(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981331
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】超純水供給装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/00 20060101AFI20211202BHJP
C02F 9/02 20060101ALI20211202BHJP
C02F 9/10 20060101ALI20211202BHJP
C02F 9/12 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
C02F1/00 X
C02F1/00 S
C02F9/02
C02F9/10
C02F9/12
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-55813(P2018-55813)
(22)【出願日】2018年3月23日
(65)【公開番号】特開2019-166464(P2019-166464A)
(43)【公開日】2019年10月3日
【審査請求日】2020年11月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001063
【氏名又は名称】栗田工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】正岡 融
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 友野
(72)【発明者】
【氏名】飯野 秀章
【審査官】
富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−329470(JP,A)
【文献】
特開平02−056293(JP,A)
【文献】
特開2000−074254(JP,A)
【文献】
特開2008−052508(JP,A)
【文献】
欧州特許出願公開第02546201(EP,A1)
【文献】
特開2004−306971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/00−9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サブシステムからの超純水を配管を介してユースポイントに供給する超純水供給装置において、該配管に生じる水撃を抑制する手段を備えた超純水供給装置であって、
該サブシステムからの超純水をユースポイントに送給する配管は、該サブシステムからの超純水を該サブシステムの入口側に導く主配管2と、該主配管2の分岐点2aから分岐し、この分岐点2aよりも下流側の合流点2bで該主配管2に合流するループ配管3と、該ループ配管3から分岐するユースポイント入口配管4とを有し、
前記水撃抑制手段は、該主配管2のうち分岐点2aよりも上流側と、該ユースポイント入口配管4とにそれぞれ設けられたサージタンク6,7であることを特徴とする超純水供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超純水供給装置に係り、特に二次純水製造装置からユースポイントに供給される超純水中のパーティクル量を減少させる超純水供給装置及び超純水供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体洗浄用水として用いられている超純水は、
図7に示すように、一次純水製造装置及び二次純水製造装置(サブシステムと称されることも多い。)から構成される超純水製造装置で製造される(特許文献1)。
【0003】
二次純水製造装置70は、サブタンク(純水タンクと称されることもある。)71、ポンプ72、熱交換器73、低圧紫外線酸化装置(UV装置)74、イオン交換装置75及び限外濾過膜(UF)装置76を備えている。熱交換器73は、二次純水の温度制御のためのものである。一般に二次純水(常温超純水)の供給温度は23〜25℃であり、その温度範囲に制御するため、熱交換器73は冷却器が使用される。冷却器の冷却源として冷水が用いられる。この熱交換器73はイオン交換装置75より前に置く必要がある。高温の純水がイオン交換樹脂と接触するとTOC成分が溶出し、水質が悪化するためである。
【0004】
低圧紫外線酸化装置74では、低圧紫外線ランプより出される185nmの紫外線によりTOCを有機酸、さらにはCO
2まで分解する。分解により生成した有機物及びCO
2は後段のイオン交換装置75で除去される。UF装置76では、微粒子が除去され、イオン交換樹脂からの流出粒子も除去される。
【0005】
UF装置76からの超純水は、主配管78及び該主配管78から分岐した配管79を介してユースポイントに供給される。余剰の超純水は主配管78からサブタンク71に戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016−64342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
超純水製造システムからユースポイントに供給される超純水中のパーティクル量について検討したところ、超純水製造システム出口ではほとんど存在しないパーティクルが、ユースポイント直前では増加することがあることが判明した。本発明は、ユースポイントに送水される超純水中のパーティクル量を減少させることができる超純水供給装置及び超純水供給方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の超純水供給装置は、サブシステムからの超純水を配管を介してユースポイントに供給する超純水供給装置において、該配管に生じる水撃を抑制する手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の一態様では、前記水撃抑制手段は、開閉速度が0.5〜5秒の電動弁である。
本発明の一態様では、前記配管は、サブシステムからの超純水を該サブシステムの入口側に導く主配管と、該主配管に連なる洗浄機入口配管とを有しており、前記水撃抑制手段は、該洗浄機入口配管から超純水の一部を主配管に返送するバイパス配管である。
【0010】
本発明の一態様では、前記水撃抑制手段は、ユースポイントに供給される超純水の一部を排出するダンパである。
【0011】
本発明の超純水供給方法は、サブシステムからの超純水を、主配管を介して該サブシステムの入口側に導く主配管と、該主配管に連なるループ配管と、このループ配管に連なる洗浄機入口配管とを含む配管設備によってユースポイントに供給する超純水供給方法において、洗浄機入口配管の流量F
4と該サブシステムの主配管からループ配管に流れる超純水の流量F
3との比率(F
4/F
3×100%)を70%以下とする。
【発明の効果】
【0012】
前述の通り、本発明者がユースポイントに供給される超純水中のパーティクル量について検討を行ったところ、超純水製造システム出口ではほとんど存在しないパーティクルが、ユースポイント直前では増加することがあることが判明した。
【0013】
この原因について検討した結果、ユースポイントで超純水が使用する際に水圧の低下と上昇が起き、それにより水撃が生じてパーティクルが発生することが認められた。
【0014】
本発明は、かかる知見に基づくものである。本発明によると、かかる水撃が解消ないし緩和され、これにより水撃に起因したパーティクル発生が抑制される。
【0015】
なお、水撃によるパーティクル発生機構の詳細は次の通りであると推察される。
【0016】
ユースポイントで洗浄機が待機している時、洗浄機入口の超純水バルブは半開のスローリーク状態となっている。洗浄機起動時は半開のバルブが急激に全開となり、バルブ一次側(ループ配管〜洗浄機入口)の水圧は急低下し、二次側(洗浄機内)の水圧は急上昇する。一方、洗浄機が待機状態にもどる際はバルブが急激に半開となるため、今度は逆の水圧変化が起きる。
【0017】
このように起動時及び待機時のいずれにおいても、圧力変化により水撃が生じる。水撃による配管振動や配管内応力により、配管壁面からパーティクルが発生する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態に係る超純水供給装置の系統図である。
【
図2】実施の形態に係る超純水供給装置の系統図である。
【
図3】実施の形態に係る超純水供給装置の系統図である。
【
図4】実施の形態に係る超純水供給装置の系統図である。
【
図5】実施の形態に係る超純水供給装置の系統図である。
【
図6】実施の形態に係る超純水供給装置の系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の超純水供給装置及び供給方法では、一次純水製造装置及びサブシステム(二次純水製造装置)を有する超純水製造システムからの超純水をユースポイントに供給する。
【0020】
この一次純水製造装置の前段には、通常の場合、前処理装置が設けられる。前処理装置では、原水の濾過、凝集沈殿、精密濾過膜などによる前処理が施され、主に懸濁物質が除去される。この前処理によって通常、水中の微粒子数は10
3個/mL以下となる。
【0021】
一次純水製造装置は、逆浸透(RO)膜分離装置、脱気装置、再生型イオン交換装置(混床式又は4床5塔式など)、電気脱イオン装置、紫外線(UV)照射酸化装置等の酸化装置などを備え、前処理水中の大半の電解質、微粒子、生菌等の除去を行うものである。一次純水製造装置は、例えば、熱交換器、2基以上のRO膜分離装置、混床式イオン交換装置、及び脱気装置で構成される。
【0022】
サブシステムは、サブタンク、給水ポンプ、冷却用熱交換器、低圧紫外線酸化装置、非再生型混床式イオン交換装置あるいは電気脱イオン装置、限外濾過(UF)膜分離装置又は精密濾過(MF)膜分離装置等の膜濾過装置で構成されるが、更に膜脱気装置、RO膜分離装置、電気脱イオン装置等の脱塩装置が設けられている場合もある。サブシステムでは、低圧紫外線酸化装置を適用し、その後段に混床式イオン交換装置を設け、これによって水中のTOCを紫外線により酸化分解し、酸化分解生成物をイオン交換によって除去する。
【0023】
なお、二次純水製造装置の後段に三次純水製造装置を設けてもよい。この三次純水製造装置は、二次純水製造装置と同様の構成を備えるものであり、更に高純度の超純水を製造するものである。
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1〜7は実施の形態に係る超純水供給装置を示す系統図である。
【0025】
図1〜7の通り、サブシステム1からの超純水は、主配管2と、該主配管2の分岐点2aから分岐し、この分岐点2aよりも下流側の合流点2bで該主配管2に合流するループ配管3と、該ループ配管3から分岐する洗浄機入口配管4とによってユースポイント(この場合、洗浄機)に供給される。
【0026】
図1の実施の形態では、洗浄機入口配管4に電動弁5が設けられており、この電動弁5として開閉速度の遅いものを用いている。好ましくは、電動弁5として、開閉時間(全開→全閉又は全閉→全開に要する時間)が0.5〜5秒特に0.5〜2秒のものを用いる。
【0027】
このように開閉速度の遅い電動弁5を用いることにより、配管内の急激な圧力変化が緩和されて水撃が抑制され、配管壁面からのパーティクル発生が抑制される。
【0028】
なお、電動弁の開閉速度は、電動弁一次側の水圧に影響を受け、電動弁一次側の圧力は他のユースポイントの稼働状況により変動する。そのため、電動弁として、一次側圧力に応じて開閉スピードが可変する電動弁を用いてもよい。
【0029】
図2の実施の形態では、主配管2のうち分岐点2aよりも上流側と、洗浄機入口配管4とにそれぞれサージタンク6,7を設置している。サージタンク6,7は、密閉タンクの上部に不活性ガスを保持し、下部に超純水を貯留させる構造となっている。なお、サージタンク6,7のうち一方のみを設けてもよい。このようにサージタンク6,7の少なくとも一方を設けることにより、配管内の急激な圧力変化が緩和されて水撃が抑制され、配管壁面からのパーティクル発生が抑制される。
【0030】
図3の実施の形態では、洗浄機入口配管4と、分岐点2aよりも下流側(この実施の形態では合流点2bよりも上流側。ただし、合流点2bより下流側でもよい。)の主配管2とを接続するバイパス配管8を設け、該バイパス配管8に流量調節弁9を設けている。この流量調節弁9はバイパス流量を調節するためのものであり、通常は開度5〜10%程度に設定されている。
【0031】
かかるバイパス配管8を設けたことにより、配管内の急激な圧力変化が緩和されて水撃が抑制され、配管壁面からのパーティクル発生が抑制される。
【0032】
図4の実施の形態では、洗浄機入口配管4にダンパ10を設け、超純水の一部を配管11へ流出可能としている。配管11へ流出した超純水はサブタンクに返送される。かかるダンパ10及び配管11を設けたことにより、配管内の急激な圧力変化が緩和されて水撃が抑制され、配管壁面からのパーティクル発生が抑制される。
【0033】
図5の実施の形態は、ループ配管3における超純水流量F
3に対する洗浄機入口配管4の超純水流量F
4の百分比(F
4/F
3×100%)が70%以下、例えば10〜70%特に10〜50%となるように、サブシステム1の容量、配管2,3,4の口径、長さ等を設定したものである。このように、洗浄機入口配管4の流量を相対的に少なくすることにより、配管内の急激な圧力変化が緩和されて水撃が抑制され、配管壁面からのパーティクル発生が抑制される。
【実施例】
【0034】
[実施例1]
図6に示すように、
図1の超純水供給装置において、ループ配管3に圧力計20を設けると共に、内径25mmのPVDF(ポリビニルジフルオライド)製洗浄機入口配管4から分岐したPVDF製サンプリング配管21にパーティクルモニタ22を設置した。
【0035】
圧力計20の検知圧力0.45MPaで超純水が供給されると共に、洗浄機入口配管4の流量を待機時(ユースポイントへの給水停止時)1.5L/min,ユースポイントへの給水時30.5L/minとなるように流量調整バルブ(図示略)によって流量調整した。サンプリング配管21への流量は0.5L/minとした。
【0036】
バルブの開閉速度を5秒とし、試験開始5分後から15分ごとに開閉しパーティクル量を測定した。結果を
図8に示す。
【0037】
[比較例1]
バルブの開閉速度を0.1秒としたこと以外は実施例1と同一条件とした。試験開始5分後から15分ごとに開閉しパーティクル量を測定した。結果を
図8に示す。
【0038】
図8の通り、バルブを急速に開閉した比較例1と比べ、緩やかに開閉した実施例1はパーティクルが抑えられていることが認められる。
【符号の説明】
【0039】
1 サブシステム
2 主配管
3 ループ配管
4 洗浄機入口配管
5 電動弁
6,7 サージタンク
8 バイパス配管
10 ダンパ