(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液体原料が前記循環配管、前記第1供給配管、前記第2供給配管、及び前記第3供給配管を、前記液体原料の凝固点以上の温度に維持するよう加熱・保温する加熱・保温手段を備えることを特徴とする請求項10に記載の製造装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、実施の形態に基づいて、本発明についてより詳細に説明する。なお、以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付し、一度説明した部材については適宜その説明を省略する。
【0018】
図1は、光ファイバ用多孔質ガラス母材の製造装置での原料供給フローを示している。
図1に示す光ファイバ用多孔質ガラス母材製造装置は、原料タンク1と、送液ポンプ3と、アキュームレータ15と、圧力損失部5、11、17と、マスフローコントローラ7と、気化器9と、バーナ12と、中間容器18とを有しており、これらは配管で接続されている。
【0019】
液体状態の有機シロキサン原料(以下、単に「液体原料」という)101は、原料注入配管2より供給され、原料タンク1に貯蔵される。このとき、原料タンクの内圧はP
1とされる。原料タンク1に貯蔵された液体原料101は、送液ポンプ3によって昇圧されて配管4を介して圧力損失部5に送液される。ここで、圧力損失部5に液体原料101を供給する配管4における内圧をP
4とする。
【0020】
圧力損失部5は、供給された液体原料を降圧し、配管6を経由してマスフローコントローラ7に供給する。ここで、マスフローコントローラ7に液体原料101を供給する配管6における内圧をP
3とする。
【0021】
マスフローコントローラ7は、供給された液体原料101を所定の流量に制御して、配管8を通して気化器9に供給する。ここで、配管8の内圧をP
2とする。
【0022】
気化器9は、供給された液体原料101を気化して原料ガス102とする。気化された原料ガス102は、配管10および圧力損失部11を通る過程で降圧され、バーナ12に供給される。バーナ12は、原料ガス102を燃焼反応させることにより、シリカ微粒子103を生成し、出発材(図示無し)に堆積させる。以上のようにして、光ファイバ用多孔質ガラス母材を製造することができる。
【0023】
上記のような光ファイバ用多孔質ガラス母材製造装置を用いた製造方法では、配管8を流れる液体原料101にガスの気泡が混入すると、気化器9に供給される液体原料101の実流量が変動することになる。その結果、気化器9における液体原料101の気化量(すなわち、原料ガス102の発生量)が変動し不安定となり、配管10を流れる原料ガス102の流量も不安定となる。配管10を流れる原料ガス102の流量が変動すると、バーナ12におけるシリカ微粒子103の生成速度が不安定になるので、出発材に堆積するシリカ微粒子103の堆積密度が変動して不均一になる。その結果、製造される多孔質ガラス母材の密度や形状が不均一となってしまう。
【0024】
そこで、原料タンク1から送液される液体原料101にできるだけ気泡が混入しないように、原料タンク1に貯蔵された液体原料101の液面から十分離れた原料タンク1の下部から液体原料101を抜き出して送液するのが好ましい。
【0025】
しかしながら、原料タンク1に貯蔵されている液体原料101に、その液面で接する気体104の一部が溶解することは避けられない。この溶解していた気体104が気化器9に供給される途中の配管で発泡し、気化器9での原料ガス発生量の不安定化の原因となることがある。
【0026】
そこで、本発明に係る光ファイバ用多孔質ガラス母材製造装置では、原料タンク1から抜き出した液体原料101を、送液ポンプ3により昇圧する。このとき、マスフローコントローラ7の下流側に位置し気化器9に液体原料101を供給する配管8の内圧P
2が原料タンク1の内圧P
1よりも小さくならない様に(つまり、P
1≦P
2となるように)する。具体的には、原料タンク1の内圧P
1を大気圧よりも高くなるように設定する場合、不活性ガス供給配管13から圧力調整器で調整した不活性ガスを供給することによってP
1を調整する。また、送液ポンプ3から配管8に至る流路の圧力損失に応じて送液ポンプ3の吐出圧を調節するとともに、配管8からバーナ12に至る流路の途中にニードル弁などの圧力損失部11を設けてこれを調節する。これらによってP
2が、バーナ12出口の大気圧よりも十分高くなり、かつ、原料タンク1の内圧P
1より小さくならない様に調整する。このようにすることで、液体原料101に溶解するガス104が配管8で発泡することを効果的に抑制することができる。
【0027】
また、マスフローコントローラ7に気泡が混入した液体を流すと、正確な流量測定が困難になり、マスフローコントローラ7流量調節動作も不安定になる可能性がある。そこで、P
1≦P
2とすることに加え、マスフローコントローラ7の上流側に位置する配管6の内圧P
3が、原料タンク1の内圧P
1よりも小さくならない様に(つまり、P
1≦P
3となるように)する。具体的には、原料タンク1の内圧P
1を不活性ガス供給配管13から圧力調整器で調整した不活性ガスを供給することによって調整する。また、送液ポンプ3からマスフローコントローラ7に至る流路の圧力損失に応じて送液ポンプ3の吐出圧を調節することにより、配管6の内圧P
3が原料タンク1の内圧P
1よりも小さくならない様に調節する。さらに、マスフローコントローラ7からバーナ12に至る流路の途中にニードル弁などの圧力損失部11を設けてこれを調節する。これらによってP
2がバーナ12出口の大気圧よりも十分高くなり原料タンク1の内圧P
1より小さくならない様に調節する。このようにすることで、マスフローコントローラ7を通る液体原料101に気泡が混入することを抑制することができる。
【0028】
このとき、マスフローコントローラ7上流側(配管6側)の内圧P
3を下流側(配管8側)の内圧P
2よりも高くする(つまり、P
1≦P
2<P
3とする)ことが好ましい。このようにすることで、マスフローコントローラ7の流量調節動作がさらに安定する。特に、P
3をP
2よりも0.05MPa以上高い圧力に設定すると、マスフローコントローラ7の流量調節動作が安定するので好ましい。このような、P
3とP
2の関係を実現すべく、送液ポンプ3からマスフローコントローラ7に至る流路の圧力損失に応じて送液ポンプ3の吐出圧が十分高くなる様に送液ポンプ3の出力を調節するとよい。
【0029】
また、上記のような光ファイバ用多孔質ガラス母材製造装置を用いた製造方法では、送液ポンプ103の動作によって液体原料101の流量が変動する場合がある。すなわち、送液ポンプ3が液体原料101を昇圧して送液する際に、ポンプの内部動作運動に伴ってポンプの吐出圧力が変動して、マスフローコントローラ7の上流側の圧力が短周期で変動すると、マスフローコントローラ7流量調節が圧力変動に追随できなくなるおそれがある。そこで、液体原料101が送液ポンプ3から吐出される配管4と、液体原料101をマスフローコントローラ7に供給する配管6との間に圧力損失部5(例えば、減圧弁やオリフィスなど)を設け、配管4の内圧P
4が、配管6の内圧P
3よりも高くなるようにする(つまり、P
3<P
4とする)とよい。このようにすることで、配管6の内圧P
3が、送液ポンプ3の吐出圧力の変動の影響を受けにくくなり、マスフローコントローラ7による流量調節動作を安定させることができる。特に、P
3をP
4の概ね0.6倍以下の圧力となるように圧力損失部5を設定すると、P
3の変動を効果的に抑制することができるので好ましい。以上を総合すると、P
1≦P
2<P
3<P
4とすることが好ましい。
【0030】
原料タンク1に液体原料101を注入する原料注入配管2の先端は、原料タンク1に貯蔵されている液体原料101の液面よりも下になるように設置される。このようにすることで、液体原料101の液面よりも上部の空間に存在するガス104を巻き込んで液体原料101にガス104の気泡が混入することを防ぐことができる。
【0031】
オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)のように可燃性が高い液体原料を用いる場合、原料タンク1の液体原料101の液面よりも上の空間のガス104は、不活性ガス、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウムなどとするとよい。このようにすることで、原料タンク1内での意図せぬ酸化反応を防ぐことができる。なお、これらの不活性ガスを原料タンク1の上部空間に供給すべく、
図1に示すように、不活性ガス供給配管13を設けるとよい。
【0032】
また、原料タンク1の内圧P
1は、大気圧よりも陽圧に保持するとよい。このようにすることで、原料タンク1に意図せぬピンホール等が生じた場合でも、酸素を伴った外気が原料タンク1内に流入することを防ぐことができる。
【0033】
一方で、原料タンク1に貯蔵されている液体原料101にガス104が過度に溶解することを防ぐべく、原料タンク1の内圧P
1およびP
1の圧力変動を抑えることが好ましい。特に、原料タンク1の内圧P
1のゲージ圧を0.1MPa以下に抑えることが好ましく、0.05MPa以下に抑えるとさらに好ましい。そして、P
1の圧力変動は±0.01MPa以内に抑えることが好ましく、±0.005MPa以内に抑えることがさらに好ましい。
【0034】
気化器9において液体原料101が気化すると、液体原料101に溶解していたガス104も解放される。原料タンク1の上部空間のガス104は、ガス種(混合ガスの場合は各ガス種とその混合割合)を一定とすることが好ましく、かつ、原料タンク1の内圧P
1の変動幅を小さくするとよい。このようにすると、液体原料101に溶存するガス104の量が安定する。液体原料101に溶存するガス104の量が安定すると、気化器9において解放されるガス104の分圧も安定する。その結果、バーナ12に供給される原料ガス102の流量を安定させることができる。
【0035】
原料タンク1の内圧P
1の圧力変動を調整するためには、不活性ガス供給配管13から供給する不活性ガスの圧力を減圧弁(図示無し)などで調整して一定に保つとよい。また、予期せず原料タンク1の内圧P
1が所定の圧力を越えた場合に前記所定の圧力以下になるように脱圧して内圧P
1を保持するべく、安全弁14や背圧弁(図示無し)を設けるとよい。
【0036】
送液ポンプ3は定量式のポンプとして、ダイヤフラムポンプを用いるとよい。その他、プランジャーポンプやギヤポンプを用いてもよい。送液ポンプ3による配管4の圧力P
4の脈動が大きくい場合、配管6の圧力P
3もこれに合わせて脈動してしまうことがある。P
3の脈動を抑制すべく、P
4の変動は±0.1MPa以内に抑えるのが好ましく、±0.05MPa以内に抑えることがさらに好ましい。
【0037】
P
3の脈動を抑制するために、無脈動タイプの送液ポンプを用いたり、送液ポンプ3の吐出側と配管4との間にアキュームレータ15を設置したりするとよく、オリフィス等の圧力損失部を設置してもよい。なお、アキュームレータ15は、脈を打った液が通過するときに、ダイヤフラム(ゴム膜)が膨張・収縮を繰り返して、液の脈動を抑える緩衝装置である。
【0038】
また、
図1に示すように、配管4の途中から配管16を分岐させ、そこにオリフィス、安全弁、背圧弁、ニードル弁等の圧力損失部17を取り付けて、送液ポンプ3から配管4へ送液される液体原料101の一部を排出させるとよい。このようにすることで、原料タンク1の内圧P
1の変動幅を小さく収めることができる。
【0039】
さらに、排出された液体原料101を一旦中間容器18に保持して静置するなどして、意図せず混入した気泡を除去してから液体原料101を原料タンク1に戻して再利用するとよい。
【0040】
図2は、
図1に示した光ファイバ用多孔質ガラス母材製造装置の変形例を示している。
図2に示した光ファイバ用多孔質ガラス母材製造装置は、圧力損失部17を通して排出された液体原料101を配管19に通して原料タンク1に戻す構成を採用する。原料タンク1から送液された液体原料101は、送液ポンプ3、配管4、配管16、圧力損失部17、及び配管19を循環して、原料タンク1に戻る。このようにすることで、排出された液体原料101を容易に再利用することができる。
【0041】
排出された液体原料101を原料タンク1に戻す配管19の先端は、原料注入配管2の場合と同様に、原料タンク1の液体原料101の液面よりも下に設置することが好ましい。このようにすることで、配管19から原料タンク1に戻ってきた液体原料101が、液面よりも上の空間に存在するガス104を巻き込んで液体原料101内に気泡が混入するのを防ぐことができる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例をもって本発明を具体的に説明する。実施例では
図2に示した構成の光ファイバ用多孔質ガラス母材製造装置を用いた。なお、液体原料101として液体OMCTS(オクタメチルシクロテトラシロキサン)を用いた。
【0043】
はじめに、液体原料101を原料注入配管2より原料タンク1に供給し、貯蔵した。続いて、原料タンク1に貯蔵された液体原料101を、送液ポンプ3によって、配管4に送液した。配管4の途中から配管16を分岐し、液体原料101の一部が、配管16および圧力損失部17としてのオリフィスを通過した後、配管19を通じて原料タンク1に戻されるようにした。
【0044】
一方、配管4に送液された液体原料101の残部は圧力損失部5としての減圧弁で降圧されて配管6に送液され、マスフローコントローラ7で流量を制御して配管8を通して気化器9に供給した。このとき、原料タンク1および原料タンク1から気化器9までの流路は30〜40℃に保つように、適宜加熱し、保温した。保温する温度範囲は、液体原料101の凝固点以上、引火点以下とすることが好ましい。液体原料101としてOMCTSを用いる場合、OMCTSの凝固点が17℃、引火点が52℃であるため、17℃以上52℃以下に加熱・保温することが好ましい。
【0045】
原料タンク1における液体原料101の液面より上の空間は、不活性ガス供給配管13から供給される窒素で満たした。原料タンク1の内圧P
1を、ゲージ圧で平均0.045MPaとし、製造中のP
1の変動幅(P
1の最大値−最小値)は±0.005MPa以内になるように保持した。
【0046】
送液ポンプ3の吐出量は、100cc/分とし、送液ポンプ3の直下にアキュームレータ15を設置した。配管4の内圧P
4をゲージ圧で0.5±0.005MPaに保った。配管6の内圧P
3は、後述の表1の実施例1〜10に示したようにゲージ圧で0.19〜0.40MPaの範囲で一定に保った。そして、マスフローコントローラ7により、液体原料101を
実施例1〜10に示したように15〜70g/分の範囲の流量で気化器9に向かって供給した。
【0047】
装置起動時には、圧力損失部5(減圧弁)の上流側に設置した弁20を閉じた状態で送液ポンプ3を作動させることにより、液体原料101を、送液ポンプ3、配管4、配管16、及び圧力損失部17(オリフィス)、を経由して、配管19から再び原料タンク1に戻して循環させた。このように液体原料101を循環させることにより、配管内に残留していたガスを押し出して、配管内を気泡の無い液体原料で満たすことができる。
【0048】
図3は、実施例における気化器9周辺の原料供給フローを示している。配管6に送液された液体原料101は、マスフローコントローラ7でその流量が所定値(g/分)に調整されて、配管8を通じて気化器9に供給された。
【0049】
気化器9の温度は200℃に設定した。原料であるOMCTSを効率よく気化し、かつ重合反応を防ぐという観点から、気化器9の温度を150〜250℃に設定するのが好ましい。
【0050】
気化器9に接続された配管21からは、さらにキャリアガス105として熱交換器で200℃に加熱された一定流量(0℃、1気圧の標準状態換算、L/分)の窒素ガスを供給した。このようにすることで、液体原料101とキャリアガス105を気化器9内で混合させ、液体原料101の気化を促進させた。
【0051】
キャリアガス105は窒素のほか、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスまたは、酸素や、酸素と不活性ガスの混合ガスを用いてもよい。キャリアガス105の流量はマスフローコントローラ(図示無し)で制御した。キャリアガス105は、熱交換器(図示無し)で加熱して供給した。
【0052】
液体原料101を気化して得た気体OMCTSとキャリアガス105としての窒素とが混合した原料ガス102は、配管10および圧力損失部11としてのニードル弁を通してバーナ12に供給された。配管10、圧力損失部11(ニードル弁)、及び配管22は、原料ガス102の凝縮を防ぐために、190℃に加熱した。
【0053】
圧力損失部11(ニードル弁)を通った原料ガス102は、さらに配管23を通じて200℃に加熱された一定流量の酸素ガス106と混合された。そして、この原料ガス102(気体OMCTSとキャリアガスの混合ガス)にさらに酸素ガス106を混合したガスが、バーナ12に供給された。
【0054】
ここで混合する酸素ガス106は、液体原料101の再凝縮を防ぐ観点から、熱交換器(図示無し)等を用いて、混合ガス中の原料ガス102の分圧から想定される液化温度以上に予め加熱した状態で供給するとよい。バーナ12に供給する前段階で予め原料ガス102に酸素を混合しておくことにより、バーナ12における原料ガス102の燃焼反応を促進させることができる。
【0055】
バーナ12には、混合ガスのほかに、必要に応じて、燃焼用可燃性ガス、燃焼用酸素ガス、シールガスが供給される。燃焼用可燃性ガスとしては、水素やメタン、エタン、プロパンを用いることができる。シールガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスまたは、酸素や、酸素と不活性ガスとの混合ガスを用いるのが好ましい。
【0056】
バーナ12の火炎中では、原料ガス102、燃焼用可燃性ガス、燃焼用酸素ガス等が混合し燃焼することにより、シリカ微粒子103が生成する。生成されたシリカ微粒子103を出発材に堆積させることで、光ファイバ用多孔質ガラス母材を形成した。
【0057】
さらに、この多孔質ガラス母材をヘリウム含有雰囲気、1500℃で加熱することによって、透明な光ファイバ用ガラス母材を作製した。
【0058】
上記のような光ファイバ用柄祖母剤の製造方法において、原料タンク1の内圧P
1、配管4の内圧P
4、配管6の内圧P
3ならびに配管8の内圧P
2をそれぞれ圧力計でゲージ圧として計測した。(P
3−P
2)は、マスフローコントローラ7前後の差圧に相当する。また、配管10を通過する原料ガス102とキャリアガス105との混合ガスの流量を、マスフローメータによって計測した。10分間計測して、マスフローメータの読み値の変動率(=(最大−最小)/平均×100%)を計測した。なお、使用したマスフローメータはサーマル式で、原料ガス102とキャリアガス105の混合ガスをN
2熱容量換算で合算して計測した。コンバージョンファクターなどによる実流量換算は行わなかった。
【0059】
比較例1は、実施例と同様の装置を用い、条件を変えて多孔質ガラス母材を製造した例である。比較例1では、圧力損失部11(ニードル弁)を解放して、配管8の内圧P
2をゲージ圧で0.020MPaとした状態で多孔質ガラス母材を製造した。比較例1では、原料タンク1の内圧P
1が0.045MPaであるので、P
1とP
2との関係がP
1>P
2となっている。その結果、流量の変動率が5%を超えた。
【0060】
比較例2は、
図4に示したように送液ポンプ3を用いない構成の装置で多孔質ガラス母材を製造した例である。このような構成の装置において不活性ガス供給配管13から供給される窒素の供給圧を0.3MPaとして液体原料101を供給した。その結果、流量の変動率が10%を超えた。
【0061】
実施例1〜10と比較例1、2の条件および流量変動を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
表1において実施例1〜10として示されるように、P
1≦P
2とすることでバーナに供給される原料ガスの流量変動を抑制することができることがわかる。また、各実施例と比較例2との比較からP
1≦P
2<P
3とするのが好ましいことが分かる。
【0064】
以上で説明した通り、本発明によれば、気化器に供給される液体原料の流量変動を抑制し、気化されてバーナに供給される原料ガスの供給量を安定化することができる。