【文献】
STEVENS, E et al.,Area-Selective Atomic Layer Deposition of TiN, TiO2, and HfO2 on Silicon Nitride with inhibition on,Chemistry of Materials,米国,2018年04月27日,Vol.30,pp.3223 - 3232
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の好ましい実施形態について説明する。
【0009】
以下に、本発明の好ましい実施形態について図面を参照してより詳細に説明する。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
図1は半導体デバイスの製造方法を実施するための基板処理装置(以下単に、基板処理装置10という)の上面断面図である。本実施形態にかかるクラスタ型の基板処理装置10の搬送装置は、真空側と大気側とに分かれている。また、基板処理装置10では、基板としてのウエハ200を搬送するキャリヤとして、FOUP(Front Opening Unified Pod:以下、ポッドという。)100が使用されている。
【0011】
(真空側の構成)
図1に示されているように、基板処理装置10は、真空状態などの大気圧未満の圧力(負圧)に耐え得る第1搬送室103を備えている。第1搬送室103の筐体101は平面視が例えば五角形であり、上下両端が閉塞した箱形状に形成されている。
【0012】
第1搬送室103内には、ウエハ200を移載する第1基板移載機112が設けられている。
【0013】
筐体101の五枚の側壁のうち前側に位置する側壁には、予備室(ロードロック室)122,123がそれぞれゲートバルブ126,127を介して連結されている。予備室122,123は、ウエハ200を搬入する機能とウエハ200を搬出する機能とを併用可能に構成され、それぞれ負圧に耐え得る構造で構成されている。
【0014】
第1搬送室103の筐体101の五枚の側壁のうち後ろ側(背面側)に位置する四枚の側壁には、基板を収容し、収容された基板に所望の処理を行う第1プロセスユニットとしての処理炉202aと、第2プロセスユニットとしての処理炉202b、第3プロセスユニットとしての処理炉202c、第4プロセスユニットとしての処理炉202dがゲートバルブ70a,70b,70c,70dを介してそれぞれ隣接して連結されている。
【0015】
(大気側の構成)
予備室122,123の前側には、大気圧下の状態でウエハ200を搬送することができる第2搬送室121がゲートバルブ128、129を介して連結されている。第2搬送室121には、ウエハ200を移載する第2基板移載機124が設けられている。
【0016】
第2搬送室121の左側にはノッチ合わせ装置106が設けられている。なお、ノッチ合わせ装置106は、オリエンテーションフラット合わせ装置であってもよい。また、第2搬送室121の上部にはクリーンエアを供給するクリーンユニットが設けられている。
【0017】
第2搬送室121の筐体125の前側には、ウエハ200を第2搬送室121に対して搬入搬出するための基板搬入搬出口134と、ポッドオープナ108と、が設けられている。基板搬入搬出口134を挟んでポッドオープナ108と反対側、すなわち筐体125の外側には、ロードポート(IOステージ)105が設けられている。ポッドオープナ108は、ポッド100のキャップ100aを開閉すると共に基板搬入搬出口134を閉塞可能なクロージャを備えている。ロードポート105に載置されたポッド100のキャップ100aを開閉することにより、ポッド100に対するウエハ200の出し入れを可能にする。また、ポッド100は図示しない工程内搬送装置(OHTなど)によって、ロードポート105に対して、供給および排出されるようになっている。
【0018】
(処理炉202aの構成)
図2は基板処理装置10が備える第1プロセスユニットとしての処理炉202aの縦断面図であって、
図3は処理炉202aの上面断面図である。
なお、本実施形態では、第1プロセスユニットとしての処理炉202aにおいて改質処理を行った後に、第2プロセスユニットとしての処理炉202bにおいて成膜処理を行う例について説明するが、第3プロセスユニットとしての処理炉202c、第4プロセスユニットとしての処理炉202dにおいて、同様の基板処理を行うことができる。
【0019】
処理炉202aは、加熱手段(加熱機構、加熱系)としてのヒータ207を備える。ヒータ207は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられている。
【0020】
ヒータ207の内側には、ヒータ207と同心円状に反応容器(処理容器)を構成するアウタチューブ203が配設されている。アウタチューブ203は、例えば石英(SiO
2)、炭化シリコン(SiC)などの耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。アウタチューブ203の下方には、アウタチューブ203と同心円状に、マニホールド(インレットフランジ)209が配設されている。マニホールド209は、例えばステンレス(SUS)などの金属からなり、上端及び下端が開口した円筒形状に形成されている。マニホールド209の上端部と、アウタチューブ203との間には、シール部材としてのOリング220aが設けられている。マニホールド209がヒータベースに支持されることにより、アウタチューブ203は垂直に据え付けられた状態となる。
【0021】
アウタチューブ203の内側には、反応容器を構成するインナチューブ204が配設されている。インナチューブ204は、例えば石英(SiO
2)、炭化シリコン(SiC)などの耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。主に、アウタチューブ203と、インナチューブ204と、マニホールド209とにより処理容器(反応容器)が構成されている。処理容器の筒中空部(インナチューブ204の内側)には第1の処理室としての処理室201aが形成されている。
【0022】
処理室201aは、基板としてのウエハ200を後述するボート217によって水平姿勢で鉛直方向に多段に配列した状態で収容可能に構成されている。
【0023】
処理室201a内には、ノズル410がマニホールド209の側壁及びインナチューブ204を貫通するように設けられている。ノズル410には、ガス供給管310が接続されている。ただし、本実施形態の処理炉202aは上述の形態に限定されない。
【0024】
ガス供給管310には上流側から順に流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)312が設けられている。また、ガス供給管310には、開閉弁であるバルブ314が設けられている。ガス供給管310のバルブ314の下流側には、不活性ガスを供給するガス供給管510が接続されている。ガス供給管510には、上流側から順に、MFC512及びバルブ514が設けられている。
【0025】
ガス供給管310の先端部にはノズル410が連結接続されている。ノズル410は、L字型のノズルとして構成されており、その水平部はマニホールド209の側壁及びインナチューブ204を貫通するように設けられている。ノズル410の垂直部は、インナチューブ204の径方向外向きに突出し、かつ鉛直方向に延在するように形成されているチャンネル形状(溝形状)の予備室205aの内部に設けられており、予備室205a内にてインナチューブ204の内壁に沿って上方(ウエハ200の配列方向上方)に向かって設けられている。
【0026】
ノズル410は、処理室201aの下部領域から処理室201aの上部領域まで延在するように設けられており、ウエハ200と対向する位置に複数のガス供給孔410aが設けられている。これにより、ノズル410のガス供給孔410aからウエハ200に処理ガスを供給する。このガス供給孔410aは、インナチューブ204の下部から上部にわたって複数設けられ、それぞれ同一の開口面積を有し、さらに同一の開口ピッチで設けられている。ただし、ガス供給孔410aは上述の形態に限定されない。例えば、インナチューブ204の下部から上部に向かって開口面積を徐々に大きくしてもよい。これにより、ガス供給孔410aから供給されるガスの流量をより均一化することが可能となる。
【0027】
ノズル410のガス供給孔410aは、後述するボート217の下部から上部までの高さの位置に複数設けられている。そのため、ノズル410のガス供給孔410aから処理室201a内に供給された処理ガスは、ボート217の下部から上部までに収容されたウエハ200の全域に供給される。ノズル410は、処理室201aの下部領域から上部領域まで延在するように設けられていればよいが、ボート217の天井付近まで延在するように設けられていることが好ましい。
【0028】
ガス供給管310からは、処理ガスとして、無機配位子を含む改質ガスが、MFC312、バルブ314、ノズル410を介して処理室201a内に供給される。改質ガスとしては、例えば第1のハロゲン化物であって、電気的に陰性である配位子を有するフッ素(F)含有ガス等が用いられ、その一例として六フッ化タングステン(WF
6)を用いることができる。
【0029】
ガス供給管510からは、不活性ガスとして、例えば窒素(N
2)ガスが、それぞれMFC512、バルブ514、ノズル410を介して処理室201a内に供給される。以下、不活性ガスとしてN
2ガスを用いる例について説明するが、不活性ガスとしては、N
2ガス以外に、例えば、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、キセノン(Xe)ガス等の希ガスを用いてもよい。
【0030】
主に、ガス供給管310、MFC312、バルブ314、ノズル410により第1のガス供給系としての改質ガス供給系が構成されるが、ノズル410のみを改質ガス供給系と考えてもよい。改質ガス供給系は、処理ガス供給系と称してもよく、単にガス供給系と称してもよい。ガス供給管310から改質ガスを流す場合、主に、ガス供給管310、MFC312、バルブ314により改質ガス供給系が構成されるが、ノズル410を改質ガス供給系に含めて考えてもよい。また、主に、ガス供給管510、MFC512、バルブ514により不活性ガス供給系が構成される。
【0031】
本実施形態におけるガス供給の方法は、インナチューブ204の内壁と、複数枚のウエハ200の端部とで定義される円環状の縦長の空間内の予備室205a内に配置したノズル410を経由してガスを搬送している。そして、ノズル410のウエハと対向する位置に設けられた複数のガス供給孔410aからインナチューブ204内にガスを噴出させている。より詳細には、ノズル410のガス供給孔410aにより、ウエハ200の表面と平行方向に向かって改質ガス等を噴出させている。
【0032】
排気孔(排気口)204aは、インナチューブ204の側壁であってノズル410に対向した位置に形成された貫通孔であり、例えば、鉛直方向に細長く開設されたスリット状の貫通孔である。ノズル410のガス供給孔410aから処理室201a内に供給され、ウエハ200の表面上を流れたガスは、排気孔204aを介してインナチューブ204とアウタチューブ203との間に形成された隙間からなる排気路206内に流れる。そして、排気路206内へと流れたガスは、排気管231内に流れ、処理炉202a外へと排出される。
【0033】
排気孔204aは、複数のウエハ200と対向する位置に設けられており、ガス供給孔410aから処理室201a内のウエハ200の近傍に供給されたガスは、水平方向に向かって流れた後、排気孔204aを介して排気路206内へと流れる。排気孔204aはスリット状の貫通孔として構成される場合に限らず、複数個の孔により構成されていてもよい。
【0034】
マニホールド209には、処理室201a内の雰囲気を排気する排気管231が設けられている。排気管231には、上流側から順に、処理室201a内の圧力を検出する圧力検出器(圧力検出部)としての圧力センサ245,APC(Auto Pressure Controller)バルブ243,真空排気装置としての真空ポンプ246が接続されている。APCバルブ243は、真空ポンプ246を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室201a内の真空排気及び真空排気停止を行うことができ、更に、真空ポンプ246を作動させた状態で弁開度を調節することで、処理室201a内の圧力を調整することができる。主に、排気孔204a、排気路206、排気管231、APCバルブ243及び圧力センサ245により、排気系が構成される。真空ポンプ246を排気系に含めて考えてもよい。
【0035】
マニホールド209の下方には、マニホールド209の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ219が設けられている。シールキャップ219は、マニホールド209の下端に鉛直方向下側から当接されるように構成されている。シールキャップ219は、例えばSUS等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ219の上面には、マニホールド209の下端と当接するシール部材としてのOリング220bが設けられている。シールキャップ219における処理室201aの反対側には、ウエハ200を収容するボート217を回転させる回転機構267が設置されている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217に接続されている。回転機構267は、ボート217を回転させることでウエハ200を回転させるように構成されている。シールキャップ219は、アウタチューブ203の外部に垂直に設置された昇降機構としてのボートエレベータ115によって鉛直方向に昇降されるように構成されている。ボートエレベータ115は、シールキャップ219を昇降させることで、ボート217を処理室201a内外に搬入及び搬出することが可能なように構成されている。ボートエレベータ115は、ボート217及びボート217に収容されたウエハ200を、処理室201a内外に搬送する搬送装置(搬送機構)として構成されている。
【0036】
基板支持具としてのボート217は、複数枚、例えば25〜200枚のウエハ200を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で鉛直方向に間隔を空けて配列させるように構成されている。ボート217は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる。ボート217の下部には、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる断熱板218が水平姿勢で多段(図示せず)に支持されている。この構成により、ヒータ207からの熱がシールキャップ219側に伝わりにくくなっている。ただし、本実施形態は上述の形態に限定されない。例えば、ボート217の下部に断熱板218を設けずに、石英やSiC等の耐熱性材料からなる筒状の部材として構成された断熱筒を設けてもよい。
【0037】
図3に示すように、インナチューブ204内には温度検出器としての温度センサ263が設置されており、温度センサ263により検出された温度情報に基づきヒータ207への通電量を調整することで、処理室201a内の温度が所望の温度分布となるように構成されている。温度センサ263は、ノズル410と同様にL字型に構成されており、インナチューブ204の内壁に沿って設けられている。
【0038】
(処理炉202bの構成)
図4は基板処理装置10が備える第2プロセスユニットとしての処理炉202bの縦断面図であって、
図5は処理炉202bの上面断面図である。
本実施形態における処理炉202bは、上述した処理炉202aと処理室201内の構成が異なっている。処理炉202bにおいて、上述した処理炉202aと異なる部分のみ以下に説明し、同じ部分は説明を省略する。処理炉202bは、第2の処理室としての処理室201bを備えている。
【0039】
処理室201b内には、ノズル420,430がマニホールド209の側壁及びインナチューブ204を貫通するように設けられている。ノズル420,430には、ガス供給管320,330が、それぞれ接続されている。ただし、本実施形態の処理炉202bは上述の形態に限定されない。
【0040】
ガス供給管320,330には上流側から順にMFC322,332がそれぞれ設けられている。また、ガス供給管320,330には、バルブ324,334がそれぞれ設けられている。ガス供給管320,330のバルブ324,334の下流側には、不活性ガスを供給するガス供給管520,530がそれぞれ接続されている。ガス供給管520,530には、上流側から順に、MFC522,532及びバルブ524,534がそれぞれ設けられている。
【0041】
ガス供給管320,330の先端部にはノズル420,430がそれぞれ連結接続されている。ノズル420,430は、L字型のノズルとして構成されており、その水平部はマニホールド209の側壁及びインナチューブ204を貫通するように設けられている。ノズル420,430の垂直部は、インナチューブ204の径方向外向きに突出し、かつ鉛直方向に延在するように形成されているチャンネル形状(溝形状)の予備室205bの内部に設けられており、予備室205b内にてインナチューブ204の内壁に沿って上方(ウエハ200の配列方向上方)に向かって設けられている。
【0042】
ノズル420,430は、処理室201bの下部領域から処理室201bの上部領域まで延在するように設けられており、ウエハ200と対向する位置にそれぞれ複数のガス供給孔420a,430aが設けられている。
【0043】
ノズル420,430のガス供給孔420a,430aは、後述するボート217の下部から上部までの高さの位置に複数設けられている。そのため、ノズル420,430のガス供給孔420a,430aから処理室201b内に供給された処理ガスは、ボート217の下部から上部までに収容されたウエハ200の全域に供給される。
【0044】
ガス供給管320からは、処理ガスとして、堆積ガスとしての原料ガスが、MFC322、バルブ324、ノズル420を介して処理室201b内に供給される。原料ガスとしては、例えば第2のハロゲン化物であって、電気的に陰性である配位子を有する塩素(Cl)を含むCl含有ガス等が用いられ、その一例として四塩化チタン(TiCl
4)ガスを用いることができる。
【0045】
ガス供給管330からは、処理ガスとして、堆積ガスとしての原料ガスと反応する反応ガスが、MFC332、バルブ334、ノズル430を介して処理室201b内に供給される。反応ガスとしては、例えば窒素(N)を含むN含有ガスが用いられ、その一例としてアンモニア(NH
3)ガスを用いることができる。
【0046】
ガス供給管520,530からは、不活性ガスとして、例えば窒素(N
2)ガスが、それぞれMFC522,532、バルブ524,534、ノズル420,430を介して処理室201b内に供給される。以下、不活性ガスとしてN
2ガスを用いる例について説明するが、不活性ガスとしては、N
2ガス以外に、例えば、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、キセノン(Xe)ガス等の希ガスを用いてもよい。
【0047】
主に、ガス供給管320,330、MFC322,332、バルブ324,334、ノズル420,430により第2のガス供給系としての堆積ガス供給系が構成されるが、ノズル420,430のみを堆積ガス供給系と考えてもよい。堆積ガス供給系は処理ガス供給系や単にガス供給系と称してもよい。ガス供給管320から原料ガスを流す場合、主に、ガス供給管320、MFC322、バルブ324により原料ガス供給系が構成されるが、ノズル420を原料ガス供給系に含めて考えてもよい。また、ガス供給管330から反応ガスを流す場合、主に、ガス供給管330、MFC332、バルブ334により反応ガス供給系が構成されるが、ノズル430を反応ガス供給系に含めて考えてもよい。ガス供給管330から反応ガスとして窒素含有ガスを供給する場合、反応ガス供給系を窒素含有ガス供給系と称することもできる。また、主に、ガス供給管520,530、MFC522,532、バルブ524,534により不活性ガス供給系が構成される。
【0048】
(制御部の構成)
図6に示すように、制御部(制御手段)であるコントローラ121は、CPU(Central Processing Unit)121a,RAM(Random Access Memory)121b,記憶装置121c,I/Oポート121dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM121b,記憶装置121c,I/Oポート121dは、内部バスを介して、CPU121aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ121には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置122が接続されている。
【0049】
記憶装置121cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置121c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラム、後述する半導体装置の製造方法の手順や条件などが記載されたプロセスレシピなどが、読み出し可能に格納されている。プロセスレシピは、後述する半導体装置の製造方法における各工程(各ステップ)をコントローラ121に実行させ、所定の結果を得ることができるように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピ、制御プログラム等を総称して、単に、プログラムともいう。本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、プロセスレシピ及び制御プログラムの組み合わせを含む場合がある。RAM121bは、CPU121aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0050】
I/Oポート121dは、上述の処理炉202a,202bがそれぞれ備えるMFC312,322,332,512,522,532、バルブ314,324,334,514,524,534、圧力センサ245、APCバルブ243、真空ポンプ246、ヒータ207、温度センサ263、回転機構267、ボートエレベータ115、ゲートバルブ70a〜70d、第1基板移載機112等に接続されている。
【0051】
CPU121aは、記憶装置121cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置122からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置121cからレシピ等を読み出すように構成されている。CPU121aは、読み出したレシピの内容に沿うように、MFC312,322,332,512,522,532による各種ガスの流量調整動作、バルブ314,324,334,514,524,534の開閉動作、APCバルブ243の開閉動作及びAPCバルブ243による圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ263に基づくヒータ207の温度調整動作、真空ポンプ246の起動及び停止、回転機構267によるボート217の回転及び回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、ボート217へのウエハ200の収容動作等を制御するように構成されている。
【0052】
コントローラ121は、外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)123に格納された上述のプログラムを、コンピュータにインストールすることにより構成することができる。記憶装置121cや外部記憶装置123は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成されている。以下、これらを総称して、単に、記録媒体ともいう。本明細書において記録媒体は、記憶装置121c単体のみを含む場合、外部記憶装置123単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。コンピュータへのプログラムの提供は、外部記憶装置123を用いず、インターネットや専用回線等の通信手段を用いて行ってもよい。
【0053】
(2)基板処理工程
半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、第1の表面としてのシリコン酸化(SiO
2)層と、第1の表面とは異なる第2の表面としてのシリコン窒化(SiN)層を有するウエハ200上のSiN層上に、窒化チタン(TiN)膜を形成する工程の一例について、
図7(A)を用いて説明する。本工程では、処理炉202aにおいてウエハ200上のSiO
2層の表面を改質する処理を行った後に、処理炉202bにおいてウエハ200上のSiN層上にTiN膜を選択成長させる処理を実行する。なお、
図7(A)においては、処理炉202aから処理炉202bへの搬出搬入動作が省略されている。以下の説明において、基板処理装置10を構成する各部の動作はコントローラ121により制御される。
【0054】
本実施形態による基板処理工程(半導体装置の製造工程)では、
第1の表面としてのSiO
2層と、第2の表面としてのSiN層を有するウエハ200に対して、無機配位子を含む改質ガスとしての六フッ化タングステン(WF
6)ガスを供給して、SiO
2層の表面を改質する工程と、
ウエハ200に対して、堆積ガスとして、原料ガスとしてのTiCl
4ガスと、反応ガスとしてのNH
3ガスを供給し、SiN層の表面上にTiN膜を選択成長させる工程と、を有する。
【0055】
なお、ウエハ200表面上のSiO
2層の表面を改質する工程は、複数回実行するようにしてもよい。なお、このウエハ200表面上のSiO
2層の表面を改質する工程を表面改質処理もしくは単に改質処理と呼ぶ。そして、ウエハ200表面上のSiN層の表面上にTiN膜を選択成長させる工程を成膜処理と呼ぶ。
【0056】
本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体」を意味する場合がある。本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面」を意味する場合がある。本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も、「ウエハ」という言葉を用いた場合と同義である。
【0057】
A.改質処理(改質処理工程)
先ず、第1プロセスユニットとしての処理炉202a内に、SiO
2層とSiN層を表面に有するウエハ200を搬入し、改質処理を実行し、これらのウエハ200上のSiO
2層の表面にF終端を生成する。
【0058】
(ウエハ搬入)
複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると、
図2に示されているように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201a内に搬入(ボートロード)される。この状態で、シールキャップ219はOリング220を介して反応管203の下端開口を閉塞した状態となる。
【0059】
(圧力調整および温度調整)
処理室201a内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ246によって真空排気される。この際、処理室201a内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力情報に基づき、APCバルブ243がフィードバック制御される(圧力調整)。真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201a内が所望の温度となるようにヒータ207によって加熱される。この際、処理室201a内が所望の温度分布となるように、温度センサ263が検出した温度情報に基づきヒータ207への通電量がフィードバック制御される(温度調整)。ヒータ207による処理室201a内の加熱は、少なくともウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0060】
A−1:[改質ガス供給工程]
(WF
6ガス供給)
バルブ314を開き、ガス供給管310内に改質ガスであるWF
6ガスを流す。WF
6ガスは、MFC312により流量調整され、ノズル410のガス供給孔410aから処理室201a内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してWF
6ガスが供給される。これと並行してバルブ514を開き、ガス供給管510内にN
2ガス等の不活性ガスを流す。ガス供給管510内を流れたN
2ガスは、MFC512により流量調整され、WF
6ガスと一緒に処理室201a内に供給され、排気管231から排気される。
【0061】
このときAPCバルブ243を調整して、処理室201a内の圧力を、例えば1〜1000Paの範囲内の圧力とする。MFC312で制御するWF
6ガスの供給流量は、例えば1〜1000sccmの範囲内の流量とする。MFC512で制御するN
2ガスの供給流量は、例えば100〜10000sccmの範囲内の流量とする。WF
6ガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば1〜3600秒の範囲内の時間とする。このときヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば30〜300℃であって、好ましくは30〜250℃、より好ましくは50〜200℃の温度となるように設定する。なお、例えば30〜300℃は30℃以上300℃以下を意味する。以下、他の数値範囲についても同様である。ウエハ200の温度を30℃より高くするとSiO
2層とWF
6ガスに含まれるフッ素成分(F)との反応が起こりSiO
2層上にハロゲン終端が生成されるが、30℃より低くすると、WF
6ガスがウエハ200表面上のSiO
2層と反応せず、SiO
2層上にハロゲン終端が生成されない場合がある。ウエハ200の温度を300℃より高くすると、WF
6ガスが顕著に分解されてしまう場合がある。
【0062】
このとき処理室201a内に流しているガスはWF
6ガスとN
2ガスである。WF
6ガスの供給により、ウエハ200表面の結合が切断されてWF
6ガスに含まれるFを結合させてウエハ200表面上のSiO
2層上にハロゲン終端が生成される。このとき、ウエハ200表面上のSiN層上にはハロゲン終端が生成されない。
【0063】
そして、WF
6ガスの供給を開始してから所定時間経過後に、ガス供給管310のバルブ314を閉じて、WF
6ガスの供給を停止する。
【0064】
A−2:[パージ工程]
(残留ガス除去)
次に、WF
6ガスの供給が停止されると、処理室201a内のガスを排気するパージ処理が行われる。このとき排気管231のAPCバルブ243は開いたままとして、真空ポンプ246により処理室201a内を真空排気し、処理室201a内に残留する未反応のWF
6ガスもしくはSiO
2層表面をハロゲン終端した後のWF
4ガスを処理室201a内から排除する。このときバルブ514は開いたままとして、N
2ガスの処理室201a内への供給を維持する。N
2ガスはパージガスとして作用し、処理室201a内に残留する未反応のWF
6ガスもしくはWF
4ガスを処理室201a内から排除する効果を高めることができる。
【0065】
このようなSiO
2層上にはハロゲン終端が生成され、SiN層上にはハロゲン終端が生成されない様子を
図8(A)〜
図8(C)に示す。
図8(A)は、WF
6ガスによる暴露前のSiO
2層とSiN層が形成されたウエハ200表面の様子を示すモデル図であり、
図8(B)は、ウエハ200表面をWF
6ガスにより暴露した直後の状態を示すモデル図であり、
図8(C)は、WF
6ガスによる暴露後のウエハ200表面の様子を示すモデル図である。
【0066】
図8(C)を参照すると、WF
6ガスによる暴露後のウエハ200表面では、ウエハ200上のSiO
2層表面がフッ素成分により終端(ハロゲン終端)されているのが分かる。また、ウエハ200上のSiN層表面にはフッ素成分により終端(ハロゲン終端)されていないことが分かる。つまり、WF
6ガスを暴露すると、WF
6のF分子が外れてSiO
2層に吸着し、SiO
2層がFコーティングされて撥水効果をもたらしている。
【0067】
(所定回数実施)
上記した改質ガス供給工程およびパージ工程を順に行うサイクルを1回以上(所定回数(n回))行うことにより、ウエハ200上に形成されたSiO
2層表面はハロゲン終端される。また、ウエハ200上に形成されたSiN層表面はハロゲン終端されない。
【0068】
(アフターパージおよび大気圧復帰)
ガス供給管510からN
2ガスを処理室201a内へ供給し、排気管231から排気する。N
2ガスはパージガスとして作用し、これにより処理室201a内が不活性ガスでパージされ、処理室201a内に残留するガスや副生成物が処理室201a内から除去される(アフターパージ)。その後、処理室201a内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、処理室201a内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰)。
【0069】
(ウエハ搬出)
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、反応管203の下端が開口される。そして、改質処理済ウエハ200がボート217に支持された状態で反応管203の下端から反応管203の外部に搬出(ボートアンロード)される。その後、改質処理済のウエハ200は、ボート217より取り出される(ウエハディスチャージ)。
【0070】
B.成膜処理(選択成長工程)
次に、第2プロセスユニットとしての処理炉202b内に、処理炉202a内で改質処理済みのウエハ200が搬入される。そして、処理室201b内が所望の圧力、所望の温度分布に圧力調整および温度調整がなされ、成膜処理が実行される。なお、本工程は、上述した処理炉202aにおける工程とガス供給工程のみ異なる。したがって、上述した処理炉202aにおける工程と異なる部分のみ以下に説明し、同じ部分は説明を省略する。
【0071】
B−1:[第1の工程]
(TiCl
4ガス供給)
バルブ324を開き、ガス供給管320内に原料ガスであるTiCl
4ガスを流す。TiCl
4ガスは、MFC322により流量調整され、ノズル420のガス供給孔420aから処理室201b内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ウエハ200に対してTiCl
4ガスが供給される。これと並行してバルブ524を開き、ガス供給管520内にN
2ガス等の不活性ガスを流す。ガス供給管520内を流れたN
2ガスは、MFC522により流量調整され、TiCl
4ガスと一緒に処理室201b内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ノズル430内へのTiCl
4ガスの侵入を防止するために、バルブ534を開き、ガス供給管530内にN
2ガスを流す。N
2ガスは、ガス供給管330、ノズル430を介して処理室201b内に供給され、排気管231から排気される。
【0072】
このときAPCバルブ243を調整して、処理室201b内の圧力を、例えば1〜1000Paの範囲内の圧力、例えば100Paとする。MFC322で制御するTiCl
4ガスの供給流量は、例えば0.1〜2slmの範囲内の流量とする。MFC522,532で制御するN
2ガスの供給流量は、それぞれ例えば1〜10slmの範囲内の流量とする。TiCl
4ガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば0.1〜200秒の範囲内の時間とする。このときヒータ207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば100〜600℃の範囲内の温度であって、好ましくは200〜500℃、より好ましくは200〜400℃となるような温度に設定する。
【0073】
このとき処理室201b内に流しているガスは、TiCl
4ガスとN
2ガスである。TiCl
4ガスは、上述した改質処理工程において表面をハロゲン終端したSiO
2層上には吸着せず、SiN層上に吸着する。これは、TiCl
4ガスに含まれるハロゲン(Cl)と、SiO
2層上のハロゲン(F)が、それぞれ電気的に陰性の配位子であるために反発因子となり、吸着しにくい状態となっているためである。つまり、SiO
2層上ではインキュベーションタイムが長くなり、SiO
2層以外の表面にTiN膜を選択成長させることが可能となる。ここで、インキュベーションタイムとは、ウエハ表面上に膜が成長し始めるまでの時間である。
【0074】
ここで、薄膜を、特定のウエハ表面に対して選択的に成膜する場合、成膜したくないウエハ表面に対して原料ガスが吸着して、意図しない成膜が生じることがある。これが選択性の破れである。この選択性の破れは、ウエハに対する原料ガス分子の吸着確率が高い場合に生じ易い。すなわち、成膜したくないウエハに対する原料ガス分子の吸着確率を下げることが、選択性の向上に直結する。
【0075】
ウエハ表面の原料ガスの吸着は、原料分子とウエハ表面の電気的相互作用によって、原料ガスがある時間、ウエハ表面に留まることによってもたらされる。つまり、吸着確率は、原料ガスまたはその分解物のウエハに対する暴露密度と、ウエハ自体のもつ電気化学的な因子の双方に依存する。ここで、ウエハ自体のもつ電気化学的な因子とは、例えば、原子レベルの表面欠陥や、分極や電界等による帯電を差すことが多い。つまり、ウエハ表面上の電気化学的な因子と、原料ガスが相互に引き付けやすい関係であれば、吸着が起りやすいと言える。
【0076】
従来の半導体の成膜プロセスにおいては、原料ガス側においては、原料ガスの圧力を下げたり、ガス流速を上げる等によって、ウエハの吸着しやすい場所への滞在を極力抑える方法によって、選択的な成膜プロセスを実現してきた。しかしながら、半導体デバイスの表面積が、微細化や三次元化の進化によって増えるに伴い、原料ガスのウエハに対する暴露量を増やす方向に技術進化を遂げてきた。近年は、ガスを交互的に供給する方法によって、微細で、表面積の多いパターンに対しても、高い段差被覆性を得る方法が、主流となっている。即ち、原料ガス側での対策によって、選択的に成膜する目的を達しにくい状況にある。
【0077】
また、半導体デバイスにおいては、SiやSiO
2膜、SiN膜、金属膜などの様々な薄膜が用いられており、特に、最も広範に用いられる材料の一つであるSiO膜における選択成長性の制御は、デバイス加工のマージンや自由度を上げることへの寄与が大きい。
【0078】
つまり、ウエハ200上のSiO
2層表面を改質する改質ガスとして、酸化膜に対して強固な吸着性を持つ分子を含む材料を用いることが好ましい。また、ウエハ200上のSiO
2層表面を改質する改質ガスとして、酸化膜に対して低温で暴露したとしも酸化膜をエッチングしない材料を用いることが好ましい。
【0079】
B−2:[第2の工程]
(残留ガス除去)
Ti含有層を形成した後、バルブ324を閉じて、TiCl
4ガスの供給を停止する。
そして、処理室201b内に残留する未反応もしくはTi含有層の形成に寄与した後のTiCl
4ガスや反応副生成物を処理室201b内から排除する。
【0080】
B−3:[第3の工程]
(NH
3ガス供給)
処理室201b内の残留ガスを除去した後、バルブ334を開き、ガス供給管330内に、反応ガスとしてNH
3ガスを流す。NH
3ガスは、MFC332により流量調整され、ノズル430のガス供給孔430aから処理室201b内に供給され、排気管231から排気される。このときウエハ200に対して、NH
3ガスが供給される。これと並行してバルブ534を開き、ガス供給管530内にN
2ガスを流す。ガス供給管530内を流れたN
2ガスは、MFC532により流量調整される。N
2ガスはNH
3ガスと一緒に処理室201b内に供給され、排気管231から排気される。このとき、ノズル420内へのNH
3ガスの侵入を防止するために、バルブ524を開き、ガス供給管520内にN
2ガスを流す。N
2ガスは、ガス供給管320、ノズル420を介して処理室201b内に供給され、排気管231から排気される。
【0081】
このときAPCバルブ243を調整して、処理室201b内の圧力を、例えば100〜2000Paの範囲内の圧力、例えば800Paとする。MFC332で制御するNH
3ガスの供給流量は、例えば0.5〜5slmの範囲内の流量とする。MFC522,532で制御するN
2ガスの供給流量は、それぞれ例えば1〜10slmの範囲内の流量とする。NH
3ガスをウエハ200に対して供給する時間は、例えば1〜300秒の範囲内の時間とする。このときのヒータ207の温度は、TiCl
4ガス供給ステップと同様の温度に設定する。
【0082】
このとき処理室201内に流しているガスは、NH
3ガスとN
2ガスのみである。NH
3ガスは、上述の第1の工程でウエハ200のSiN層上に形成されたTi含有層の少なくとも一部と置換反応する。置換反応の際には、Ti含有層に含まれるTiとNH
3ガスに含まれるNとが結合して、ウエハ200上のSiN層上にTiとNとを含むTiN膜が形成される。すなわち、ウエハ200上のSiO
2層上にはTiN膜が形成されない。
【0083】
B−4:[第4の工程]
(残留ガス除去)
TiN膜を形成した後、バルブ334を閉じて、NH
3ガスの供給を停止する。
そして、上述した第1の工程と同様の処理手順により、処理室201b内に残留する未反応もしくはTiN膜の形成に寄与した後のNH
3ガスや反応副生成物を処理室201b内から排除する。
【0084】
このようなSiO
2層上にはハロゲン終端が形成され、SiN層上にはハロゲン終端が形成されずにTiN膜が形成される様子を
図9(A)〜
図9(C)及び
図10(A)に示す。
図9(A)は、TiCl
4ガスが供給された直後のウエハ表面の状態を示すモデル図であり、
図9(B)は、TiCl
4ガスによる暴露後のウエハ表面の状態を示すモデル図であり、
図9(C)は、NH
3ガスが供給された直後のウエハ表面の状態を示すモデル図である。
図10(A)は、NH
3ガスによる暴露後のウエハ表面の状態を示すモデル図である。
【0085】
図10(A)を参照すると、ウエハ200表面では、ウエハ200上のSiO
2層表面がフッ素成分により終端(ハロゲン終端)されているのが分かる。また、ウエハ200上のSiN層表面にはTiとNとを含むTiN膜が形成されているのが分かる。つまり、SiO
2層表面は、ハロゲン終端されてTiN膜が形成されていないことが分かる。
【0086】
(所定回数実施)
そして、原料ガスとしてのTiCl
4ガスと反応ガスとしてのNH
3ガスとを互いに混合しないよう交互に供給し、上記した第1の工程〜第4の工程を順に行うサイクルを1回以上(所定回数(n回))行うことにより、
図10(B)に示されるように、ウエハ200のSiN層上に、所定の厚さ(例えば5〜10nm)のTiN膜を形成する。上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。
【0087】
なお、上述した改質処理では、改質ガス供給工程(WF
6ガス供給)とパージ工程(残留ガス除去)とを交互に複数回行うパルス供給を行う構成について説明したが、
図7(B)に示されているように、処理炉201a内において改質ガス供給工程(WF
6ガス供給)とパージ工程(残留ガス除去)とを順に1回ずつ連続して行った後に、処理炉201b内において上述した成膜処理を実行するようにしてもよい。なお、
図7(B)においても、処理炉202aから処理炉202bへの搬出搬入動作が省略されている。
【0088】
なお、上述では選択成長に用いる原料ガスとしてTiCl
4ガスとNH
3ガスを用いて、上述の成膜温度帯でTiN膜を選択成長させる例について説明したが、これに限らず、選択成長に用いる原料ガスとしての四塩化ケイ素(SiCl
4)とNH
3ガスを用いて、400〜800℃の範囲内であって、たとえば500〜600℃程度の高温の成膜温度でSiN膜を選択成長させてもよい。
【0089】
成膜温度には、形成する膜種や使用するガス種、求める膜質等によって最適なプロセスウィンドウが存在する。たとえば、使用するガスの反応温度が500℃以上の場合、成膜温度が500℃以上であれば良好な膜質を有する膜が得られる。しかし、500℃未満であれば、使用するガスの反応が起こらず、粗悪な膜質を有する膜となってしまったり、そもそも膜を形成できなかったりする場合がある。また、成膜温度が高すぎて原料ガスの自己分解温度より顕著に高くなってしまうと、成膜速度が速くなりすぎて選択性が破れてしまったり、膜厚の制御が困難となる可能性がある。たとえば、成膜温度を800℃以上等とすると、選択性が破れたり膜厚を制御できなくなる場合があるので、800℃未満等、原料ガスの自己分解温度より低い温度とすることが好ましい。
【0090】
また、ウエハ200上のSiO
2層表面を改質する改質ガスとして、有機物と無機物が考えられるが、有機物による表面改質は耐熱性が低く、成膜温度が500℃以上になると壊れてしまい、Siとの吸着も外れてしまう。つまり、500℃以上の高温成膜を行う場合には、選択性が破れてしまう。一方、無機物による表面改質は耐熱性が高く、成膜温度が500℃以上になってもSiとの吸着が外れない。例えば、フッ素(F)は強力なパッシベーション剤であり、強固な吸着力を有する。
【0091】
よって、ウエハ200上のSiO
2層表面を改質する改質ガスとして、無機配位子を含む無機系材料であって、例えばフッ素(F)、塩素(Cl)、ヨウ素(I)、臭素(Br)等を含むハロゲン化物を用いることにより、500℃以上の高温成膜を行う膜であっても、改質ガスを用いて選択成長を行うことが可能となる。例えば、高温成膜を行う場合は、改質処理を250℃以下の低温で行い、選択成長である成膜処理を500℃以上の高温で行うことができる。なお、ハロゲン化物のうち、特に結合エネルギーが高いものが好ましい。なお、F含有ガスは、ハロゲン化物の中でも最も結合エネルギーが高く、強い吸着力を有する。
【0092】
そして、選択成長に用いる原料ガスとして、電気的に陰性の分子を有する原料ガスを用いる。これにより、ウエハ200上のSiO
2層表面を改質する改質ガスが、電気的に陰性のハロゲン化物であるため、反発し合って結合し難くなる。なお、原料ガスとして、金属元素、シリコン元素等の原料分子を1つだけ含むものが好ましい。原料分子を2つ以上含む場合に、例えばSiが2つ含まれるときは、Si−Si結合が切れて、SiとFが結合してしまい、選択性が破れる可能性があるためである。
【0094】
本実施形態では、先ずハロゲン化物を含むWF
6ガスによりSiO
2層表面をハロゲン終端して、その後にハロゲン化物を含むTiCl
4ガスによりSiO
2層以外のSiN層表面にTiN膜を形成している。その理由は、WF
6ガスを暴露すると、F分子が酸化膜に吸着されて、酸化膜の表面がF分子でコーティングされる。このF分子は強固な吸着力を有し、成膜温度が500℃以上の高温であっても、外れない。また、TiCl
4ガスに含まれるハロゲン(Cl)と、SiO
2層上のハロゲン(F)は、それぞれ電気的に陰性の配位子であるために反発因子となり、表面をハロゲン終端したSiO
2層表面上には吸着しない。そのため、500℃以上の高温成膜を行う場合であっても、酸化膜上のFコーティングが外れずに、SiO
2層表面以外の表面に選択成長することができる。
【0095】
なお、発明者らの精査によれば、SiN膜、Si膜、金属膜、金属酸化膜に対しては、上述の改質ガスによるインキュベーションタイムの延長が、SiO
2膜に比べて短いことが確認された。このインキュベーションタイムの差を利用すれば、SiO
2膜上に対して成膜しにくく、その他の膜上では選択的に形成されるように膜を形成することが可能となる。
【0096】
すなわち、本実施形態によれば、基板上に膜を選択的に形成することができる技術を提供することができる。
【0097】
(4)他の実施形態
上述の実施形態では、改質処理を行う処理室202aと、成膜処理を行う処理室202bとを備えたクラスタ型の基板処理装置10を用いて、改質処理と成膜処理を別の処理室で行う構成について説明したが、
図11及び
図12に示されているように、1つの処理室301内に改質ガス供給系と堆積ガス供給系とを備えた基板処理装置300を用いて、改質処理及び成膜処理を同一処理室201内で行う構成においても同様に適用可能である。すなわち、インサイチュで基板処理を行う構成においても同様に適用可能である。この場合、改質処理と成膜処理とを連続して行うことができる。すなわち、改質処理後に処理室外へウエハ200を搬出することなく、続けて成膜処理を行うことができる。したがって、上述の実施形態と比較して、より、SiO
2層の表面に生成されたF終端を維持したまま成膜処理を行うことが可能となる。
【0098】
具体的な基板処理工程としては、改質処理として、ウエハ搬入、圧力調整および温度調整を行い、改質ガス供給工程とパージ工程を所定回数実施した後、アフターパージを行い、その後、連続して、成膜処理として、圧力調整および温度調整を行い、第1〜4の工程を所定回数実施した後、アフターパージおよび大気圧復帰を行い、ウエハ搬出を行う。
【0099】
また、上述の実施形態では、改質処理と成膜処理とを1回ずつ行う場合について説明したが、改質処理と成膜処理とを交互に複数回繰り返し行ってもよい。この場合、基板処理工程(半導体装置の製造工程)は、
第1の表面(例えばSiO
2層)と、第2の表面(例えばSiN層)を有するウエハ200に対して、無機配位子を含む改質ガス(例えばWF
6ガス)を供給して、第1の表面を改質する工程と、
ウエハ200に対して、堆積ガスとして、原料ガス(例えばTiCl
4ガス)と、反応ガス(例えばNH
3ガス)を供給し、第2の表面上に膜(例えばTiN膜)を選択成長させる工程と、
を交互に所定回数実施する工程を有する。
【0100】
改質処理と成膜処理とを交互に複数回繰り返し行う場合、成膜処理中に第1の表面上に生成されたF終端が少しずつ外れて第1の表面上に膜が形成されて選択性が破れてしまったとしても、形成された膜を、改質処理にて改質ガスでエッチングして除去し、外れてしまったF終端を補修することが可能となる。すなわち、2回目の改質処理はエッチング処理としての作用も有する。外れてしまったF終端を補修してから成膜処理を行うことにより、選択性を改善させることが可能となる。
【0101】
なお、上記実施形態では、改質ガスとして、六フッ化タングステン(WF
6)ガスを用いる場合について説明したが、本発明はこのような場合に限定されるものではない。改質ガスとして、三フッ化塩素(ClF
3)ガス、三フッ化窒素(NF
3)ガス、フッ化水素(HF)ガス、フッ素(F
2)ガス等の他のガスを用いる場合でも同様に本発明を適用可能である。なお、金属汚染を懸念する場合には、金属元素非含有のガスの使用が好ましい。
【0102】
同様に、上記実施形態では、選択成長に用いる原料ガスとして、TiCl
4ガスを用いる場合について説明したが、本発明はこのような場合に限定されるものではない。原料ガスとして、ハロゲンを含む四塩化ケイ素(SiCl
4)、四塩化アルミニウム(AlCl
4)、四塩化ジルコニウム(ZrCl
4)、四塩化ハフニウム(HfCl
4)、五塩化タンタル(TaCl
5)、五塩化タングステン(WCl
5)、五塩化モリブデン(MoCl
5)、六塩化タングステン(WCl
6)ガス等の他のガスを用いる場合でも同様に本発明を適用可能である。
【0103】
同様に、上記実施形態では、選択成長に用いる反応ガスとして、NH
3ガスを用いる場合について説明したが、本発明はこのような場合に限定されるものではない。反応ガスとして、原料ガスと反応するヒドラジン(N
2H
4)、水(H
2O)、酸素(O
2)、水素(H
2)と酸素(O
2)の混合ガス等のほかのガスを用いる場合でも同様に本発明を適用可能である。
【0104】
なお、改質ガスとしてClF
3ガスを用いる場合には、選択成長に用いる原料ガスとしての四塩化ケイ素(SiCl
4)とNH
3ガスを用いて、550℃程度の高温でSiN膜を選択成長させることが可能となる。また、選択成長に用いる原料ガスとしての四塩化ケイ素(SiCl
4)とH
2Oガスとピリジン等の触媒とを用いて、40〜90℃程度の極低温でSiO
2膜を選択成長させることが可能となる。
【0105】
以上、本発明の種々の典型的な実施形態を説明してきたが、本発明はそれらの実施形態に限定されず、適宜組み合わせて用いることもできる。
【0106】
(5)実施例
(実施例1)
次に、上記で説明した基板処理装置10を用いて、上記で説明した基板処理工程を用いて、改質ガスとしてWF
6ガスを暴露してSiN層上に窒化チタン(TiN)膜を形成した場合と、WF
6ガスを暴露しないでSiN層上にTiN膜を形成した場合とで、生成されるTiN膜の膜厚にどのような差があるかについて
図13(A)に基づいて説明する。
【0107】
WF
6を暴露した場合と、WF
6を暴露しない場合とでは、下地膜であるSiN層表面は、
図13(A)に示されるように、形成される膜厚にほとんど差がなく、処理サイクル数に応じてTiN膜の膜厚が厚くなることが確認された。すなわち、SiN層表面は、WF
6の暴露の有無によらずにTiN膜が形成されることが確認された。これは、
図8(C)に示されているように、SiN層表面がハロゲン終端されていないためであると考えられる。
【0108】
次に、上記で説明した基板処理装置10を用いて、上記で説明した基板処理工程でWF
6ガスを暴露してSiO
2層上にTiN膜を形成した場合と、WF
6ガスを暴露しないでSiO
2層上にTiN膜を形成した場合とで、生成されるTiN膜の膜厚にどのような差があるかについて
図13(B)に基づいて説明する。
【0109】
SiO
2層上にWF
6を暴露した場合には、下地膜であるSiO
2層表面は、上述した基板処理工程を256サイクル以上繰り返さなければ、TiN膜が形成されないことが確認された。一方で、SiO
2層上にWF
6ガスを暴露しない場合には、下地膜であるSiO
2層表面は、上述した基板処理工程を16サイクル以上繰り返すと、TiN膜が形成されることが確認された。つまり、SiO
2層上にWF
6ガスを暴露することにより、インキュベーションタイムが長くなることが確認された。
【0110】
(実施例2)
次に、SiO
2層に対してSiN層上に優先的にTiN膜を形成できる膜厚T
SiNを以下の式で定義する。
T
siN=SiN層上の成膜レート
×(SiO
2層上のインキュベーションタイム−SiN層上のインキュベーションタイム)
・・・・・(式1)
【0111】
上述した
図13(A)のWF
6暴露有の場合を例にとると、SiN層上のTiN膜の成膜レートは0.26nm/cycle、SiN層上のインキュベーションタイムは33サイクル、SiO
2層上のインキュベーションタイムは256サイクルなので、上記式1によりT
SiN=5.8nmと算出される。すなわち、SiO
2層上にTiN膜を形成せずにSiN層上に選択的に5.8nmのTiN膜を形成できることとなる。
図14は、T
SiNのWF
6ガス供給のパルス数に対する依存性を示している。
【0112】
図14に示されているように、WF
6ガスのパルス供給を60回程度繰り返すとT
SiNは飽和傾向を示すことが分かる。
【0113】
(実施例3)
次に、上記で説明した基板処理装置10を用いて、上記で説明した基板処理工程で(a)WF
6ガスを暴露しないでSiO
2層上にTiN膜を形成した場合と、(b)WF
6ガスをパルス供給してSiO
2層上にTiN膜を形成した場合と、(c)WF
6ガスを連続供給してSiO
2層上にTiN膜を形成した場合と、で、形成されるTiN膜の膜厚にどのような差があるかについて
図15(A)に基づいて説明する。(b)のパルス供給では、WF
6ガスのパルス供給を60サイクル(WF
6ガスの総暴露時間は10分)とし、(c)の連続供給では、WF
6ガスの暴露時間を10分として、(b)と(c)の総暴露時間を同じとした。
【0114】
(a)のWF
6ガスを暴露しない場合では、インキュベーションタイムが16サイクル、(b)のパルス供給の場合では、インキュベーションタイムが256サイクル、(c)の連続供給の場合では、インキュベーションタイムが168サイクルであって、(a)のWF
6ガスを暴露無に比べると、(b)、(c)のWF
6ガスを暴露した場合の方がインキュベーションタイムが長くなることが確認された。さらには、WF
6ガスの総暴露量が同じであっても、(c)のWF
6ガスを連続供給するのに比べて、(b)のWF
6ガスをパルス供給した方がインキュベーションタイムが長くなることが確認された。これは、WF
6ガスをパルス供給してWF
6ガス暴露の間にパージ工程を挟むことにより、WF
6ガスとSiO
2層表面の反応副生成物がSiO
2層表面から除去されるため表面の改質が進行し、同じ暴露量であってもインキュベーションタイムが長くなったと考えられる。
【0115】
(実施例4)
次に、上記で説明した基板処理装置10を用いて、上記で説明した基板処理工程で、SiO
2層上、酸化ジルコニウム(ZrO)層上、酸化ハフニウム(HfO)層上にWF
6ガスをパルス供給(60サイクル)した後にTiN膜を形成し、形成されるTiN膜の膜厚にどのくらい差があるかについて
図15(B)に基づいて説明する。
【0116】
図15(B)に示されているように、WF
6ガスを暴露してもSiO
2層上に形成されるTiN膜のインキュベーションタイムよりもZrO層上、HfO層上に形成されるTiN膜のインキュベーションタイムが長いことが確認された。すなわち、ZrO層上、HfO層上のインキュベーションタイムは、SiO
2層上のインキュベーションタイムよりも短く、ZrO層上、HfO層上においてもSiO
2層上に対して優先的にTiN膜を形成することができることが確認された。
【0117】
(実施例5)
次に、上記で説明した基板処理装置10を用いて、上記で説明した基板処理工程で、改質ガスとしてClF
3ガスを用いて250℃で改質処理を行い、SiN層とSiO
2層とが表面に形成されたウエハのSiN層上に500℃でSiN膜を選択成長させる成膜処理を行った場合の選択性に対する改質処理の効果を
図16(A)〜
図16(C)に基づいて説明する。
図16(A)は、比較例であって、改質処理を行わずに成膜処理を行った場合にSiN層上とSiO
2層上にそれぞれ選択成長されるSiN膜の膜厚を示す図であって、成膜処理を150サイクル行った場合と、300サイクル行った場合をプロットしている。
図16(B)は、改質処理後に成膜処理を行った場合にSiN層上とSiO
2層上にそれぞれ選択成長されるSiN膜の膜厚を示す図であって、成膜処理を200サイクル、300サイクル、400サイクル行った場合をプロットしている。
図16(C)は、改質処理と成膜処理とを交互に2回行った場合にSiN層上とSiO
2層上にそれぞれ選択成長されるSiN膜の膜厚を示す図であって、各成膜処理を200サイクルずつ(計400サイクル)行った場合をプロットしている。
【0118】
図16(A)に示されているように、改質処理を行わずに成膜処理を行った場合には、SiN層とSiO
2層とで形成されるSiN膜の膜厚に差がなく選択性はほとんど生じていないことが確認された。また、
図16(B)及び
図16(C)に示されているように、成膜処理前に改質処理を行うことにより、SiN層とSiO
2層上とで選択性が生じ、交互に複数回繰り返すことにより、より顕著に選択性が生じることが確認された。