(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記読出部は、前記第2光電変換部で変換された電荷を転送する転送部と、前記転送部により前記第2光電変換部の電荷が転送される電荷電圧変換部と、前記電荷電圧変換部の電荷を排出する排出部と、を含み、
前記制御線は、前記転送部を制御するための制御信号が出力される第1配線と、前記排出部を制御するための制御信号が出力される第2配線と、を含み、
前記第2配線は、前記第2マイクロレンズの光軸方向において前記第2光電変換部と前記第1配線との間に形成されている請求項4又は請求項5に記載の撮像素子。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本願発明を撮像装置としての電子カメラに適用した一実施の形態を説明する。
図1は一実施の形態の電子カメラの構成を示す図である。一実施の形態の電子カメラ101は交換レンズ102とカメラボディ103とから構成され、交換レンズ102はカメラボディ103のマウント部104に装着される。
【0008】
交換レンズ102は、レンズ105〜107、絞り108、レンズ駆動制御装置109などを備えている。なお、レンズ106はズーミング用、レンズ107はフォーカシング用である。レンズ駆動制御装置109は、CPUとその周辺部品を備え、フォーカシング用レンズ107および絞り108の駆動制御を行う。さらに、レンズ駆動制御装置109は、ズーミング用レンズ106、フォーカシング用レンズ107および絞り108の位置検出と、カメラボディ103の制御装置との間の通信による、レンズ情報の送信およびカメラ情報の受信とを行う。
【0009】
一方、カメラボディ103は、撮像素子111、カメラ駆動制御装置112、メモリカード113、LCDドライバー114、LCD115、接眼レンズ116などを備えている。撮像素子111は交換レンズ102の予定結像面(予定焦点面)に配置され、交換レンズ102により結像された被写体像を撮像して画像信号を出力する。撮像素子111には撮像用画素(以下、単に撮像画素という)が二次元状に配置されており、その内の焦点検出位置に対応した部分には撮像画素に代えて焦点検出用画素(以下、単に焦点検出画素という)列が組み込まれている。
【0010】
カメラ駆動制御装置112は、CPUとその周辺部品を備え、撮像素子111の駆動制御、撮像画像の処理、交換レンズ102の焦点検出および焦点調節、絞り108の制御、LCD115の表示制御、レンズ駆動制御装置109との通信、カメラ全体のシーケンス制御などを行う。なお、カメラ駆動制御装置112は、マウント部104に設けられた電気接点117を介してレンズ駆動制御装置109と通信を行う。
【0011】
メモリカード113は撮像画像を記憶する画像ストレージである。LCD115は液晶ビューファインダー(EVF:電子ビューファインダー)の表示器として用いられ、撮影者は接眼レンズ116を介してLCD115に表示された撮像画像を視認することができる。
【0012】
交換レンズ102を通過して撮像素子111上に結像された被写体像は撮像素子111により光電変換され、画像出力がカメラ駆動制御装置112へ送られる。カメラ駆動制御装置112は、焦点検出画素の出力に基づいて焦点検出位置におけるデフォーカス量を演算し、このデフォーカス量をレンズ駆動制御装置109へ送る。また、カメラ駆動制御装置112は、撮像画素の出力に基づいて生成した画像信号をLCDドライバー114へ送ってLCD115に表示するとともに、メモリカード113に記憶する。
【0013】
レンズ駆動制御装置109は、ズーミングレンズ106、フォーカシングレンズ107および絞り108の位置を検出し、検出位置に基づいてレンズ情報を演算するか、あるいは予め用意されたルックアップテーブルから検出位置に応じたレンズ情報を選択し、カメラ駆動制御装置112へ送る。また、レンズ駆動制御装置109は、カメラ駆動制御装置112から受信したデフォーカス量に基づいてレンズ駆動量を演算し、レンズ駆動量に基づいてフォーカシング用レンズ107を駆動制御する。
【0014】
撮像素子111は裏面照射型の4TR−CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサである。4TR−CMOSセンサは、光電変換部と、転送ゲートトランジスタ、ソースホロアトランジスタ、行選択トランジスタおよびリセットトランジスタの4トランジスタとから構成される。詳細は後述する。
【0015】
図2は、交換レンズ102の予定結像面に設定した撮像画面G上の焦点検出領域を示す。撮像画面G上にG1〜G5の焦点検出領域を設定し、撮像素子111の焦点検出画素を撮像画面G上の各焦点検出領域G1〜G5の長手方向に直線状に配列する。つまり、撮像素子111上の焦点検出画素列は、撮影画面G上に結像された被写体像の内の焦点検出領域G1〜G5の像をサンプリングする。撮影者は撮影構図に応じて焦点検出領域G1〜G5の中から任意の焦点検出領域を手動で選択する。
【0016】
図3は撮像素子211に設置する色フィルタの配列を示す。撮像素子111の基板上に二次元状に並べて配置する撮像画素には、
図3に示すベイヤー配列の色フィルタを設置する。なお、
図3には4画素分(2×2)の撮像画素に対する色フィルタの配列を示すが、この4画素分の色フィルタ配列を有する撮像画素ユニットを撮像素子111上に二次元状に展開する。ベイヤー配列ではG(緑)フィルタを有する2個の画素が対角位置に配置され、B(青)フィルタとR(赤)フィルタを有する一対の画素が上記Gフィルタ画素と直交する対角位置に配置される。したがって、ベイヤー配列においては緑画素の密度が赤画素と青画素の密度より高くなる。
【0017】
図4は撮像素子111の詳細な構成を示す正面図である。なお、
図4は撮像素子111上のひとつの焦点検出領域の周囲を拡大した図である。撮像素子111は撮像画素210と焦点検出用の焦点検出画素211から構成される。
【0018】
図5(a)は撮像画素210の正面図である。
図5(b)は、
図5(a)のA−A断面図である。撮像画素210は、マイクロレンズ10、マイクロレンズ固定層11、色フィルタ12、平坦化層13、遮光膜14A、半導体層16および配線層17から構成される。半導体層16の一方の面には、光電変換部15aとチャンネルストップ部15bとが形成される。
【0019】
マイクロレンズ10は、撮像画素210の表面に到達した光を集光して光電変換部15aに当てるようにするものである。マイクロレンズ固定層11はマイクロレンズ10を色フィルタ12に固定するものである。色フィルタ12は、特定の波長域の光を通す樹脂層であり、各色(たとえば、R、G、B)に対応した顔料を樹脂に分散させたもの、または各色(たとえば、R、G、B)に対応した染料で樹脂を着色したものである。平坦化層13は、後述の製造工程で遮光膜14Aを形成した後(
図12(b)参照)、色フィルタ12を形成する前に表面を平坦化するための層である。
【0020】
遮光膜14Aは、チャンネルストップ15b近傍を遮光するための膜であり、ノイズの発生や混色を防止する。光電変換部15aは、到達した光を光電変換し、信号電荷を蓄積する。チャンネルストップ部15bは、2つの撮像画素210の間の境界部分に形成され、光電変換部15aにおいて発生した信号電荷が周囲の画素に入り込むのを防止する。配線層17は、後述の信号出力線、電源線、リセット制御線、転送ゲート制御線、行選択制御線などの配線を有する。配線の詳細については後述する。
【0021】
図6(a)は焦点検出画素211の正面図である。
図6(b)は、
図6(a)のB−B断面図である。焦点検出画素211は、マイクロレンズ10、マイクロレンズ固定層11、透明膜18、平坦化層13、遮光膜14B、半導体層16および配線層17から構成される。半導体層16の一方の面には、光電変換部15aとチャンネルストップ部15bとが形成される。マイクロレンズ10、マイクロレンズ固定層11、平坦化層13、光電変換部15a、チャンネルストップ部15bおよび配線層17は、撮像画素210と同様の機能を有するので説明を省略する。
【0022】
遮光膜14Bは、
図6(b)に示す光電変換部15aの右半分または左半分に、入射する光が当たるように開口して形成される。光電変換部15aの右半分に光が入射する焦点検出画素211aと、光電変換部15aの左半分に光が入射する焦点検出画素211bとは交互に配列される。焦点検出画素211aの出力分布と、焦点検出画素211bの出力分布とを比較してデフォーカス量を算出する。透明膜18は、可視光域における全ての波長の光を通す樹脂層である。
【0023】
次に、
図7を参照して焦点検出方法を説明する。本発明の実施形態では、いわゆる瞳分割方式によって焦点を検出する。
図7は、交換レンズ102の焦点が合っていないときの焦点検出画素211の出力分布を示す図である。曲線21は、焦点検出画素211aの出力分布を示す曲線である。曲線22は、焦点検出画素211bの出力分布を示す曲線である。焦点検出画素211aと焦点検出画素211bとは交互に配列されている。曲線21は、曲線22の右側にずれているので、焦点検出画素211の位置が後ピンであることがわかる。
【0024】
この2つの出力分布21,22の像ズレ量に所定の変換係数を乗ずることによって、予定結像面に対する現在の結像面(予定結像面上のマイクロレンズ10の位置に対応した焦点検出位置における結像面)の偏差(デフォーカス量)を算出することができる。交換レンズ102が合焦すると、曲線21と曲線22とが一致するようになる。
【0025】
図8を参照して、撮像素子111の基本画素構成を説明する。上述したように、撮像素子111は裏面照射型の4TR−CMOSセンサであり、基本画素300は、光電変換部33と、電荷電圧変換部34と、転送ゲートトランジスタ32、ソースホロアトランジスタ35、行選択トランジスタ36、リセットトランジスタ31の4トランジスタとから構成される。また、基本画素300は、信号出力線V
OUT、電源線Vdd、リセット制御線φR、転送ゲート制御線φTGおよび行選択制御線φRSと接続している。
【0026】
リセットトランジスタ31は電荷電圧変換部34を初期電位にリセットする。転送ゲートトランジスタ32は光電変換された信号電荷を電荷電圧変換部34に転送する。光電変換部33は、上述したように到達した光を光電変換し、信号電荷を蓄積する。電荷電圧変換部34は信号電荷を電位に変換する浮遊容量であり、この浮遊容量はコンデンサとして機能するダイオードで生じる。ソースホロアトランジスタ35は、蓄積電荷による電荷電圧変換部34の電位変化を増幅する。行選択トランジスタ36は、信号を転送する基本画素300を選択するためのスイッチングを行う。
【0027】
信号出力線V
OUTは、基本画素300から出力される信号を転送するための配線であり、行選択トランジスタ36のドレインと接続する。電源線Vddは、電荷電圧変換部34の電位変化を増幅する電力を供給する配線であり、リセットトランジスタ31のソースと接続する。リセット制御線φRは、リセットトランジスタ31のオン/オフを制御するための配線であり、リセットトランジスタ31のゲートと接続する。転送ゲート制御線φTGは、信号電荷の電荷電圧変換部34への転送を制御するための配線であり、転送ゲートトランジスタ32のゲートと接続する。行選択制御線φRSは、行選択トランジスタ36のオン/オフを制御するための配線であり、行選択トランジスタ36のゲートと接続する。
【0028】
図9を参照して、1つの画素に含まれる配線について説明する。
図9に示すように、撮像素子111は、並列配置された画素の1つの行において、信号出力線V
OUT、電源線Vdd、リセット制御線φR、転送ゲート制御線φTGおよび行選択制御線φRSをそれぞれ2本ずつ有し、1つの列において4本の信号出力線V
OUTを有する。これにより、複数の基本画素300の信号を一度に読み出すことができ、撮像素子111の検出速度を速くすることができる。これに伴い、
図9中において点線で示した1つの画素51に含まれる配線には、基本画素300と接続する配線の他に、この基本画素300と接続せず他の画素の基本画素300と接続する配線も含まれる。このため、1つの画素に含まれる配線の数は多くなる。
【0029】
図10を参照して、撮像素子111の配線層17における配線について説明する。
図10(a)は、配線層17の配線をマイクロレンズ10側から見たときの平面図である。
図10(b)は
図10(a)のC−C断面図である。
図10(a),(b)に示すように、配線層の配線は3層にわたって格子状に形成される。光電変換部15aから見て、第1層目には、4本の信号出力線V
OUTと2本のバイアス線Vbとが形成され、第2層目には、2本の電源線Vddと2本のリセット制御線φRとが形成される。第3層目には、2本の転送ゲート制御線φTGと2本の行選択制御線φRSとが形成される。バイアス線Vbは、混信防止のために形成される。
【0030】
図10(b)に示すように、配線層17は、光電変換部15aに対して光の入射側の反対側に形成されるため、光電変換部15aの位置の制限(制約)を受けずに自由に配線を形成することができる。つまり、本実施形態では、撮像素子111の受光面側から光電変換部15aの受光領域を投影したときの投影と重なる領域にも配線を形成することができる。一方、撮像素子が表面照射型の場合、配線層は、光電変換部15aに対して光の入射側に形成されるため、光電変換部の受光領域と重ならないように配線を形成する必要がある。
【0031】
また、本実施形態では、撮像素子111の配線層17は、光電変換部15aの位置の制限を受けないため、配線の線幅を広げて、信号の伝送効率を上げることもできる。
【0032】
次に、
図11〜
図13を参照して、本発明の実施形態における撮像素子111の製造方法について説明する。
図11〜
図13は、撮像素子111のうちの特に焦点検出画素211の部分を示す。
【0033】
図11(a)に示すように、半導体基板60上にP型エピタキシャル層61を形成し、そのP型エピタキシャル層61の表面に拡散層を形成して、光電変換部15a、チャンネルストップ部15b、トランジスタなどを構成する他の素子(不図示)を形成する。このP型エピタキシャル層61は半導体層16に相当する。次に、
図11(b)に示すように、CVDによるシリコンの酸化膜の形成およびスパッタリングによるアルミニウム(Al)配線の形成を繰り返して、P型エピタキシャル層61の上に配線層17を形成する。そして、
図11(c)に示すように、配線層17の上に支持基板62を張り合わせる。
【0034】
図12(a)に示すように、エッチングによって半導体基板60を除去する。次に、
図12(b)に示すように、半導体基板60を除去した表面にスパッタ法によりアルミニウム(Al)の遮光膜14Bを形成する。そして、
図12(c)に示すように、表面を平坦化するために、平坦化層13を形成する樹脂を遮光膜14B上に均一塗布した後、透明膜18を形成する。たとえば、透明膜18は、樹脂の塗布、塗布した樹脂の乾燥、パターン露光、現像処理の工程を経て形成される。
【0035】
図13(a)に示すように、透明膜18上にマイクロレンズ固定層11を形成する樹脂を塗布した後、マイクロレンズ10を形成する樹脂を塗布し、周知のリソグラフィーにて、所望の形状にパターニングし、マイクロレンズ基体63を形成する。次に、
図13(b)に示すように、ホットプレートなどを用いてマイクロレンズ基体63を半球状に加熱成形してマイクロレンズ10を形成する。そして、支持基板62を取り除いて撮像素子111が完成する。
【0036】
撮像画素210の部分では、色フィルタ12は透明膜18に対応し、遮光膜14Aは遮光膜14Bに対応して形成される。色フィルタ12と透明膜18とは同じ工程で形成され、遮光膜14Aと遮光膜14Bとは同じ工程で形成される。
【0037】
なお、撮像素子において、マイクロレンズ10と、色フィルタ12と、透明膜18とを形成できれば、マイクロレンズ固定層11や平坦化層13を省略してもよい。
【0038】
以上説明した実施形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)撮像素子111を裏面照射型とし、二次元状に並べて配置された複数の画素に、撮像画素210とともに焦点検出画素211が含まれるようにした。これにより、焦点検出画素211の遮光膜14Bの実質的な開口面積を大きくとることができるので、画素が小型化されても焦点検出画素の搭載が可能になる。
【0039】
また、配線層を光電変換部15aの光入射側とは反対側に配設するようにしたので、配線層が光電変換部15aの光入射側に配設される表面照射型に比して、マイクロレンズ10から光電変換部15aまでの距離を少なくとも配線層の分だけ短くすることができるので、焦点の検出精度を上げることができる。
【0040】
(2)焦点検出画素211は、一方の面に光電変換部15aを形成するとともに他方の面を受光面とする半導体層16と、光電変換部15aに入射する光の一部を遮蔽する遮光膜14Bと、光電変換部15aからの信号を読み出す配線V
OUTとを備え、配線V
OUTは半導体層16の一方の面側に形成され、遮光膜14Bは半導体層16の他方の面側に形成されるようにした。これにより、マイクロレンズと光電変換部との間に光電変換部からの信号を読み出す配線を形成しなくてはならない表面照射型の撮像素子の場合に比して、マイクロレンズ10と光電変換部15aとの間の距離を短く(浅く)することができるので、焦点の検出精度を上げることができる。
【0041】
(3)焦点検出画素211は、光電変換部15aからの信号を読み出さず、他の画素における光電変換部からの信号を読み出す配線を半導体層16の一方の面側に備えるようにした。これにより、複数の基本画素300の信号を一度に読み出すように配線を形成することができ、撮像素子111の検出速度を速くすることができる。
【0042】
(4)配線は、撮像素子111の受光面側から光電変換部15aの受光領域を投影したときの投影と重なるようにした。これにより、配線の層数をあまり増やすことなく、焦点検出画素211に多くの配線を形成したり、配線の幅を広くしたりすることができる。一方、撮像素子が表面照射型の場合、光電変換部の受光領域と重ならないように配線を形成する必要があるため、多くの配線を形成しようとすると配線の層数が多くなったり、配線の幅を広げられなかったりする場合がある。
【0043】
(5)遮光膜14A,14Bの形状の自由度が高いので、遮光膜14A,14Bの形状を検討することにより、撮像画素の画素間分離性能を上げたり、画素間でのクロストーク、光漏れ出しによるラインクロール現象などを抑制したりすることができる。
【0044】
(6)半導体基板60の表面にP型エピタキシャル層61を形成し、P型エピタキシャル層61の表面に光電変換部15aを形成し、光電変換部15a上に配線層17を形成し、P型エピタキシャル層61から半導体基板60を除去し、P型エピタキシャル層61の半導体基板60を除去した面上に遮光膜14A,14Bを形成し、遮光膜14A,14B上に透明膜18と色フィルタ12とを形成し、透明膜18上および色フィルタ12上にマイクロレンズ10を形成して撮像素子111を製造するようにした。これにより、裏面照射型撮像素子を効率的に製造することができる。
【0045】
以上の実施の形態を次のように変形することができる。
(1)電極や配線の機能を遮光膜14A,14Bに持たせるようにしてもよい。これにより、撮像素子としての機能向上させることができる。たとえば、画素の高速読み出しを可能としたり、画素独立制御を可能としたりすることができる。遮光膜14A,14Bに持たせる機能としては、たとえば、信号線(信号出力線V
OUT)、電源線Vdd、制御線(リセット制御線φR、転送ゲート制御線φTG、行選択制御線φRS)、バイアス線Vbのいずれかの機能を遮光膜14A,14Bに持たせるようにしてもよい。これにより、複数の画素を同時に読み取ったり、複数の画素を同時に制御したりするために配線を増やすとき、配線層17の層数の増加を抑制することができる。
【0046】
また、電極や配線の機能を遮光膜14A,14Bに持たせるようにすることにより、信号線、制御線、電源線、バイアス線の分離自由度を上げることができる。信号線、制御線、電源線、バイアス線の中で、他の電極や配線から離して形成した方がよいものがある。そのような配線の機能を遮光膜14A,14Bに持たせるようにし、他の配線を配線層17に形成することにより、配線同士を離して形成することができる。たとえば、信号線が制御線の近くに形成されると混信が発生する場合がある。そこで、信号線および制御線のうちの一方の配線の機能を遮光膜14A,14Bに持たせ、他方の配線を配線層17に形成することにより、信号線を制御線から離して形成することができる。
【0047】
この場合、P型エピタキシャル層61を貫通する貫通孔をエッチングなどで形成し、この貫通孔を利用して、P型エピタキシャル層61の表面に形成された光電変換部15aや他の素子と遮光膜14A,14Bとを電気的に接続するための配線を形成してもよい。
【0048】
(2)以上の実施形態では配線層17の配線の層数は3層であったが、配線の層数は3層に限定されない。たとえば、配線層17の配線の層数を10層まで増やして、同時に読み取ったり、同時に制御したりすることができる画素の数を増やすようにしてもよい。表面照射型撮像素子と異なり、配線の層数を増やしても、マイクロレンズ10と光電変換部15aとの間の距離が大きくなることはない。また、配線層17の配線の層数を2層まで減らして、機能制限を行い、製造コストを下げるようにしてもよい。
【0049】
(3)遮光膜14A,14Bをフローティングにしてもよいし、遮光膜14A,14Bにバイアスをかけたり遮光膜14A,14Bを電源に固定したりして遮光膜14A,14Bに電圧を印加するようにしてもよい。これにより、負荷容量を増減させたり、混信を防止したりすることができる。
【0050】
(4)遮光膜14A,14Bの材料として反射率の高いアルミニウム(Al)を使用したが、アルミニウム(Al)の反射率より低い所定の反射率以下の金属を使用するようにしてもよい。たとえば、タングステン(W)、チタン(Ti)またはスズ(Sn)を遮光膜14A,14Bの材料として使用するようにしてもよい。これにより、遮光膜14A,14Bを反射した光が光電変換部15aに入射して電子カメラ101が撮影した画像の画質が劣化するのを抑制することができる。また、タングステン(W)、チタン(Ti)またはスズ(Sn)の代わりに、タングステン(W)の可視光の反射率以下、チタン(Ti)の可視光の反射率以下、またはスズ(Sn)の可視光の反射率以下の反射率を有する金属を使用するようにしてもよい。
【0051】
また、アルミニウム(Al)の反射率より低い所定の反射率以下の光を透過しない酸化物または窒化物を遮光膜14A,14Bとして使用するようにしてもよい。たとえば、タングステン(W)の可視光の反射率以下、チタン(Ti)の可視光の反射率以下、またはスズ(Sn)の可視光の反射率以下の反射率を有し、可視光を透過しない酸化物、窒化物を使用するようにしてもよい。酸化物としては、たとえば、タングステン酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物などがある。窒化物としては、たとえば、タングステン窒化物、チタン窒化物、スズ窒化物などがある。遮光膜14A,14Bは、半導体基板60を除去した後(
図12(a)参照)、CVDやスパッタリングなどにより形成される。
【0052】
(5)遮光膜14A,14Bの材料として反射率の高いアルミニウム(Al)を使用したが、アルミニウム(Al)の反射率より低い所定の反射率以下で光を透過しない樹脂を使用するようにしてもよい。たとえば、チタンブラックやカーボンブラックなどの黒色の顔料を含有した光硬化樹脂、または黒色の染料で着色した光硬化樹脂を遮光膜14A,14Bの材料として使用するようにしてもよい。これにより、遮光膜14A,14Bを反射した光が光電変換部15aに入射するのを抑制することができる。また、チタンブラックやカーボンブラックなどの黒色の顔料を含有した光硬化樹脂、または黒色の染料で着色した光硬化樹脂の代わりに、タングステン(W)の可視光の反射率以下、チタン(Ti)の可視光の反射率以下、またはスズ(Sn)の可視光の反射率以下の反射率を有し、可視光を透過しない樹脂を使用するようにしてもよい。遮光膜14A,14Bは、たとえば、半導体基板60を除去した後(
図12(a)参照)、樹脂の塗布、塗布した樹脂の乾燥、パターン露光、現像処理の工程を経て形成される。
【0053】
(6)アルミニウム(Al)の反射率より低い所定の反射率以下の金属の膜を遮光膜14A,14Bの表面に形成するようにしてもよい。たとえば、タングステン(W)、チタン(Ti)またはスズ(Sn)の膜を遮光膜14A,14Bの表面に形成するようにしてもよい。これにより、遮光膜14A,14Bを反射した光が光電変換部15aに入射するのを抑制することができる。また、タングステン(W)、チタン(Ti)またはスズ(Sn)の代わりに、タングステン(W)の可視光の反射率以下、チタン(Ti)の可視光の反射率以下、またはスズ(Sn)の可視光の反射率以下の反射率を有する金属の膜を遮光膜14A,14Bの表面に形成するようにしてもよい。
【0054】
また、アルミニウム(Al)の反射率より低い所定の反射率以下の光を透過しない酸化物または窒化物の膜を遮光膜14A,14Bの表面に形成するようにしてもよい。たとえば、タングステン(W)の可視光の反射率以下、チタン(Ti)の可視光の反射率以下、またはスズ(Sn)の可視光の反射率以下の反射率を有し、可視光を透過しない酸化物または窒化物の膜を遮光膜14A,14Bの表面に形成するようにしてもよい。酸化物としては、たとえば、タングステン酸化物、チタン酸化物、スズ酸化物などがある。窒化物としては、たとえば、タングステン窒化物、チタン窒化物、スズ窒化物などがある。これらの膜は、遮光膜14A,14Bを形成した後(
図12(b)参照)、CVDやスパッタリングなどにより形成される。
【0055】
(7)アルミニウム(Al)の反射率より低い所定の反射率以下で光を透過しない樹脂の膜を遮光膜14A,14Bの表面に形成するようにしてもよい。たとえば、チタンブラックやカーボンブラックなどの黒色の顔料を含有した光硬化樹脂、または黒色の染料で着色した光硬化樹脂の膜を遮光膜14A,14Bの表面に形成するようにしてもよい。これにより、遮光膜14A,14Bを反射した光が光電変換部15aに入射するのを抑制することができる。また、チタンブラックやカーボンブラックなどの黒色の顔料を含有した光硬化樹脂、または黒色の染料で着色した光硬化樹脂の代わりに、タングステン(W)の可視光の反射率以下、チタン(Ti)の可視光の反射率以下、またはスズ(Sn)の可視光の反射率以下の反射率を有し、可視光を透過しない樹脂膜を遮光膜14A,14Bの表面に形成するようにしてもよい。これらの膜は、たとえば、遮光膜14A,14Bを形成した後(
図12(b)参照)、樹脂の塗布、塗布した樹脂の乾燥、パターン露光、現像処理の工程を経て形成される。
【0056】
(8)上述の所定の反射率以下の遮光膜14A,14Bの表面に上述の所定の反射率以下の材料の膜を形成するようにしてもよい。これにより、これにより、遮光膜14A,14Bを反射した光が光電変換部15aに入射するのをさらに抑制することができる。
【0057】
(9)撮像素子111は4TR−CMOSセンサであったが、裏面照射型の撮像素子であれば、4TR−CMOSセンサに限定されない。たとえば、他のCMOSセンサでもよいし、CCD(Charge Coupled Device)でもよい。
【0058】
実施形態と変形例の一つ、もしくは複数を組み合わせることも可能である。変形例同士をどのように組み合わせることも可能である。
【0059】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明は上記実施形態の構成に何ら限定されるものではない。