(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6980976
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】リレー診断回路
(51)【国際特許分類】
H02H 7/00 20060101AFI20211202BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20211202BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
H02H7/00 L
H02J7/00 S
H02H7/18
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-564030(P2019-564030)
(86)(22)【出願日】2018年10月15日
(65)【公表番号】特表2020-521423(P2020-521423A)
(43)【公表日】2020年7月16日
(86)【国際出願番号】KR2018012108
(87)【国際公開番号】WO2019093667
(87)【国際公開日】20190516
【審査請求日】2019年11月21日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0147364
(32)【優先日】2017年11月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジェドン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ヒュンキ
(72)【発明者】
【氏名】リー、サン フーン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヤン シク
【審査官】
高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】
韓国公開特許第2014−0136844(KR,A)
【文献】
特開2012−182892(JP,A)
【文献】
韓国公開特許第2016−0054935(KR,A)
【文献】
米国特許第9213064(US,B2)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0119666(KR,A)
【文献】
特開2012−202723(JP,A)
【文献】
特開2008−092656(JP,A)
【文献】
特開2007−274832(JP,A)
【文献】
特開2016−152745(JP,A)
【文献】
国際公開第2017/090368(WO,A1)
【文献】
韓国公開特許第10−2013−0039817(KR,A)
【文献】
特開2009−229404(JP,A)
【文献】
特開2014−048050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 7/00
H02H 7/10 − 7/20
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
G01R 31/327
G01R 19/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーパックの一端と負荷の一端との間に接続され、前記バッテリーパックと前記負荷との間の連結状態を制御するリレーの正常作動有無を診断するためのリレー診断回路であって、
一端が前記バッテリーパックの他端と前記負荷の他端との間に接続され、他端が測定部の一端に接続され、前記バッテリーパックと並列連結され、前記バッテリーパックから印加される電流を制御する第1スイッチ、
一端が前記第1スイッチの他端と前記測定部の一端との間に接続され、他端が前記リレーと前記負荷の一端との間に接続され、前記第1スイッチのオン/オフ(On/Off)有無に応じて、前記第1スイッチから前記リレーに印加される電流を制御する第2スイッチ、および
他端が前記バッテリーパックの一端と前記負荷の一端との間で前記第2スイッチの他端が接続されたノードと前記バッテリーパックの一端との間に接続され、前記第2スイッチと並列連結され、前記第2スイッチのオン/オフ(On/Off)有無に応じて、前記リレーを介して印加される電圧を測定する測定部
を含み、
前記測定部は、
前記測定部に印加される電圧の測定値に応じて正常作動有無を診断し、
前記第1スイッチがオン(On)になり、前記第2スイッチがオン(On)になる場合、前記測定値が所定の電圧範囲内であれば前記リレーが正常作動すると診断し、前記第1スイッチがオン(On)になり、前記第2スイッチがオフ(Off)になる場合、前記測定値が所定の電圧範囲内であれば前記バッテリーパックが正常作動すると診断する、
リレー診断回路。
【請求項2】
前記リレー診断回路は、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチおよび前記測定部と各々直列に連結される複数の抵抗をさらに含む、請求項1に記載のリレー診断回路。
【請求項3】
前記リレーは、
前記第1スイッチのオン/オフ(On/Off)有無に応じて、前記バッテリーパックと前記負荷との間の連結状態を制御する基準となる前記リレーに印加される電圧の範囲が変更される、請求項1または2に記載のリレー診断回路。
【請求項4】
前記測定部は、
前記測定部に印加される電圧をデジタル信号に変換するコンバータに実現される、請求項1から3のいずれか一項に記載のリレー診断回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2017年11月07日付の韓国特許出願第10−2017−0147364号に基づいた優先権の利益を主張し、該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、リレー診断回路に関し、より詳しくは、バッテリーパックの正極から印加される電圧を用いてバッテリーパックの負極側に連結されるリレーの正常作動有無を診断することができるリレー診断回路に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、電気自動車、ハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)およびエネルギー貯蔵装置(ESS:Energy storage system)の場合、正常作動するためにDC 200V以上の高電圧を必要とし、そのために高電圧のバッテリーパックを必須に含んでいる。
【0004】
この時、高電圧のバッテリーパックと負荷との間にはバッテリーを保護するためにリレーが連結され、このようなリレーは高電圧のバッテリーパックと連結されて駆動されるため、リレーが融着すると、意図でない他のシステムに高電圧が印加されるという問題があった。
【0005】
近来、このような問題を解決するために、バッテリーパックの正極および負極にリレーを各々設け、バッテリーパックから各々のリレーを介して負荷に印加される電圧を測定してリレーの正常作動有無を診断できるリレー診断回路が開発されて用いられている。
【0006】
一方、このような従来のリレー診断回路はリレーの融着有無を直ちに把握できるという利点があるが、バッテリーパックの負極に設けられるリレーの場合、印加される電圧が不規則的であるため、正確なリレーの診断が難しいという問題点があった。
【0007】
さらに、このような問題を解決するために、バッテリーパックの負極側に別の電源装置を設けることによって、バッテリーパックの負極側に設けられるリレーの正常作動有無を診断できるリレー診断回路が開発されたりもしたが、このようなリレー診断回路の場合、設計過程が複雑であり、そのために設計費用が増加するというまた他の問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、バッテリーパックの正極から出力される電圧を用いてバッテリーパックと負荷との間に設けられたリレーの正常作動有無を診断することによって、リレーの正常作動有無を精密で効率的に診断できるリレー診断回路を提供することにある。
【0009】
また、別の追加の装置を用いることなく、バッテリーパックの正極から出力される電圧を用いてバッテリーパックと負荷との間に設けられたリレーの正常作動有無を診断することによって、回路の設計が簡素化されるだけでなく、それによって回路設計費用を減少できるリレー診断回路を提供することにある。
【0010】
なお、リレーに連結されるスイッチのオン/オフ(On/Off)有無に応じて、リレーの正常作動有無の診断だけでなく、バッテリーパックから印加される電圧を測定できるリレー診断回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施形態によるリレー診断回路は、バッテリーパックと並列連結され、前記バッテリーパックから印加される電流を制御する第1スイッチ、前記第1スイッチのオン/オフ(On/Off)有無に応じて、前記第1スイッチから前記リレーに印加される電流を制御する第2スイッチ、および前記第2スイッチと並列連結され、前記第2スイッチのオン/オフ(On/Off)有無に応じて、前記リレーを介して印加される電圧を測定する測定部を含む。
【0012】
一つの実施形態において、前記測定部は、前記第1スイッチがオン(On)になり、前記第2スイッチがオフ(Off)になる場合、前記バッテリーパックから印加される電圧を測定してもよい。
【0013】
一つの実施形態において、前記測定部は、印加される電圧の測定値に応じて正常作動有無を診断し、前記第2スイッチがオン(On)になる場合、前記リレーの正常作動有無を診断し、前記第2スイッチがオフ(Off)になる場合、前記バッテリーパックの正常作動有無を診断してもよい。
【0014】
一つの実施形態において、前記リレー診断回路は、前記第1スイッチ、前記第2スイッチおよび前記測定部と各々直列に連結される複数の抵抗をさらに含んでもよい。
【0015】
一つの実施形態において、前記リレーは、前記第1スイッチのオン/オフ(On/Off)有無に応じて、前記バッテリーパックと前記負荷との間の連結状態を制御する基準電圧の範囲が変更されてもよい。
【0016】
一つの実施形態において、前記測定部は、印加される電圧をデジタル信号に変換するコンバータに実現されてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一側面によれば、バッテリーパックの正極から出力される電圧を用いてバッテリーパックと負荷との間に設けられたリレーの正常作動有無を診断することによって、リレーの正常作動有無を精密で効率的に診断できるリレー診断回路が提供される。
【0018】
また、本発明の他の一側面によれば、別の追加の装置を用いることなく、バッテリーパックの正極から出力される電圧を用いてバッテリーパックと負荷との間に設けられたリレーの正常作動有無を診断することによって、回路の設計が簡素化されるだけでなく、それによって回路設計費用を減少できるリレー診断回路が提供される。
【0019】
なお、本発明のまた他の一側面によれば、リレーに連結されるスイッチのオン/オフ(On/Off)有無に応じて、リレーの正常作動有無の診断だけでなく、バッテリーパックから印加される電圧を測定できるリレー診断回路が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態によるリレー診断回路の構成を概略的に示す図である。
【0021】
【
図2】本発明の一実施形態によるリレー診断回路の第1スイッチがオフ(Off)になった状態を概略的に示す図である。
【0022】
【
図3】本発明の一実施形態によるリレー診断回路の第1スイッチがオン(On)になり、第2スイッチがオフ(Off)になった状態を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明を添付された図面を参照して詳細に説明すれば以下のとおりである。ここで、繰り返される説明、本発明の要旨を不要に濁す恐れのある公知機能および構成に関する詳細な説明は省略する。本発明の実施形態は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。よって、図面での要素の形状および大きさなどはより明らかな説明のために誇張されてもよい。
【0024】
明細書の全体にかけて、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0025】
また、明細書に記載された「...部」という用語は1つ以上の機能や動作を処理する単位を意味し、これは、ハードウェアやソフトウェアまたはハードウェアおよびソフトウェアの結合で実現されてもよい。
【0026】
なお、明細書の全体にかけて、「オン/オフ(On/Off)」とは、明細書に記載されたスイッチ(Switch)の「開放/閉鎖」を意味する。例えば、スイッチがオフ(Off)状態になるということは、スイッチが開放されて該当スイッチが連結される回路を閉鎖させることを意味する。
【0027】
さらに、明細書の全体にかけて、リレーがバッテリーパックと負荷との間の連結状態を制御するということは、リレーが開閉されることによって、バッテリーパックと負荷が連結または遮断されるようにすることを意味するが、これに限定されるものではないことに留意する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態によるリレー診断回路100の構成を概略的に示す図である。
【0029】
但し、
図1に示されたリレー診断回路100は、一実施形態によるものであって、その構成要素が
図1に示された実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて一部の構成要素が付加、変更または削除されてもよいことに留意する。
【0030】
また、
図1に示されたリレー診断回路100は、二次電池が適用できる分野であれば、いずれの技術分野にも適用できることに留意する。
【0031】
先ず、
図1を参照すれば、本発明の一実施形態によるリレー診断回路100は、バッテリーパック110、負荷120、リレー130、第1スイッチ140、第2スイッチ150、測定部160および抵抗170を含んで構成されることができる。
【0032】
ここで、バッテリーパック110は、
図1に示すように、負荷120に電源を供給する役割をし、電気自動車、ハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)およびエネルギー貯蔵装置(ESS:Energy storage system)などに用いられる高電圧を出力するバッテリーパック110であってもよいが、これに限定されるものではないことに留意する。
【0033】
次に、負荷120は、前記バッテリーパック110から印加される電圧を用いて動作する電熱機、電動機、発電機などを含むことができるが、これらに限定されるものではないことに留意する。
【0034】
以上、バッテリーパック110および負荷120は二次電池を含む回路に通常的に含まれる構成であるため、これに関する具体的な説明は省略する。
【0035】
次に、リレー130は、バッテリーパック110と負荷120との間に形成され、前記バッテリーパック110と負荷120との間の連結状態を制御する役割をすることができる。
【0036】
例えば、リレー130は、バッテリーパック110から過電圧のような異常状況が発生する場合、オフ(Off)状態になってバッテリーパック110と負荷120との連結を遮断させることによって、過電圧などの異常状況からバッテリーパック110および負荷120を保護する役割をすることができる。
【0037】
次に、第1スイッチ140は、バッテリーパック110と並列連結され、オン/オフ(On/Off)に応じてバッテリーパック110から印加される電流を後述の第2スイッチ150および測定部160に印加させる役割をすることができる。
【0038】
例えば、
図1に示すように、第1スイッチ140がオン(On)になる場合、バッテリーパック110から印加される電流は第1スイッチ140を介して第2スイッチ150および測定部160に印加され、
図3に示すように、第1スイッチ140がオフ(Off)になる場合、バッテリーパック110と負荷120、そして正/負極側のリレーのみが連結されることによって、バッテリーパック110から印加される電流はリレーを介して負荷120にのみ印加される。
【0039】
次に、第2スイッチ150は、第1スイッチ140とリレー130との間に形成され、第1スイッチ140がオン(On)状態である場合、オン/オフ(On/Off)に応じてバッテリーパック110から印加される電流をリレー130に印加させる役割をすることができる。
【0040】
例えば、
図1を参照すれば、第1スイッチ140および第2スイッチ150がオン(On)状態である場合、第2スイッチ150はバッテリーパック110から印加される電流をリレー130に印加させることによって、後述の測定部160がリレー130を介して印加される電圧を測定してリレー130の正常作動有無を診断できるようにすることができる。
【0041】
一方、
図2を参照すれば、第1スイッチ140がオン(On)状態であり、第2スイッチ150がオフ(Off)状態である場合、バッテリーパック110から印加される電流が第1スイッチ140を介して後述の測定部160にのみ印加されることができ、この場合、後述の測定部160は、バッテリーパック110から印加される電圧を測定することができるため、バッテリーパック110の正常作動有無を診断することができる。
【0042】
次に、測定部160は、バッテリーパック110から第1スイッチ140および第2スイッチ150のいずれか一つ以上を介して印加される電圧値に応じて、バッテリーパック110およびリレー130のいずれか一つの正常作動有無を診断する役割をすることができる。
【0043】
より具体的には、第1スイッチ140および第2スイッチ150がオン(On)状態である場合、測定部160は、リレー130を介して印加される電圧を測定するため、リレー130の正常作動有無を診断することができ、第1スイッチ140がオン(On)状態であり、第2スイッチ150がオフ(Off)状態である場合、測定部160は、バッテリーパック110から印加される電圧を測定することができるため、バッテリーパック110の正常作動有無を診断することができる。
【0044】
この時、測定部160のバッテリーパック110を正常作動するものに診断する電圧範囲およびリレー130を正常作動するものに診断する電圧範囲は互いに異なりうる。
【0045】
一方、測定部160は、測定される電圧値をデジタル信号に変換するコンバータ(Converter)に実現されてもよく、この場合、デジタル信号を用いる測定機器(図示せず)がバッテリーパック110またはリレー130の正常作動有無を診断することができる。
【0046】
但し、この時、測定部160がコンバータに実現されることに限定されるものではないことに留意する。
【0047】
次に、抵抗170は、前記第1スイッチ140、第2スイッチ150および測定部160と各々直列に連結され、前記第1スイッチ140、第2スイッチ150および測定部160に印加される電流を制御する役割をすることができる。
【0048】
この時、抵抗170は可変抵抗であってもよく、前記第1スイッチ140、第2スイッチ150および測定部160の許容電圧範囲に応じてその抵抗値が変更されるが、これに限定されるものではないことに留意する。
【0049】
一方、本発明の一実施形態によるリレー診断回路100のリレー130はバッテリーパック110から印加される電圧値に応じてバッテリーパック110と負荷130との間の連結を制御する役割をすることができるが、第1スイッチ140のオン/オフ(On/Off)有無に応じて、バッテリーパック110と負荷130との間の連結を制御する基準電圧範囲が変更されることができる。
【0050】
例えば、第1スイッチ140がオフ(Off)状態である場合、バッテリーパック110からリレー130に印加される電流は負荷120のみを経るが、第1スイッチ140がオン(On)状態である場合、バッテリーパック110からリレー130に印加される電流は第1スイッチ140、第2スイッチ150および抵抗170を経るため、リレー130に印加される電圧値が減少する。すなわち、本発明の一実施形態によるリレー130は、第1スイッチ140のオン/オフ(On/Off)有無に応じて、バッテリーパック110と負荷130との間の連結を制御する基準電圧範囲が変更されるため、前述したように第1スイッチ140のオン/オフ(On/Off)有無に応じて変更される電圧値により、バッテリーパック110の異常状況を呉診断するのを防止することができる。
【0051】
以上、本発明の特定の実施形態を図示して説明したが、本発明の技術思想は添付された図面と前記説明の内容に限定されず、本発明の思想を逸脱しない範囲内で様々な形態の変形が可能であることは本分野の通常の知識を有する者に明らかな事実であり、このような形態の変形は本発明の精神に違背しない範囲内で本発明の特許請求の範囲に属すると言える。