【実施例】
【0037】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
[実験例1]
(褥瘡動物モデルの作製)
9週齢のICRマウス(SLCジャパン)を用いて、カテゴリーIの褥瘡動物モデルを作製した。実験は東京大学動物実験委員会によって承認されたプロトコールにしたがって行った。
【0039】
まず、マウスを1週間飼育して馴化させた。続いて、麻酔下で除毛クリームを使用して背部の毛を除去した。これにより、毛包が皮下まで伸びている領域の毛の成長期を誘導させた。毛の成長期には、より深い皮膚の層から分泌されたタンパク質が、経毛包経路を通じて表皮に移動するため、スキンブロッティングで捕捉することができる。
【0040】
続いて、毛の除去によって生じ得る炎症の影響を排除するために、実験開始まで1週間飼育して回復させた。続いて、麻酔下で背部の皮膚を剃り、圧力印加装置を使用して133.322kPa(1000mmHg)の圧力を印加した。
図1は、圧力を印加している様子を示す写真である。
【0041】
6時間圧力を印加したマウスの群、1時間圧力を印加したマウスの群を作製した。また、圧力を印加しなかったマウスを対照群とした。
【0042】
[実験例2]
(褥瘡動物モデルの肉眼による評価)
各群のマウスについて、マウスへの圧力の印加の前、圧力の印加が終了した直後、30分、60分、90分、120分、24時間及び48時間後に、発赤又は紫斑の肉眼による評価を行った。
【0043】
図2は、各群のマウスの皮膚を肉眼で観察した結果を示す代表的な写真である。マウスへの圧力の印加の前、圧力の印加が終了した直後、30分、60分、90分、120分、24時間及び48時間後の結果を示す。スケールバーは5mmを示す。6時間圧力を印加したマウスの群はn=6であり、それ以外の群はn=5であった。
【0044】
その結果、1時間圧力を印加したマウスの群では、圧力の印加が終了した直後から60分後までの間、発赤が観察された。一方、6時間圧力を印加したマウスの群では、圧力の印加が終了した直後から少なくとも120分後までの間、発赤が観察された。更に、圧力の印加が終了してから48時間後に、褥瘡様の紫斑が認められた。
【0045】
以上の結果は、1時間圧力を印加したマウスが消退可能な発赤動物モデルとして妥当であることを示す。また、6時間圧力を印加したマウスがカテゴリーIの褥瘡動物モデルとして妥当であることを示す。
【0046】
[実験例3]
(褥瘡動物モデルの組織学的な解析)
マウスへの圧力の印加が終了した60分後及び48時間後に皮膚組織を採取し、組織の損傷を評価するための組織学的な解析を行った。
【0047】
まず、採取した皮膚組織を4℃で一晩4%パラホルムアルデヒド溶液中で固定した。続いて、エタノール及びキシレンを用いて脱水し、パラフィン包埋した。続いて、厚さ3.5μmの組織切片を作製し、ヘマトキシリン及びエオシン染色した。
【0048】
図3(a)〜(f)は各群のマウスの皮膚組織の組織学的な解析結果を示す代表的な写真である。
図3(a)及び(b)は対照群のマウスの結果である。
図3(a)は対照群以外の群のマウスへの圧力の印加が終了してから60分後に採取した皮膚組織の結果を示す。
図3(b)は対照群以外の群のマウスへの圧力の印加が終了してから48時間後に採取した皮膚組織の結果を示す。
図3(a)及び(b)中、(1)の領域の拡大写真を(1’)に示し、(2)の領域の拡大写真を(2’)に示す。スケールバーは200μmを示す。
【0049】
図3(c)及び(d)は1時間圧力を印加したマウスの群の結果である。
図3(c)はマウスへの圧力の印加が終了してから60分後に採取した皮膚組織の結果を示す。
図3(d)はマウスへの圧力の印加が終了してから48時間後に採取した皮膚組織の結果を示す。
図3(c)及び(d)中、(1)の領域の拡大写真を(1’)に示し、(2)の領域の拡大写真を(2’)に示す。スケールバーは200μmを示す。黒矢印は血栓様の赤血球の凝集を示す。
【0050】
図3(e)及び(f)は6時間圧力を印加したマウスの群の結果である。
図3(e)はマウスへの圧力の印加が終了してから60分後に採取した皮膚組織の結果を示す。
図3(f)はマウスへの圧力の印加が終了してから48時間後に採取した皮膚組織の結果を示す。
図3(e)及び(f)中、(1)の領域の拡大写真を(1’)に示し、(2)の領域の拡大写真を(2’)に示す。スケールバーは200μmを示す。黒矢印は血栓様の赤血球の凝集を示す。白矢印は炎症により壊死した細胞の破片に浸潤した炎症細胞を示す。灰色の矢印は出血を示す。
【0051】
その結果、
図3(a)及び(b)に示すように、対照群のマウスの組織切片は正常な組織構造を示していた。また、
図3(e)及び(f)に示すように、6時間圧力を印加したマウスの群の組織切片は、1時間圧力を印加したマウスの群の組織切片で認められた症状に加えて、炎症細胞の高頻度の浸潤が認められた。更に、マウスへの圧力の印加が終了してから48時間後には、炎症により壊死した細胞の破片及び出血が認められた。
【0052】
以上の結果は、1時間圧力を印加したマウスが消退可能な発赤の動物モデルとして妥当であり、6時間圧力を印加したマウスがカテゴリーIの褥瘡の動物モデルとして妥当であることを更に支持するものである。
【0053】
[実験例4]
(褥瘡動物モデルの免疫組織化学的な解析)
作製したカテゴリーIの褥瘡動物モデルが、褥瘡の形成に関連する、阻血性障害、再灌流傷害、リンパ系機能障害及び機械的変形の4つの経路による組織の損傷を有しているか否かを検討するために、免疫組織化学的解析を行った。試料としては、実験例3と同様にして作製した各群のマウスの組織切片を用いた。
【0054】
具体的には、阻血性障害が生じたか否かを検討するために、hypoxia inducible factor(HIF)−1αタンパク質を検出した。また、再灌流傷害が生じたか否かを検討するために、8−hydroxy−2’−deoxyguanosine(8−OHdG)を検出した。また、リンパ系機能障害が生じたか否かを検討するために、lymphatic vessel endothelial hyaluronan receptor(LYVE)−1タンパク質を検出した。また、線維芽細胞の形態の変化を観察することにより、細胞の機械的変形を評価した。
【0055】
圧力が印加された組織で阻血性障害が生じた場合、低酸素状態が誘導され、HIF−1αの発現上昇及びそれに続く活性化されたHIF−1αタンパク質の核への移動が生じる。そこで、HIF−1αを阻血性障害のマーカーに用いた。
【0056】
また、発明者らの以前の検討において、虚血状態を形成したマウスと比較して、虚血及び再灌流傷害を形成したマウスでは、8−OHdGの上昇が認められた。そこで、本実験例においても再灌流障害が生じた指標として8−OHdGを使用した。
【0057】
また、発明者らの以前の検討において、圧力を印加したマウスの皮膚ではLYVE−1陽性のリンパ管の減少及びリンパ排液の障害が認められた。そこで、本実験例においてもリンパ系機能障害の指標としてLYVE−1タンパク質を使用した。
【0058】
8−OHdG以外の免疫染色においては、組織切片を0.3%過酸化水素水/20%メタノール溶液中で30分間静置することにより、組織切片中の内在性のペルオキシダーゼ活性を消失させた。
【0059】
また、HIF−1α染色においては、各組織切片を10mMクエン酸ナトリウム溶液中、100℃で20分間煮沸することにより抗原を賦活化した。
【0060】
LYVE−1染色においては、0.05%Tween20(pH6.0)を添加した10mMクエン酸ナトリウム溶液中で、100℃で20分間煮沸することが必要であった。
【0061】
また、8−OHdG染色においては、10mMクエン酸ナトリウム溶液(pH6.0)中で121℃、15分間オートクレーブすることが必要であった。
【0062】
免疫染色に用いた1次抗体は次の通りであった。抗HIF−1α抗体(1:100希釈、Novus Biologicals社)、抗8−OHdG抗体(1:100希釈、JaICA社)、抗LYVE−1抗体(1:100希釈、ReliaTech社)。
【0063】
また、HIF−1α及び8−OHdG染色における2次抗体には、ビオチン標識抗ウサギIgG抗体(1:1000希釈、Jackson Immuno Research社)を使用した。
【0064】
また、LYVE−1染色における2次抗体には、ペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(1:1000希釈、Jackson Immuno Research社)を使用した。
【0065】
《HIF−1αタンパク質の発現の検討》
まず、阻血性障害を評価するためにHIF−1αタンパク質の発現を検討した。
図4はHIF−1αタンパク質の発現を免疫染色により検出した代表的な結果を示す写真である。
図4中、黒矢印は、HIF−1α陽性の細胞を示す。また、白矢印はHIF−1αタンパク質の核への移行を示す。
【0066】
その結果、対照群のマウスの組織では、HIF−1α陽性の細胞はほとんど観察されなかった。これに対し、1時間圧力を印加したマウスの群及び6時間圧力を印加したマウスの群の組織では、マウスへの圧力の印加が終了してから60分後に、皮下脂肪及び筋組織の細胞質中にHIF−1αタンパク質が検出された。また、6時間圧力を印加したマウスの群の組織では、マウスへの圧力の印加が終了してから48時間後に、HIF−1αタンパク質の核への移行が観察された。
【0067】
《8−OHdGの存在の検討》
続いて、再灌流障害を評価するために8−OHdGの存在を検出した。
図5は8−OHdGを免疫染色により検出した代表的な結果を示す写真である。
図5中、黒矢印は、8−OHdG陽性の細胞を示す。
【0068】
その結果、対照群のマウスの組織では、8−OHdG陽性の細胞はほとんど観察されなかった。これに対し、1時間圧力を印加したマウスの群及び6時間圧力を印加したマウスの群の組織では、マウスへの圧力の印加が終了してから60分後に、8−OHdGが豊富に存在する線維芽細胞が観察された。
【0069】
更に、6時間圧力を印加したマウスの群の組織では、マウスへの圧力の印加が終了してから48時間後においても、表皮組織及び脂肪組織において8−OHdG陽性の細胞が観察された。
【0070】
《LYVE−1タンパク質の発現の検討》
続いて、リンパ系機能障害を評価するためにLYVE−1タンパク質を染色した。
図6はLYVE−1タンパク質を免疫染色により検出した代表的な結果を示す写真である。
図6中、黒矢印は、LYVE−1タンパク質の存在を示す。
【0071】
その結果、対照群のマウスの組織では、真皮上層にLYVE−1陽性の管が観察された。これに対し、1時間圧力を印加したマウスの群の組織では、マウスへの圧力の印加が終了してから60分後に、リンパ管の拡張が頻繁に観察された。しかしながら、マウスへの圧力の印加が終了してから48時間後には、リンパ管の拡張は対照群のマウスにおけるものと同程度となった。
【0072】
一方、6時間圧力を印加したマウスの群の組織では、マウスへの圧力の印加が終了してから60分後にはLYVE−1陽性の管がほとんど観察されなかった。しかしながら、マウスへの圧力の印加が終了してから48時間後には、リンパ管の拡張が明確に観察された。
【0073】
続いて、線維芽細胞の形態の変化を観察することにより、細胞の機械的変形を評価した。
図7は、組織切片をヘマトキシリン及びエオシンで染色した代表的な結果を示す写真である。
図7中、灰色の矢印は膨張した線維芽細胞を示す。
【0074】
その結果、対照群のマウスの組織では、ほとんど全ての線維芽細胞が典型的な紡錘状の形状をしていた。これに対し、1時間圧力を印加したマウスの群の組織では線維芽細胞の膨張が認められ、6時間圧力を印加したマウスの群の組織では線維芽細胞の膨張が更に高頻度に観察された。
【0075】
以上の結果は、1時間圧力を印加したマウスが消退可能な発赤の動物モデルとして妥当であり、6時間圧力を印加したマウスがカテゴリーIの褥瘡の動物モデルとして妥当であることを更に支持するものである。
【0076】
[実験例5]
(褥瘡動物モデルにおける褥瘡発生予測マーカーの発現の免疫組織化学的な解析)
続いて、発明者らは、実験例3と同様にして作製した各群のマウスの組織切片を用いて、褥瘡発生予測マーカーの発現を免疫染色により検討した。褥瘡発生予測マーカーとして、PAI−1、IL−1α、VEGF−C及びHSP90αタンパク質の発現を検討した。
【0077】
まず、各組織切片を0.3%過酸化水素水/20%メタノール溶液中で30分間静置することにより、組織切片中の内在性のペルオキシダーゼ活性を消失させた。
【0078】
PAI−1及びIL−1α染色においては、各組織切片を10mMクエン酸ナトリウム溶液中、100℃で20分間煮沸することにより抗原を賦活化した。
【0079】
また、VEGF−C及びHSP90α染色においては、10mMクエン酸ナトリウム溶液(pH6.0)中で121℃、15分間オートクレーブすることが必要であった。
【0080】
免疫染色に用いた1次抗体は次の通りであった。抗PAI−1抗体(1:100希釈、Novus Biologicals社)、抗IL−1α抗体(1:200希釈、ProteinTech Group社)、抗VEGF−C抗体(1:100希釈、サンタクルーズ社)及び抗HSP90α抗体(1:200希釈、Lab Vision社)。
【0081】
また、VEGF−C染色における2次抗体には、ビオチン標識抗ウサギIgG抗体(1:1000希釈、Jackson Immuno Research社)を使用した。
【0082】
また、PAI−1、IL−1α及びHSP90α染色における2次抗体には、ペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(1:1000希釈、Jackson Immuno Research社)を使用した。
【0083】
《PAI−1タンパク質の発現の検討》
図8はPAI−1タンパク質の発現を検出した代表的な結果を示す写真である。
図8中、黒矢印は、PAI−1陽性の細胞を示す。
【0084】
その結果、6時間圧力を印加したマウスの群の組織において、マウスへの圧力の印加が終了してから48時間後に、炎症により壊死した細胞の破片に浸潤した炎症細胞中にPAI−1タンパク質の強い発現が認められた。
【0085】
PAI−1タンパク質の発現は、1時間圧力を印加したマウスの群及び6時間圧力を印加したマウスの群の組織切片において、炎症細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞等の様々な種類の細胞に認められた。
【0086】
《IL−1αタンパク質の発現の検討》
図9はIL−1αタンパク質の発現を検出した代表的な結果を示す写真である。
図9中、黒矢印は、IL−1α陽性の細胞を示す。
【0087】
その結果、6時間圧力を印加したマウスの群の組織において、マウスへの圧力の印加が終了してから48時間後に、炎症により壊死した細胞の破片に浸潤した炎症細胞中にIL−1αタンパク質の強い発現が認められた。
【0088】
IL−1αの発現は、1時間圧力を印加したマウスの群及び6時間圧力を印加したマウスの群の、マウスへの圧力の印加が終了してから60分後の組織切片において、表皮細胞及び血管内皮細胞に認められた。
【0089】
《VEGF−Cタンパク質の発現の検討》
図10はVEGF−Cタンパク質の発現を検出した代表的な結果を示す写真である。
図10中、黒矢印は、VEGF−C陽性の細胞を示す。
【0090】
その結果、6時間圧力を印加したマウスの群の組織において、炎症により壊死した細胞の破片に浸潤した炎症細胞中、表皮中及び毛包中にVEGF−Cタンパク質の強い発現が認められた。1時間圧力を印加したマウスの群の組織においては、毛包中のみにVEGF−Cタンパク質の発現が認められた。
【0091】
《HSP90αタンパク質の発現の検討》
図11はHSP90αタンパク質の発現を検出した代表的な結果を示す写真である。その結果、いずれのマウスの群の組織においても、HSP90αタンパク質の発現は認められなかった。
【0092】
以上の結果から、PAI−1、IL−1α又はVEGF−Cタンパク質の発現を検出することにより、褥瘡発生を予測できることが明らかとなった。
【0093】
[実験例6]
(褥瘡動物モデルにおける褥瘡発生予測マーカーの発現のスキンブロッティングによる解析)
スキンブロッティングにより、非侵襲的に褥瘡発生予測マーカーを検出できるか否かを検討した。褥瘡発生予測マーカーとして、PAI−1、IL−1α、VEGF−C及びHSP90αタンパク質の発現を検討した。
【0094】
まず、ニトロセルロース膜(1×1cm、バイオラッド社)を50μLの生理食塩水に浸し、マウスの皮膚の圧力を印加した領域に10分間付着させた。この結果、表皮組織、真皮組織及び皮下組織から漏出した可溶性タンパク質が経皮的、経毛包的な経路を通じてニトロセルロース膜に捕捉された。回収したニトロセルロース膜は解析するまで4℃で保存した。
【0095】
続いて、ニトロセルロース膜を免疫染色した。まず、ニトロセルロース膜を0.3%過酸化水素水/20%メタノール溶液中でインキュベートして内在性のペルオキシダーゼ活性を消失させた。続いて、ブロッキング溶液(型式「Bloching One」、ナカライテスク)でブロッキングした。
【0096】
続いて、各ニトロセルロース膜を4つに切断し、各断片を抗PAI−1抗体(1:200希釈、Novus Biologicals社)、抗IL−1α抗体(1:200希釈、ProteinTech Group社)、抗VEGF−C抗体(1:200希釈、サンタクルーズ社)及び抗HSP90α抗体(1:200希釈、Lab Vision社)でそれぞれ染色した。
【0097】
2次抗体には、ペルオキシダーゼ標識抗ウサギIgG抗体(1:1000希釈、Jackson Immuno Research社)を使用した。
【0098】
検出には化学発光基質(型式「Luminata Forte」、メルクミリポア社)を使用し、化学発光検出装置(型式「LumiCube」、Liponics社)を使用した。
【0099】
スキンブロッティングの解析は、ニトロセルロース膜の周縁を除く膜全体の化学発光のシグナル強度の平均値を算出して行った。また、化学発光のシグナル強度の相対値(以下、「相対的なシグナル強度の平均値」という場合がある。)は、試験結果を対照マウスの結果で除算することにより求めた。統計学的な解析はTurkey’s testを用いて行った。0.05未満のp値を統計学的に有意であると判断した。
【0100】
《PAI−1タンパク質の発現の検討》
図12はPAI−1タンパク質の発現を検討した結果を示すグラフである。その結果、PAI−1タンパク質の発現は、いずれの時間においても有意な差を示さなかった。
【0101】
《IL−1αタンパク質の発現の検討》
図13はIL−1αタンパク質の発現を検討した結果を示すグラフである。
図13中、「†」は対照群対6時間圧力を印加したマウスの群でp値が0.05未満であることを示し、「‡」は1時間圧力を印加したマウスの群対6時間圧力を印加したマウスの群でp値が0.05未満であることを示す。
【0102】
その結果、IL−1αタンパク質の発現は、6時間圧力を印加したマウスの群の、マウスへの圧力の印加が終了してから90分後、120分後及び24時間後の試料において、対照群と比較して有意に高いことが明らかとなった。p値は、それぞれ0.046、0.049及び0.011であった。
【0103】
更に、IL−1αタンパク質の発現は、6時間圧力を印加したマウスの群の、マウスへの圧力の印加が終了してから120分後及び24時間後の試料において、
1時間圧力を印加したマウスの群と比較して有意に高いことが明らかとなった。p値は、それぞれ0.016及び0.018であった。
【0104】
《VEGF−Cタンパク質の発現の検討》
図14はVEGF−Cタンパク質の発現を検討した結果を示すグラフである。
図14中、「†」は対照群対6時間圧力を印加したマウスの群でp値が0.05未満であることを示し、「‡」は1時間圧力を印加したマウスの群対6時間圧力を印加したマウスの群でp値が0.05未満であることを示す。
【0105】
その結果、VEGF−Cタンパク質の発現は、6時間圧力を印加したマウスの群の、マウスへの圧力の印加が終了してから30分後の試料において、対照群及び1時間圧力を印加したマウスの群と比較して有意に高いことが明らかとなった。p値は、それぞれ0.008及び0.013であった。
【0106】
《HSP90αタンパク質の発現の検討》
図15はHSP90αタンパク質の発現を検討した結果を示すグラフである。
図15中、「‡」は1時間圧力を印加したマウスの群対6時間圧力を印加したマウスの群でp値が0.05未満であることを示す。
【0107】
その結果、HSP90αタンパク質の発現は、1時間圧力を印加したマウスの群の、マウスへの圧力の印加が終了してから60分後及び120分後の試料において、6時間圧力を印加したマウスの群と比較して有意に高いことが明らかとなった。p値は、それぞれ0.047及び0.041であった。
【0108】
以上の結果から、IL−1α、VEGF−C又はHSP90αタンパク質の発現をスキンブロッティングで検出することにより、非侵襲的に褥瘡発生を予測できることが明らかとなった。