(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エッチングにより前記金属配線が形成された後に、前記金属配線の長手方向から観察した、前記金属配線と前記エッチングマスクとからなる前記積層体の前駆体の断面において、
前記仮想中心線から、前記エッチングマスクの表面までの、前記金属配線の短手方向と同方向の最大距離をL3とする場合に、
L3がL2よりも大きい、請求項6〜8のいずれか1項に記載の積層体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
≪積層体≫
以下、
図1を参照しつつ、積層体について説明する。積層体は、発光ユニット(
図1中不図示)上に設けられる。ここで、積層体が発光ユニット上に設けられるとは、発光ユニットに接して積層体が設けられる態様には限定されず、発光ユニット上に、1以上の種々の機能層を介して、積層体が設けられる態様も含む。
【0014】
発光ユニットの典型例としては、棒状の光源と、導光板とからなる発光ユニットが挙げられる。また、発光ユニットとしては、面光源も好ましく用いられる。面光源の好ましい例としては、有機又は無機のLEDを備える面光源が挙げられる。
【0015】
積層体において、遮光性を有する金属配線18と、着色剤を含む着色樹脂層とが、互いに接するように積層されている。着色樹脂層は、通常、着色剤を含む感光性樹脂組成物を用いて金属配線18を被覆するように形成される被覆樹脂層17である。
金属配線18や、着色樹脂層(被覆樹脂層17)の材質については、積層体の製造方法について詳細に後述する。
【0016】
積層体において、金属配線18の長手方向から観察した積層体の断面において、
金属配線18の短手方向中央部において、金属配線18の厚さ方向に延びる仮想中心線31からの、金属配線18の天面30の端部までの、金属配線18の短手方向の距離をL1とし、
仮想中心線31から、着色樹脂層(被覆樹脂層17)の表面までの、金属配線18の短手方向と同方向の最大距離をL2とする場合に、
L2/L1が0.95以上1.05以下である。L2/L1の値は、0.98以上1.02以下がこのましい。
【0017】
L2/L1の値が上記の範囲内である積層体を備える基板を、画像表示装置に適用した場合に、金属配線18の表面が十分に被覆されているため、金属配線18により反射される光線の量を低減でき、画像表示装置の使用者に金属配線18が視認されにくい。
また、L2/L1の値が上記の範囲内である積層体を備える基板では、金属配線18に隣接するピクセル部分が着色樹脂層(被覆樹脂層17)によってほとんど被覆されていない。このため、画像の表示に利用される光線が十分に基板を透過するとともに、基板10を透過する光線についての、着色樹脂層に起因する混色が起こりにくい。
このため、L2/L1の値が上記の範囲内である積層体を備える基板を、画像表示装置に適用することにより、高画質の画像を表示することができる。
【0018】
L1の値と、L2の値とは、それぞれ、積層体の断面を顕微鏡観察することにより測定することができる。配線18中の任意の1箇所の断面における、L1の値と、L2の値とを代表値として用いることができる。
L2/L1の値は、配線18中の任意の1箇所の断面における値が上記の範囲内であればよく、任意の3箇所における値の平均値が上記の範囲内であるのが好ましく、任意の5箇所の断面における値の平均値が上記の範囲内であるのがより好ましく、任意の10箇所の断面における値の平均値が上記の範囲内であるのが特に好ましい。
【0019】
また、金属配線18の天面30全域の面積をS1とし、金属配線18と着色樹脂層(被覆樹脂層17)との接合面の面積をS2とする場合に、
S2/S1が0.95以上1.05以下であるのが好ましく、0.98以上1.02以下であるのがより好ましい。
S2/S1が0.95以上1.05以下であることにより、L2/L1が0.95以上1.05以下である場合と同様の効果が得られる。
【0020】
このS1とS2は、金属配線18の断面とその奥行とを観察することで決定することができる。この観察は、金属顕微鏡やSEMを用いて行えばよい。
【0021】
着色樹脂層(被覆樹脂層17)の光学濃度は、0.10/μm以上であるのが好ましく、0.20/μm以上2.0/μm以下であることがより好ましく、0.30/μm以上1.0/μm以下であることがさらに好ましい。
着色樹脂層(被覆樹脂層17)の光学濃度が上記の範囲内であると、積層体を備える基板を画像表示装置に適用した場合に、画像表示装置に表示される画像において金属配線18を視認しにくい。
【0022】
金属配線18の厚さ方向において、着色樹脂層(被覆樹脂層17)側を上方とし、金属配線18側を下方とする場合に、積層体を上方から見たときの、積層体表面の可視光領域の反射率の平均値が10%以下であるのが好ましく、8%以下であるのより好ましく、6%以下であるのが特に好ましい。
かかる場合、積層体を備える基板を画像表示装置に適用した場合に、画像表示装置に表示される画像において金属配線18を視認しにくい。
【0023】
着色樹脂層(被覆樹脂層17)は、公知の着色した樹脂成分により構成することができるが、(A)ノボラック樹脂を含む組成物の硬化体であるの好ましい。(A)ノボラック樹脂を含む組成物を用いて、当該組成物の硬化体として着色樹脂層(被覆樹脂層17)を形成する場合、形状が良好な着色樹脂層の形成が容易であり、且つ、上記のL2/L1の値やS2/S1の値が所望する範囲内である積層体を得やすい。
(A)ノボラック樹脂を含む組成物としては、(A)ノボラック樹脂と、(B)キノンジアジド基含有化合物と、(C)着色剤とを含むポジ型感光性樹脂組成物が好ましい。(A)ノボラック樹脂と、(B)キノンジアジド基含有化合物と、(C)着色剤とを含むポジ型感光性樹脂組成物の詳細については、積層体の製造方法に関して詳細に後述する。
【0024】
以上説明した積層体を備える基板を画像表示装置に適用する場合、金属配線が使用者に視認されにくく、且つ着色樹脂層による光線の透過の阻害や、混色の影響が小さいことにより高画質の画像を表示できる画像表示装置を製造できる。
【0025】
≪積層体の製造方法≫
以下、前述の積層体の製造方法の好ましい例について説明する。
前述の積層体を製造するに際して、発光ユニットを備える基板上に積層体を形成してもよいし、基板上に積層体を製造する間の任意の時点で、基板上に発光ユニットを設けてもよい。
以下、発光ユニットを備える基板上に積層体を形成する方法について、「第1の製造方法」とし、基板上に積層体を製造する間の任意の時点で、基板上に発光ユニットを設ける方法について、「第2の製造方法」とする。
【0026】
<第1の製造方法>
第1の製造方法は、遮光性を有する金属配線と、着色剤を含む着色樹脂層とを含む積層体の製造方法である。
第1の製造方法は、
発光ユニットを備え、透光性を有する基板上の遮光性を有する金属膜上に、着色剤を含む感光性樹脂組成物を塗布して、塗布膜を形成する工程、
塗布膜を、位置選択的に露光する工程、
露光された塗布膜を、現像して、エッチングマスクを形成する工程、
エッチングマスクを表面に備える金属膜をエッチングして、エッチングマスクで被覆された金属配線を形成する工程、及び、
エッチングマスクをベークして、金属配線を被覆する着色樹脂層を形成する工程、
を含む。
【0027】
第1の製造方法では、上記の着色樹脂層を形成する工程を行うことにより、金属配線の長手方向から観察した積層体の断面において、
金属配線の短手方向中央部において、金属配線の厚さ方向に延びる仮想中心線からの、金属配線天面の端部までの、金属配線の短手方向の距離をL1とし、
仮想中心線から、着色樹脂層の表面までの、金属配線の短手方向と同方向の最大距離をL2とする場合に、
L2/L1を0.95以上1.05以下とする。
【0028】
以下、発光ユニットを備え、透光性を有する基板上の遮光性を有する金属膜上に、着色剤を含む感光性樹脂組成物を塗布して、塗布膜を形成する工程を「塗布膜形成工程」と記す。
塗布膜を、位置選択的に露光する工程を「露光工程」と記す。
露光された塗布膜を、現像して、エッチングマスクを形成する工程を「エッチングマスク形成工程」と記す。
エッチングマスクを表面に備える金属膜をエッチングして、エッチングマスクで被覆された金属配線を形成する工程を「金属配線形成工程」と記す。
エッチングマスクをベークして、金属配線を被覆する着色樹脂層を形成する工程を「着色樹脂層形成工程」と記す。
【0029】
以下、第1の製造方法に含まれる各工程について、
図3を参照しつつ説明する。
なお、
図3では、基板10として、カラーフィルタ13と、カラーフィルタ13上に、透明層14を介して形成された金属膜11とを備える基板を用いる場合について説明する。
【0030】
<塗布膜形成工程>
塗布膜形成工程では、
図3(a)及び
図3(b)に示されるように、金属膜11を備える基板10において、金属膜11上に前述の感光性樹脂組成物を塗布して塗布膜12が形成される。
基板10は透光性を有する。透光性を有する基板10は、画像を表示するための光線を透過させる。
また、基板10は発光ユニット(不図示)を備える。発光ユニットは、基板の金属膜11が設けられている面と反対側の面から、金属膜11が設けられている面に向かう方向に光線を発する。発光ユニットの詳細については積層体について前述した通りである。
発光ユニットの典型例としては、棒状の光源と、導光板とからなる発光ユニットが挙げられる。かかる発光ユニットでは、導光板の側面に棒状の光源が設けられる。導光板は、棒状の光源から導光板の面方向に沿って入射得する光を拡散させることにより、導光板の主面から、基板10の金属膜11が設けられている面に向けて光を発する。
また、発光ユニットとしては、面光源も好ましく用いられる。面光源の好ましい例としては、有機又は無機のLEDを備える面光源が挙げられる。
さらに、金属膜は遮光性を有する。
以下、基板と、塗布方法と、感光性樹脂組成物とについて説明する。
【0031】
[基板]
基板10としては、前述の発光ユニット(不図示)を備え、透光性の層の上に金属配線18の製造に使用される遮光性を有する金属膜11を備える基板であれば特に制限なく使用することができる。
基板10の典型例としては、カラーフィルタ13と、カラーフィルタ13上に、直接又は透明層14を介して形成された金属膜11とを備える基板が挙げられる。
また、TFTを備える面の上に、直接、又はカラーフィルタ13や透明層14等の1層以上の機能層を介して金属膜11を備える基板も、好ましく用いられる。
なお、
図3(a)〜
図3(f)には、透明層14を備える基板10を用いる態様について示す。金属膜11、カラーフィルタ13、及び透明層14以外の基板10の構成については図示を割愛する。
【0032】
基板10中の金属膜11の材質や製造方法等は特に限定されず、従来より知られる種々の材質及び種々の製造方法から適宜選択される。適度な導電性を発現させる観点から、この金属膜11は、銀(Ag)や銅(Cu)、又はこれらの合金を含むことが好ましい。
なお、
図3においては、単層の金属膜が示されているが、所望の特性を発現させる観点から、モリブデン(Mo)やモリブデン合金等の複数種の金属が積層された膜を基板10中の金属膜11とすることができる。
ほか、金属膜11を構成する金属としては、チタン(Ti)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、タングステン(W)、金(Au)等を採用することができる。
【0033】
基板10中のカラーフィルタ13の材質や製造方法等は特に限定されず、従来より知られる種々の材質及び種々の製造方法から適宜選択される。カラーフィルタ13は、通常、ブラックマトリックス(
図3中不図示)により区画された領域内に、RGB等の透光性の着色膜(
図3中不図示)を備える。
【0034】
図4に、本実施形態で製造される基板の液晶表示装置用途の一例の断面図を示す。
図4に示される液晶表示装置用基板1は基板10を加工して得られるものであり、アレイ基板23、絶縁層22、液晶層20、透明樹脂層19、カラーフィルタ13、透明層14、金属配線18、被覆樹脂層17(着色樹脂層)がこの順で積層されている。かかる基板は、例えば、オンセルタッチパネルに好適に使用される。
カラーフィルタ13は、ブラックマトリックスBMと、赤色着色膜R、緑色着色膜G、及び青色着色膜Bとを備える。
また、絶縁層22上面には、カラーフィルタ13の赤色着色膜R、緑色着色膜G、及び青色着色膜Bの位置に対応する位置に画素電極21が形成されている。
また、ブラックマトリックスBMと、被覆樹脂層17と、金属配線18とは基板の平面視において、これらが重なるように構成されている。
かかる液晶表示装置用基板1を、一般的に液晶表示装置に備えられる部材と組み合わせ、適宜配線することにより、液晶表示装置が製造される。
【0035】
なお、
図4に示される液晶表示装置用基板1は、液晶注入後の液晶セルであって、その構造中に液晶層20を含む。この場合、用いられる液晶化合物の耐熱性の問題から、後述する着色樹脂層形成工程において、被覆樹脂層17を備える基板10を高温でベークできないという問題が生じうる。
このような点を考慮し、本実施形態においては、後述する着色樹脂層形成工程におけるベーク温度を80℃以上150℃以下のような低い温度で行うことが好ましい。このような温度条件においても、被覆樹脂層17を良好に形成することが可能である。
【0036】
[塗布方法]
感光性樹脂組成物を、金属膜11上に塗布して塗布膜12が形成される。塗布膜12の膜厚は特に限定されないが、0.1μm以上10μm以下が好ましい。
感光性樹脂組成物の塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、ロールコート法、スクリーン印刷法、アプリケーター法等の方法を採用することができる。塗布膜12に対してはプリベークを行うのが好ましい。プリベーク条件は、感光層中の各成分の種類、配合割合、塗布膜厚等によって異なるが、通常は、温度は、70℃以上150℃以下で、好ましくは80℃以上140℃以下であり、時間は、2分以上60分以下程度である。
【0037】
[感光性樹脂組成物]
感光性樹脂組成物は、最終的に着色樹脂層を形成するために用いられるため、着色剤を含む。感光性樹脂組成物は、前述の所定の要件を満たす積層体を製造できれば、特に限定されない。感光性樹脂組成物は、露光により現像液に対して不溶化するネガ型組成物であってもよく、露光により現像液に対して可溶化するポジ型組成物であってもよい。
前述のL2/L1の比率を、所定の範囲内に調整しやすいことから、感光性樹脂組成物としては、(A)ノボラック樹脂と、(B)キノンジアジド基含有化合物と、(C)着色剤とを含むポジ型感光性樹脂組成物が好ましい。
【0038】
なお、以下において、ポジ型感光性樹脂組成物を「ポジ型組成物」とも記す。
以下、(A)ノボラック樹脂と、(B)キノンジアジド基含有化合物と、(C)着色剤と、その他の任意成分とについて説明する。
【0039】
((A)ノボラック樹脂)
(A)ノボラック樹脂としては、従来からポジ型組成物に配合されている種々のノボラック樹脂を用いることができる。(A)ノボラック樹脂としては、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」という。)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られるものが好ましい。
【0040】
・フェノール類
フェノール類としては、例えば、フェノール;o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール類;2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール類;o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール類;2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、o−ブチルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、並びにp−tert−ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;2,3,5−トリメチルフェノール、及び3,4,5−トリメチルフェノール等のトリアルキルフェノール類;レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、及びフロログリシノール等の多価フェノール類;アルキルレゾルシン、アルキルカテコール、及びアルキルハイドロキノン等のアルキル多価フェノール類(いずれのアルキル基も炭素数1以上4以下である。);α−ナフトール;β−ナフトール;ヒドロキシジフェニル;並びにビスフェノールA等が挙げられる。これらのフェノール類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0041】
これらのフェノール類の中でも、m−クレゾール及びp−クレゾールが好ましく、m−クレゾールとp−クレゾールとを併用することがより好ましい。この場合、両者の配合割合を調整することにより、ポジ型組成物としての感度や、形成される被覆樹脂層17の耐熱性等の諸特性を調節することができる。m−クレゾールとp−クレゾールの配合割合は特に限定されるものではないが、m−クレゾール/p−クレゾールの質量比で、3/7以上8/2以下が好ましい。m−クレゾールの割合が3/7以上であると、ポジ型組成物としての感度を向上させることができ、8/2以下であると、着色樹脂層(被覆樹脂層17)の耐熱性を向上させることができる。
【0042】
・アルデヒド類
アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、及びアセトアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0043】
・酸触媒
酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、及び亜リン酸等の無機酸類;蟻酸、シュウ酸、酢酸、ジエチル硫酸、及びパラトルエンスルホン酸等の有機酸類;並びに酢酸亜鉛等の金属塩類等が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
・分子量
(A)ノボラック樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw;以下、単に「重量平均分子量」ともいう。)は、ポジ型組成物の現像性、解像性等の観点から、1000以上が好ましく、2000以上がより好ましく、3000以上がさらに好ましく、また、50000以下が好ましく、40000以下がより好ましく、30000以下がさらに好ましく、20000以下がさらにより好ましい。
【0045】
(A)ノボラック樹脂の分散度(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)は、1以上20以下が好ましく、2以上17以下がより好ましく、3以上15以下が特に好ましく、4以上12以下がさらに好ましい。
(A)ノボラック樹脂の分散度が1以上20以下であることによって、金属配線を、ポジ型組成物を用いて後述の方法により形成される着色樹脂層(被覆樹脂層17)によって均一に被覆でき、且つ金属配線が形成されていない箇所を着色樹脂層(被覆樹脂層17)で被覆されにくくすることができる。
(A)ノボラック樹脂の分散度は、本発明による効果を特に得やすいことから、2以上17以下が好ましく、3以上15以下がより好ましく、4以上12以下が特に好ましい。
また、より良好なフロー性の点から、(A)ノボラック樹脂の分散度が5超20以下であるのも好ましい。
なお、本明細書において、重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnは、GPC(ゲル透過クロマトグラフィ)測定における、ポリスチレン換算の相対値として定義することができる。
また、(A)ノボラック樹脂基を複数種用いる場合、これら複数種の(A)ノボラック樹脂を組み合わせた状態で、GPC(ゲル透過クロマトグラフィ)測定を行い、得られたチャートから分散度を決定すればよい。
【0046】
(A)ノボラック樹脂としては、ポリスチレン換算の重量平均分子量が異なるものを少なくとも2種組み合わせて用いることができる。重量平均分子量が異なるものを大小組み合わせて用いることにより、ポジ型組成物に現像性、解像性、成膜性等の多面的な優れた特性を付与することができる。
(A)ノボラック樹脂として、重量平均分子量が異なる樹脂の組み合わせとしては、特に限定されないが、重量平均分子量が1000以上10000以下である低重量平均分子量側の樹脂と、重量平均分子量が5000以上50000以下である高重量平均分子量側の樹脂との組み合わせが好ましく、重量平均分子量が2000以上8000以下である低重量平均分子量側の樹脂と、重量平均分子量が8000以上40000以下である高重量平均分子量側の樹脂との組み合わせがより好ましく、重量平均分子量が3000以上7000以下である低重量平均分子量側の樹脂と、重量平均分子量が10000以上20000以下である高重量平均分子量側の樹脂との組み合わせがさらに好ましい。
【0047】
(A)ノボラック樹脂として、重量平均分子量が異なる樹脂を組み合わせて用いる場合、それぞれの含有率は特に限定されないが、(A)ノボラック樹脂の全量における低重量平均分子量側の樹脂の含有率は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、一方で、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
【0048】
ポジ型組成物の固形分全体における(A)ノボラック樹脂の含有率は、40質量%以上が好ましく、45質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましい。上記範囲内とすることにより、ポジ型組成物に含まれる他の成分を適度にバインドしながら、金属成分に対する親液性を発揮でき、結果、ポジ型組成物を用いて金属配線18との密着性にも優れた着色樹脂層(被覆樹脂層17)を形成することができる。
【0049】
ポジ型組成物は、(A)ノボラック樹脂とともに、(A)ノボラック樹脂以外のその他の樹脂を含んでいてもよい。その他の樹脂の種類は、ポジ型組成物の感度や解像性等のフォトリソグラフィー特性を過度に損なわない限りにおいて特に限定されない。
その他の樹脂の好適な例としては、(A1)アルカリ可溶性アクリル樹脂が挙げられる。かかる(A1)アルカリ可溶性アクリル樹脂は、ポジ型組成物を用いて形成される着色樹脂層(被覆樹脂層17)において可塑剤として作用し、着色樹脂層におけるクラックの発生を抑制する。
(A1)アルカリ可溶性アクリル樹脂としては、一般に、可塑剤としてポジ型感組成物に配合されているものを使用することができる。
【0050】
(A1)アルカリ可溶性アクリル樹脂としては、より具体的には、エーテル結合を有する重合性化合物に基づく構成単位を30モル%以上90モル%以下と、カルボキシ基を有する重合性化合物に基づく構成単位を2モル%以上50モル%以下と、を含有する樹脂が挙げられる。
【0051】
エーテル結合を有する重合性化合物としては、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等のエーテル結合とエステル結合とを有する(メタ)アクリル酸誘導体等のラジカル重合性化合物が挙げられる。これらの中でも、2−メトキシエチルアクリレート及びメトキシトリエチレングリコールアクリレートを用いることが好ましい。これらの化合物は単独で用いてもよく、二種以上混合して用いてもよい。
【0052】
カルボキシ基を有する重合性化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、及びクロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、及びイタコン酸等のジカルボン酸;並びに2−メタクリロイルオキシエチルコハク酸、2−メタクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、及び2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸等のカルボキシ基とエステル結合とを有するメタクリル酸誘導体等のラジカル重合性化合物が挙げられる。これらの中でも、アクリル酸、及びメタクリル酸を用いることが好ましい。これらの化合物は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0053】
(A1)アルカリ可溶性アクリル樹脂中におけるエーテル結合を有する重合性化合物に由来する単位の含有量は、30モル%以上90モル%以下が好ましく、40モル%以上80モル%以下がより好ましい。かかる範囲内の量のエーテル結合を有する重合性化合物に由来する単位を含む(A1)アルカリ可溶性アクリル樹脂を可塑剤としてポジ型組成物に配合することにより、ポジ型組成物を用いて形成される着色樹脂層(被覆樹脂層17)におけるクラックの発生を抑制しつつ均質な着色樹脂層(被覆樹脂層17)を形成しやすい。
【0054】
(A1)アルカリ可溶性アクリル樹脂におけるカルボキシ基を有する重合性化合物に基づく構成単位の含有量は、2モル%以上50モル%以下が好ましく、5モル%以上40モル%以下がより好ましい。かかる範囲内の量のカルボキシ基を有する重合性化合物に基づく構成単位を含む(A1)アルカリ可溶性アクリル樹脂を可塑剤としてポジ型組成物に配合することにより、ポジ型組成物の現像性を良好にすることができる。
【0055】
(A1)アルカリ可溶性アクリル樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、10000以上800000以下が好ましく、30000以上500000以下がより好ましい。
また、(A)ノボラック樹脂と、(A1)アルカリ可溶性アクリル樹脂とを組み合わせて用いる場合、(A)ノボラック樹脂と、(A1)アルカリ可溶性アクリル樹脂との混合物の分散度は、1以上20以下が好ましく、2以上17以下がより好ましく、3以上15以下がさらに好ましく、4以上12以下が特に好ましい。
また、より良好なフロー性の点から、(A)ノボラック樹脂と、(A1)アルカリ可溶性アクリル樹脂との混合物の分散度が5超20以下であるのも好ましい。
【0056】
(A1)アルカリ可溶性アクリル樹脂は、物理的・化学的特性を適度にコントロールする目的で、他のラジカル重合性化合物に基づく構成単位を含んでいてもよい。ここで、「他のラジカル重合性化合物」とは、前術の重合性化合物以外のラジカル重合性化合物の意味である。
【0057】
このような他のラジカル重合性化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、及びブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類;フェニル(メタ)アクリレート、及びベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アリールエステル類;マレイン酸ジエチル、及びフマル酸ジブチル等のジカルボン酸ジエステル類;スチレン、及びα−メチルスチレン等のビニル基含有芳香族化合物;酢酸ビニル等のビニル基含有脂肪族化合物;ブタジエン及びイソプレン等の共役ジオレフィン類;アクリロニトリル及びメタクリロニトリル等のニトリル基含有重合性化合物;塩化ビニル及び塩化ビニリデン等の塩素含有重合性化合物;並びにアクリルアミド及びメタクリルアミド等のアミド結合含有重合性化合物等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。これらの化合物の中でも、特に、n−ブチルアクリレート、ベンジルメタクリレート、及びメチルメタクリレート等を用いることが好ましい。(A1)アルカリ可溶性アクリル樹脂中の他のラジカル重合性化合物に基づく構成単位の含有量は50質量%未満が好ましく、40質量%未満がより好ましい。
【0058】
(A1)アルカリ可溶性アクリル樹脂を合成する際に用いられる重合溶媒としては、例えばエタノール及びジエチレングリコール等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、及びジエチレングリコールエチルメチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等の多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン及びメチルイソブチルケトン等のケトン類;並びに酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類等を用いることができる。これらの重合溶媒の中でも、特に、多価アルコールのアルキルエーテル類及び多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類を用いることが好ましい。
【0059】
(A1)アルカリ可溶性アクリル樹脂を合成する際に用いられる重合触媒としては、通常のラジカル重合開始剤が使用でき、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;並びにベンゾイルパーオキシド、及びジ−tert−ブチルパーオキシド等の有機過酸化物等を使用することができる。
【0060】
ポジ型組成物について、(A1)アルカリ可溶性アクリル樹脂を含ませる場合の配合量は、(A)ノボラック樹脂100質量部に対し、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
【0061】
((B)キノンジアジド基含有化合物)
ポジ型組成物は、(B)キノンジアジド基含有化合物を含有する。(B)キノンジアジド基含有化合物としては、従来から種々のポジ型組成物に配合されているキノンジアジド基を有する化合物から、適宜選択することができる。
(B)キノンジアジド基含有化合物の好適な具体例としては、2,3,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,4’−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,6−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4−トリヒドロキシ−2’−メチルベンゾフェノン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,6−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4,5−ペンタヒドロキシベンゾフェノン、2,3’,4,4’,5’,6−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,及び4,4’,5’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等のポリヒドロキシベンゾフェノン類;ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−{1−[4−〔2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール、及び3,3’−ジメチル−{1−[4−〔2−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェニル]エチリデン}ビスフェノール等のビス[(ポリ)ヒドロキシフェニル]アルカン類;トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、及びビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン等のトリス(ヒドロキシフェニル)メタン類又はそのメチル置換体;ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、及びビス(5−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−4−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン等のビス(シクロヘキシルヒドロキシフェニル)(ヒドロキシフェニル)メタン類又はそのメチル置換体;フェノール、p−メトキシフェノール、ジメチルフェノール、ヒドロキノン、ナフトール、ピロカテコール、ピロガロール、ピロガロールモノメチルエーテル、ピロガロール−1,3−ジメチルエーテル、没食子酸、アニリン、p−アミノジフェニルアミン、及び4,4’−ジアミノベンゾフェノン等の水酸基又はアミノ基を有する化合物;並びにノボラック、ピロガロール−アセトン樹脂、及びp−ヒドロキシスチレンのホモポリマー又はこれと共重合し得るモノマーとの共重合体等と、キノンジアジド基含有スルホン酸との完全エステル化合物、部分エステル化合物、アミド化物、又は部分アミド化物等が挙げられる。これらの(B)キノンジアジド基含有化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
(B)キノンジアジド基含有化合物として使用される上記キノンジアジド基含有スルホン酸としては、特に限定されないが、例えば、ナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸、ナフトキノン−1,2−ジアジド−4−スルホン酸等のナフトキノンジアジドスルホン酸;オルトアントラキノンジアジドスルホン酸等が挙げられ、ナフトキノンジアジドスルホン酸が好ましい。キノンジアジド基含有スルホン酸、好ましくはナフトキノンジアジドスルホン酸の上記エステル化合物は、ポジ型組成物を溶液として使用する際に通常用いられる溶剤によく溶解し、且つ(A)ノボラック樹脂との相溶性が良好である。これらの化合物を(B)キノンジアジド基含有化合物として、ポジ型組成物に配合すると、高感度のポジ型(B)組成物を得やすい。
【0063】
(B)キノンジアジド基含有化合物としての上記エステル化合物の製造方法としては、特に限定されず、例えば、キノンジアジド基含有スルホン酸を、例えば、ナフトキノン−1,2−ジアジド−スルホニルクロリド等のスルホニルクロリドとして添加し、ジオキサンのような溶媒中において、トリエタノールアミン、炭酸アルカリ、炭酸水素アルカリ等のアルカリの存在下で縮合させ、完全エステル化又は部分エステル化する方法等が挙げられる。
【0064】
(B)キノンジアジド基含有化合物の含有量は、ポジ型組成物の感度の点から、(A)ノボラック樹脂100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、100質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましい。
【0065】
((C)着色剤)
ポジ型組成物を用いて後述する方法で形成される着色樹脂層(被覆樹脂層17)の光学濃度は、例えば0.10/μm以上である。このような光学濃度を達成する観点から、ポジ型組成物は、(C)着色剤を含む。
(C)着色剤としては、特に限定されないが、例えば、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists社発行)において、ピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを用いるのが好ましい。
【0066】
好適に使用できる黄色顔料の例としては、C.I.ピグメントイエロー1(以下、「C.I.ピグメントイエロー」は同様であり、番号のみを記載する。)、3、11、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、55、60、61、65、71、73,74、81、83、86、93、95、97、98、99、100、101、104、106、108、109、110、113、114、116、117、119、120、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、166、167、168、175、180、及び185が挙げられる。
【0067】
好適に使用できる橙色顔料の例としては、C.I.ピグメントオレンジ1(以下、「C.I.ピグメントオレンジ」は同様であり、番号のみを記載する。)、5、13、14、16、17、24、34、36、38、40、43、46、49、51、55、59、61、63、64、71、及び73が挙げられる。
【0068】
好適に使用できる紫色顔料の例としては、C.I.ピグメントバイオレット1(以下、「C.I.ピグメントバイオレット」は同様であり、番号のみを記載する。)、19、23、29、30、32、36、37、38、39、40、及び50が挙げられる。
【0069】
好適に使用できる赤色顔料の例としては、C.I.ピグメントレッド1(以下、「C.I.ピグメントレッド」は同様であり、番号のみを記載する。)2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、53:1、57、57:1、57:2、58:2、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、81:1、83、88、90:1、97、101、102、104、105、106、108、112、113、114、122、123、144、146、149、150、151、155、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、180、185、187、188、190、192、193、194、202、206、207、208、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、242、243、245、254、255、264、及び265が挙げられる。
【0070】
好適に使用できる青色顔料の例としては、C.I.ピグメントブルー1(以下、「C.I.ピグメントブルー」は同様であり、番号のみを記載する。)、2、15、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、及び66が挙げられる。
【0071】
好適に使用できる、上記の他の色相の顔料の例としては、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37等の緑色顔料、C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントブラウン26、C.I.ピグメントブラウン28等の茶色顔料、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック7等の黒色顔料が挙げられる。
【0072】
また、ポジ型組成物は、(C)着色剤として遮光剤を含むのが好ましい。(C)着色剤が遮光剤である場合、遮光剤としては黒色顔料や紫顔料を用いることが好ましい。黒色顔料や紫顔料の例としては、カーボンブラック、ペリレン系顔料、ラクタム系顔料、チタンブラック、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩又は金属炭酸塩等、有機物、無機物を問わず各種の顔料を挙げることができる。
【0073】
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができる。また、樹脂被覆カーボンブラックを使用してもよい。
【0074】
カーボンブラックとしては、酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックも好ましい。カーボンブラックに導入される酸性基は、ブレンステッドの定義による酸性を示す官能基である。酸性基の具体例としては、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。カーボンブラックに導入された酸性基は、塩を形成していてもよい。酸性基と塩を形成するカチオンは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カチオンの例としては、種々の金属イオン、含窒素化合物のカチオン、アンモニウムイオン等が挙げられ、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等のアルカリ金属イオンや、アンモニウムイオンが好ましい。
【0075】
以上説明した酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックの中では、カルボン酸基、カルボン酸塩基、スルホン酸基、及びスルホン酸塩基からなる群より選択される1種以上の官能基を有するカーボンブラックが好ましい。
【0076】
カーボンブラックに酸性基を導入する方法は特に限定されない。酸性基を導入する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
1)濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸等を用いる直接置換法や、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩等を用いる間接置換法により、カーボンブラックにスルホン酸基を導入する方法。
2)アミノ基と酸性基とを有する有機化合物と、カーボンブラックとをジアゾカップリングさせる方法。
3)ハロゲン原子と酸性基とを有する有機化合物と、水酸基を有するカーボンブラックとをウィリアムソンのエーテル化法により反応させる方法。
4)ハロカルボニル基と保護基により保護された酸性基とを有する有機化合物と、水酸基を有するカーボンブラックとを反応させる方法。
5)ハロカルボニル基と保護基により保護された酸性基とを有する有機化合物を用いて、カーボンブラックに対してフリーデルクラフツ反応を行った後、脱保護する方法。
【0077】
これらの方法の中では、酸性基の導入処理が、容易且つ安全であることから、方法2)が好ましい。方法2)で使用されるアミノ基と酸性基とを有する有機化合物としては、芳香族基にアミノ基と酸性基とが結合した化合物が好ましい。このような化合物の例としては、スルファニル酸のようなアミノベンゼンスルホン酸や、4−アミノ安息香酸のようなアミノ安息香酸が挙げられる。
【0078】
カーボンブラックに導入される酸性基のモル数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カーボンブラックに導入される酸性基のモル数は、カーボンブラック100gに対して、1mmmol以上200mmol以下が好ましく、5mmol以上100mmol以下がより好ましい。
【0079】
酸性基を導入されたカーボンブラックは、樹脂による被覆処理を施されていてもよい。樹脂により被覆されたカーボンブラックを含む感光性樹脂組成物を用いる場合、遮光性に優れ、表面反射率が低い遮光性の着色樹脂層(被覆樹脂層17)を形成しやすい。
カーボンブラックの被覆に使用できる樹脂の例としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、キシレン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、グリプタル樹脂、エポキシ樹脂、アルキルベンゼン樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンオキサイド、ポリスルフォン、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド、ポリエーテルスルフォポリフェニレンスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。カーボンブラックに対する樹脂の被覆量は、カーボンブラックの質量と樹脂の質量の合計に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましい。
【0080】
また、遮光剤としてはペリレン系顔料も好ましい。ペリレン系顔料の具体例としては、下記式(c−1)で表されるペリレン系顔料、下記式(c−2)で表されるペリレン系顔料、及び下記式(c−3)で表されるペリレン系顔料が挙げられる。市販品では、BASF社製の製品名K0084、及びK0086や、ピグメントブラック21、30、31、32、33、及び34等を、ペリレン系顔料として好ましく用いることができる。
【0081】
【化1】
式(c−1)中、R
c1及びR
c2は、それぞれ独立に炭素原子数1以上3以下のアルキレン基を表し、R
c3及びR
c4は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、メトキシ基、又はアセチル基を表す。
【0082】
【化2】
式(c−2)中、R
c5及びR
c6は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上7以下のアルキレン基を表す。
【0083】
【化3】
式(c−3)中、R
c7及びR
c8は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上22以下のアルキル基であり、N,O、S、又はPのヘテロ原子を含んでいてもよい。R
c7及びR
c8がアルキル基である場合、当該アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
【0084】
上記の式(c−1)で表される化合物、式(c−2)で表される化合物、及び式(e−3)で表される化合物は、例えば、特開昭62−1753号公報、特公昭63−26784号公報に記載の方法を用いて合成することができる。すなわち、ペリレン−3,5,9,10−テトラカルボン酸又はその二無水物とアミン類とを原料とし、水又は有機溶媒中で加熱反応を行う。そして、得られた粗製物を硫酸中で再沈殿させるか、又は、水、有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒中で再結晶させることによって目的物を得ることができる。
【0085】
ポジ型組成物中においてペリレン系顔料を良好に分散させるためには、ペリレン系顔料の平均粒子径は10nm以上1000nm以下であるのが好ましい。
【0086】
また、遮光剤としては、ラクタム系顔料を含ませることもできる。ラクタム系顔料としては、例えば、下記式(c−4)で表される化合物が挙げられる。
【0088】
式(c−4)中、X
cは二重結合を示し、幾何異性体としてそれぞれ独立にE体又はZ体であり、R
c9は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、ニトロ基、メトキシ基、臭素原子、塩素原子、フッ素原子、カルボキシ基、又はスルホ基を示し、R
c10は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はフェニル基を示し、R
c11は、各々独立に、水素原子、メチル基、又は塩素原子を示す。
式(c−4)で表される化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
R
c9は、式(c−4)で表される化合物の製造が容易である点から、ジヒドロインドロン環の6位に結合するのが好ましく、R
c11はジヒドロインドロン環の4位に結合するのが好ましい。同様の観点から、R
c9、R
c10、及びR
c11は、好ましくは水素原子である。
式(c−4)で表される化合物は、幾何異性体としてEE体、ZZ体、EZ体を有するが、これらのいずれかの単一の化合物であってもよいし、これらの幾何異性体の混合物であってもよい。
式(c−4)で表される化合物は、例えば、国際公開第2000/24736号,国際公開第2010/081624号に記載された方法により製造することができる。
【0089】
ポジ型組成物中においてラクタム系顔料を良好に分散させるためには、ラクタム系顔料の平均粒子径は10nm以上1000nm以下であるのが好ましい。
【0090】
さらに、銀錫(AgSn)合金を主成分とする微粒子(以下、「AgSn合金微粒子」という。)も遮光剤として好ましく用いられる。このAgSn合金微粒子は、AgSn合金が主成分であればよく、他の金属成分として、例えば、Ni、Pd、Au等が含まれていてもよい。
このAgSn合金微粒子の平均粒子径は、1nm以上300nm以下が好ましい。
【0091】
AgSn合金は、化学式AgxSnにて表した場合、化学的に安定したAgSn合金が得られるxの範囲は1≦x≦10であり、化学的安定性と黒色度とが同時に得られるxの範囲は3≦x≦4である。
ここで、上記xの範囲でAgSn合金中のAgの質量比を求めると、
x=1の場合、 Ag/AgSn=0.4762
x=3の場合、 3・Ag/Ag3Sn=0.7317
x=4の場合、 4・Ag/Ag4Sn=0.7843
x=10の場合、10・Ag/Ag10Sn=0.9008
となる。
従って、このAgSn合金は、Agを47.6質量%以上90質量%以下含有した場合に化学的に安定なものとなり、Agを73.17質量%以上78.43質量%以下含有した場合にAg量に対し効果的に化学的安定性と黒色度とを得ることができる。
【0092】
このAgSn合金微粒子は、通常の微粒子合成法を用いて作製することができる。微粒子合成法としては、気相反応法、噴霧熱分解法、アトマイズ法、液相反応法、凍結乾燥法、水熱合成法等が挙げられる。
【0093】
AgSn合金微粒子は絶縁性の高いものであるが、さらに絶縁性を高めるため、表面を絶縁膜で覆うようにしても構わない。このような絶縁膜の材料としては、金属酸化物又は有機高分子化合物が好適である。
金属酸化物としては、絶縁性を有する金属酸化物、例えば、酸化ケイ素(シリカ)、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、酸化イットリウム(イットリア)、酸化チタン(チタニア)等が好適に用いられる。
また、有機高分子化合物としては、絶縁性を有する樹脂、例えば、ポリイミド、ポリエーテル、ポリアクリレート、ポリアミン化合物等が好適に用いられる。
【0094】
絶縁膜の膜厚は、AgSn合金微粒子の表面の絶縁性を十分に高めるためには1nm以上100nm以下の厚さが好ましく、より好ましくは5nm以上50nm以下である。
絶縁膜は、表面改質技術あるいは表面のコーティング技術により容易に形成することができる。特に、テトラエトキシシラン、アルミニウムトリエトキシド等のアルコキシドを用いれば、比較的低温で膜厚の均一な絶縁膜を形成することができるので好ましい。
【0095】
遮光剤としては、上述のペリレン系顔料、ラクタム系顔料、AgSn合金微粒子単独でも用いてもよいし、これらを組み合わせて用いてもよい。
その他、遮光剤は、色調の調整の目的等で、上記の黒色顔料や紫顔料とともに、赤、青、緑、黄等の色相の色素を含んでいてもよい。黒色顔料や紫顔料の他の色相の色素は、公知の色素から適宜選択することができる。例えば、黒色顔料や紫顔料の他の色相の色素としては、上記の種々の顔料を用いることができる。黒色顔料や紫顔料以外の他の色相の色素の使用量は、遮光剤の全質量に対して、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
【0096】
上記の(C)着色剤をポジ型組成物において均一に分散させるために、さらに分散剤を使用してもよい。このような分散剤としては、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系の高分子分散剤を用いることが好ましい。特に、(C)着色剤として、カーボンブラックを用いる場合には、分散剤としてアクリル樹脂系の分散剤を用いることが好ましい。
なお、分散剤の種類や表示装置の製造条件、使用条件によっては、分散剤に起因する揮発成分が表示装置に悪影響を及ぼす可能性があるため、(C)着色剤が、分散剤を用いることなく分散処理されるのも好ましい。
【0097】
また、無機顔料と有機顔料はそれぞれ単独又は2種以上併用してもよいが、併用する場合には、無機顔料と有機顔料との総量100質量部に対して、有機顔料を10質量部以上80質量部以下の範囲で用いることが好ましく、20質量部以上40質量部以下の範囲で用いることがより好ましい。
【0098】
なお、ポジ型組成物において、(C)着色剤として顔料以外にも染料を用いることができる。この染料は公知の材料のなかから適宜選択すればよい。
ポジ型組成物に適用可能な染料としては、例えば、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、シアニン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、フタロシアニン染料等を挙げることができる。
また、これら染料については、レーキ化(造塩化)することで有機溶媒等に分散させ、これを(C)着色剤として用いることができる。
これらの染料以外にも、例えば、特開2013−225132号公報、特開2014−178477号公報、特開2013−137543号公報、特開2011−38085号公報、特開2014−197206号公報等に記載の染料等も好ましく用いることができる。
これら染料もまた、前述の顔料(例えば、ペリレン系顔料、ラクタム系顔料、AgSn合金微粒子等)と組み合わせて使用することもできる。
【0099】
ポジ型組成物における(C)着色剤の使用量は、特に限定されない。例えば、後述する着色樹脂層形成工程でベークされた後に、光学濃度が0.10/μm以上である着色樹脂層(被覆樹脂層17)を形成できる量とすることができる。
このポジ型組成物における(C)着色剤の使用量は、例えば、(A)ノボラック樹脂100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましく、また、60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、45質量部以下がさらに好ましく、40質量部以下がさらにより好ましい。
また、ポジ型組成物を用いて後述の方法により形成される着色樹脂層(被覆樹脂層17)の光学濃度は0.20/μm以上2.0/μm以下であることがより好ましく、0.30/μm以上1.0/μm以下であることがさらに好ましい。
【0100】
(C)着色剤は分散剤の存在下又は不存在下に適当な濃度で分散させた分散液とした後、ポジ型組成物に添加することが好ましい。
【0101】
(架橋剤)
ポジ型組成物は、架橋剤を含有していてもよい。架橋剤は、(A)ノボラック樹脂を架橋させることができる化合物の中から適宜選択することができるが、例えば、メラミン化合物;ヘキサメチレンテトラミン、尿素誘導体等のアミン系架橋剤;エポキシ化合物を用いることができる。ポジ型組成物が、このような架橋剤を含有することにより、耐水性、耐熱性、及び耐溶剤性に優れる着色樹脂層(被覆樹脂層17)を形成することができる。
【0102】
メラミン化合物としては、メラミンから誘導され得る化学構造を有する化合物であって、(A)ノボラック樹脂に対して架橋剤として作用する化合物を用いることができ、例えば、下記式(I)で表される化合物を用いることができる。
【0103】
【化5】
(式中、R
1〜R
6はそれぞれ独立に水素原子又は−CH
2−O−R
7で表される基を示し、R
7は水素原子又は炭素原子数1以上10以下のアルキル基であり、R
1〜R
6の少なくとも1つは−CH
2−O−R
7で表される基である。)
【0104】
上記式(I)において、−CH
2−O−R
7で表される基は、R
1〜R
6のうち、2個以上存在していることが好ましい。
R
7で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基等の炭素原子数1以上6以下のアルキル基がより好ましい。
【0105】
上記式(I)で表されるメラミン化合物としては、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサブチロールメラミン及び部分メチロール化メラミン並びにこれらのアルキル化体;テトラメチロールベンゾグアナミン及び部分メチロール化ベンゾグアナミン並びにこれらのアルキル化;等が挙げられる。
【0106】
エポキシ化合物としては、エポキシ基を有する化合物であって、(A)ノボラック樹脂に対して架橋剤として作用する化合物を用いることができる。エポキシ化合物としては、1分子中に2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物が好ましい。尚、本明細書において、後述のシランカップリング剤のうち、その構造内にエポキシ基を有するものは、架橋剤として使用されるエポキシ化合物にはあたらないものとする。
【0107】
エポキシ化合物としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、多官能脂環式エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエーテル等が好ましい。
【0108】
上記架橋剤は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
架橋剤の含有量は、(A)ノボラック樹脂100質量部に対して、3質量部以上とすることができ、10質量部以上とすることができ、15質量部以上とすることができる。また、架橋剤の含有量は、(A)ノボラック樹脂100質量部に対して、40質量部以下とすることができ、30質量部以下とすることができ、25質量部以下とすることができる。架橋剤の含有量が上記下限値以上であると、樹脂の架橋が十分となりやすく、上記上限値以下であると、ポジ型組成物の貯蔵安定性が良好となりやすい。
【0109】
(シランカップリング剤)
ポジ型組成物は、シランカップリング剤を含有していてもよい。
シランカップリング剤は、ケイ素原子に結合するアルコキシ基及び/又は反応性基を介して、(A)ノボラック樹脂が有するフェノール性水酸基と反応し得るので、架橋剤として作用し、ポジ型組成物を用いて形成される着色樹脂層(被覆樹脂層17)を緊密化することができ、着色樹脂層の耐水性、耐溶剤性、耐熱性等を向上し得るほか、着色樹脂層の金属配線18との密着性を向上することができる。
【0110】
シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン等のモノアルキルトリアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジアルキルジアルコキシシラン;フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等のモノフェニルトリアルコキシシラン;ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等のジフェニルジアルコキシシラン;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のモノビニルトリアルコキシシラン;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等の(メタ)アクリロキシアルキルモノアルキルジアルコキシシラン;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシアルキルトリアルコキシシラン;3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有トリアルコキシシラン;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等の非脂環式エポキシ基含有アルキルトリアルコキシシラン;3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等の非脂環式エポキシ基含有アルキルモノアルキルジアルコキシシラン;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等の脂環式エポキシ基含有アルキルトリアルコキシシラン;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等の脂環式エポキシ基含有アルキルモノアルキルジアルコキシシラン;〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリメトキシシラン、〔(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ〕プロピルトリエトキシシラン等のオキセタニル基含有アルキルトリアルコキシシラン;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトアルキルトリアルコキシシラン;3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプトアルキルモノアルキルジアルコキシシラン;3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイドアルキルトリアルコキシシラン;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネートアルキルトリアルコキシシラン;3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物等の酸無水物基含有アルキルトリアルコキシシラン;N−t−ブチル−3−(3−トリメトキシシリルプロピル)コハク酸イミド等のイミド基含有アルキルトリアルコキシシラン;等が挙げられる。シランカップリング剤は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0111】
シランカップリング剤の中では、反応性基を有するシランカップリング剤が好ましい。
反応性基を有するシランカップリング剤としては、ビニル基、アミノ基、エポキシ基又はオキセタニル基を有するシランカップリング剤が好ましい。現像液との相溶性が高く、残渣(溶け残り)を低減でき、特に金属との密着性に優れる着色樹脂層(被覆樹脂層17)を形成できる観点から、エポキシ基を有するシランカップリング剤がより好ましい。
【0112】
エポキシ基を有するシランカップリング剤としては、非脂環式エポキシ基を有するシランカップリング剤及び脂環式エポキシ基を有するシランカップリング剤のいずれも好ましく用いることができる。
【0113】
シランカップリング剤の含有量は、(A)ノボラック樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上とすることができ、0.5質量部以上とすることができ、1質量部以上とすることができる。また、シランカップリング剤の含有量は、(A)ノボラック樹脂100質量部に対して、10質量部以下とすることができ、7質量部以下とすることができ、5質量部以下とすることができ、3質量部以下とすることができる。
シランカップリング剤の含有量が上記下限値以上であると、金属配線18との密着性に優れる着色樹脂層(被覆樹脂層17)を形成しやすい。
シランカップリング剤の含有量が上記上限値以下であると、保管中のシランカップリング剤同士の縮合反応による、現像時の残渣の発生を抑制しやすい。
【0114】
(その他の成分)
ポジ型組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲で、増感剤、密着性向上剤、界面活性剤、可塑剤等の種々の添加剤を含有していてもよい。
【0115】
・増感剤
増感剤としては、特に限定されず、ポジ型組成物において通常用いられる増感剤の中から任意に選択することができる。増感剤としては、例えば、分子量1000以下のフェノール性水酸基を有する化合物等が挙げられる。
【0116】
・密着性向上剤
密着性向上剤としては、着色樹脂層(被覆樹脂層17)と、金属配線18との密着性を向上させることのできる材料の中から適宜選択できる。例えば、2−ヒドロキシエチルピリジン等のヒドロキシアルキル含窒素複素環化合物を、この密着性向上剤として用いることができる。
【0117】
・界面活性剤
ポジ型組成物は、塗布性、消泡性、及びレベリング性等を向上させるため、界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、例えばBM−1000、BM−1100(BMケミー社製)、メガファックF142D、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF183(大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC−135、フロラードFC−170C、フロラードFC−430、フロラードFC−431(住友スリーエム社製)、サーフロンS−112、サーフロンS−113、サーフロンS−131、サーフロンS−141、サーフロンS−145(旭硝子社製)、SH−28PA、SH−190、SH−193、SZ−6032、SF−8428(東レシリコーン社製)、BYK−310、BYK−330(ビックケミージャパン社製)等の名称で市販されているシリコン系又はフッ素系界面活性剤を使用することができる。
【0118】
界面活性剤の含有量は、(A)ノボラック樹脂100質量部に対して、0.05質量部以上5質量部以下が好ましい。
【0119】
<溶剤>
ポジ型組成物は、上記の各成分を適当な溶剤に溶解して、溶液の形で用いることが好ましい。このような溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、及びエチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールアルキルエーテル類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、及びジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;メチルセロソルブアセテート、及びエチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、及びプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等のプロピレングリコールアルキルエーテルアセテート類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、及びメチルアミルケトン等のケトン類;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;ジオキサン等の環式エーテル類;並びに2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、オキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、及びアセト酢酸エチル等のエステル類等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0120】
ポジ型組成物における溶剤の含有量は、ポジ型組成物の粘度や塗布性を勘案して適宜調整される。具体的には、溶剤は、ポジ型組成物の固形分濃度が、好ましくは5質量%以上50質量%以下、より好ましくは10質量%以上30質量%以下であるように使用される。
【0121】
(ポジ型組成物の調製方法)
ポジ型組成物は、上記の各成分を所定の比率で配合した後、通常の方法で混合、撹拌することにより調製することができる。また、必要に応じて、さらにメッシュ、メンブレンフィルタ等を用いて濾過してもよい。
【0122】
以上のようにして形成された塗布膜12を備える基板10は、次いで、露光工程に供される。
【0123】
<露光工程>
図3(c)〜
図3(f)では、感光性樹脂組成物としてポジ型感光性組成物を用いる場合について例示する。感光性樹脂組成物としてネガ型感光性樹脂組成物を用いる場合、金属配線18の位置に該当しない位置に照射される露光光16を遮るようなフォトマスク15が用いられる。
感光性樹脂組成物としてポジ型感光性組成物を用いる場合、露光工程では、
図3(c)に示されるように、塗布膜12中の、パターン化された金属膜である金属配線18が形成される位置以外の位置に対して露光が行われる。
塗布膜12は、前述の通り感光性樹脂組成物を用いて形成される。ポジ型の感光性樹脂組成物からなる塗布膜12では、露光された部位がアルカリ現像液に対して可溶化する。このため、露光によって、塗布膜12中の金属配線18が形成される位置以外の位置が、現像液に対して可溶化する。
【0124】
露光工程では、上記のようにして形成された塗布膜12に対して、金属配線18のパターンに対応した所定のパターンのフォトマスク15を介して、位置選択的に露光光16が照射される。
露光光16としては、活性光線又は放射線、例えば波長が300nm以上500nm以下の紫外線又は可視光線が用いられる。
【0125】
放射線の線源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、アルゴンガスレーザー等を用いることができる。また、放射線には、マイクロ波、赤外線、可視光線、紫外線、X線、γ線、電子線、陽子線、中性子線、イオン線等が含まれる。放射線照射量は、ポジ型組成物の組成や塗布膜12の膜厚等によっても異なるが、例えば超高圧水銀灯使用の場合、100mJ/cm
2以上10000mJ/cm
2以下である。
【0126】
<エッチングマスク形成工程>
図3(c)に示されるように位置選択的に露光された塗布膜12が、エッチングマスク形成工程において現像されることで、
図3(d)に示されるように、パターン化された塗布膜12であって、エッチングマスクとして使用される被覆樹脂層17が形成される。この際、現像液としては、アルカリ性水溶液が使用される。
【0127】
現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−ノナン等のアルカリ類の水溶液を使用することができる。また、上記アルカリ類の水溶液にメタノール、エタノール等の水溶性有機溶媒や公知の界面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用することもできる。
【0128】
現像時間は、ポジ型組成物の組成や塗布膜12の膜厚等によっても異なるが、通常1分以上30分以下である。現像方法は、液盛り法、ディッピング法、パドル法、スプレー現像法等のいずれでもよい。
【0129】
現像後は、流水洗浄を30秒以上90秒以下の間行い、エアーガンや、オーブン等を用いて乾燥させる。このようにして、金属膜11上に、パターン化された塗布膜12である被覆樹脂層17が形成される。
【0130】
<金属配線形成工程>
金属配線形成工程では、
図3(d)及び
図3(e)に示されるように、エッチングマスク形成工程で形成された被覆樹脂層17をエッチングマスクとして用いて、エッチングマスクから露出する金属膜11をエッチングにより除去して金属配線18を形成する。
エッチング方法は特に限定されず、金属膜11の材質に応じて適宜選択される。エッチング方法は、ウェットエッチングでもドライエッチングでもよく、低コストであることからウェットエッチングが好ましい。
なお、
図3(e)に示されるように、エッチングマスクである被覆樹脂層17と金属膜11との接触面の端部付近において金属膜11がエッチングされる、アンダーエッチがエッチング時に生じる場合がある。
【0131】
<着色樹脂層形成工程>
着色樹脂層形成工程では、
図3(e)に示されるように形成された被覆樹脂層17に対してベークを行う。ベークは、エッチングマスク形成工程と金属配線形成工程との間に行われてもよく、金属配線形成工程後に行われてもよい。
被覆樹脂層17に対してベークを行うことにより、被覆樹脂層17が一旦軟化した後に冷却されることで硬化、及び緊密化し、その結果被覆樹脂層17が着色樹脂層となる。被覆樹脂層17をベークして形成される着色樹脂層は、耐水性、耐熱性、耐溶剤性等に優れる。
また、前述の金属配線形成工程において、被覆樹脂層17の端部の下部におけるエッチングが過度に進行するアンダーエッチが生じ、金属配線18のトップ(被覆樹脂層17側)の幅がボトム(透明層14側)の幅よりも狭くなる場合がある。
この場合、金属配線形成工程後に着色樹脂層形成工程を実施するのが好ましい。着色樹脂層形成工程での加熱により、被覆樹脂層17が軟化し、被覆樹脂層17が金属配線18の表面形状に沿って変形するためである。その結果、
図3(f)に示されるように、金属配線18のほぼ全表面に密着する被覆樹脂層17が着色樹脂層として形成されるので、金属配線18が画像表示装置の使用者に視認されにくい。
【0132】
ベークは、例えば、ホットプレートやオーブン等の加熱装置を用いて行われる。ベークの温度は、特に限定されず、基板10を構成する材料の耐熱性等を勘案して適宜定められる。ベーク温度としては例えば、80℃以上400℃以下が好ましく、150℃以上300℃以下がより好ましい。
なお、基板10が液晶層20を含む液晶セルを備える場合は、ベーク温度は80℃以上150℃以下が好ましい。
ベーク時間は、15分以上60分以下が好ましく、30分以下がより好ましい。
【0133】
第1の製造方法では、着色樹脂層形成工程を行うことによって、
金属配線18の短手方向中央部において、金属配線18の厚さ方向に延びる仮想中心線31からの、金属配線18の天面30の端部までの、金属配線18の短手方向の距離をL1とし、
仮想中心線31から、着色樹脂層(被覆樹脂層17)の表面までの、金属配線18の短手方向と同方向の最大距離をL2とする場合に、
L2/L1を0.95以上1.05以下とする。
L2及びL1については、積層体について前述した通りである。
【0134】
着色剤を含む感光性樹脂組成物を用いて着色樹脂層を形成する場合、感度の問題等から、露光及び現像によって所望する形状の着色樹脂層を形成しにくかったり、着色剤の種類及び量によって、着色樹脂層をベークした際の軟化状態が大きく影響を受けたりする。このため、特段ベーク条件を気にしない場合、必ずしも好ましい形状の着色樹脂層を形成できない。
しかし、着色樹脂成型工程では、ベーク条件が調整されることで、L2/L1の値が0.95以上1.05以下である望ましい形状の積層体が製造される。
【0135】
L1の値は、金属膜11をエッチングする条件によって定まる。このため、L2/L1の値は、典型的には、L2の値を調整することにより調整される。L2の値は、着色樹脂層の形成に用いられる感光性樹脂組成物の種類に応じて、ベーク条件を変更することにより、調整できる。
例えば、被覆樹脂層17を構成する感光性樹脂組成物が、ベークによりシュリンクする傾向がある場合、ベーク温度を上げるか、ベーク時間を長くすることによりL2の値を小さくできる。他方、被覆樹脂層17を構成する感光性樹脂組成物、ベークにより軟化、流動しやすい傾向がある場合、ベーク温度を下げるか、ベーク時間を短くすることによりL2の値を小さくできる。
【0136】
ベーク時の加熱ムラ等に起因する被覆樹脂層17の過度な流動によって、L2/L1の値が過大になり、ピクセル部分が着色樹脂層(被覆樹脂層17)で被覆されてしまうことを防ぎやすい点から、感光性樹脂組成物は、ベークによりシュリンクする組成物であるのが好ましい。
ベークによりシュリンクする感光性樹脂組成物としては、前述の(A)ノボラック樹脂を含む組成物が挙げられ、前述の(A)ノボラック樹脂と、(B)キノンジアジド基含有化合物とを含むポジ型組成物が好ましい。なお、感光性樹脂組成物は、着色樹脂層の形成に用いられるのであるから、当然、(C)着色剤を含む。
【0137】
言い換えると、
図2に示される、エッチングにより金属配線18が形成された後に、金属配線18の長手方向から観察した、金属配線18とエッチングマスク(被覆樹脂層17)とからなる積層体の前駆体の断面において、
仮想中心線31から、エッチングマスク(被覆樹脂層17)の表面までの、金属配線18の短手方向と同方向の最大距離をL3とする場合に、
L3が前述のL2よりも大きいことが好ましい。
図2に示される積層体は、
図3(e)中の、金属配線18、及び被覆樹脂層17からなる積層体に相当する。
【0138】
L3がL2よりも大きいことは、被覆樹脂層形成工程におけるベークによって、被覆樹脂層17がシュリンクしていることを意味する。
L2/L1の値が所定の範囲内である積層体を製造しやすいことから、L3/L1の値は1.01以上1.15以下であることが好ましく、1.02以上1.1以下であることがより好ましく、1.03以上1.08以下であることがさらに好ましい。
【0139】
さらに、着色樹脂層形成工程におけるベークによって、金属配線18の天面30全域の面積をS1とし、金属配線18と着色樹脂層(被覆樹脂層17)との接合面の面積をS2とする場合のS2/S1の値を、0.95以上1.05以下に調整するのが好ましい。
S2/S1の値は、前述のL2/L1の値と同様に調整される。S2/S1の値を、0.95以上1.05以下に調整することにより、前述のL2/L1の値を0.95以上1.05以下に調整することと同様の効果が得られる。
【0140】
<第2の製造方法>
第2の製造方法は、第1の製造方法と同じく、遮光性を有する金属配線と、着色剤を含む着色樹脂層とを含む積層体の製造方法である。
第2の製造方法は、
透光性を有する基板上の遮光性を有する金属膜上に、着色剤を含む感光性樹脂組成物を塗布して、塗布膜を形成する工程、
塗布膜を、位置選択的に露光する工程、
露光された塗布膜を、現像して、エッチングマスクを形成する工程、
エッチングマスクを表面に備える金属膜をエッチングして、エッチングマスクで被覆された金属配線を形成する工程、及び、
基板の、金属膜が設けられている面とは反対側に、発光ユニットを設ける工程、
を含む。
【0141】
第2の製造方法では、第1の製造方法と同じく、上記の着色樹脂層を形成する工程を行うことにより、金属配線の長手方向から観察した積層体の断面において、
金属配線の短手方向中央部において、金属配線の厚さ方向に延びる仮想中心線からの、金属配線天面の端部までの、金属配線の短手方向の距離をL1とし、
仮想中心線から、着色樹脂層の表面までの、金属配線の短手方向と同方向の最大距離をL2とする場合に、
L2/L1を0.95以上1.05以下とする。
【0142】
前述の通り、第2の製造方法によって積層体を製造するに際して、基板10上に積層体を製造する間の任意の時点で、基板上に発光ユニットを設けてもよい。
第2の製造方法において、基板の、金属膜が設けられている面とは反対側に、発光ユニットを設ける工程以外の好適については、それぞれ、第1の製造方法と同様である。
【0143】
第2の製造方法において、第1の製造方法と同様に、前述のL2/L1の値が調整される。また、第2の製造方法において、前述のL3/L1の値は、第1の製造方法と同様であるのが好ましい。さらに、第2の製造方法において、前述のS2/S1の値は、第1の製造方法と同様に調整されるのが好ましい。
【0144】
以上説明した第1の製造方法、又は第2の製造方法に従って、着色剤を含む着色樹脂層(被覆樹脂層17)と、着色樹脂層で被覆された金属配線18とからなる積層体を、透光性を有する基板10上に形成すると、着色樹脂層である被覆樹脂層17がピクセル部分を過度に被覆せず、且つ金属配線18の表面全面を良好に被覆している。このようにして製造された、上記の積層体を備える基板10を用いると、金属配線18が視認されにくく、高品質な画像を表示できる画像表示装置を製造できる。
【実施例】
【0145】
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0146】
〔実施例1〕
ノボラック樹脂100質量部と、増感剤13質量部と、キノンジアジド基含有化合物22.6質量部と、全固形分質量に対して27質量%の顔料とを、固形分濃度が20質量%であるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に均一に、溶解、分散させて、ポジ型組成物を得た。
なお、ポジ型組成物には、全固形分に対して1質量%の2−ヒドロキシエチルピリジンと、全固形分に対して0.4質量%のシリコン系界面活性剤(BYK−310、ビックケミー社製)を含有させた。
【0147】
ノボラック樹脂としては、重量平均分子量4700、分散度4.5であるクレゾール型のノボラック樹脂を用いた。
増感剤としては、フェノール樹脂(商品名:TrisP−PA−MF、本州化学工業株式会社製)を用いた。
キノンジアジド基含有化合物としては、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンとナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルホン酸とをエステル化させて得られる化合物を用いた。
顔料としては、全固形分に対して14.9質量%の御国色素社製の赤色顔料と、全固形分に対して12.1質量%の御国色素社製の青色顔料を用いた。
【0148】
得られたポジ型組成物を、カラーフィルタと金属膜(Al膜)とを備える基板の金属膜上にスピンコーターを用いて塗布した後、90℃で60秒間プリベークを行い、膜厚1.5μmの感光層を形成した。
得られた感光層を、L/S=1:1で3μm幅のフォトマスクを介して、露光装置(MPA−600FA、365mW、100mJ/cm
2、キヤノン社製)を用いて露光した。
次いで、濃度2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を現像液として用いて現像を行い、所定の形状にパターニングされた被覆樹脂層を形成した。
形成された被覆樹脂層をエッチングマスクとして用いて、Alエッチャント混酸(リン酸・硝酸・酢酸)を用いてエッチングを行い、金属配線としてパターニングされた金属層を形成した。金属配線の表面は、被覆樹脂層で被覆されていた。
エッチング後の基板に対して、120℃で5分間のポストベークを行い、被覆樹脂層を永久膜化して着色樹脂層を形成した。これにより、金属配線と、着色樹脂層(被覆樹脂層)とを備える基板を得た。
【0149】
なお、基板としては、試験的に、以下のものを用いた。
すなわち、まず、ガラス基板の片方の面に対して、線幅5μmのブラックマトリクスと、RGBのパターンを設け、ガラス基板の他方の面の表面上に厚さ0.2μmのアルミニウム層をスパッタ形成して、基板とした。
【0150】
形成された被覆樹脂層の光学濃度は0.60/μmであった。
また、形成された着色樹脂層の形状を顕微鏡観察したところ、着色樹脂層の膜厚がほぼ均一であり、基板の金属配線が形成されている面を、当該面に対して垂直方向から観察した場合にピクセル上が着色樹脂層により被覆されておらず、金属配線の露出は観察されなかった。
なお、ピクセルは、基板を画像表値装置に適用した場合に、バックライト等の光源が発する光を透過させる光透過部に該当する。
【0151】
形成された、金属配線と着色樹脂層とからなる積層体について、前述のL2/L1の値と、L3/L1の値と、S2/S1の値とを測定したところ、L2/L1の値は1.01であり、L3/L1の値は1.03であり、S2/S1の値は1.01であった。
また、積層体を、着色樹脂層側から見た場合の、可視光領域の反射率の平均値を測定したところ、その値は8%であった。
【0152】
〔実施例2〕
ノボラック樹脂を、重量平均分子量4700、分散度10.0のクレゾール型のノボラック樹脂に変更することの他は、実施例1と同様にしてポジ型組成物を調製し、実施例1と同様にして基板上に金属配線と着色樹脂層とからなる積層体を形成した。
形成された被覆樹脂層の光学濃度は0.60/μmであった。
また、形成された着色樹脂層の形状を顕微鏡観察したところ、着色樹脂層の膜厚がほぼ均一であり、基板の金属配線が形成されている面を、当該面に対して垂直方向から観察した場合にピクセル上が着色樹脂層により被覆されておらず、金属配線の露出は観察されなかった。
【0153】
形成された、金属配線と着色樹脂層とからなる積層体について、前述のL2/L1の値と、L3/L1の値と、S2/S1の値とを測定したところ、L2/L1の値は1.01であり、L3/L1の値は1.03であり、S2/S1の値は1.01であった。
また、積層体を、着色樹脂層側から見た場合の、可視光領域の反射率の平均値を測定したところ、その値は8%であった。
【0154】
〔比較例1〕
アクリル樹脂100質量部と、光酸発生剤3質量部と、着色剤5質量部とを、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に、固形分濃度12質量%であるように溶解、分散させてポジ型組成物を得た。
【0155】
アクリル樹脂として、p−ヒドロキシスチレンの1−エトキシエチルエーテル40モル%、メタクリル酸(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル35モル%、メタクリル酸メチル15モル%、及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチル20モル%の共重合体を用いた。かかるアクリル樹脂の重量平均分子量は6000であり、分散度は7.2であった。
光酸発生剤としては、トリアリールスルホニウム塩(商品名:DTS−105、みどり化学社製)を用いた。
着色剤としては、カーボンブラック13.1質量部を、プロピレングリコールモノメチルエーテル79.53質量部中で、分散剤0.65質量部と、ポリマー(ベンジルメタクリレート(72モル%)とメタクリル酸(28モル%)とのランダム共重合体、重要平均分子量3.7万)とを用いて分散させた黒色顔料を用いた。
【0156】
得られたポジ型組成物を用いて、実施例1と同様にして基板上に金属配線と着色樹脂層とからなる積層体を形成した。
形成された着色樹脂層の光学濃度は0.60/μmであった。
また、形成された着色樹脂層の形状を顕微鏡観察したところ、着色樹脂層の膜厚がほぼ均一であり、基板の金属配線が形成されている面を、当該面に対して垂直方向から観察した場合に金属配線の露出は観察されなかったが、ピクセル上の金属配線の近傍の領域において、着色樹脂層により被覆されている部分があった。
【0157】
形成された、金属配線と着色樹脂層とからなる積層体について、前述のL2/L1の値と、L3/L1の値と、S2/S1の値とを測定したところ、L2/L1の値は1.10であり、L3/L1の値は1.05であり、S2/S1の値は1.10であった。
また、積層体を、着色樹脂層側から見た場合の、可視光領域の反射率の平均値を測定したところ、その値は9%であった。
【0158】
〔比較例2〕
ノボラック樹脂を、重量平均分子量4700、分散度30.0のクレゾール型のノボラック樹脂に変更することの他は、実施例1と同様にしてポジ型組成物を調製し、実施例1と同様にして基板上に金属配線と着色樹脂層とからなる積層体を形成した。
形成された着色樹脂層の光学濃度は0.60/μmであった。
しかし、基板の金属配線が形成されている面を、当該面に対して垂直方向から顕微鏡観察したところ、着色樹脂層がポストベーク時に過度にフローしてしまった。
【0159】
形成された、金属配線と着色樹脂層とからなる積層体について、前述のL2/L1の値と、L3/L1の値と、S2/S1の値とを測定したところ、L2/L1の値は1.08であり、L3/L1の値は1.04であり、S2/S1の値は1.08であった。
また、積層体を、着色樹脂層側から見た場合の、可視光領域の反射率の平均値を測定したところ、その値は9%であった。