(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、比較例、実施形態、変形例および実施例について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明を省略することがある。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0010】
<比較例>
まず、比較例の実装装置について
図1〜3を用いて説明する。
図1は比較例の実装装置を模式的に示す正面図である。
図2は
図1の実装装置を模式的に示す上面図である。
図3は
図1の実装装置を模式的に示す側面図である。
【0011】
比較例の実装装置100Rは、部品供給部(図示せず)から部品300をワーク200の上方にまで搬送し、搬送した部品300をワーク200に取り付ける(実装する)装置である。実装装置100は、架台110と、架台110の上に支持される実装ステージ120と、架台110の上に設けられるX支持台131と、X支持台131の上に支持されるYビーム140Rと、Yビーム140Rに支持される実装ヘッド150と、実装ヘッド150をY軸方向およびZ軸方向に駆動する駆動部160と、を備えている。なお、X軸方向、Y軸方向は水平面上で互いに直交する方向であり、本比較例では、
図2に示すようにYビーム140Rが伸びる方向をY軸方向(第一方向)、これと直交する方向をX軸方向(第二方向)、として説明する。また、Z軸方向(第三方向)は、XY面に垂直な上下方向である。
【0012】
実装ヘッド150は、部品300を着脱自在に保持する保持手段を有する装置であり、Y軸方向に往復動自在にYビーム140Rに取り付けられている。
【0013】
本比較例の場合、実装ヘッド150を3本備えており、各実装ヘッド150は、真空吸着により部品300を保持するノズルを有する保持手段151を備えている。また、駆動部160は、実装ヘッド150をそれぞれ独立にZ軸方向に昇降させることができる。実装ヘッド150は部品300を保持して搬送し、実装ステージ120に吸着固定されたワーク200上に部品300を取り付ける機能を備えている。
【0014】
X支持台131の上に設けられたガイド132は、Yビーム140RをX軸方向に摺動自在に案内する部材である。本比較例の場合、2本のX支持台131が平行に配置されており、各X支持台131は、架台110にX軸方向に伸びた状態で固定されている。X支持台131は、架台110と一体に形成されるものでもよい。
【0015】
図1、
図3に示すように、ガイド132の上にはスライダ143がX軸方向に移動自在に取り付けられている。そして、2つのガイド132の各スライダ143の上には、それぞれYビーム140Rの各脚部142が取り付けられている。つまり、Yビーム140Rの主梁部141は、実装ステージ120の上を跨るようにY軸方向に伸び、両端の各脚部142はスライダ143に取り付けられてX支持台131に取り付けられたガイド132によってX軸方向に移動自在に支持されている。なお、主梁部141の底面と脚部142の底面(スライダ143の上面)は同一面上に位置するので、主梁部141はX支持台131からそれほど高くない位置に設けられている。
【0016】
図3に示すように、Yビーム140Rは、棒形状の部材であって、Y軸方向に伸びて配置される部材である。Yビーム140RのXZ断面の形状は、四角形と直角三角形とを合わせた台形状を有している。
【0017】
Yビーム140Rは、実装ヘッド150のY軸方向の往復動を案内する部材であり、往復動する実装ヘッド150が振動すると保持している部品300を落とすなどの不具合が発生し、また、正確な位置に部品300を運ぶためには撓みなどを極力抑える必要がある。従って、Yビーム140Rは、構造的な強度を十分に備えている必要がある。一方、Yビーム140Rは、実装ヘッド150と共に、X支持台131に沿って直線的に往復動する部材であり、軽量であるほど高速で部品300を搬送することが可能となる。
【0018】
次に、ビームの撓みと捩れについて
図4を用いて説明する。
図4(A)はビームの撓みを説明する図であり、
図4(B)はビームの断面を示す図である。
図5は
図1の実装装置の課題を説明する模式的な正面図である。
図6は
図1の実装装置の課題を説明する模式的な側面図である。
【0019】
図4(A)に示すように、撓み量(d)はビーム長さ(L)の3乗に比例して増大する。また、ビームが長くなると、同じ剛性でもビームが捩れ易くなる。また、剛性に寄与する断面2次モーメントは、
図4(B)に示すビーム断面の幅(W)に比例、高さ(H)の3乗に比例する。
【0020】
比較例に戻って説明する。
図5に示すように、主梁部141および実装ヘッド150の重さで主梁部141が撓む(第一課題)。その結果、実装ヘッド150が傾き、実装位置(ボンド位置)、部品(例えばダイ)の傾きに影響する。
【0021】
また、
図6に示すように、主梁部141および実装ヘッド150の重さで主梁部141が捩れる(第二課題)。その結果、実装ヘッド150が傾き、実装位置(ボンド位置)、部品(例えばダイ)の傾きに影響する。
【0022】
撓みを抑えるには、撓みに比例してYビーム140Rの剛性を上げる必要があるが、ビーム断面の幅(W)または高さ(H)を単純に増やすと重量が増えるので、軽量、高剛性を維持しつつ実装位置の精度を向上する必要がある。例えば、位置精度を数μm程度より小さくするためには変形量は1μmに程度に抑える必要があるが、主梁部141の長さが、例えば、500mm以上になると特に750mm以上の長さでは自重による撓みや捩れの変形量を抑えるのが難しい。
【0023】
<第一実施形態>
次に、上記の第一課題を解決する第一実施形態について
図7、8を用いて説明する。
図7は第一実施形態の実装装置を模式的に示す正面図である。
図8は第一実施形態のYビームを模式的に示す図であり、
図8(A)はYビームを撓ませた状態を模式的に示す図であり、
図8(B)はYビームの撓みを矯正した状態を模式的に示す図である。なお、
図8(A)、
図8(B)の各々の左側は正面図であり、右側は側面図であり、内部構造が見えるように一部透視して示している。
【0024】
図7に示すように、第一実施形態の実装装置100はYビーム140を除いて比較例の実装装置100Rと同様である。
【0025】
図8に示すように、第一実施形態のYビーム140は、一方の脚部142の内部から主梁部141の内部を経由して他方の脚部142の内部まで延伸する矯正部材144と、矯正部材144の端部を所定の高さで支持する支持部材145と、矯正部材144のY軸方向の中央部に設けられた雌ネジ部材146と、雌ネジ部材146に挿入される雄ネジ部材147と、雄ネジ部材147を回転させるアクチュエータ148と、を備える。矯正部材144、支持部材145、雌ネジ部材146および雄ネジ部材147はYビーム140の内部に位置し、アクチュエータ148は主梁部141の上に固定されている。矯正部材144は、例えば四角柱状であり、軽量高剛性素材(例えば、炭素繊維強化樹脂(Carbon Fiber Reinforced Plastic:CFRP))で形成され、トーションバー的な機能を有する。アクチュエータ148はモータ等で構成される。
【0026】
Yビーム140内に設けられた矯正部材144は、主梁部141の撓みを矯正可能とするものであり、矯正部材144に設けられた雌ネジ部材146に挿入された雄ネジ部材147をアクチュエータ148によって回転することにより、矯正部材144のY軸方向の中央部を鉛直方向に押すことが可能である。雄ネジ部材147の送り量(押さえ量)を変えることで矯正部材144の押し量を制御することができる。
【0027】
図8(A)に示すように、主梁部141が撓んだ状態では、矯正部材144は撓んでいない。
図8(B)に示すように、矯正部材144を押すことで、主梁部141の内部で主梁部141の撓み方向と逆方向(持ち上げる方向)の力を発生させ、撓みをキャンセルさせることができる。これにより、実装ヘッド150の傾きをフラットに保つことができる。
【0028】
次に、実装ヘッドの位置によってネジ部材の送り量を調整することについて
図9を用いて説明する。
図9(A)は実装ヘッドが中央付近に位置する場合の模式的な正面図であり、
図9(B)は実装ヘッドが端付近に位置する場合の模式的な正面図である。
図9では内部構造が見えるように一部透視して示している。
【0029】
実装ヘッド150の位置によって主梁部141の撓み量が異なり、実装ヘッド150が主梁部141のY軸方向の中央付近に位置するとき撓み量が大きく、端付近に位置するとき撓み量は小さい。よって、
図9(A)に示すように、実装ヘッド150が主梁部141の中央付近に位置するとき雄ネジ部材147の送り量を大きくし、
図9(B)に示すように、実装ヘッド150が主梁部141の端付近に位置するとき雄ネジ部材147の送り量を小さくする。
【0030】
雄ネジ部材147はモータ等のアクチュエータ148で回転するので、雄ネジ部材147の送り量(押さえ量、回転位置)はアクチュエータ148を制御装置(不図示)によって制御することにより自動で調整することができる。よって、実装ヘッド150の位置に応じて矯正部材144を押す量を制御し主梁部141の撓みを制御することができる。
【0031】
また、ビーム140および実装ヘッド150にジャイロセンサ、水平検出センサ、ビームの変位センサ等の検出センサを設け、制御装置はこのセンサの信号をもとにアクチュエータ148を制御してもよい。これにより、撓みのない状態のセンサ信号位置に戻すように制御することにより、撓みのない状態を常時維持することができる。
【0032】
第一実施形態によれば、ビーム構造そのものを高剛性(高重量)で構成せず、軽量(低剛性)の部材による撓み変形に応じた補強を行うことができ、ビームの動作に起因する変形、振動も最小限に留めることができる。
【0033】
<第一実施形態の変形例>
以下、第一実施形態の代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の実施形態の一部、および、複数の変形例の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0034】
第一実施形態では雌ネジ部材146と雄ネジ部材147を用いて矯正部材144を押す例を説明したが、これに限定されるものではなく、Yビーム140に内蔵する矯正部材144を主梁部141の上部側から押さえ、その反力で主梁部141を持ち上げることができる機構(撓み矯正手段)であればよい。
【0035】
(第一変形例)
第一変形例では矯正部材の上に楔状の平面カム部材を設ける。第一変形例のYビームについて
図10を用いて説明する。
図10(A)はYビームを撓ませた状態を模式的に示す図であり、
図10(B)はYビームの撓みを矯正した状態を模式的に示す図である。なお、
図10は内部構造が見えるように一部透視して示している。
【0036】
図10に示すように、第一変形例のYビーム140Aは、一方の脚部142から主梁部141を経由して他方の脚部142まで延伸する矯正部材144と、矯正部材144の端部を所定の高さで支持する支持部材145と、矯正部材144のY軸方向の中央部に設けられた円筒状の回転部材149と、楔状の平面カム部材14Aと、平面カム部材14Aの端部に設けられた受け部材146Aと、送り部材147Aと、送り部材147Aを送るアクチュエータ148Aと、を備える。受け部材146A、送り部材147A、アクチュエータ148Aおよび平面カム部材14Aは矯正部材144の上に位置し、回転部材149は主梁部141の上部に固定されている。
【0037】
矯正部材144の上に設けられた受け部材146Aに送り部材147Aをアクチュエータ148Aによって送ることにより、平面カム部材14Aが回転部材149の下をY方向に移動する。これにより、第一実施形態と同様に、矯正部材144を鉛直方向に押すことが可能である。
【0038】
図10(A)に示すように、主梁部141が撓んだ状態では、矯正部材144は撓んでいない。
図10(B)に示すように、矯正部材144を押すことで、主梁部141の内部で主梁部141の撓み方向と逆方向(持ち上げる方向)の力を発生させ、撓みをキャンセルさせることができる。
【0039】
第一変形例によれば、重量物であるモータ等のアクチュエータを撓みの影響の少ない両サイドの脚部に設置することができる。
【0040】
(第二変形例)
第二変形例ではYビームの上に楔部材を設ける。第二変形例のYビームについて
図11を用いて説明する。
図11は第二変形例のYビームを模式的に示す図であり、
図11(A)はYビームを撓ませた状態を模式的に示す図であり、
図11(B)はYビームの撓みを矯正した状態を模式的に示す図である。なお、
図11(A)、
図11(B)は内部構造が見えるように一部透視して示している。
【0041】
図11に示すように、第二変形例のYビーム140Bは、一方の脚部142から主梁部141を経由して他方の脚部142まで延伸する矯正部材144と、矯正部材144の端部を所定の高さで支持する支持部材145と、矯正部材144のY軸方向の中央部に設けられた回転部材149Bと、平面カム部材14ABと、平面カム部材14ABに設けられた受け部材146Bと、送り部材147Bと、送り部材147Bを送るアクチュエータ148Bと、を備える。受け部材146B、送り部材147B、アクチュエータ148Bおよび平面カム部材14ABは主梁部141の上に位置し、回転部材149Bは矯正部材144の上に固定されている。
【0042】
主梁部141の上に設けられた受け部材146Bに送り部材147Bをアクチュエータ148Bによって送ることにより、平面カム部材14ABが回転部材149Bの上をY方向に移動する。これにより、第一実施形態と同様に、矯正部材144を鉛直方向に押すことが可能である。
【0043】
図11(A)に示すように、主梁部141が撓んだ状態では、矯正部材144は撓んでいない。
図11(B)に示すように、矯正部材144を押すことで、主梁部141の内部で主梁部141の撓み方向と逆方向(持ち上げる方向)の力を発生させ、撓みをキャンセルさせることができる。
【0044】
(第三変形例)
第三変形例ではYビームの上に中心からずれた位置に軸が取り付けた円板である偏心カム部材を設ける。第二変形例のYビームについて
図12を用いて説明する。
図12は第三変形例のYビームを模式的に示す図であり、
図12(A)はYビームを撓ませた状態を模式的に示す図であり、
図12(B)はYビームの撓みを矯正した状態を模式的に示す図であり、
図12(A)は正面図であり、
図12(B)は側面図であり、内部構造が見えるように一部透視して示している。
【0045】
図12に示すように、第三変形例のYビーム140Cは、一方の脚部142から主梁部141を経由して他方の脚部142まで延伸する矯正部材144と、矯正部材144の端部を所定の高さで支持する支持部材145と、矯正部材144のY軸方向の中央部に設けられた回転部材149Cと、偏心カム部材14Bと、偏心カム部材14Bの軸を回転させるアクチュエータ148Cと、を備える。アクチュエータ148Cおよび偏心カム部材14Bは主梁部141の上に位置し、回転部材149Cは矯正部材144の上に固定されている。
【0046】
主梁部141の上に設けられた偏心カム部材14Bの軸をアクチュエータ148Cによって回転することにより、偏心カム部材14Bが回転部材149Cの上を回転する。これにより、第一実施形態と同様に、矯正部材144を鉛直方向に押すことが可能である。
【0047】
図12に示すように、矯正部材144を押すことで、主梁部141の内部で主梁部141の撓み方向と逆方向(持ち上げる方向)の力を発生させ、撓みをキャンセルさせることができる。
【0048】
<第二実施形態>
次に、上記の第二課題を解決する第二実施形態について
図13を用いて説明する。
図13は第二実施形態のYビームを模式的に示す図であり、Yビームを撓ませた状態を模式的に示す図であり、
図13(A)は正面図であり、
図13(B)は側面図であり、内部構造が見えるように一部透視して示している。
【0049】
図13に示すように、第二実施形態のYビーム140Dは、一方の脚部142から主梁部141を経由して他方の脚部142まで延伸する矯正部材144Dと、矯正部材144Dの端部を所定の高さで支持する支持部材145Dと矯正部材144のY方向の中央部に設けられた雌ネジ部材146Dと、雌ネジ部材146Dと雄ネジ部材147と、雄ネジ部材147を回転させるアクチュエータ148と、を備える。矯正部材144D、支持部材145D、雌ネジ部材146Dおよび雄ネジ部材147はYビーム140Dの内部に位置し、アクチュエータ148は主梁部141の上に固定されている。矯正部材144Dは軽量高剛性素材(例えば、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic))で形成される。
【0050】
矯正部材144Dは奥行方向(X方向)の長さが第一実施形態の矯正部材144よりも長く、雌ネジ部材146Dも第一実施形態の雌ネジ部材146よりも奥側(X軸正方向側)に固定されている。
【0051】
矯正部材144Dに設けられた雌ネジ部材146Dに挿入された雄ネジ部材147をアクチュエータ148によって回転することにより、矯正部材144Dを鉛直方向に押すことが可能である。雄ネジ部材147の送り量(押さえ量)を変えることで矯正部材144Dの押し量を制御することができる。
【0052】
図13(B)に示すように、矯正部材144Dを押すことで、主梁部141の内部で主梁部141の捩れ方向と逆方向(持ち上げる方向)の力を発生させ、捩れをキャンセルさせることができる。言い換えると、矯正部材144Dの中心からオフセットしたところを押す駆動機構により、矯正部材144Dの捩れの回転中心からずれたところを押すことで捩じりモーメントが発生する。矯正部材144Dおよび実装ヘッド150の重量で捩れる成分を打ち消す方向に矯正部材144Dを押し、捩じりモーメントを発生させ捩れをキャンセルする。
【0053】
第一実施形態と同様に、実装ヘッド150のY方向の位置に応じて矯正部材144Dを押す量を制御し主梁部141の捩れおよび実装ヘッド150の傾きをフラットに保つようにする。捩れ量は実装ヘッド150の位置によって変わるため、実装ヘッド150Dの位置に応じてキャンセルする捩れモーメント量を押す量で制御する。
【0054】
また、第一実施形態と同様に、ビーム140および実装ヘッド150にジャイロセンサや水平検出センサなどの角度検出センサ等を設け、制御装置はこのセンサの信号をもとにアクチュエータ148を制御してもよい。これにより、常時捩れのない状態のセンサ信号位置に戻すように制御することにより、捩れのない状態を常時維持することができる。
【0055】
<第二実施形態の変形例>
以下、第二実施形態の代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の第一実施形態および第二実施形態にて説明されているものと同様の構成および機能を有する部分に対しては、上述の第一実施形態および第二実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部分の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の第一実施形態および第二実施形態における説明が適宜援用され得るものとする。また、上述の第一実施形態および第二実施形態の一部、および、複数の変形例の全部または一部が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0056】
第二実施形態では雌ネジ部材146Dと雄ネジ部材147を用いて矯正部材144Dを押す例を説明したが、これに限定されるものではなく、重量で捩れる成分を打ち消す方向に、捩じりモーメントを発生させ捩れをキャンセルすることができる機構(捩れ矯正手段)であればよい。
【0057】
(第四変形例)
第四変形例の実装装置について
図14〜18を用いて説明する。
図14は第四変形例の実装装置を模式的に示す斜視図である。
図15は第四変形例のYビームを模式的に示す斜視図である。
図16は
図15のYビームの捩れ矯正を説明する模式的な図であり、
図16(A)は捩れる前の状態を示す側面図であり、
図16(B)は捩れた状態を示す側面図であり、
図16(C)は捩れを矯正した状態を示す模式的側面図である。
図17は実装ヘッドの位置により捩れ量が異なることを説明する模式的な図であり、
図17(A)は実装ヘッドが脚部側に位置する場合を示す側面図であり、
図17(B)実装ヘッドが脚部側と中央部側の間に位置する場合を示す側面図であり、
図17(C)は実装ヘッドが中央部に位置する場合を示す側面図である。
図18は実装ヘッドの位置により調整用シムの取付け量を変えることを説明する模式的な図であり、
図18(A)は実装ヘッドが脚部側に位置する場合を示す側面図であり、
図18(B)実装ヘッドが脚部側と中央部側の間に位置する場合を示す側面図であり、
図18(C)は実装ヘッドが中央部に位置する場合を示す側面図である。
【0058】
第四変形例の実装装置100Eは実施形態の実装装置100とYビームの構造が異なるが、他の構造は同様である。第四変形例のYビーム140Eは、主梁部141の底面と脚部142の底面(スライダ143の上面)よりも下に位置する。また、Yビーム140Eの背面に(主梁部141Eの実装ヘッド150が取り付けられる面とは反対側の面に)、反り矯正プレート14Cを調整用シム(間隙調整板)14Dを介して取り付けて構成される。調整用シム14Dは隙間を調整する薄鋼板であり、例えば数種の所定の厚さのものを準備しておき、これを適宜選択して組み込まれる。
【0059】
図16(A)、
図16(B)に示すように、実装ヘッド150および主梁部141Eの重量によって主梁部141Eが捩れる。そこで、
図16(C)に示すように、主梁部141EのY軸方向の中央部の下部側に捩れる分を矯正する調整用シム14Dを追加する。すなわち、主梁部141Eの背面に、反りを矯正する捩れ剛性の高いプレートを実装ヘッド150等の自重による捩れと逆の方向に捩る形で取り付け、捩れる量に応じて逆方向に捩れる力を主梁部141Eに付与することで捩れ量を相殺・低減する。これにより、主梁部141Eを軽量化し剛性低下してもその分を相殺する構造となり、軽量化と高精度の両立を可能にする。
【0060】
図17(A)に示すように、実装ヘッド150が主梁部141Eの端部側(脚部142E側)に位置する場合は、主梁部141Eの支持部に近く捩れにくい。
図17(B)、
図17(C)に示すように、実装ヘッド150が主梁部141Eの中央部に移動するほど、主梁部141Eの剛性に依存し捩れやすい。
【0061】
そこで、
図18(A)に示すように、主梁部141Eの端部側(脚部142E側)では、調整用シム14Dを挿入せず、
図18(B)、
図18(C)に示すように、主梁部141Eの中央部に近いほど多くの調整用シム14Dを挿入する。これにより、中央部ほど反り矯正プレート14Cの反力が大きくなり、捩れる量に応じて逆方向に捩れる力を主梁部141Eに付与することで捩れ量を相殺・低減することができる。
【0062】
(第五変形例)
第五変形例では反り矯正プレートに向け反力を発生する機構を設ける。第五変形例のYビームについて
図19を用いて説明する。
図19は第五変形例のYビームを模式的に示す図であり、
図19(A)は実装ヘッドが脚部側に位置する場合を示す側面図であり、
図19(B)は実装ヘッドが脚部側と中央部側の間に位置する場合を示す側面図であり、
図19(C)は実装ヘッドが中央部に位置する場合を示す側面図である。
【0063】
図19(A)に示すように、第四変形例のYビーム140Eは、主梁部141E内に送り部材147Fと、送り部材147Fを送るアクチュエータ148Fと、を備える。
【0064】
アクチュエータ148Aによって送り部材147FをX軸方向に送ることにより、反り矯正プレート14Cの下部をX方向に押すことができる。
【0065】
第四変形例と同様、
図17(A)に示すように、実装ヘッド150が主梁部141Eの端部側(脚部142E側)に位置する場合は、主梁部141Eの支持部に近く捩れにくい。
図17(B)、
図17(C)に示すように、実装ヘッド150が主梁部141Eの中央部に移動するほど、主梁部141Eの剛性に依存し捩れやすい。
【0066】
そこで、
図19(A)に示すように、実装ヘッド150が主梁部141Eの端部側に位置する場合は、送り部材147Fを押さず、
図19(B)、
図19(C)に示すように、実装ヘッド150が主梁部141Eの中央部に近いほど送り部材147Fを押す量を多くする。これにより、第四変形例と同様に、中央部ほど反り矯正プレート14Cの反力が大きくなり、捩れる量に応じて逆方向に捩れる力を主梁部141Eに付与することで捩れ量を相殺・低減することができる。
【0067】
また、実装ヘッドの位置決め位置に応じて補正テーブルまたは計算にて押す量を制御することにより、自動的にビームの捩れ補正が可能となる。この場合、ヘッド種類変更、組み換えなどによるヘッド重量変化にも追従可能となり、より簡便に捩れ矯正が可能になる。
【0068】
(第六変形例)
第一実施形態ではビームの撓みを矯正する例、第二実施形態ではビームの捩れを矯正する例を説明したが、ビームの撓みおよびビームの捩れの両方を矯正する例(第六変形例)について
図20を用いて説明する。
図20は第六変形例のYビームを模式的に示す図であり、
図20(A)は撓みが大きく捩れが小さい場合の構造を模式的に示す側面図であり、
図20(B)は撓みが小さく捩れが大きい場合の構造を模式的に示す側面図である。
【0069】
第六変形例のYビーム140Gは第二実施形態のYビーム140Dと同様な構造であるが、矯正部材144Dの押す位置を実機の状態に応じて調整できるように、雌ネジ部材146D、雄ネジ部材147およびアクチュエータ148のX軸方向の位置が変更可能である。
【0070】
Yビーム140Gの撓みが大きく、捩れが小さい場合は、
図20(A)に示すように、矯正部材144Dを押す位置をX軸方向の中央寄りに調整する。矯正部材144Dの中央付近を押すことにより、第一実施形態と同様な作用でYビーム140Gの撓みおよび第二実施形態と同様な作用でYビーム140Gの捩れを低減することができる。
【0071】
Yビーム140Gの撓みが小さく、捩れが大きい場合は、
図20(B)に示すように、矯正部材144Dを押す位置をX軸方向の外側寄りに調整する。矯正部材144Dの端部を押すことにより、第二実施形態と同様な作用でYビーム140Gの捩れおよび第一実施形態と同様な作用でYビーム140Gの撓みを低減することができる。
【0072】
よって、矯正部材144Dを押す位置を中央から端部の間で調整することにより、Yビーム140G撓みおよび捩れの両方を低減することができる。
【0073】
以下、上述の実施形態のYビームを実装装置の一例であるフリップチップボンダに適用した例について説明するが、これに限定されるものではなく、パッケージされた半導体装置等を基板に実装するチップマウンタ(表面実装機)や半導体チップ(ダイ)を基板等にボンディングするダイボンダにも適用することができる。なお、フリップチップボンダは、例えばチップ面積を超える広い領域に再配線層を形成するパッケージであるファンアウト型ウェハレベルパッケージ(Fan Out Wafer Level Package:FOWLP)等の製造に用いられる。
【実施例1】
【0074】
図21は実施例1のフリップチップボンダの概略を示す上面図である。
図22は
図21において矢印A方向から見たときに、ピックアップフリップヘッド、トランスファヘッド及びボンディングヘッドの動作を説明する図である。
【0075】
フリップチップボンダ10は、大別して、ダイ供給部1と、ピックアップ部2、トランスファ部8と、中間ステージ部3と、ボンディング部4と、搬送部5と、基板供給部6Kと、基板搬出部6Hと、各部の動作を監視し制御する制御装置7と、を有する。
【0076】
まず、ダイ供給部1は、基板等の基板Pに実装するダイDを供給する。ダイ供給部1は、分割されたウェハ11を保持するウェハ保持台12と、ウェハ11からダイDを突き上げる点線で示す突き上げユニット13と、ウェハリング供給部18と、を有する。ダイ供給部1は、図示しない駆動手段によってXY方向に移動し、ピックアップするダイDを突き上げユニット13の位置に移動させる。ウェハリング供給部18はウェハリングが収納されたウェハカセットを有し,順次ウェハリングをダイ供給部1に供給し、新しいウェハリングに交換する。ダイ供給部1は、所望のダイをウェハリングからピックアップできるように、ピックアップポイントに、ウェハリングを移動する。ウェハリングは、ウェハが固定され、ダイ供給部1に取り付け可能な治具である。
【0077】
ピックアップ部2は、ダイDをピックアップして反転するピックアップフリップヘッド21と、コレット22を昇降、回転、反転及びX方向移動させる図示しない各駆動部と、を有する。このような構成によって、ピックアップフリップヘッド21は、ダイをピックアップし、ピックアップフリップヘッド21を180度回転させ、ダイDのバンプを反転させて下面に向け、ダイDをトランスファヘッド81に渡す姿勢にする。
【0078】
トランスファ部8は、反転したダイDをピックアップフリップヘッド21から受けとり、中間ステージ31に載置する。トランスファ部8は、ピックアップフリップヘッド21と同様にダイDを先端に吸着保持するコレット82を備えるトランスファヘッド81と、トランスファヘッド81をY方向に移動させるY駆動部83と、を有する。
【0079】
中間ステージ部3は、ダイDを一時的に載置する中間ステージ31およびステージ認識カメラ34を有する。中間ステージ31は図示しない駆動部によりY方向に移動可能である。
【0080】
ボンディング部4は、中間ステージ31からダイDをピックアップし、搬送されてくる基板P上にボンディングする。ボンディング部4は、ピックアップフリップヘッド21と同様にダイDを先端に吸着保持するコレット42を備えるボンディングヘッド41と、ボンディングヘッド41をY方向に移動させるYビーム43と、基板Pの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンディング位置を認識する基板認識カメラ44と、X支持台45と、を有する。
このような構成によって、ボンディングヘッド41は、中間ステージ31からダイDをピックアップし、基板認識カメラ44の撮像データに基づいて基板PにダイDをボンディングする。
【0081】
搬送部5は、基板PがX方向に移動する搬送レール51,52を備える。搬送レール51,52は平行に設けられる。このような構成によって、基板供給部6Kから基板Pを搬出し、搬送レール51,52に沿ってボンディング位置まで移動し、ボンディング後基板搬出部6Hまで移動して、基板搬出部6Hに基板Pを渡す。基板PにダイDをボンディング中に、基板供給部6Kは新たな基板Pを搬出し、搬送レール51,52上で待機する。
【0082】
図23は
図21のダイ供給部の主要部を示す概略断面図である。
図23に示すように、ダイ供給部1は、ウェハリング14を保持するエキスパンドリング15と、ウェハリング14に保持され複数のダイDが粘着されたダイシングテープ16を水平に位置決めする支持リング17と、ダイDを上方に突き上げるための突き上げユニット13と、を有する。所定のダイDをピックアップするために、突き上げユニット13は、図示しない駆動機構によって上下方向に移動し、ダイ供給部1は水平方向には移動するようになっている。
【0083】
ボンディング部について実施形態を参照しながら
図7、24を用いて説明する。
図24はボンディング部4の主要部を示す概略側面図である。一部の構成要素は透視して示されている。なお、
図24の側面図は
図7の正面図に対応している。
【0084】
ボンディング部4は、架台53(架台110)の上に支持されるボンディングステージBS(実装ステージ120)と、搬送レール52,53の近傍に設けられるX支持台451(X支持台131)と、X支持台451の上に支持されるYビーム43(Yビーム140)と、Yビーム43に支持されるボンディングヘッド41(実装ヘッド150)と、ボンディングヘッド41をY軸方向およびZ軸方向に駆動する駆動部46(駆動部160)と、を備えている。
【0085】
ボンディングヘッド41は、ダイD(部品300)を着脱自在に保持するコレット42(保持手段151)を有する装置であり、Y軸方向に往復動自在にYビーム43に取り付けられている。
【0086】
本実施例の場合、ボンディングヘッド41を1本備えており、ボンディングヘッド41は、真空吸着によりダイDを保持するコレット42を備えている。また、駆動部46は、ボンディングヘッド41をZ軸方向に昇降させることができる。ボンディングヘッド41は中間ステージ31からピックアップしたダイDを保持して搬送し、ボンディングステージBSに吸着固定された基板P(ワーク200)上にダイDを取り付ける機能を備えている。
【0087】
X支持台451の上に設けられたガイド132は、Yビーム43をX軸方向に摺動自在に案内する部材である。本実施例の場合、2本のX支持台451が平行に配置されており、各X支持台451は、搬送レール52,53上にX軸方向に伸びた状態で固定されている。X支持台451は、搬送レール52,53と一体に形成されるものでもよい。
【0088】
図21、
図24に示すように、ガイド452の上にはスライダ433がX軸方向に移動自在に取り付けられている。そして、2つのガイド452の各スライダ433の上には、それぞれYビーム43の両端部が取り付けられている。つまり、Yビーム43は、ボンディングステージBSの上を跨るようにY軸方向に伸び、両端部はスライダ433に取り付けられてX支持台451に取り付けられたガイド452によってX軸方向に移動自在に支持されている。なお、Yビーム43の底面とスライダ433の上面は同一面上に位置するので、Yビーム43はX支持台451からそれほど高くない位置に設けられている。
【0089】
実施例1のYビーム43は第一実施形態のYビーム140と基本的には同様な構成である。ただし、Yビーム43は図面上右側の支持台451よりも右側に大きく延伸している。これは、ボンディングヘッド41が中間ステージ31からダイDをピックアップすることが可能とするためである。なお、ボンディングヘッド41が支持台451よりも右側に移動する場合は、コレット42がガイド452よりも高くなるようにボンディングヘッド41が上昇する。
【0090】
次に、実施例1のフリップチップボンダにおいて実施されるボンディング方法(半導体装置の製造方法)について
図25を用いて説明する。
図25は実施例1のフリップチップボンダで実施されるボンディング方法を示すフローチャートである。
【0091】
ステップS1:制御装置7はピックアップするダイDが突き上げユニット13の真上に位置するようにウェハ保持台12を移動し、剥離対象ダイを突き上げユニット13とコレット22に位置決めする。ダイシングテープ16の裏面に突き上げユニット13の上面が接触するように突き上げユニット13を移動する。このとき、制御装置7は、ダイシングテープ16を突き上げユニット13の上面に吸着する。制御装置7は、コレット22を真空引きしながら下降させ、剥離対象のダイDの上に着地させ、ダイDを吸着する。制御装置7はコレット22を上昇させ、ダイDをダイシングテープ16から剥離する。これにより、ダイDはピックアップフリップヘッド21によりピックアップされる。
【0092】
ステップS2:制御装置7はピックアップフリップヘッド21を移動させる。
【0093】
ステップS3:制御装置7はピックアップフリップヘッド21を180度回転させ、ダイDのバンプ面(表面)を反転させて下面に向け、ダイDのバンプ(表面)を反転させて下面に向け、ダイDをトランスファヘッド81に渡す姿勢にする。
【0094】
ステップS4:制御装置7はピックアップフリップヘッド21のコレット22からトランスファヘッド81のコレット82によりダイDをピックアップして、ダイDの受渡しが行われる。
【0095】
ステップS5:制御装置7は、ピックアップフリップヘッド21を反転し、コレット22の吸着面を下に向ける。
【0096】
ステップS6:ステップS5の前または並行して、制御装置7はトランスファヘッド81を中間ステージ31に移動する。
【0097】
ステップS7:制御装置7はトランスファヘッド81に保持しているダイDを中間ステージ31に載置する。
【0098】
ステップS8:制御装置7はトランスファヘッド81をダイDの受渡し位置に移動させる。
【0099】
ステップS9:ステップS8の後または並行して、制御装置7は中間ステージ31をボンディングヘッド41との受渡し位置に移動させる。
【0100】
ステップSA:制御装置7は中間ステージ31からボンディングヘッド41のコレットによりダイDをピックアップして、ダイDの受渡しが行われる。
【0101】
ステップSB:制御装置7は中間ステージ31をトランスファヘッド81との受渡し位置に移動させる。
【0102】
ステップSC:制御装置7は、ボンディングヘッド41のコレット42が保持しているダイDを基板P上に移動する。
【0103】
ステップSD:制御装置7は、中間ステージ31からボンディングヘッド41のコレット42でピックアップしたダイDを基板P上に載置する。
【0104】
ステップSE:制御装置7はボンディングヘッド41を中間ステージ31との受渡し位置に移動させる。
【実施例2】
【0105】
図26は実施例2のフリップチップボンダの概略を示す上面図である。
【0106】
フリップチップボンダ10Aは、大別して、ダイ供給部1と、ピックアップ部2、トランスファ部8A,8Bと、中間ステージ部3と、ボンディング部4A,4Bと、搬送部5と、基板供給部6Kと、基板搬出部6Hと、各部の動作を監視し制御する制御装置7と、を有する。
【0107】
ダイ供給部1は実施例1と同様である。ピックアップ部2は実施例1と同様であり、ピックアップフリップヘッド21は、ダイをピックアップし、ピックアップフリップヘッド21を180度回転させ、ダイDのバンプを反転させて下面に向け、ダイDをトランスファヘッド81A,81Bに渡す姿勢にする。
【0108】
トランスファ部8A,8Bは、反転したダイDをピックアップフリップヘッド21から受けとり、中間ステージ31A,31Bに載置する。トランスファ部8A,8Bは、ピックアップフリップヘッド21と同様にダイDを先端に吸着保持するコレット82A,82Bを備えるトランスファヘッド81A,81Bと、トランスファヘッド81A,81BをX軸方向に移動させるX駆動部83A,83Bと、を有する。
【0109】
中間ステージ部3A,3Bは、ダイDを一時的に載置する中間ステージ31A,31Bおよびステージ認識カメラ34A,34Bを有する。中間ステージ31A,31Bは図示しない駆動部によりY軸方向に移動可能である。
【0110】
ボンディング部4A,4Bは、中間ステージ31A,31BからダイDをピックアップし、搬送されてくる基板P上にボンディングする。ボンディング部4A,4Bは、ピックアップフリップヘッド21と同様にダイDを先端に吸着保持するコレット42A,42Bを備えるボンディングヘッド41A,41Bと、ボンディングヘッド41A,41BをY軸方向に移動させるYビーム43A,43Bと、基板Pの位置認識マーク(図示せず)を撮像し、ボンディング位置を認識する基板認識カメラ44A,44Bと、X支持台45と、を有する。
このような構成によって、ボンディングヘッド41A,41Bは、中間ステージ31A,31BからダイDをピックアップし、基板認識カメラ44A,44Bの撮像データに基づいて基板PにダイDをボンディングする。
【0111】
搬送部5は、基板PがX方向に移動する搬送レール51,52を備える。搬送レール51,52は平行に設けられる。このような構成によって、基板供給部6Kから基板Pを搬出し、搬送レール51,52に沿ってボンディング位置まで移動し、ボンディング後基板搬出部6Hまで移動して、基板搬出部6Hに基板Pを渡す。基板PにダイDをボンディング中に、基板供給部6Kは新たな基板Pを搬出し、搬送レール51,52上で待機する。
【0112】
Yビーム43Aは実施例1のYビーム43と同様であり、Yビーム43BはYビーム43Aと対称な構成である。
【0113】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態、変形例および実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上記実施形態、変形例および実施例に限定されるものではなく、種々変更可能であることはいうまでもない。
【0114】
例えば、実施形態では、矯正部材に軽量高剛性素材(CFRP)を用いる例を説明したが、これに限定されるものではなく、矯正部材に形状記憶合金を用い、形状が戻る時にビームの撓みまたは捩れに反力が働く形状とし、形状記憶温度をコントロールすることで撓み量または捩れ量をコントロールするようにしてもよい。また、磁性形状記憶合金を用いてもよい。さらに、バイメタルを用いてリニアに温度で反力を調整できるようにしてもよい。
【0115】
また、第一実施形態および第二実施形態では、ビーム140および実装ヘッド150にジャイロセンサや水平検出センサなどの角度検出センサ等を設け、このセンサの信号をもとにアクチュエータ148を制御する例を説明したが、以下のようにしてもよい。事前に実装する製品の実装動作プログラムで動作させた時にサンプリングしたセンサ出力信号を制御装置の記憶部に記憶し、記憶部に記憶したセンサ信号出力と撓みまたは捩れを矯正するためのアクチュエータ出力の相関を事前に算出して記憶部に記憶する。その記憶した相関およびセンサの信号に基づいて、撓みや捩れをキャンセルさせる制御を実装製品毎のプログラム(レシピ:製品毎の動作シーケンス)に応じて実施し、レスポンスよく撓みや捩れをなくすようにしてもよい。
【0116】
また、実施例1、2では第一実施形態のYビームを用いた例を説明したが、これに限定されるものではなく、第二実施形態、第一変形例から第六変形例のいずれか一つまたは組み合わせたYビームを用いてもよい。
【0117】
また、実施例1、2ではボンディングヘッド(実装ヘッド)が一つの例を説明したが、これに限定されるものではなく、実施形態と同様に複数のボンディングヘッドであってもよい。
【0118】
また、実施例1、2では反転機構をピックアップフリップヘッドに設けて、トランスファヘッドでピックアップフリップヘッドからダイを受け取り中間ステージに載置し、中間ステージを移動する例を説明したが、これに限定されるものではなく、ダイをピックアップして反転したピックアップフリップヘッドを移動するようにしてもよいし、ダイの表裏を回転できるステージユニットにピックアップしたダイDを載置し、ステージユニットを移動するようにしてもよい。