特許第6981370号(P6981370)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981370
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】受光装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0232 20140101AFI20211202BHJP
【FI】
   H01L31/02 D
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-110045(P2018-110045)
(22)【出願日】2018年6月8日
(65)【公開番号】特開2019-212861(P2019-212861A)
(43)【公開日】2019年12月12日
【審査請求日】2020年9月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】中島 史人
(72)【発明者】
【氏名】山田 友輝
(72)【発明者】
【氏名】名田 允洋
【審査官】 吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−248362(JP,A)
【文献】 特開平11−261083(JP,A)
【文献】 特開2013−250416(JP,A)
【文献】 特開平11−14832(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0067607(US,A1)
【文献】 特開平5−259504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00−31/20
G02B 6/12−6/138
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板の主表面に形成され、主表面に平行な方向に導波する導波路型の半導体光増幅器と、
前記半導体光増幅器の一端に前記第1基板の主表面に対して斜めに形成された端面から構成され、前記第1基板の裏面側から入力される入力光を入力するための第1反射部と、
前記半導体光増幅器の他端に前記第1基板の主表面に対して斜めに形成された端面から構成され、出力光を前記第1基板の裏面側に出力するための第2反射部と、
前記第1基板の裏面に自身の裏面が貼り合わされた第2基板と、
前記第2反射部から出力される出力光が受光可能な箇所の前記第2基板の主表面に形成された面型のフォトダイオードと
を備えることを特徴とする受光装置。
【請求項2】
請求項1記載の受光装置において、
前記第1反射部に入力する入力光の光路における前記第1基板または前記第2基板の裏面に形成された第1集光レンズと、
前記第2反射部から出力されて前記フォトダイオードに入力する出力光の光路における前記第1基板または前記第2基板の裏面に形成された第2集光レンズと
を備えることを特徴とする受光装置。
【請求項3】
第1基板の主表面に、主表面に平行な方向に導波する導波路型の半導体光増幅器を形成する第1工程と、
第2基板の主表面に面型のフォトダイオードを形成する第2工程と、
前記第1基板の裏面と前記第2基板の裏面とを貼り合わせる第3工程と
を備え
前記半導体光増幅器の一端には、前記第1基板の主表面に対して斜めに形成した端面より、前記第1基板の裏面側から入力される入力光を入力するための第1反射部が構成され、
前記半導体光増幅器の他端には、前記第1基板の主表面に対して斜めに形成した端面より、出力光を前記第1基板の裏面側に出力するための第2反射部が構成され、
前記フォトダイオードは、前記第2反射部から出力される出力光が受光可能な箇所の前記第2基板の主表面に形成されている
ことを特徴とする受光装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の受光装置の製造方法において、
前記第1反射部に入力する入力光の光路における前記第1基板または前記第2基板の裏面に第1集光レンズを形成する第4工程と、
前記第2反射部から出力されて前記フォトダイオードに入力する出力光の光路における前記第1基板または前記第2基板の裏面に第2集光レンズを形成する第5工程と
を備えることを特徴とする受光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトダイオードと半導体光増幅器とを集積した受光装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
データセンタなどにおける近年の通信容量の増大に伴い、受信器に内蔵される光電変換素子であるフォトダイオード(PD)も高速化が要求されている。高速化の1つに、吸収層を薄くして受光で発生したキャリアの走行時間を短縮する技術がある。しかしながら、この技術では、吸収層を薄くするために受光感度の低下を招く。このように、高速性と受光感度はトレードオフの関係にある。
【0003】
上述したように、フォトダイオード単体では、高速性と高い受光感度とを両立させることは容易ではないが、フォトダイオードと半導体光増幅器とを集積することで、高速性を確保しつつ、受光感度を向上させる技術がある(非特許文献1参照)。
【0004】
この技術では、InPからなる基板の主表面に、半導体光増幅器とフォトダイオードとを形成している。この技術では、まず、InP基板の上に、半導体光増幅器とするための各化合物半導体の層を結晶成長させ、次に、フォトダイオードとするための各化合物半導体の層を結晶成長させる。次に、結晶成長させたこれら化合物半導体の各層を、所定の形状にパターニングすることで、導波路型の半導体光増幅器およびフォトダイオードを集積した受光装置を形成している(非特許文献1,Fig.1参照)。
【0005】
この受光装置では、図3に示すように、基板201の上に形成した半導体光増幅器202の入力端203より光が入射し、入射した光は、半導体光増幅器202で増幅され、出射端204より出射する。出射端204より出射した増幅光は、光導波路205を導波してフォトダイオード206に入射する。
【0006】
上述した受光装置によれば、フォトダイオードのみで光を受光する場合に比較し、半導体光増幅器による増幅効果を利用できるので、高速性のためにフォトダイオードの吸収層厚を薄くしても、受光装置全体としての受光感度は高く設定できる。非特許文献1では、半導体光増幅器において、170mAの駆動電流で約8dBの光増幅が得られるものとされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】F. Xia et al., "Monolithic Integration of a Semiconductor Optical Amplifier and a High Bandwidth p-i-n Photodiode Using Asymmetric Twin-Waveguide Technology", IEEE Photonics Technology Letters, vol. 15, no. 3, pp. 452-454, 2003.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した技術では、製造コストが高くなるという問題があった。前述したように、半導体光増幅器とするための各化合物半導体の層を結晶成長し、フォトダイオードとするための各化合物半導体の層を結晶成長している。しかしながら、半導体光増幅器とする各化合物半導体層と、フォトダイオードとする各化合物半導体層とは、結晶成長などの製造条件が大きく異なる。このため、基板面内の均一性など歩留りの観点で、製造コストが高くなる。
【0009】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、フォトダイオードと半導体光増幅器とを集積した受光装置の製造コストの上昇を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る受光装置は、第1基板の主表面に形成され、主表面に平行な方向に導波する導波路型の半導体光増幅器と、半導体光増幅器の一端に第1基板の主表面に対して斜めに形成された端面から構成され、第1基板の裏面側から入力される入力光を入力するための第1反射部と、半導体光増幅器の他端に第1基板の主表面に対して斜めに形成された端面から構成され、出力光を第1基板の裏面側に出力するための第2反射部と、第1基板の裏面に自身の裏面が貼り合わされた第2基板と、第2反射部から出力される出力光が受光可能な箇所の第2基板の主表面に形成された面型のフォトダイオードとを備える。
【0011】
上記受光装置において、第1反射部に入力する入力光の光路における第1基板または第2基板の裏面に形成された第1集光レンズと、第2反射部から出力されてフォトダイオードに入力する出力光の光路における第1基板または第2基板の裏面に形成された第2集光レンズとを備えるようにしてもよい。
【0012】
本発明に係る受光装置の製造方法は、第1基板の主表面に、主表面に平行な方向に導波する導波路型の半導体光増幅器を形成する第1工程と、第2基板の主表面に面型のフォトダイオードを形成する第2工程と、第1基板の裏面と第2基板の裏面とを貼り合わせる第3工程とを備え半導体光増幅器の一端には、第1基板の主表面に対して斜めに形成した端面より、第1基板の裏面側から入力される入力光を入力するための第1反射部が構成され、半導体光増幅器の他端には、第1基板の主表面に対して斜めに形成した端面より、出力光を第1基板の裏面側に出力するための第2反射部が構成され、フォトダイオードは、第2反射部から出力される出力光が受光可能な箇所の第2基板の主表面に形成されている。
【0013】
上記受光装置の製造方法において、第1反射部に入力する入力光の光路における第1基板または第2基板の裏面に第1集光レンズを形成する第4工程と、第2反射部から出力されてフォトダイオードに入力する出力光の光路における第1基板または第2基板の裏面に第2集光レンズを形成する第5工程とを備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したことにより、本発明によれば、フォトダイオードと半導体光増幅器とを集積した受光装置の製造コストの上昇が抑制できるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の実施の形態1における受光装置の構成を示す構成図である。
図2A図2Aは、本発明の実施の形態2における受光装置の構成を示す構成図である。
図2B図2Bは、本発明の実施の形態2における他の受光装置の構成を示す構成図である。
図2C図2Cは、本発明の実施の形態2における他の受光装置の構成を示す構成図である。
図2D図2Dは、本発明の実施の形態2における他の受光装置の構成を示す構成図である。
図3図3は、従来の受光装置の構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態おける受光装置について説明する。
【0017】
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1における受光装置について、図1を参照して説明する。図1では、断面を模式的に示している。
【0018】
この受光装置は、まず、第1基板101の主表面101aに形成された半導体光増幅器102を備える。半導体光増幅器102は、よく知られた導波路型の半導体光増幅器であり、主表面101aに平行な方向に光が導波される。半導体光増幅器102は、例えば、半絶縁性のInPからなる第1基板101の上に形成されたn型のInP層、InGaAsPからなる利得媒質としての活性層、活性層の上に形成されたp型のInP層を備え、第1基板101およびp型のInP層の各々には、電極が接続され、活性層に対して電流が注入可能とされている。
【0019】
半導体光増幅器102の一端には、第1基板101の主表面101aに対して斜めに形成された端面から構成された第1反射部103を備える。第1反射部103は、第1基板101の裏面101b側から入力される入力光を入力する。
【0020】
また、半導体光増幅器102の他端には、第1基板101の主表面101aに対して斜めに形成された端面から構成された第2反射部104を備える。半導体光増幅器102により増幅された出力光が、第2反射部104より第1基板101の裏面101b側に出力される。
【0021】
また、この受光装置は、第1基板101の裏面101bに自身の裏面105bが貼り合わされた第2基板105と、第2基板105の主表面105aに形成されたフォトダイオード106とを備える。フォトダイオード106は、よく知られた面型(面入射型)のPin型フォトダイオードである。また、フォトダイオード106は、アバランシェフォトダイオードであってもよい。フォトダイオード106は、第2反射部104から出力される出力光が受光可能な箇所に形成されている。
【0022】
次に、実施の形態1における受光装置の製造方法について説明する。この製造方法で、第1基板101の主表面101aに、主表面101aに平行な方向に導波する導波路型の半導体光増幅器102を形成する(第1工程)。また、第2基板105の主表面105aに面型のフォトダイオード106を形成する(第2工程)。また、第1基板101の裏面101bと第2基板105の裏面105bとを貼り合わせる(第3工程)。
【0023】
ここで、半導体光増幅器102とする各半導体層を形成し、フォトダイオード106とする各半導体を形成し、この状態で貼り合わせを実施し、この後で、各素子構造を形成してもよく、また、半導体光増幅器102の素子構造およびフォトダイオード106の素子構造を形成した後で、第1基板101と第2基板105との貼り合わせを実施してもよい。
【0024】
例えば、半絶縁性のInPからなる第1基板101を用意し、この主表面101aの上に、n−InP層、InGaAsP層、p−InP層などの半導体光増幅器102を構成するための各半導体層を、よく知られた有機金属気相成長法などによりエピタキシャル成長する。
【0025】
一方、半絶縁性のInPからなる第2基板105を用意し、この主表面105aの上に、n−InP層、InGaAs吸収層、p−InP層などのフォトダイオード106を構成するための各半導体層を、有機金属気相成長法などによりエピタキシャル成長する。
【0026】
次に、第1基板101および第2基板105を、各々所定の厚さにまで研削研磨して薄くした後で、第1基板101の裏面101bと第2基板105の裏面105bとを貼り合わせる。例えば、原子拡散接合(ADB)または表面活性化接合(SAB)などの貼り合わせ技術により、上述した貼り合わせを実施すればよい。また、接着剤を用いて上述した貼り合わせを実施してもよい。
【0027】
次に、第1基板101の主表面101aの上に形成されている各半導体層を、よく知られたフォトリソグラフィー技術、エッチング技術によりパターニングして導波路構造を形成する(非特許文献1参照)。このパターニングにおいて、第1反射部103,第2反射部104を形成する。例えば、形成した導波路構造の一端および他端を、第1基板101の主表面101aに対して45°斜めに形成する。なお、フォトダイオード106で吸収しきれなかった光が、半導体光増幅器102に戻ってこないようにするために、第2反射部104の反射面の傾斜角度を45°より数°ずらしてもよい。
【0028】
また、上述したように導波路構造を形成した後、よく知られたリフトオフ法などにより各電極を形成し、半導体光増幅器102とする。
【0029】
一方、第2基板105の主表面105aの上に形成されている各半導体層を、よく知られたフォトリソグラフィー技術、エッチング技術によりパターニングしてメサ構造を形成する。また、よく知られたリフトオフ法などにより各電極を形成し、フォトダイオード106とする。
【0030】
ここで、フォトダイオード106は、第2基板105の主表面105aの第2反射部104から出力される出力光が受光可能な箇所に形成する。特に、主表面105aの第2反射部104から出力される出力光が、フォトダイオード106の受光面の中心に入射されるように、フォトダイオード106を配置する。フォトダイオード106の配置箇所は、第2反射部104における反射面の角度と、第1基板101および第2基板105の厚さに依存して決定される。
【0031】
実施の形態1における受光装置では、まず、第2基板105の主表面105aの側から入射し、第2基板105および第1基板101を透過して第1反射部103に到達した光が、第1反射部103で進行方向を変更され、半導体光増幅器102の増幅部に入力されて増幅される。半導体光増幅器102で増幅された増幅光は、第2反射部104で進行方向を変更され、第1基板101および第2基板105を透過し、フォトダイオード106で受光されて光電変換される。
【0032】
形態の形態1によれば、光は基板面に対してほぼ垂直な方向から入射されるため、面型の光フィルタなどの組み合わせが容易である。面型の光フィルタには、例えば光通信用の波長多重方式(WDM)に対応した小型受信器(ROSA)によく用いられる光DEMUXフィルタである薄膜フィルタ(TFF)があげられる。
【0033】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2における受光装置について図2A図2B図2C図2Dを参照して説明する。図2A図2B図2C図2Dでは、断面を模式的に示している。
【0034】
この受光装置は、まず、第1基板101の主表面101aに形成された半導体光増幅器102を備える。また、この受光装置は、第1基板101の裏面101bに自身の裏面105bが貼り合わされた第2基板105と、第2基板105の主表面105aに形成されたフォトダイオード106とを備える。これらの構成は、前述した実施の形態1と同様である。
【0035】
実施の形態2における受光装置は、まず、第1基板101の裏面101bまたは第2基板105の裏面105bに形成された第1集光レンズ107を備える。第1集光レンズ107は、第1反射部103に入力する入力光の光路に配置される。また、第1基板101の裏面101bまたは第2基板105の裏面105bに形成された第2集光レンズ108を備える。第2集光レンズ108は、第2反射部104から出力されてフォトダイオード106に入力する出力光の光路に配置される。
【0036】
例えば、図2Aに示すように、第1基板101の裏面101bに第1集光レンズ107を形成し、第2基板105の裏面105bに第2集光レンズ108を形成すればよい。また、図2Bに示すように、第1基板101の裏面101bに、第1集光レンズ107および第2集光レンズ108を形成してもよい。また、図2Cに示すように、第2基板105の裏面105bに、第1集光レンズ107および第2集光レンズ108を形成してもよい。いずれか一方の基板に第1集光レンズ107および第2集光レンズ108を形成することで、複数のレンズ構造を一括で形成することが可能となり、工程の簡略化につながる。
【0037】
なお、図2Dに示すように、第1基板101の裏面101bに第2集光レンズ108を形成し、第2基板105の裏面105bに第1集光レンズ107を形成してもよい。
【0038】
次に、実施の形態2における受光装置の製造方法について説明する。実施の形態2では、前述した実施の形態1の製造方法に加え、第1反射部103に入力する入力光の光路における第1基板101の裏面101bまたは第2基板105の裏面105bに、第1集光レンズ107を形成する(第4工程)。また、第2反射部104から出力されてフォトダイオード106に入力する出力光の光路における第1基板101の裏面101bまたは第2基板105の裏面105bに、第2集光レンズ108を形成する(第5工程)。
【0039】
例えば、半絶縁性のInPからなる第1基板101を用意し、この主表面101aに、位置合わせ用の第1マークを形成する。例えば、金属から構成された第1マークを、リフトオフ法などにより所定の箇所に形成すればよい。次に、第1基板101の主表面101aの上に、n−InP層、InGaAsP層、p−InP層などの半導体光増幅器102を構成するための各半導体層を、よく知られた有機金属気相成長法などによりエピタキシャル成長する。
【0040】
一方、半絶縁性のInPからなる第2基板105を用意し、この主表面101aに、位置合わせ用の第2マークを形成する。次に、第2基板105の主表面105aの上に、n−InP層、InGaAs吸収層、p−InP層などのフォトダイオード106を構成するための各半導体層を、有機金属気相成長法などによりエピタキシャル成長する。
【0041】
次に、第1基板101および第2基板105を、各々所定の厚さにまで研削研磨して薄くする。この状態で、第1基板101の裏面101bに第1集光レンズ107を形成する。例えば、第1基板101の裏面101bに、底面に凸面を備える凹部を形成することで、第1集光レンズ107とする。同様に、第2基板105の裏面105bに第2集光レンズ108を形成する。ここで、第1マークを基準として所定の位置に第1集光レンズ107を形成し、第2マークを基準として所定の位置に第2集光レンズ108を形成する。なお、いずれか一方の基板の裏面に、第1集光レンズ107および第2集光レンズ108を形成してもよい。
【0042】
上述したように第1集光レンズ107、第2集光レンズ108を形成した後で、第1基板101の裏面101bと第2基板105の裏面105bとを貼り合わせる。例えば、原子拡散接合(ADB)または表面活性化接合(SAB)などの貼り合わせ技術により、上述した貼り合わせを実施すればよい。また、接着剤を用いて上述した貼り合わせを実施してもよい。この貼り合わせにおいては、第1マークと第2マークとが、所定の位置関係となるようにする。
【0043】
なお、第1集光レンズ107の凹部および第2集光レンズ108の凹部は、空間(空気層)としてもよく、また、酸化シリコンなどの誘電体を充填しておいてもよい。InPから構成した第1基板101および第2基板105と、上述した凹部の内部の空気層や誘電体層との間には、大きな屈折率差を作り出すことができ、凹部の底部の凸面により、集光レンズを構成することが可能となる。また、入力光および出力光の反射損失を防ぐため、凹部の材質に応じた設計の、反射防止膜を集光レンズ表面および第1基板ないし第2基板の裏面に形成しておいてもよい。また、入力光の反射損失を防ぐため、反射防止膜を第2基板105の主表面105aにおける、光が入射される部分に形成しておいてもよい。
【0044】
次に、前述した実施の形態1と同様に、第1基板101の主表面101aの上に形成されている各半導体層をパターニングして導波路構造を形成する。また、このパターニングにおいて、第1反射部103,第2反射部104を形成する。また、上述したように導波路構造を形成した後、よく知られたリフトオフ法などにより各電極を形成し、半導体光増幅器102とする。ここで、実施の形態2では、第1マークに対して所定の位置関係となるように、半導体光増幅器102を形成する。
【0045】
また、前述した実施の形態1と同様に、第2基板105の主表面105aの上に形成されている各半導体層をパターニングしてメサ構造を形成する。また、よく知られたリフトオフ法などにより各電極を形成し、フォトダイオード106とする。実施の形態2では、第2マークに対して所定の位置関係となるように、フォトダイオード106を形成する。
【0046】
上述したように、第1マークおよび第2マークに対し、各々が所定の位置関係となるように、第1集光レンズ107,第2集光レンズ108,半導体光増幅器102,フォトダイオード106を形成することで、まず、第1集光レンズ107が、第1反射部103に入力する入力光の光路に配置されるようにする。また、フォトダイオード106は、第2基板105の主表面105aの第2反射部104から出力される出力光が受光可能な箇所に形成し、この出力光の光路に第2集光レンズ108が配置される状態とする。
【0047】
実施の形態2によれば、第1集光レンズ107,第2集光レンズ108を備えるので、これらの効果により、第1基板101および第2基板105の厚さの自由度が増し、製造マージンが向上して製造コストをより低減する効果が得られるようになる。また、第1集光レンズ107を介して光を導入するようにしたので、実施の形態2における受光装置の実装トレランスが向上し、受信モジュールを作製する際の低コスト化に貢献する。
【0048】
以上に説明したように、互いに貼り合わされている第1基板に半導体光増幅器を形成し、第2基板にフォトダイオードを形成したので、フォトダイオードと半導体光増幅器とを集積した受光装置の製造コストの上昇が抑制できるようになる。本発明によれば、半導体光増幅器を構成するための半導体層と、フォトダイオードを構成するための半導体層とを、個別に形成できるので、各々の最適な形成(結晶成長)条件を用いることができる。また、本発明の受光装置は、垂直光入射が可能な面型にできるので、光結合トレランスが拡大し、実装が容易になる。また、第1集光レンズ,第2集光レンズを設けることで、さらに光結合トレランスが拡大できるようになる。
【0049】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0050】
101…第1基板、101a…主表面、101b…裏面、102…半導体光増幅器、103…第1反射部、104…第2反射部、105…第2基板、105a…主表面、105b…裏面、106…フォトダイオード。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3