(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
更に、(C)成分として、カルシウム系清浄剤及びマグネシウム系清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの金属系清浄剤を含有し、カルシウム原子とマグネシウム原子の含量の合計が0.05〜0.4質量%である、請求項1又は2に記載の内燃機関用潤滑油組成物。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔基油〕
本発明の内燃機関用潤滑油組成物の基油は芳香族成分が1質量%未満、且つ硫黄含有量が20質量ppm未満の炭化水素油である。本発明において、基油中の芳香族成分は、イギリス石油協会の規定によるIP346法に準拠して測定して得られる値であり、硫黄含有量はJISK2541−7に準拠して測定して得られる値である。
【0013】
鉱物油中には、単環芳香族成分、2環芳香族成分、3環芳香族成分、多環芳香族成分など多種多様な芳香族成分が存在する。本発明に使用する基油に由来する芳香族成分が1質量%以上である場合は、有機モリブデン化合物が分解しやすくなる。また、本発明に使用する基油に由来する芳香族成分の含量は0.8質量%未満であることが好ましく、0.5質量%未満であることが更に好ましく、0.2質量%未満であることが最も好ましい。
【0014】
また、鉱物
油中にはチオフェン系化合物やスルフィド系化合物などの硫黄化合物を含んでいる。そして、本発明に使用する基油中の硫黄含有量が、20質量ppm以上である場合は、排ガス浄化触媒が被毒しやすくなる。本発明に使用する基油中の硫黄含有量は15質量ppm未満であることが好ましく、10質量ppm未満であることが更に好ましく、5質量ppm未満であることが最も好ましい。
【0015】
本発明に使用する基油の100℃における動粘度は2〜5mm
2/sであることが好ましい。基油の100℃における動粘度が2mm
2/sよりも低いと、潤滑箇所での油膜形成が不十分となり摩耗が増加する恐れがあり、5mm
2/sよりも高いと、省燃費効果が小さくなる。基油の100℃における動粘度は、2〜5mm
2/sが好ましく、2〜4.5mm
2/sが更に好ましく、2.5〜4mm
2/sが最も好ましい。また、本発明に使用する基油の粘度指数は特に限定されないが、一般に90以上、110以上が好ましく、120以上が更に好ましく、125以上が最も好ましい。基油の粘度指数が90よりも低いと、低温での粘度が高くなり始動性が悪化する恐れがある。なお、本発明において、動粘度及び粘度指数は、JIS K2283に準拠して測定して得られる値である。
【0016】
本発明に使用できる基油としては、具体的には、ポリ−α−オレフィン、エチレン−α−オレフィン共重合体、ポリブテン、GTL(Gas to liquids)基油等の合成炭化水素基油;原油を常圧蒸留および/または減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理のうちの1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて精製した、パラフィン系鉱油、ノルマルパラフィン系基油あるいはイソパラフィン系基油などのうち、芳香族成分の含有量及び硫黄含有量が上記条件を満たす鉱物油系基油等が挙げられる。
【0017】
本発明の基油は、エステル系基油を含有してもよいが、(A)成分の潤滑性向上効果が十分得られない場合があることから、エステル系基油を含有しないことが好ましく、エステル系基油を含有する場合であっても、炭化水素系基油100質量部に対して3質量部以下であることが好ましく、1質量部以下であることが更に好ましく、0.5質量部以下であることが最も好ましい。エステル系基油としては、アジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、セバシン酸エステル、ドデカン二酸エステル、ダイマー酸エステル等の二塩基酸エステル;トリメチロールエタンエステル、トリメチロールプロパンエステル、ペンタエリスリトールエステル等のポリオールエステル等が挙げられる。
【0018】
〔(A)成分:有機モリブデン化合物〕
本発明の(A)成分は、一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1つの有機モリブデン化合物である。(A)成分としては、分子中に排ガス浄化触媒の被毒の原因となるリン原子を含まず、耐熱性にも優れることから一般式(1)で表される化合物が好ましい。
【0019】
一般式(1)において、R
1〜R
4は炭素数1〜18の炭化水素基を表す。炭素数1〜18の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、2級ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2級ペンチル基、t−ペンチル基、分岐ペンチル基、ヘキシル基、2級ヘキシル基、分岐ヘキシル基、ヘプチル基、2級ヘプチル基、分岐ヘプチル基、オクチル基、2級オクチル基、分岐オクチル基、ノニル基、2級ノニル基、分岐ノニル基、デシル基、2級デシル基、分岐デシル基、ウンデシル基、2級ウンデシル基、分岐ウンデシル基、ドデシル基、2級ドデシル基、分岐ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、2級トリデシル基、分岐トリデシル基、テトラデシル基、2級テトラデシル基、分岐テトラデシル基、ヘキサデシル基、2級ヘキサデシル基、分岐ヘキサデシル基、ステアリル基、2−メチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルヘプチル基、2−ブチルオクチル基、2−ブチルデシル基、2−ペンチルノニル基、2−ヘキシルオクチル基、2−ヘキシルデシル基、2−ヘキシルドデシル基、2−ヘプチルウンデシル基、2−オクチルデシル基、モノメチル分枝−イソステアリル基、2,2,4,4−テトラメチルペンチル基等の炭素数1〜18のアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、イソペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、オレイル基等の炭素数2〜18のアルケニル基;
【0020】
フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、ジノニルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、クミル基、ヒドロシンナミル基、ベンズヒドリル基、メチルベンジル基、t−ブチルベンジル基等の炭素数7〜18のアラルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、シクロペンテニル
基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、メチルシクロヘプテニル基等の炭素数5〜18のシクロアルキル基又はシクロアルケニル基等が挙げられる。
【0021】
R
1〜R
4としては、基油への溶解性と潤滑性に優れることから、炭素数5〜15のアルキル基が好ましく、炭素数6〜14のアルキル基が更に好ましく、炭素数7〜14のアルキル基が最も好ましい。R
1〜R
4がアルキル基の場合は、基油への溶解性に優れることから、直鎖アルキル基よりも分岐アルキル基が好ましい。R
1〜R
4はすべて同一の基でも、2種以上の基の組合せでもよいが、基油への溶解性に優れることから、2種以上の基の組合せであることが好ましい。例えば、R
1及びR
2が2−エチルヘキシル、R
3及びR
4が分岐トリデシル基である化合物が好ましい。
【0022】
一般式(1)において、X
1〜X
4は酸素原子又は硫黄原子を表す。潤滑性に優れることから、X
1〜X
4のうち2〜3が硫黄原子で残りが酸素原子であることが好ましく、硫黄原子と酸素原子でそれぞれ2であることが更に好ましく、X
1〜X
2が硫黄原子でX
3〜X
4が酸素原子であることが最も好ましい。
一般式(1)で表される好ましい有機モリブデン化合物の例として、R
1及びR
2が2−エチルヘキシル、R
3及びR
4が分岐トリデシル基、X
1〜X
2が硫黄原子でX
3〜X
4が酸素原子である有機モリブデン化合物が挙げられる。
【0023】
一般式(2)において、R
5〜R
8は炭素数1〜18の炭化水素基を表す。炭素数1〜18の炭化水素基としては、一般式(1)のR
1〜R
4で例示した炭化水素基が挙げられる。R
5〜R
8としては、基油への溶解性と潤滑性に優れることから、炭素数4〜16のアルキル基が好ましく、炭素数6〜14のアルキル基が更に好ましく、炭素数8〜12のアルキル基が最も好ましい。具体的には、R
5〜R
8として、2−エチルヘキシル基が好ましい。
【0024】
一般式(2)において、X
5〜X
8は酸素原子又は硫黄原子を表す。潤滑性に優れることから、X
5〜X
8のうち2〜3が硫黄原子で残りが酸素原子であることが好ましく、硫黄原子と酸素原子でそれぞれ2であることが更に好ましく、X
5〜X
6が硫黄原子でX
7〜X
8が酸素原子であることが最も好ましい。
一般式(2)で表される好ましい有機モリブデン化合物の例として、R
5〜R
8が2−エチルヘキシル、X
5〜X
6が硫黄原子でX
7〜X
8が酸素原子である
化合物が挙げられる。
【0025】
(A)成分としては、分子中にリン原子を含んでおらず、排ガス浄化触媒の被毒の原因となりにくいことから、一般式(1)で表される化合物が好ましい。本発明の内燃機関用潤滑油組成物中の(A)成分の含有量は、内燃機関用潤滑油組成物全量に対してモリブデン原子として300〜1500質量ppmである。(A)成分の含有量が
モリブデン原子として300質量ppmよりも少ない場合は、潤滑性の向上効果が得られず、
モリブデン原子として1500質量ppmよりも多い場合は、配合量に見合う性能の向上は得られないばかりか、排ガス浄化触媒の被毒やスラッジの増加の原因となる場合がある。(A)成分の含有量は、モリブデン原子として、300〜1200質量ppmであることが好ましく、500〜1000質量ppmであることが更に好ましい。
【0026】
〔(B)成分:ホウ酸エステル化合物〕
本発明の(B)成分は、ホウ酸エステル化合物である。ホウ酸エステル化合物としては、モノアルコールのホウ酸エステル、ホウ酸化脂肪族エポキシド、ホウ酸化グリセリン脂肪酸エステル、ホウ酸化アルコキシル化脂肪酸アミド等が挙げられ、(A)成分の分解抑制効果が大きいことから、ホウ酸化脂肪族エポキシド、ホウ酸化グリセリン脂肪酸エステルが好ましく、ホウ酸化グリセリン脂肪酸エステルが更に好ましい。
【0027】
モノアルコールのホウ酸エステルは、モノアルコールとホウ酸との脱水縮合反応により得られる化合物であり、基油への溶解性に優れることから、炭素数4〜18の脂肪族モノオールが好ましい。具体的には、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリオクチルが好ましく、ホウ酸トリブチルがより好ましい。ホウ酸化脂肪族エポキシドは、脂肪族エポキシドとホウ酸との反応、又は脂肪族ビシナルジオールとホウ酸との脱水縮合反応により得られる化合物であり、基油への溶解性に優れることから、脂肪族エポキシドとしては炭素数6〜18の脂肪族1,2−エポキシドが好ましく、脂肪族ビシナルジオールとしては炭素数6〜18の脂肪族1,2−ジオールが好ましい。ホウ酸化グリセリン脂肪酸エステルは、グリセリントリ脂肪酸エステル、グリセリン及びホウ酸の反応、又はグリセリン部分脂肪酸エステルとホウ酸との脱水縮合反応により得られる化合物であり、基油への溶解性に優れることから、脂肪酸としては炭素数8〜18の脂肪酸が好ましい。具体的には、製造例1で示すようにグリセリンモノオレイン酸エステルとホウ酸との脱水縮合反応より得られる化合物が好ましい。ホウ酸化アルコキシル化脂肪酸アミドは、脂肪酸モノエタノールアミド又は脂肪酸ジエタノールアミドとホウ酸との脱水縮合反応により得られる化合物である。この中で、基油への溶解性に優れることから、脂肪酸モノエタノールアミド又は脂肪酸ジエタノールアミドを構成する脂肪酸としては炭素数8〜18の脂肪酸が好ましい。
【0028】
本発明の内燃機関用潤滑油組成物中の(B)成分の含有量は、本発明の内燃機関用潤滑油組成物全量に対し、ホウ素原子として100〜1000質量ppmである。(B)成分の含有量が、100質量ppmよりも少ない場合は(A)成分の分解抑制効果が十分ではなく、1000質量ppmよりも多い場合は、摩擦の増加、スラッジの増加、排ガス浄化触媒の被毒等が起こることがある。(B)成分の含有量は、ホウ素原子として110〜800質量ppmであることが好ましく、130〜600質量ppmであることが更に好ましく、150〜500質量ppmであることが最も好ましい。
【0029】
(A)成分に対する(B)成分の割合があまりに低い場合及び高い場合は、(A)成分の分解抑制効果が十分でなくなる場合がある。このため、(A)成分由来のモリブデン原子に対する(B)成分由来のホウ素原子の質量比が0.20〜2.2であることが好ましく、0.22〜1.8であることが更に好ましく、0.29〜1.5であることが最も好ましい。
【0030】
〔(C)成分:金属系清浄剤〕
内燃機関用潤滑油用の金属系清浄剤としては、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属サリシレート、アルカリ土類金属ホスホネート等が使用されており、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられる。本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、(A)成分の分解が抑制されることから、(C)成分として、カルシウム系清浄剤及びマグネシウム系清浄剤からなる群から選択される少なくとも1つの金属系清浄剤を、カルシウム原子とマグネシウム原子の合計で、本発明の内燃機関用潤滑油組成物全量に対し、0.05〜0.4質量%で含有することが好ましい。(C)成分としては、カルシウムフェネート、カルシウムサリシレート、カルシウムホスホネート、マグネシウムフェネート、マグネシウムサリシレート、マグネシウムホスホネート等が挙げられ、カルシウムサリシレート、カルシウムホスホネート、マグネシウムサリシレートが好ましく、カルシウムサリシレートが更に好ましい。金属系清浄剤は、通常、アルカリ土類金属の炭酸塩を配合することによりTBNを上げるが、本発明の(C)成分は、炭酸塩の一部がホウ酸塩で置換されていてもよい。
【0031】
(C)成分の含量がカルシウム原子とマグネシウム原子の合計で0.05質量%よりも少ない場合は、(A)成分の分解抑制効果が十分得られない場合があり、0.4質量%よりも多い場合は、スラッジを発生させる場合がある。本発明の内燃機関用潤滑油組成物中の(C)成分の含量は、カルシウム原子とマグネシウム原子の合計で0.05〜0.25質量%であることが好ましく、0.1〜0.20質量%であることが更に好ましい。
【0032】
金属系清浄剤は、TBN(ASTM D2896に準拠する全塩基価(Total Base Number))が、20〜600mgKOH/gのものが知られているが、TBNが低すぎる場合は、多量に添加する必要があり、TBNが高すぎる場合は、(A)成分の潤滑性の持続に悪影響が出る場合がある。(C)成分のTBNは、50〜500mgKOH/gであることが好ましく、100〜400mgKOH/gであることがさらに好ましく、100〜200mgKOH/gであることが最も好ましい。
【0033】
〔(D)成分:コハク酸イミド型分散剤〕
内燃機関用潤滑油は、一般に、スラッジの分散及び可溶化、スラッジ・デポジット(スラッジ
の安定な前駆体)の可溶化等により、スラッジの堆積を防ぐために無灰型分散剤が配合されている。無灰型分散剤としては、アルケニル無水コハク酸とポリアミン化合物との縮合反応によって得られるコハク酸イミド型分散剤、アルケニル無水コハク酸とポリオール化合物との縮合反応によって得られるコハク酸エステル型分散剤、アルケニル無水コハク酸とアルカノールアミンとの縮合反応によって得られるコハク酸エステルアミド型分散剤、アルキルフェノールとポリアミンをホルムアルデヒドで縮合させて得られるマンニッヒ塩基系分散剤及びこれらのホウ酸変性物が挙げられる。本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、(A)成分の分解が抑制できることから、(D)成分として、本発明の内燃機関用潤滑油組成物全量に対し、コハク酸イミド型分散剤を0.5〜10質量%含有することが好ましい。コハク酸イミド型分散剤は、下記の一般式(4)又は(5)で表される化合物である。
【0035】
(式中、R
13はアルケニル基を表わし、mは2〜10の数を表わす。)
【0036】
一般式(4)及び(5)において、R
13はアルケニル基を表わす。アルケニル基としては、ポリブテニル基が好ましく、アルケニル基の数平均分子量は300〜10,000であることが好ましく、300〜4000であることが更に好ましい。mは2〜10の数であり、2〜4の数が好ましい。一般式(4)及び(5)で表されるコハク酸イミド分散剤のホウ素変性物は、それぞれ一般式(4)及び(5)の矢印部分のアミノ基の一部又は全部がホウ酸と脱水縮合したものであり、ホウ素原子の含量として0.1〜5質量%のものが好ましい。アルケニルコハク酸イミド分散剤は、ポリオレフィンと無水マレイン酸とを反応させ得られるアルケニルコハク酸無水物を、ポリアルキレンポリアミンと反応させて製造される。市販品は通常、一般式(4)で表される化合物と一般式(5)で表される化合物の混合物であり、その比はコハク酸イミド分散剤を製造するときのアルケニルコハク酸無水物とポリアルキレンポリアミンの仕込み比によって決定される。このため、市販品では、一般式(4)で表される化合物の方が多いものをモノアルケニルコハク酸イミド、一般式(5)で表される化合物の方が多いものをジアルケニルコハク酸イミドという場合がある。(D)成分の含量が0.5質量%よりも少ない場合は、(A)成分の分解抑制効果が十分得られない場合があり、10質量%よりも多い場合は、内燃機関用潤滑油の物性が低下する場合がある。
【0037】
〔(E)成分:亜鉛ジチオフォスフェート化合物〕
内燃機関用潤滑油は、一般に、腐食防止、耐荷重性の向上、摩耗防止能等を目的として亜鉛ジチオフォスフェート化合物が配合されているが、本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、(A)成分の分解が抑制されることから、(E)成分として、下記一般式(3)で表される亜鉛ジチオフォスフェート化合物を、本発明の内燃機関用潤滑油組成物全量に対し、リン原子として200〜800質量ppm含有することが好ましい。
【0038】
【化4】
(式中、R
9〜R
12は炭素数6〜18の炭化水素基を表す。)
【0039】
一般式(3)において、R
9〜R
12は炭素数6〜18の炭化水素基を表す。炭素数6〜18の炭化水素基としてはヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等の炭素数6〜18の直鎖アルキル基;2−メチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、2−プロピルヘプチル基、2−ブチルオクチル基、2−ブチルデシル基、2−ペンチルノニル基、2−ヘキシルオクチル基、2−ヘキシルデシル基、2−ヘキシルドデシル基、2−ヘプチルウンデシル基、2−オクチルデシル基、モノメチル分枝−イソステアリル基、2,2,4,4−テトラメチルペンチル基、イソヘプチル基、イソトリデシル基等の炭素数6〜18の分岐アルキル基;4−メチル−2−ペンチル基、2級ヘキシル基、2級ヘプチル基、2級オクチル基、2級ノニル基、2級デシル基、2級ウンデシル基、2級ドデシル基、2級トリデシル基、2級テトラデシル基、2級ヘキサデシル基等の炭素数7〜18の2級アルキル基;ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、テトラデセニル基、オレイル基等の炭素数7〜18のアルケニル基;
【0040】
フェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基、フェニルフェニル基、ベンジルフェニル基、スチレン化フェニル基、p−クミルフェニル基、ジノニルフェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等の炭素数6〜18のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、クミル基、ヒドロシンナミル基、ベンズヒドリル基、メチルベンジル基、t−ブチルベンジル基等の炭素数7〜18のアラルキル基;シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、シクロペンテニル
基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、メチルシクロペンテニル基、メチルシクロヘキセニル基、メチルシクロヘプテニル基等の炭素数6〜18のシクロアルキル基又はシクロアルケニル基等が挙げられる。
【0041】
R
9〜R
12としては、摩擦低減効果及び(A)成分の分解抑制効果が高いことから、炭素数6〜14のアルキル基が好ましく、炭素数6〜10のアルキル基が更に好ましく、炭素数6〜8のアルキル基が最も好ましく、アルキル基の中では、分岐アルキル基が好ましい。R
9〜R
12は同一の基でもよいし、異なる基の組合せでもよい。具体的には、R
9〜R
12が4−メチル−2−ペンチル基、オクチル基又は2−エチルヘキシル基が好ましく、4−メチル−2−ペンチル基がより好ましい。
【0042】
(E)成分の含量がリン原子として200質量ppmよりも少ないと(A)成分の分解抑制効果が十分得られず、800質量ppmよりも多いと、配合量に見合う増量効果は得られないばかりか、排ガス浄化触媒を被毒したり、(A)成分の分解を促進してしまう場合がある。このため、(E)成分の含有量は、
リン原子として350〜800質量ppmであることが更に好ましく、500〜800質量ppmであることが最も好ましい。
【0043】
内燃機関用潤滑油組成物では、通常、アルキル基の炭素数が1〜5のジアルキルジチオリン酸亜鉛が使用されるが、本発明の内燃機関用潤滑油組成物では、アルキル基の炭素数が1〜5のジアルキルジチオリン酸亜鉛は、(E)成分による(A)成分分解抑制効果を低下させることから、含有しないことが好ましいが、含有する場合であっても、(
E)成分のリン原子100質量部に対するアルキル基の炭素数が1〜5のジアルキルジチオリン酸亜鉛のリン原子の割合が、50質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることが更に好ましい。また、排ガス浄化触媒の被毒を起こす場合があることから、(E)成分とアルキル基の炭素数が1〜5のジアルキルジチオリン酸亜鉛の合計の含有量は、リン原子として800質量ppm以下であることが好ましい。
【0044】
〔(F)成分
:酸化防止剤〕
内燃機関用潤滑油用の酸化防止剤としては、アミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、フェノチアジン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、亜リン酸エステル系酸化防止剤等が使用されているが、本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、(A)成分の分解が抑制されることから、(F)成分として、フェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤からなる群から
選択される少なくとも1つの酸化防止剤を本発明の内燃機関用潤滑油組成物全量に対し、0.1〜1質量%で含有することが好ましい。
【0045】
フェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オクチル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸−2−エチルヘキシル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ステアリル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オレイル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ドデシル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸デシル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オクチル、テトラキス{3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオニルオキシメチル}メタン、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸グリセリンモノエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸とグリセリンモノオレイルエーテルとのエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸ブチレングリコールジエステル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸チオジグリコールジエステル、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−t−ブチル−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)サルファイド、トリス{(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル−オキシエチル}イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、ビス{2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル}サルファイド、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラフタロイル−ジ(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジルサルファイド)、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−{ジエチル−ビス−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)}プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジル−リン酸ジエステル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルベンジル)サルファイド、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス{3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド}グリコールエステル等が挙げられる。これらの中でも、基油への溶解性に優れ、(A)成分の分解抑制効果も大きいことから、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸オクチル、3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸−2−エチルヘキシルが好ましい。
【0046】
アミン系酸化防止剤としては、例えば、1−ナフチルアミン、フェニル−1−ナフチルアミン、p−オクチルフェニル−1−ナフチルアミン、p−ノニルフェニル−1−ナフチルアミン、p−ドデシルフェニル−1−ナフチルアミン、フェニル−2−ナフチルアミン等のナフチルアミン系酸化防止剤;N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジイソブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、ジオクチル−p−フェニレンジアミン、フェニルヘキシル−p−フェニレンジアミン、フェニルオクチル−p−フェニレンジアミン等のフェニレンジアミン系酸化防止剤;ジピリジルアミン、ジフェニルアミン、p,p’−ジ−n−ブチルジフェニルアミン、p,p’−ジ−t−ブチルジフェニルアミン、p,p’−ジ−t−ペンチルジフェニルアミン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、p,p’−ジノニルジフェニルアミン、p,p’−ジデシルジフェニルアミン、p,p’−ジドデシルジフェニルアミン、p,p’−ジスチリルジフェニルアミン、p,p’−ジメトキシジフェニルアミン、4,4’−ビス(4−α,α−ジメチルベンゾイル)ジフェニルアミン、p−イソプロポキシジフェニルアミン、ジピリジルアミン等のジフェニルアミン系酸化防止剤;フェノチアジン、N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、フェノチアジンカルボン酸エステル、フェノセレナジン等のフェノチアジン系酸化防止剤が挙げられる。これらの中でも、高温での酸化防止性能に優れることから、ジフェニルアミン系酸化防止剤が好ましく、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン、p,p’−ジノニルジフェニルアミンが更に好ましく、p,p’−ジオクチルジフェニルアミンがなお更に好ましい。
【0047】
(F)成分の含有量が0.1質量%よりも少ないと、十分な効果を発揮できない場合があり、また、1質量%よりも多いと、配合量に見合う増量効果は得られないばかりか、却って(A)成分の分解を促進してしまう場合がある。このた
め、(F)成分の含有量は、0.15〜0.95質量%であることが更に好ましく、0.2〜0.9質量%であることが最も好ましい。
【0048】
(F)成分としてはフェノール系酸化防止剤を使用することが好ましく、フェノール系酸化防止剤とアミン系酸化防止剤を併用することが更に好ましい。フェノール系酸化防止剤とアミン系酸化防止剤を併用する場合は、酸化防止効果が大きくなることから、フェノール系酸化防止剤100質量部に対してとアミン系酸化防止剤が5〜100質量部であることが好ましく、10〜70質量部であることが更に好ましい。
【0049】
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、更に、通常、内燃機関用潤滑油に使用される潤滑添加剤を配合することができる。このような潤滑添加剤としては、(G1)リン系耐摩耗剤又はリン系酸化防止剤、(G2)硫黄系極圧剤、(G3)硫黄系酸化防止剤、(G4)チオリン酸系極圧剤、(G5)油性向上剤、(G6)防錆剤、(G7)粘度指数向上剤、(G8)金属不活性化剤、(G9)消泡剤、(G10)固体潤滑剤等が挙げられる。
【0050】
(G1)リン系耐摩耗剤又はリン系酸化防止剤としては、例えば、有機ホスフィン、有機ホスフィンオキシド、有機ホスフィナイト、有機ホスホナイト、有機ホスフィネート、有機ホスファイト、有機ホスホネート、有機ホスフェート、有機ホスホロアミデート等が挙げられる。
【0051】
(G2)硫黄系極圧剤としては、例えば、硫化油脂、硫化鉱油、有機モノ又はポリスルフィド、ポリオレフィンの硫化物、1,3,4―チアジアゾール誘導体、チウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸エステル等が挙げられる。
【0052】
(G3)硫黄系酸化防止剤としては、例えば、チオジプロピオン酸エステル、チオビス(フェノール)化合物、アルキルチオプロピオン酸の多価アルコールエステル、2−メルカプトベンズイミダゾール、ジラウリルスルフィド、アミルチオグリコレート等が挙げられる。
【0053】
(G4)チオリン酸系極圧剤としては、例えば、有機トリチオホスファイト、有機チオホスフェート等が挙げられる。
(G1)〜(G4)成分の好ましい配合量は、その合計量が潤滑油組成物全体に対して0.1〜20質量%程度である。但し、排ガス浄化触媒を被毒する場合があることから、組成物全体のリン含量が1000質量ppm、硫黄含有量が5000質量ppmをそれぞれ超えないことが好ましい。
【0054】
(G5)油性向上剤としては、例えば、ヘキサン酸、オクタン酸、ペラルゴン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸;アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ
油、カポック油、白カラシ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、シアナット油、シナキリ油、大豆油、茶実油、ツバキ油、コーン油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ひまし油、ひまわり油、綿実油、ヤシ油、木ロウ、落花生油、馬脂、牛脂、牛脚脂、牛酪脂、豚脂、山羊脂、羊脂、乳脂、魚油、鯨油等の油脂或いはこれらの水素添加物又は部分ケン化物;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ化油脂;エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル等のエポキシ化エステル;グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸等の二塩基酸;リシノール酸(ヒマシ油脂肪酸)、12−ヒドロキシステアリン酸等のヒドロキシステアリン酸の重縮合物又は該重縮合物と脂肪酸とのエステル;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール;ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ベヘニルアミン等の高級アミン;ラウリルアミド、ミリスチルアミド、パルミチルアミド、ステアリルアミド、オレイルアミド、ベヘニルアミド等の高級アミド;ヘキサン酸モノ/ジ/トリグリセリド、オクタン酸モノ/ジ/トリグリセリド、デカン酸モノ/ジ/トリグリセリド、ラウリン酸モノ/ジ/トリグリセリド、ミリスチン酸モノ/ジ/トリグリセリド、パルミチン酸モノ/ジ/トリグリセリド、ステアリン酸モノ/ジ/トリグリセリド、オレイン酸モノ/ジ/トリグリセリド、ベヘニン酸モノ/ジ/トリグリセリド等のグリセリド;ヘキサン酸ポリグリセリンエステル、オクタン酸ポリグリセリンエステル、デカン酸ポリグリセリンエステル、ラウリン酸ポリグリセリンエステル、ミリスチン酸ポリグリセリンエステル、パルミチン酸ポリグリセリンエステル、ステアリン酸ポリグリセリンエステル、オレイン酸ポリグリセリンエステル、ベヘニン酸ポリグリセリンエステル等のポリグリセリンエステル;ヘキサン酸ソルビタンエステル、オクタン酸ソルビタンエステル、デカン酸ソルビタンエステル、ラウリン酸ソルビタンエステル、ミリスチン酸ソルビタンエステル、パルミチン酸ソルビタンエステル、ステアリン酸ソルビタンエステル、オレイン酸ソルビタンエステル、ベヘニン酸ソルビタンエステル等のソルビタンエステル;ポリグリセリンモノオクチルエーテル、ポリグリセリンモノデシルエーテル、ポリグリセリンモノラウリルエーテル、ポリグリセリンモノオレイルエーテル、ポリグリセリンモノステアリルエーテル等のポリグリセリンエーテル;上記の化合物にエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ドデカン−1,2−オキシド等のα−オレフィンオキシドを付加したもの等が挙げられる。(G5)成分の好ましい配合量は、潤滑油組成物全体に対して0.05〜15質量%程度である。(
G5)成分の配合量が0.05質量%未満では、充分な添加効果が得られない場合があり、15質量%を超えると、配合量に見合う効果は得られず、更に粘度指数等の粘度特性を低下させる場合がある。
【0055】
(G6)成分の防錆剤としては、例えば、酸化パラフィンワックスカルシウム塩、酸化パラフィンワックスマグネシウム塩、牛脂脂肪酸アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩又はアミン塩、アルケニルコハク酸又はアルケニルコハク酸ハーフエステル(アルケニル基の分子量は100〜300程度)、ソルビタンモノエステル、ペンタエリスリトールモノエステル、グリセリンモノエステル、ノニルフェノールエトキシレート、ラノリン脂肪酸エステル、ラノリン脂肪酸カルシウム塩等が挙げられる。(G6)成分の好ましい配合量は、防錆効果が充分に発揮される範囲として、潤滑油組成物全体に対して0.1〜15質量%程度である。
【0056】
(G7)成分の粘度指数向上剤としては、例えば、ポリ(C1〜18)アルキルメタクリレート、(C1〜18)アルキルアクリレート/(C1〜18)アルキルメタクリレート共重合体、ジエチルアミノエチルメタクリレート/(C1〜18)アルキルメタクリレート共重合体、エチレン/(C1〜18)アルキルメタクリレート共重合体、ポリイソブチレン、ポリアルキルスチレン、エチレン/プロピレン共重合体、スチレン/マレイン酸エステル共重合体、スチレン/マレイン酸アミド共重合体、スチレン/ブタジエン水素化共重合体、スチレン/イソプレン水素化共重合体等が挙げられる。平均分子量は10,000〜1,500,000程度である。(G7)成分の好ましい配合量は、潤滑油組成物全体に対して0.1〜20質量%程度である。
【0057】
(G8)成分の金属不活性化剤としては、例えば、N,N’−サリチリデン−1,2−プロパンジアミン、アリザリン、テトラアルキルチウラムジスルフィド、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、2−アルキルジチオベンゾイミダゾール、2−アルキルジチオベンゾチアゾール、2−(N,N−ジアルキルチオカルバモイル)ベンゾチアゾール、2,5−ビス(アルキルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(N,N−ジアルキルチオカルバモイル)−1,3,4−チアジアゾール等が挙げられる。(G8)成分の好ましい配合量は、潤滑油組成物全体に対して0.01〜5質量%程度である。
【0058】
(G9)成分の消泡剤としては、例えば、ポリジメチルシリコーン、トリフルオロプロピルメチルシリコーン、コロイダルシリカ、ポリアルキルアクリレート、ポリアルキルメタクリレート、アルコールエトキシ/プロポキシレート、脂肪酸エトキシ/プロポキシレート、ソルビタン部分脂肪酸エステル等が挙げられる。(G9)成分の好ましい配合量は、潤滑油組成物全体に対して1〜1000質量ppm程度である。
【0059】
(G10)成分の固体潤滑剤としては、例えば、グラファイト、二硫化モリブデン、ポリテトラフルオロエチレン、脂肪酸アルカリ土類金属塩、雲母、二塩化カドミウム、二ヨウ化カドミウム、フッ化カルシウム、ヨウ化鉛、酸化鉛、チタンカーバイド、窒化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化アンチモン、フッ化セリウム、ポリエチレン、ダイアモンド粉末、窒化ケイ素、窒化ホウ素
、フッ化炭素、メラミンイソシアヌレート等が挙げられる。(
G10)成分の好ましい配合量は、潤滑油組成物全体に対して0.005〜2質量%程度である。0.005質量%未満では添加効果は得られず、2質量%を超えると、エンジン油の流動性に悪影響を与える場合がある。
【0060】
以上の(G1)〜(G10)の各成分は、1種又は2種以上を適宜配合することができる。
【0061】
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、あらゆる種類の内燃機関の内燃機関用潤滑油として使用することができ、特に、ガソリンエンジンやディーセルエンジンのエンジン油として使用することが好ましい。
【実施例】
【0062】
以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。尚、以下の実施例等において「%」及び「ppm」は特に記載が無い限り質量基準である。
【0063】
〔製造例1:ホウ酸化グリセリン脂肪酸エステル〕
ガラス製の反応器に、グリセリンモノオレイン酸エステル100g、ホウ酸11.7gを仕込み、攪拌しながら150℃まで昇温し、生成する水を除去しながら3時間、常圧でこれらを反応させた後、100hPaまで減圧して更に150℃で3時間反応を続けてホウ酸化グリセリン脂肪酸エステルを合成した。(ホウ素含量2.0%)
【0064】
下記を用いて、表1〜3の組成にて実施例1〜25及び比較例1〜15の潤滑油組成物を調製した。なお、表1〜3の組成の数字は全量を100質量部とした場合の質量部である。また、各潤滑油組成物の100℃の動粘度は7.7〜7.8mm
2/sであり、SAE粘度分類の0W−20に相当する。
【0065】
基油1:全芳香族含有量0.2%、硫黄分1ppm、100℃動粘度4.2mm
2/s、粘度指数124のパラフィン系精製鉱物油
基油2:全芳香族含有量17%、硫黄分1000ppm、100℃動粘度4.4mm
2/s、粘度指数102の精製鉱物油
【0066】
実施例25で用いた基油における芳香族含有量が0.39%、硫黄含有量が12.4ppmである。
比較例13で用いた基油における芳香族含量は17%、硫黄含有量が1000ppm、比較例14で用いた基油における芳香族含量が5.9%、硫黄含有量が342ppm、比較例15で用いた基油における芳香族含量が2.1%、硫黄含有量が115ppmである。
【0067】
A1:一般式(1)において、R
1〜R
2が2−エチルヘキシル基、R
3〜R
4が分岐トリデシル基、X
1〜X
2が硫黄原子、X
3〜X
4が酸素原子である化合物(Mo含量10%)A2:一般式(1)において、R
1〜R
4がブチル基、X
1〜X
2が硫黄原子、X
3〜X
4が酸素原子である化合物(Mo含量27.4%)
A3:一般式(2)において、R
5〜R
8が2−エチルヘキシル基、X
5〜X
6が硫黄原子、X
7〜X
8が酸素原子である化合物(Mo含量9.1
%)
B1:ホウ酸トリブチル(B含量4.7%)
B2:ホウ酸トリオクチル(B含量2.7%)
B3:
製造例1のホウ酸化グリセリン脂肪酸エステル(B含量2.0%)
【0068】
C1:カルシウムサリシレート(Ca含量10%、TBN280mgKOH/g)
C2:カルシウムサリシレート(Ca含量6.4%、TBN165mgKOH/g)
C3:ホウ素変性カルシウムサリシレート(Ca含量10%、ホウ素含量0.5%、TBN275mgKOH/g)
C4:カルシウムスルホネート(Ca含量11.4%、TBN300mgKOH/g)
C5:マグネシウムサリシレート(Mg含量6.0%、TBN280mgKOH/g)
C’1;バリウムスルホネート(Ba含量6.8%、TBN10mgKOH/g)
D1:モノアルケニルコハク酸イミド
D2:ビスアルケニルコハク酸イミド
D3:ホウ素変性アルケニルコハク酸イミド(ホウ素含量0.34%)
D’1:マンニッヒ塩基系分散剤
【0069】
E1:一般式(3)においてR
9〜R
12が4−メチル−2−ペンチル基である化合物(リン含量8.5%)
E2:一般式(3)においてR
9〜R
12がオクチル基である化合物(リン含量8.0%)
E3:一般式(3)においてR
9〜R
12が2−エチルヘキシル基である化合物(リン含量8.0%)
E’1:一般式(3)においてR
9〜R
12がブチル基である化合物(リン含量12.7%)
E’2:一般式(3)においてR
9〜R
12が2−ブチル基である化合物(リン含量12.9%)
F1:3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオン酸−2−エチルヘキシル
F’1:p,p’−ジオクチルジフェニルアミン
G6:ポリメタクリレート系粘度指数向上剤
【0070】
〔安定性試験方法〕
試験方法:試料200mLを300mLガラス製メスシリンダーに入れ、150℃の恒温槽に入れ、試料中に流量10L/時の空気を吹き込んだ。試験前、並びに試験開始から5〜8日後にサンプリングした試料について、下記の方法で摩擦係数及び(A)成分の残存率を測定した。結果を表1〜3に示す。なお、表1〜3において、残存率が「ND」は、残存率が5%未満であること、摩擦係数及び残存率が「−」は未測定であることを示す。
【0071】
〔摩擦係数測定条件〕
使用試験機:SRV測定試験機(Optimol社製、型式:type3)
評価条件
・シリンダ−オンプレートの線接触条件で摩擦係数を測定する
・荷重:200N
・温度:80℃
・測定時間:15分
・振幅:1mm
・上部シリンダー:φ15×22mm(材質SUJ−2)
・下部プレート:φ24×6.85mm(材質SUJ−2)
評価方法:10〜15分の摩擦係数の平均値により評価する。摩擦係数の数値が低いほど潤滑性が良好であることを示す。
〔有機モリブデン化合物の残存量〕
液体クロマトグラフィーにより、有機モリブデン化合物の含有量を定量し、試験前の含有量に対する試験後の含有量の割合を100分率で算出する。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】