特許第6981630号(P6981630)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6981630ポリアミドイミド共重合体およびこれを含む無色透明なポリアミドイミドフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6981630
(24)【登録日】2021年11月22日
(45)【発行日】2021年12月15日
(54)【発明の名称】ポリアミドイミド共重合体およびこれを含む無色透明なポリアミドイミドフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08G 73/14 20060101AFI20211202BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20211202BHJP
【FI】
   C08G73/14
   C08J5/18CFG
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-555261(P2018-555261)
(86)(22)【出願日】2017年11月29日
(65)【公表番号】特表2019-515993(P2019-515993A)
(43)【公表日】2019年6月13日
(86)【国際出願番号】KR2017013831
(87)【国際公開番号】WO2018117465
(87)【国際公開日】20180628
【審査請求日】2018年10月23日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0174936
(32)【優先日】2016年12月20日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2017-0160632
(32)【優先日】2017年11月28日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リュ、ビ オ
(72)【発明者】
【氏名】ペク、クワン ヨル
(72)【発明者】
【氏名】テ、ヨン ジ
(72)【発明者】
【氏名】パク、スーン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヨン ソク
【審査官】 渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2014−528490(JP,A)
【文献】 特開2012−241196(JP,A)
【文献】 特開平07−165915(JP,A)
【文献】 特開昭59−204518(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 73
C08J 5
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ジアミンモノマー、芳香族ジアンハイドライドモノマー、および芳香族ジカルボニルモノマーが共重合されたポリアミック酸のイミド化物であって、
前記芳香族ジカルボニルモノマーは、前記芳香族ジアンハイドライドモノマーおよび前記芳香族ジカルボニルモノマーの総モルに対して67モル%以上80モル%以下で含まれ、
前記芳香族ジカルボニルモノマーは、12〜28.6モル%のイソフタロイルクロライド(isophthaloyl chloride)および71.4〜88モル%のテレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride)からなり、
前記芳香族ジアミンモノマーは、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニルジアミン(2,2'−bis(trifluoromethyl)−4,4'−biphenyldiamine)、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン(4,4'−diaminodiphenyl sulfone)、4,4'−(9−フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'−(9−fluorenylidene)dianiline)、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4−(4−aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'−テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'−tetrachlorobenzidine)、2,7−ジアミノフルオレン(2,7−diaminofluorene)、4,4−ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4−diaminooctafluorobiphenyl)、m−フェニレンジアミン(m−phenylenediamine)、p−フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)、4,4'−オキシジアニリン(4,4'−oxydianiline)、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル(2,2'−dimethyl−4,4'−diaminobiphenyl)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2−bis[4−(4−aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3−bis(4−aminophenoxy)benzene)、および4,4'−ジアミノベンズアニリド(4,4'−diaminobenzanilide)からなる群より選択された1種以上の化合物であり、
前記芳香族ジアンハイドライドモノマーは、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボキシリックジアンハイドライド(3,3',4,4'−biphenyltetracarboxylic dianhydride)、4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(4,4'−(hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride)、2,2'−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンハイドライド(2,2'−bis−(3,4−dicarboxyphenyl)hexafluoropropane dianhydride)、ベンゾフェノンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(benzophenone tetracarboxylic dianhydride)、ピロメリティックジアンハイドライド(pyromellitic dianhydride)、ベンゾフェノンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(benzophenone tetracarboxylic dianhydride)、オキシジフタリックアンハイドライド(oxydiphthalic anhydride)、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシリックジアンハイドライド(cyclobutane−1,2,3,4−tetracarboxylic dianhydride)、シクロペンタンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(cyclopentane tetracarboxylic dianhydride)、およびビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホンジアンハイドライド(bis(3,4−dicarboxyphenyl)sulfone dianhydride)からなる群より選択された1種以上の化合物である、ポリアミドイミド共重合体。
【請求項2】
請求項1に記載のポリアミドイミド共重合体を含むポリアミドイミドフィルム。
【請求項3】
前記ポリアミドイミドフィルムは、30±2μmの厚さを有する試験片に対して、ASTM D3363により測定された2H等級以上の鉛筆硬度(Pencil Hardness)およびASTM D1925により測定された3.0以下の黄色指数(YI)を有する、請求項2に記載のポリアミドイミドフィルム。
【請求項4】
前記ポリアミドイミドフィルムは、30±2μmの厚さを有する試験片に対して、ASTM D1003により測定された0.5%以下のヘイズ(haze)、550nm波長の可視光線に対する88.5%以上の透過度(transmittance)および388nm波長の紫外線に対する25%以下の透過度を示す、請求項2または3に記載のポリアミドイミドフィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2016年12月20日付の韓国特許出願第10−2016−0174936号および2017年11月28日付の韓国特許出願第10−2017−0160632号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、ポリアミドイミド共重合体およびこれを含む無色透明なポリアミドイミドフィルムに関する。
【背景技術】
【0003】
芳香族ポリイミド樹脂は、大部分が非結晶性構造を有する高分子であって、強い鎖構造によって、優れた耐熱性、耐薬品性、電気的特性、および寸法安定性を示す。このようなポリイミド樹脂は電気/電子材料に幅広く使用されている。
【0004】
しかし、ポリイミド樹脂は、イミド鎖内に存在するπ電子のCTC(charge transfer complex)の形成によって濃褐色を呈する限界があるため、使用上多くの制限が伴う。
【0005】
前記制限を解消し無色透明なポリイミド樹脂を得るために、トリフルオロメチル基(−CF)のような強い電子求引基を導入してπ電子の移動を制限する方法;主鎖にスルホン基(−SO−)、エーテル基(−O−)などを導入して曲がった構造を設けて前記CTCの形成を低減する方法;または脂肪族環化合物を導入してπ電子の共鳴構造の形成を阻害する方法などが提案された。
【0006】
しかし、前記提案によるポリイミド樹脂は、曲がった構造または脂肪族環化合物によって十分な耐熱性を示しにくく、これを用いて製造されたフィルムは、劣悪な機械的物性を示す限界が依然として存在する。
【0007】
一方、最近は、ポリイミドの耐スクラッチ性を向上させるために、ポリアミド単位構造を導入したポリアミドイミド共重合体が開発されている。
【0008】
しかし、ポリアミドイミド共重合体は、高い結晶性によってこれをコーティングしてフィルムを形成した時、容易にヘイズ(haze)になる傾向を示す。
【0009】
ポリアミドイミドフィルムのかかるヘイズ特性は、フィルムの厚さが厚いほど激しく発現し、黄色指数(YI)にも影響を及ぼして、これを改善するための方策が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、無色透明でありながらも優れた耐スクラッチ性を示すことができるポリアミドイミド共重合体を提供する。
【0011】
そして、本発明は、前記ポリアミドイミド共重合体を含む無色透明なポリアミドイミドフィルムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、芳香族ジアミンモノマー、芳香族ジアンハイドライドモノマー、および芳香族ジカルボニルモノマーが共重合されたポリアミック酸のイミド化物であって、
前記芳香族ジカルボニルモノマーは、前記芳香族ジアンハイドライドモノマーおよび前記芳香族ジカルボニルモノマーの総モルに対して60モル%以上で含まれ、
前記芳香族ジカルボニルモノマーは、10〜40モル%のイソフタロイルクロライド(isophthaloyl chloride)および60〜90モル%のテレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride)からなる、ポリアミドイミド共重合体が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、前記ポリアミドイミド共重合体を含むポリアミドイミドフィルムが提供される。
【0014】
以下、発明の実施形態によるポリアミドイミド共重合体およびこれを含むポリアミドイミドフィルムについて詳しく説明する。
【0015】
それに先立ち、本明細書において明示的な言及がない限り、専門用語は単に特定の実施例を言及するためのものであり、本発明を限定することを意図しない。
【0016】
本明細書で使用される単数形態は、文章がこれと明確に反対の意味を示さない限り、複数形態も含む。
【0017】
本明細書で使用される「含む」の意味は、特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素および/または成分を具体化し、他の特定の特性、領域、整数、段階、動作、要素、成分および/または群の存在や付加を除外させるものではない。
【0018】
I.ポリアミドイミド共重合体
発明の一実施形態によれば、
芳香族ジアミンモノマー、芳香族ジアンハイドライドモノマー、および芳香族ジカルボニルモノマーが共重合されたポリアミック酸のイミド化物であって、
前記芳香族ジカルボニルモノマーは、前記芳香族ジアンハイドライドモノマーおよび前記芳香族ジカルボニルモノマーの総モルに対して60モル%以上で含まれ、
前記芳香族ジカルボニルモノマーは、10〜40モル%のイソフタロイルクロライド(isophthaloyl chloride)および60〜90モル%のテレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride)からなる、ポリアミドイミド共重合体が提供される。
【0019】
本発明者らの継続的な研究の結果、芳香族ジアミンモノマー、芳香族ジアンハイドライドモノマー、および芳香族ジカルボニルモノマーを用いたポリアミドイミド共重合体の形成に際して、特定組成の芳香族ジカルボニルモノマーを適用する場合、無色透明でありながらも優れた耐スクラッチ性を有する共重合体を形成できることが確認された。
【0020】
つまり、発明の実施形態により施された特定組成の前記芳香族ジカルボニルモノマーは、芳香族ジアミンモノマーおよび芳香族ジアンハイドライドモノマーとの共重合時に結晶性の発現を最小化することができ、これによって優れた耐スクラッチ性と低いヘイズ(haze)を同時に示すポリアミドイミド共重合体の形成を可能にする。
【0021】
発明の実施形態によれば、前記ポリアミドイミド共重合体は、前記芳香族ジアミンモノマー、前記芳香族ジアンハイドライドモノマー、および前記芳香族ジカルボニルモノマーが共重合されたポリアミック酸のイミド化物である。
【0022】
前記ポリアミック酸は、ブロック共重合体またはランダム共重合体であってもよい。
【0023】
例えば、ポリアミック酸ブロック共重合体は、前記芳香族ジアミンモノマーと前記芳香族ジアンハイドライドモノマーとの共重合に由来する第1単位構造と;前記芳香族ジアミンモノマーと前記芳香族ジカルボニルモノマーとの共重合に由来する第2単位構造とを含むことができる。
【0024】
そして、ポリアミック酸ランダム共重合体は、前記ポリアミドイミド共重合体は、前記芳香族ジアミンモノマー、前記芳香族ジアンハイドライドモノマー、および前記芳香族ジカルボニルモノマーがそれぞれアミド結合を形成し、ランダムに共重合された単位構造を含むことができる。
【0025】
このようなポリアミック酸は、イミド化によってイミド結合とアミド結合を同時に有するポリアミドイミド共重合体を形成する。
【0026】
発明の実施形態によれば、前記芳香族ジカルボニルモノマーは、前記芳香族ジアンハイドライドモノマーおよび前記芳香族ジカルボニルモノマーの総モルに対して60モル%以上で含まれる方が、無色透明でありながらも優れた耐スクラッチ性を有する共重合体を形成するのに好ましい。
【0027】
好ましくは、前記芳香族ジカルボニルモノマーは、前記芳香族ジアンハイドライドモノマーおよび前記芳香族ジカルボニルモノマーの総モルに対して60モル%以上、あるいは65モル%以上、あるいは67モル%以上で含まれる。
【0028】
ただし、前記芳香族ジカルボニルモノマーが過剰に使用される場合、耐吸湿性が低下したり、不透明になるなどの問題点が現れることがある。そのため、前記芳香族ジカルボニルモノマーは、前記芳香族ジアンハイドライドモノマーおよび前記芳香族ジカルボニルモノマーの総モルに対して90モル%以下、あるいは85モル%以下、あるいは80モル%以下で含まれることが好ましい。
【0029】
特に、発明の実施形態によれば、前記芳香族ジカルボニルモノマーは、イソフタロイルクロライド(isophthaloyl chloride)およびテレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride)を共に含むことが好ましい。
【0030】
前記イソフタロイルクロライドおよびテレフタロイルクロライドは、中心のフェニレン基に対して、メタまたはパラの位置に2個のカルボニル基が結合された化合物である。
【0031】
したがって、ポリアミドイミド共重合体の形成に、前記芳香族ジカルボニルモノマーとしてイソフタロイルクロライドとテレフタロイルクロライドを共に適用することによって、共重合体内のメタ結合に起因する加工性の向上とパラ結合に起因する機械的物性の向上に有利な効果を示すことができる。
【0032】
さらに、発明の実施形態によれば、前記芳香族ジカルボニルモノマーは、10〜40モル%のイソフタロイルクロライド(isophthaloyl chloride)および60〜90モル%のテレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride)からなることが好ましい。
【0033】
つまり、前記芳香族ジカルボニルモノマーをなすイソフタロイルクロライドおよびテレフタロイルクロライドは、前記モル比において共重合体の加工性と機械的物性の向上を可能にし、それと同時に高い硬度と低いヘイズの発現を可能にする。
【0034】
好ましくは、イソフタロイルクロライドは、前記芳香族ジカルボニルモノマーの総モルに対して10モル%以上、あるいは12モル%以上;そして40モル%以下、あるいは35モル%以下、あるいは30モル%以下で含まれる。そして、好ましくは、テレフタロイルクロライドは、前記芳香族ジカルボニルモノマーの総モルに対して90モル%以下、あるいは88モル%以下;そして60モル%以上、あるいは65モル%以上、あるいは70モル%以上で含まれる。
【0035】
上述のように、発明の実施形態によるポリアミドイミド共重合体において、前記芳香族ジカルボニルモノマーの組成が下記の2つの条件を同時に満たしてこそ、優れた耐スクラッチ性(高い等級の鉛筆硬度)と無色透明な特性(低いヘイズおよび黄色指数)を示すことができる。
【0036】
(i)前記芳香族ジカルボニルモノマーは、前記芳香族ジアンハイドライドモノマーおよび前記芳香族ジカルボニルモノマーの総モルに対して60モル%以上で含まれること
【0037】
(ii)前記芳香族ジカルボニルモノマーは、10〜40モル%のイソフタロイルクロライド(isophthaloyl chloride)および60〜90モル%のテレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride)からなること
【0038】
一方、発明の実施形態によれば、前記ポリアミドイミド共重合体の形成のための前記芳香族ジアミンモノマーおよび前記芳香族ジアンハイドライドモノマーとしては、本発明の属する技術分野における通常の化合物が特別な制限なく適用可能である。
【0039】
具体的には、前記芳香族ジアミンモノマーとしては、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニルジアミン(2,2'−bis(trifluoromethyl)−4,4'−biphenyldiamine)、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン(4,4'−diaminodiphenyl sulfone)、4,4'−(9−フルオレニリデン)ジアニリン(4,4'−(9−fluorenylidene)dianiline)、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン(bis(4−(4−aminophenoxy)phenyl)sulfone)、2,2',5,5'−テトラクロロベンジジン(2,2',5,5'−tetrachlorobenzidine)、2,7−ジアミノフルオレン(2,7−diaminofluorene)、4,4−ジアミノオクタフルオロビフェニル(4,4−diaminooctafluorobiphenyl)、m−フェニレンジアミン(m−phenylenediamine)、p−フェニレンジアミン(p−phenylenediamine)、4,4'−オキシジアニリン(4,4'−oxydianiline)、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル(2,2'−dimethyl−4,4'−diaminobiphenyl)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2−bis[4−(4−aminophenoxy)phenyl]propane)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3−bis(4−aminophenoxy)benzene)、および4,4'−ジアミノベンズアニリド(4,4'−diaminobenzanilide)からなる群より選択された1種以上の化合物が好ましく使用できる。
【0040】
より好ましくは、前記芳香族ジアミンモノマーは、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニルジアミン(2,2'−bis(trifluoromethyl)−4,4'−biphenyldiamine)であってもよい。
【0041】
前記芳香族ジアンハイドライドモノマーとしては、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボキシリックジアンハイドライド(3,3',4,4'−biphenyltetracarboxylic dianhydride)、4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(4,4'−(hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride)、2,2'−ビス−(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンジアンハイドライド(2,2'−bis−(3,4−dicarboxyphenyl)hexafluoropropane dianhydride)、ベンゾフェノンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(benzophenone tetracarboxylic dianhydride)、ピロメリティックジアンハイドライド(pyromellitic dianhydride)、ベンゾフェノンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(benzophenone tetracarboxylic dianhydride)、オキシジフタリックアンハイドライド(oxydiphthalic anhydride)、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシリックジアンハイドライド(cyclobutane−1,2,3,4−tetracarboxylic dianhydride)、シクロペンタンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(cyclopentane tetracarboxylic dianhydride)、およびビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホンジアンハイドライド(bis(3,4−dicarboxyphenyl)sulfone dianhydride)からなる群より選択された1種以上の化合物が好ましく使用できる。
【0042】
より好ましくは、前記芳香族ジアンハイドライドモノマーは、シクロブタン−1,2,3,4−テトラカルボキシリックジアンハイドライド(cyclobutane−1,2,3,4−tetracarboxylic dianhydride)、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボキシリックアシッドジアンハイドライド(3,3',4,4'−biphenyltetracarboxylic acid dianhydride)、またはこれらの混合物であってもよい。
【0043】
特に、前記芳香族ジアミンモノマーである2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニルジアミン(2,2'−bis(trifluoromethyl)−4,4'−biphenyldiamine)と前記芳香族ジアンハイドライドモノマーである3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボキシリックアシッドジアンハイドライド(3,3',4,4'−biphenyltetracarboxylic acid dianhydride)は、イソフタロイルクロライド(isophthaloyl chloride)およびテレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride)からなる前記芳香族ジカルボニルモノマーとの共重合によって、上述した特性を満たすポリアミドイミド共重合体の形成に有利に使用できる。
【0044】
そして、好ましくは、前記芳香族ジカルボニルモノマーは、前記ジアミンモノマーおよび前記芳香族ジカルボニルモノマーの総モルに対して30モル%以上、あるいは35モル%以上、40モル%以上;そして55モル%以下、あるいは50モル%以下、あるいは45モル%以下で含まれる方が、上述した特性の発現に有利である。
【0045】
一方、前記芳香族ジアミンモノマー、芳香族ジアンハイドライドモノマー、および芳香族ジカルボニルモノマーが共重合されたポリアミック酸を形成する重合条件は特に制限されない。
【0046】
好ましくは、前記ポリアミック酸の形成のための重合は、不活性雰囲気の0〜100℃下、溶液重合で行われる。
【0047】
前記ポリアミック酸の形成のための溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、N−メチル−2−ピロリドン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、ガンマ−ブチロラクトンなどが使用できる。
【0048】
前記ポリアミック酸の形成後のイミド化は、熱的にまたは化学的に行われる。例えば、化学的イミド化にはアセティックアンハイドライド(acetic anhydride)、ピリジン(pyridine)のような化合物が使用できる。
【0049】
発明の実施形態によれば、前記ポリアミドイミド共重合体は、10,000〜1,000,000g/mol、あるいは50,000〜1,000,000g/mol、あるいは50,000〜500,000g/mol、あるいは50,000〜300,000g/molの重量平均分子量を有することができる。
【0050】
II.ポリアミドイミドフィルム
発明の他の実施形態によれば、上述したポリアミドイミド共重合体を含む無色透明なポリアミドイミドフィルムが提供される。
【0051】
上述のように、本発明者らの継続的な研究の結果、芳香族ジアミンモノマー、芳香族ジアンハイドライドモノマー、および芳香族ジカルボニルモノマーを用いたポリアミドイミド共重合体の形成に際して、特定組成の芳香族ジカルボニルモノマーを適用する場合、無色透明でありながらも優れた耐スクラッチ性を有する共重合体を形成できることが確認された。
【0052】
これにより、前記ポリアミドイミド共重合体を含むフィルムは、無色の透明性と共に高い耐スクラッチ性が求められる多様な成形品の材料に使用できる。例えば、前記ポリアミドイミドフィルムは、ディスプレイ用基板、ディスプレイ用保護フィルム、タッチパネルなどに適用可能である。
【0053】
前記ポリアミドイミドフィルムは、前記ポリアミドイミド共重合体を用いて、乾式法、湿式法のような通常の方法により製造される。例えば、前記ポリアミドイミドフィルムは、前記共重合体を含む溶液を任意の支持体上にコーティングして膜を形成し、前記膜から溶媒を蒸発させて乾燥する方法で得られる。必要に応じて、前記ポリアミドイミドフィルムに対する延伸および熱処理が行われる。
【0054】
前記ポリアミドイミドフィルムは、前記ポリアミドイミド共重合体を用いて製造されることによって、無色透明でありながらも優れた耐スクラッチ性を示すことができる。
【0055】
具体的には、前記ポリアミドイミドフィルムは、30±2μmの厚さを有する試験片に対して、ASTM D3363により測定された2H等級以上あるいは3H等級以上の鉛筆硬度(Pencil Hardness)を示すことができる。
【0056】
また、前記ポリアミドイミドフィルムは、30±2μmの厚さを有する試験片に対して、ASTM D1925により測定された3.0以下、あるいは2.8以下、あるいは2.75以下、あるいは2.5〜2.75、あるいは2.6〜2.75、あるいは2.65〜2.75の黄色指数(YI)を示すことができる。
【0057】
さらに、前記ポリアミドイミドフィルムは、30±2μmの厚さを有する試験片に対して、ASTM D1003により測定された0.5%以下、あるいは0.4%以下、あるいは0.1〜0.5%、あるいは0.2〜0.5%、あるいは0.2〜0.4%のヘイズ(haze)を示すことができる。
【0058】
また、前記ポリアミドイミドフィルムは、30±2μmの厚さにおいて550nm波長の可視光線に対する88.5%以上、あるいは89%以上、あるいは88.5〜89%の透過度(transmittance)を示すことができる。
【0059】
さらに、前記ポリアミドイミドフィルムは、30±2μmの厚さにおいて388nm波長の紫外線に対する25%以下、あるいは15%以下、あるいは13%以下、あるいは10〜25%、あるいは11〜25%の透過度を示すことができる。
【発明の効果】
【0060】
本発明によるポリアミドイミド共重合体は、無色透明でありながらも優れた耐スクラッチ性を有するポリアミドイミドフィルムの提供を可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は発明を例示するためのものに過ぎず、発明をこれらにのみ限定するものではない。
【0062】
実施例1
撹拌機、窒素注入器、滴下漏斗、および温度調節器が備えられた1000mLの反応器に窒素をゆっくり吹き込みながら、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)42.5gを満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニルジアミン(2,2'−bis(trifluoromethyl)−4,4'−biphenyldiamine)4.4354g(0.0138507mol)を投入して完全に溶解させた。この溶液の温度を25℃に維持しながら、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボキシリックアシッドジアンハイドライド(3,3',4,4'−biphenyltetracarboxylic acid dianhydride)0.815g(0.0027701mol)を投入して溶解させた。
【0063】
そして、前記溶液の温度を−10℃に冷却した後、イソフタロイルクロライド(isophthaloyl chloride)0.2812g(0.0013851mol)およびテレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride)1.9684g(0.0096955mol)を添加して撹拌し、固形分の濃度が15重量%のポリアミック酸溶液を得た。
【0064】
前記ポリアミック酸溶液にジメチルアセトアミドを投入して固形分の濃度を5重量%以下に希釈した後、メタノール10Lに固形分を沈殿させた。
【0065】
沈殿した固形分をろ過した後、100℃、真空下で6時間以上乾燥して、固形分形態のポリアミドイミド共重合体を得た(重量平均分子量約188,517g/mol)。
【0066】
実施例2
撹拌機、窒素注入器、滴下漏斗、および温度調節器が備えられた1000mLの反応器に窒素をゆっくり吹き込みながら、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)42.5gを満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニルジアミン(2,2'−bis(trifluoromethyl)−4,4'−biphenyldiamine)4.3448g(0.0135539mol)を投入して完全に溶解させた。この溶液の温度を25℃に維持しながら、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボキシリックアシッドジアンハイドライド(3,3',4,4'−biphenyltetracarboxylic acid dianhydride)1.316g(0.0044728mol)を投入して溶解させた。
【0067】
そして、前記溶液の温度を−10℃に冷却した後、イソフタロイルクロライド(isophthaloyl chloride)0.3302g(0.0016265mol)およびテレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride)1.5134g(0.0074546mol)を添加して撹拌し、固形分の濃度が15重量%のポリアミック酸溶液を得た。
【0068】
前記ポリアミック酸溶液にジメチルアセトアミドを投入して固形分の濃度を5重量%以下に希釈した後、メタノール10Lに固形分を沈殿させた。
【0069】
沈殿した固形分をろ過した後、100℃、真空下で6時間以上乾燥して、固形分形態のポリアミドイミド共重合体を得た(重量平均分子量約88,320g/mol)。
【0070】
実施例3
撹拌機、窒素注入器、滴下漏斗、および温度調節器が備えられた1000mLの反応器に窒素をゆっくり吹き込みながら、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)42.5gを満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニルジアミン(2,2'−bis(trifluoromethyl)−4,4'−biphenyldiamine)4.2714g(0.0133386mol)を投入して完全に溶解させた。この溶液の温度を25℃に維持しながら、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボキシリックアシッドジアンハイドライド(3,3',4,4'−biphenyltetracarboxylic acid dianhydride)1.2951g(0.0044017mol)を投入して溶解させた。
【0071】
そして、前記溶液の温度を−10℃に冷却した後、イソフタロイルクロライド(isophthaloyl chloride)0.5524g(0.0027211mol)およびテレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride)1.3811g(0.0068027mol)を添加して撹拌し、固形分の濃度が15重量%のポリアミック酸溶液を得た。
【0072】
前記ポリアミック酸溶液にジメチルアセトアミドを投入して固形分の濃度を5重量%以下に希釈した後、メタノール10Lに固形分を沈殿させた。
【0073】
沈殿した固形分をろ過した後、100℃、真空下で6時間以上乾燥して、固形分形態のポリアミドイミド共重合体を得た(重量平均分子量約78,880g/mol)。
【0074】
比較例1
撹拌機、窒素注入器、滴下漏斗、および温度調節器が備えられた1000mLの反応器に窒素をゆっくり吹き込みながら、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)42.5gを満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニルジアミン(2,2'−bis(trifluoromethyl)−4,4'−biphenyldiamine)4.3619g(0.0136213mol)を投入して完全に溶解させた。この溶液の温度を25℃に維持しながら、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボキシリックアシッドジアンハイドライド(3,3',4,4'−biphenyltetracarboxylic acid dianhydride)1.2023g(0.0040864mol)を投入して溶解させた。
【0075】
そして、前記溶液の温度を−10℃に冷却した後、テレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride)1.9358g(0.0095349mol)を添加して撹拌し、固形分の濃度が15重量%のポリアミック酸溶液を得た。
【0076】
前記ポリアミック酸溶液にジメチルアセトアミドを投入して固形分の濃度を5重量%以下に希釈した後、メタノール10Lに固形分を沈殿させた。
【0077】
沈殿した固形分をろ過した後、100℃、真空下で6時間以上乾燥して、固形分形態のポリアミドイミド共重合体を得た(重量平均分子量約151,440g/mol)。
【0078】
比較例2
撹拌機、窒素注入器、滴下漏斗、および温度調節器が備えられた1000mLの反応器に窒素をゆっくり吹き込みながら、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)42.5gを満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニルジアミン(2,2'−bis(trifluoromethyl)−4,4'−biphenyldiamine)4.59g(0.0143335mol)を投入して完全に溶解させた。
【0079】
そして、前記溶液の温度を−10℃に冷却した後、イソフタロイルクロライド(isophthaloyl chloride)1.455g(0.0071667mol)およびテレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride)1.455g(0.0071667mol)を添加して撹拌し、固形分の濃度が15重量%の重合体溶液を得た。
【0080】
前記重合体溶液にジメチルアセトアミドを投入して固形分の濃度を5重量%以下に希釈した後、メタノール10Lに固形分を沈殿させた。
【0081】
沈殿した固形分をろ過した後、100℃、真空下で6時間以上乾燥して、固形分形態の共重合体を得た(重量平均分子量約70,174g/mol)。
【0082】
比較例3
撹拌機、窒素注入器、滴下漏斗、および温度調節器が備えられた1000mLの反応器に窒素をゆっくり吹き込みながら、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)42.5gを満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニルジアミン(2,2'−bis(trifluoromethyl)−4,4'−biphenyldiamine)4.1789g(0.0130496mol)を投入して完全に溶解させた。
【0083】
この溶液の温度を25℃に維持しながら、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボキシリックアシッドジアンハイドライド(3,3',4,4'−biphenyltetracarboxylic acid dianhydride)1.1518g(0.0039149mol)および4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(4,4'−(Hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride)0.5797g(0.001304956mol)を投入して溶解させた。
【0084】
そして、前記溶液の温度を−10℃に冷却した後、テレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride)1.5896g(0.0078297mol)を添加して撹拌し、固形分の濃度が15重量%のポリアミック酸溶液を得た。
【0085】
前記ポリアミック酸溶液にジメチルアセトアミドを投入して固形分の濃度を5重量%以下に希釈した後、メタノール10Lに固形分を沈殿させた。
【0086】
沈殿した固形分をろ過した後、100℃、真空下で6時間以上乾燥して、固形分形態のポリアミドイミド共重合体を得た(重量平均分子量約84,224g/mol)。
【0087】
比較例4
撹拌機、窒素注入器、滴下漏斗、および温度調節器が備えられた1000mLの反応器に窒素をゆっくり吹き込みながら、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)42.5gを満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニルジアミン(2,2'−bis(trifluoromethyl)−4,4'−biphenyldiamine)4.0105g(0.0125239mol)を投入して完全に溶解させた。
【0088】
この溶液の温度を25℃に維持しながら、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボキシリックアシッドジアンハイドライド(3,3',4,4'−biphenyltetracarboxylic acid dianhydride)1.1054g(0.0037572mol)および4,4'−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタリックアンハイドライド(4,4'−(Hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride)1.1127g(0.0025048mol)を投入して溶解させた。
【0089】
そして、前記溶液の温度を−10℃に冷却した後、テレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride)1.2713g(0.006262mol)を添加して撹拌し、固形分の濃度が15重量%のポリアミック酸溶液を得た。
【0090】
前記ポリアミック酸溶液にジメチルアセトアミドを投入して固形分の濃度を5重量%以下に希釈した後、メタノール10Lに固形分を沈殿させた。
【0091】
沈殿した固形分をろ過した後、100℃、真空下で6時間以上乾燥して、固形分形態のポリアミドイミド共重合体を得た(重量平均分子量約79,427g/mol)。
【0092】
比較例5
撹拌機、窒素注入器、滴下漏斗、および温度調節器が備えられた1000mLの反応器に窒素をゆっくり吹き込みながら、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)42.5gを満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニルジアミン(2,2'−bis(trifluoromethyl)−4,4'−biphenyldiamine)4.2221g(0.0131845mol)を投入して完全に溶解させた。この溶液の温度を25℃に維持しながら、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボキシリックアシッドジアンハイドライド(3,3',4,4'−biphenyltetracarboxylic acid dianhydride)1.9396g(0.0065922mol)を投入して溶解させた。
【0093】
そして、前記溶液の温度を−10℃に冷却した後、イソフタロイルクロライド(isophthaloyl chloride)0.2677g(0.0013184mol)およびテレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride)1.0707g(0.0052738mol)を添加して撹拌し、固形分の濃度が15重量%のポリアミック酸溶液を得た。
【0094】
前記ポリアミック酸溶液にジメチルアセトアミドを投入して固形分の濃度を5重量%以下に希釈した後、メタノール10Lに固形分を沈殿させた。
【0095】
沈殿した固形分をろ過した後、100℃、真空下で6時間以上乾燥して、固形分形態のポリアミドイミド共重合体を得た(重量平均分子量約98,411g/mol)。
【0096】
比較例6
撹拌機、窒素注入器、滴下漏斗、および温度調節器が備えられた1000mLの反応器に窒素をゆっくり吹き込みながら、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)42.5gを満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニルジアミン(2,2'−bis(trifluoromethyl)−4,4'−biphenyldiamine)4.2221g(0.0131845mol)を投入して完全に溶解させた。この溶液の温度を25℃に維持しながら、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボキシリックアシッドジアンハイドライド(3,3',4,4'−biphenyltetracarboxylic acid dianhydride)1.9396g(0.0065922mol)を投入して溶解させた。
【0097】
そして、前記溶液の温度を−10℃に冷却した後、イソフタロイルクロライド(isophthaloyl chloride)0.5353g(0.0026369mol)およびテレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride)0.803g(0.0039553mol)を添加して撹拌し、固形分の濃度が15重量%のポリアミック酸溶液を得た。
【0098】
前記ポリアミック酸溶液にジメチルアセトアミドを投入して固形分の濃度を5重量%以下に希釈した後、メタノール10Lに固形分を沈殿させた。
【0099】
沈殿した固形分をろ過した後、100℃、真空下で6時間以上乾燥して、固形分形態のポリアミドイミド共重合体を得た(重量平均分子量約87,887g/mol)。
【0100】
比較例7
撹拌機、窒素注入器、滴下漏斗、および温度調節器が備えられた100mLの反応器に窒素をゆっくり吹き込みながら、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)42.5gを満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニルジアミン(2,2'−bis(trifluoromethyl)−4,4'−biphenyldiamine)4.3619g(0.01362mol)を投入して完全に溶解させた。この溶液の温度を25℃に維持しながら、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボキシリックアシッドジアンハイドライド(3,3',4,4'−biphenyltetracarboxylic acid dianhydride)1.2023g(0.004086mol)を投入して溶解させた。
【0101】
そして、前記溶液の温度を−10℃に冷却した後、イソフタロイルクロライド(isophthaloyl chloride)0.9679g(0.004767mol)およびテレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride)0.9679g(0.004767mol)を添加して撹拌し、固形分の濃度が15重量%のポリアミック酸溶液を得た。
【0102】
前記ポリアミック酸溶液にジメチルアセトアミドを投入して固形分の濃度を5重量%以下に希釈した後、メタノール10Lに固形分を沈殿させた。
【0103】
沈殿した固形分をろ過した後、100℃、真空下で6時間以上乾燥して、固形分形態のポリアミドイミド共重合体を得た(重量平均分子量約87,156g/mol)。
【0104】
比較例8
撹拌機、窒素注入器、滴下漏斗、および温度調節器が備えられた100mLの反応器に窒素をゆっくり吹き込みながら、ジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)42.5gを満たし、反応器の温度を25℃に合わせた後、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ビフェニルジアミン(2,2'−bis(trifluoromethyl)−4,4'−biphenyldiamine)3.9676g(0.01239mol)を投入して完全に溶解させた。この溶液の温度を25℃に維持しながら、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボキシリックアシッドジアンハイドライド(3,3',4,4'−biphenyltetracarboxylic acid dianhydride)3.2808g(0.01115mol)を投入して溶解させた。
【0105】
そして、前記溶液の温度を−10℃に冷却した後、イソフタロイルクロライド(isophthaloyl chloride)0.1258g(0.00062mol)およびテレフタロイルクロライド(terephthaloyl chloride)0.1258g(0.00062mol)を添加して撹拌し、固形分の濃度が15重量%のポリアミック酸溶液を得た。
【0106】
前記ポリアミック酸溶液にジメチルアセトアミドを投入して固形分の濃度を5重量%以下に希釈した後、メタノール10Lに固形分を沈殿させた。
【0107】
沈殿した固形分をろ過した後、100℃、真空下で6時間以上乾燥して、固形分形態のポリアミドイミド共重合体を得た(重量平均分子量約94,117g/mol)。
【表1】
【表2】
*TFDB:2,2'−Bis(trifluoromethyl)−4,4'−biphenyldiamine
*BPDA:3,3',4,4'−Biphenyltetracarboxylic acid dianhydride
*6FDA:4,4'−(Hexafluoroisopropylidene)diphthalic anhydride
*IPC:Isophthaloyl chloride
*TPC:Terephthaloyl chloride
【0108】
実施例4
前記実施例1で得られた共重合体をジメチルアセトアミド(dimethylacetamide)に溶かして、約25%(w/V)の高分子溶液を製造した。前記高分子溶液をプラスチック基材(UPILEX−75s、UBE社)に注いで、フィルムアプリケータを用いて高分子溶液の厚さを均一に調節し、80℃で10分間、マティスオーブンで乾燥した後、窒素を流しながら250℃で30分間硬化して、前記基材から剥離された30μmの厚さのポリアミドイミドフィルムを得た。
【0109】
実施例5
前記実施例1で得られた共重合体の代わりに前記実施例2で得られた共重合体を用いたことを除き、実施例4と同様の方法でフィルムを得た。
【0110】
実施例6
前記実施例1で得られた共重合体の代わりに前記実施例3で得られた共重合体を用いたことを除き、実施例4と同様の方法でフィルムを得た。
【0111】
比較例9
前記実施例1で得られた共重合体の代わりに前記比較例1で得られた共重合体を用いたことを除き、実施例4と同様の方法でフィルムを得た。
【0112】
比較例10
前記実施例1で得られた共重合体の代わりに前記比較例2で得られた共重合体を用いたことを除き、実施例4と同様の方法でフィルムを得た。
【0113】
比較例11
前記実施例1で得られた共重合体の代わりに前記比較例3で得られた共重合体を用いたことを除き、実施例4と同様の方法でフィルムを得た。
【0114】
比較例12
前記実施例1で得られた共重合体の代わりに前記比較例4で得られた共重合体を用いたことを除き、実施例4と同様の方法でフィルムを得た。
【0115】
比較例13
前記実施例1で得られた共重合体の代わりに前記比較例5で得られた共重合体を用いたことを除き、実施例4と同様の方法でフィルムを得た。
【0116】
比較例14
前記実施例1で得られた共重合体の代わりに前記比較例6で得られた共重合体を用いたことを除き、実施例4と同様の方法でフィルムを得た。
【0117】
比較例15
前記実施例1で得られた共重合体の代わりに前記比較例7で得られた共重合体を用いたことを除き、実施例4と同様の方法でフィルムを得た。
【0118】
比較例16
前記実施例1で得られた共重合体の代わりに前記比較例8で得られた共重合体を用いたことを除き、実施例4と同様の方法でフィルムを得た。
【0119】
試験例
前記実施例4〜6および比較例9〜16のフィルムに対して以下の特性を測定または評価し、その結果を下記表3および表4に示した。
【0120】
(1)鉛筆硬度
:Pencil Hardness Testerを用いて、ASTM D3363の測定法によりフィルムの鉛筆硬度を測定した。具体的には、前記テスタに多様な硬度の鉛筆を固定して前記フィルムに引っ掻いた後、前記フィルムにキズが発生した程度を肉眼や顕微鏡で観察して、総引っ掻き回数の70%以上引っ掻かれていない時、その鉛筆の硬度に相当する値を前記フィルムの鉛筆硬度として評価した。
【0121】
(2)黄色指数(YI)
:COH−400Spectrophotometer(NIPPON DENSHOKU INDUSTRIES)を用いて、ASTM D1925の測定法によりフィルムの黄色指数(YI)を測定した。
【0122】
(3)透過度(T)
:UV−VIS−NIR Spectrophotometer(SolidSpec−3700、SHIMADZU)を用いてフィルムの全光線透過度を測定し、550nm波長の可視光線に対する透過度値および388nm波長の紫外線に対する透過度値を表に示した。
【0123】
(4)ヘイズ(Haze)
:COH−400Spectrophotometer(NIPPON DENSHOKU INDUSTRIES)を用いて、ASTM D1003の測定法によりフィルムのヘイズ値を測定した。
【表3】
【表4】
【0124】
前記表3および表4を参照すれば、実施例4〜6のフィルムはいずれも、3H等級の高い鉛筆硬度を示しながらも、3.0以下の低い黄色指数(YI)を示すことが確認された。
【0125】
比較例9および11のフィルムは、芳香族ジカルボニルモノマーが、芳香族ジアンハイドライドモノマーおよび芳香族ジカルボニルモノマーの総モルに対して60モル%以上で添加された共重合体を含むにもかかわらず、前記芳香族ジカルボニルモノマーとしてテレフタロイルクロライドのみを含むことによって、実施例のフィルムに比べて、高い黄色指数、高いヘイズまたは低い鉛筆硬度を示すことが確認された。
【0126】
そして、比較例13および16のフィルムは、芳香族ジカルボニルモノマーとしてイソフタロイルクロライドおよびテレフタロイルクロライドが適用された共重合体を含むにもかかわらず、前記芳香族ジカルボニルモノマーの構成が本発明の実施形態による組成を満たさないことによって、実施例のフィルムに比べて、高い黄色指数、高いヘイズまたは低い鉛筆硬度を示すことが確認された。