(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係る液処理を内を現像装置に適用した例について説明する。
図1は現像装置の一実施形態を示す概略斜視図、
図2は現像装置を示す縦断側面図である。現像装置は矩形の筐体10を備え、長さ方向一端側の側面に基板であるウエハWを搬入出するための搬入出口11が形成され、搬入出口11には、搬入出口を開閉するシャッタ12が設けられている。筐体10における搬入出口11側を前方、搬入出口11から見て筐体10の奥側を後方とすると、筐体10の前方寄りの位置には、現像処理部1が設けられている。以下明細書中では、筐体10における搬入出口11側を前方、搬入出口11から見て筐体10の奥側を後方として説明する。
【0011】
現像処理部1について
図3を参照して説明する。現像処理部1は、ウエハWを水平に吸着保持する基板保持部であるスピンチャック2を備えている。このスピンチャック2はウエハWの裏面の中央部を水平に吸着保持し、鉛直軸周りに回転自在に構成されている。スピンチャック2は平面視円形状に形成され、回転昇降軸21を介して駆動機構(スピンチャックモータ)22に接続されている。またスピンチャック2は図示しない吸引管と接続されており、図示しない吸着孔を介してウエハWを吸着しながら保持する真空チャックとしての機能を備えている。またスピンチャック2の側方には、昇降機構391と接続された支持ピン392が周方向等間隔に3本設けられており、外部の搬送機構と支持ピン392との協働作用によって、スピンチャック2にウエハWの受け渡しができるように構成されている。
【0012】
スピンチャック2の周囲には、処理流体である現像液の飛散を抑制すると共に、現像液を回収するために、スピンチャック2に保持されたウエハWの側方及び下方を周方向全体に亘って囲むようにして平面視環状のカップ体3が設けられている。このカップ体3の上面はウエハWよりも大口径の開口部31となっており、この開口部31を介して、後述する塗布、現像装置の搬送機構とスピンチャック2との間でウエハWの受け渡しを行うことができるようになっている。
【0013】
またカップ体3は側壁32を備え、この側壁32の上端側は内側に傾斜して傾斜部321をなしており、カップ体3の底部側は、例えば凹部状をなす液受け部33として形成されている。液受け部33は、環状の内側カップ34の周縁側下方に向かって伸び出し、ウエハWの周縁下方側に全周に亘って形成された隔壁部36により、外側領域と内側領域とに区画されている。外側領域の底面部には貯留した現像液のドレインを排出するための排液管35が接続されている。内側カップの内周側には、円形板状の平板部37が設けられ、平板部37の周縁の上面側には、スピンチャック2に保持されたウエハWとごく狭い隙間とするためのエッジ部37aが全周に亘って形成されている。
【0014】
後方側から前方を見て、隔壁部36の内側におけるスピンチャック2の左右の位置には夫々、カップ体3内の雰囲気を排気する排気管38がカップ体3の底面から突入しており、排気管38の上端はカップ体3の内部で開口する第1の排気口39を形成している。
【0015】
カップ体3の下方には、
図2、
図4に示すように排気路である排気ダクト9が設けられている。排気ダクト9は水平方向に伸びるように配置され、
図4に示すように一端側が2本に分岐して分岐ダクト91になっており、他端側が、集合ダクト92に接続されている。
図2、
図4に示すように分岐ダクト91の各端部の上面側には、開口部93が形成されており、各開口部93には、夫々排気管38の下端部が接続されている。また排気ダクト9における分岐ダクト91の分岐位置よりも集合ダクト92側、具体的には、カップ体3と、筐体10に形成した搬入出口11との間における、排気ダクト9の上面側に筐体10内の雰囲気を排気するための第2の排気口94が形成されている。
【0016】
図2に示すように第2の排気口94には、第1の排気口39の排気量と、第2の排気口94の排気量との流量比を調整するための排気ダンパ95が設けられている。この排気ダンパ95を調整することにより、第1の排気口側39からの多くの排気を行い、第2の排気口94の排気量を少なくし、カップ体3の内部の排気量を多くする「カップ排気」の状態と、第1の排気口39の排気量を少なくし、第2の排気口94の排気量を多くして、カップ体3の内部よりもカップ体3の外部の排気量を多くする「モジュール排気」の状態とを切り替えることができるように構成されている。また
図2中に示す96は排液管35から排出される液を排液する排液路である。
【0017】
さらに現像装置は、スピンチャック2に保持されたウエハWに処理流体を供給するための現像ノズル部5、洗浄ノズル部6及び補助ノズル部7を備えている。前記現像ノズル部5は第1の処理流体である現像液を供給するためのノズル、洗浄ノズル部6は洗浄液(リンス液)及び乾燥ガスを供給するためのノズル、補助ノズル部は、現像ノズルから供給する現像液とは、例えば界面活性剤が添加された異なる現像液を供給するためのノズルとして夫々用いられる。
【0018】
現像ノズル部5は、その下端面に、前後方向に伸びる細長いスリット状に開口した現像ノズル51を備え、現像ノズル部5が処理位置にあるときにはウエハWの中心部を含む領域に帯状に現像液を吐出するようになっている。
図1、
図4、及び
図5に示すように現像ノズル51は、前後方向に水平に伸び、先端側が後方から前方を見て、右方向に向かって水平に梁出した第1のノズルアーム52の先端に設けられている。また
図5、
図6に示すように第1のノズルアーム52の後方側端部は、下方に向かって伸びる支持部である支持柱53の上端に接続されている。支持柱53の下端は、昇降機構59を介して移動基台54に接続されている。現像ノズル部5においては、支持柱53の下端は移動基台54の右よりの位置に接続されている。昇降機構59は、例えば移動基台54の上面から、後述する天板部20の上面の高さ位置の半分の高さ位置まで伸びる図示しないガイド用の支柱に接続されており、例えばボールねじ機構などにより支持柱53を昇降させるように構成されている。
また筐体10の底面には、前後方向に伸びるガイドレール55と、移動基台54をガイドレール55に沿って、前後方向に移動させるための、モータ、タイミングベルト及びプーリなどで構成された図示しない駆動機構が設けられている。このモータによりプーリを回転させて、タイミングベルトを駆動させることにより、移動基台54がガイドレール55に沿って、前後方向に移動する。移動基台54、駆動機構及びガイドレール55は現像ノズル51を前後方向に進退させる移動機構を構成する。
【0019】
なお現像ノズル部5においては、ガイドレール55は、第1のノズルアーム52よりも左寄りの位置に設けられおり、移動基台54の左寄りの位置にガイドレール55が接続されている。また
図2に示すように移動基台54、ガイドレール55を含む移動機構は、カップ体3の上端よりも低い位置に設けられている。
【0020】
また第1のノズルアーム52の内部には、現像ノズル51に下流側端部が接続された図示しない現像液供給路が形成されており、現像液供給路の上流側端部は、
図5に示すように第1のノズルアーム52の基端の後方側側面に接続された、現像液供給管56の一端側に接続されている。現像液供給管56は、下方側に屈曲され、他端側がさらに前方に向かって引き回されている。
図5、
図6に示すように現像液供給管56における第1のノズルアーム52側を下流側とすると、現像液供給管56の上流側の部位は、第1のノズルアーム52の移動路の下方に、第1のノズルアーム52、支持柱53及び移動基台54と干渉しないように配置された固定具50にて固定されている。これにより移動基台54が移動したときに、現像液供給管56における当該固定具50に固定された部位が静止した状態となるように構成され、現像液供給管56の固定具50よりも下流側は、自由に屈曲変形するように構成されている。また現像液供給管56の固定具50よりも上流側は、さらに引き回され、後述する現像液供給源58に接続されている。
【0021】
また移動基台54には、ノズルアーム52を上下方向に昇降させる昇降機構を駆動させるための例えばボールねじのモータを駆動するための電力供給ラインや、移動位置の確認センサの信号波を送信するための信号線などで構成された配線部57の一端が接続されている。配線部57は、上方側に屈曲され、他端側がさらに前方に向かって引き回されている。配線部57の他端側は既述の固定具50の左側上方寄りの位置に固定され、さらに配線部57の固定具50よりも他端側は、例えば信号線が制御部に接続され、電線が電源部に接続されている。
【0022】
また配線部57における移動基台54と固定具50との間の部位には、配線規制部材8が設けられ、屈曲方向が規制されている。
図7に示すように配線規制部材8は、複数の連結部材81を配線規制部材8の長さ方向に連結して構成されている。各連結部材81は、互いに向い合せに配置した2枚の連結板82を備え、各連結板82は、その幅方向の両端(連結部材81の一面側及び他面側)を夫々架橋板83により互いに固定して形成されている。2枚の連結板82における夫々の長さ方向一端側は、互いの対向する面(内側の面)に段差が形成され、段差部分には、厚さ方向に貫通する連結孔84が形成されている。また2枚の連結板における夫々の長さ方向他端側には、外側の面に段差が形成され、段差部分には外側向かって突出した連結ピン85が形成されている。各連結部材81は、連結板82における長さ方向一端側と、長さ方向他端側と、が互に係合する形状に設定されている。そして互いに隣接する連結部材81は、連結ピン85を連結孔84に嵌めこむことで連結板82の長さ方向に連結される。この時互いに嵌合された連結板82同士は、連結ピン85を回転軸として既定の角度の範囲を回動することができるが、2枚の連結板82は、架橋板83により互いに固定されているため、厚さ方向(2枚の対向する連結板82が並ぶ方向)の動きが規制される。
【0023】
そして配線規制部材8は、複数の連結部材81を連結板82の長さ方向に連結して多数の関節部を形成した長尺状に構成され、各連結部材81における架橋板83の間に電力供給ライン及び信号線などの配線80が配線規制部材8の幅方向に並べて配置される。従って各配線80は、配線規制部材8の厚さ方向には屈曲することができるが、連結板82の厚さ方向、即ち配線規制部材8の幅方向の動きが規制されることになる。この配線部57は、移動基台54に対して、配線規制部材8の厚さ方向が上下方向と揃うように接続され、移動基台54の後方側から前方側に屈曲され、配線規制部材8の上下方向を反対にした状態で固定具50に接続される。
【0024】
図6に示すように配線部57と、現像液供給管56と、は、互いに交差しないように離間して接続されていると共に配線部57は配線規制部材8により左右へ屈曲が規制されている。従って移動基台54がガイドレール55に沿って移動したときに配線部57と現像液供給管56とが、互いに交差しないように構成されている。また配線部57についてもカップ体3の上端よりも低い位置に設けられている。
【0025】
洗浄ノズル部6は、洗浄液例えば純水を吐出する洗浄ノズル61aと、乾燥ガス例えば窒素ガスを供給するガスノズル61bと、を備えた複合ノズルとして構成されている。
図4に示すように洗浄ノズル部6は、現像ノズル部5と同様に、第2のノズルアーム62、支持柱63、移動基台64及びガイドレール65を備えているが、これら第2のノズルアーム62、支持柱63、移動基台64及びガイドレール65は、
図5に示した第1のノズルアーム52、支持柱53、移動基台54及びガイドレール55と左右が反転した形状となっている。
【0026】
また第2のノズルアーム62の内部には、夫々洗浄ノズル61a、ガスノズル61bに接続された図示しない洗浄液供給路及びガス供給路が形成され、洗浄液供給路及びガス供給路は、夫々第2のノズルアーム62の基端の後方側側面に接続された洗浄液供給管66a及びガス供給管66bに接続されている。この例では、洗浄液供給管66a及びガス供給管66bは、側方が連結された帯状配管66となっている。帯状配管66は、第2のノズルアーム62の基端部から、下方側に屈曲され、他端側がさらに前方に向かって引き回されている。
【0027】
また
図2に示すように移動基台64には、現像ノズル部5に設けた移動基台54と同様に配線規制部材8を備えた配線部67が接続されている。帯状配管66及び配線部67も現像ノズル部5の例と同様に、配線80と、帯状配管66とは、互いに交差しないように固定具60に固定されている。従って帯状配管66における固定具60から第2のノズルアーム62までの領域は屈曲自在に構成されていると共に、配線部67の固定具60から第2のノズルアーム62までの領域は左右方向の屈曲が規制されながら前後に摺動するように構成されている
また補助ノズル部7は、
図5に示した現像ノズル部5とほぼ同様に構成されている。
図4では、第3のノズル部7における、第3のノズルアーム、支持柱、移動基台及びガイドレールを、夫々符号72、73、74及び75で示している。
【0028】
また
図3に示すように現像ノズル51、洗浄ノズル部6の洗浄ノズル61a、ガスノズル61b、補助ノズル71は、夫々現像液供給管56、洗浄液供給管66a、ガス供給管66b及び現像液供給管76を介して現像液供給源58、洗浄液供給源68a、ガス供給源68b及び現像液供給源78に接続されている。なお
図3中のV56、V66a、V66b及びV76は、夫々現像液供給管56、洗浄液供給管66a、ガス供給管66b及び現像液供給管76に開設されたバルブであり、M56、M66a、M66b及びM76は、夫々流量調整部である。
【0029】
これら現像ノズル部5は、
図1に示したスピンチャック2上のウエハWに処理流体を供給する処理位置と、
図4に示すように前記前後方向のウエハWが搬入出される前方側とは反対側の後方側の待機位置と、の間で前後方向に進退自在に構成されている。また洗浄ノズル部6及び補助ノズル部7においても同様にスピンチャック2上のウエハWに処理流体を供給する処理位置と、
図4に示す待機位置と、の間で移動基台64、74によりガイドレール65、75に沿って前後方向に進退自在に構成されている。
【0030】
この例では現像ノズル部5、洗浄ノズル部6及び補助ノズル部7の進退方向は、筐体10の前後方向に揃っている。現像ノズル部5、洗浄ノズル部6及び補助ノズル部7は、筐体10の左右方向に左から現像ノズル部5、補助ノズル部7及び洗浄ノズル部6の順番で並べて配置されており、
図4に示すように各ノズル部5、6、7を待機位置に位置させたときに、現像ノズル51、洗浄ノズル61a、ガスノズル61b及び補助ノズル71が前方から後方に向かって、この順で一列に並ぶように配置されている。また各ノズル部5、6、7を待機位置に位置させたときに各ノズル部5、6、7のノズルアーム52、62、72の上面の高さ位置が揃うように配置されている。さらに現像ノズル部5、洗浄ノズル部6及び補助ノズル部7を待機位置に位置させたときの現像ノズル51、洗浄ノズル61a、ガスノズル61b及び補助ノズル71の下方には、集合バス79が設けられている。
【0031】
また
図1、
図2に戻って筐体10の後方寄りの領域には、筐体10の後方側における移動基台54、64、74及びガイドレール55、65、75を含む移動機構と、支持柱53、63、73を昇降させる昇降機構59、69が配置された駆動領域よりも上方側を覆うカバー部材15が設けられている。カバー部材15は、矩形板状の天板部20と、天板部20における前方側の端部から下方側に向けて伸び出すように設けられた隔壁部19とを備えている。天板部20には、待機位置にある各ノズル部5、6、7のノズルアーム52、62、72の形状に対応した鉤型の3つの開口部16a、16b、16cが形成されている。開口部16a、16b、16cは、各開口部16a、16b、16cに対応するノズルアーム52、62、72が収まる大きさに形成されている。そして各ノズル部5、6、7を待機位置に位置させることで、各ノズルアーム52、62、72により開口部16a、16b、16cが夫々塞がれるように構成されている。従って各ノズル部5、6、7を待機位置に位置させることで、各ノズル部5、6、7の移動基台54、64、74の上方が、カバー部材15及び各ノズルアーム52、62、72により覆われると言える。そして各開口部16a、16b、16cは後端から前方へ向かって伸びるように形成されており、この方向は、各ノズル部5、6、7を待機位置から前方に移動したときに、ノズルアーム52、62、72を支持する支持柱53、63、73の移動方向に揃っている。従って支持柱53、63、73は、各開口部16a、16b、16cに沿って移動することができ、各開口部16a、16b、16cは支持柱53、63、73の移動路に沿って形成されているということができる。
【0032】
また筐体10の前方寄りの領域には、カップ体3を囲むように設けられ、カップ体3の周囲を上下に区画する区画板であるパンチングプレート17が設けられている。パンチングプレート17は、隔壁部19の下端から水平に伸びるように連続して設けられている。従ってパンチングプレート17とカバー部材15との間の隙間は、隔壁部19により塞がれている。またパンチングプレート17の下方の空間は、カバー部材15の下方の駆動領域となる空間と連通しており、既述の第2の排気口94は、パンチングプレート17の下方の空間に開口している。従って第2の排気口94から廃棄することによりパンチングプレート17の下方の空間及びカバー部材15の下方の駆動領域となる空間の排気が行われる。また筐体10内におけるカップ体3の上方には、FFU(Fun Filter unit)18が設けられ、カップ体3に向けて清浄空気のダウンフローが供給できるように構成されている。
【0033】
また現像装置は、制御部100を備えている。制御部100は、例えば図示しないプログラム格納部を有するコンピュータからなり、プログラム格納部には、現像ノズル部5、洗浄ノズル部6及び補助ノズル部7を用いて後述の現像処理を行う動作等についてのステップ(命令)群を備えたコンピュータプログラムが格納されている。そして当該コンピュータプログラムが制御部100に読み出されることにより、制御部100は現像装置の動作を制御する。なおこのコンピュータプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶機構に収納された状態でプログラム格納部に格納される。
【0034】
続いて上述の実施の形態に係る現像装置の作用について説明する。ウエハWは図示しない外部の搬送機構により、現像装置に搬入される。現像装置に搬入されるウエハWは、レジストが塗布され、そのレジストが所定の露光処理が行われている。
【0035】
まず
図8に示すようにウエハWの搬入前に搬入出口11のシャッタ12を閉じ、各ノズル部5、6、7を待機位置に位置させた状態で、FFU18からダウンフローを供給する。さらに排気ダクト9をモジュール排気に切り替える。これにより既述のようにカップ体3内の排気が行われず、第2の排気口94から筐体10内の排気が行われた状態になっている。
【0036】
またこの時各ノズル5、6、7が待機位置に位置しているためカバー部材15の各開口部16a、16b、16cが塞がれた状態となっている。そのためFFU18から供給されるダウンフローは筐体10の後方側においてカバー部材15及び開口部16a、16b、16cを塞ぐノズルアーム52,62,72により遮られ、カバー部材15の上方を対流する。また筐体10の前方側においては、カップ体3に吸引されず、パンチングプレート17を通過して筐体10の下方側に流れ込む。
【0037】
またモジュール排気を行っているため、パンチングプレート17の下方側の雰囲気が第2の排気口94から排気される。さらにカバー部材15の下方側の雰囲気もパンチングプレート17の下方を流れ、第2の排気口94から排気される。
この時例えば移動基台54、64、74や配線規制部材8などの駆動する部位においては、駆動により発生したパーティクルが付着していることがあるが、カバー部材15によりこれら駆動する部位の上方が塞がれている。またカバー部材15における隔壁部29がスピンチャック2に保持されたウエハWから移動基台54、64、74が臨む位置を遮っている。そのためFFU18から供給されるダウンフローは、パーティクルまで到達せず、パーティクルがダウンクローにより巻き上げられることがない。また移動基台54、64、74や配線規制部材8に付着しているパーティクルは、カバー部材15の下方側から、第2の排気口94に流れ込む気流に捕捉されて除去される。
その後外部の搬送機構によりウエハWが搬入出口を介して現像処理部1の上方に搬入され、搬送機構と支持ピン392との協働作用によりウエハWがスピンチャック2に受け渡される。
【0038】
次いで
図9に示すようにモジュール排気を維持した状態で、現像ノズル部5を上昇させる。この時移動基台54を僅かに前進させながら、第1のノズルアーム52を上昇させることにより、第1のノズルアーム52の後方に接続された現像液供給管56とカバー部材15との干渉を避ける。さらに移動基台54を前進させて、現像ノズル51をウエハWの上方に移動させる。この時第1のノズルアーム52を支持する支持柱53は、現像ノズル部5に対応して形成された開口部16aに沿って前方に移動する。さらに現像ノズル51を、吐出口がウエハWの表面から15mm〜20mmとなる高さ位置に下降する。この時カバー部材15の下方の駆動領域の雰囲気が排気されるため、開口部16aを介して、駆動領域内に流れ込む気流が形成される。
【0039】
次いで
図10に示すようにカップ排気を行うように排気を切り替える。これにより、カップ体3内にカップ体3の上方側から、排気管38に流れ込む気流が形成されて排気される。また第2の排気口94による排気も量が少なくなるものの継続して行われる。この時既述のようにFFU18のダウンフローがカバー部材15により遮られるため、駆動する部位に付着しているパーティクルが巻き上げられることがなく、スピンチャック2に保持されたウエハWへのパーティクルの付着が抑制されている。
【0040】
さらに
図10、
図11に示すようにスピンチャック2によりウエハWを回転させながら、現像ノズル51からウエハWの中心部を含む領域に現像液を供給する。ウエハW中心部に供給された現像液Dはスピンコーティングにより、ウエハWの周縁部側へと広がる。このとき現像ノズル51から現像液を吐出しながら、現像ノズル51をウエハWの中心部と外側方向との間で前後方向に進退移動させるようにしてもよい。
現像ノズル51を処理位置に移動させたとき、
図10に示すように現像液供給管56は上流側が固定具50に固定され、下流側の端部が第1のノズルアーム52の後方に固定されている。そのため第1のノズルアーム52の前進に従い、前後方向に屈曲変形する
【0041】
また配線部57は、現像液供給管56と同様に上下方向に屈曲変形しようとするが、配線規制部材8により左右の屈曲が規制されているため、左右方向にずれずに前後方向に向かって摺動しながら屈曲変形する。このように現像液供給管56及び配線部57は、互いに左右方向に離間するように配置され、前後方向に向かって屈曲する。そのため第1のノズルアーム52を前後方向に移動したときに、現像液供給管56及び配線部57は互いに干渉しない。
【0042】
また
図11に示すようにカバー部材15においては、第1のノズルアーム52が位置していた開口部16aが開放された状態となっているが、他の開口部16b、16cは夫々第2のノズルアーム62及び第3のノズルアーム72により塞がれた状態となっている。そのため開放される開口部16aは、一か所だけであり、上方のFFU18から供給されるダウンフローがカバー部材15の下方側に進入するが、ダウンフローに抗して開口部16aから上方側に流れることは難しい。そのためカバー部材15の下方側のパーティクルが巻き上げられて、カップ体3側に流れることはない。
【0043】
次いで
図12に示すように現像液の吐出を停止した後、第1のノズルアーム52を上昇させ、続いて現像ノズル部5を後方に移動させると共に第1のノズルアーム52を下降させる。この時移動基台54を後方に移動させながら第1のノズルアーム52を下降させ、第1のノズルアーム52の後方に接続された現像液供給管56とカバー部材15との干渉を避ける。これにより現像ノズル部5が待機位置に戻り、開口部16aが第1のノズルアーム52により塞がれる。そしてカップ排気を維持した状態で、ウエハWを回転させて現像液をウエハWの表面全体に広げて、現像処理を行い、さらにウエハWの回転数を上昇させて現像液を振り切る。
【0044】
この時
図13に示すように各ノズル部5、6、7が待機位置に位置しているため、カバー部材15の各開口部16a、16b、16cは、夫々第1のノズルアーム52、第2のノズルアーム62及び第3のノズルアーム73により塞がれた状態となっている。そのためFFU18から供給されるダウンフローは、カバー部材15及び各ノズルアーム52、62、72により遮られる。
【0045】
続いて、排気をモジュール排気に切り替え、
図14に示すように洗浄ノズル部6を現像ノズル部5の移動と同様に、上昇させると共に前進させる。さらに洗浄ノズル部6をウエハの中心部上方まで移動させた後、下降させて、洗浄ノズル61aの高さを合わせる。さらにカップ排気に切り替え、ウエハWを回転させながら、洗浄液である純水をウエハW表面の中心部を含む領域に吐出する。吐出された洗浄液はウエハWの遠心力の作用により液面に沿って外側に広がり、ウエハW表面のレジスト溶解成分を含む現像液を洗い流し、ウエハWの表面が洗浄される。
【0046】
洗浄液の吐出開始から所定の時間が経過すると、洗浄液の供給を停止し、ガスノズル61bが処理位置に位置するように洗浄ノズル部6を進退移動させて、ウエハWの中心部を含む領域に乾燥ガスである窒素ガスを供給する。この乾燥ガスの供給とカップ体3内の排気とにより、ウエハWの中心部から周縁部に向かう気流が形成され、この気流と遠心力との作用により、ウエハWに付着した液はウエハWから除去され、ウエハWが乾燥される。
【0047】
更にウエハWの現像処理が終了すると、
図15に示すように排気をモジュール排気に切り替え、ウエハWを搬出する。そして例えば、各ノズル部5、6、7を待機位置に位置させた状態で、モジュール排気を行う。ウエハWの処理により各ノズル5、6、7の移動させたため、移動機構、昇降機構59及び配線規制部材8にパーティクルが発生しているおそれがあるが、FFU18から供給されるダウンフローがカバー部材15及び各開口部16a、16b、16cを塞ぐ各ノズルアーム52、62、72により遮られる為、パーティクルが膜上げられることはない。さらにカバー部材15の下方側の雰囲気が第2の排気口94から排気されるため、発生したパーティクルが除去される。
【0048】
以上の説明は現像ノズル部5を用いて処理を行う場合であるが、前記のロットとは異なる他のロットの基板に対して、他の現像液を供給する場合には、現像ノズル部5に代えて、補助ノズル部7を用いて現像処理を行う。
この場合にもウエハWに現像液を供給するときには、現像ノズル部5を待機位置に位置させた状態で、補助ノズル部7を移動させるようにすることで、カバー部材15の開口部16a、16b、16cの開放を限定することができる。
【0049】
上述の実施の形態によれば、水平に保持したウエハWに各ノズル部5、6、7から処理流体を供給して処理を行うにあたって、各ノズル部5、6、7をウエハWの上方と、待機位置との間で移動させる移動基台54、64、74及びガイドレール55、65、75の上方を、各ノズル部5、6、7を移動させるための16a、16b、16cが設けられたカバー部材15で覆い、カバー部材15の下方の駆動領域を排気するように構成している。さらに各ノズル部5、6、7を待機位置に位置させたとき前記開口部16a、16b、16cが夫々各ノズル部5、6、7のノズルアーム52、62、72により塞がれるように構成している。そのため各ノズル部5、6、7の移動基台54、64、74にて発生するパーティクルがウエハWに向かって飛散せず、ウエハWへのパーティクルの付着を抑制することができる。
【0050】
また開口部16a、16b、16cの大きさは、ノズルアーム52、62、72を収納したときにわずかな隙間があっても、スピンチャック2に保持されたウエハWに向かって、カバー部材15の下方側のパーティクルが流出することがない大きさであればよい。この開口部16a、16b、16cに収納されたノズルアーム52、62、72と天板部15aとの隙間の幅は、例えば2〜7mmの範囲であればよい。
また各ノズル部5、6、7の移動基台54、64、74をカップ体3の上端よりも低い位置に設けている。パーティクルの発生源となる移動基台54、64、74の位置が高い場合にはFFU18に近くなるため気流の影響を受けやすく、ダウンフローにより巻き上げられるおそれが大きい。そのため移動基台54、64、74、ガイドレール55、65、75及び配線規制部材8を低い位置、具体的には、カップ体3の上端よりも低い位置とすることで、ウエハWへのパーティクルの付着を抑制することができる。
【0051】
また本発明は、前後方向に伸びるノズルアームに支持されたノズルを筐体10の左右方向に移動するように構成してもよい。例えば
図16に示すように前後方向に伸びるノズルアーム52aの先端に現像液ノズル51を設け、ノズルアーム52aの後端を支持柱53により支持する。そして支持柱53を左右方向に移動するように構成し、カバー部材15の下方に現像液ノズル51をカップ体3の上方と、カップ体3外部待機バス79aとの間で左右方向に移動させる移動機構を設け、天板部20に左右方向に伸びる開口部16dを形成すればよい。なお図中の16eは図示を省略した他のノズルを支持する支持柱が配置される開口部である。
【0052】
このような構成においても駆動領域の上方をカバー部材15で覆い、カバー部材15にノズルが移動するための開口部16dを形成することで、駆動領域で発生したパーティクルのカップ体3側への飛散を抑制することができるため効果を得ることができる。
【0053】
また本発明は、ノズルは一本であってもよい。また上述の実施の形態に示したように複数のノズルを設けた構成とするにあたって、ウエハWに処理流体を供給するノズル以外のノズルを、待機位置に位置させるように構成してもよい。ノズルが待機位置から移動すると、当該ノズルに対応する開口部が開放される。そのため待機位置から同時に移動する処理液ノズルを限定することにより、多くの開口部が同時に開放されることを防ぐことができる。従って、カバー部材15の下方で発生したパーティクルが、カバー部材15の上方側に巻あげられてしまうおそれが少なくなる。
また上述の実施の形態に示したようにノズルを待機位置から処理位置に移動させる時には、モジュール排気に切り替えるようにしてもよい。これによりノズルを待機位置から処理位置に移動させる時にカバー部材15の外部の雰囲気が開口部16a、16b、16cを介して駆動領域に流れ込む気流を形成できる。そのため駆動領域に生じたパーティクルのカップ体3側への流出をより防ぐことができる。
【0054】
移動機構の上方に天板部を設けると共に天板部のスピンチャック側の端部に下方に伸びる隔壁部を設けてもよい。スピンチャック2に保持されたウエハWから見て、天板部の下方に移動基台54、64、74が臨む場合には、カバー部材の下方にて発生したパーティクルが、天板部のスピンチャック側下方からスピンチャック側に流出しにくくなる。そのため隔壁部を設けることによりウエハW側へのパーティクルの飛散をより抑制することができる。
あるいはノズルの待機位置を低くして天板部20を低くしてもよい。天板部20を低く配置することで、隔壁部19を設けない構成においても、移動機構や昇降機構をスピンチャック2に保持されたウエハWからが臨む位置から外すことができる。そのため移動機構や昇降機構に発生するパーティクルのウエハW側への飛散が抑制される
【0055】
さらには補助ノズルを各々洗浄液とN
2ガスとを吐出するノズルとして構成し、第2のノズル及び第3のノズルを同時にウエハWの上方に移動させ洗浄処理を行う構成でも良い。このような構成においても、第2のノズル及び第3のノズルを同時にウエハWの上方に移動させる時にも第1のノズルを待機位置に待機させるようにすることで、開放される開口部を少なくすることができるため効果を得ることができる。
【0056】
さらに上述の実施の形態では、スピンチャック2に保持されたウエハWの側方及び下方を囲むと共に、内部に第1の排気口39が開口したカップ体3を設け、第1の排気口39から排気を行うための排気ダクト9を設けている。また前記排気ダクト9における、カップ体3と、筐体10に形成したウエハWの搬入出口11との間の部位に、第2の排気口を設けると共に、排気路に排気を第1の排気口39と第2の排気口94との間で切り替えるダンパ95を設けている。そのため搬入出口11を介して筐体10の外部へのパーティクルの流出を抑制することができる。またカップ体3から見て、排気路がノズルの移動機構の設けられる方向と異なる方向に設けられるため、移動機構の高さ位置をより低くできる。従ってよりパーティクルの飛散のリスクが小さくなる。
【0057】
また移動基台54、64、74に接続された配線80の動きを配線規制部材8により規制して、配線80と処理流体供給管とが接触しないように構成しているが、配線規制部材8は、部材がこすれ合うためパーティクルが発生しやすい。そのため配線規制部材8を適用した液処理装置において、配線規制部材8をカバー部材15の下方、さらにはカップ体3の開口部31よりも下方に配置することで、配線規制部材8から発生するパーティクルのウエハW側への飛散を抑制することができるため、より効果が大きい。
また本発明は、レジスト塗布装置や、洗浄装置などに適用してもよい。さらに現像液などの処理液を供給する装置に限らず、基板にガスや、ミストなどの処理流体を供給する装置であってもよい。あるいは基板に蒸気を供給する装置であってもよい。