(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
光反射部材内に第1積層体および前記第1積層体と隣接する第2積層体を含む複数の積層体が第1方向に配列された中間構造体であって、各前記積層体は、前記第1方向と直交する第2方向に順に配列された第1電極および第2電極と、前記第1電極および第2電極と接続する半導体積層体と、前記半導体積層体上に配置された透光性部材と、を備え、前記第1電極および第2電極が前記光反射部材から露出する第1面を有する中間構造体を準備する工程と、
前記第1面において、前記第2方向から見て前記第1積層体の第1電極と前記第2積層体の第1電極との間にある前記光反射部材に第1孔を形成し、前記第2方向から見て前記第1積層体の第2電極と前記第2積層体の第2電極との間にある前記光反射部材に第2孔を形成する工程と、
前記第1積層体および前記第2積層体それぞれの前記第1電極および第2電極の前記第1面における露出面、前記第1孔内および前記第2孔内に導電膜を形成する工程と、
前記第1孔および前記第2孔を通る位置で前記光反射部材および前記導電膜を切断し複数の発光装置を得る工程と、
を備える発光装置の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態>
以下、実施形態に係る発光装置の製造方法、製造後の発光装置の構成、この発光装置を搭載した光源装置の構成について順に説明する。なお、以下で参照する各図は模式的なものであり、構成要素は適宜強調又は省略されている。また、図間において、構成要素の寸法比は必ずしも一致していない。また、本開示において「垂直」または「直交」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が90°から±3°程度の範囲にある場合を含む。本開示において「平行」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面等が0°から±3°程度の範囲にある場合を含む。
【0009】
本実施形態に係る発光装置の製造方法は、中間構造体23を準備する工程と、第1孔80aおよび第2孔80bを形成する工程と、導電膜25を形成する工程と、複数の発光装置1を得る工程と、を備える。
【0011】
(中間構造体23を準備する工程)
まず、光反射部材21内に第1積層体20aおよび第1積層体20aと隣接する第2積層体20bを含む複数の積層体20が第1方向に配列された中間構造体23を準備する。各積層体20は、第1方向と直交する第2方向に順に配列された第1電極12aおよび第2電極12bと、第1電極12aおよび第2電極12bと接続する半導体積層体11と、半導体積層体11上に配置された透光性部材16とを含む。また、中間構造体23は、第1電極12aおよび第2電極12bが光反射部材21から露出する第1面23aを有する。中間構造体23を準備する工程は、以下に説明する製造工程の一例により製造して準備してもよく、予め製造された中間構造体23を購入する等して準備してもよい。
【0012】
以下、中間構造体23を製造して準備する場合の一例を順に説明する。
【0013】
まず、
図1A及び
図1Bに示すように、基板100を準備する。基板100は、例えば、母材として絶縁性の基材を有し、上面100aに金属層101a及び金属層101bを有する。金属層101a及び金属層101bは複数対あり、例えばマトリクス状に配列されている。
【0014】
本明細書においては、説明の便宜上、XYZ直交座標系を採用する。金属層101aが配列された方向、及び、金属層101bが配列された方向を「X方向」(第1方向)とし、対をなす金属層101a及び金属層101bが配列された方向を「Y方向」(第2方向)とし、X方向及びY方向に対して直交する方向、すなわち、上面100aに対して垂直な方向を「Z方向」(第3方向)とする。
【0015】
金属層101aおよび金属層101bは、
図1Bで示すように、上面に凸部101cを備えることができる。凸部101cは、後述する発光素子10の電極と対向する領域に位置する。凸部101cの上面の平面形状は、対応する発光素子10の電極の平面形状と略同じ形状であることが好ましい。これにより、接合部材103を介して一対の凸部101c上に発光素子10を配置する際に、発光素子10にセルフアライメントが効果的に働き、発光素子10の実装精度を向上させることができる。例えば、凸部101cの上面および発光素子10の電極の平面形状は、それぞれの対応する辺が略同じ長さ(許容範囲は±5%以下であり、好ましくは±3%以下である)を有する矩形状とすることができる。なお、本実施形態においては、図を簡略化するために、基板100に金属層101a及び101bが4対のみ設けられた例を示しているが、これには限定されず、より多くの金属層101a及び101bが設けられてもよい。
【0016】
基板100は、後述するように、発光装置1となる段階では除去される。基板100の最大厚みは、例えば、100μm以上500μm以下であり、200μm以上300μm以下であることが好ましい。これにより、基板100の強度を保ちつつ、基板100の除去工程を容易にすることができる。基板100の母材としては、例えば、ガラス繊維強化樹脂を用いることができる。ガラス繊維強化樹脂は、例えば、熱膨張係数が3ppm/℃〜10ppm/℃のBTレジンを用いる事が好ましい。これにより、接合部材103としてAuSn合金等の融点の高い接合部材を用いることができる。また、ガラス繊維強化樹脂は、熱膨張係数が14ppm/℃〜15ppm/℃のFR4材であってもよい。これにより、接合部材103として融点が低い半田等を用いることで、基板100の信頼性を向上させることができる。また、母材中に含まれるガラス繊維は、例えば30重量%〜70重量%であり、40重量%〜60重量%であることが好ましい。これにより、基板100の除去工程を容易に行うことができる。
【0017】
金属層101aおよび金属層101bは、例えば銅や銅合金等を母材として用いることができる。また、金属層101aおよび金属層101bは、銅又は銅合金の母材上に、リンを含むニッケルめっき、パラジウムめっき、第1金めっきおよび第2金めっきを順に備えることができる。銅又は銅合金を含む母材上に上記のめっきを積層することで、銅または銅合金に含まれる銅成分が拡散することを抑制でき、さらに金属層101a等の表面における酸化や硫化等の腐食を抑制することができる。これにより、例えば、基板100を長期間に渡って保管したとしても、基板100の劣化を抑制することができる。
【0018】
基板100は、上面100aに認識対象部102を有することが好ましい。認識対象部102は上面100a側から見たときの金属層101aおよび金属層101bとの位置関係を把握するための目印である。認識対象部102は、例えば、導電性材料で形成されたマークである。認識対象部102は、凸部、凹部または凸部と凹部を組み合わせた形状とすることができる。認識対象部102の位置及び数は任意であるが、後の工程において光反射部材21によって覆われない位置に配置する。
【0019】
認識対象部102は、金属層101aおよび金属層101bを形成する工程と同時に形成することができる。金属層101aおよび金属層101bを形成する工程と同時に認識対象部102を形成することで、後述する認識対象部102を目印とした素子載置工程等の位置精度が向上する。認識対象部102は、例えば、銅又は銅合金の母材上に、リンを含むニッケルめっき、パラジウムめっき、第1金めっきおよび第2金めっきを順に備えた部材とすることができる。
【0020】
次に、
図2A及び
図2Bに示すように、金属層101a上及び金属層101b上に接合部材103を設ける。接合部材103は、例えば半田である。金属層101aおよび金属層101bが凸部101cを有する場合は、凸部101c上に接合部材103を設ける。そして、認識対象部102を基準として、基板100に発光素子10を実装する。発光素子10は、第1電極12aおよび第2電極12bの下面と、基板100の金属層101aおよび金属層101bの上面とが対向するように実装される。発光素子10は、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)である。発光素子10には、半導体積層体11と、第1電極12aおよび第2電極12bが設けられている。発光素子10は、半導体積層体11の第1電極12aおよび第2電極12bと接続する面の反対側の面に成長基板を有していてよい。半導体積層体11においては、n層、発光層及びp層が積層されている。n層及びp層のうちの一方は第1電極12aに接続されており、他方は第2電極12bに接続されている。電極12a及び12bは例えば銅(Cu)等の金属材料からなる。発光素子10を基板100に搭載することにより、発光素子10の第1電極12aは接合部材103を介して金属層101aに接続され、第2電極12bは接合部材103を介して金属層101bに接続される。
【0021】
次に、
図3A及び
図3Bに示すように、透光性部材16を準備する。透光性部材16は、
図3A及び
図3Bに示すように、好適には蛍光体層14と透光層15とが積層された部材である。蛍光体層14は蛍光体を含有し、透光層15は実質的に蛍光体を含有しない。蛍光体を実質的に含有しないとは、蛍光体が不可避的に混入することを排除しないことを意味する。なお、透光性部材16は、蛍光体層14のみでもよく、透光層15のみでもよい。蛍光体層14および/または透光層15は、単層でもよく複数層でもよい。蛍光体層14が複数層である場合、発光素子10の光を吸収して緑色の光を放射する緑色蛍光体を含有する層と、発光素子10の光を吸収して赤色の光を放射する赤色蛍光体を含有する層とを備えることができる。また、例えば、蛍光体層14は単層であり、一の層に緑色蛍光体および赤色蛍光体を含有していてもよい。
【0022】
次に、発光素子10の上面上に接着剤層13を配置し、発光素子10と透光性部材16とを接着させる。透光性部材16が蛍光体層14および透光層15を有する場合、例えば、蛍光体層14と接着剤層13とが接触する向きで発光素子10の上面上に透光性部材16が接着される。透光性部材16を接着させた後の接着剤層13(以下、導光部材13という)は、発光素子10の上面に加えて発光素子10の側面を被覆することが好ましい。これにより、透光性部材16と発光素子10との密着強度を向上させることができる。また、導光部材13は、発光素子10の発光層を被覆していることが好ましい。これにより、発光素子10の側面に到達した光の一部が側面で反射され発光素子10内で減衰することを抑制でき、その光を導光部材13を通して発光素子10の外側に取り出すことができる。
【0023】
接着剤層13および導光部材13は、光の透過率が高いことが好ましい。そのため、通常は、接着剤層13および導光部材13に、光を反射、吸収又は散乱する添加物は実質的に含有しないことが好ましい。添加物を実質的に含有しないとは、添加物が不可避的に混入することを排除しないことを意味する。なお、接着剤層13および導光部材13は、光拡散粒子及び/又は蛍光体を含有してもよい。
【0024】
このようにして、基板100上に、第2方向(Y方向)に順に配列された第1電極12aおよび第2電極12bと、第1電極12aおよび第2電極12bと接続する半導体積層体11と、半導体積層体11上に配置された透光性部材16とを含む積層体20が複数形成される(
図4A及び
図4B参照)。
【0025】
次に、
図5A及び
図5Bに示すように、基板100上に光反射部材21を形成する。光反射部材21は、一対の金属層101a,101b、接合部材103および積層体20を覆う。光反射部材21を形成する工程は、例えば、複数の積層体20が形成された基板100を金型内に配置し、金型内に光反射部材21となる樹脂材料を注入し、樹脂材料を固体化することにより行うことができる。光反射部材21は、認識対象部102を覆わないように形成することが好ましい。これにより、後述する第1溝105等の溝を形成する工程において、認識対象部102を基準として精度良く溝を形成することができる。光反射部材21は、例えば、白色樹脂により形成する。これにより、基板100上に光反射部材21及び複数の積層体20を含む中間構造体23が形成される。中間構造体23においては、光反射部材21内に第1積層体20aおよび第1積層体20aと隣接する第2積層体20bを含む複数の積層体20が第1方向(X方向)に沿って配列されている。
【0026】
図6A及び
図6Bにおいて、中間構造体23の下面を第1面23aとし、上面を第2面23bとする。中間構造体23の第1面23aは、第2面23bの反対側の面であり、基板100の上面100aに対向している。
図6A及び
図6Bで示すように、中間構造体23の第2面23bにおいて、認識対象部102を基準として、第2方向(Y方向)に延びる溝105a及び105bと、第1方向(X方向)に延びる溝105cとを形成することが好ましい。つまり、認識対象部102を基準として、得られる発光装置1の発光面側の形状を形成することが好ましい。これにより、発光装置1の発光面側の形状を精度良く形成することができる。
【0027】
図6Aでは、第1方向(X方向)において、溝105aと溝105bは交互に配列されている。溝105aは溝105bよりも太く、かつ、深くなっている。溝105a及び105bを総称して「第1溝105」という。第1溝105は、光反射部材21における積層体20間毎に1本ずつ形成する。第1溝105は、第3方向(Z方向)において、中間構造体23を貫通しないことが好ましい。これにより、中間構造体23の強度の低下を抑制することができ、後の工程を容易にする。溝105cは、例えば、溝105aと同じ幅であり、同じ深さである。溝105a、溝105bおよび溝105cは、ダイシングやレーザ等により形成することができる。なお、溝105a及び溝105bは、同じ幅でもよく、また同じ深さでもよい。これにより、例えば、溝105a、105b、105cを1種類のブレードにより形成することができる。
【0028】
ここで、溝105a、105b、105cの幅および深さの好ましい形態について説明する。溝105aの幅は、中間構造体23の第2面23bにおいて、第1方向(X方向)において隣接する積層体20間の離隔距離の例えば0.2倍〜0.9倍であり、0.3倍〜0.75倍であることが好ましい。また、溝105aの幅は、中間構造体23の第2面23bにおいて、25μm以上200μm以下であり、50μm以上100μm以下であることが好ましい。溝105bの幅は、中間構造体23の第2面23bにおいて、第1方向(X方向)において隣接する積層体20間の離隔距離の例えば0.15倍〜0.5倍であり、0.2倍〜0.35倍であることが好ましい。また、溝105bの幅は、中間構造体23の第2面23bにおいて、25μm以上150μm以下であり、40μm以上80μm以下であることが好ましい。溝105cの幅は、中間構造体23の第2面23bにおいて、第2方向(Y方向)において隣接する積層体20間の離隔距離の例えば0.25倍〜0.65倍であり、0.3倍〜0.55倍であることが好ましい。また、溝105cの幅は、中間構造体23の第2面23bにおいて、25μm以上200μm以下であり、50μm以上100μm以下であることが好ましい。
【0029】
溝105aおよび溝105bの底面は、第3方向(Z方向)において、発光素子10の上面よりも下側に位置することが好ましい。これにより、溝105aおよび溝105bにより形成される側面105a1,105b1と透光性部材16の側面との間にある光反射部材21の厚みを所望の厚みにすることができる。これにより、例えば、該領域の光反射部材21の厚みを透光性部材16の側面から外側に出る光が光反射部材21を透過して外側に漏れ出ることを抑制した厚みとすることができる。その結果、光取り出しが良好な発光装置を得ることができる。溝105aおよび溝105bにより形成される側面105a1,105b1と透光性部材16の側面との間にある光反射部材21の厚みは、例えば、15μm〜50μmであり、20μm〜30μmであることが好ましい。また、溝105aおよび溝105bにより形成される側面105a1,105b1と透光性部材16の側面との間にある光反射部材21の厚みは、例えば、第1方向(X方向)における発光素子10の厚みの3/40倍〜1/4倍であり、1/10倍〜3/20倍であることが好ましい。
【0030】
また、溝105bの底面は、第3方向(Z方向)において、溝105aの底面よりも上側に位置することが好ましい。後述する第1孔80aおよび第2孔80bを形成する工程では、好適には、第1孔80aおよび第2孔80bは溝105bに貫通せず、かつ、溝105bに対向して形成される。このような場合に、溝105bの底面を溝105aの底面よりも上側に位置させることで、第1孔80aおよび第2孔80bを第3方向(Z方向)において深く形成することができる。その結果、第1孔80aおよび第2孔80b内の導電膜25を形成する領域を広く確保することができる。これにより、得られる発光装置1の実装面に位置する導電膜25の面積が大きくなるため、接合部材52を介して発光装置1を実装基板51に実装する際に発光装置1と実装基板51との接合強度を向上させることができる。一方で、溝105aの底面を溝105bの底面よりも下側に位置させることで、溝105aにより形成される側面105a1,105b1と積層体20の側面との間にある光反射部材21の厚みを広い範囲で所望の厚みにすることができる。これにより、積層体20の側面から外側に出る光が光反射部材21を透過して外側に漏れ出ることを抑制することができる。これにより、例えば、該領域の光反射部材21の厚みを、積層体20の側面から外側に出る光が光反射部材21を透過して外側に漏れ出ることを抑制した厚みとすることができる。なお、溝の底面が曲面である場合は、曲面全体を溝の底面とする。
【0031】
次に、
図7A及び
図7Bに示すように、中間構造体23の第2面23bに位置する光反射部材21を除去する。これにより、新たに形成された第2面23bにおいて透光性部材16の透光層15が露出する。光反射部材21を除去する工程は、第2面23bに位置する光反射部材21に加えて、その下方に位置する透光性部材16の透光層15の一部を除去してもよい。蛍光体層14の上方に透光層15が位置することで、光反射部材21を除去する工程において、蛍光体層14が意図せず除去される可能性を低減することができる。光反射部材21を除去する方法としては、研削、エッチング、切削、ブラスト等の公知の方法を用いることができる。なお、中間構造体23の第2面23bを除去する工程は、溝105a、溝105bおよび溝105cを形成する工程の前に行ってもよい。
【0032】
次に、
図8A及び
図8Bに示すように、中間構造体23の第2面23bを、粘着シート121を介して、キャリア122に固定する。キャリア122は、例えば、シリコンウェハ又は金属基板である。以後の説明においては、これまでの説明に対して、図示の上下方向を逆転させる。すなわち、
図1A〜
図7Bにおいては、半導体積層体11から透光性部材16に向かう方向を図示の上方向としていたが、
図8A〜
図11Bにおいては、透光性部材16から半導体積層体11に向かう方向を図示の上方向とし、説明もこれに合わせて記載する。
【0033】
次に、基板100を除去する。基板100を除去する工程においては、基板100の上側から発光素子10の第1電極12a及び第2電極12bの一部の範囲までを、例えば、研削機械を用いて研削が行われる。基板100を除去する工程では、光反射部材21の一部および接合部材103の一部が除去される。基板100を除去することで、後の工程において製造される発光装置1を小型化することができる。基板100の除去方法としては、研削、エッチング、切削、ブラスト等の公知の方法を用いることができる。特に、基板100を除去する方法として研削を用いることが好ましい。これにより、光反射部材21の露出面、第1電極12a及び第2電極12bの露出面、及び、接合部材103の露出面が同一平面上に位置し、中間構造体23の第1面23aを平坦にすることができる。その結果、複数の発光装置1において発光装置1の形状等のばらつきを抑制することができる。基板100を除去することにより、中間構造体23を準備することができる。中間構造体23の第1面23aにおいて、電極12a及び12bが露出する。基板100を除去することにより、得られる発光装置1の発光面から背面までの厚みを小さくすることができ、小型の発光装置1を得ることができる。なお、接合部材103は、一部のみが除去されてもよく、全てが除去されてもよい。
【0034】
また、基板100を除去する工程の後に、洗浄工程を行うことが好ましい。洗浄工程を行うことにより、中間構造体23の表面に基板100等の除去くずが付着して残存していたとしても、除去くずを効果的に除去することができる。洗浄工程は、気体または液体の吹き付け、固体二酸化炭素等の昇華する粒子の吹き付け、又は液体に浸漬等をすることにより行われる。
【0035】
以上が、中間構造体23を製造して準備する場合の一例の説明である。なお、前述したように、中間構造体23を準備する工程は、例えば
図8Aおよび
図8Bで示す中間構造体23を購入する等して準備してもよい。
【0036】
(第1孔80aおよび第2孔80bを形成する工程)
次に、
図9A及び
図9Bに示すように、中間構造体23の第1面23aにおいて、第1積層体20aの第1電極12aと第2積層体20bの第1電極12aとの間にある光反射部材21に第1孔80aを形成し、第1積層体20aの第2電極12bと第2積層体20bの第2電極12bとの間にある光反射部材21に第2孔80bを形成する。第1孔80aおよび第2孔80bは、後述する導電膜25を形成する工程において、発光装置1の実装面となる面に導電膜25を配置するために形成される。中間構造体23が第1溝105を有する場合、例えば第1孔80aおよび第2孔80bは溝105bに対向する位置に形成される。なお、第1孔80aは、上面視において、第1孔80aの全てが隣接する第1電極12a間に位置するように形成されてもよく、第1孔80aの一部が隣接する第1電極12a間に位置するように形成されてもよい。第2孔80bについても同様である。
【0037】
図9Aおよび
図9Bでは、第1孔80aおよび第2孔80bは、第1面23aにおいて開口し、第1面23aの反対側にある第2面23bにおいて開口しないように形成されている。中間構造体23が第1溝105を有する場合、第1孔80aおよび第2孔80bは溝105bには到達させないことが好ましい。これにより、導電膜25が発光面側に意図せず形成されることを防止することができる。なお、第1孔80aおよび第2孔80bは、第1面23aおよび第2面23bにおいて開口するように形成してよい。これにより、導電膜25を広い範囲に形成することができるため、接合部材を介して発光装置1を実装基板51上に配置する際に、発光装置1と実装基板51との接合強度を向上させることができる。
【0038】
第1孔80aおよび第2孔80bは、1つおきの第1溝105に対向する位置に形成されることが好ましい。
図9A及び
図9Bでは、第1孔80aおよび第2孔80bは、溝105bに対向する位置に形成され、溝105aに対向する位置には形成されていない。
図9A及び
図9Bでは、一対の孔(第1孔80aおよび第2孔80b)は、隣接する積層体20間に配置されている。つまり、2つの積層体20で一対の孔を共通して備えている。これにより、1つの積層体20に対して一対の孔を形成する場合に比べて、複数の積層体20間の距離を小さくすることができる。その結果、中間構造体23から得られる発光装置1の取り個数を増加させることができる。
【0039】
第1孔80aは、第1積層体20aの第1電極12aと第2積層体20bの第1電極12aとの間に1つのみ形成してもよく、2つ以上形成してもよい。また、第2孔80bは、第1積層体20aの第1電極12aと第2積層体20bの第1電極12aとの間に1つのみ形成してもよく、2つ以上形成してもよい。第1孔80aおよび/または第2孔80bが2つ以上あることで、後述する導電膜25と中間構造体23との密着強度が向上する。また、隣接する積層体20間において、第1孔80aと第2孔80bとの間に第3孔が形成されてもよい。第3孔は、隣接する第1電極12a間および隣接する第2電極12b間に位置しない。第3孔は、内面に導電膜25が形成されてもよく、内面に導電膜25が形成されず光反射部材21のみが位置していてもよい。
【0040】
図9Cに示すように、第1孔80aおよび第2孔80bそれぞれは、第1切断ラインX1および第2切断ラインY1に対して開口するように形成することができる。第1切断ラインX1は第1方向(X方向)に平行な切断ラインであり、第2切断ラインY1は第2方向(Y方向)に平行な切断ラインである。発光装置1は、一対の第1切断ラインX1および一対の第2切断ラインY1を通って切断することにより得られる。また、一対の第2切断ラインY1のうち少なくとも1つの第2切断ラインY1は、第1孔80aおよび第2孔80bを通るように設定される。第1切断ラインX1および第2切断ラインY1に対して開口するように第1孔80aおよび第2孔80bを形成することで、発光装置1の実装面において幅の広い導電膜25を形成することができる。これにより、発光装置1の実装面側における放熱性が向上する。また、発光装置1を実装基板51上に配置する際に、接合部材と発光装置1との密着面積が増加し、発光装置1と実装基板51との密着強度が向上する。
【0041】
なお、第1孔80aおよび第2孔80bそれぞれは、
図9Aに示すように、第2切断ラインY1に対して開口し、かつ、第1切断ラインX1に対して開口しないように形成してもよい。これにより、得られる発光装置1において、第1方向(X方向)に位置する一対の側面は孔の一部が形成されていない。その結果、例えば、接合部材を介して実装基板51上に発光装置1を実装する際に、発光装置1の第1方向(X方向)に位置する一対の側面から接合部材が外側に流れていくことを抑制することができる。これにより、接合部材を含んだ発光装置1の実装面積を小さくすることができる。
【0042】
また、第2方向(Y方向)において、第1孔80aおよび第2孔80bの長さは、第1電極12aおよび第2電極12bの長さよりも長いことが好ましい。これにより、半田等の接合部材を用いて発光装置1を実装基板上に実装する際に、発光装置1にツームストーン現象が起きたり、発光装置1の光出射面30aが傾斜した状態で発光装置1が配置されたりする可能性を低減することができる。
【0043】
第1孔80aおよび第2孔80bの幅は、第1方向(X方向)において隣接する第1電極12a間の離隔距離の例えば0.45倍〜0.6倍であり、0.5倍〜0.55倍であることが好ましい。また、第1孔80aおよび第2孔80bの幅は、中間構造体23の第1面23aにおいて、100μm以上180μm以下であり、120μm以上160μm以下であることが好ましい。また、第1孔80aおよび第2孔80bの幅は、溝105a及び溝105bの幅よりも大きくすることができる。これにより、第1孔80aおよび第2孔80b内に形成される導電膜25の体積を増やすことができ、得られる発光装置1の放熱性を向上させることができる。
【0044】
(導電膜25を形成する工程)
次に、
図10A及び
図10Bに示すように、中間構造体23の第1面23aにおいて露出する各積層体20の第1電極12aおよび第2電極12b上と、第1孔80aおよび第2孔80bの内面上に導電膜25を形成する。導電膜25を形成する方法としては、スパッタ、蒸着、塗布、スタンピング、印刷、ALD、CVD、めっき等の公知の方法を用いることができる。特に、導電膜25を形成する方法としてスパッタを用いることが好ましい。スパッタを用いることで、第1面23aにおいて露出する第1電極12a及び第2電極12bと、第1面23aおよび第1孔80aおよび第2孔80bの内面に位置する光反射部材21との接合強度が向上しやすくなる。これにより、第1面23a上および第1孔80aおよび第2孔80bの内面上から導電膜25が剥がれることを抑制することができる。
【0045】
導電膜25を形成する方法として、例えばスパッタを用いる場合、第1電極12aと第2電極12bとの間の電極間領域107等にも導電膜25が形成されうる。このような場合に、不要な領域に形成された導電膜25を選択的に除去する工程を行う。導電膜25を選択的に除去する工程は、例えば、レーザ光の照射、エッチング法、ブラスト又はフォトリソグラフィ法により、導電膜25を選択的に除去する。具体的には、第1面23aにおける第1電極12aと第2電極12bとの間の電極間領域107を被覆する導電膜25を除去すると共に、隣り合う第1電極12a間、及び、隣り合う第2電極12b間の領域であって、第1孔80aおよび第2孔80bが形成されていない電極間領域108を被覆する導電膜25を除去する。これにより、電極間領域107及び108に位置する光反射部材21が露出する。一方、電極12a及び12bは、導電膜25によって覆われている。また、第1孔80aおよび第2孔80bの内面も導電膜25によって覆われている。
【0046】
導電膜25を選択的に除去する方法として、レーザ光の照射を用いることが好ましい。レーザ光の照射を用いることでマスクなどを用いることがなく、導電膜25のパターニングをすることができる。また、導電膜25にレーザ光を照射させることで、レーザアブレーションを生じさせ導電膜25の一部を除去することができる。なお、レーザアブレーションとは、固体の表面に照射されるレーザ光の照射強度がある大きさ(閾値)以上になると、固体の表面が除去される現象のことである。レーザ光の照射を用いて導電膜25を除去する場合には、レーザ光の波長は、導電膜25に対する反射率が低い波長、例えば反射率が90%以下である波長を選択することが好ましい。例えば、導電膜25の最表面が金(Au)である場合には、赤色領域(例えば640nm)のレーザよりも、緑色領域(例えば550nm)より短い発光波長のレーザを用いることが好ましい。これにより、レーザアブレーションを効率よく発生させ、量産性を高めることができる。
【0047】
なお、例えば、マスクを形成して導電膜25を設けたり、導電性ペーストを部分的に設けることにより、第1電極12aおよび第2電極12b上と、第1孔80aおよび第2孔80bの内面上にのみ導電膜25を形成してもよい。これにより、導電膜25を選択的に除去する工程等を省略することができ、製造工程を短縮することができる。導電性ペーストを部分的に設ける場合は、例えば、隣接する第1電極12aの間および隣接する第2電極12bの間に導電性ペーストをスタンピングすることで、第1電極12a上および第1孔80aに連続して設けられた導電膜25を形成しつつ、第2電極12b上および第2孔80bに連続して設けられた導電膜25を形成することができる。
【0048】
導電膜25は、耐腐食性や耐酸化性に優れたものを用いることが好ましい。例えば、導電膜25の最表面の層は、金や白金等の白金族元素の金属である。特に、導電膜25の最表面は、半田付け性の良好な金であることが好ましい。
【0049】
導電膜25は単一の材料の一層のみで構成されてもよく、異なる材料の層が積層されて構成されていてもよい。導電膜25は、金、銀、錫、白金、ロジウム、チタン、ルテニウム、モリブデン、タンタル、アルミニウム、タングステン、パラジウム若しくはニッケル、又はこれらの合金を含む層で構成することができる。特に、導電膜25は、ルテニウム、モリブデン、タンタル等の高融点の金属を含むことが好ましい。これにより、導電膜25の耐熱性を向上させることができる。例えば、導電膜25が複数の層から構成される場合、これらの高融点の金属を、導電膜25の最表層の内側に設けることで、半田に含まれるSnが発光装置1内に拡散していくことを抑制できる。導電膜25は、例えば、Ni/Ru/Au、Ti/Pt/Au等の積層構造とすることができる。また、ルテニウム等の高融点の金属を含む金属層の厚みとしては、10Å〜1000Å程度が好ましい。
【0050】
第1面23aにおける導電膜25の平面形状は、矩形状、円形状、楕円形状、またはこれらの形状の組み合わせとすることができる。また、第1面23aにおける導電膜25の外縁は、直線、曲線または直線と曲線を組み合わせた形状とすることができる。例えば、第1面23aにおける導電膜25の平面形状は、L字状やT字状とすることができる。また、第1電極12a上の導電膜25の平面形状と第2電極12b上の導電膜25の平面形状とは異なっていてもよい。それぞれの導電膜25の平面形状を異ならせることで、例えば、発光装置1の極性を区別しやすくなる。
【0051】
第1面23a上に位置する導電膜25の厚みと第1孔80aおよび第2孔80bの内面に位置する導電膜25の厚みとは、同じでもよく、異なっていてもよい。第1面23a上に位置する導電膜25の厚みが第1孔80aおよび第2孔80bの内面に位置する導電膜25の厚みよりも厚い場合、発光素子10が発する熱を第1面23a上に位置する導電膜25を介して外部に効率的に放熱することができる。また、第1孔80aおよび第2孔80bの内面に位置する導電膜25の厚みが第1面23a上に位置する導電膜25の厚みよりも厚い場合、発光素子10が発する熱を第1孔80aおよび第2孔80bの内面に位置する導電膜25を介して実装基板側に効率的に放熱することができる。導電膜25の厚みは、例えば、0.01μm〜0.2μmであり、0.05μm〜0.1μmであることが好ましい。
【0052】
また、第1面23a上に位置する導電膜25と、第1孔80aおよび第2孔80bの内面に位置する導電膜25とは、得られる発光装置1を実装する際に接合部材によって互いに電気的に接続される限り、部分的に離隔して配置されてもよい。例えば、第1面23aと第1孔80a等の内面との接続部分である角部において、第1面23a上に位置する導電膜25と第1孔80a等の内面に位置する導電膜25とは離隔していてもよい。第1面23aと第1孔80a等の内面との接続部分である角部は、外力により欠けや変形が生じやすい。しかし、その角部の近傍において、第1面23a上に位置する導電膜25と第1孔80a等の内面に位置する導電膜25とを離隔して配置することで、該角部に上記の外力が生じたとしても、その外力がそれぞれの導電膜25に影響を及ぼす可能性を低減することができる。第1面23a上に位置する導電膜25と、第1孔80aおよび第2孔80bの内面に位置する導電膜25との離隔距離は、例えば、溶融前におけるブロック状の接合部材(例えば半田)の厚みに対して半分以下とすることができる。
【0053】
(複数の発光装置1を得る工程)
次に、
図11A及び
図11Bに示すように、中間構造体23を第1面23a側から切断して、第3溝110を形成する。
図11Aでは、一対の第1切断ラインX1と一対の第2切断ラインY1で切断することにより各発光装置1を得ることができる。また、一対の第2切断ラインY1のうち少なくとも1つの第2切断ラインY1は、第1孔80aおよび第2孔80bを通っている。第3溝110は、溝105a及び溝105bに対向する位置に形成されている。第3溝110は、溝105a及び溝105bに到達させる。これにより、第3溝110、溝105a及び溝105bは、中間構造体23を第3方向(Z方向)に貫通し、中間構造体23を分割する。このように、第3溝110を形成することにより、第1孔80aおよび第2孔80bを通って導電膜25及び光反射部材21が切断される。この結果、複数の発光装置1が得られる。切断方法としては、例えば、中間構造体23の切断面に水等の流体を当てながらダイシングにより切断することが好ましい。これにより、切断によって生じる熱に起因して光反射部材21等が変形することを抑制することができる。なお、切断方法としては、ドライカット法を含むダイシングやレーザ等の公知の切断方法を用いることができる。
【0054】
第3溝110の幅は、溝105a及び溝105bの幅よりも大きくし、第1孔80aおよび第2孔80bの幅よりも小さくすることが好ましい。第3溝110の幅を溝105a及び溝105bの幅よりも大きくすることで、一対の電極12a及び12b側の発光装置1の幅が透光性部材16側の発光装置1の幅よりも大きくなることを抑制することができる。これにより、発光装置1の小型化を達成することができる。また、第3溝110の幅が第1孔80aおよび第2孔80bの幅よりも小さいことで、第1孔80aおよび第2孔80b内に形成された導電膜25が除去されることを防止することができる。また、第1方向(X方向)において、第3溝110の最も幅が広い部分と発光素子10の側面との離隔距離が、例えば20μm〜60μmになるように、好適には30μm〜40μmになるように設定されることが好ましい。これにより、発光素子10の側面から出る光が外側に漏れ出ることを抑制することができる。第3溝110の幅は、例えば、60μm〜140μmであり、80μm〜120μmであることが好ましい。
【0055】
第3溝110の深さは、溝105a及び溝105bに到達する深さに設定される。なお、第3溝110は、第3方向(Z方向)において、第3溝110の最も深い部分(底面)が発光素子10の上面よりも上側に位置するように形成されることが好ましい。これにより、透光性部材16の側方に位置する光反射部材21の厚みを厚く残すことができる。その結果、透光性部材16の側面から外側に出る光が光反射部材21を透過して外側に漏れ出ることを抑制することができる。第3溝110の深さは、例えば、50μm〜300μmであり、100μm〜200μmであることが好ましい。また、溝105aと対向する第3溝110の深さと、溝105bと対向する第3溝110の深さとは異なっていてもよい。例えば、溝105bと対向する第3溝110の深さは、溝105aと対向する第3溝110の深さよりも深くすることができる。これにより、発光装置1の実装面側に形成される凹みを大きくすることができる。その結果、例えば、接合部材52を介して発光装置1を実装基板51上に配置する際に、接合部材52の量が過剰であったとしても、接合部材52の余剰分を凹み内に収容することができる。これにより、発光装置1の光出射面30aが傾斜した状態で発光装置1が配置されたりする可能性を低減することができる。
【0056】
次に、上述の如く製造された本実施形態に係る発光装置、及び、この発光装置が搭載された光源装置について説明する。
図12Aは本実施形態に係る光源装置を示す端面図であり、
図12Bは光源装置の正面図である。
図13Aは本実施形態に係る発光装置を示す正面図であり、
図13Bは発光装置の背面図であり、
図13Cは発光装置の下面図である。
図12Bは光源装置50を
図12Aに示す方向Dから見た図である。
図13Aは発光装置1を
図12Aに示す方向Dから見た図であり、
図13Bは発光装置1を方向Eから見た図であり、
図13Cは発光装置1を方向Fから見た図である。
【0057】
本実施形態に係る光源装置50は、実装基板51、発光装置1及び一対の接合部材52を備える。発光装置1は、一対の接合部材52により、実装基板51に接合されている。接合部材52は、例えば、半田又は導電性ペーストである。なお、
図13A〜
図13Cにおいては、実装基板51及び接合部材52は図示を省略している。
【0058】
(発光装置1)
以下、
図12A、
図12B、
図13A〜
図13Cを参照して、本実施形態に係る発光装置1について説明する。発光装置1は、発光素子10と、発光素子10上に設けられた透光性部材16と、発光素子10及び透光性部材16の側面を被覆する光反射部材21とを有する構造体30と、構造体30の第1面に設けられた一対の第1導電膜25Aと、構造体30の第2面に設けられた一対の第2導電膜25Bとを有する。
【0059】
構造体30は、光出射面30aと、光出射面30aの反対側に位置する第1面30bと、光出射面30aおよび第1面30bに接続され第1面30bに連続する第2面30dと、第2面30dの反対側に位置する第3面30cと、第4面30e及び第5面30fとを含む。光出射面30aは第2面30d、第3面30c、第4面30e及び第5面30fと稜線を介して連続している。また、第1面30bは、第2面30d、第3面30c、第4面30e及び第5面30fと稜線を介して連続している。第4面30e及び第5面30fは平坦であり、全体が光反射部材21により形成されている。
【0060】
本明細書においては、構造体30の各面と対応する発光装置1の面を、構造体30の光出射面30aおよび第1面30b等と同じ用語を用いて説明する。発光装置1は、第2面30dを実装面とし、第2面30dと実装基板51の上面51aとが対向して配置される側面発光型(サイドビュータイプ)の発光装置である。なお、光出射面30aは、
図1A及び
図1B等に示す基板100の上面100aに対して略平行であり、同じ方向を向いている。
【0061】
構造体30は、少なくとも1つの積層体20を有する。積層体20は、発光装置1の光源として機能し、発光素子10と透光性部材16とを有する。発光素子10は、例えば発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)であり、半導体積層体11と、第1電極12aおよび第2電極12bを有する。半導体積層体11においては、n層、発光層、p層が積層されており、n層及びp層のうち一方は第1電極12aに接続されており、他方は第2電極12bに接続されている。第1電極12aおよび第2電極12bは、構造体30の第1面30bにおいて、光反射部材21から露出する。これにより、発光素子10が発する熱を構造体の第1面30bから効率的に放熱することができる。
図12Aでは、第1面30bは平坦であり、電極12a及び12bの周囲には光反射部材21が設けられている。
【0062】
透光性部材16は、発光素子10上に設けられる。発光素子10上に透光性部材16を配置することで、外部応力から発光素子10を保護することができる。透光性部材16の側面は、光反射部材21に被覆される。これにより、発光領域と非発光領域とのコントラストが高くなり、見切り性の良好な発光装置とすることができる。
図12Aおよび
図12Bでは、光出射面30aは平坦であり、透光性部材16の周囲には光反射部材21が設けられている。
【0063】
透光性部材16は、蛍光体層14および/または透光層15を有することができる。透光性部材16は、蛍光体を含有する蛍光体層14を有することが好ましい。これにより、発光素子10が発する光と、蛍光体が発する光とを混色して、所望の混色光を出力することができる。蛍光体は蛍光体層14に均一に分散させてもよく、また、蛍光体層14の上面よりも発光素子10側に蛍光体を偏在させてもよい。蛍光体層14の上面よりも発光素子10側に蛍光体を偏在させることで、水分に弱い蛍光体の水分による劣化を容易に抑制することができる。水分に弱い蛍光体としては、例えばマンガン賦活フッ化物系蛍光体を挙げることができる。マンガン賦活フッ化物系蛍光体は、スペクトル線幅の比較的狭い発光が得られるため、色再現性の観点において好ましい蛍光体である。蛍光体は、1種の蛍光体であってもよく、また複数種の蛍光体であってもよい。
【0064】
蛍光体層14は、複数の蛍光体層を有することができる。例えば、蛍光体層14は、マンガン賦活フッ化物系蛍光体を含有する蛍光体層と、βサイアロン系蛍光体を含有する蛍光体層とを含むことができる。なお、蛍光体層14は単層でもよく、単層の蛍光体層14にマンガン賦活フッ化物系蛍光体およびβサイアロン系蛍光体が含有されてもよい。
【0065】
積層体20は、発光素子10と透光性部材16との間に導光部材13を配置することができる。導光部材13は、発光素子10の側面を被覆し、発光素子10の側面から出射される光を発光装置1の上面(光出射面30a)方向に導光する。発光素子10の側面に導光部材13を配置することで、発光素子10の側面に到達した光の一部が該側面で反射され発光素子10内で減衰することを抑制することができる。導光部材13は、発光素子10の上面および側面を被覆することができる。これにより、発光素子10と導光部材13との密着強度を向上させることができる。導光部材13は、例えば、樹脂材料を母材として含む部材である。樹脂材料としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの透光性の樹脂を好適に用いることができる。なお、導光部材13は、光の透過率が高いことが好ましい。そのため、導光部材13は、光を反射、吸収又は散乱する物質は有していないことが好ましい。導光部材13は、光反射部材21よりも発光素子10からの光の透過率が高い部材が選択される。
【0066】
光反射部材21は、発光装置1の外表面を構成する。
図12A、
図12B、
図13A〜
図13Cで示す発光装置1では、光反射部材21は、光出射面30a、第1面30b、第2面30d、第3面30c、第4面30e及び第5面30fの何れの外表面にも位置している。また、光反射部材21は、発光素子10の側面と、透光性部材16の側面とを被覆している。光反射部材21が発光素子10の側方に位置することで、発光素子10の側方に出射される光を光反射部材21で反射することができ、上方向に効率的に光を取り出すことができる。光反射部材21は、発光素子10の下面も被覆することが好ましい。これにより、例えば、発光素子10から下方に出射される光を上方に反射させることができる。また、光反射部材21が発光素子10の下面を被覆することで、発光素子10と光反射部材21との密着強度を向上させることができる。
【0067】
光反射部材21は、例えば、導光部材13と発光素子10との熱膨張率差(これを「第1の熱膨張率差ΔT30」と称する)と、光反射部材21と発光素子10との熱膨張率差(これを「第2の熱膨張率差ΔT40」と称する)とを比較したときに、ΔT40<ΔT30となるように、光反射部材21の材料を選択することが好ましい。これにより、導光部材13が発光素子10から剥離することを抑制することができる。
【0068】
第3面30cは光反射部材21により形成されている。第3面30cは、第1電極12aおよび第2電極12b側に配置された電極側領域30c1と、透光性部材16側に配置された光出射側領域30c2とを含む。電極側領域30c1は、第3面30cから第2面30dに向かう方向において、光出射側領域30c2よりも凹んでいる。なお、電極側領域30c1は第3溝110の側面であり、光出射側領域30c2は溝105aの側面である。
【0069】
図13Cにおいて、第2面30dは、第1電極12aおよび第2電極12b側に配置された第1領域30d1(電極側領域)と、透光性部材16側に配置された第2領域30d2(光出射側領域)と、第1領域30d1と第2領域30d2との間に配置された中間領域30d3とを含む。中間領域30d3は第2領域30d2(光出射側領域)に対して凹んでおり、第1領域30d1(電極側領域)は中間領域30d3に対して凹んでいる。従って、第1領域30d1(電極側領域)は第2領域30d2(光出射側領域)に対して凹んでいる。これにより、発光装置1を実装基板51に実装する際に、実装基板51と第1領域30d1(電極側領域)との間に接合部材52を配置しやすくなる。第2領域30d2(光出射側領域)は溝105bの側面であり、中間領域30d3は第3溝110の側面であり、第1領域30d1(電極側領域)は第1孔80aおよび第2孔80bの側面である。
【0070】
一対の第1導電膜25Aは、構造体30の第1面30b上に設けられている。一対の第1導電膜25Aは、相互に離隔しており、第1電極12aおよび第2電極12bをそれぞれ覆い、電極12a及び12bにそれぞれ接続されている。発光装置1の第1面30bでは、光反射部材21と、一対の第1導電膜25Aのみが露出している。一対の第1導電膜25Aが第1面30bに位置することで、発光素子10が発する熱を第1面30b側から効率的に放熱することができる。
【0071】
第1面30bにおいて、第1導電膜25Aは、第3面30cから離隔していることが好ましい。これにより、半田等の接合部材を用いて発光装置1を実装基板上に実装する際に、発光装置1にツームストーン現象が起きたり、発光装置1の光出射面30aが傾斜した状態で発光装置1が配置されたりする可能性を低減することができる。
【0072】
なお、第1導電膜25Aは、第3面30cまで延出していてもよい。この場合、例えば、第1導電膜25Aの端部を第3面30cの端部と一致させることができる。また、第1導電膜25Aの一部を、第1面30bに加えて第3面30cにも形成することができる。これにより、発光装置1の放熱性を向上させることができる。
【0073】
また、第1面30bにおいて、一対の第1導電膜25Aは、第4面30eおよび第5面30fから離隔していることが好ましい。これにより、接合部材を用いて発光装置1を実装基板上に実装する際、第4面30eおよび第5面30fの外側に接合部材が流れていくことを抑制することができる。その結果、接合部材を含んだ発光装置1の実装面積を小さくすることができる。例えば、エッジ型の液晶表示装置の光源として、実装基板上に複数の発光装置を配置したものを用いる場合、発光装置間は暗部になりやすい。しかし、第1導電膜25Aを上記の配置にした発光装置1では、実装基板上に一の発光装置の第4面30eと隣接する他の発光装置の第5面30fとが対向するように複数の発光装置を配置する場合に、各発光装置間の距離を短くすることができる。これにより、各発光装置間において、暗部となる領域を減らすことができる。また、第4面30e等と第1面30bとの接続部分を含む発光装置1の角部は、外力により欠けや変形が生じやすい。しかし、第1導電膜25Aが第4面30e等から離隔していることで、発光装置1の角部に上記の外力が生じたとしても、その外力が第1導電膜25Aに影響を及ぼす可能性を低減することができる。
【0074】
なお、第1導電膜25Aは、第4面30eおよび第5面30fまで延出していてもよい。この場合、例えば、第1導電膜25Aの端部を第4面30eおよび第5面30fの端部と一致させることができる。また、第1導電膜25Aの一部を、第1面30bに加えて第4面30eおよび第5面30fにも形成することができる。これにより、発光装置1の放熱性を向上させることができる。
【0075】
一対の第2導電膜25Bは、構造体30の第2面30dの第1領域30d1(電極側領域)上に設けられている。一対の第2導電膜25Bは、相互に離隔しており、一対の第1導電膜25Aとそれぞれ連続して設けられている。これにより、一対の第2導電膜25Bの一方は、一対の第1導電膜25Aの一方と一体的に形成され、一方の導電膜25を構成し、第1電極12aに接続されている。また、一対の第2導電膜25Bの他方は、一対の第1導電膜25Aの他方と一体的に形成され、他方の導電膜25を構成し、第2電極12bに接続されている。一対の導電膜25は、発光装置1の実装用電極として機能する。下面30d(第2面)の中間領域30d3上および第2領域30d2(光出射側領域)上には、第2導電膜25Bは設けられていない。一対の第2導電膜25Bが第2面30dに位置することで、発光素子10が発する熱を第2面30d側から効率的に放熱することができる。
【0076】
第2面30dにおいて、第2導電膜25Bは、光出射面30aから離隔していることが好ましい。これにより、接合部材を用いて発光装置1を実装基板上に実装する際、発光面となる光出射面30a側に接合部材が流れていくことを抑制することができる。その結果、発光装置1から出射される光が接合部材によって遮られる等の可能性を低減することができる。
【0077】
なお、第2導電膜25Bは、光出射面30aまで延出していてもよい。この場合、例えば、第2導電膜25Bの端部を光出射面30aの端部と一致させることができる。また、第2導電膜25Bの一部を、第2面30dに加えて光出射面30aにも形成することができる。これにより、発光装置1の放熱性を向上させることができる。
【0078】
また、第2面30dにおいて、第2導電膜25Bは、第4面30eおよび第5面30fから離隔していることが好ましい。これにより、接合部材を用いて発光装置1を実装基板上に実装する際、第4面30eおよび第5面30fの外側に接合部材が流れていくことを抑制することができる。その結果、接合部材を含んだ発光装置1の実装面積を小さくすることができる。例えば、エッジ型の液晶表示装置の光源として、実装基板上に複数の発光装置を配置したものを用いる場合、発光装置間は暗部になりやすい。しかし、第2導電膜25Bを上記の配置にした発光装置1では、実装基板上に一の発光装置の第4面30eと隣接する他の発光装置の第5面30fとが対向するように複数の発光装置を配置する場合に、各発光装置間の距離を短くすることができる。これにより、各発光装置間において、暗部となる領域を減らすことができる。また、第4面30e等と第2面30dとの接続部分を含む発光装置1の角部は、外力により欠けや変形が生じやすい。しかし、第2導電膜25Bが第4面30e等から離隔していることで、発光装置1の隅部に上記の外力が生じたとしても、その外力が第2導電膜25Bに影響を及ぼす可能性を低減することができる。
【0079】
なお、第2導電膜25Bは、第4面30eおよび第5面30fまで延出していてもよい。この場合、例えば、第2導電膜25Bの端部を第4面30eおよび第5面30fの端部と一致させることができる。また、第2導電膜25Bの一部を、第2面30dに加えて第4面30eおよび第5面30fにも形成することができる。これにより、発光装置1の放熱性を向上させることができる。
【0080】
(光源装置50)
次に、
図12Aおよび
図12Bを参照して、実装基板51上に発光装置1が配置された光源装置50について説明をする。発光装置1は、第2面30dが実装面となるように実装基板51上に配置されている。
【0081】
実装基板51は、基材と基材上に形成される配線パターンとを有する。実装基板51は、例えば、長手方向および短手方向を有する長尺状の部材である。実装基板51上には、複数の発光装置1を配置することができ、複数の発光装置1は、好適には実装基板51の長手方向に沿って実装基板51上に配置される。
【0082】
発光装置1と実装基板51とは、一対の接合部材52により主に接合される。一対の接合部材52は、導電性を有し、半田等の部材が用いられる。また、発光装置1と実装基板51とは、一対の接合部材52とは別に、さらに接着部材53を用いて接合することができる。接着部材53は、例えば、絶縁性の接着剤である。
図12Bで示す光源装置50では、接着部材53は、発光装置1の第2面30d(実装面)と実装基板51の上面とを接合している。一対の接合部材52に加えて接着部材53を用いることで、発光装置1と実装基板51との接合強度をより強固にすることができる。
【0083】
一対の接合部材52は、少なくとも、発光装置1の第2面30d(実装面)の第1領域30d1(電極側領域)と実装基板51の上面51aとの間に配置されており、一対の第2導電膜25Bにそれぞれ接触している。これにより、接合部材52は発光装置1を実装基板51に接合している。接合部材52は、例えば、発光装置1の第1面30b(背面)上、及び、第2面30d(実装面)の中間領域30d3と実装基板51との間にも配置されており、第1導電膜25Aにも接触している。
【0084】
発光装置1の第2面30d(実装面)において、接着部材53が接する領域は、一対の接合部材52の間に位置することが好ましい。これにより、接着部材53として絶縁性の接着材料を用いた場合に、例えば、一対の接合部材52が意図せず接することを抑制することができる。つまり、発光装置1の第2面30d(実装面)において、一対の接合部材52の間に絶縁性の接着部材53を配置することで、各端子の電気的な短絡を容易に抑制することができる。また、接着部材53が接合部材52よりも外側に位置しないことで、接着部材53が第4面30eおよび第5面30fの外側に流れ込むことを抑制することができる。特に、接着部材53となる材料の粘度が接合部材52となる材料の粘度よりも低い場合に特に有用である。これにより、発光装置1の実装面積を小さくすることができる。
【0085】
接着部材53は、例えば、エポキシ樹脂を用いることができる。これにより、例えば、光反射部材21の母材となる樹脂材料としてエポキシ樹脂を用いることで、接着部材53と発光装置1との接合強度を高くすることができる。発光装置1の第2面30d(実装面)において、接着部材53は光反射部材21のみと接していてよい。
【0086】
以下、本発明の一実施形態に係る発光装置1の製造方法、発光装置1および光源装置50の各構成要素について説明する。
【0087】
(発光素子10)
発光素子10は、例えばLEDチップである。発光素子10は、例えば、紫外〜可視域の発光が可能な窒化物半導体(In
xAl
yGa
1−x−yN、0≦x、0≦y、x+y≦1)を含む半導体積層構造を有し得る。発光素子10の発光ピーク波長は、発光装置の発光効率、蛍光体の励起スペクトル及び混色性等を考慮して、400nm以上530nm以下が好ましく、420nm以上490nm以下がより好ましく、450nm以上475nm以下がさらに好ましい。
【0088】
発光素子は1つでもよく、2つ以上でもよい。発光素子が複数ある場合は、複数の発光素子は、例えば、青色光を出射する複数の青色発光素子、青色光、緑色光および赤色光をそれぞれ出射する3つの発光素子、または、青色光を出射する発光素子と緑色光を出射する発光素子とを組み合わせたものを用いることができる。発光装置1を液晶表示装置等の光源として用いる場合、発光素子として、青色光を出射する1つの発光素子、青色光を出射する2つの発光素子、青色光を出射する3つ以上の発光素子、または、青色光を出射する発光素子と緑色光を出射する発光素子とを組み合わせたものを用いることが好ましい。青色光を出射する発光素子と緑色光を出射する発光素子は、いずれも半値幅が40nm以下の発光素子を用いることが好ましく、半値幅が30nm以下の発光素子を用いることがより好ましい。これにより、青色光および緑色光が容易に鋭いピークを持つことができる。その結果、例えば、発光装置を液晶表示装置等の光源として用いる場合、液晶表示装置は高い色再現性を達成することができる。また、複数の発光素子は、直列、並列、または直列と並列を組み合わせた接続方法で電気的に接続することができる。
【0089】
発光素子10の平面形状は、特に限定されないが、正方形状や一方向に長い長方形状とすることができる。また、発光素子10の平面形状として、六角形状やその他の多角形状としてもよい。発光素子10は、一対の正負電極を有する。正負電極は、金、銀、銅、錫、白金、ロジウム、チタン、アルミニウム、タングステン、パラジウム、ニッケル又はこれらの合金で構成することができる。発光素子10の側面は、発光素子10の上面に対して垂直であってもよいし、内側又は外側に傾斜していてもよい。
【0090】
(透光性部材16)
透光性部材16は発光素子10上に設けられ、発光素子10を保護する部材である。透光性部材16は、単層であってもよく多層であってもよい。透光性部材16が複数の層を有する場合、各層の母材は同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0091】
透光性部材16の母材としては、発光素子10の光に対して透光性を有するものが用いられる。本明細書において透光性を有するとは、発光素子10の発光ピーク波長における光透過率が、60%以上であることを指し、好ましくは70%以上であり、より好ましくは80%以上である。透光性部材16の母材は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、又はこれらの変性樹脂を用いることができる。また、透光性部材16の母材はガラスであってもよい。特に、シリコーン樹脂及びエポキシ樹脂は、耐熱性及び耐光性に優れるため好適に用いられる。シリコーン樹脂としては、ジメチルシリコーン樹脂、フェニル−メチルシリコーン樹脂、ジフェニルシリコーン樹脂などが挙げられる。なお、本明細書における変性樹脂とは、ハイブリッド樹脂を含む。
【0092】
透光性部材16は、光拡散粒子を含有していてもよい。光拡散粒子としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛などが挙げられる。光拡散粒子は、これらのうちの1種を単独で、又はこれらのうちの2種以上を組み合わせて用いることができる。特に、光拡散粒子として、線膨張係数の小さい酸化珪素を用いることが好ましい。また、光拡散粒子として、ナノ粒子を用いることが好ましい。これにより、発光素子が発する光の散乱が増大し、蛍光体の使用量を低減することができる。なお、ナノ粒子とは粒径が1nm以上100nm以下の粒子のことをいう。また、本明細書における粒径とは、主にD50で定義される。
【0093】
透光性部材16は、蛍光体を含むことができる。蛍光体は、発光素子が発する一次光の少なくとも一部を吸収して、一次光とは異なる波長の二次光を発する部材である。蛍光体は、以下に示す蛍光体のうちの1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0094】
蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばY
3(Al,Ga)
5O
12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばLu
3(Al,Ga)
5O
12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えばTb
3(Al,Ga)
5O
12:Ce)、シリケート系蛍光体(例えば(Ba,Sr)
2SiO
4:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えばCa
8Mg(SiO
4)
4Cl
2:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えばSi
6−zAl
zO
zN
8−z:Eu(0<z<4.2))、SGS系蛍光体(例えばSrGa
2S
4:Eu)、アルカリ土類アルミネート系蛍光体(例えば(Ba,Sr,Ca)Mg
xAl
10O
17−x:Eu,Mn)、αサイアロン系蛍光体(例えばM
z(Si,Al)
12(O,N)
16(但し、0<z≦2であり、MはLi、Mg、Ca、Y、及びLaとCeを除くランタニド元素))、窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(例えば(Sr,Ca)AlSiN
3:Eu)、マンガン賦活フッ化物系蛍光体(一般式(I)A
2[M
1−aMn
aF
6]で表される蛍光体(但し、上記一般式(I)中、Aは、K、Li、Na、Rb、Cs及びNH
4からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、Mは、第4族元素及び第14族元素からなる群から選ばれる少なくとも1種の元素であり、aは0<a<0.2を満たす))が挙げられる。イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体は、Yの一部をGdで置換することで発光ピーク波長を長波長側にシフトさせることができる。また、マンガン賦活フッ化物系蛍光体の代表例としては、マンガン賦活フッ化珪酸カリウムの蛍光体(例えばK
2SiF
6:Mn)が挙げられる。また、透光性部材16は、蛍光体と例えばアルミナなどの無機物との焼結体、又は蛍光体の板状結晶であってもよい。
【0095】
透光性部材16は、蛍光体を含む蛍光体層14と、蛍光体を実質的に含有しない透光層15を備えることができる。蛍光体層14の上面上に透光層15を備えることで、透光層15が保護層として機能を果たし蛍光体層14内の蛍光体の劣化を抑制することができる。なお、蛍光体を実質的に含有しないとは、蛍光体が不可避的に混入することを排除しないことを意味し、蛍光体の含有率は例えば0.05重量%以下である。
【0096】
(光反射部材21)
光反射部材21は、発光装置1の上面方向への光取り出し効率の観点から、発光素子10の発光ピーク波長における光反射率が、70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。さらに、光反射部材21は、白色であることが好ましい。光反射部材21は、母材となる樹脂材料に光反射性物質を含有することができる。光反射部材21は、液体状の樹脂材料を固体化することにより得ることができる。光反射部材21は、トランスファ成形、射出成形、圧縮成形またはポッティング法などにより形成することができる。
【0097】
光反射部材21は、母材として樹脂材料を含むことができる。母材となる樹脂材料は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。具体的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂などの変性エポキシ樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂などの変性シリコーン樹脂、変成シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、変性ポリイミド樹脂、ポリフタルアミド(PPA)、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、PBT樹脂等の樹脂を用いることができる。特に、光反射部材21の樹脂材料として、耐熱性および耐光性に優れたエポキシ樹脂やシリコーン樹脂の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
【0098】
光反射部材21は、上記の母材となる樹脂材料に、光反射性物質を含有することが好ましい。光反射性物質としては、発光素子からの光を吸収しにくく、且つ、母材となる樹脂材料に対して屈折率差の大きい部材を用いることが好ましい。このような光反射性物質は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等である。
【0099】
(接着剤層13、導光部材13)
導光部材13は、発光素子10の側面を被覆し、発光素子10の側面から出射される光を発光装置の上面方向に導光する。つまり、発光素子10の側面に到達した光の一部は側面で反射され発光素子10内で減衰するが、導光部材13はその光を導光部材13内に導光し発光素子10の外側に取り出すことができる。接着剤層13および導光部材13は、光反射部材21で例示した樹脂材料を用いることができる。特に、接着剤層13および導光部材13として、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性の透光性樹脂を用いることが好ましい。なお、接着剤層13および導光部材13は、光の透過率が高いことが好ましい。そのため、通常は、接着剤層13および導光部材13に、光を反射、吸収又は散乱する添加物は実質的に含有しないことが好ましい。添加物を実質的に含有しないとは、添加物が不可避的に混入することを排除しないことを意味する。なお、接着剤層13および導光部材13は、上述の透光性部材16と同様の光拡散粒子及び/又は蛍光体を含有してもよい。
【0100】
光反射部材21、導光部材13および透光性部材16は、母材となる樹脂材料としてエポキシ樹脂を選択することができる。固体化した際にシリコーン樹脂よりも強度の高いエポキシ樹脂を選択することで、発光装置1の強度を向上させることができる。また、各部材の母材を同一種の樹脂材料で形成することで、各部材の密着強度を向上させることができる。また、接着部材53としてエポキシ樹脂を選択した場合、接着部材53と光反射部材21等との接合強度を向上させることができる。
【0101】
(実装基板51)
実装基板51は、ガラスエポキシ樹脂、セラミック又はポリイミドなどからなる板状の母材を備えている。また、実装基板51は、母材上に、銅、金、銀、ニッケル、パラジウム、タングステン、クロム、チタン、又はこれらの合金などからなるランド部や配線パターンを備えている。ランド部や配線パターンは例えばメッキ、積層圧着、貼り付け、スパッタ、蒸着、エッチングなどの方法を用いて形成される。
【0102】
(接合部材52)
接合部材52は、当該分野で公知の材料のいずれをも用いることができる。具体的には、接合部材52は、例えば、錫−ビスマス系、錫−銅系、錫−銀系、金−錫系等の半田(具体的には、AgとCuとSnとを主成分とする合金、CuとSnとを主成分とする合金、BiとSnとを主成分とする合金等)、共晶合金(AuとSnとを主成分とする合金、AuとSiとを主成分とする合金、AuとGeとを主成分とする合金等)、銀、金、パラジウム等の導電性ペースト、バンプ、異方性導電材、低融点金属等のろう材等が挙げられる。
【0103】
(接着部材53)
接着部材53は、例えば、透光性部材16で列挙したエポキシ
樹脂等の樹脂材料や接合部材52で列挙した部材を用いることができる。接合部材52および接着部材53は、同一の部材であってもよく、別の部材であってもよい。接合部材52および接着部材53が異なる部材である場合、接合部材52は導電性の材料である半田を選択し、接着部材53はエポキシ樹脂等の樹脂材料を選択することができる。
【0104】
<変形例>
次に、変形例について説明する。
図14Aは本変形例に係る発光装置の製造方法を示す平面図であり、
図14Bは
図14Aに示すA−A’線による断面図である。
図14A及び
図14Bが示す工程は、前述の実施形態における
図1A及び
図1Bが示す工程に相当する。
【0105】
図14A及び
図14Bに示すように、本変形例においては、基板100の金属層101a及び101bにおいて、凸部101cの上面に窪み101dが形成されている。これにより、金属層101a及び101bの凸部101cに接合部材103を塗布したときに、塗布量が過剰だったとしても、接合部材103の余剰分を窪み101dに入り込ませることができる。これにより、例えば、発光素子10の電極12a及び12bの周囲に位置する接合部材103の量を抑制することができ、基板100を除去した後に露出する接合部材103の量を抑制することができる。その結果、導電膜25を選択的に除去するレーザアブレーション等の工程を容易にすることができる。本変形例における上記以外の製造方法、構成及び効果は、前述の実施形態と同様である。
【0106】
また、
図15Aで示すように、発光装置1の光出射面30a上に、光反射性物質を含む反射材料45を配置してもよい。反射材料45は、例えば、発光素子10の直上に位置する光出射面30a上に配置される。光出力が最も大きい発光素子10の直上に光反射性物質を含む反射材料45を配置することで、発光素子10の直上に出射される光出力を低減することができ、発光装置1の光出射面30aの全体から出射される光出力を平坦化させやすくなる。反射材料45全体に対する光反射性物質の含有量は、例えば5重量%〜75重量%であり、8重量%〜65重量%が好ましい。また、発光装置1は、光出射面30a上に反射材料45を1層のみ備えてもよく、反射材料45が複数積層されたものを備えてもよい。
【0107】
反射材料45の平面形状は、発光装置1の光出射面30aが長手と短手を有する場合、
図15Aで示すように、長手方向に長い形状であることが好ましい。これにより、発光装置1の光出射面30aの全体から出射される光出力を平坦化させやすい。また、反射材料45の平面形状は、
図15Bで示すように、光出射面30aの対向する一対の辺に重なるように配置してよい。これにより、短手方向に出射される光出力に対して長手方向に出射される光出力をさらに高めることができる。なお、反射材料45の平面形状は、種々の形状とすることができる。