(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の結像光学系では、画角を広げようとすると、レンズ全長、レンズ径ともに大きくなってしまうが、光軸を折り曲げるミラー等の反射部材を光学系内に挿入する空間が無いため、小型化が難しいという問題がある。また、変倍の際に移動する移動レンズ群を備えるリレーレンズ部分のレンズ径が大きいため、移動レンズ群を移動させるための機構を含めた場合に、大型化してしまうという問題がある。
【0007】
本開示は、上記事情に鑑みなされたものであり、小型で、広い画角を備えつつ、諸収差が適切に補正された高い光学性能を有する結像光学系、この結像光学系を備えた投写型表示装置、および、この結像光学系を備えた撮像装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
【0009】
<1> 光軸に沿って拡大側から順に、第1レンズ群と、第2レンズ群とからなり、光軸上において第1レンズ群と第2レンズ群との間に中間像が形成され、第1レンズ群および第2レンズ群の少なくとも一方は、光軸を折り曲げる反射部材を備え、第2レンズ群は、変倍の際に移動する移動レンズ群を備え、広角端での第2レンズ群の縮小側における最大像高の歪曲収差をDr、広角端での第2レンズ群の縮小側における最大像高の近軸像面とタンジェンシャル像面との光軸方向の差をTr、広角端での第2レンズ群の縮小側における最大像高の近軸像面とサジタル像面との光軸方向の差をSr、広角端での全系の焦点距離をfwとした場合、
−1<Dr<1 …(1)
−5<(Tr+Sr)/|fw|<−0.5 …(2)
で表される条件式(1)および(2)を満足する結像光学系。
【0010】
<2> 広角端での第2レンズ群の焦点距離をfrとした場合、
5<fr/|fw|<100 …(3)
で表される条件式(3)を満足する<1>の結像光学系。
【0011】
<3> 広角端での移動レンズ群内のレンズ面における主光線高さの最大値をHzmax、全系の縮小側における最大像高をImaxとした場合、
Hzmax/Imax<1.5 …(4)
で表される条件式(4)を満足する<1>または<2>の結像光学系。
【0012】
<4> 反射部材は、光軸に沿って拡大側から順に、光軸を90°折り曲げる第1反射部材と、光軸を90°折り曲げる第2反射部材とを備える<1>から<3>のいずれかの結像光学系。
【0013】
<5> 最も拡大側のレンズ面から第1反射部材までの光軸上の距離をLa、第1反射部材から第2反射部材までの光軸上の距離をLb、第2反射部材から最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離をLcとした場合、
1<Lc/La<2 …(5)
1.2<Lb/La<2.5 …(6)
で表される条件式(5)および(6)を満足する<4>の結像光学系。
【0014】
<6> 縮小側がテレセントリックである<1>から<5>のいずれかの結像光学系。
【0015】
<7> −0.5<Dr<0.5 …(1−1)
で表される条件式(1−1)を満足する<1>の結像光学系。
【0016】
<8> −3<(Tr+Sr)/|fw|<−1 …(2−1)
で表される条件式(2−1)を満足する<1>の結像光学系。
【0017】
<9> 10<fr/|fw|<30 …(3−1)
で表される条件式(3−1)を満足する<2>の結像光学系。
【0018】
<10> 0≦Hzmax/Imax<1 …(4−1)
で表される条件式(4−1)を満足する<3>の結像光学系。
【0019】
<11> 画像データに基づく光学像を出力するライトバルブと、<1>から<10>のいずれかの結像光学系とを備え、結像光学系は、ライトバルブから出力された光学像をスクリーン上に投写する投写型表示装置。
【0020】
<12> <1>から<10>のいずれかの結像光学系を備えた撮像装置。
【0021】
本明細書の「〜からなり」、「〜からなる」は、挙げられた構成要素以外に、実質的に屈折力を有さないレンズ、並びに、絞り、フィルタ、およびカバーガラス等のレンズ以外の光学要素、並びに、レンズフランジ、レンズバレル、撮像素子、および手振れ補正機構等の機構部分等が含まれていてもよいことを意図する。
【0022】
また、「レンズ群」は、レンズ以外にも、絞り、マスク、カバーガラス、フィルタ、ミラー、およびプリズム等のレンズ以外の光学要素等を含んでもよいことを意図する。
【0023】
また、各条件式の記号のうち、焦点距離については、近軸焦点距離である。各条件式は、系全体の縮小側をテレセントリックとして計算する。第2レンズ群の収差量は、全系の縮小側の像位置と第2レンズ群の縮小側の像位置とを合わせた状態で評価する。条件式で用いている値は、d線を基準とした場合の値である。非球面に関する屈折力の符号および面形状は、特に断りが無い限り近軸領域で考えることにする。本明細書に記載の「d線」、「C線」、および「F線」は輝線であり、d線の波長は587.56nm(ナノメートル)、C線の波長は656.27nm(ナノメートル)、F線の波長は486.13nm(ナノメートル)である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一実施形態によれば、小型で、広い画角を備えつつ、諸収差が適切に補正された高い光学性能を有する結像光学系、この結像光学系を備えた投写型表示装置、および、この結像光学系を備えた撮像装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる結像光学系のレンズ構成を示す断面図である。
図1に示す構成例は、後述の実施例1の結像光学系の構成と共通である。
図1においては、広角端状態を示し、拡大側の光軸を基準として光軸を展開したときに、左側が拡大側、右側が縮小側となるように記載している。また、図示されている開口絞りStは必ずしも大きさや形状を表すものではなく、光軸Z上の位置を示すものである。また、光束として軸上光束Aおよび最大画角の光束Bを併せて記入している。
【0027】
この結像光学系は、例えば投写型表示装置に搭載されて、ライトバルブに表示された画像情報をスクリーンへ投写するものとして使用可能である。
図1では、投写型表示装置に搭載される場合を想定して、色合成部または照明光分離部に用いられるフィルタやプリズムなどを想定した光学部材PPと、ライトバルブの画像表示面Simも合わせて図示している。投写型表示装置においては、画像表示面Simに配された画像表示素子により画像情報を与えられた光束が、光学部材PPを介して、この結像光学系に入射され、この結像光学系により不図示のスクリーン上に投写されるようになる。
【0028】
図1に示す通り、本実施形態の結像光学系は、光軸Zに沿って拡大側から縮小側に向かって順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2とからなり、光軸Z上において第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間に中間像Mが形成されるリレータイプの結像光学系である。なお、
図1中において中間像Mは模式的に示されたものであり、実際の形状を示したものではない。
【0029】
このように、中間像Mを形成する結像光学系では、適切な長さのバックフォーカスを確保できるとともに、拡大側のレンズ径を小さくすることが可能であり、広角化に適した構成とすることができる。
【0030】
また、第1レンズ群G1および第2レンズ群G2の少なくとも一方は、光軸を折り曲げる反射部材を備える。反射部材としては、ミラーまたはプリズム等の反射面を有する光学素子を用いることができる。本実施形態の結像光学系では、反射部材として、第1レンズ群G1に第1反射部材R1を備え、第2レンズ群G2に第2反射部材R2を備えた例を示している。リレータイプの結像光学系は、一般的にレンズ系の全長が長くなるが、反射部材を設けて光軸を折り曲げることによって、結像光学系を小型化することができる。なお、反射部材は、レンズ群においてレンズとレンズの間に挟まれている態様に限らず、レンズ群の最も拡大側もしくは最も縮小側に配されている態様としてもよい。
【0031】
また、リレーレンズ群である第2レンズ群G2は、変倍の際に移動する移動レンズ群を備える。本実施形態の結像光学系では、第2レンズ群G2中において、レンズL2bにより第1移動レンズ群が構成され、レンズL2cからL2hの6枚のレンズにより第2移動レンズ群が構成された例を示している。変倍の際に、第1移動レンズ群および第2移動レンズ群は、隣接する群との光軸方向の間隔を変化させるように光軸に沿って移動する。このように、広角の第1レンズ群G1ではなく、リレーレンズ群である第2レンズ群G2が移動レンズ群を備えることによって、像面湾曲および歪曲収差の変動を少なくすることができる。
【0032】
また、広角端での第2レンズ群G2の縮小側における最大像高の歪曲収差(単位は%とする)をDr、広角端での第2レンズ群G2の縮小側における最大像高の近軸像面とタンジェンシャル像面との光軸方向の差をTr、広角端での第2レンズ群G2の縮小側における最大像高の近軸像面とサジタル像面との光軸方向の差をSr、広角端での全系の焦点距離をfwとした場合、条件式(1)および(2)を満足するように構成されている。
−1<Dr<1 …(1)
−5<(Tr+Sr)/|fw|<−0.5 …(2)
【0033】
広角の結像光学系では、拡大側に負レンズを多く使用するため、第1レンズ群G1は負の歪曲収差が発生しやすい。そのため、第2レンズ群G2で負の大きな歪曲収差を発生させると、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2を合わせた全系の歪曲収差の補正が困難になる。以上のことから、条件式(1)の下限以下とならないようにして、第2レンズ群G2の負の歪曲収差が大きくなり過ぎないようにすることによって、全系の歪曲収差を抑えることができる。
【0034】
リレーレンズ群である第2レンズ群G2では、開口絞りSt(第1レンズ群G1に開口絞りがある場合は、第2レンズ群G2中において開口絞りと共役関係にある位置)より縮小側の正レンズで発生した負の歪曲収差を、開口絞りStより拡大側の正レンズで打ち消している。また、上記の通り広角の結像光学系では、第1レンズ群G1は負の歪曲収差が発生しやすく、第1レンズ群G1で発生する負の歪曲収差を打ち消すために、第2レンズ群G2で正の歪曲収差を発生させようとすると、開口絞りStより拡大側に正レンズが必要となる。そのため、中間像M付近に正レンズが必要となり、中間像M付近の光束径が大きくなるため、リレーレンズ群である第2レンズ群G2の径が大きくなる傾向にある。以上のことから、条件式(1)の上限以上とならないようにして、第2レンズ群G2の正の歪曲収差が大きくなり過ぎないようにすることによって、第2レンズ群G2の径が大きくなるのを防ぐことができる。なお、上記においては、実際の部品として開口絞りStが存在する場合について記載したが、開口絞りStが実際の部品として存在しない場合であっても、光学的には主光線と光軸との交点の位置が開口絞りStに相当し、上記と同様の効果を奏する。
【0035】
なお、条件式(1−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
−0.5<Dr<0.5 …(1−1)
【0036】
広角の結像光学系では、拡大側に負レンズを多く使用するため、第1レンズ群G1はペッツバール和が負となり、正の大きな像面湾曲が発生しやすい。そのため、第2レンズ群G2に適切な量の負の像面湾曲を発生させて、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2とで両者の像面湾曲を打ち消すことによって、全系の像面湾曲を補正することができる。条件式(2)の下限以下とならないようにして、第2レンズ群G2において、第1レンズ群G1で発生する正の像面湾曲を打ち消す以上の過剰な負の像面湾曲を発生させないようにすることによって、全系の像面湾曲を抑えることができる。条件式(2)の上限以上とならないようにして、第2レンズ群G2において、第1レンズ群G1で発生する正の像面湾曲を打ち消すための負の像面湾曲を発生させることによって、全系の像面湾曲を抑えることができる。なお、条件式(2−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
−3<(Tr+Sr)/|fw|<−1 …(2−1)
【0037】
本実施形態の結像光学系においては、広角端での第2レンズ群G2の焦点距離をfr、広角端での全系の焦点距離をfwとした場合、条件式(3)を満足することが好ましい。条件式(3)を満足し、リレーレンズ群である第2レンズ群G2が正の屈折力をもつことによって、第1レンズ群G1から第2レンズ群G2に向かう周辺の光束を狭くすることができるため、第2レンズ群G2のレンズ径を小さくすることができる。条件式(3)の下限以下とならないようにすることによって、第2レンズ群G2の屈折力が強くなりすぎるのを防ぐことができるため、第2レンズ群G2内における球面収差および軸上色収差等の収差補正を適切に行うことができる。条件式(3)の上限以上とならないようにすることによって、第2レンズ群G2の屈折力が弱くなりすぎるのを防ぐことができるため、第2レンズ群G2のレンズ径の拡大を抑えることができる。なお、条件式(3−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
5<fr/|fw|<100 …(3)
10<fr/|fw|<30 …(3−1)
【0038】
また、広角端での移動レンズ群内のレンズ面における主光線高さの最大値をHzmax、全系の縮小側における最大像高をImaxとした場合、条件式(4)を満足することが好ましい。条件式(4)の上限以上とならないようにすることによって、移動レンズ群のレンズ径の拡大を抑えることができるため、結像光学系の小型化に有利となる。なお、条件式(4−1)を満足するものとすれば、より良好な特性とすることができる。
Hzmax/Imax<1.5 …(4)
0≦Hzmax/Imax<1 …(4−1)
【0039】
また、反射部材は、光軸に沿って拡大側から順に、光軸を90°折り曲げる第1反射部材R1と、光軸を90°折り曲げる第2反射部材R2とを備えることが好ましい。このように、2つの反射部材を備えることによって、結像光学系の全長を短縮することができる。また、2つの反射部材がいずれも光軸を90°折り曲げるものとすることによって、結像光学系の小型化に有利となる。この場合、
図1に示すように、2つの反射部材がいずれも同じ方向に光軸を90°折り曲げるようにしてもよいし、
図2に示すように、2つの反射部材が互いに反対の方向に光軸を90°折り曲げるようにしてもよい。
【0040】
反射部材として、光軸に沿って拡大側から順に、光軸を90°折り曲げる第1反射部材R1と、光軸を90°折り曲げる第2反射部材R2とを設けた場合、最も拡大側のレンズ面から第1反射部材R1までの光軸上の距離をLa、第1反射部材R1から第2反射部材R2までの光軸上の距離をLb、第2反射部材R2から最も縮小側のレンズ面までの光軸上の距離をLcとした場合、条件式(5)および(6)を満足することが好ましい。条件式(5)および(6)ともに下限以下とならないようにすることによって、結像光学系を投写型表示装置に搭載にした際に、結像光学系の縮小側に配されるライトバルブなどの映像エンジン部と第1レンズ群G1との干渉を防ぐことができる。条件式(5)および(6)ともに上限以上とならないようにすることによって、結像光学系を投写型表示装置に搭載した際に、結像光学系の縮小側に配されるライトバルブなどの映像エンジン部と第1レンズ群G1との間隔が開きすぎるのを防ぐことができるため、装置全体の小型化に有利となる。
1<Lc/La<2 …(5)
1.2<Lb/La<2.5 …(6)
【0041】
また、高精細な画像を投写する投写型表示装置では、RGB(Red、Green、Blue)各々の波長に対応して画像表示素子が設けられた、いわゆる3板方式が採用されることが多い。このような方式に対応するため、縮小側がテレセントリックであることが好ましい。なお、縮小側がテレセントリックであるとは、縮小側の画像表示面Simの任意の点に集光する光束の断面において、上側の最大光線と下側の最大光線との2等分角線が光軸と平行に近い状態を指すものであり、完全にテレセントリックな場合、すなわち上記2等分角線が光軸Zに対して完全に平行な場合に限るものではなく、多少の誤差がある場合を含む。ここで多少の誤差がある場合とは、光軸に対する上記2等分角線の傾きが±3°の範囲内の場合を意味する。
【0042】
次に、本発明の結像光学系の数値実施例について説明する。
【0043】
[実施例1]
実施例1の結像光学系の構成を示す断面図を
図1に、実施例1の結像光学系の変形例を示す断面図を
図2に示す。
図1の図示方法は上述しており、
図2についても
図1と同じ図示方法であるため、ここでは重複説明を一部省略する。また、図示方法については、実施例2〜4についても基本的に同様である。
【0044】
図1に示す実施例1の結像光学系は、光軸Zに沿って拡大側から縮小側に向かって順に、第1レンズ群G1と、第2レンズ群G2とからなり、光軸Z上において第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間に中間像Mが形成されるリレータイプの結像光学系である。
【0045】
第1レンズ群G1は、レンズL1aからL1nの14枚のレンズと、L1hとL1iの間に配され光軸Zを90°折り曲げる第1反射部材R1とから構成される。
【0046】
第2レンズ群G2は、レンズL2aからL2iの9枚のレンズと、L2aの拡大側に配され光軸Zを90°折り曲げる第2反射部材R2とから構成される。第2レンズ群G2中においては、レンズL2bにより第1移動レンズ群が構成され、レンズL2cからL2hの6枚のレンズにより第2移動レンズ群が構成される。変倍の際に、第1移動レンズ群および第2移動レンズ群は、隣接する群との光軸方向の間隔を変化させるように光軸Zに沿って移動する。
【0047】
第1反射部材R1および第2反射部材R2は、いずれも同じ方向に光軸を90°折り曲げるように配されている。
【0048】
図2に示す実施例1の結像光学系の変形例においては、第1反射部材R1および第2反射部材R2は、互いに反対の方向に光軸を90°折り曲げるように配されている。
【0049】
実施例1の結像光学系の基本レンズデータを表1に、諸元に関するデータを表2に、可変面間隔に関するデータを表3に、非球面係数に関するデータを表4に示す。以下では、表中の記号の意味について、実施例1のものを例にとり説明するが、実施例2〜4についても基本的に同様である。
【0050】
表1のレンズデータにおいて、面番号の欄には最も拡大側の構成要素の面を1番目として縮小側に向かうに従い順次増加する面番号を示し、曲率半径の欄には各面の曲率半径を示し、面間隔の欄には各面とその次の面との光軸Z上の間隔を示す。また、nの欄には各光学要素のd線における屈折率を示し、νの欄には各光学要素のd線におけるアッベ数を示す。また、曲率半径の符号は、面形状が拡大側に凸の場合を正、縮小側に凸の場合を負としている。基本レンズデータには、開口絞りSt、光学部材PPも含めて示している。開口絞りStに相当する面の面番号の欄には面番号とともに(絞り)という語句を記載している。また、表1のレンズデータにおいて、合焦時に間隔が変化する面間隔の欄にはそれぞれDD[面番号]と記載している。このDD[面番号]に対応する数値は表3に示している。
【0051】
表2の諸元に関するデータに、ズーム倍率、焦点距離の絶対値|f|、バックフォーカスBf、FナンバーFNo.、全画角2ω[°]の値を示す。
【0052】
表1のレンズデータでは、非球面の面番号に*印を付しており、非球面の曲率半径として近軸の曲率半径の数値を示している。表4の非球面係数に関するデータには、非球面の面番号と、これら非球面に関する非球面係数を示す。表4の非球面係数の数値の「E±n」(n:整数)は「×10
±n」を意味する。非球面係数は、下記式で表される非球面式における各係数KA、Amの値である。
Zd=C・h
2/{1+(1−KA・C
2・h
2)
1/2}+ΣAm・h
m
ただし、
Zd:非球面深さ(高さhの非球面上の点から、非球面頂点が接する光軸に垂直な平面に下ろした垂線の長さ)
h:高さ(光軸からの距離)
C:近軸曲率半径の逆数
KA、Am:非球面係数
であり、非球面深さZdにおけるΣはmに関する総和を意味する。
【0053】
基本レンズデータおよび諸元に関するデータにおいては、広角端の焦点距離で規格化した値を示している。角度の単位としては°を用いている。
【0058】
実施例1の結像光学系の各収差図を
図9に示す。
図9では左から順に、球面収差、非点収差、歪曲収差、および倍率色収差を示す。
図9では、上段に広角端において拡大側結像面から第1レンズ群G1の最も拡大側の面までの距離を図中記載の距離(実施例1では151)とした状態の各収差図を示し、中段に望遠端において拡大側結像面から第1レンズ群G1の最も拡大側の面までの距離を図中記載の距離(実施例1では151)とした状態の各収差図を示し、下段に広角端における第2レンズ群G2のみの各収差図を示す。
【0059】
球面収差図では、d線、C線、およびF線における収差をそれぞれ実線、長破線、および短破線で示す。非点収差図では、サジタル方向のd線における収差を実線で示し、タンジェンシャル方向のd線における収差を短破線で示す。歪曲収差図ではd線における収差を実線で示す。倍率色収差図では、C線およびF線における収差をそれぞれ長破線、および短破線で示す。球面収差図のFNo.はFナンバーを意味し、その他の収差図のωは半画角を意味する。
【0060】
[実施例2]
次に、実施例2の結像光学系について説明する。実施例2の結像光学系の構成を示す断面図を
図3に、実施例2の結像光学系の変形例を示す断面図を
図4に示す。実施例2の結像光学系は、実施例1の結像光学系と同様の構成である。また、実施例2の結像光学系の基本レンズデータを表5に、諸元に関するデータを表6に、可変面間隔に関するデータを表7に、非球面係数に関するデータを表8に、各収差図を
図10に示す。
【0065】
[実施例3]
次に、実施例3の結像光学系について説明する。実施例3の結像光学系の構成を示す断面図を
図5に、実施例3の結像光学系の変形例を示す断面図を
図6に示す。実施例3の結像光学系は、第2レンズ群G2中において、L2aからL2bの2枚のレンズにより第1移動レンズ群が構成され、レンズL2cからL2hの6枚のレンズにより第2移動レンズ群が構成される以外は、実施例1の結像光学系と同様の構成である。また、実施例3の結像光学系の基本レンズデータを表9に、諸元に関するデータを表10に、可変面間隔に関するデータを表11に、非球面係数に関するデータを表12に、各収差図を
図11に示す。
【0070】
[実施例4]
次に、実施例4の結像光学系について説明する。実施例4の結像光学系の構成を示す断面図を
図7に、実施例4の結像光学系の変形例を示す断面図を
図8に示す。実施例4の結像光学系は、第2レンズ群G2中において、L2aからL2bの2枚のレンズにより第1移動レンズ群が構成され、レンズL2cからL2eの3枚のレンズにより第2移動レンズ群が構成され、レンズL2fからL2hの3枚のレンズにより第3移動レンズ群が構成される以外は、実施例1の結像光学系と同様の構成である。また、実施例4の結像光学系の基本レンズデータを表13に、諸元に関するデータを表14に、可変面間隔に関するデータを表15に、非球面係数に関するデータを表16に、各収差図を
図12に示す。
【0075】
実施例1〜4の結像光学系の条件式(1)〜(6)に含まれる記号に対応する値を表17に、実施例1〜4の結像光学系の条件式(1)〜(6)に対応する値を表18に示す。なお、全実施例ともd線を基準波長としており、下記の表17および18に示す値はこの基準波長におけるものである。
【0078】
以上のデータから、実施例1〜4の結像光学系は全て、条件式(1)〜(6)を満たしており、小型で、全画角が120°以上と広い画角を備えつつ、諸収差が適切に補正された高い光学性能を有する結像光学系であることが分かる。
【0079】
次に、本発明の実施形態に係る投写型表示装置について説明する。
図13は、本発明の一実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図である。
図13に示す投写型表示装置100は、本発明の実施形態に係る結像光学系10と、光源15と、各色光に対応したライトバルブとしての透過型表示素子11a〜11cと、色分解のためのダイクロイックミラー12、13と、色合成のためのクロスダイクロイックプリズム14と、コンデンサレンズ16a〜16cと、光軸を偏向するための全反射ミラー18a〜18cとを有する。なお、
図13では、結像光学系10は概略的に図示している。また、光源15とダイクロイックミラー12の間にはインテグレーターが配されているが、
図13ではその図示を省略している。
【0080】
光源15からの白色光は、ダイクロイックミラー12、13で3つの色光光束(G光、B光、R光)に分解された後、それぞれコンデンサレンズ16a〜16cを経て各色光光束にそれぞれ対応する透過型表示素子11a〜11cに入射して光変調され、クロスダイクロイックプリズム14により色合成された後、結像光学系10に入射する。結像光学系10は、透過型表示素子11a〜11cにより光変調された光による光学像をスクリーン105上に投写する。
【0081】
図14は、本発明の別の実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図である。
図14に示す投写型表示装置200は、本発明の実施形態に係る結像光学系210と、光源215と、各色光に対応したライトバルブとしてのDMD素子21a〜21cと、色分解および色合成のためのTIR(Total Internal Reflection)プリズム24a〜24cと、照明光と投写光を分離する偏光分離プリズム25とを有する。なお、
図14では結像光学系210を概略的に図示している。また、光源215と偏光分離プリズム25の間にはインテグレーターが配されているが、
図14ではその図示を省略している。
【0082】
光源215からの白色光は、偏光分離プリズム25内部の反射面で反射された後、TIRプリズム24a〜24cにより3つの色光光束(G光、B光、R光)に分解される。分解後の各色光光束はそれぞれ対応するDMD素子21a〜21cに入射して光変調され、再びTIRプリズム24a〜24cを逆向きに進行して色合成された後、偏光分離プリズム25を透過して、結像光学系210に入射する。結像光学系210は、DMD素子21a〜21cにより光変調された光による光学像をスクリーン205上に投写する。
【0083】
図15は、本発明のさらに別の実施形態に係る投写型表示装置の概略構成図である。
図15に示す投写型表示装置300は、本発明の実施形態に係る結像光学系310と、光源315と、各色光に対応したライトバルブとしての反射型表示素子31a〜31cと、色分離のためのダイクロイックミラー32、33と、色合成のためのクロスダイクロイックプリズム34と、光軸偏向のための全反射ミラー38と、偏光分離プリズム35a〜35cとを有する。なお、
図15では、結像光学系310は概略的に図示している。また、光源315とダイクロイックミラー32の間にはインテグレーターが配されているが、
図15ではその図示を省略している。
【0084】
光源315からの白色光はダイクロイックミラー32、33により3つの色光光束(G光、B光、R光)に分解される。分解後の各色光光束はそれぞれ偏光分離プリズム35a〜35cを経て、各色光光束それぞれに対応する反射型表示素子31a〜31cに入射して光変調され、クロスダイクロイックプリズム34により色合成された後、結像光学系310に入射する。結像光学系310は、反射型表示素子31a〜31cにより光変調された光による光学像をスクリーン305上に投写する。
【0085】
図16、
図17は、本発明の一実施形態に係る撮像装置であるカメラ400の外観図である。
図16は、カメラ400を前側から見た斜視図を示し、
図17は、カメラ400を背面側から見た斜視図を示す。カメラ400は、交換レンズ48が取り外し自在に装着される、レフレックスファインダーを持たない一眼形式のデジタルカメラである。交換レンズ48は、本発明の実施形態にかかる光学系である結像光学系49を鏡筒内に収納したものである。
【0086】
このカメラ400はカメラボディ41を備え、カメラボディ41の上面にはシャッターボタン42と電源ボタン43とが設けられている。またカメラボディ41の背面には、操作部44、45と表示部46とが設けられている。表示部46は、撮像された画像およびまたは撮像される前の画角内にある画像等を表示するためのものである。
【0087】
カメラボディ41の前面中央部には、撮影対象からの光が入射する撮影開口が設けられ、その撮影開口に対応する位置にマウント47が設けられ、マウント47を介して交換レンズ48がカメラボディ41に装着されるようになっている。
【0088】
カメラボディ41内には、交換レンズ48によって形成された被写体像に応じた撮像信号を出力するCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子(図示せず)、その撮像素子から出力された撮像信号を処理して画像を生成する信号処理回路、およびその生成された画像を記録するための記録媒体等が設けられている。このカメラ400では、シャッターボタン42を押すことにより静止画または動画の撮影が可能であり、この撮影で得られた画像データが上記記録媒体に記録される。
【0089】
以上、実施形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明の結像光学系は、上記実施例のものに限られるものではなく種々の態様の変更が可能であり、例えば各レンズの曲率半径、面間隔、屈折率、およびアッベ数を適宜変更することが可能である。
【0090】
また、本発明の投写型表示装置も、上記構成のものに限られるものではなく、例えば、用いられるライトバルブおよび光束分離または光束合成に用いられる光学部材は、上記構成に限定されず、種々の態様の変更が可能である。ライトバルブは、光源からの光を画像表示素子により空間変調して、画像データに基づく光学像として出力する態様に限定されず、自発光型の画像表示素子から出力された光自体を、画像データに基づく光学像として出力する態様であってもよい。自発光型の画像表示素子としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)またはOLED(Organic Light Emitting Diode)等の発光素子が2次元配列された画像表示素子が挙げられる。
【0091】
また、本発明の撮像装置も、上記構成のものに限られるものではなく、例えば、一眼レフ形式のカメラや、フィルムカメラ、およびビデオカメラ等に適用することも可能である。