(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
5−シアノフタリド1モル当たり、4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼンを0.9〜1.5モル、3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンを0.8〜1.3モル用いることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【背景技術】
【0002】
(1S)−1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−1−(4−フルオロフェニル)−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−カルボニトリル及びその塩(以下、「エスシタロプラム」ともいう。)は以下の構造(6)を持ち、その蓚酸塩(7)は周知の抗うつ薬である。前記エスシタロプラム(6)は、以下の合成経路で製造する方法が知られており、エスシタプラム蓚酸塩(7)として単離されている。
【0003】
【化1】
【0004】
エスシタロプラム蓚酸塩は、シタロプラムジオール(3)である、4−[4−(ジメチルアミノ)−1−(4−フルオロフェニル)−1−ヒドロキシブチル]−3−(ヒドロキシメチル)−ベンゾニトリル(以下、単に「シタロプラムジオール」とも言う)は、5−シアノフタリドを経て製造されているが、シタロプラムジオール合成段階では、反応性の高い2種類のグリニヤール試薬を逐次反応させることから、収率の低下や、純度の低下が起こりやすい。そのため、高収率且つ高純度でシタロプラムジオールを得ることが、高品質のエスシタロプラム蓚酸塩を得るのに重要であり、その製造方法、特にグリニヤール試薬の調製方法の検討がなされている。
【0005】
例えば特許文献1には、グリニヤール試薬前駆体に対して、マグネシウムを1.2当量使用して、グリニヤール試薬を調製した後、濾過により未反応のマグネシウムを取り除いてから反応に使用する方法が記載されている。該方法では、グリニヤール試薬前駆体に対して、1.2当量のマグネシウムを用いることから、グリニヤール試薬前駆体が完全に消費され、且つ未反応のマグネシウムも濾過により取り除くことができるため、純度の高いグリニヤール試薬が調製でき、その結果高純度のシタロプラムジオールが得られる。しかし、濾過工程でグリニヤール試薬が失活し、シタロプラムジオールの収率が低下するという問題があり、改善の余地があった。
【0006】
それに対して非特許文献1では、グリニヤール試薬前駆体に対して、1.2当量のマグネシウムを使用しているが、グリニヤール試薬を調製した後、そのまま反応に利用している。濾過工程を含まないことから、系中にマグネシウムが残存しているが、調製したグリニヤール試薬が失活することもないため、目的のシタロプラムジオールが68%と高収率で得られる。しかし、本発明者らの検討により、該方法では、高分子量の副生成物(分子量599等)が生成することが分かった。また精製後のエスシタロプラム蓚酸塩(7)においても、該副生成物由来の化合物が残存しており、精製が困難であることも明らかとなった。すなわち、エスシタロプラムジオールの高純度化という点について改善の余地があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は高純度、且つ高収率で所望のシタロプラムジオールを製造できる方法、及び得られた高純度のシタロプラムジオールを用いて、高純度のエスシタロプラム蓚酸塩を製造する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。上記グリニヤール試薬を製造時に残存するマグネシウムが副生成物を生成させる要因になっていると推測し、グリニヤール試薬の製造条件について検討を行った結果、それぞれのグリニヤール試薬前駆体に対して、マグネシウムを1モル未満モル用いてグリニヤール試薬を調製することで、副生成物の生成を抑制しつつ、高収率で所望のジオールを製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、 4−ブロモフルオロベンゼンとマグネシウムとを、有機溶媒中で反応させて4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼンの溶液を得る工程、
3−クロロ−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンとマグネシウムとを、有機溶媒中で反応させて3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンの溶液を得る工程、
5−シアノフタリドと4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼン及び3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンとを反応させて、4−[4−(ジメチルアミノ)−1−(4−フルオロフェニル)−1−ヒドロキシブチル]−3−(ヒドロキシメチル)−ベンゾニトリ
ルを得る工程を含み、
前記4−ブロモフルオロベンゼン1モル当たり、マグネシウムを
0.90〜0.99モル用い、且つ、前記3−クロロ−N,N−ジメチル−1−プロパンアミン1モル当たり、マグネシウムを
0.70〜0.96モル用いることを特徴とする4−[4−(ジメチルアミノ)−1−(4−フルオロフェニル)−1−ヒドロキシブチル]−3−(ヒドロキシメチル)−ベンゾニトリ
ルの製造方法である。
【0012】
以下、本発明は、以下の態様をとることができる。
【0014】
(2)さらに、5−シアノフタリド1モル当たり、4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼンを0.9〜1.5モル、3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンを0.8〜1.3モル用いること。
【発明の効果】
【0016】
本発明の製造方法によれば、高純度のシタロプラムジオールを高収率で製造することができる。また本発明の製造方法により得られたシタロプラムジオールから、高純度のエスシタロプラム蓚酸塩を製造することが可能である。以上のことから、本発明は、抗うつ剤の有効成分である、エスシタロプラム蓚酸塩を製造する際にきわめて有効である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼン調製時に、4−ブロモフルオロベンゼンに対してのマグネシウムの使用量を1当量未満とし、且つ3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンの調製時に、3−クロロ−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンに対してのマグネシウムの使用量を1当量未満とすることを特徴である。本反応において、マグネシウムを過剰量使用した場合、副生成物として高分子量の不純物が副生する傾向にある。従って、グリニヤール試薬製造時のマグネシウムの使用量を基質である4−ブロモフルオロベンゼン或いは、3−クロロ−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンの当量よりも少なくすることで、上記高分子量の不純物の副生が抑制できるため、高純度、且つ高収率で所望のシタロプラムジオールを製造することができる。以下、順を追って説明する。
【0018】
<グリニヤール試薬の調製>
本発明において、4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼンと3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミン(以下、単に「グリニヤール試薬」とも言う)は、4−ブロモフルオロベンゼン、又は3−クロロ−N,N−ジメチル−1−プロパンアミン(以下、「グリニヤール試薬前駆体」とも言う)とマグネシウムを溶媒中で接触させることにより、調製できる。各成分を混合する方法は特に制限されるものではなく。攪拌装置を備えた反応容器内で実施することができる。
【0019】
本反応で使用するマグネシウムは、市販のものをそのまま使用することもできるが、活性化処理を行って使用することが好ましい。活性化の手法には特に制限がなく、物理的な活性化法、化学的な活性化法を用いることができる。物理的な活性化法としては、不活性ガス雰囲気下でマグネシウムのみを攪拌し、表面の酸化マグネシウム層を物理的に取り除く方法が挙げられる。本手法においては、マグネシウムの活性化のみを行う反応容器を用いてもよい。化学的な活性化法としては、マグネシウムと反応する化合物を添加する方法が挙げられる。具体的には、ヨウ素、ジブロモエタン、4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼンや3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミン等の調製するグリニヤール試薬自体を活性化剤として使用することができる。中でも不純物の抑制の観点から、グリニヤール試薬自体を活性化剤として用いることが好ましい。なお不純物の抑制の観点から、4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼンを調製する際には、4−ブロモフルオロベンゼン1モル当たり、マグネシウムを1モル未満とする必要があり、0.90〜0.99モル用いることがより好ましく、0.90〜0.97モル用いることがさらに好ましい。
【0020】
また、3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンを調製する際には、不純物の抑制の観点から、3−クロロ−N,N−ジメチル−1−プロパンアミン1モル当たり、マグネシウムを1モル未満とする必要があり、0.70〜0.99モル用いることがより好ましく、0.80〜0.96モル用いることがさらに好ましく、0.80〜0.93モル用いることが最も好ましい。
【0021】
使用する溶媒としては、グリニヤール試薬を失活させないものであれば、特に制限されるものではない。具体的には、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル系溶媒;ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶媒;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のヘテロ原子を有する溶媒等が挙げられる。上記の溶媒は単独で使用することもでき、複数種類併用して使用することもできる。高純度の4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼンを調製するためには、エーテル系溶媒を使用することが好ましく、安全性、操作性を考慮するとテトラヒドロフランを用いることがさらに好ましい。また、高純度の3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンを得るためには、エーテル系溶媒、芳香族炭化水素溶媒を用いることが好ましく、エーテル系溶媒と芳香族炭化水素溶媒を組み合わせて使用することがさらに好ましく、テトラヒドロフランとトルエンを組み合わせて使用することが最も好ましい。
【0022】
またグリニヤール試薬は水と反応し失活するため、使用する溶媒は無水溶媒であることが好ましい。好ましくは1000ppm以下であり、さらに好ましくは500ppm以下である。
【0023】
各成分を反応容器内に添加する手順は、マグネシウム、必要に応じて前記溶媒をあらかじめ反応容器に仕込んで攪拌しておき、グリニヤール前駆体を滴下する方法が望ましい。滴下する時間は特に制限されるものではないが、高収率でグリニヤール試薬を得るためには、1〜24時間が好ましく、滴下する際の反応温度としては10℃〜還流温度の範囲が好ましく、55℃〜還流温度の範囲がさらに好ましい。
【0024】
反応時間も特に制限されるものではなく、原料のグリニヤール試薬前駆体、もしくはマグネシウムの反応割合を確認しながら、適宜決定することができる。本発明によれば、比較的短時間で反応が進行するため、通常であれば5分〜24時間であることが好ましく、10分〜5時間であることがより好ましく、30分〜2時間であることがさらに好ましい。なお、この反応時間は、マグネシウムとグリニヤール試薬前駆体との全量が混合されている時間を指す。
【0025】
各成分を混合する際の温度、すなわち反応温度(反応系内の温度)は、特に制限されるものではない。具体的には、−10℃〜還流温度の範囲で実施することができる。反応を完結させるためには還流させることが好ましい。
【0026】
反応時の圧力も特に制限されるものではない。具体的には、大気圧下、減圧下、加圧下のいずれかの雰囲気下で反応を実施してもよい。また、反応時の雰囲気も特に制限されるものではない。具体的には、空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下で実施することができる。反応性を考慮すると、不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましく、アルゴン雰囲気下で実施することがさらに好ましい。
【0027】
製造したグリニヤール試薬は、すぐに使用することが好ましいいが、必要に応じて保存してもよい。その場合には、不活性ガス雰囲気下で保存することが好ましく、アルゴンガス雰囲気下で保存することがさらに好ましい。
【0028】
<シタロプラムジオールの製造>
本発明の製造方法では、5−シアノフタリドと、4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼンと、3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンとを溶媒中で接触させることにより、前記シタロプラムジオールを製造する。シタロプラムジオールを製造する際に用いる上記グリニヤール試薬の使用量は特に制限されず、反応条件に応じて適宜設定すれば良いが、5−シアノフタリドに対して過剰量のグリニヤール試薬を用いた場合には、未反応のグリニヤール試薬或いは該前躯体の残存や、同じグリニヤール試薬が2つ反応したシタロプラムジオール等の副生物が副生し、精製操作を要するため、高純度のシタロプラムジオールを得る観点から、5−シアノフタリド1モル当たり、4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼンを0.90〜1.50モル用いることが好ましく、0.95〜1.20モル用いることがさらに好ましく、0.97〜1.17モル用いることが最も好ましい。さらに、5−シアノフタリド1モル当たり、3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンを0.8〜1.3モル用いることが好ましく、0.82〜1.20モル用いることがさらに好ましく、0.84〜1.13モル用いることが最も好ましい。
【0029】
各成分を混合する方法は特に制限されるものではなく、攪拌装置を備えた反応容器内で実施することができる。各成分を反応容器内に添加する手順は、特に制限される物ではないが、5−シアノフタリド、必要に応じて前記溶媒をあらかじめ反応容器に仕込んで攪拌しておき、4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼンと、3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンを滴下することが好ましい。滴下する順番に特に制限はないが、4−マグネシウムブロミドを滴下し、反応が完了した後、3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンを添加することが好ましい。
【0030】
5−シアノフタリドと4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼンを混合する際の温度、すなわち反応温度(反応系内の温度)は特に制限される物ではない。具体的には−40〜60℃の範囲で実施することができる。本反応で不純物を抑制しつつ、短時間で反応を完結させるためには、具体的には、反応温度を−10〜20℃の範囲にすることが好ましく、0〜10℃の範囲にすることがより好ましい。
【0031】
反応時間も特に制限される物ではなく、比較的短時間で反応が進行するため、通常であれば5分以上24時間以下であることが好ましく、10分間以上6時間以下であることがさらに好ましく、10分以上1時間以下であることが特に好ましい。なお、この反応時間は、5−シアノフタリドと4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼンとの全量が混合されている時間を指す。また本発明においては、原料の5−シアノフタリドの反応割合を確認しながら、反応時間を決定することが最も好ましい。5−シアノフタリドの反応割合は、実施例に記載の方法により確認することができる。
【0032】
5−シアノフタリドと4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼンとを反応させて得られた中間体と、3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンとを混合する際の温度、すなわち反応温度(反応系内の温度)は特に制限される物ではない。具体的には−40〜60℃の範囲で実施することができる。本発明によれば、不純物の生成を抑制するために、反応温度は−10〜20℃の範囲がさらに好ましく、0〜10℃の範囲が最も好ましい。
【0033】
前記式(2)で示される中間体と3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンの反応時間も特に制限される物ではないが、比較的短時間で反応が進行するため、通常であれば5分間以上24時間以下であることが好ましく、10分間以上4時間以下であることがさらに好ましく、30分間以上2時間以下であることが最も好ましい。なお、この反応時間は、3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンと中間体が全量混合されている時間をさす。本発明においては、前記式(2)で示される中間体の反応割合を確認しながら、反応時間を決定することが最も好ましい。前記式(2)で示される中間体の反応割合は、実施例に記載の方法により確認することができる。
【0034】
反応圧力も特に制限される物ではない。具体的には大気圧下、減圧下、加圧下のいずれかの雰囲気下で反応を実施してもよい。また、反応時の雰囲気も、特に制限されるモノではない。具体的には、空気雰囲気下、不活性ガス雰囲気下で実施することができる。反応性を考慮すると、不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましく、アルゴン雰囲気下で実施することがさらに好ましい。
【0035】
反応が終了した後の工程は、特に制限される物ではない。例えば、反応終了後に,
活性水素を含有する化合物を添加することにより、反応を停止させることができる。具体的な例としては、水、メタノールやエタノールなどのアルコール系溶媒、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、塩酸、塩化アンモニウムなどの無機酸及びその水溶液を使用することができる。具体的には酢酸を用いることが好ましく、酢酸の水溶液を用いることがさらに好ましい。
【0036】
本発明において、シタロプラムジオールは、公知の方法にて純度を向上させることができる。具体的には、酸を添加し晶析(再結晶を含む)を行うことが好ましい。使用する酸としては、有機酸、無機酸等結晶化に適した酸を任意に選択して使用することができる。本発明においては、無機酸を使用することが好ましく、ハロゲン化水素を使用することがさらに好ましく、臭化水素を使用することが最も好ましい。リスラリーや晶析(再結晶を含む)等に用いられる溶媒としては、酢酸エチル、ジエチルエーテル、トルエン等が挙げられる。中でも酢酸エチル、ジエチルエーテルを用いることが、純度、収率の観点から最も好ましい。
【0037】
単離後のシタロプラムジオール臭化水素酸塩の乾燥には、例えば、減圧乾燥などの方法を用いることができる。減圧乾燥においては、10〜50℃の温度で行うことができ、好ましくは20〜40℃で行うことができる。上記本発明の製造方法によって得られるシタロプラムジオール臭化水素酸塩は、その化学純度が99.5%以上、高分子不純物が0.01%以下と高い純度を有し、更に高収率で得ることができる。
【0038】
<エスシタロプラム及びその塩の製造方法>
本発明にかかるシタロプラムジオールから、エスシタロプラム、及びエスシタロプラムの塩を製造する事ができる。特に固体として得るためにはエスシタロプラム蓚酸塩とすることが好ましい。これらの製造方法としては、公知の方法を特に制限なく用いることができる。
【0039】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限される物ではない。
【実施例】
【0040】
<グリニヤール試薬当量の測定>
本願発明にかかるグリニヤール試薬の濃度測定は、GCを用いて以下の条件で行った。
【0041】
装置:島津社製 GC−2014
検出器:水素炎イオン検出器
カラム:Agilent社製 DB−1(30m、0.53mmI.D.、3.0μm)
注入口温度:200℃
検出器温度:250℃
キャリヤーガス:ヘリウム
スプリット比:1/10
平均線速度:31cm/秒
打ち込み量:1μm
4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼンの濃度測定用試料調製方法:スクリュー管(9mL)に、マイクロピペットでトリクロロメチルシラン 1mLを加える。上記スクリュー管(9mL)に、マイクロピペットで4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼン溶液1mLを加え、30分静置する。上記スクリュー管(9mL)に、マイクロピペットで蒸留水 1mL及びTHF 3mLを加える。十分に混合し、静置した後、上層液 約2mLをディスポーザブルシリンジ(容量3mL)に取り、0.45μmPTFEフィルターでろ過して、GCバイアルに加え、試料溶液とする。GC測定を行い、フルオロベンゼンと1−フルオロー4−(トリメチルシリル)ベンゼンの面積値から4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼンの5−シアノフタリドに対する当量を求める。
【0042】
【数1】
【0043】
A
F:1−フルオロー4−(トリメチルシリル)ベンゼンのピーク面積
A
B:フルオロベンゼンのピーク面積
【0044】
3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンの濃度測定用試料調製方法:スクリュー管(20mL)に、マイクロピペットでアセトフェノン 1.0mL、THF 4mLを加える。上記スクリュー管(20mL)に、マイクロピペットで3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミン溶液2mLを加え、10分静置する。上記スクリュー管(20mL)に、マイクロピペットで飽和塩化アンモニウム水溶液 2mL及びTHF 6mLを加える。十分に混合し、静置した後、上層液 約2mLをディスポーザブルシリンジ(容量3mL)に取り、0.45μmPTFEフィルターでろ過して、GCバイアルに加え、試料溶液とする。GC測定を行い、N,N−ジメチルプロパンアミンと4−N、N−ジメチルアミノ−1,1−フェニルブタノールの面積値から3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンの5−シアノフタリドに対する当量を求める。
【0045】
【数2】
【0046】
A
A:4−N,N−ジメチルアミノ−1,1−フェニルブタノールのピーク面積
A
E:N,N−ジメチルプロパンアミンのピーク面積
【0047】
<化学純度の測定>
本願発明にかかるグリニヤール反応の終点の確認及びシタロプラムジオール体の化学純度の測定は、HPLC法を用いて以下の条件で行った。
【0048】
装置:ウォーターズ社製2695
検出器:紫外吸光光度計(ウォーターズ社製2489)
検出波長:237nm
カラム:内径4.6mm、長さ25cmのステンレス管に5μmの液体クロマトグラ
フィー用オクタデシルシリル化シリカゲルが充填されたもの
移動相A:アセトニトリル/緩衝液=10/90
移動相B:アセトニトリル/緩衝液=65/35
緩衝液:リン酸二水素カリウム3.4gを水1000mLに溶かし、リン酸を加えて
pH3.0に調製する
移動相の送液:移動相A及び移動相Bの混合比を次のように変えて濃度勾配制御する
カラム温度:45℃付近の一定温度
注入量:20μL
サンプル濃度:0.5mg/mL
保持時間:5−シアノフタリド→18.0分
中間体(2)→45.1分
シタロプラムジオール体→22.3分
【0049】
【表1】
【0050】
実施例1
撹拌翼、温度計を取り付け、アルゴン置換した1000mLの四つ口フラスコに、THF480mLを加え、マグネシウム11.5g(475.4mmol)、4−ブロモフルオロベンゼン6.6g(37.7mmol)を加え、撹拌し、35℃に昇温した。昇温後、4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼン1.2g(1.23mmol)を加え、還流温度まで昇温した。昇温後、4−ブロモフルオロベンゼン79.2g(452.4mmol)を滴下し、滴下後還流温度で1時間攪拌する。撹拌後、室温付近の温度まで冷却し、4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼンを調製した。
【0051】
撹拌翼、温度計を取り付け、アルゴン置換した500mLの四つ口フラスコに、THF180mLを加え、マグネシウム9.4g(385.6mmol)、3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミン2.5g(4.15mmol)を加え、還流温度に昇温した。昇温後、3−クロロ−N,N−ジメチルプロパンアミン4.6g(37.7mmol)、トルエン6.5mLを加え、30分撹拌する。撹拌後、3−クロロ−N,N−ジメチルプロパンアミン45.9g(377.0mmol)、トルエン65mLを滴下し、滴下後還流温度で1時間攪拌した。撹拌後、室温付近の温度まで冷却し、3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンを調製した。
【0052】
撹拌翼、温度計を取り付け、アルゴン置換した2000mLの四つ口フラスコに、THF150mL、5−シアノフタリド(1)60g(377.0mmol)を加え、0〜15℃で撹拌する。0〜15℃の温度範囲内で4−マグネシウムブロミドフルオロベンゼンを滴下時間3時間で滴下した。滴下後、1時間攪拌し、0〜15℃の温度範囲内で3−マグネシウムクロリド−N,N−ジメチル−1−プロパンアミンのグリニャール試薬を滴下時間3時間で滴下した。滴下後、1時間攪拌し、蒸留水18mLを0〜15℃の温度範囲内で滴下した。その後、酢酸100g、蒸留水220mLを混合し、酢酸水溶液を調整し、酢酸水溶液を0〜30℃の温度範囲内で滴下した。滴下後、外温40〜60℃の温度範囲で減圧濃縮を行い、THFを濃縮した。濃縮残渣に、蒸留水360mL、トルエン480mL、25%アンモニア水50gを加え、60℃で30分撹拌する。撹拌後、有機層と水層に分液し、水層にトルエン90mLを加え、60℃で30分撹拌した。撹拌後、有機層と水層を分液し、得られた2つの有機層を混合する。混合した有機層に蒸留水90mLを加え、60〜80℃で30分撹拌した。撹拌後、有機層と水層を分液し、得られた有機層を外温60℃で減圧濃縮した。濃縮残渣に、ジエチルエーテル360mLを加え、25℃で撹拌し、溶液を均一化し、蒸留水360mL、48%臭化水素酸19.1g(113.1mmol)を室温付近の温度で加え、30分撹拌し結晶の析出を確認した。結晶の析出確認後、48%臭化水素酸41.3g(245.1mmol)を室温付近の温度で加え、減圧濃縮を行い、ジエチルエーテルを濃縮した。ジエチルエーテル濃縮後、減圧濾過により析出した結晶を濾別し、蒸留水120mL、ジエチルエーテル120mLにより、濾別した結晶を洗浄した。得られた白色結晶を30〜50℃で12時間減圧乾燥し、白色結晶として4−[4−(ジメチルアミノ)−1−(4’−フルオロフェニル)−1−ヒドロキシブチル]−3−(ヒドロキシメチル)−ベンゾニトリルの臭化水素酸塩102.1g(241.3mmol)を得た。
【0053】
実施例2〜11
マグネシウム、ブロモフルオロベンゼン、3−クロロ−N,N−ジメチルプロピルアミンの当量を変更した以外は、実施例1と同様にして実施した。条件と結果を表2、表3、および表4に示した。
【0054】
比較例1
マグネシウム、ブロモフルオロベンゼン、3−クロロ−N,N−ジメチルプロピルアミンの当量を変更し、グリニヤール試薬調製後にろ過してマグネシウムを除去した以外は、実施例1と同様にして実施した。条件と結果を表2、表3、および表4に示した。
【0055】
比較例2〜4
マグネシウム、ブロモフルオロベンゼン、3−クロロ−N,N−ジメチルプロピルアミンの当量を変更した以外は、実施例1と同様にして実施した。条件と結果を表2、表3、および表4に示した。
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】