(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、従来の透光性セラミックス焼結体のうち、加圧焼結体は気泡率が極めて低く、透過率に優れる反面、製造コストが増加するために高価であると共に、反射率が増加しやすいという難点を有している。一方、安価な常圧焼結体は気泡を含む状態である程度まで透過率を高くすることができても、透光性部材を介した視認性を高めることが難しいという問題を有している。ここで、透光性セラミックス焼結体の透過率、視認性(明瞭性)、反射率等には焼結体中の気泡が影響していると考えられる。
【0006】
定性的には、気泡が存在するほど光の散乱が強く起こるため、透過率や視認性は悪化すると考えられる。一方で、気泡が存在すると、表面の平滑性が小さくなるために反射率を抑えることができると考えられる。このように、透過率および視認性(明瞭性)と反射率とは、気泡の存在により相反する影響を受けるため、透明材料を作製する上では気泡の存在状態を目的に応じて制御することが重要となる。しかし、気泡の存在状態をどのように制御すれば透明で視認性の良い材料が得られるか明らかとなっていない。そこで、常圧焼結法により製造コストを低減することが可能であると共に、気泡を含有しながらも透明で視認性が良いセラミックス焼結体が求められている。
【0007】
本発明は、安価な常圧焼結法で作製することができ、その上で透明で視認性の良い透光性セラミックス焼結体とその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下に示す[1]〜[16]の構成を有する透光性セラミックス焼結体、および[17]〜[25]の構成を有する透光性セラミックス焼結体の製造方法を提供するものである。
【0009】
[1] 孔径が1μm以上5μm未満の気泡を10個/mm
3以上4000個/mm
3以下の範囲で含み、かつ閉気孔率が0.01体積%以上1.05体積%以下であり、
厚さが1.90mmの試験片の波長500〜900nmの可視スペクトルにおける平均透過率が70%以上であると共に、厚さが1.90mmの試験片の0.5mmのくし幅における鮮明度が60%以上である、透光性セラミックス焼結体。
[2] 孔径が1μm以上5μm未満の気泡を10個/mm
3以上4000個/mm
3以下の範囲で含み、かつ閉気孔率が0.01体積%以上1.05体積%以下であり、
厚さが0.80mmの試験片の波長500〜900nmの可視スペクトルにおける平均透過率が74%以上であると共に、厚さが0.80mmの試験片の0.5mmのくし幅における鮮明度が75%以上である、透光性セラミックス焼結体。
[3] 孔径が1μm以上5μm未満の気泡を10個/mm
3以上4000個/mm
3以下の範囲で含み、かつ閉気孔率が0.01体積%以上1.05体積%以下であり、
厚さが0.40mmの試験片の波長500〜900nmの可視スペクトルにおける平均透過率が78%以上であると共に、厚さが0.40mmの試験片の0.5mmのくし幅における鮮明度が80%以上である、透光性セラミックス焼結体。
[4] 波長500〜900nmの可視スペクトルにおけるヘイズが7%以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載の透光性セラミックス焼結体。
[5] 波長500〜900nmの可視スペクトルにおける反射率が14.5%以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載の透光性セラミックス焼結体。
[6] 厚さ200μmの範囲に存在する気泡を、投影し重ね合せて観察した際に、孔径が200nm以上1μm未満の気泡が6000個/mm
2以上に密集した直径20μm以上の気泡の集合体の数が40個/mm
3未満である、[1]〜[5]のいずれかに記載の透光性セラミックス焼結体。
[7] 前記透光性セラミックス焼結体の主配合成分は、モル百分率で66%以上のAl
2O
3を含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の透光性セラミックス焼結体。
[8] 前記透光性セラミックス焼結体の主配合成分は、さらに、モル百分率で22%以上34%以下のAlNを含有する、[7]に記載の透光性セラミックス焼結体。
[9] 酸化物基準の質量百分率で、0.02%以上0.21%以下のY
2O
3を含有する、[7]または[8]に記載の透光性セラミックス焼結体。
[10] 酸化物基準の質量百分率で、0.002%以上0.19%以下のLi
2Oを含有する、[7]〜[9]のいずれかに記載の透光性セラミックス焼結体。
[11] 酸化物基準の質量百分率で、0.004%以上0.23%以下のMgOを含有する、[7]〜[10]のいずれかに記載の透光性セラミックス焼結体。
[12] 酸化物基準の質量百分率で、0.002%以上0.30%以下のCaOを含有する、[7]〜[11]のいずれかに記載の透光性セラミックス焼結体。
[13] 酸化物基準の質量百分率で、Na
2O、SiO
2、SnO
2、およびLa
2O
3からなる群より選ばれる少なくとも1つを0.002%以上0.15%以下の範囲で含有する、[7]〜[12]のいずれかに記載の透光性セラミックス焼結体。
[14] 炭素の含有量が15質量ppm以上250質量ppm以下である、[7]〜[13]のいずれかに記載の透光性セラミックス焼結体。
[15] 前記透光性セラミックス焼結体を構成する結晶粒の平均結晶粒径が60μm以上250μm以下である、[1]〜[14]のいずれかに記載の透光性セラミックス焼結体。
[16] 前記透光性セラミックス焼結体の結晶構造が立方晶である、[1]〜[15]のいずれかに記載の透光性セラミックス焼結体。
【0010】
[17] [1]〜[6]のいずれかに記載の透光性セラミックス焼結体を製造する方法であって、
セラミックス焼結体の主配合成分粉末と焼結添加剤粉末と気泡源となるカーボン源とを混合および粉砕して原料粉末を調製する工程と、
前記原料粉末を加圧成形して成形体を得る工程と、
前記成形体を相対密度が96%以上となるように、かつ必須成分として、孔径が1μm以上5μm未満の気泡を10個/mm
3以上4000個/mm
3以下と、0.01体積%以上1.05体積%以下の閉気孔を含むように、一次焼結して一次焼結体を得る工程と、
前記一次焼結体を相対密度が98.95%以上となるように、常圧雰囲気中にて二次焼結し、前記透光性セラミックス焼結体として二次焼結体を得る工程と
を具備する透光性セラミックス焼結体の製造方法。
[18] 前記一次焼結体を得る工程を常圧以下の雰囲気中で行う、[17]に記載の透光性セラミックス焼結体の製造方法。
[19] 前記主配合成分粉末は、モル百分率で66%以上のAl
2O
3を含有する、[17]または[18]に記載の透光性セラミックス焼結体の製造方法。
[20] 前記主配合成分粉末は、さらに、モル百分率で22%以上34%以下のAlNを含有する、[19]に記載の透光性セラミックス焼結体の製造方法。
[21] 前記原料粉末は、前記焼結添加剤粉末として、酸化物基準の質量百分率で、前記Al
2O
3量または前記Al
2O
3とAlNとの合計量に対し、0.02%以上0.16%以下のY
2O
3または前記Y
2O
3量に相当するY化合物、0.02%以上0.20%以下のLi
2Oまたは前記Li
2O量に相当するLi化合物、0.02%以上0.20%以下のMgOまたは前記MgO量に相当するMg化合物、および0.01%以上0.10%以下のCaOまたは前記CaO量に相当するCa化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する、[19]または[20]に記載の透光性セラミックス焼結体の製造方法。
[22] 前記原料粉末は、前記焼結添加剤粉末として、酸化物基準の質量百分率で、前記Al
2O
3量または前記Al
2O
3とAlNとの合計量に対し、さらにNa
2O、SiO
2、SnO
2、およびLa
2O
3からなる群より選ばれる少なくとも1つを0.002%以上0.15%以下の範囲で含有する、[21]に記載の透光性セラミックス焼結体の製造方法。
[23] 前記原料粉末は、炭素量として20質量ppm以上250質量ppm以下の前記カーボン源を含有する、[17]〜[22]のいずれかに記載の透光性セラミックス焼結体の製造方法。
[24] 前記原料粉末の平均粒子径が1.0μm以下となるように、前記主配合成分粉末、前記焼結添加剤粉末、および前記カーボン源とを混合および粉砕する、[17]〜[23]のいずれかに記載の透光性セラミックス焼結体の製造方法。
[25] 前記成形体を1550℃以上1740℃以下の温度で一次焼結し、前記一次焼結体を1860℃以上2040℃以下の温度で二次焼結する、[19]〜[24]のいずれかに記載の透光性セラミックス焼結体の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の透光性セラミックス焼結体は、安価な常圧焼結法で作製することができ、その上で透明性および視認性を高めることができる。また、本発明の製造方法によれば、そのような透光性セラミックス焼結体を安価に提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、「〜」を用いて示される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
【0013】
本発明の実施形態の透光性セラミックス焼結体は、孔径が1μm以上5μm未満の気泡を10〜4000個/mm
3の範囲で含み、かつ閉気孔率が0.01体積%以上1.05体積%以下である。そのような気泡を10〜4000個/mm
3の範囲で含む透光性セラミックス焼結体は、常圧焼結法で作製することができるだけでなく、焼結体の透光性等を高めることができる。すなわち、孔径が1μm以上5μm未満の気泡は焼結体の透過率に及ぼす影響が大きい。そのような気泡の数が4000個/mm
3以下であれば、セラミックス焼結体の透過率やヘイズ(白濁)等の光の透過特性を高めることができる。孔径が1μm以上5μm未満の気泡の量は3000個/mm
3以下が好ましく、2000個/mm
3以下がより好ましく、1000個/mm
3以下がさらに好ましい。孔径が1μm以上5μm未満の気泡を10個/mm
3以上含むセラミックス焼結体は、常圧焼結法で作製することができるだけでなく、反射率を低下させることができると共に、熱伝導率や密度等を低下させることができる。孔径が1μm以上5μm未満の気泡の量は30個/mm
3以上が好ましく、100個/mm
3以上がより好ましく、200個/mm
3以上がさらに好ましく、250個/mm
3以上が特に好ましい。
【0014】
孔径が5μm以上の気泡は、透過率やヘイズに影響を及ぼし、そのような気泡の数は70個/mm
3以下とすることが好ましく、それにより透過率やヘイズ等の光の透過特性を高めることができる。孔径が5μm以上の気泡の数は40個/mm
3以下が好ましく、20個/mm
3以下がより好ましく、10個/mm
3以下がさらに好ましく、5個/mm
3以下が特に好ましい。また、閉気孔率の体積比率に関しては、反射率、密度、熱伝導率、耐熱衝撃性等に影響する。閉気孔率が0.01〜1.05体積%の範囲であれば、反射率に加えて密度や熱伝導率を低下させ、耐熱衝撃性を向上させることができる。
【0015】
上述した気泡を有する実施形態の透光性セラミックス焼結体において、厚さが1.90mmの試験片の可視スペクトル(波長500〜900nm)における平均透過率が70%以上であると共に、厚さが1.90mmの試験片の0.5mmのくし幅における鮮明度が60%以上であることが好ましい。平均透過率が70%以上であれば、透明材料としての機能を満たすことができる。その上で、鮮明度を60%以上とすることによって、透光性セラミックス焼結体を介した像の視認性を高めることができる。すなわち、平均透過率が70%以上で、かつ鮮明度が60%以上であれば、孔径が1μm以上5μm未満の気泡を10〜4000個/mm
3の範囲で含むセラミックス焼結体において、当該部材を通して物体等を明瞭に視認もしくは確認することを可能にする透明部材としての機能を発揮させることができる。言い換えると、70%以上の平均透過率に加えて、鮮明度を60%以上とすることによって、透明部材としての実用性を備える透光性セラミックス焼結体を提供することが可能になる。
【0016】
70%以上の平均透過率は、例えば孔径が1μm以上5μm未満の気泡を4000個/mm
3以下とすることにより実現することができる。ここで、透過率とは試験片に入射した入射光に対し、試験片を透過した透過光の百分率のことであり、入射角に対し直線的に透過する透過光の百分率を特に直線透過率と呼ぶ。本願明細書で規定する平均透過率は、直線透過率を指すものである。この直線透過率が大きいほど多くの光が透過するため、試験片を通して反対側に存在する物体が明るく見える。直線透過率に影響を与える因子としては、材料表面での反射、気泡や粒界による散乱、不純物やイオンによる吸収等が挙げられる。透過率は人の目視による視認性の観点から高いほど好ましい。人の目視による視認性の観点からは、可視光域における透過率は70%以上が好ましく、74%以上がより好ましく、78%以上がさらに好ましく、80%以上が特に好ましい。
【0017】
0.5mmのくし幅における60%以上の鮮明度は、例えば、後述する孔径が200nm以上1μm未満の気泡が6000個/mm
2以上に密集した直径20μm以上の気泡の集合体の数を40個/mm
3未満とすることにより実現することができる。以下では、孔径が200nm以上1μm未満の気泡を微小気泡と呼び、そのような気泡の集合体を微小気泡の集合体と記す。ここで、鮮明度とは試験片を通して反対側に見える物体像の鮮明度(写像性)を数値化した値であり、この鮮明度が大きいと、試験片の反対側に存在する物体がぼやけずに明確に見える。試験片の反対側に存在する物体が試験片とは接触せずに離れている場合には、物体がぼやけて見えやすくなるため、人の目視による視認性の観点からは非常に重要な指標となる。特に、人が目視することを目的とした、少なくとも200mm
2以上の表面積を有する物品においては、視認性を高めるための重要な指標となる。透光性セラミックス焼結体を透明部材として使用する場合、鮮明度が60%以上であれば透光性セラミックス焼結体の反対側に存在する物体をぼやけずに明確に確認することができる。鮮明度は65%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましく、73%以上が特に好ましい。
【0018】
実施形態の透光性セラミックス焼結体においては、厚さが1.90mmの試験片の可視スペクトルにおける平均透過率が70%以上であると共に、厚さが1.90mmの試験片の0.5mmのくし幅における鮮明度が60%以上であることが好ましい。
また、厚さが0.80mmの試験片の可視スペクトルにおける平均透過率が74%以上であると共に、厚さが0.80mmの試験片の0.5mmのくし幅における鮮明度が75%以上であることが好ましい。
また、厚さが0.40mmの試験片の可視スペクトルにおける平均透過率が78%以上であると共に、厚さが0.40mmの試験片の0.5mmのくし幅における鮮明度が80%以上であることが好ましい。
上述した各試験片(1.90mmの試験片、0.80mmの試験片、または0.40mmの試験片)の平均透過率および鮮明度は、少なくとも1つの厚さの試験片でその値を満足すれば透光性セラミックス焼結体に透明部材としての機能を付与することができる。また、各試験片の平均透過率および鮮明度が2つの厚さの試験片の値、さらには全ての厚さの試験片の値を満足させることによって、透光性セラミックス焼結体の透明部材としての機能をさらに高めることができる。
【0019】
厚さが1.90mmの試験片の可視スペクトルにおける平均透過率は74%以上がより好ましく、78%以上がさらに好ましく、80%以上が特に好ましい。厚さが1.90mmの試験片の0.5mmのくし幅における鮮明度は65%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましく、73%以上が特に好ましい。厚さが0.80mmの試験片の可視スペクトルにおける平均透過率は78%以上がより好ましく、80%以上がさらに好ましく、82%以上が特に好ましい。厚さが0.80mmの試験片の0.5mmのくし幅における鮮明度は79%以上がより好ましく、83%以上がさらに好ましく、87%以上が特に好ましい。厚さが0.40mmの試験片の可視スペクトルにおける平均透過率は80%以上がより好ましく、82%以上がさらに好ましく、84%以上が特に好ましい。厚さが0.40mmの試験片の0.5mmのくし幅における鮮明度は84%以上がより好ましく、88%以上がさらに好ましく、92%以上が特に好ましい。
【0020】
さらに、実施形態の透光性セラミックス焼結体において、厚さが1.90mmの試験片に可視スペクトルの光を透過させた場合の直線透過光に対する、直線透過光に対して1度の角度で拡散する拡散光の割合が0.80%以上2.50%未満であることが好ましく、同様に直線透過光に対して2度の角度で拡散する拡散光の割合が0.10%以上0.25%未満であることが好ましく、直線透過光に対して3度の角度で拡散する拡散光の割合が0.02%以上0.10%未満であることが好ましい。これらの直線透過光に対する拡散光の割合は、透光性セラミックス焼結体の鮮明度に影響を及ぼすと考えられる。上記した直線透過光に対する拡散光の割合を満足させることによって、透光性セラミックス焼結体の鮮明度を向上させることができる。
【0021】
実施形態の透光性セラミックス焼結体において、厚さが1.90mmの試験片の波長500〜900nmの可視スペクトルにおけるヘイズは7%以下であることが好ましい。ここで、ヘイズとは試験片を透過した全光線透過率に対する拡散透過率の百分率である。このヘイズの値が大きいと試験片が白濁して見える。ヘイズに影響を与える因子としては、気泡や粒界による散乱が挙げられる。いずれの試験片においても、ヘイズは小さいほど好ましいが、人の目視による視認性の観点からは0.7%未満まで過剰に小さくする必要性は低い。人の目視による視認性の観点からは、可視スペクトルにおけるヘイズは7%以下が好ましく、6%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましく、4.5%以下が特に好ましい。特に、厚さが0.80mmの試験片の可視スペクトルにおけるヘイズは6%以下が好ましく、厚さが0.40mm以下の可視スペクトルにおける試験片のヘイズは4.5%以下が好ましい。実施形態の透光性セラミックス焼結体は、気泡の大きさや量等を制御することで、上記したヘイズを満足させることができる。
【0022】
実施形態の透光性セラミックス焼結体において、反射率(波長500〜900nmの可視スペクトルにおける平均反射率)は14.5%以下であることが好ましい。ここで、反射率とは試験片に入射した入射光に対し、試験片を透過せずに反射した光の百分率のことである。反射率が大きいと、試験片で光が反射するために視認性が低下する。反射率に影響を与える因子としては、屈折率、表面の平滑性等が挙げられ、屈折率が大きく、表面が平滑であるほど大きくなる。反射率は人の目視による視認性の観点から低い方が好ましい。人の目視による視認性の観点から、可視スペクトルにおける反射率は14.5%以下が好ましく、14.2%以下がより好ましく、13.8%以下がさらに好ましく、13.5%以下が特に好ましい。実施形態の透光性セラミックス焼結体は、気泡の大きさや量等を制御することで、上記した反射率を満足させることができる。
【0023】
本願明細書で規定する平均透過率(直線透過率)、鮮明度、ヘイズ、および反射率(平均反射率)は、以下のようにして測定した値を示すものとする。直線透過率および反射率は、日本分光社製の角度依存分光計「ARM−500N」を用いて測定する。直線透過率は入射角0°、反射率は入射角5°とし、200nm〜2000nmの波長域で測定し、500〜900nmの波長の透過率および反射率の平均値から平均透過率および平均反射率を求めるものとする。鮮明度は、試験片の透過光の光線軸に直交する光学くし(光学くし幅:0.5mm)を移動させ、光線軸上にくしの透過部分があるときの光量(M)と、くしの遮光部分があるときの光量(m)とを求め、これら両者の差(M−m)と和(M+m)の比率({(M−m)/(M+m)}×100(%))である。鮮明度は、JIS K7374:2007にしたがって、スガ試験機社製の写像性測定器「ICM−1T」を用いて測定する。ヘイズはJIS K7136:2000にしたがって、村上色彩技術研究所社製のヘイズメーター「HM−65L2型」を用いて測定する。
【0024】
実施形態の透光性セラミックス焼結体は、厚さが1.90mmの試験片において、厚さ200μmの範囲に存在する気泡を、投影し重ね合せて観察した際に、孔径が200nm以上1μm未満の微小気泡が6000個/mm
2以上に密集した直径(最大径)20μm以上の微小気泡の集合体の数が40個/mm
3未満であることが好ましい。上記した孔径を有する微小気泡は、透光性セラミックス焼結体の鮮明度に及ぼす影響が大きい。すなわち、孔径が200nm以上1μm未満の微小気泡は、焼結体の透過率にはあまり影響を及ぼさないものの、そのような微小気泡が集合して存在している場合には、焼結体の鮮明度が低下しやすい。このような点に対して、上記した孔径を有する微小気泡が6000個/mm
2以上に密集した直径20μm以上の集合体の数を40個/mm
3未満とすることによって、透光性セラミックス焼結体の鮮明度を高めることができる。微小気泡の集合体の数は30個/mm
3未満とすることがより好ましく、20個/mm
3未満とすることがさらに好ましく、10個/mm
3未満とすることが特に好ましい。
【0025】
本願明細書で規定する孔径が1μm以上5μm未満の気泡の数、閉気孔率、および微小気泡の集合体の数は、以下のようにして測定した値を示すものとする。孔径が1μm以上5μm未満の気泡の数は、サンプルをデジタルマイクロスコープで観察し、画像処理装置を用いることによりカウントする。具体的には、デジタルマイクロスコープVHX−1000(キーエンス社製)を用いて、倍率300倍で、サンプルの任意の場所の厚さ200μmの範囲を1μm間隔でスキャンし、画像を投影し重ね合わせることにより泡個数カウント用の画像を得る。同様の作業を、サンプルの位置を変えながら繰り返し、10mm
2の範囲の画像を得て、これらの画像を画像処理ソフトであるWinROOF(三谷商事株式会社製)で読み込み、2値化処理を行うことで泡個数をカウントし、得られた泡個数から個数密度を算出する。閉気孔率は、アルキメデス法により測定する。微小気泡の集合体の数は、デジタルマイクロスコープVHX−5000(キーエンス社製)を用い、倍率3000倍で、サンプルの任意の場所の厚さ200μmの範囲を1μm間隔でスキャンし、画像を投影し重ね合わせることにより泡個数カウント用の画像を得る。同様の作業を、サンプル位置を変えながら繰り返し、5mm
2の範囲の画像を得て、目視により孔径が200nm以上1μm未満の気泡が6000個/mm
2以上に密集した直径20μm以上の集合体の数をカウントする。
【0026】
実施形態の透光性セラミックス焼結体において、多結晶体である焼結体を構成する結晶粒の平均結晶粒径は60μm以上250μm以下であることが好ましい。結晶粒の平均結晶粒径を60μm以上とすることによって、相対的に光の散乱要因となる結晶粒界が減少するため、セラミックス焼結体の透過率やヘイズ等を向上させることができる。また、結晶粒の平均結晶粒径を250μm以下とすることによって、セラミックス焼結体の透過率やヘイズ等を向上させつつ、強度や硬度等を高めることができる。結晶粒の平均結晶粒径の下限値は80μmがより好ましく、100μmがさらに好ましく、120μmが特に好ましい。結晶粒の平均結晶粒径の上限値は230μmがより好ましく、210μmがさらに好ましく、190μmが特に好ましい。
【0027】
実施形態の透光性セラミックス焼結体の組成は、特に限定されるものではないが、上述した透過率やヘイズ等を得る上で、酸化アルミニウム(アルミナ/Al
2O
3)を主配合成分とする酸化物系焼結体であることが好ましい。具体的には、透光性セラミックス焼結体の主配合成分は、66モル%以上のAl
2O
3を含有することが好ましい。さらに、実施形態の透光性セラミックス焼結体の主配合成分は、66モル%以上のAl
2O
3に加えて、22〜34モル%のAlNを含有することが好ましい。ここで、主配合成分とは、原料粉末を混合する際に計算の基礎となるAl
2O
3とAlNを指す。ここで、Al
2O
3とAlNは、合計量の最大値が100%となっており、原料粉末の質量割合の計算において、百分率計算(いわゆる外割計算)で分母となる。このようなAl
2O
3とAlNとを含有するセラミックス焼結体、すなわちAl
2O
3とAlNとを所定の比率で反応させた化合物である酸窒化アルミニウム(AlON)の焼結体は、結晶構造が立方晶であるため、アルミナ焼結体より透光性を向上させることができる。
【0028】
実施形態の透光性セラミックス焼結体の結晶構造は、立方晶であることが好ましい。ここでいう立方晶とは、スピネル構造も含むものである。結晶構造が立方晶である場合、屈折率の結晶方位依存性が無いため、セラミックス焼結体の透光性を高めることができる。なお、実施形態の透光性セラミックス焼結体は、酸窒化アルミニウム焼結体に限定されるものではなく、例えば15〜23モル%のMgを含むMgAlON焼結体、0.6〜2.5モル%のLiを含むLiAlON焼結体、MgAl
2O
4焼結体、立方晶ZrO
2焼結体等であってもよい。
【0029】
上記した酸窒化アルミニウム焼結体は、焼結添加剤として機能する、酸化イットリウム(Y
2O
3)、酸化リチウム(Li
2O)、酸化マグネシウム(MgO)、および酸化カルシウム(CaO)からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有することが好ましい。セラミックス焼結体における酸化イットリウム(Y
2O
3)の含有量は、酸化物基準の質量百分率で、0.02〜0.21%であることが好ましい。酸化イットリウムをこのような量で含有させることによって、酸窒化アルミニウム焼結体の焼結性を高めると共に、孔径が1μm以上5μm未満の気泡の量を制御しつつ、微小気泡の集合体の数を減少させることができる。酸化イットリウム(Y
2O
3)の含有量の下限値は、0.04質量%であることがより好ましく、0.06質量%であることがさらに好ましく、0.07質量%であることが特に好ましい。酸化イットリウム(Y
2O
3)の含有量の上限値は、0.16質量%であることがより好ましく、0.12質量%であることがさらに好ましく、0.09質量%であることが特に好ましい。
【0030】
セラミックス焼結体における酸化リチウム(Li
2O)の含有量は、酸化イットリウムの含有理由と同様な効果を得るために、酸化物基準の質量百分率で、0.002〜0.19%であることが好ましい。酸化リチウム(Li
2O)の含有量の下限値は、0.004質量%であることがより好ましく、0.007質量%であることがさらに好ましく、0.010質量%であることが特に好ましい。酸化リチウム(Li
2O)の含有量の上限値は、0.12質量%であることがより好ましく、0.065質量%であることがさらに好ましく、0.025質量%であることが特に好ましい。
【0031】
セラミックス焼結体における酸化マグネシウム(MgO)の含有量は、酸化イットリウムの含有理由と同様な効果を得るために、酸化物基準の質量百分率で、0.004〜0.23%であることが好ましい。酸化マグネシウム(MgO)の含有量の下限値は、0.04質量%であることがより好ましく、0.07質量%であることがさらに好ましく、0.09質量%であることが特に好ましい。酸化マグネシウム(MgO)の含有量の上限値は、0.18質量%であることがより好ましく、0.15質量%であることがさらに好ましく、0.12質量%であることが特に好ましい。
【0032】
セラミックス焼結体における酸化カルシウム(CaO)の含有量は、酸化イットリウムの含有理由と同様な効果を得るために、酸化物基準の質量百分率で、0.002〜0.30%であることが好ましい。酸化カルシウム(CaO)の含有量の下限値は、0.008質量%であることがより好ましく、0.010質量%であることがさらに好ましく、0.012質量%であることが特に好ましい。酸化カルシウム(CaO)の含有量の上限値は、0.15質量%であることがより好ましく、0.10質量%であることがさらに好ましく、0.060質量%であることが特に好ましい。
【0033】
酸化イットリウム、酸化リチウム、酸化マグネシウム、および酸化カルシウムは、いずれも同様な効果を示すため、どの材料を使用してもよいが、酸化イットリウム、酸化リチウム、および酸化マグネシウムから選ばれる少なくとも1つを使用することが好ましく、さらに酸化リチウムと他の材料とを組み合わせて使用することがより好ましく、それらにより気泡の制御および減少効果が得られやすくなる。そのような組合せにおいて、酸化リチウムと酸化マグネシウムとを組み合わせて使用する場合には、Li
2Oに対するMgOの質量比(MgO/Li
2O比)を0.4以上20以下の範囲とすることが好ましい。MgO/Li
2O比を上記した範囲に制御することによって、気泡の制御および減少効果を高めることができる。
【0034】
実施形態の透光性セラミックス焼結体を適用した酸窒化アルミニウム焼結体は、さらに、酸化ナトリウム、酸化ケイ素、酸化錫、および酸化ランタンからなる群より選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。これらの化合物は、孔径が1μm以上5μm未満の気泡量の制御や微小気泡の集合体数の減少に効果を示す。酸化ナトリウム(Na
2O)、酸化ケイ素(SiO
2)、酸化錫(SnO
2)、および酸化ランタン(La
2O
3)の含有量は、酸化物基準の質量百分率で、0.002〜0.15%であることが好ましい。2つ以上の化合物を含む場合、上記した含有量はそれらの合計含有量である。上記した化合物の合計含有量の下限値は0.010質量%であることがより好ましく、0.020質量%であることがさらに好ましく、0.040質量%であることが特に好ましい。上記した化合物の合計含有量の上限値は0.13質量%であることがより好ましく、0.10質量%であることがさらに好ましく、0.08質量%であることが特に好ましい。
【0035】
実施形態の透光性セラミックス焼結体を適用した酸窒化アルミニウム焼結体は、15質量ppm以上250質量ppm以下の炭素(C)を含むことが好ましい。炭素を含む化合物等は、後述するように酸窒化アルミニウム焼結体の製造工程において気泡源となるものの、例えばそのような炭素源の残留炭素量を15〜250質量ppmの範囲に制御することで、孔径が1μm以上5μm未満の気泡を10〜4000個/mm
3の範囲とすることができるため、酸窒化アルミニウム焼結体の透過率や鮮明度を高めることができる。炭素含有量の下限値は20質量ppmがより好ましく、25質量ppmがさらに好ましく、30質量ppmが特に好ましい。炭素含有量の上限値は200質量ppmがより好ましく、100質量ppmがさらに好ましく、60質量ppmが特に好ましい。
【0036】
実施形態の透光性セラミックス焼結体を適用した酸窒化アルミニウム焼結体は、基本的に、主配合成分であるAl
2O
3とAlNとの化合物(AlON)と、焼結添加剤として機能するY
2O
3、Li
2O、MgO、およびCaOからなる群より選ばれる少なくとも1つと、Na
2O、SiO
2、SnO
2、およびLa
2O
3からなる群より選ばれる少なくとも1つと、炭素とから構成される。酸窒化アルミニウム焼結体は、これら以外の成分を不純物として含んでいてもよいが、不純物量は0.3質量%以下とすることが好ましい。酸窒化アルミニウム焼結体中の不純物量は0.2質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。
【0037】
さらに、実施形態の透光性セラミックス焼結体を適用した酸窒化アルミニウム焼結体において、21℃での熱伝導率が12.5W/m・K未満、300℃から20℃の水中へ投入した後の試験片の曲げ強度が40MPa以上、ビッカース硬さが13.8GPa以上、曲げ強度が200MPa以上であることが好ましい。実施形態の酸窒化アルミニウム焼結体の気泡の量や形態、組成等を制御することによって、上記したような各種特性を得ることができる。これらによって、透光性セラミックス焼結体を高温下での使用が想定される部材や耐熱性、耐熱衝撃性、傷耐性等が求められる部材に適用する場合において、部材(セラミックス焼結体)の信頼性、耐久性、機能性等を向上させることができる。
【0038】
本願明細書における熱伝導率、急冷後の曲げ強度、ビッカース硬さ、および曲げ強度は、以下のようにして測定した値を示すものとする。熱伝導率は、京都電子工業社製のレーザーフラッシュ法熱物性測定装置「MODEL LFA−502」を用いて、21℃の温度下で測定する。ビッカース硬さは、ビッカース硬さ計システム(日鉄住金テクノロジー社製)を用いて、10kgfの押し込み荷重で15秒間押し込むことにより測定する。曲げ強度は、幅4mm、高さ3mm、長さ50mmの試験片を用いた3点曲げ試験により、25℃で測定する。急冷後の曲げ強度(耐熱衝撃性)は、幅4mm、高さ3mm、長さ50mmの試験片を300℃で30分加熱した後、20℃の水中に透視面を縦にして垂直に100mm/sの速度で投入して急冷し、急冷後の試験片の3点曲げ強度を測定することにより評価する。
【0039】
実施形態の透光性セラミックス焼結体の製造方法は、特に限定されるものではないが、セラミックス焼結体の主配合成分粉末と焼結添加剤(焼結助剤)粉末と気泡源となるカーボン源とを含む混合粉末(原料粉末)の成形体を、基本的に常圧焼結することにより製造される。常圧とは大気圧(0.101325MPa)から0.13MPaまでの圧力範囲を示すものとする。実施形態によるセラミックス焼結体の製造方法は、例えばセラミックス焼結体の主配合成分粉末と焼結添加剤粉末と気泡源となるカーボン源とを混合して原料粉末(混合粉末)を調製する工程と、原料粉末を加圧成形して成形体を得る工程と、成形体を相対密度が96%以上となるように一次焼結して一次焼結体を得る工程と、一次焼結体を相対密度が98.95%以上となるように、常圧雰囲気下にて二次焼結し、透光性セラミックス焼結体として二次焼結体を得る工程とを具備している。
【0040】
ここで、実施形態の透光性セラミックス焼結体において、前述した孔径が1μm以上5μm未満の気泡の数や微小気泡の集合体の数に影響を及ぼす因子は明らかではないが、焼成前の原料粉末の平均粒子径(一次粒子径)、気泡源となるカーボンの残炭量、焼結添加剤(焼結助剤)の種類や含有量等が影響していると考えられる。以下に、実施形態の透光性セラミックス焼結体の製造方法の代表例として、酸窒化アルミニウム焼結体の製造方法について詳述する。
【0041】
まず、酸窒化アルミニウム焼結体の主配合成分粉末を用意する。酸窒化アルミニウム焼結体の主配合成分粉末としては、66モル%以上のアルミナ(Al
2O
3)粉末と22〜34モル%の窒化アルミニウム(AlN)粉末との混合粉末が用いられる。Al
2O
3粉末に代えて、Al(OH)
3粉末等を用いてもよい。
【0042】
焼結添加剤としては、酸化物基準の質量百分率で、アルミナと酸窒化アルミニウムとの合計量に対し、0.02%以上0.16%以下の酸化イットリウム(Y
2O
3)またはY
2O
3量に相当するY化合物、0.02%以上0.20%以下の酸化リチウム(Li
2O)またはLi
2O量に相当するLi化合物、0.02%以上0.20%以下の酸化マグネシウム(MgO)またはMgO量に相当するMg化合物、および0.01%以上0.10%以下の酸化カルシウム(CaO)またはCaO量に相当するCa化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを用いることが好ましい。焼結添加剤は、さらに酸化ナトリウム(Na
2O)、酸化ケイ素(SiO
2)、酸化錫(SnO
2)、および酸化ランタン(La
2O
3)からなる群より選ばれる少なくとも1つを、酸化物基準の質量百分率で、アルミナと酸窒化アルミニウムとの合計量に対し、0.002〜0.15%の範囲で含有してもよい。
【0043】
焼結添加剤として使用するY化合物、Li化合物、Mg化合物、およびCa化合物としては、Y(NO
3)
3、Mg(NO
3)
2のような硝酸塩、Li
2CO
3、MgCO
3、CaCO
3のような炭酸塩等の金属塩化合物が例示される。これらの金属塩の中でも、Mg(NO
3)
2はMg源の一部として好適に用いられる。原因は明らかではないが、Li化合物としてLiFを用いることは好ましくない。また、Na
2O、SiO
2、SnO
2、およびLa
2O
3からなる群より選ばれる少なくとも1つに関しても、酸化物に代えて炭酸塩、硝酸塩、塩化物、アルコキシド化合物等を用いてもよい。焼結添加剤としては、酸化物粉末や金属塩粉末等に限らず、金属粉末を使用してもよい。
【0044】
気泡源となるカーボン源としては、例えばポリカルボン酸系の高分子、ポリエチレングリコール、アクリルアミド、N−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ジエチレントリアミン、カーボンナノ粉末等を用いることができる。カーボン源は、原料粉末中に炭素量として20〜250質量ppmの範囲となるように含有されることが好ましい。このような量のカーボン源を原料粉末中に含有させることによって、透光性セラミックス焼結体中の孔径が1μm以上5μm未満の気泡の数や微小気泡の集合体の数を所望の範囲に制御することができる。
【0045】
上述した酸窒化アルミニウム焼結体の主配合成分粉末と焼結添加剤粉末とカーボン源とを、所望の比率で混合した後に粉砕する。混合物の粉砕は、原料粉末(混合・粉砕粉末)の平均粒子径が1.0μm以下となるように実施することが好ましい。平均粒子径が1.0μm以下の原料粉末を用いて、セラミックス焼結体を製造することによって、孔径が1μm以上5μm未満の気泡の数や微小気泡の集合体の数の制御性、特に微小気泡の集合体の数の制御性を高めることができる。原料粉末の平均粒子径は0.8μm以下とすることがより好ましく、0.6μm以下とすることがさらに好ましく、0.4μm以下とすることが特に好ましい。混合物の粉砕法は、特に限定されるものではないが、エタノール等の有機溶媒を媒体として用いた回転ボールミル法や振動ボールミル法等の湿式粉砕法を適用することが好ましい。このような湿式粉砕法を用いて、例えば72時間以上というように比較的長時間粉砕することによって、平均粒子径を1.0μm以下の原料粉末を安定して得ることができる。混合物の粉砕法に湿式粉砕を適用した場合には、得られたスラリーを乾燥させて原料粉末とする。
【0046】
上記したような原料粉末を金型プレス法や静水圧プレス法等の加圧成形法を適用して、所望の形状に加圧成形して成形体を作製する。特に、酸窒化アルミニウム焼結体の場合には、アルミナ粉末と窒化アルミニウム粉末との混合粉末を反応させて酸窒化アルミニウムを合成することによって、難焼結性の酸窒化アルミニウム焼結体を製造する。このため、アルミナと窒化アルミニウムとを反応させて酸窒化アルミニウムを合成する前に、成形体の段階で緻密化しておくことが好ましく、原料粉末の成形法に高密度な成形体を作製することが可能な静水圧プレスを適用することが好ましい。
【0047】
次に、上記したような加圧成形体を焼結することによって、酸窒化アルミニウム焼結体のような透光性セラミックス焼結体を製造する。成形体の焼結工程は、比較的低温で焼成して一次焼結体を得る一次焼結工程と、一次焼結体を一次焼結工程より高温で焼成して二次焼結体を得る二次焼結工程とを有することが好ましい。成形体の一次焼結工程は、常圧雰囲気または常圧以下の減圧雰囲気中で実施する。一次焼結工程を常圧以下の減圧雰囲気中で実施することによって、焼結体の緻密性を高めることができる。一次焼結温度は、一次焼結体の相対密度が96%以上となるように設定することが好ましく、酸窒化アルミニウム焼結体を作製する場合には1550〜1740℃の温度に設定することが好ましい。
【0048】
一次焼結体の二次焼結工程は、常圧雰囲気中で実施する。これによって、適度に気泡を含むセラミックス焼結体を安価に得ることができる。一次焼結体の二次焼結温度は、二次焼結体の相対密度が98.95%以上となるように設定することが好ましく、酸窒化アルミニウム焼結体を作製する場合には1860〜2040℃の温度に設定することが好ましい。このような温度で二次焼結工程を実施することによって、二次焼結体の密度を高めると共に、二次焼結体を構成する結晶粒の平均結晶粒径、孔径が1μm以上5μm未満の気泡の数や微小気泡の集合体の数の制御性を高めることができる。
【0049】
上述した実施形態の透光性セラミックス焼結体は、例えば透明性と共に耐熱性、耐候性、耐傷性等が求められる各種透明部材として好適に用いられる。そのような透明部材の具体例としては、電子機器の表示部のカバー部材や傷防止用に設けられるカバー部材のような外装部材、光学機器のカバー部材のような外装部材、耐プラズマ性部材、透明刃物、透明な耐摩耗性部材等が挙げられる。
【0050】
上述した電子機器とは、電子工学の技術を応用した電気製品であり、例えば液晶表示装置、カーナビゲーション、車載表示機器、携帯電話、携帯型情報端末、ゲーム機、CDプレイヤ、DVDプレイヤ、デジタルカメラ、テレビ、電子手帳、電子辞書、パソコン、プリンタ、時計、太陽光発電装置、太陽熱発電装置、スマートメガネ、ERおよびVRデバイス等が挙げられる。光学機器とは、光の作用と性質を利用した機器であり、例えば望遠鏡、カメラ、内視鏡、サーモグラフィー、レーザー、プロジェクター、バーコード読み取り機、センサー等が挙げられる。耐プラズマ性部材とは、耐プラズマ性が要求される部材、特に半導体製造装置の窓材やステージ等が挙げられる。刃物とは、刃という構造を持ち、対象物を切る(切断または切削)するための道具であり、例えばナイフ、小刀、剃刀、包丁、ハサミ、メス、彫刻刀等が挙げられる。
【実施例】
【0051】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、例1〜27が実施例であり、例28〜49が比較例である。
【0052】
[例1]
まず、平均粒子径がそれぞれ1.0μmであるAl
2O
3粉末、AlN粉末、Y
2O
3粉末、Li
2CO
3粉末、およびMgO粉末を用意した。Al
2O
3粉末とAlN粉末とを、モル比でAl
2O
3:AlN=70:30となるように150g秤量し、さらにAl
2O
3粉末とAlN粉末の合計量(150g)に対して、0.09質量%のY
2O
3粉末、0.07質量%のLi
2CO
3粉末、0.15質量%のMgO粉末を秤量した。さらに、カーボン源としてポリカルボン酸系高分子(中京油脂社製、商品名:セルナD−305)1.5g(焼成後の残炭量として45〜55ppmに相当)を秤量し、これら各原料をポリウレタン製のポットに入れた。直径5mmの高純度アルミナボールを使用し、440mlの無水エタノールを媒体として回転ボールミル(愛知電気社製、商品名:AN−3S)で96時間混合、粉砕した後、得られたスラリーを減圧乾燥して原料粉末を得た。得られた原料粉末の平均粒子径は0.6μmであった。
【0053】
次に、得られた原料粉末を、乾式一軸プレスを使って直径16mm、厚さ3mmのディスクに成形した後、冷間等方圧プレス機(日機装社製、商品名:CL15−28−20)を使用して2000kg/cm
2の圧力で静水圧プレスして成形体を形成した。得られた成形体をカーボン製のるつぼに入れ、カーボン焼成炉で20Paの真空雰囲気下にて1650℃で10時間保持して1次焼成した。焼成炉内の雰囲気を大気圧のN
2雰囲気とした後、1960℃まで昇温し、その温度で5時間保持して2次焼成した。この後、室温まで冷却してセラミックス焼結体を得た。焼成時の昇温速度は、1350℃まで220℃/hとし、1350℃以上では20℃/hとした。焼成後の冷却速度は、1000℃まで100℃/hとし、1000℃以下では20℃/hとした。
【0054】
このようにして得たセラミックス焼結体におけるY
2O
3、Li
2O、MgOの各成分量、炭素(C)量、フッ素(F)量、およびその他不純物量を、誘導結合プラズマ質量分析計ICP−MS(島津製作所社製)により測定した。Y
2O
3、Li
2O、MgOの各成分量は、セラミックス焼結体の主配合成分であるAl
2O
3とAlNとの合計量(主配合成分量)に対する質量割合として表1に示す。また、炭素量、フッ素量、およびその他不純物量は、セラミックス焼結体の全量に対する質量割合として表1に示す。セラミックス焼結体の結晶構造、密度、平均結晶粒径を表1に示す。
【0055】
次に、得られたセラミックス焼結体について、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数(個/mm
3)、閉気孔率、厚さが1.90mmの試験片における平均透過率、厚さが1.90mmの試験片の0.5mmのくし幅における鮮明度、厚さが1.90mmの試験片のヘイズ、反射率、厚さが1.90mmの試験片における孔径が200nm以上1μm未満の微小気泡が6000個/mm
2以上に密集した直径20μm以上の微小気泡集合体の数(個/mm
3)、熱伝導率、急冷後の曲げ強度、ビッカース硬さ、および曲げ強度を、前述した方法にしたがって測定した。測定結果を表1に示す。また、平均透過率、鮮明度、ヘイズについては、厚さが0.80mmの試験片および厚さが0.40mmの試験片についても測定した。さらに、各試験片の1°、2°、3°の拡散光(0.40mmの試験片については1°のみ)の強度比を前述した方法にしたがって測定した。これらの測定結果を表1に合わせて示す。
【0056】
[例2〜7]
例1のセラミックス焼結体の製造工程において、Li
2CO
3粉末の配合量を表1に示す組成となるように変更する以外は、例1と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。各セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
表1に示すように、例1〜3のAlON焼結体は、特に孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が少なく、かつ微小気泡集合体の数も少ないため、透過率および鮮明度が高いことが分かる。このようなAlON焼結体を透明部材として用いることによって、透明部材としてのAlON焼結体の反対側に存在する物体を明確に視認することが可能になる。例4のAlON焼結体はLi
2Oを含んでおらず、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が他の例より若干多い。このことから、AlON焼結体は焼結添加剤成分としてLi
2Oを含むことが有効であることが分かる。
【0059】
[例8〜11]
例1のセラミックス焼結体の製造工程において、Al
2O
3とAlNの含有量比を表2に示すように変更する以外は、例1と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。各セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】
[例12]
例5のセラミックス焼結体の製造工程において、Y
2O
3の含有量を表3に示すように増加させる以外は、例5と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表3に示す。例12に比べて例5のAlON焼結体の方が、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が少なく、かつ微小気泡集合体の数も少ないため、透過率および鮮明度が高いことが分かる。
【0062】
[例13〜14]
例5のセラミックス焼結体の製造工程において、MgO
3の含有量を表3に示すように増加させる以外は、例5と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。各セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表3に示す。例13および例14に比べて例5のAlON焼結体の方が、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が少なく、かつ微小気泡集合体の数も少ないため、透過率および鮮明度が高いことが分かる。
【0063】
[例15〜17]
例1のセラミックス焼結体の製造工程において、Na
2O、SiO
2、SnO
2、およびLa
2O
3の少なくとも1つを含有させる以外は、例1と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。各セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表3および表4に示す。例15のAlON焼結体は、特に孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が少なく、かつ微小気泡集合体の数も少ないため、透過率および鮮明度が高いことが分かる。
【0064】
[例18〜19]
例4のセラミックス焼結体の製造工程において、CaOを含有させる以外は、例4と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。各セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表4に示す。例18のAlON焼結体は、特に孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が少なく、かつ微小気泡集合体の数も少ないため、透過率および鮮明度が高いことが分かる。
【0065】
[例20]
例3のセラミックス焼結体の製造工程において、カーボン源の含有量を増やしてカーボン残留量を増加させる以外は、例3と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表4に示す。例20に比べて例3のAlON焼結体の方が、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が少なく、透過率が高いことが分かる。
【0066】
[例21]
まず、平均粒子径が400nmのMgAlON粉末、平均粒子径がそれぞれ1.0μmのY
2O
3粉末、Li
2CO
3粉末、およびMgO粉末を用意した。モル比でAl
2O
3:AlN:MgO=68.2:15.9:15.9のMgAlON粉末を150g秤量し、このMgAlON粉末(150g)に対して、0.05質量%のY
2O
3粉末、0.14質量%のLi
2CO
3粉末、0.10質量%のMgO粉末を秤量した。さらに、カーボン源としてポリカルボン酸系高分子(中京油脂社製、商品名:セルナD−305)1.5gを秤量し、これら各原料をポリウレタン製のポットに入れた。直径5mmの高純度アルミナボールを使用し、440mlの無水エタノールを媒体として回転ボールミル(愛知電気社製、商品名:AN−3S)で96時間混合、粉砕した後、得られたスラリーを減圧乾燥して原料粉末を得た。得られた原料粉末の平均粒子径は0.25μmであった。
【0067】
次に、得られた原料粉末を、乾式一軸プレスを使って直径16mm、厚さ3mmのディスクに成形した後、冷間等方圧プレス機(日機装社製、商品名:CL15−28−20)を使用して2000kg/cm
2の圧力で静水圧プレスして成形体を形成した。得られた成形体をカーボン製のるつぼに入れ、カーボン焼成炉で20Paの真空雰囲気下にて1650℃で3時間保持して1次焼成した。焼成炉内の雰囲気を大気圧のN
2雰囲気とした後、1875℃まで昇温し、その温度で24時間保持して2次焼成した。この後、室温まで冷却してセラミックス焼結体を得た。焼成時の昇温速度は、1350℃まで220℃/hとし、1350℃以上では20℃/hとした。焼成後の冷却速度は、1000℃まで100℃/hとし、1000℃以下では20℃/hとした。このようにして得たセラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表4に示す。
【0068】
【表3】
【0069】
【表4】
【0070】
[例22〜23]
例1のセラミックス焼結体の製造工程において、1次焼成温度を1600℃(例22)および1700℃(例23)に変更する以外は、例1と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表5に示す。例22および例23に比べて例1のAlON焼結体の方が、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が少なく、かつ微小気泡集合体の数も少ないため、透過率および鮮明度が高いことが分かる。
【0071】
[例24]
例4のセラミックス焼結体の製造工程において、1次焼成雰囲気を大気圧のN
2雰囲気に変更する以外は、例4と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表5に示す。焼結添加剤としてLi
2Oを含まない場合には、1次焼成雰囲気を大気圧とすることが好ましく、例4に比べて例24のAlON焼結体の方が、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が少なく、かつ微小気泡集合体の数も少ないため、透過率および鮮明度が高いことが分かる。
【0072】
[例25]
例1のセラミックス焼結体の製造工程において、MgO源としてMg(NO
3)
2を用いる以外は、例1と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表5に示す。例25に比べて例1のAlON焼結体の方が、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が少なく、かつ微小気泡集合体の数も少ないため、透過率および鮮明度が高いことが分かる。
【0073】
[例26]
例1のセラミックス焼結体の製造工程において、MgO源として0.09質量%のMgOと0.06質量%に相当するMg(NO
3)
2とを用いる以外は、例1と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表5に示す。例1に比べて例26のAlON焼結体の方が、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が少なく、かつ微小気泡集合体の数も少ないため、透過率および鮮明度が高いことが分かる。
【0074】
[例27]
例1のセラミックス焼結体の製造工程において、成形体の形状を直径90mm、厚さ15mmのディスクとする以外は、例1と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表5に示す。例1のAlON焼結体の方が、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が少なく、かつ微小気泡集合体の数も少ないものの、例27のAlON焼結体も透明部材に求められる透過率および鮮明度を有することが分かる。
【0075】
【表5】
【0076】
[例28〜29]
例1のセラミックス焼結体の製造工程において、Al
2O
3とAlNの含有量比を表6に示すように変更する以外は、例1と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表6に示す。例28のAlON焼結体は、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が多く、かつ微小気泡集合体の数も多いため、透過率および鮮明度が低い。例29のAlON焼結体は、鮮明度が低い。
【0077】
[例30〜31]
例1のセラミックス焼結体の製造工程において、Li
2O
3の含有量を表6に示すように増加させる以外は、例1と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。なお、例31では1次焼成工程を大気圧のN
2雰囲気中で実施した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表5に示す。例30および例31のAlON焼結体は、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が多いため、透過率および鮮明度が低い。
【0078】
[例32〜33]
例5のセラミックス焼結体の製造工程において、Y
2O
3の含有量を表6に示すように増加または減少させる以外は、例5と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。なお、例32はY
2O
3の含有量を過剰にしたものであり、例33はY
2O
3の含有量を過小にしたものである。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表6に示す。例32および例33のAlON焼結体は、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が多く、かつ微小気泡集合体の数も多いため、透過率および鮮明度が低い。
【0079】
【表6】
【0080】
[例34]
例5のセラミックス焼結体の製造工程において、MgOの含有量を表7に示すように増加させる以外は、例4と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。なお、例34はMgOの含有量を過剰にしたものである。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表7に示す。例34のAlON焼結体は、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が多く、かつ微小気泡集合体の数も多いため、透過率および鮮明度が低い。
【0081】
[例35]
例17のセラミックス焼結体の製造工程において、La
2O
3の含有量を表7に示すように増加させる以外は、例17と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。なお、例35はLa
2O
3の含有量を過剰にしたものである。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表7に示す。例35のAlON焼結体は、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が多いため、透過率および鮮明度が低い。
【0082】
[例36]
例5のセラミックス焼結体の製造工程において、炭素の含有量を表7に示すように減少させると共に、焼成時にAlNるつぼを用いる以外は、例5と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表7に示す。例36のAlON焼結体は、微小気泡集合体の数が多いため、鮮明度が低い。
【0083】
[例37〜38]
例5のセラミックス焼結体の製造工程において、炭素の含有量を表7に示すように増加させる以外は、例5と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表7に示す。例37および例38のAlON焼結体は、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が多く、微小気泡集合体の数も多いため、透過率および鮮明度が低い。
【0084】
[例39]
例10のセラミックス焼結体の製造工程において、炭素の含有量を表7に示すように増加させる以外は、例10と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表7に示す。例39のAlON焼結体は、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が多いため、透過率が低い。
【0085】
【表7】
【0086】
[例40]
例1のセラミックス焼結体の製造工程において、1次焼成温度を1570℃に変更する以外は、例1と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表8に示す。例40のAlON焼結体は、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が非常に多いため、透過率および鮮明度が低い。
【0087】
[例41]
例1のセラミックス焼結体の製造工程において、2次焼成温度を1850℃に変更する以外は、例1と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表8に示す。例41のAlON焼結体は、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が多く、微小気泡集合体の数も多いため、透過率および鮮明度が低い。
【0088】
[例42]
例4のセラミックス焼結体の製造工程において、炭素の含有量を減少させると共に、ボールミルによる原料粉末の混合・粉砕時間を48時間に変更し、焼成時にAlNるつぼを用いる以外は、例4と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表8に示す。例42のAlON焼結体は、微小気泡集合体の数が多いため、鮮明度が低い。
【0089】
[例43]
例4のセラミックス焼結体の製造工程において、Al
2O
3とAlNの含有量比を表8に示すように変更すると共に、ボールミルによる原料粉末の混合・粉砕時間を48時間に変更する以外は、例4と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表8に示す。例43のAlON焼結体は、鮮明度が低い。
【0090】
[例44]
例43のセラミックス焼結体の製造工程において、炭素の含有量を減少させると共に、焼成時にAlNるつぼを用いる以外は、例43と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表8に示す。例44のAlON焼結体は、鮮明度が低い。
【0091】
【表8】
【0092】
[例45]
例5のセラミックス焼結体の製造工程において、焼成工程における1500℃までの昇温速度を1200℃/hとし、1500℃以上の昇温速度を600℃/hとする以外は、例5と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表9に示す。例45のAlON焼結体は、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が多いと共に、微小気泡集合体の数も多く、また平均結晶粒径も小さいため、透過率および鮮明度が低く、ヘイズも小さい。
【0093】
[例46]
例5のセラミックス焼結体の製造工程において、2次焼成時間を20時間に変更する以外は、例5と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表9に示す。例46のAlON焼結体は、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が多いと共に、微小気泡集合体の数も多く、また平均結晶粒径も大きすぎるため、透過率および鮮明度が低く、耐熱衝撃性も小さい。
【0094】
[例47]
例5のセラミックス焼結体の製造工程において、Li
2O源としてフッ化リチウム(LiF)を用いる以外は、例5と同様にしてセラミックス焼結体を作製した。セラミックス焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表9に示す。例47のAlON焼結体は、孔径が1μm以上5μm未満の気泡数が多く、微小気泡集合体の数も多いため、透過率および鮮明度が低い。
【0095】
[例48]
例48は市販のAlON焼結体(加圧焼結体)である。例48のAlON焼結体の各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表9に示す。例48のAlON焼結体は、気泡を含有しておらず、かつ平均結晶粒径も大きいため、反射率および熱伝導率が高く、耐熱衝撃性も低い。
【0096】
[例49]
例49は市販の単結晶サファイアである。例49の単結晶サファイアの各成分量(不純物量を含む)、気泡数、各特性値等を例1と同様にして測定した。それらの結果を表9に示す。例49の単結晶サファイアは、気泡を含有しておらず、かつ単結晶体であるために耐熱衝撃性が非常に低い。
【0097】
【表9】
【0098】
本出願は、2017年3月13日出願の日本特許出願2017−047635に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。