(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(D)架橋剤が、1分子中に平均して2個以上のメチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含む、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物及びウレア化合物から選ばれる含窒素化合物、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチル基を有するフェノール化合物、並びに1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物から選ばれる少なくとも1種である請求項5記載の感光性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[感光性樹脂組成物]
本発明の感光性樹脂組成物は、(A)エポキシ基及び/又はフェノール性ヒドロキシ基を有するシリコーン樹脂、(B)光酸発生剤、及び(C)ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン誘導体をカチオン種として有する有機塩及びジアザビシクロノネン誘導体をカチオン種として有する有機塩から選ばれる少なくとも1種の硬化促進剤を含むものである。
【0010】
[(A)シリコーン樹脂]
(A)成分のシリコーン樹脂は、分子中にエポキシ基、フェノール性ヒドロキシ基又はその両方を含むものである。
【0011】
(A)成分のエポキシ基及び/又はフェノール性ヒドロキシ基含有シリコーン樹脂としては、特には限定されないが、下記式(a1)〜(a4)及び(b1)〜(b4)で表される繰り返し単位(以下、それぞれ繰り返し単位a1〜a4及びb1〜b4ともいう。)を含むものが好ましい。
【化6】
【0012】
式中、R
1〜R
4は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の1価炭化水素基であり、炭素数1〜6のものが好ましい。前記1価炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基等が挙げられ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基及びこれらの構造異性体、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられる。これらのうち、メチル基及びフェニル基が原料の入手の容易さから好ましい。
【0013】
式中、mは、1〜600の整数であるが、0〜400の整数が好ましく、0〜200の整数がより好ましい。
【0014】
式(a1)及び(b1)中、X
1は、下記式(X1)で表される2価の基である。
【化7】
【0015】
式(X1)中、Y
1は、単結合、メチレン基、プロパン−2,2−ジイル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2,2−ジイル基又はフルオレン−9,9−ジイル基である。R
11及びR
12は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R
13及びR
14は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。p
1及びp
2は、それぞれ独立に、0〜7の整数である。q
1及びq
2は、それぞれ独立に、0〜2の整数である。
【0016】
前記アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、これらの構造異性体等が挙げられる。前記アルコキシ基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、これらの構造異性体等が挙げられる。
【0017】
式(a2)及び(b2)中、X
2は、下記式(X2)で表される2価の基である。
【化8】
【0018】
式(X2)中、Y
2は、単結合、メチレン基、プロパン−2,2−ジイル基、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン−2,2−ジイル基又はフルオレン−9,9−ジイル基である。R
21及びR
22は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R
23及びR
24は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基、又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。r
1及びr
2は、それぞれ独立に、0〜7の整数である。s
1及びs
2は、それぞれ独立に、0〜2の整数である。前記アルキル基及びアルコキシ基としては、前述したものと同様のものが挙げられる。
【0019】
式(a3)及び(b3)中、X
3は、下記式(X3)で表される2価の基である。
【化9】
【0020】
式(X3)中、R
31及びR
32は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。t
1及びt
2は、それぞれ独立に、0〜7の整数である。
【0021】
式(a4)及び(b4)中、X
4は、下記式(X4)で表される2価の基である。
【化10】
【0022】
式(X4)中、R
41及びR
42は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。R
43及びR
44は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の1価炭化水素基である。u
1及びu
2は、それぞれ独立に、0〜7の整数である。vは、0〜600の整数であるが、0〜400の整数が好ましく、0〜200の整数がより好ましい。前記1価炭化水素基としては、R
1〜R
4の説明において述べたものと同様のものが挙げられる。
【0023】
(A)成分のシリコーン樹脂は、その重量平均分子量(Mw)が、3,000〜500,000であるものが好ましく、5,000〜200,000であるものがより好ましい。なお、本発明においてMwは、テトラヒドロフランを溶出溶剤として用いた、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算測定値である。
【0024】
式中、a
1〜a
4及びb
1〜b
4は、0≦a
1<1、0≦a
2<1、0≦a
3<1、0≦a
4<1、0≦b
1<1、0≦b
2<1、0≦b
3<1、0≦b
4<1、0<a
1+a
2+a
3<1、0<b
1+b
2+b
3<1、及びa
1+a
2+a
3+a
4+b
1+b
2+b
3+b
4=1を満たす数であるが、0≦a
1≦0.8、0≦a
2≦0.8、0≦a
3≦0.8、0≦a
4≦0.8、0≦b
1≦0.95、0≦b
2≦0.95、0≦b
3≦0.95、0≦b
4≦0.95、0.05≦a
1+a
2+a
3≦0.8、0.2≦b
1+b
2+b
3≦0.95、及びa
1+a
2+a
3+a
4+b
1+b
2+b
3+b
4=1を満たす数がより好ましく、0≦a
1≦0.7、0≦a
2≦0.7、0≦a
3≦0.7、0≦a
4≦0.7、0≦b
1≦0.9、0≦b
2≦0.9、0≦b
3≦0.9、0≦b
4≦0.9、0.1≦a
1+a
2+a
3≦0.7、0.3≦b
1+b
2+b
3≦0.9、及びa
1+a
2+a
3+a
4+b
1+b
2+b
3+b
4=1を満たす数が更に好ましい。
【0025】
前述した各繰り返し単位は、ランダムに結合していても、ブロック重合体として結合していてもよい。また、各繰り返し単位中のシロキサン単位は、ランダムに結合していても、同種のシロキサン単位のブロックを複数含むものであってもよい。また、前記シリコーン樹脂において、シリコーン(シロキサン単位)含有率は、30〜80質量%であることが好ましい。
【0026】
(A)成分のシリコーン樹脂は、フィルム形成能を与えるものとして機能する。また、得られた樹脂フィルムは、積層体、基板等への良好な密着性、良好なパターン形成能、耐クラック性、及び耐熱性を有する。
【0027】
(A)成分のシリコーン樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
[(A)シリコーン樹脂の製造方法]
(A)成分のシリコーン樹脂は、下記式(1)で表される化合物と、下記式(2)で表される化合物と、下記式(3)で表される化合物、下記式(4)で表される化合物及び下記式(5)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種と、必要に応じて下記式(6)で表される化合物とを、金属触媒存在下、付加重合させることにより製造することができる。
【0029】
【化11】
(式中、R
1〜R
4及びmは、前記と同じ。)
【0030】
【化12】
(式中、R
11〜R
14、R
21〜R
24、R
31、R
32、R
41〜R
44、Y
1、Y
2、p
1、p
2、q
1、q
2、r
1、r
2、s
1、s
2、t
1、t
2、u
1、u
2及びvは、前記と同じ。)
【0031】
前記金属触媒としては、白金(白金黒を含む)、ロジウム、パラジウム等の白金族金属単体;H
2PtCl
4・xH
2O、H
2PtCl
6・xH
2O、NaHPtCl
6・xH
2O、KHPtCl
6・xH
2O、Na
2PtCl
6・xH
2O、K
2PtCl
4・xH
2O、PtCl
4・xH
2O、PtCl
2、Na
2HPtCl
4・xH
2O(ここで、xは、0〜6の整数が好ましく、特に0又は6が好ましい。)等の塩化白金、塩化白金酸及び塩化白金酸塩;アルコール変性塩化白金酸(例えば、米国特許第3,220,972号明細書に記載のもの);塩化白金酸とオレフィンとの錯体(例えば、米国特許第3,159,601号明細書、米国特許第3,159,662号明細書、及び米国特許第3,775,452号明細書に記載のもの);白金黒やパラジウム等の白金族金属をアルミナ、シリカ、カーボン等の担体に担持させたもの;ロジウム−オレフィン錯体;クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(いわゆるウィルキンソン触媒);塩化白金、塩化白金酸又は塩化白金酸塩とビニル基含有シロキサン(特に、ビニル基含有環状シロキサン)との錯体等を使用することができる。
【0032】
前記触媒の使用量は触媒量であり、通常、前記付加重合反応において使用する溶剤以外の化合物の総質量中、0.001〜0.1質量%であることが好ましく、0.01〜0.1質量%であることがより好ましい。
【0033】
前記付加重合反応においては、必要に応じて溶剤を使用してもよい。溶剤としては、例えばトルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤が好ましい。
【0034】
重合温度は、触媒が失活せず、かつ短時間で重合の完結が可能という観点から、40〜150℃が好ましく、60〜120℃がより好ましい。重合時間は、得られる樹脂の種類及び量にもよるが、重合系中に湿気の介入を防ぐため、およそ0.5〜100時間が好ましく、0.5〜30時間がより好ましい。反応終了後、溶剤を使用した場合はこれを留去することにより、(A)成分のシリコーン樹脂を得ることができる。
【0035】
反応方法は、特に限定されないが、例えば、式(1)で表される化合物と、式(2)で表される化合物と、式(3)で表される化合物、式(4)で表される化合物及び式(5)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種と、必要に応じて式(6)で表される化合物とを反応させる場合、まず、式(3)で表される化合物、式(4)で表される化合物及び式(5)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種と、必要に応じて式(6)で表される化合物とを混合して加熱した後、前記混合液に金属触媒を添加し、次いで式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物を0.1〜5時間かけて滴下する方法が挙げられる。
【0036】
各化合物は、式(3)で表される化合物、式(4)で表される化合物及び式(5)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種と、必要に応じて式(6)で表される化合物とが有するアルケニル基の合計に対し、式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物が有するヒドロシリル基のモル数の合計が、モル比で、好ましくは0.67〜1.67、より好ましくは0.83〜1.25となるように配合するのがよい。
【0037】
得られる樹脂のMwは、o−アリルフェノールのようなモノアリル化合物又はトリエチルヒドロシランのようなモノヒドロシランやモノヒドロシロキサンを分子量調整剤として使用することにより制御することが可能である。
【0038】
[(B)光酸発生剤]
(B)成分の光酸発生剤としては、光照射によって分解し、酸を発生するものであれば特に限定されないが、波長190〜500nmの光を照射することによって酸を発生するものが好ましい。本発明の組成物は酸発生剤の相溶性に優れるため、幅広い酸発生剤を使用することができる。前記光酸発生剤としては、例えば、オニウム塩、ジアゾメタン誘導体、グリオキシム誘導体、β−ケトスルホン誘導体、ジスルホン誘導体、ニトロベンジルスルホネート誘導体、スルホン酸エステル誘導体、イミド−イル−スルホネート誘導体、オキシムスルホネート誘導体、イミノスルホネート誘導体、トリアジン誘導体等が挙げられる。
【0039】
前記オニウム塩としては、下記式(B1)で表されるスルホニウム塩又は下記式(B2)で表されるヨードニウム塩が挙げられる。
【化13】
【0040】
式(B1)及び(B2)中、R
101〜R
105は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、又は置換基を有していてもよい炭素数7〜12のアラルキル基である。A
-は、非求核性対向イオンである。
【0041】
前記アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基等が挙げられる。前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0042】
前記置換基としては、オキソ基、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜12のアルコキシ基、直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜24のアリール基、炭素数7〜25のアラルキル基、炭素数6〜24のアリールオキシ基、炭素数6〜24のアリールチオ基等が挙げられる。
【0043】
R
101〜R
105としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、2−オキソシクロヘキシル基等の置換基を有していてもよいアルキル基;フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、o−、m−又はp−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、m−又はp−tert−ブトキシフェニル基、2−、3−又は4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、ターフェニリル基、ビフェニリルオキシフェニル基、ビフェニリルチオフェニル基等の置換基を有していてもよいアリール基;ベンジル基、フェネチル基等の置換基を有していてもよいアラルキル基が好ましい。これらのうち、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基がより好ましい。
【0044】
前記非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン;トリフレートイオン、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネートイオン、ノナフルオロブタンスルホネートイオン等のフルオロアルカンスルホネートイオン;トシレートイオン、ベンゼンスルホネートイオン、4−フルオロベンゼンスルホネートイオン、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネートイオン等のアリールスルホネートイオン;メシレートイオン、ブタンスルホネートイオン等のアルカンスルホネートイオン;トリフルオロメタンスルホンイミドイオン等のフルオロアルカンスルホンイミドイオン;トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン等のフルオロアルカンスルホニルメチドイオン;テトラキスフェニルボレートイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートイオン等のボレートイオン等が挙げられる。
【0045】
前記ジアゾメタン誘導体としては、下記式(B3)で表される化合物が挙げられる。
【化14】
【0046】
式(B3)中、R
111及びR
112は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基である。
【0047】
前記アルキル基は、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、その具体例としては、R
101〜R
105の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。前記ハロゲン化アルキル基としては、トリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。
【0048】
前記置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基;2−、3−又は4−メトキシフェニル基、2−、3−又は4−エトキシフェニル基、3−又は4−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基;2−、3−又は4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基;フルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5−ペンタフルオロフェニル基等のハロゲン化アリール基等が挙げられる。前記アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
【0049】
前記グリオキシム誘導体としては、下記式(B4)で表される化合物が挙げられる。
【化15】
【0050】
式(B4)中、R
121〜R
124は、それぞれ独立に、炭素数1〜12のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜12のアリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基である。また、R
123及びR
124は、互いに結合してこれらが結合する炭素原子とともに環を形成していてもよく、環を形成する場合、R
123及びR
124が結合して形成される基は、炭素数1〜12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。
【0051】
前記アルキル基、ハロゲン化アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、及びアラルキル基としては、R
111及びR
112として例示したものと同様のものが挙げられる。前記直鎖状又は分岐状のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
【0052】
前記オニウム塩として具体的には、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、[4−(4−ビフェニリルチオ)フェニル]−4−ビフェニリルフェニルスルホニウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、テトラキス(フルオロフェニル)ホウ酸トリフェニルスルホニウム、テトラキス(フルオロフェニル)ホウ酸トリス[4−(4−アセチルフェニル)チオフェニル]スルホニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリフェニルスルホニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリス[4−(4−アセチルフェニル)チオフェニル]スルホニウム等が挙げられる。
【0053】
前記ジアゾメタン誘導体として具体的には、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロへキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ペンチルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−ペンチルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
【0054】
前記グリオキシム誘導体として具体的には、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロへキシルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロへキシルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等が挙げられる。
【0055】
前記β−ケトスルホン誘導体として具体的には、2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等が挙げられる。
【0056】
前記ジスルホン誘導体として具体的には、ジフェニルジスルホン、ジシクロへキシルジスルホン等が挙げられる。
【0057】
前記ニトロベンジルスルホネート誘導体として具体的には、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等が挙げられる。
【0058】
前記スルホン酸エステル誘導体として具体的には、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等が挙げられる。
【0059】
前記イミド−イル−スルホネート誘導体として具体的には、フタルイミド−イル−トリフレート、フタルイミド−イル−トシレート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−イル−トリフレート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−イル−トシレート、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド−イル−n−ブチルスルホネート、n−トリフルオロメチルスルホニルオキシナフチルイミド等が挙げられる。
【0060】
前記オキシムスルホネート誘導体として具体的には、α−(ベンゼンスルホニウムオキシイミノ)−4−メチルフェニルアセトニトリル等が挙げられる。
【0061】
前記イミノスルホネート誘導体として具体的には、(5−(4−メチルフェニル)スルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−(4−(4−メチルフェニルスルホニルオキシ)フェニルスルホニルオキシイミノ)−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)−アセトニトリル等が挙げられる。
【0062】
また、2−メチル−2−[(4−メチルフェニル)スルホニル]−1−[(4−メチルチオ)フェニル]−1−プロパン等も好適に使用できる。
【0063】
(B)成分の光酸発生剤としては、特に前記オニウム塩が好ましく、前記スルホニウム塩がより好ましい。
【0064】
(B)成分の含有量は、光硬化性の観点から、(A)成分100質量部に対し、0.05〜20質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましい。(B)成分の含有量が0.05質量部以上であれば、酸の発生量が不足して架橋反応が十分に進行しないおそれがないために好ましく、20質量部以下であれば、酸発生剤自身の吸光度が増大するのを抑制することができ、透明性が低下するといった問題が生じるおそれがないために好ましい。(B)成分の光酸発生剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0065】
[(C)硬化促進剤]
(C)成分の硬化促進剤は、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、ジアザビシクロウンデセン誘導体をカチオン種として有する有機塩及びジアザビシクロノネン誘導体をカチオン種として有する有機塩から選ばれる少なくとも1種である。
【0066】
(C)成分の硬化促進剤は、露光後加熱処理(PEB)工程や後硬化工程における硬化促進剤として作用する。これらを硬化促進剤として用いることで、当該感光性樹脂組成物において保存安定性が良好かつ十分な架橋反応促進効果が現れ、電気絶縁性、銅マイグレーション耐性に優れた硬化皮膜を提供でき、その絶縁保護膜としての信頼性が非常に高い。
【0067】
前記有機塩としては、特に限定されないが、トリフェニルボレート塩、p−トルエンスルホン酸塩、フェノール塩、オクチル酸塩、о−フタル酸塩等が挙げられる。
【0068】
(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.01〜10質量部が好ましく、0.05〜5質量部がより好ましい。(C)成分の含有量が0.01質量部以上であれば、十分な硬化性が得られ、10質量部以下であれば、(A)成分との相溶性が良好であり、透明性が低下するといった問題が生じるおそれがないために好ましい。(C)成分の硬化促進剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0069】
[(D)架橋剤]
本発明の感光性樹脂組成物は、更に、(D)成分として架橋剤を含むことが好ましい。前記架橋剤は、前述した(A)成分中のフェノール性ヒドロキシ基、あるいはR
13、R
14、R
23又はR
24で表されるアルコキシ基と縮合反応を起こし、パターンの形成を容易になし得るための成分であるとともに、硬化物の強度を更に上げるものである。
【0070】
前記架橋剤としては、1分子中に平均して2個以上のメチロール基及び/又はアルコキシメチル基を含む、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、ウレア化合物等の含窒素化合物、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチル基を有するフェノール化合物、及び1分子中に平均して2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物も好ましい。
【0071】
前記メラミン化合物としては、下記式(D1)で表されるものが挙げられる。
【化16】
【0072】
式(D1)中、R
201〜R
206は、それぞれ独立に、メチロール基、炭素数2〜5のアルコキシメチル基、又は水素原子であるが、少なくとも1つはメチロール基又はアルコキシメチル基である。前記アルコキシメチル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基等が挙げられる。
【0073】
式(D1)で表されるメラミン化合物としては、トリメトキシメチルモノメチロールメラミン、ジメトキシメチルモノメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサエトキシメチルメラミン等が挙げられる。
【0074】
式(D1)で表されるメラミン化合物は、例えば、まず公知の方法に従ってメラミンモノマーをホルムアルデヒドでメチロール化して変性させ、又はこれを更にアルコールでアルコキシ化して変性させることで得ることができる。なお、前記アルコールとしては、低級アルコール、例えば炭素数1〜4のアルコールが好ましい。
【0075】
前記グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメトキシエチルグアナミン等が挙げられる。
【0076】
前記グリコールウリル化合物としては、テトラメチロールグリコールウリル、テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル等が挙げられる。
【0077】
前記ウレア化合物としては、テトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメトキシエチルウレア、テトラエトキシメチルウレア、テトラプロポキシメチルウレア等が挙げられる。
【0078】
前記ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物としては、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたメラミン縮合物、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールより変性された尿素縮合物等が挙げられる。
【0079】
前記変性メラミン縮合物としては、式(D1)で表される化合物又はこの多量体(例えば二量体、三量体等のオリゴマー体)と、ホルムアルデヒドとを所望の分子量になるまで付加縮合重合させて得られるものが挙げられる。なお、前記付加縮合重合方法としては、従来公知の方法を採用し得る。また、式(D1)で表される変性メラミンは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0080】
ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性された尿素縮合物としては、メトキシメチル化尿素縮合物、エトキシメチル化尿素縮合物、プロポキシメチル化尿素縮合物等が挙げられる。
【0081】
前記変性尿素縮合物は、例えば公知の方法に従って所望の分子量の尿素縮合物をホルムアルデヒドでメチロール化して変性させ、又はこれを更にアルコールでアルコキシ化して変性させることで得ることができる。
【0082】
前記1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチル基を有するフェノール化合物としては、(2−ヒドロキシ−5−メチル)−1,3−ベンゼンジメタノール、2,2',6,6'−テトラメトキシメチルビスフェノールA等が挙げられる。
【0083】
前記2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、トリフェノールアルカン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0084】
(D)成分を含む場合、その含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜50質量部が好ましく、1〜30質量部がより好ましい。0.5質量部以上であれば光照射時に十分な硬化性が得られ、50質量部以下であれば感光性樹脂組成物中の(A)成分の割合が低下しないため、硬化物に十分な効果を発現させることができる。(D)成分の架橋剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0085】
[(E)溶剤]
本発明の感光性樹脂組成物は、更に、(E)成分として溶剤を含んでもよい。前記溶剤としては、(A)〜(D)成分や、後述する各種添加剤が溶解可能な溶剤であれば特に限定されないが、これら成分の溶解性に優れていることから有機溶剤が好ましい。
【0086】
前記有機溶剤としては、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−2−n−ペンチルケトン等のケトン類;3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類等が挙げられる。特に、光酸発生剤の溶解性が最も優れている乳酸エチル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、PGMEA、γ−ブチロラクトン及びこれらの混合溶剤が好ましい。これらの有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0087】
(E)成分の使用量は、感光性樹脂組成物の相溶性及び粘度の観点から(A)〜(C)成分の合計100質量部に対し、50〜2,000質量部が好ましく、50〜1,000質量部がより好ましく、50〜100質量部が特に好ましい。
【0088】
[その他の添加剤]
本発明の感光性樹脂組成物は、前述した各成分以外に、その他の添加剤を含んでもよい。その他の添加剤としては、例えば、塗布性を向上させるために慣用されている界面活性剤が挙げられる。
【0089】
前記界面活性剤としては、非イオン性のものが好ましく、例えば、フッ素系界面活性剤、具体的にはパーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、フッ素化アルキルエステル、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、含フッ素オルガノシロキサン系化合物等が挙げられる。これらは、市販されているものを用いることができ、例えば、Fluorad(登録商標)「FC−430」(スリーエム社製)、サーフロン(登録商標)「S−141」及び「S−145」(AGCセイミケミカル(株)製)、ユニダイン(登録商標)「DS−401」、「DS−4031」及び「DS−451」(ダイキン工業(株)製)、メガファック(登録商標)「F−8151」(DIC(株)製)、「X−70−093」(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。これらの中でも、Fluorad「FC−430」及び「X−70−093」が好ましい。前記界面活性剤の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.05〜1質量部が好ましい。
【0090】
本発明の感光性樹脂組成物は、その他の添加剤として、シランカップリング剤を含んでもよい。シランカップリング剤を含むことにより、該組成物から得られる皮膜の被接着体への密着性を更に高めることができる。シランカップリング剤としては、エポキシ基含有シランカップリング剤、芳香族基含有アミノシランカップリング剤等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。前記シランカップリング剤の含有量は、特に限定されないが、含有する場合は、本発明の感光性樹脂組成物中、0.01〜5質量%が好ましい。
【0091】
本発明の感光性樹脂組成物の調製は、通常の方法で行われる。例えば、前記各成分を撹拌、混合し、その後必要に応じて固形分をフィルター等により濾過することにより、本発明の感光性樹脂組成物を調製することができる。
【0092】
このようにして調製された本発明の感光性樹脂組成物は、例えば、半導体素子の保護膜、配線の保護膜、カバーレイフィルム、ソルダーマスク、貫通電極用絶縁膜(TSV用)の材料、更には、三次元積層における積層基板間の接着剤として好適に用いられる。
【0093】
[感光性樹脂組成物を用いるパターン形成方法]
本発明の感光性樹脂組成物を用いるパターン形成方法は、
(i)本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、前記基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液にて現像し、非露光部を溶解除去してパターンを形成する工程
を含むものである。
【0094】
工程(i)は、前記感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、該基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程である。前記基板としては、例えばシリコンウエハ、貫通電極用シリコンウエハ、裏面研磨により薄膜化したシリコンウエハ、プラスチック又はセラミック基板、イオンスパッタリング法やめっき法等により基板全面又は基板の一部にNi、Au等の金属を有する基板等が挙げられる。凹凸を有する基板が使用されることもある。
【0095】
塗布方法としては、公知の方法でよく、ディップ法、スピンコート法、ロールコート法等が挙げられる。塗布量は、目的に応じて適宜選択することができるが、得られる感光性樹脂皮膜の膜厚が好ましくは0.1〜200μm、より好ましくは1〜150μmとなるように塗布することが好ましい。
【0096】
基板面における膜厚均一性を向上させる目的で、感光性樹脂組成物を塗布する前に溶剤を基板に滴下してもよい(プリウェット法)。滴下する溶剤は、目的に応じて適宜選択することができる。前記溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール(IPA)等のアルコール類、シクロヘキサノン等のケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール類等が好ましいが、感光性樹脂組成物に使用される溶剤を用いることも可能である。
【0097】
ここで、光硬化反応を効率的に行うため、必要に応じて予備加熱(プリベーク)により溶剤等を予め揮発させておいてもよい。プリベークは、例えば、40〜140℃で1分〜1時間程度行うことができる。
【0098】
次いで、(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する。このとき、露光は、波長10〜600nmの光で行うことが好ましく、190〜500nmの光で行うことがより好ましい。このような波長の光としては、例えば放射線発生装置により発生された種々の波長の光、例えば、g線、h線、i線等の紫外線光、遠紫外線光(248nm、193nm)等が挙げられる。これらのうち、波長248〜436nmの光が特に好ましい。露光量は、10〜10,000mJ/cm
2が好ましい。
【0099】
露光は、フォトマスクを介して行ってもよい。前記フォトマスクは、例えば所望のパターンをくり貫いたものであってもよい。なお、フォトマスクの材質は、特に限定されないが、前記波長の光を遮蔽するものが好ましく、例えば、遮光膜としてクロムを備えるものが好適に用いられるが、これに限定されない。
【0100】
更に、現像感度を高めるために、PEBを行ってもよい。PEBは、40〜150℃で0.5〜10分間とすることが好ましい。PEBによって、露光部分が架橋して現像液である有機溶剤に不溶な不溶化パターンが形成される。
【0101】
(iii)露光後又はPEB後、現像液にて現像し、非露光部を溶解除去してパターンを形成する。現像液としては、例えば、IPA等のアルコール類、シクロヘキサノン等のケトン類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール類等の有機溶剤が好ましいが、感光性樹脂組成物に使用される溶剤を用いることも可能である。現像方法としては、通常の方法、例えばパターン形成された基板を前記現像液に浸漬する方法等が挙げられる。その後、必要に応じて、洗浄、リンス、乾燥等を行い、所望のパターンを有する皮膜が得られる。
【0102】
更に、(iv)パターンを形成した皮膜を、オーブンやホットプレートを用いて、好ましくは100〜250℃、より好ましくは150〜220℃で後硬化してもよい。本発明の感光性樹脂組成物を用いれば、200℃前後の比較的低温の後硬化であっても、各種フィルム特性に優れた皮膜を得ることができる。なお、後硬化温度が100〜250℃であれば、感光性樹脂組成物の架橋密度を上げ、残存する揮発成分を除去でき、基板に対する密着力、耐熱性や強度、電気特性、更に接合強度の観点から好ましい。後硬化時間は10分間〜10時間、特に10分間〜3時間とすることができる。後硬化後の皮膜(硬化皮膜)の膜厚は、通常1〜200μm、好ましくは5〜50μmである。
【0103】
パターンを形成する必要のない場合、例えば単なる均一な皮膜を形成したい場合は、前記のパターン形成方法における(ii)において、前記フォトマスクを介さずに適切な波長の光で露光する工程を採用することで、皮膜形成を行えばよい。
【0104】
[基板の接合方法]
本発明の感光性樹脂組成物は、2つの基板を接合するための接着剤としても使用できる。基板の接合方法としては、熱及び圧力の好適な条件下で、2つの基板間に接着性結合が形成されるように、本発明の組成物で皮膜を形成した基板を第2の基板と接合させる方法が挙げられる。皮膜を形成した基板及び第2の基板のいずれか一方又は両方が、ダイシング加工などによりチップ化されることもある。接合条件として、加熱温度は50〜200℃、1〜60分間とすることが好ましい。接合装置として、ウエハボンダ装置を使用し、荷重を加えながら減圧下でのウエハ同士の貼り付け、あるいはフリップチップボンダ装置を用いたチップ−ウエハ又はチップ−チップ接合を行うこともできる。基板間に形成された接着層は、後述する後硬化処理により結合力が高まり、永久接合となる。
【0105】
貼り付け(接合)を行った基板を前述した工程(iv)と同じ条件で後硬化処理することで前記皮膜の架橋密度が増し、基板接着力を高めることができる。なお、接合時の加熱によって架橋反応が起こるが、前記架橋反応においては脱ガスを伴う副反応が生じないため、特に基板接着剤として使用した場合において、貼り合わせ欠陥(ボイド)を誘起しない。
【0106】
[感光性ドライフィルム]
本発明の感光性ドライフィルムは、支持フィルムと、該支持フィルム上に感光性樹脂組成物から得られる感光性樹脂皮膜とを備えるものである。
【0107】
前記感光性ドライフィルム(支持フィルム及び感光性樹脂皮膜)は固体であり、感光性樹脂皮膜が溶剤を含まないため、その揮発による気泡が前記感光性樹脂皮膜の内部及び凹凸のある基板との間に残留するおそれがない。前記感光性樹脂皮膜の膜厚は、その平坦性、段差被覆性、及び基板積層間隔の観点から、5〜200μmが好ましく、10〜100μmがより好ましい。
【0108】
また、前記感光性樹脂皮膜の粘度と流動性とは密接に関係しており、前記感光性樹脂皮膜は、適切な粘度範囲において適切な流動性を発揮でき、狭い隙間の奥まで入っていったり、樹脂が軟化することにより基板との接着性を強くしたりすることができる。したがって、前記感光性樹脂皮膜の粘度は、前記感光性樹脂皮膜の流動性の観点から、80〜120℃において、好ましくは10〜5,000Pa・s、より好ましくは30〜2,000Pa・s、更に好ましくは50〜300Pa・sである。なお、本発明において粘度は、回転粘度計による測定値である。
【0109】
本発明の感光性ドライフィルムは、凹凸のある基板に密着させる際に、感光性樹脂皮膜が前記凹凸に追随して被覆され、高い平坦性を達成できる。特に、本発明の感光性樹脂組成物は、低い粘弾性が特徴であるため、より高い平坦性を達成できる。更に、前記感光性樹脂皮膜を真空環境下で前記基板に密着させると、それらの隙間の発生をより効果的に防止できる。
【0110】
本発明の感光性ドライフィルムは、前記感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、乾燥させて感光性樹脂皮膜を形成することによって製造することができる。前記感光性ドライフィルムの製造装置としては、一般的に粘着剤製品を製造するためのフィルムコーターが使用できる。前記フィルムコーターとしては、例えば、コンマコーター、コンマリバースコーター、マルチコーター、ダイコーター、リップコーター、リップリバースコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、3本ボトムリバースコーター、4本ボトムリバースコーター等が挙げられる。
【0111】
支持フィルムを前記フィルムコーターの巻出軸から巻き出し、前記フィルムコーターのコーターヘッドを通過させるとき、前記支持フィルム上に前記感光性樹脂組成物を所定の厚みで塗布した後、所定の温度及び時間で熱風循環オーブンを通過させ、前記支持フィルム上で乾燥させて感光性樹脂皮膜とすることで、感光性ドライフィルムを製造することができる。また、必要に応じて、感光性ドライフィルムを前記フィルムコーターの別の巻出軸から巻き出された保護フィルムとともに、所定の圧力でラミネートロールを通過させて前記支持フィルム上の前記感光性樹脂皮膜と保護フィルムとを貼り合わせた後、前記フィルムコーターの巻取軸に巻き取ることによって、保護フィルム付き感光性ドライフィルムを製造することができる。この場合、前記温度としては25〜150℃が好ましく、前記時間としては1〜100分間が好ましく、前記圧力としては0.01〜5MPaが好ましい。
【0112】
本発明の感光性ドライフィルムにおいて使用される支持フィルムは、単一のフィルムからなる単層フィルムであっても、複数のフィルムを積層した多層フィルムであってもよい。前記フィルムの材質としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルムが挙げられる。これらのうち、適度の可とう性、機械的強度及び耐熱性を有するポリエチレンテレフタレートが好ましい。これらのフィルムは、コロナ処理や剥離剤塗布等の各種処理が行われたものでもよい。これらは市販品を使用することができ、例えばセラピールWZ(RX)、セラピールBX8(R)(以上、東レフィルム加工(株)製)、E7302、E7304(以上、東洋紡(株)製)、ピューレックスG31、ピューレックスG71T1(以上、帝人デュポンフィルム(株)製)、PET38×1-A3、PET38×1-V8、PET38×1-X08(以上、ニッパ(株)製)等が挙げられる。
【0113】
前記保護フィルムとしては、前述した支持フィルムと同様のものを用いることができるが、適度の可とう性を有するポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンが好ましい。これらは市販品を使用することができ、ポリエチレンテレフタレートとしてはすでに例示したもの、ポリエチレンとしては、例えばGF-8(タマポリ(株)製)、PEフィルム0タイプ(ニッパ(株)製)等が挙げられる。
【0114】
前記支持フィルム及び保護フィルムの厚みは、感光性ドライフィルム製造の安定性、及び巻き芯に対する巻き癖、所謂カール防止の観点から、いずれも好ましくは10〜100μm、より好ましくは25〜50μmである。
【0115】
[感光性ドライフィルムを用いるパターン形成方法]
本発明の感光性ドライフィルムを用いるパターン形成方法は、
(i')前記感光性ドライフィルムを用いて、前記基板上に感光性樹脂皮膜を形成する工程、
(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、及び
(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液にて現像し、非露光部を溶解除去してパターンを形成する工程
を含むものである。
【0116】
まず、(i')感光性ドライフィルムを用いて、基板上に感光性樹脂皮膜を形成する。つまり、感光性ドライフィルムの感光性樹脂皮膜を基板に貼り付けることで基板上に感光性樹脂皮膜を形成する。また、前記感光性ドライフィルムが保護フィルムを有している場合には、感光性ドライフィルムから保護フィルムを剥がした後、感光性ドライフィルムの感光性樹脂皮膜を基板に貼り付ける。貼り付けは、例えばフィルム貼り付け装置を用いて行うことができる。
【0117】
前記基板としては、感光性樹脂組成物を用いるパターン形成方法において説明したものと同様のものが挙げられる。前記フィルム貼り付け装置としては、真空ラミネーターが好ましい。例えば、前記感光性ドライフィルムの保護フィルムを剥離し、露出した前記感光性樹脂皮膜を所定真空度の真空チャンバー内において、所定の圧力の貼り付けロールを用いて、所定の温度のテーブル上で前記基板に密着させる。なお、前記温度としては60〜120℃が好ましく、前記圧力としては0〜5.0MPaが好ましく、前記真空度としては50〜500Paが好ましい。
【0118】
必要な厚さの感光性樹脂皮膜を得るために、必要に応じてフィルムを複数回貼り付けてもよい。貼り付け回数は例えば1〜10回程度で、10〜1,000μm、特に100〜500μm厚程度の感光性樹脂皮膜を得ることができる。
【0119】
前記感光性樹脂皮膜の光硬化反応を効率的に行うため、及び感光性樹脂皮膜と基板との密着性を向上させるため、必要に応じてプリベークを行ってもよい。プリベークは、例えば、40〜140℃で1分間〜1時間程度行うことができる。
【0120】
基板に貼り付けた感光性樹脂皮膜は、前記感光性樹脂組成物を用いるパターン形成方法の場合と同様に、(ii)前記感光性樹脂皮膜を露光する工程、(iii)前記露光した感光性樹脂皮膜を現像液にて現像し、非露光部を溶解除去してパターンを形成する工程、及び必要に応じて(iv)後硬化加熱処理をすることでパターンを形成することができる。なお、感光性ドライフィルムの支持フィルムは、プロセスに応じてプリベーク前又はPEB前に剥がすか、他の方法で除去する。
【0121】
前記感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムから得られる皮膜は、耐熱性、可とう性、電気絶縁性、機械的特性及び基板等との密着性に優れ、半導体素子等の電気・電子部品保護用皮膜や基板接合用皮膜として好適に用いられる。
【実施例】
【0122】
以下、合成例、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、Mwは、カラムとしてTSKgel Super HZM-H(東ソー(株)製)を用い、流量0.6mL/分、溶出溶剤テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするGPCにより測定した。
【0123】
合成例において使用した化合物を、以下に示す。
【化17】
【0124】
【化18】
【0125】
[1]シリコーン樹脂の合成
[合成例1]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、式(S−1)で表される化合物78.4g(0.20モル)及び式(S−6)で表される化合物129.0g(0.3モル)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃に加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、式(S−4)で表される化合物67.9g(0.35モル)及び式(S−5)で表される化合物(y=40、信越化学工業(株)製)453.0g(0.15モル)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃まで加熱し6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂1を得た。樹脂1は、
1H−NMR(Bluker製)により、繰り返し単位a1、a2、b1及びb2で表される繰り返し単位を含むものであることを確認した。樹脂1のMwは62,000、シリコーン含有率は62.2質量%であった。
【0126】
[合成例2]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、式(S−2)で表される化合物39.75g(0.15モル)、式(S−1)で表される化合物117.6g(0.30モル)及び式(S−6)で表される化合物21.5g(0.05モル)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃に加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、式(S−4)で表される化合物48.5g(0.25モル)及び式(S−5)で表される化合物(y=40、信越化学工業(株)製)755.0g(0.25モル)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃まで加熱し6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂2を得た。樹脂2は、
1H−NMR(Bluker製)により、繰り返し単位a1、a3、a4、b1、b3及びb4を含むものであることを確認した。樹脂2のMwは83,000、シリコーン含有率は76.9質量%であった。
【0127】
[合成例3]
撹拌機、温度計、窒素置換装置及び還流冷却器を具備した3Lフラスコに、式(S−3)で表される化合物27.9g(0.15モル)、式(S−1)で表される化合物19.6g(0.05モル)及び式(S−6)で表される化合物129.0g(0.30モル)を加えた後、トルエン2,000gを加え、70℃に加熱した。その後、塩化白金酸トルエン溶液(白金濃度0.5質量%)1.0gを投入し、式(S−4)で表される化合物87.3g(0.45モル)及び式(S−5)で表される化合物(y=20、信越化学工業(株)製)79.3g(0.05モル)を1時間かけて滴下した(ヒドロシリル基の合計/アルケニル基の合計=1/1(モル比))。滴下終了後、100℃まで加熱し6時間熟成した後、反応溶液からトルエンを減圧留去し、樹脂3を得た。樹脂3は、
1H−NMR(Bluker製)により、繰り返し単位a1、a2、a4、b1、b2及びb4を含むものであることを確認した。樹脂3のMwは24,000、シリコーン含有率は31.2質量%であった。
【0128】
[2]感光性樹脂組成物の調製
[実施例1〜12及び比較例1〜21]
表1〜3に記載の配合量に従って各成分を配合し、その後常温にて撹拌、混合、溶解した後、テフロン(登録商標)製1.0μmフィルターで精密濾過を行い、実施例1〜12及び比較例1〜21の感光性樹脂組成物を調製した。
【0129】
【表1】
【0130】
【表2】
【0131】
【表3】
【0132】
表1〜3中、光酸発生剤PAG−1は、以下のとおりである。
【化19】
【0133】
表1〜3中、架橋剤CL−1及びCL−2は、以下のとおりである。
【化20】
【0134】
表1〜3中、硬化促進剤C−1〜C−12は、以下のとおりである。
【化21】
【0135】
【化22】
【0136】
[3]感光性ドライフィルムの作製
フィルムコーターとしてダイコーター、支持フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)を用いて、表1〜3に記載した感光性樹脂組成物をそれぞれ前記支持フィルム上に塗布した。次いで、100℃に設定された熱風循環オーブン(長さ4m)を5分間で通過させることにより乾燥し、支持フィルム上に感光性樹脂皮膜を形成し、感光性ドライフィルムを得た。前記感光性樹脂皮膜の上から、保護フィルムとしてのポリエチレンフィルム(厚さ50μm)をラミネートロールで圧力1MPaにて貼り合わせ、保護フィルム付き感光性ドライフィルムを作製した。各感光性樹脂皮膜の膜厚は表4〜6に記載した。なお、感光性樹脂皮膜の膜厚は光干渉式厚膜測定機により測定した。
【0137】
[4]感光性樹脂皮膜の評価
(1)パターン形成及びその評価
前記保護フィルム付き感光性ドライフィルムは、保護フィルムを剥離し、真空ラミネーターTEAM-100RF((株)タカトリ製)を用いて、真空チャンバー内を真空度80Paに設定し、支持フィルム上の感光性樹脂層をマイグレーション試験用基板(導電材料が銅、導電部間隔及び導電部幅が20μm、導電部厚み4μmの櫛形電極基板)に密着させた。温度条件は110℃とした。常圧に戻した後、前記基板を真空ラミネーターから取り出し、支持フィルムを剥離した。次に、基板との密着性を高めるため、ホットプレートにより130℃で5分間プリベークを行った。感光性樹脂皮膜に対し、ラインアンドスペースパターン及びコンタクトホールパターンを形成するためにマスクを介して405nmの露光条件でコンタクトアライナ型露光装置を使用して露光した。光照射後、ホットプレートにより120℃で5分間PEBを行った後冷却し、前記基板をPGMEAで300秒間スプレー現像を行い、パターンを形成した。なお、ドライフィルム製造後から1日後にパターン形成を行った。
【0138】
前記方法によりパターンを形成した基板上の感光性樹脂皮膜を、オーブンを用いて150℃で4時間窒素パージしながら後硬化した。その後、走査型電子顕微鏡(SEM)により、形成した100μm、80μm、60μm、40μm、20μmのコンタクトホールパターン断面を観察し、フィルム底部までホールが貫通している最小のホールパターンの直径を限界解像性とした。また、得られたホールパターン300個に基板からの剥離が1か所でもあるものを「剥離あり」とした。結果を表4〜6に示す。
【0139】
また、前記感光性ドライフィルムを室温(25℃)、遮光条件下で60日間保管した後に、前記方法により同様のパターンを形成した。パターンを形成した基板上の感光性樹脂皮膜を、オーブンを用いて150℃で4時間窒素パージしながら後硬化した。その後、SEMにより、形成した100μm、80μm、60μm、40μm、20μmのコンタクトホールパターン断面を観察し、フィルム底部までホールが貫通している最小のマスクホールパターンを限界解像性とした。なお、開口不良は×と表記した。結果を表4〜6に示す。
【0140】
(2)電気特性(銅マイグレーション)の評価
前記方法で作製した銅マイグレーション用の基板を用いて試験を行った。銅マイグレーション試験の条件は、温度85℃、湿度85%、印加電圧10Vにて行い、1,000時間を上限に短絡を起こした時間を確認した。結果を表4〜6に示す。
【0141】
(3)電気特性(絶縁破壊強さ)の評価
感光性樹脂皮膜の絶縁破壊強さを評価するため、実施例1〜12及び比較例1〜21の各感光性樹脂組成物を13cm×15cm、厚さ0.7mmの鉄板上にバーコーターにて塗布し、150℃のオーブンで4時間加熱して、感光性樹脂皮膜を得た。各感光性樹脂組成物は、皮膜の膜厚が0.2μmとなるよう塗布した。この感光性樹脂皮膜を利用して、絶縁破壊試験機TM-5031AM(多摩電測(株)製)を用いて、各感光性樹脂皮膜の絶縁破壊強さを測定した。絶縁保護膜としての理想的な値は500V/μm以上である。結果を表4〜6に示す。
【0142】
(4)耐溶剤性の評価
半導体素子等を形成する場合に多用されるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に対する耐溶剤性を評価するため、実施例1〜12及び比較例1〜21の各感光性樹脂組成物につき、(1)の銅マイグレーション試験用のウエハ作製と同様の方法で、15mm×15mmのパターンをシリコンウエハ上に形成した。このウエハをNMP中に室温で1時間浸漬したのち、膜厚変化、外観を調査し、耐溶剤性を評価した。外観・膜厚に変化がなかったものを〇、膨潤等が確認されたものを×とした。結果を表4〜6に示す。
【0143】
(5)接着性の評価
前記感光性樹脂皮膜について、基板間接着結合性能を評価するため、実施例1〜12及び比較例1〜21の感光性樹脂組成物を用いて作製した感光性ドライフィルムを、それぞれ無処理の8インチシリコンウエハに真空ラミネーターを用いて貼り付けを行った。膜厚は表4〜6に記載の膜厚であった。プリベークを行い、前記ウエハ上に感光性樹脂皮膜を形成した。次いで、石英マスクを介さずに、コンタクトアライナ型露光装置MA-8(ズース・マイクロテック社製)を用いて露光を行った。露光後、ホットプレートで130℃、5分間のPEBを行ったシリコンウエハを、無処理の8インチ石英ガラス又はテンパックスガラスと貼り合わせ、ホットプレートで160℃、5分間の仮接合加熱を行った。その後オーブンにて150℃、4時間の後硬化を行い、基板間接着層を形成した。接合後のウエハを再度窒素パージしながらオーブンにより220℃で3時間加熱し、誘起された貼り合わせ欠陥の有無を確認した。結果を表4〜6に示す。
【0144】
【表4】
【0145】
【表5】
【0146】
【表6】
【0147】
以上の結果、本発明の感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムは、保存安定性が良好であり、厚膜で微細なパターン形成を容易に行うことができ、感光性材料として十分な特性を示した。また、これらから得られる感光性樹脂皮膜は、フォトレジスト剥離液等への薬品耐性が高く、また、密着性、電気絶縁性、銅マイグレーション耐性に優れ、その絶縁保護膜としての信頼性が高く、回路基板、半導体素子、表示素子等の各種電気・電子部品保護用皮膜の形成材料に好適に用いることができた。本発明によれば、より信頼性の高い感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムの提供が可能となる。