(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記円環状のスリットは、前記遠心分離室を構成する前記対向する2つの部材のうち、前記開口部が設けられていない部材に設けられている請求項1に記載の粉体分級装置。
前記円環状のスリットは、前記遠心分離室を構成する前記対向する2つの前記部材にそれぞれ設けられており、前記開口部が設けられた部材に、設けられた前記円環状のスリットは、前記開口部と同心円状に配置されている請求項1に記載の粉体分級装置。
前記粗粉回収部は、複数の第1のエアノズルと、前記複数の第1のエアノズルに対して前記他方の部材側に設けられた複数の第2のエアノズルまたは複数のガイドベーンとで構成されており、
前記複数の第2のエアノズルに対して前記他方の部材側または前記複数のガイドベーンに対して前記他方の部材側、かつ前記遠心分離室の外縁部にある隙間により、前記遠心分離室と、前記粗粉を前記遠心分離室外に排出するための粗粉回収室とが連通されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の粉体分級装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の粉体分級装置を詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態の粉体分級装置の第1の例を示す模式的断面図であり、
図2は本発明の実施形態の粉体分級装置の第1の例のスリットの配置位置を示す模式図である。
図1に示す粉体分級装置10は、気体で形成される旋回流により粉体に与えられる遠心力と抗力とのバランスを利用して、粒度分布を持つ原料粉体を所望の粒径(分級点)において微粉と粗粉とに分級するものである。例えば、
図1に示す粉体分級装置10は、後述の円環状のスリット50により粗粉P
c2を1方向から取り除く構成である。
【0014】
図1に示す粉体分級装置10は、例えば、円筒状のケーシング12を有する。ケーシング12の内部に、円形状の上部円盤状部14が形成されている。上部円盤状部14に対向して所定の間隔を隔てて、外形が略円状の下部円盤状部16が配置されている。上部円盤状部14と下部円盤状部16とは方向Hに対して対向している。
略円盤形状の遠心分離室18が上部円盤状部14と下部円盤状部16の間に区画形成され、遠心分離室18は周方向外周がケーシング12の環状部19によって閉鎖されている。このように遠心分離室18は対向する上部円盤状部14と下部円盤状部16に挟まれた空間である。上部円盤状部14と下部円盤状部16は、いずれも遠心分離室18の空間を構成する部材である。
【0015】
上部円盤状部14の中央部に開口部14aが形成されており、開口部14aは遠心分離室18と連通している。開口部14aは、例えば、円形である。
上部円盤状部14は開口部14aの縁に沿って、遠心分離室18内に突出する第1の壁部20が設けられている。第1の壁部20は、例えば、開口部14aと同じ内径を有する円筒部材で構成されている。第1の壁部20と開口部14aとは連通している。第1の壁部20に対向し、かつ所定の間隔をあけて隙間23が生じるように、他方の部材である下部円盤状部16に円筒状の第2の壁部22が設けられている。第1の壁部20と第2の壁部22とは遠心分離室18の方向Wにおける中央部に配置されている。この方向Wは方向Hと直交する方向である。
上部円盤状部14の遠心分離室18に面している表面部24は、例えば、方向Wに平行な平面で構成されている。
下部円盤状部16の遠心分離室18に面している表面部26は、例えば、方向Wに平行な平面で構成されている。
【0016】
開口部14aに微粉回収管30がケーシング12の表面12aに対して垂直な方向に延出して設けられている。この垂直な方向は、上述の方向Hと平行な方向である。
微粉回収管30は、遠心分離室18内で分級された微粉Pfを含む気体を、隙間23を経て遠心分離室18外に排出するためのものである。微粉回収管30は、遠心分離室18とは反対側の端部30cに、例えば、バグフィルター(図示せず)等を介して吸引ブロワ(図示せず)が接続されている。バグフィルター(図示せず)、および吸引ブロワ(図示せず)等により微粉回収装置が構成される。また、微粉回収管30により微粉回収部が構成される。
また、下部円盤状部16の外端部16aとケーシング12との間には隙間39がある。隙間39は遠心分離室18の外縁部に位置する。ケーシング12の下方に、例えば、中空円錐台状の粗粉回収室28が設けられている。遠心分離室18と粗粉回収室28とは隙間39により連通している。また、遠心分離室18の外縁部は、方向Hにおける高さが中央部に比して高くなっており、遠心分離室18の外縁部は方向Hに広がっている。
【0017】
粗粉回収室28は、遠心分離室18内で分級された粗粉P
c1を遠心分離室18外に排出するためのものである。粗粉回収室28には分級された粗粉を収集する粗粉回収管(図示せず)が設けられている。粗粉回収管の下端にはロータリーバルブ(図示せず)を介してホッパー(図示せず)が設けられている。遠心分離室18内で分級された粗粉P
c1は隙間39を通り粗粉回収室28、粗粉回収管を経てホッパーに回収される。粗粉回収室28により粗粉回収部が構成される。
【0018】
ケーシング12の環状部19には、方向Hにおいて微粉回収管30側に、複数の第1のエアノズル34が設けられている。また、環状部19には、方向Hにおいて第1のエアノズル34の下方に第2のエアノズル38が設けられている。
第1のエアノズル34は、遠心分離室18の外縁に沿って複数設けられており、それぞれ遠心分離室18の外縁の接線方向に対して所定の角度を有しながら、遠心分離室18の周方向に互いに均等な間隔で、例えば、6個配置されている。
詳細な図示はしないが、第2のエアノズル38も第1のエアノズル34と同様に、遠心分離室18の外縁に沿って複数設けられており、それぞれ遠心分離室18の外縁の接線方向に対して所定の角度を有しながら、遠心分離室18の周方向に互いに均等な間隔で、例えば、6個配置されている。第1のエアノズル34と第2のエアノズル38とにより気体供給部が構成される。
【0019】
第1のエアノズル34と第2のエアノズル38は、それぞれ加圧気体供給部(図示せず)に接続されている。加圧気体供給部から所定の圧力の気体が第1のエアノズル34および第2のエアノズル38に供給されて、それぞれから加圧気体を噴出することにより、遠心分離室18に互いに同一方向に旋回する旋回流が形成される。なお、気体は、分級する原料粉体、または目的等に応じて適宜決定されるものであるが、気体には、例えば、空気が用いられる。原料粉体が空気と反応する場合には、反応しない他の気体が適宜利用される。
第1のエアノズル34、および第2のエアノズル38を設ける個数は、上述の個数に限定されるものではなく、1つでも複数でもよく、装置構成等に応じて適宜決定される。
また、第2のエアノズル38はノズルに限定されるものではなく、ガイドベーン等でもよく装置構成に応じて適宜決定される。
【0020】
ケーシング12の表面12aには、方向Wにおいて微粉回収管30に対して所定の間隔をあけて供給管42が設けられている。供給管42は、ケーシング12の外縁部に設けられている。例えば、供給管42の上部に、遠心分離室18内に原料粉体Psを供給するための原料供給部40が設けられている。供給管42は、例えば、上部が中空円錐台状であり、ケーシング12との接続部が直径が一定の管で構成されている。
【0021】
上部円盤状部14において、遠心分離室18の中央部と遠心分離室18の外縁部との間の領域に、遠心分離室18内に連通する円環状のスリット50が設けられている。円環状のスリット50は、遠心分離室18内の気体を遠心分離室18外に排出するものであり、開口部14aの外側に設けられている。
例えば、微粉回収管30の外周30bに、隙間をあけて管52が配置されている。微粉回収管30と管52との間に規制部材31が配置されて、所定の幅を有する円環状のスリット50が構成される。円環状のスリット50は、微粉回収管30の外周30bに設けられた規制部材31により所定の幅にされているが、規制部材31がない部分では隙間が広くなっている。すなわち、規制部材31がない部分では円環状のスリット50の幅が広くなっており、円環状のスリット50は、吸込口50aよりも幅が広い流路54を有する。
管52は、一部が略90°に曲がっている。管52の曲がった終端の端部52cに、例えば、バグフィルター(図示せず)等を介して吸引ブロワ(図示せず)が接続されている。バグフィルター(図示せず)、および吸引ブロワ(図示せず)等により粗粉回収装置が構成される。
また、円環状のスリット50は、
図2に示すように、スリットの内径Drが開口部14aの第1の壁部20の外径Dcよりも大きい。開口部14aと円環状のスリット50とは同心円状に配置されている。
【0022】
吸引ブロアにより、管52内が吸引されて、円環状のスリット50の吸込口50aから、遠心分離室18内に供給された原料粉体Psのうち、微粉Pfよりも大きく、かつ粗粉P
c1よりも小さい粉体(以下、粗粉P
c2ともいう)を含む気体が遠心分離室18外に排出される。これにより、粗粉P
c2が取り除かれる。なお、微粉Pfと、粗粉P
c1と、粗粉P
c2との関係は、Pf<P
c2<P
c1である。
図1に示す粉体分級装置10では、円環状のスリット50を設けることにより、原料粉体Psの中から、粗粉P
c1以外に、微粉Pfよりも粒径の大きい粗粉P
c2を取り除くことができる。これにより、得られる微粉Pfの粒径をより小さいものにすることができる。このことから、分級精度を維持し、かつ分級点をより小さくすることができる。
なお、円環状のスリット50の吸引量は、微粉回収管30(微粉回収部)の吸引量よりも小さいことが好ましい。
円環状のスリット50における吸引量が大きくなると、遠心分離室18内で形成された旋回流に使用される気体が少なくなるので、旋回流自体が弱くなり、旋回流の強さによって決まる微粉Pfの粒径は、かえって大きくなってしまうためである。
【0023】
次に、粉体分級装置の第2の例について説明する。
図3は本発明の実施形態の粉体分級装置の第2の例を示す模式的断面図である。
図3に示す粉体分級装置10aにおいて、
図1に示す粉体分級装置10と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図3に示す粉体分級装置10aは、
図1に示す粉体分級装置10に比して、上部円盤状部14の表面部24と、下部円盤状部16の表面部26との構成が異なり、それ以外の構成は
図1に示す粉体分級装置10と同様の構成である。
図3に示す粉体分級装置10aは、
図1に示す粉体分級装置10と同じ効果を得ることができる。
【0024】
図3に示す粉体分級装置10aにおいては、上部円盤状部14の遠心分離室18に面している表面部24では、円筒状の第1の壁部20に近い側に傾斜部24bが形成されている。下部円盤状部16の遠心分離室18に面している表面部26では、円筒状の第2の壁部22に近い側に傾斜部26bが形成されている。傾斜部24bと傾斜部26bとは平面で構成された斜面であり、断面形状が直線で、遠心分離室18の高さが高くなるように傾斜している。
【0025】
上部円盤状部14の方向Wと平行な線に対する傾斜部24bの角度、および下部円盤状部16の傾斜部26bの角度をいずれもθで表す。角度θは5°〜30°であることが好ましく、より好ましくは10°〜20°である。角度θが5°〜30°程度であれば、原料粉体Psを微粉Pfと粗粉P
c1と、粗粉P
c2とに分級した場合、分級点を微小化することができる。
上部円盤状部14の傾斜部24bの角度θと、下部円盤状部16の傾斜部26bの角度θとは、同じであっても違っていてもよい。
【0026】
次に、粉体分級装置の第3の例について説明する。
図4は本発明の実施形態の粉体分級装置の第3の例を示す模式的断面図である。
図4に示す粉体分級装置10bにおいて、
図3に示す粉体分級装置10aと同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図4に示す粉体分級装置10bは、
図3に示す粉体分級装置10aに比して、円環状のスリット50の構成と、微粉回収管30の構成とが異なり、それ以外の構成は
図3に示す粉体分級装置10aと同様の構成である。
図4に示す粉体分級装置10bは、微粉回収管30がストレート管で構成されている。微粉回収管30は先端部30aが遠心分離室18内に突出して配置されている。粉体分級装置10bでは、微粉回収管30の先端部30aが第1の壁部20を構成し、微粉回収管30の先端部30aの開口、すなわち、第1の壁部20の開口が開口部14aとなる。
微粉回収管30の外周30bに、隙間をあけて管52が配置されている。管52は、吸込口50a側において隙間にせり出した張出部52bを有する。微粉回収管30の外周30bと張出部52bとにより円環状のスリット50が構成され、円環状のスリット50が所定の幅にされる。
図4に示す粉体分級装置10bは、円環状のスリット50の位置が微粉回収管30の外周30bであっても、
図3に示す粉体分級装置10aと同じ効果を得ることができる。
【0027】
次に、粉体分級装置の第4の例について説明する。
図5は本発明の実施形態の粉体分級装置の第4の例を示す模式的断面図である。
図5に示す粉体分級装置10cにおいて、
図3に示す粉体分級装置10aと同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図5に示す粉体分級装置10cは、
図3に示す粉体分級装置10aに比して、円環状のスリット50の構成が異なり、それ以外の構成は
図3に示す粉体分級装置10aと同様の構成である。
図5に示す粉体分級装置10cは、円環状のスリット50の内径が大きく、遠心分離室18の外縁部側に設けられている。管52は円環状のスリット50側の端が拡径しており、拡径部52dを有する。拡径部52dに、微粉回収管30の外周に設けられた規制部材33が配置されている。拡径部52dと規制部材33とにより、円環状のスリット50の流路が屈曲する。また、規制部材33は遠心分離室18側の端面が傾斜しており、規制部材33により傾斜部24bが構成される。
図5に示す粉体分級装置10cは、円環状のスリット50が遠心分離室18の外縁部側に配置され、かつ円環状のスリット50の流路が屈曲しても、上述のように粗粉P
c2を回収することができ、
図3に示す粉体分級装置10aと同じ効果を得ることができる。
【0028】
次に、粉体分級装置の第5の例について説明する。
図6は本発明の実施形態の粉体分級装置の第5の例を示す模式的断面図であり、
図7は本発明の実施形態の粉体分級装置の第5の例のスリットの配置位置を示す模式的断面図である。
図6および
図7に示す粉体分級装置10dにおいて、
図3に示す粉体分級装置10aと同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図6に示す粉体分級装置10dは、
図3に示す粉体分級装置10aに比して、円環状のスリット50の構成が異なり、それ以外の構成は
図3に示す粉体分級装置10aと同様の構成である。
【0029】
図6に示す粉体分級装置10dの円環状のスリット50は、
図7に示すように、吸込口50aの吸込面50bの向きが異なり、開口部14aの開口面14bと平行ではなく、開口部14aの開口面14bと直交している。また、円環状のスリット50は、吸込口50aと幅が同じである屈曲した流路51を有する。この流路51は吸込口50aよりも幅が広い流路54と連通している。円環状のスリット50の一部は、傾斜部24bが規制部材31に向かって延在することにより構成されている。
図6に示す粉体分級装置10dは、
図7に示すように吸込口50aの吸込面50bと開口部14aの開口面14bとが直交し、上述の屈曲した流路51を有する円環状のスリット50であっても、上述のように粗粉P
c2を回収することができ、
図3に示す粉体分級装置10aと同じ効果を得ることができる。
【0030】
次に、粉体分級装置の第6の例について説明する。
図8は本発明の実施形態の粉体分級装置の第6の例を示す模式的断面図である。
図8に示す粉体分級装置10eにおいて、
図3に示す粉体分級装置10aと同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図8に示す粉体分級装置10eは、
図3に示す粉体分級装置10aに比して、2つの円環状のスリット50、62を有する点が異なり、それ以外の構成は
図3に示す粉体分級装置10aと同様の構成である。
【0031】
図8に示す粉体分級装置10eは、円環状のスリット50と、円環状のスリット62とが対向して設けられている。円環状のスリット62は下部円盤状部16に設けられている。
円環状のスリット62は、吸込口62aが傾斜部26bに面して設けられている。吸込口62aに連通され、吸込口62aよりも幅の広い流路64を有する。
円環状のスリット62は、円環状のスリット50と同じく、スリットの内径(図示せず)が開口部14aの第1の壁部20の外径Dc(
図2参照)よりも大きい。ケーシング12を表面12a側から方向Hに見た場合、例えば、開口部14aと円環状のスリット62とは同心円状に配置されている。すなわち、開口部14aと、円環状のスリット50と、円環状のスリット62とは同心円状に配置されている。
【0032】
下部円盤状部16の下面16bに、流路64に連通する中空円錐台状の回収室66が設けられている。回収室66には排出管68が設けられている。排出管68の端部68cに、例えば、バグフィルター(図示せず)等を介して吸引ブロワ(図示せず)が接続される。バグフィルター(図示せず)、および吸引ブロワ(図示せず)等により粗粉回収装置が構成される。
吸引ブロアにより、排出管68内が吸引されると、円環状のスリット62の吸込口62aから、遠心分離室18内に供給された原料粉体Psのうち、粗粉P
c2が遠心分離室18外に排出される。これにより、粗粉P
c2が取り除かれる。
図8に示す粉体分級装置10eでは、円環状のスリット50と、円環状のスリット62とを設け、粗粉P
c2を遠心分離室18の上下方向の2方向から取り除くことができ、
図3に示す粉体分級装置10aと同じ効果を得ることができる。
【0033】
図8に示す粉体分級装置10eでは、円環状のスリット50と、円環状のスリット62とを設け遠心分離室18の上下方向から粗粉P
c2を取り除く構成としたが、これに限定されるものではなく、
図9に示す粉体分級装置10fの第7の例のように、上部円盤状部14に円環状のスリット50を設けることなく、下部円盤状部16にだけ円環状のスリット62を設け、粗粉P
c2を1方向から取り除く構成でもよい。この場合、ケーシング12を表面12a側から方向Hに見た場合、例えば、開口部14aと円環状のスリット62とは同心円状に配置されている。
粉体分級装置10fでは、吸引ブロアにより、排出管68内が吸引されると、円環状のスリット62により、遠心分離室18内に供給された原料粉体Psのうち、粗粉P
c2が遠心分離室18外に排出される。これにより、粗粉P
c2が取り除かれる。このように開口部14aが設けられていない部材に、円環状のスリット62を設ける構成でもよく、しかも
図3に示す粉体分級装置10aと同じ効果を得ることができる。
【0034】
なお、円環状のスリットは、遠心分離室18を構成する対向する上部円盤状部14と下部円盤状部16との2つの部材のうち、少なくとも一方の部材に設けられていればよく、
図9に示す粉体分級装置10fのように下部円盤状部16にだけ円環状のスリット62を設ける構成でもよい。
また、円環状のスリットは、開口部と同心円状に配置されていることが好ましい。円環状のスリットが、開口部が設けられていない部材(下部円盤状部16)に設けられている場合、ケーシング12を表面12a側から方向Hに見た場合、例えば、開口部14aと円環状のスリット62とは同心円状に配置されていることが好ましい。
【0035】
次に、粉体分級装置の第8の例について説明する。
図10は本発明の実施形態の粉体分級装置の第8の例を示す模式的断面図である。
図10に示す粉体分級装置10gにおいて、
図3に示す粉体分級装置10aと同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図10に示す粉体分級装置10gは、
図3に示す粉体分級装置10aに比して、第2のエアノズル38に代えてガイドベーン70が設けられている点が異なり、それ以外の構成は
図3に示す粉体分級装置10aと同様の構成である。
【0036】
図10に示す粉体分級装置10gでは、
図3に示す粉体分級装置10aにおける第2のエアノズル38と同じく、遠心分離室18の外縁に沿って複数のガイドベーン70が設けられている。また、ガイドベーン70は、環状部19に、方向Hにおいて第1のエアノズル34の下方に設けられている。ガイドベーン70は第1のエアノズル34と同様に、それぞれ遠心分離室18の外縁の接線方向に対して所定の角度を有しながら、遠心分離室18の周方向に互いに均等な間隔で配置されている。
複数のガイドベーン70の外周部に、空気を溜め、かつ遠心分離室18内に気体を供給するための押し込み室72がある。押し込み室72が加圧気体供給部(図示せず)に接続されている。加圧気体供給部から所定の圧力の気体を、押し込み室72を介して複数のガイドベーン70の間から加圧気体を供給する。第1のエアノズル34およびガイドベーン70にそれぞれ加圧気体を供給することで、遠心分離室18に旋回流が発生する。
【0037】
粉体分級装置10gでは、原料粉体Psが遠心分離室18内部を旋回しながら下方に移動する間に遠心分離されるが、ガイドベーン70は、遠心分離の際の原料粉体Psの旋回速度を調整する機能を有する。各ガイドベーン70は、例えば、回動軸(図示せず)により環状部19に回動可能に軸支され、かつピン(図示せず)により回動板(図示せず)に係止されている。例えば、回動板を回動させることにより全てのガイドベーン70が同時に、所定角度回動するように構成されている。回動板を回動させて、全てのガイドベーン70を所定角度回動させることで各ガイドベーン70の間隔を調整して、ガイドベーン70の間隔を通過する気体、例えば、空気の流速を変えることができる。これにより、分級点等の分級性能を変更することができる。また、ガイドベーン70を設けることで、分級点の選択幅を広くできる。
図10に示す粉体分級装置10gも、
図3に示す粉体分級装置10aと同じ効果を得ることができる。
【0038】
ガイドベーン70を
図3に示す粉体分級装置10aの第2のエアノズル38に代えて設ける構成としたが、これに限定されるものではない。
図1に示す粉体分級装置10、および
図4に示す粉体分級装置10b〜
図9に示す粉体分級装置10fにおいて、第2のエアノズル38に代えてガイドベーン70を設ける構成とすることもできる。
【0039】
また、
図5に示す粉体分級装置10cの第3の例〜
図10に示す粉体分級装置10gの第8の例では、傾斜部24bと傾斜部26bを有する遠心分離室18の構成としたが、これに限定されるものではない。
図5に示す粉体分級装置10cの第3の例〜
図10に示す粉体分級装置10gの第8の例のいずれにおいても、
図1に示す粉体分級装置10のように表面部24を方向Wに平行な平面で構成し、表面部26を方向Wに平行な平面で構成してもよい。また、いずれの粉体分級装置においても、表面部24を方向Wに平行な平面で構成し、表面部26に傾斜部26bが形成された構成でもよく、また、表面部24に傾斜部24bが形成された構成とし、表面部26を方向Wに平行な平面で構成してもよい。
【0040】
以下、本発明の粉体分級装置による分級について説明する。
本出願人は、本発明の粉体分級装置による分級について確認した。具体的には、上述の
図1に示す粉体分級装置10と、
図11に示す比較のための粉体分級装置100を用いて、原料粉体に対して分級を試みた。
【0041】
図11は比較のための粉体分級装置を示す模式的断面図である。
図11に示す粉体分級装置100において、
図1に示す粉体分級装置10と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図11に示す粉体分級装置100は、
図1に示す粉体分級装置10に比して、円環状のスリット50が形成されていない点以外は、
図1に示す粉体分級装置10と同様の構成である。なお、第1のエアノズル34および第2のエアノズル38の数は6である。
【0042】
本発明の粉体分級装置10と比較のための粉体分級装置100とは風量等の分級条件を同じ条件として分級を実施した。
原料粉体には、銀粒子、およびシリコン粒子を用いた。分級の結果を、原料粉体の平均粒子径とともに下記表1に示す。なお、以下に示す粒子径は、全てBET法を用いて得られたBET径である。
また、銀粒子の原料粉体、シリコン粒子の原料粉体、本発明の分級後粒子、比較の分級後粒子を、それぞれ
図12(a)〜(c)および
図13(a)〜(c)に示す。
図12(a)は分級前の銀粒子の原料粒子のSEM像を示す模式図であり、(b)は本発明の粉体分級装置による分級後の銀粒子のSEM像を示す模式図であり、(c)は比較のための粉体分級装置による分級後の銀粒子のSEM像を示す模式図である。
図13(a)は分級前のシリコン粒子の原料粒子のSEM像を示す模式図であり、(b)は本発明の粉体分級装置による分級後のシリコン粒子のSEM像を示す模式図であり、(c)は比較のための粉体分級装置による分級後のシリコン粒子のSEM像を示す模式図である。
【0044】
銀粒子では、表1、
図12(b)および
図12(c)に示すように、本発明の方が分級により得られた微粉の粒子径が小さい。シリコン粒子では、表1、
図13(b)および
図13(c)に示すように、本発明の方が分級により得られた微粉の粒子径が小さい。このように、本発明では、粒子の種類を問わず、分級点をより小さくすることができる。
【0045】
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の粉体分級装置について詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。