7μm)、アセトニトリル/水又は0.1%ギ酸含有アセトニトリル/水、PDA、カラム温度40℃)、GPC(島津製作所 HPLC Prominence、Shodex KF−801(300mm×8mm×6μm)+KF−802(300mm×8mm×6μm)、テトラヒドロフラン、RI、UV(254nm)、カラム温度40℃)、GC(Agilent 6890A、J&W DB−1、30m×0.25mm×0.25μm、キャリアガス He、FID、100℃(1分)→昇温10℃/分→300℃(12分))又は
1H NMR(JEOL、400MHz)によって決定した。
(実施例1)式(I−1)で表される化合物の製造
【0166】
【化68】
【0167】
窒素雰囲気下、反応容器に塩化アルミニウム(III)12.6g、ジクロロメタン38mLを加えた。氷冷しながらブチリルクロリド10.0gをジクロロメタン10mLに溶解させた溶液を滴下し、室温で2時間撹拌した。氷冷しながら式(I−1−1)で表される化合物12.0gをジクロロメタン48mLに溶解させた溶液を滴下し、室温で2時間撹拌した。反応液を氷水に注ぎ、分液処理した。有機層を食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン)により精製を行うことによって、式(I−1−2)で表される化合物10.0gを得た。
【0168】
窒素雰囲気下、反応容器に水素化リチウムアルミニウム7.2g、テトラヒドロフラン58mLを加えた。氷冷しながら、塩化アルミニウム(III)12.7gを少量ずつ加えた。氷冷しながら、式(I−1−2)で表される化合物10.0gをテトラヒドロフラン30mLに溶解させた溶液を滴下し、室温で5時間撹拌した。氷冷しながら、10%塩酸を滴下し、析出物を濾過により除去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン)により精製を行うことによって、式(I−1−3)で表される化合物7.0gを得た。
【0169】
反応容器に式(I−1−3)で表される化合物7.0g、ジクロロメタン70mLを加えた。氷冷しながら、N−ブロモスクシンイミド7.6gを少量ずつ加え、室温で5時間撹拌した。反応液を水に注ぎ、分液処理した。有機層を食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン)により精製を行うことによって、式(I−1−4)で表される化合物10.0gを得た。
【0170】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−1−4)で表される化合物9.9g、ヨウ化銅(I)0.3g、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル[XPhos]0.3g、酢酸パラジウム(II)0.2g、ジイソプロピルアミン79mL、N,N−ジメチルホルムアミド158mLを加えた。90℃で加熱しながら、式(I−1−5)で表される化合物5.9gを滴下し、90℃で5時間加熱撹拌した。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を5%塩酸、食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン)、活性炭処理及び再結晶(アセトン/メタノール)により精製を行うことによって、式(I−1)で表される化合物2.8gを得た。
相転移温度:C 68 I
1H−NMR(400MHz,CHLOROFORM−D)δ 7.34−7.29(m,2H),7.26−7.22(m,1H),7.12(td,J=9.4,7.8Hz,1H),6.90(d,J=0.9Hz,1H),2.90−2.87(m,2H),1.74−1.66(m,2H),1.42(td,J=14.9,7.3Hz,2H),0.94(t,J=7.3Hz,3H)
MS(EI):m/z=332
(実施例2)式(I−2)で表される化合物の製造
【0171】
【化69】
【0172】
反応容器に式(I−2−1)で表される化合物7.0g、ジクロロメタン70mLを加えた。氷冷しながら、N−ブロモスクシンイミド9.3gを少量ずつ加え、室温で5時間撹拌した。反応液を水に注ぎ、分液処理した。有機層を食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン)により精製を行うことによって、式(I−2−2)で表される化合物8.8gを得た。
【0173】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−2−2)で表される化合物8.8g、ヨウ化銅(I)0.3g、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル[XPhos]0.3g、酢酸パラジウム(II)0.2g、ジイソプロピルアミン70mL、N,N−ジメチルホルムアミド141mLを加えた。90℃で加熱しながら、1−ヘキシン4.0gを滴下し、90℃で5時間加熱撹拌した。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を5%塩酸、食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン)及び活性炭処理により精製を行うことによって、式(I−2−3)で表される化合物7.0gを得た。
【0174】
反応容器に式(I−2−3)で表される化合物7.0g、ジクロロメタン70mLを加えた。氷冷しながら、N−ブロモスクシンイミド6.9gを少量ずつ加え、室温で5時間撹拌した。反応液を水に注ぎ、分液処理した。有機層を食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン)により精製を行うことによって、式(I−2−4)で表される化合物7.7gを得た。
【0175】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−2−4)で表される化合物7.7g、ヨウ化銅(I)0.2g、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル[XPhos]0.2g、酢酸パラジウム(II)0.2g、ジイソプロピルアミン70mL、N,N−ジメチルホルムアミド141mLを加えた。90℃で加熱しながら、式(I−2−5)で表される化合物4.0gを滴下し、90℃で5時間加熱撹拌した。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を5%塩酸、食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン)、活性炭処理及び再結晶(アセトン/メタノール)により精製を行うことによって、式(I−2)で表される化合物5.5gを得た。
MS(EI):m/z=356
(実施例3)式(I−3)で表される化合物の製造
【0176】
【化70】
【0177】
実施例1においてブチリルクロリドをバレリルクロリドに、式(I−1−5)で表される化合物を式(I−3−5)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって、式(I−3)で表される化合物を製造した。
MS(EI):m/z=364
(実施例4)式(I−4)で表される化合物の製造
【0178】
【化71】
【0179】
実施例2において1−ヘキシンを1−ヘプチンに、式(I−2−5)で表される化合物を式(I−4−5)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって、式(I−4)で表される化合物を製造した。
MS(EI):m/z=388
(実施例5)式(I−5)で表される化合物の製造
【0180】
【化72】
【0181】
実施例1において式(I−1−5)で表される化合物を式(I−5−2)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって、式(I−5)で表される化合物を製造した。
MS(EI):m/z=400
(実施例6)式(I−6)で表される化合物の製造
【0182】
【化73】
【0183】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−6−1)で表される化合物7.0g、ヨウ化銅(I)0.2g、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル[XPhos]0.2g、酢酸パラジウム(II)0.2g、ジイソプロピルアミン70mL、N,N−ジメチルホルムアミド141mLを加えた。90℃で加熱しながら、式(I−6−2)で表される化合物3.7gをN,N−ジメチルホルムアミド11mLに溶解させた溶液を滴下し、90℃で5時間加熱撹拌した。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を5%塩酸、食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン)、活性炭処理及び再結晶(アセトン/メタノール)により精製を行うことによって、式(I−6−3)で表される化合物5.9gを得た。
【0184】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−6−3)で表される化合物5.9g、テトラヒドロフラン59mLを加えた。−50℃でブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.61mol/L)13mLを滴下し、−50℃で1時間撹拌した。炭酸ガスを発熱が起こらなくなるまで反応液に導入した。室温に昇温し、反応液を5%塩酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/酢酸エチル)及び再結晶(酢酸エチル/ヘキサン)により精製を行うことによって、式(I−6−4)で表される化合物5.3gを得た。
【0185】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−6−4)で表される化合物5.3g、1,2−ジクロロエタン53mL、ピリジン0.5mLを加えた。室温で塩化チオニル2.4gを滴下し、6時間加熱還流させた。ジクロロエタン及び過剰の塩化チオニルを減圧留去した。1,2−ジクロロエタン53mLを加えた。氷冷しながら、アンモニアガスを発熱が起こらなくなるまで反応液に導入した。室温に昇温し、反応液を5%塩酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、溶媒を減圧留去した。N,N−ジメチルホルムアミド53mLを加えた。氷冷しながら、オキシ塩化リン2.5gを滴下し、室温で1時間撹拌した。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行うことによって、式(I−6)で表される化合物3.5gを得た。
MS(EI):m/z=371
(実施例7)式(I−7)で表される化合物の製造
【0186】
【化74】
【0187】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−7−1)で表される化合物7.0g、ピリジン3.2g、ジクロロメタン70mLを加えた。氷冷しながら、トリフルオロメタンスルホン酸無水物10.5gを滴下し、室温で4時間撹拌した。反応液を5%炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、分液処理した。有機層を5%塩酸、水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン)により精製を行うことによって、式(I−7−2)で表される化合物9.2gを得た。
【0188】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−7−2)で表される化合物9.2g、酢酸カリウム8.0g、ビス(ピナコラト)ジボロン8.3g、ジメチルスルホキシド74mL、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物0.4gを加え、80℃で6時間加熱撹拌した。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(アルミナ、ジクロロメタン)により精製を行うことによって、式(I−7−3)で表される化合物6.9gを得た。
【0189】
反応容器に式(I−7−4)で表される化合物7.0g、ジクロロメタン70mLを加えた。氷冷しながら、N−ヨードスクシンイミド7.9gを少量ずつ加え、室温で5時間撹拌した。反応液を水に注ぎ、分液処理した。有機層を食塩水で洗浄し、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン)により精製を行うことによって、式(I−7−5)で表される化合物8.8gを得た。
【0190】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−7−5)で表される化合物8.8g、炭酸カリウム5.3g、式(I−7−3)で表される化合物8.1g、トルエン45mL、エタノール27mL、水27mL、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.4gを加え、6時間加熱還流させた。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行うことによって、式(I−7−6)で表される化合物7.3gを得た。
【0191】
窒素雰囲気下、反応容器に水素化リチウムアルミニウム5.4g、テトラヒドロフラン54mLを加えた。氷冷しながら、塩化アルミニウム(III)4.8gを少量ずつ加えた。氷冷しながら、式(I−7−6)で表される化合物7.3gをテトラヒドロフラン15mLに溶解させた溶液を滴下し、室温で5時間撹拌した。氷冷しながら、10%塩酸を滴下し、析出物を濾過により除去した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行うことによって、式(I−7−7)で表される化合物4.9gを得た。
【0192】
実施例1において式(I−1−4)で表される化合物を式(I−7−7)で表される化合物に、式(I−1−5)で表される化合物を式(I−7−8)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって、式(I−7)で表される化合物を製造した。
MS(EI):m/z=468
(実施例8)式(I−8)で表される化合物の製造
【0193】
【化75】
【0194】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−8−1)で表される化合物7.0g、ヨウ化銅(I)0.2g、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル[XPhos]0.2g、酢酸パラジウム(II)0.2g、ジイソプロピルアミン70mL、N,N−ジメチルホルムアミド141mLを加えた。90℃で加熱しながら、式(I−8−2)で表される化合物4.0gをN,N−ジメチルホルムアミド8mLに溶解させた溶液を滴下し、90℃で5時間加熱撹拌した。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を5%塩酸、食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン)、活性炭処理及び再結晶(アセトン/メタノール)により精製を行うことによって、式(I−8−3)で表される化合物5.6gを得た。
【0195】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−8−3)で表される化合物5.6g、酢酸カリウム2.8g、ビス(ピナコラト)ジボロン4.0g、ジメチルスルホキシド56mL、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物0.1gを加え、80℃で6時間加熱撹拌した。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(アルミナ、ジクロロメタン)により精製を行うことによって、式(I−8−4)で表される化合物5.0gを得た。
【0196】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−8−4)で表される化合物5.0g、炭酸カリウム2.4g、式(I−8−5)で表される化合物2.7g、トルエン40mL、エタノール20mL、水20mL、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.2gを加え、6時間加熱還流させた。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン)及び再結晶(ジクロロメタン/ヘキサン)により精製を行うことによって、式(I−8)で表される化合物3.8gを得た。
MS(EI):m/z=476
(実施例9)式(I−9)で表される化合物の製造
【0197】
【化76】
【0198】
実施例1において式(I−1−4)で表される化合物を式(I−9−1)で表される化合物に、式(I−1−5)で表される化合物を式(I−9−2)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって、式(I−9)で表される化合物を製造した。
MS(EI):m/z=472
(実施例10)式(I−10)で表される化合物の製造
【0199】
【化77】
【0200】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−10−1)で表される化合物7.0g、炭酸カリウム4.2g、式(I−10−2)で表される化合物4.1g、トルエン56mL、エタノール28mL、水28mL、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.4gを加え、6時間加熱還流させた。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン)及び再結晶(ジクロロメタン/メタノール)により精製を行うことによって、式(I−10−3)で表される化合物5.0gを得た。
【0201】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−10−3)で表される化合物5.0g、炭酸カリウム2.9g、式(I−10−4)で表される化合物2.7g、トルエン40mL、エタノール20mL、水20mL、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.3gを加え、6時間加熱還流させた。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ヘキサン)及び再結晶(トルエン/ヘキサン)により精製を行うことによって、式(I−10)で表される化合物4.0gを得た。
MS(EI):m/z=406
(実施例11)式(I−11)で表される化合物の製造
【0202】
【化78】
【0203】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−11−1)で表される化合物7.0g、ヨウ化銅(I)0.2g、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル[XPhos]0.2g、酢酸パラジウム(II)0.2g、ジイソプロピルアミン70mL、N,N−ジメチルホルムアミド140mLを加えた。90℃で加熱しながら、式(I−11−2)で表される化合物3.4gをN,N−ジメチルホルムアミド7mLに溶解させた溶液を滴下し、90℃で5時間加熱撹拌した。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を5%塩酸、水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ヘキサン)、活性炭処理及び再結晶(アセトン/エタノール)により精製を行うことによって、式(I−11−3)で表される化合物5.6gを得た。
【0204】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−11−3)で表される化合物5.6g、テトラヒドロフラン56mLを加えた。−60℃でsec−ブチルリチウム/シクロヘキサン、ヘキサン溶液(1.0mol/L)20mLを滴下し、−60℃で1時間撹拌した。−60℃でほう酸トリイソプロピル4.0gを滴下し、0℃まで昇温した。氷冷しながら、10%塩酸20mLを滴下し、室温で1時間撹拌した。水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(アルミナ、酢酸エチル)により精製を行うことによって、式(I−11−4)で表される化合物5.1gを得た。
【0205】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−11−4)で表される化合物5.1g、式(I−11−5)で表される化合物2.7g、炭酸カリウム3.0g、ジクロロビス[ジ−t−ブチル(p−ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)0.2g、トルエン40mL、エタノール20mL、水20mLを加え、6時間加熱還流させた。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ヘキサン)及び再結晶(トルエン/エタノール)により精製を行うことによって、式(I−11−6)で表される化合物4.9gを得た。
【0206】
実施例6において式(I−6−3)で表される化合物を式(I−11−6)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって、式(I−11)で表される化合物を製造した。
MS(EI):m/z=451
(実施例12)式(I−12)で表される化合物の製造
【0207】
【化79】
【0208】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−12−1)で表される化合物7.0g、酢酸カリウム8.6g、ビス(ピナコラト)ジボロン8.2g、ジメチルスルホキシド70mL、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物0.4gを加え、80℃で6時間加熱撹拌した。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(アルミナ、ジクロロメタン)により精製を行うことによって、式(I−12−2)で表される化合物6.7gを得た。
【0209】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−12−2)で表される化合物6.7g、炭酸カリウム4.9g、式(I−12−3)で表される化合物6.6g、トルエン54mL、エタノール27mL、水27mL、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.2gを加え、6時間加熱還流させた。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン/ヘキサン)により精製を行うことによって、式(I−12−4)で表される化合物5.9gを得た。
【0210】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−12−5)で表される化合物7.0g、ヨウ化銅(I)0.2g、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル[XPhos]0.2g、酢酸パラジウム(II)0.2g、ジイソプロピルアミン70mL、N,N−ジメチルホルムアミド141mLを加えた。90℃で加熱しながら、トリメチルシリルアセチレン3.1gを滴下し、90℃で5時間加熱撹拌した。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ヘキサン)及び活性炭処理により精製を行うことによって、式(I−12−6)で表される化合物5.9gを得た。
【0211】
反応容器に式(I−12−6)で表される化合物5.9g、メタノール118mL、炭酸カリウム5.4gを加え、室温で8時間撹拌した。反応液に水を加え、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ヘキサン)により精製を行うことによって、式(I−12−7)で表される化合物3.6gを得た。
【0212】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−12−4)で表される化合物4.6g、ヨウ化銅(I)0.1g、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル[XPhos]0.1g、酢酸パラジウム(II)0.1g、ジイソプロピルアミン37mL、N,N−ジメチルホルムアミド74mLを加えた。90℃で加熱しながら、式(I−12−7)で表される化合物3.6gをN,N−ジメチルホルムアミド7mLに溶解させた溶液を滴下し、90℃で5時間加熱撹拌した。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ヘキサン)、活性炭処理及び再結晶(トルエン/エタノール)により精製を行うことによって、式(I−12)で表される化合物4.8gを得た。
MS(EI):m/z=468
(実施例13)式(I−13)で表される化合物の製造
【0213】
【化80】
【0214】
実施例7において式(I−7−1)で表される化合物を式(I−13−1)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって、式(I−13−3)で表される化合物を製造した。
【0215】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−13−4)で表される化合物7.0g、式(I−13−3)で表される化合物7.0g、炭酸カリウム5.3g、ジクロロビス[ジ−t−ブチル(p−ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)0.2g、トルエン56mL、エタノール28mL、水28mLを加え、6時間加熱還流させた。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ヘキサン)及び再結晶(トルエン/エタノール)により精製を行うことによって、式(I−13)で表される化合物6.1gを得た。
MS(EI):m/z=342
(実施例14)式(I−14)で表される化合物の製造
【0216】
【化81】
【0217】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−14−1)で表される化合物7.0g、ヨウ化銅(I)0.2g、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル[XPhos]0.2g、酢酸パラジウム(II)0.2g、ジイソプロピルアミン70mL、N,N−ジメチルホルムアミド140mLを加えた。90℃で加熱しながら、式(I−14−2)で表される化合物4.0gをN,N−ジメチルホルムアミド8mLに溶解させた溶液を滴下し、90℃で5時間加熱撹拌した。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ヘキサン)、活性炭処理及び再結晶(トルエン/ヘキサン)により精製を行うことによって、式(I−14)で表される化合物6.0gを得た。
MS(EI):m/z=338
(実施例15)式(I−15)で表される化合物の製造
【0218】
【化82】
【0219】
実施例8において式(I−8−1)で表される化合物を式(I−15−1)で表される化合物に、式(I−8−2)で表される化合物を式(I−15−2)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって、式(I−15−3)で表される化合物を製造した。
【0220】
実施例14において式(I−14−1)で表される化合物を式(I−15−3)で表される化合物に、式(I−14−2)で表される化合物を式(I−15−4)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって、式(I−15)で表される化合物を製造した。
MS(EI):m/z=410
(実施例16)式(I−16)で表される化合物の製造
【0221】
【化83】
【0222】
実施例7において式(I−7−1)で表される化合物を式(I−16−1)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって、式(I−16−5)で表される化合物を製造した。
【0223】
実施例7において式(I−7−7)で表される化合物を式(I−16−5)で表される化合物に、式(I−7−8)で表される化合物を式(I−16−6)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって、式(I−16)で表される化合物を製造した。
MS(EI):m/z=502
(実施例17)式(I−17)で表される化合物の製造
【0224】
【化84】
【0225】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−17−1)で表される化合物5.0g、式(I−17−2)で表される化合物2.5g、炭酸カリウム2.6g、ジクロロビス[ジ−t−ブチル(p−ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)0.2g、トルエン50mL、エタノール25mL、水25mLを加え、6時間加熱還流させた。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ヘキサン)及び再結晶(トルエン/エタノール)により精製を行うことによって、式(I−17)で表される化合物4.2gを得た。
MS(EI):m/z=474
(実施例18)式(I−18)で表される化合物の製造
【0226】
【化85】
【0227】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−18−1)で表される化合物7.0g、式(I−18−2)で表される化合物4.2g、炭酸カリウム5.1g、N,N−ジメチルアセトアミド70mL、酢酸パラジウム(II)0.1gを加え120℃で5時間加熱撹拌した。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ヘキサン)により精製を行うことによって、式(I−18−3)で表される化合物6.1gを得た。
【0228】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−18−3)で表される化合物6.1g、炭酸カリウム4.2g、式(I−18−4)で表される化合物6.8g、トルエン68mL、エタノール34mL、水34mL、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.4gを加え、6時間加熱還流させた。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ヘプタン)及び再結晶(トルエン/エタノール)により精製を行うことによって、式(I−18−5)で表される化合物6.3gを得た。
【0229】
実施例6において式(I−6−1)で表される化合物を式(I−18−5)で表される化合物に、式(I−6−2)で表される化合物を式(I−18−6)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって、式(I−18)で表される化合物を製造した。
MS(EI):m/z=481
(実施例19)式(I−19)で表される化合物の製造
【0230】
【化86】
【0231】
実施例12において式(I−12−5)で表される化合物を式(I−19−1)で表される化合物に置き換えた以外は同様の方法によって、式(I−19−3)で表される化合物を製造した。
【0232】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−19−4)で表される化合物7.0g、炭酸カリウム4.2g、式(I−19−5)で表される化合物5.2g、トルエン56mL、エタノール28mL、水28mL、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド0.2gを加え、6時間加熱還流させた。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ヘキサン)及び再結晶(トルエン/エタノール)により精製を行うことによって、式(I−19−6)で表される化合物7.0gを得た。
【0233】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−19−6)で表される化合物7.0g、ヨウ化銅(I)0.1g、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル[XPhos]0.1g、酢酸パラジウム(II)0.1g、ジイソプロピルアミン37mL、N,N−ジメチルホルムアミド74mLを加えた。90℃で加熱しながら、式(I−19−3)で表される化合物3.3gをN,N−ジメチルホルムアミド7mLに溶解させた溶液を滴下し、90℃で5時間加熱撹拌した。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ヘキサン)、活性炭処理及び再結晶(トルエン/エタノール)により精製を行うことによって、式(I−19)で表される化合物6.1gを得た。
MS(EI):m/z=534
(実施例20)式(I−20)で表される化合物の製造
【0234】
【化87】
【0235】
窒素雰囲気下、反応容器に式(I−20−1)で表される化合物7.0g、式(I−20−2)で表される化合物7.0g、炭酸カリウム4.1g、ジクロロビス[ジ−t−ブチル(p−ジメチルアミノフェニル)ホスフィノ]パラジウム(II)0.2g、トルエン56mL、エタノール28mL、水28mLを加え、6時間加熱還流させた。反応液を水に注ぎ、トルエンで抽出した。有機層を水及び食塩水で順次洗浄した後、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、トルエン/ヘキサン)及び再結晶(トルエン/エタノール)により精製を行うことによって、式(I−20)で表される化合物8.1gを得た。
MS(EI):m/z=584
(実施例21及び比較例1)
実施例において液晶化合物の記載について以下の略号を用いる。
(環構造)
【0236】
【化88】
【0237】
(側鎖構造)
2− CH
3CH
2−
3− CH
3(CH
2)
2−
4− CH
3(CH
2)
3−
5− CH
3(CH
2)
4−
−2 −CH
2CH
3
−3 −(CH
2)
2CH
3
−4 −(CH
2)
3CH
3
−5 −(CH
2)
4CH
3
−Cl −Cl
(連結基)
− 単結合
−T− −C≡C−
下記化合物によって構成される母体液晶Nを調製した。
(母体液晶N)
2−Ph3−T−PhPh−3 20.0%
4−Ph3−T−PhPh−3 36.0%
3−Ph1Ph1Ph−Cl 10.0%
5−Ph1Ph1Ph−Cl 20.0%
5−CyPhPh1Ph−2 7.0%
5−CyPhPh1Ph−3 7.0%
母体液晶Nに対し、実施例1から実施例20に記載の式(I−1)から式(I−20)で表される化合物を添加し、評価対象の液晶組成物(M−1)から液晶組成物(M−20)を調製した。また、非特許文献1に記載の式(R−1)で表される化合物、特許文献1に記載の式(R−2)で表される化合物、特許文献2に記載の式(R−3)及び式(R−4)で表される化合物を添加し、比較対象の液晶組成物(RM−1)から液晶組成物(RM−4)を調製した。
【0238】
【化89】
【0239】
(液晶組成物(M−1))
母体液晶N 90.0%
式(I−1)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(M−2))
母体液晶N 90.0%
式(I−2)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(M−3))
母体液晶N 90.0%
式(I−3)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(M−4))
母体液晶N 90.0%
式(I−4)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(M−5))
母体液晶N 90.0%
式(I−5)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(M−6))
母体液晶N 90.0%
式(I−6)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(M−7))
母体液晶N 90.0%
式(I−7)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(M−8))
母体液晶N 90.0%
式(I−8)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(M−9))
母体液晶N 90.0%
式(I−9)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(M−10))
母体液晶N 90.0%
式(I−10)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(M−11))
母体液晶N 90.0%
式(I−11)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(M−12))
母体液晶N 90.0%
式(I−12)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(M−13))
母体液晶N 90.0%
式(I−13)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(M−14))
母体液晶N 90.0%
式(I−14)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(M−15))
母体液晶N 90.0%
式(I−15)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(M−16))
母体液晶N 90.0%
式(I−16)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(M−17))
母体液晶N 90.0%
式(I−17)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(M−18))
母体液晶N 90.0%
式(I−18)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(M−19))
母体液晶N 90.0%
式(I−19)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(M−20))
母体液晶N 90.0%
式(I−20)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(RM−1))
母体液晶N 90.0%
式(R−1)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(RM−2))
母体液晶N 90.0%
式(R−2)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(RM−3))
母体液晶N 90.0%
式(R−3)で表される化合物 10.0%
(液晶組成物(RM−4))
母体液晶N 90.0%
式(R−4)で表される化合物 10.0%
得られた液晶組成物の誘電率異方性Δε、屈折率異方性Δnを下表に示す。また、評価対象の各化合物について、保存安定性の評価を行った。保存安定性は、得られた各液晶組成物2mLをアルゴン雰囲気下、ガラス製バイアルに密閉し、10℃で4週間保管した後の状態を目視により評価した。評価結果を下表に示す。
【0240】
【表1】
【0241】
【表2】
【0242】
【表3】
【0243】
上記の結果から、本発明の化合物は液晶組成物へ添加した場合に析出が起こりにくく、液晶組成物への相溶性が高いことがわかる。
【0244】
評価対象の各液晶組成物を厚さ8.5μmのTNセルに封入した。得られた各液晶セルに対して、周波数100Hzで30Vの矩形電圧を50℃で50時間印加した。各液晶セルについて電圧保持率を測定し、電圧印加前後における電圧保持率の差(ΔV
HR)を算出した。ΔV
HRの値が小さいほど、液晶セルの電圧保持率の低下が少ないことを意味する。電圧保持率は、周波数60Hz、印加電圧1V、333Kにおいて測定した。結果を下表に示す。
【0245】
【表4】
【0246】
【表5】
【0247】
【表6】
【0248】
上記の結果から、本発明の化合物を添加した液晶組成物を使用した素子は電圧保持率の低下が起こりにくいことがわかる。
【0249】
次に、得られた各液晶組成物の高周波数領域での特性を評価した。測定には、伝送遅延方式Cut backタイプストリップライン法 比誘電率・誘電正接測定器(KEYCOM社製)を使用した。ここで、各物性値を下記のように定義する。
【0250】
ε
⊥ =(3ε
average−ε
‖)/2
tanδ
⊥ =(3ε
averagetanδ
average−ε
‖tanδ
‖)/2ε
⊥
変調能(τ) =(ε
‖−ε
⊥)/ε
‖
材料特性(ηε)=τ/(max(tanδ
‖,tanδ
⊥))
母体液晶Nの19GHz、20℃における物性値は下記の通りであった。
【0251】
tanδ
⊥ =0.014
tanδ
‖ =0.003
変調能(τ) =0.25
材料特性(ηε)=17.5
得られた各液晶組成物についても同様に19GHz、20℃における物性値を測定した。その結果、本発明の式(I−1)から式(I−12)及び式(I−16)から式(I−20)で表される化合物を含有する液晶組成物(M−1)から(M−20)について、材料特性(ηε)がいずれも25以上を示すことがわかった。
【0252】
以上の結果から、本発明の化合物は、大きな屈折率異方性Δnを有し、液晶組成物への相溶性が高く、液晶組成物に添加し素子を作製した場合に、素子の電圧保持率を低下させにくいことから、高周波移相器、フェーズドアレイアンテナ、画像認識装置、測距装置、液晶表示素子、液晶レンズ又は立体画像表示用複屈折レンズ等の素子用の材料として有用である。