特許第6982280号(P6982280)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982280
(24)【登録日】2021年11月24日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】高硬度ハードコート積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/16 20060101AFI20211206BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20211206BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20211206BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20211206BHJP
   C09D 4/00 20060101ALI20211206BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20211206BHJP
【FI】
   B32B27/16 101
   B32B27/18 Z
   B32B27/40
   B32B27/30 A
   C09D4/00
   C09D7/61
【請求項の数】10
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2018-545035(P2018-545035)
(86)(22)【出願日】2017年10月11日
(86)【国際出願番号】JP2017036874
(87)【国際公開番号】WO2018070446
(87)【国際公開日】20180419
【審査請求日】2020年9月10日
(31)【優先権主張番号】特願2016-201362(P2016-201362)
(32)【優先日】2016年10月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】松山 元信
(72)【発明者】
【氏名】辻本 晴希
【審査官】 赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−076029(JP,A)
【文献】 特開2005−126453(JP,A)
【文献】 特開2013−035275(JP,A)
【文献】 特開2010−237572(JP,A)
【文献】 特開2015−199910(JP,A)
【文献】 特開2016−125049(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/060458(WO,A1)
【文献】 特開2015−160902(JP,A)
【文献】 特開2016−145304(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00− 43/00
C09D 1/00− 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材より上方のプライマー層と、該プライマー層の上方のハードコート層からなる、高硬度ハードコート積層体であって、
前記プライマー層が、
(A)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー及び活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーからなる群から選択される多官能化合物100質量部、
(B)無機微粒子100〜1,000質量部、及び
(C)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤 成分(A)及び成分(B)の合計100質量部に対して1〜20質量部、
を含み、
前記成分(B)の無機微粒子が、活性エネルギー線重合性基を有する粒子である、
プライマー層形成用組成物の硬化物からなり、
前記ハードコート層が、
(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー100質量部、
(b)ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の両末端に、ポリ(オキシアルキレン)基がそれぞれ結合し、該両末端の各ポリ(オキシアルキレン)基にそれぞれウレタン結合基が1つ結合し、該両末端の各ウレタン結合基に活性エネルギー線重合性基がそれぞれ結合したパーフルオロポリエーテル0.1〜10質量部、及び
(c)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤1〜20質量部
を含む硬化性組成物の硬化物からなる、
高硬度ハードコート積層体。
【請求項2】
前記成分(B)の無機微粒子が、10〜100nmの平均粒子径を有する粒子である、請求項1に記載の高硬度ハードコート積層体。
【請求項3】
前記成分(B)の無機微粒子が、シリカ微粒子である、請求項1又は請求項2に記載の高硬度ハードコート積層体。
【請求項4】
前記成分(b)のパーフルオロポリエーテルのポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基が、−[OCF]−及び−[OCFCF]−を繰り返し単位として有する基である、請求項1乃至請求項3のうち何れか一項に記載の高硬度ハードコート積層体。
【請求項5】
前記成分(b)のパーフルオロポリエーテルのポリ(オキシアルキレン)基が、ポリ(オキシエチレン)基である、請求項1乃至請求項4のうち何れか一項に記載の高硬度ハードコート積層体。
【請求項6】
前記成分(A)の多官能モノマーが、多官能(メタ)アクリレート化合物及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1乃至請求項5のうち何れか一項に記載の高硬度ハードコート積層体。
【請求項7】
前記成分(a)の多官能モノマーが、多官能(メタ)アクリレート化合物及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである、請求項1乃至請求項6のうち何れか一項に記載の高硬度ハードコート積層体。
【請求項8】
前記成分(C)の活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤が、アルキルフェノン類重合開始剤である、請求項1乃至請求項7のうち何れか一項に記載の高硬度ハードコート積層体。
【請求項9】
前記成分(c)の活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤が、アルキルフェノン類重合開始剤である、請求項1乃至請求項8のうち何れか一項に記載の高硬度ハードコート積層体。
【請求項10】
基材の少なくとも一方の面にプライマー層と、該プライマー層の上方にハードコート層を備える高硬度ハードコート積層体の製造方法であって、
基材上にプライマー層形成用組成物を塗布して塗膜を形成する工程、
該プライマー層形成用組成物の塗膜に活性エネルギー線を照射し該塗膜を硬化させ、プライマー層を形成する工程、
前記プライマー層上に硬化性組成物を塗布して塗膜を形成する工程、及び
該硬化性組成物の塗膜に活性エネルギー線を照射し該塗膜を硬化させ、ハードコート層を形成する工程、を含み、
前記プライマー層形成用組成物が、
(A)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー及び活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーからなる群から選択される多官能化合物100質量部、
(B)無機微粒子100〜1,000質量部、及び
(C)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤 成分(A)及び成分(B)の合計100質量部に対して1〜20質量部
を含み、及び、前記成分(B)の無機微粒子が、活性エネルギー線重合性基を有する粒子であり、
前記硬化性組成物が、
(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー100質量部、
(b)ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の両末端に、ポリ(オキシアルキレン)基がそれぞれ結合し、該両末端の各ポリ(オキシアルキレン)基にそれぞれウレタン結合基が1つ結合し、該両末端の各ウレタン結合基に活性エネルギー線重合性基がそれぞれ結合したパーフルオロポリエーテル0.1〜10質量部、及び
(c)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤1〜20質量部
を含む、
高硬度ハードコート積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐擦傷性に優れるハードコート層を備える高硬度ハードコート積層体並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピューター、携帯電話、携帯ゲーム機器、ATM等のフラットパネルディスプレイにタッチパネルが搭載された製品が非常に数多く商品化されている。特に、スマートフォンやタブレットPCの登場により、マルチタッチ機能を有する静電容量式タッチパネルが一気にその搭載数を伸ばしている。
【0003】
これらタッチパネルディスプレイ表面には薄い強化ガラスが用いられており、このガラスが飛散するのを防止するためにディスプレイ表面に保護フィルムが貼り付けられる。保護フィルムは、プラスチックフィルムを用いるためガラスより傷が付き易く、その表面に耐擦傷性に優れるハードコート層を設けることが必要となる。プラスチックフィルム表面に耐擦傷性を付与するには、例えば高度の架橋構造を形成する、すなわち分子運動性の低い架橋構造を形成することで表面硬度を高め、外力への抵抗性を与える手法が採られる。
これらのハードコート層形成材料として現在最も用いられている多官能アクリレート系材料は、その多くが常温で液状のモノマーであり、光重合開始剤から発生したラジカルにより3次元架橋する。アクリレート系は紫外線(UV)で硬化し、UVを照射する時間は非常に短時間で省エネルギーであることから、生産性が高いことが特徴である。プラスチックフィルム表面にハードコート層を形成する手段としては、例えば多官能アクリレート、光重合開始剤及び有機溶媒を含む溶液をプラスチックフィルムにグラビアコートなどでコーティングを行い、有機溶媒を乾燥後、紫外線により硬化し、ハードコート層を形成する手段が採用される。形成したハードコート層において、硬度、耐擦傷性などの機能を実用上問題のないレベルで発現させるために、通常、ハードコート層の厚さは1〜15μmで形成されている。
また、特にディスプレイ保護用途に用いるハードコート層には高い硬度が求められており、高い硬度を付与する成分として反応性シリカ微粒子を多官能アクリレート樹脂に配合した技術が開示されている(特許文献1、特許文献2)。
【0004】
ところで、静電容量式タッチパネルでは人間の指で触れることにより操作を行う。このため、操作を行う度にタッチパネルの表面に指紋が付着し、ディスプレイの画像の視認性が著しく損なわれたり、ディスプレイの外観が損なわれたりするという問題が発生している。指紋には汗由来の水分及び皮脂由来の油分が含まれており、それらの何れも付着しにくくするために、ディスプレイ表面のハードコート層には撥水性及び撥油性を付与することが強く望まれている。
このような観点から、タッチパネルディスプレイ表面には、指紋などに対する防汚性を有していることが望まれている。しかし、静電容量式タッチパネルでは、人が毎日指で触れるため、初期の防汚性はかなりのレベルに達しているとしても、使用中にその機能が低下する場合が多い。そのため、使用過程での防汚性の耐久性が課題であった。
【0005】
従来、ハードコート層表面に防汚性を付与する手法として、ハードコート層を形成する塗布液にフッ素系表面改質剤を少量添加する手法が用いられている。添加されたフッ素系化合物は、その低表面エネルギーによりハードコート層の表面に偏析され、撥水性及び撥油性が付与される。フッ素系化合物としては、撥水性、撥油性の観点から、ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)鎖を有したパーフルオロポリエーテルと呼ばれる1,000〜5,000程度の数平均分子量を有するオリゴマーが用いられる。しかし、パーフルオロポリエーテルは高いフッ素濃度を有しているため、通常、ハードコート層を形成する塗布液に使用される有機溶媒には溶解し難い。また、形成されたハードコート層においては凝集を起こす。
このようなパーフルオロポリエーテルに、有機溶媒に対する溶解性及びハードコート層における分散性を付与するために、パーフルオロポリエーテルに有機部位を付加する手法が用いられている。更に、耐擦傷性を付与するために、(メタ)アクリレート基に代表される活性エネルギー線硬化性部位を結合させる手法が用いられている。
これまで、耐擦傷性を有した防汚性ハードコート層として、防汚性をハードコート層表面に付与する成分として、ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)鎖の両末端に、イソホロン骨格を有する複数のウレタン結合基を介して(メタ)アクリロイル基を有する化合物を表面改質剤として用いた技術が開示されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−82864号公報
【特許文献2】特開2009−84398号公報
【特許文献3】特開2013−76029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び特許文献2に開示された方法では、反応性シリカ微粒子を高濃度で複合することで高い硬度は得られるが、シリカ微粒子により表面に微細な凹凸が形成されるため十分な耐擦傷性を得られないという課題があった。
また特許文献3に具体的に記載された方法では、ハードコート層表面に耐擦傷性及び防汚性の付与を図っているものの、これまで高硬度を発現させるための手段について十分な検討はなされていない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、基材とハードコート層の間に無機微粒子を含有するプライマー層を設けることにより、ハードコート層により高い硬度を付与できることを見出した。そして、ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の両末端に、ポリ(オキシアルキレン)基を介して又はポリ(オキシアルキレン)基及び1つのウレタン結合基を介して活性エネルギー線重合性基を結合するパーフルオロポリエーテルを、フッ素系表面改質剤として用いた硬化性組成物をハードコート層の形成材料に採用することにより、優れた耐擦傷性を有し、高い硬度を備えるハードコート層を有する積層体を形成可能となることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち本発明は、第1観点として、基材と、該基材より上方のプライマー層と、該プライマー層の上方のハードコート層からなる、高硬度ハードコート積層体であって、
前記プライマー層が、
(A)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー及び活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーからなる群から選択される多官能化合物100質量部、
(B)無機微粒子100〜1,000質量部、及び
(C)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤 成分(A)及び成分(B)の合計100質量部に対して1〜20質量部、
を含み、
前記成分(B)の無機微粒子が、活性エネルギー線重合性基を有する粒子である、
プライマー層形成用組成物の硬化物からなり、
前記ハードコート層が、
(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー100質量部、
(b)ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の両末端に、ポリ(オキシアルキレン)基を介して又はポリ(オキシアルキレン)基及び1つのウレタン結合基をこの順に介して、活性エネルギー線重合性基を結合するパーフルオロポリエーテル0.1〜10質量部、及び
(c)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤1〜20質量部
を含む硬化性組成物の硬化物からなる、
高硬度ハードコート積層体に関する。
第2観点として、前記成分(B)の無機微粒子が、10〜100nmの平均粒子径を有する粒子である、第1観点に記載の高硬度ハードコート積層体に関する。
第3観点として、前記成分(B)の無機微粒子が、シリカ微粒子である、第1観点又は第2観点に記載の高硬度ハードコート積層体に関する。
第4観点として、前記成分(b)のパーフルオロポリエーテルのポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基が、−[OCF]−及び−[OCFCF]−を繰り返し単位として有する基である、第1観点乃至第3観点のうち何れか一つに記載の高硬度ハードコート積層体に関する。
第5観点として、前記成分(b)のパーフルオロポリエーテルのポリ(オキシアルキレン)基が、ポリ(オキシエチレン)基である、第1観点乃至第4観点のうち何れか一つに記載の高硬度ハードコート積層体に関する。
第6観点として、前記成分(A)の多官能モノマーが、多官能(メタ)アクリレート化合物及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである、第1観点乃至第5観点のうち何れか一つに記載の高硬度ハードコート積層体に関する。
第7観点として、前記成分(a)の多官能モノマーが、多官能(メタ)アクリレート化合物及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである、第1観点乃至第6観点のうち何れか一つに記載の高硬度ハードコート積層体に関する。
第8観点として、前記成分(C)の活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤が、アルキルフェノン類重合開始剤である、第1観点乃至第7観点のうち何れか一つに記載の高硬度ハードコート積層体に関する。
第9観点として、前記成分(c)の活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤が、アルキルフェノン類重合開始剤である、第1観点乃至第8観点のうち何れか一つに記載の高硬度ハードコート積層体に関する。
第10観点として、基材の少なくとも一方の面にプライマー層と、該プライマー層の上方にハードコート層を備える高硬度ハードコート積層体の製造方法であって、
基材上にプライマー層形成用組成物を塗布して塗膜を形成する工程、
該プライマー層形成用組成物の塗膜に活性エネルギー線を照射し該塗膜を硬化させ、プライマー層を形成する工程、
前記プライマー層上に硬化性組成物を塗布して塗膜を形成する工程、及び
該硬化性組成物の塗膜に活性エネルギー線を照射し該塗膜を硬化させ、ハードコート層を形成する工程、を含み、
前記プライマー層形成用組成物が、
(A)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー及び活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーからなる群から選択される多官能化合物100質量部、
(B)無機微粒子100〜1,000質量部、及び
(C)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤 成分(A)及び成分(B)の合計100質量部に対して1〜20質量部
を含み、及び、前記成分(B)の無機微粒子が、活性エネルギー線重合性基を有する粒子であり、
前記硬化性組成物が、
(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー100質量部、
(b)ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の両末端に、ポリ(オキシアルキレン)基を介して又はポリ(オキシアルキレン)基及び1つのウレタン結合基をこの順に介して、活性エネルギー線重合性基を結合するパーフルオロポリエーテル0.1〜10質量部、及び
(c)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤1〜20質量部
を含む、
高硬度ハードコート積層体の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、厚さ1〜15μm程度の薄膜においても優れた耐擦傷性を有し、高い硬度を備えるハードコート層を有する積層体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の高硬度ハードコート積層体は、基材と、該基材より上方のプライマー層と、該プライマー層の上方のハードコート層からなる。
そして本発明の高硬度ハードコート積層体において、前記プライマー層は、プライマー層形成用組成物の硬化物からなり、前記ハードコート層は硬化性組成物の硬化物からなる。
以下、本発明の高硬度ハードコート積層体を構成する各層について、詳述する。
【0012】
《基材》
本発明の高硬度ハードコート積層体における基材は特に限定されず、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン、ポリエステル、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合物)、AS(アクリロニトリル−スチレン共重合物)、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、二酸化ケイ素、スレート等を挙げることができる。これら基材の形状は板状、フィルム状又は3次元成形体でもよい。
中でも、本発明において、基材としてPET又はPMMAを好適に使用できる。
上記基材の厚さは特に限定されないが、例えば10〜1,000μm等とすることができる。
【0013】
《プライマー層》
<プライマー層形成用組成物>
本発明の高硬度ハードコート積層体におけるプライマー層は、下記(A)〜(C)を含むプライマー層形成用組成物の硬化物からなる:
(A)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー及び活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーからなる群から選択される多官能化合物100質量部、
(B)無機微粒子100〜1,000質量部、及び
(C)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤 成分(A)及び成分(B)の合計100質量部に対して1〜20質量部。
以下、上記(A)〜(C)の各成分について説明する。
【0014】
[(A)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー及び活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーからなる群から選択される多官能化合物]
活性エネルギー線硬化性多官能モノマー及び活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーとは、紫外線等の活性エネルギー線を照射することで重合反応が進行し、硬化するモノマー並びにポリマーを指す。
なお後述の硬化性組成物における(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマーは、(A)多官能化合物において以下〈活性エネルギー線硬化性多官能モノマー〉にて挙げた化合物と同様の化合物を使用できる。
【0015】
〈活性エネルギー線硬化性多官能モノマー〉
本発明の硬化性組成物において好ましい活性エネルギー線硬化性多官能モノマーとしては、多官能(メタ)アクリレート化合物及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物からなる群から選択されるモノマーである。
なお、本発明において(メタ)アクリレート化合物とは、アクリレート化合物とメタクリレート化合物の両方をいう。例えば(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸をいう。
【0016】
上記多官能(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジオキサングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−アクリロイルオキシ−3−メタクリロイルオキシプロパン、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、9,9−ビス[4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、ビス[4−(メタ)アクリロイルチオフェニル]スルフィド、ビス[2−(メタ)アクリロイルチオエチル]スルフィド、1,3−アダマンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−アダマンタンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ホスフェート、ε−カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
中でも好ましいものとして、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0017】
上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、1分子内にアクリロイル基又はメタクリロイル基を複数有し、ウレタン結合(−NHCOO−)を一つ以上有する化合物である。
例えば上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、多官能イソシアネートとヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとの反応により得られるもの、多官能イソシアネートとヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとポリオールとの反応により得られるものなどが挙げられるが、本発明で使用可能な多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物はかかる例示のみに限定されるものではない。
【0018】
なお上記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
また上記ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
そして上記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のジオール類;これらジオール類とコハク酸、マレイン酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸類又はジカルボン酸無水物類との反応生成物であるポリエステルポリオール;ポリエーテルポリオール;ポリカーボネートジオール等が挙げられる。
【0019】
〈活性エネルギー線硬化性多官能ポリマー〉
上記活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーは、ポリマー側鎖にアクリロイル基又はメタクリロイル基を複数有する、重量平均分子量(Mw)が1万以上の化合物である。
例えば上記活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーとしては、グリシジル基を有する(メタ)アクリレート(共)重合体に(メタ)アクリル酸を反応させたポリマー、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレート(共)重合体にイソシアネート基を有する(メタ)アクリレートを反応させたポリマー、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート(共)重合体にヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートを反応させたポリマー、ビニルエーテル基と(メタ)アクリロイル基を同時に有するモノマーのビニルエーテル基のみを選択的に重合させたポリマーなどが挙げられるが、本発明で使用可能な活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーはかかる例示のみに限定されるものではない。
【0020】
上記活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーの市販品としては、例えば、ダイセル・オルネクス(株)製、ポリマー系アクリレート:ACA Z200M、同Z230AA、同Z250、同Z251、同Z300、同Z320、同Z254F;DIC(株)製、ポリマー型アクリレート:ユニディック(登録商標)V−6840、同V−6841、同WHV−649、同EKS−675;大成ファインケミカル(株)製、UV硬化型ポリマー:8KX−012C、8KX−014C、8KX−018C、8KX−052C、8KX−056C、8KX−058、8KX−077、8KX−078、8KX−089;日立化成(株)製、ポリマー型アクリレート:ヒタロイド(登録商標)7975、同7975D、同7988;亜細亜工業(株)製、ポリマー型アクリレート:RUA−049、RUA−054、KX50−200などが挙げられる。
【0021】
本発明では、上記(A)多官能化合物として、活性エネルギー線硬化性多官能モノマー及び活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーからなる群から一種を単独で、或いは二種以上を組合せて使用することができる。また、活性エネルギー線硬化性多官能モノマーとして、上記多官能(メタ)アクリレート化合物及び上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物からなる群から一種を単独で、或いは二種以上を組合せて使用することができる。
得られる硬化物の硬度向上の観点から、(A)多官能化合物として活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーを少なくとも使用することが望ましく、特に活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーと活性エネルギー線硬化性多官能モノマーを併用することが好ましい。このとき、活性エネルギー線硬化性多官能モノマーとして、多官能(メタ)アクリレート化合物と上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物と併用することが好ましい。さらに上記多官能(メタ)アクリレート化合物として、5官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物及び4官能以下の多官能(メタ)アクリレート化合物を併用することが好ましい。
上記(A)多官能化合物において、活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーと活性エネルギー線硬化性多官能モノマーは、100:0〜25:75の質量割合で使用することが好ましい。
【0022】
上記活性エネルギー線硬化性多官能モノマーにおいて、多官能(メタ)アクリレート化合物と上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物とを組み合わせて使用する場合、多官能(メタ)アクリレート化合物100質量部に対し、多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物20〜100質量部を使用することが好ましく、30〜70質量部を使用することがより好ましい。
さらに、上記多官能(メタ)アクリレート化合物において、上記5官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物と上記4官能以下の多官能(メタ)アクリレート化合物とを組み合わせて使用する場合、5官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物100質量部に対し、4官能以下の多官能(メタ)アクリレート化合物10〜100質量部を使用することが好ましく、20〜60質量部を使用することがより好ましい。
【0023】
中でも、活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーと活性エネルギー線硬化性多官能モノマーを95:5〜25:75の質量割合で使用し、そして多官能(メタ)アクリレート化合物100質量部に対し多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物20〜100質量部かつ5官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物100質量部に対し4官能以下の多官能(メタ)アクリレート化合物10〜100質量部にて、好ましくは20〜60質量部にて使用すること、
特に、活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーと活性エネルギー線硬化性多官能モノマーを95:5〜25:75の質量割合で使用し、そして多官能(メタ)アクリレート化合物100質量部に対し多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物30〜70質量部かつ5官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物100質量部に対し4官能以下の多官能(メタ)アクリレート化合物10〜100質量部にて、好ましくは20〜60質量部にて使用することが好ましい。
【0024】
[(B)無機微粒子]
本発明に使用する(B)無機微粒子としては、後述する活性エネルギー線重合性基を有する粒子であれば特に限定されず、例えば、シリカ(二酸化珪素);酸化アルミニウム、ジルコニア、チタニア、酸化亜鉛、酸化ゲルマニウム、酸化インジウム、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、酸化アンチモン、酸化セリウム等の金属酸化物微粒子;フッ化マグネシウム、フッ化ナトリウム等の金属フッ化物微粒子;金属硫化物微粒子;金属窒化物微粒子;金属微粒子等を挙げることができる。
【0025】
上記(B)無機微粒子は、プライマー層形成用組成物における分散性を高める目的で、また基材やハードコート層との密着性を高め、均一なプライマー層を形成する目的で、さらには、より硬度の高いハードコート層を得ることができるプライマー層を形成する目的で、当該微粒子の表面処理を施してもよい。
該表面処理としては、ビニルシラン、アミノシラン等のシラン系カップリング剤;チタネート系カップリング剤;アルミネート系カップリング剤;(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の活性エネルギー線重合性基やエポキシ基などの反応性官能基を有する有機化合物;脂肪酸、脂肪酸金属塩などの表面処理剤などによる表面処理が挙げられる。
中でも、本発明で使用する上記(B)無機微粒子として、活性エネルギー線重合性基を有する表面処理剤により表面処理が施された、活性エネルギー線重合性基を有する無機微粒子を採用することにより、プライマー層を構成する成分(A)の活性エネルギー線硬化性多官能モノマー及び活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーからなる群から選択される多官能化合物と当該無機微粒子により架橋構造を形成でき、プライマー層及びハードコート層の積層構造の硬度を向上させることができる。
【0026】
上記成分(B)無機微粒子の平均粒子径は、硬度改良効果を得られる観点、さらには、プライマー層の透明性を保持する観点から300nm以下、例えば1〜200nm、特に5〜100nmであることが好ましい。
なおここでいう平均粒子径とは、窒素吸着法(BET法)により測定された比表面積(m)から、平均粒子径=(2720/比表面積)の式によって与えられた値である。
また、前記無機微粒子の形状は特に限定されないが、例えば、ビーズ状の略球形であってもよく、粉末等の不定形のものであってもよいが、略球形のものが好ましく、より好ましくは、アスペクト比が1.5以下の略球形の粒子であり、最も好ましくは真球状粒子である。
【0027】
本発明で使用する(B)無機微粒子の中でも、より硬度の高いハードコート層を得ることができるプライマー層を形成できる観点から、モース硬度が6以上の無機酸化物粒子が好ましく、例えば、シリカ微粒子、チタニア微粒子、ジルコニア微粒子、酸化アルミニウム微粒子などが好ましい。
【0028】
上記無機微粒子は、コロイド粒子状の無機微粒子を使用できる。例えばシリカ微粒子として、分散媒に分散させたシリカゾルや、市販のコロイダルシリカを好適に使用できる。
該シリカゾルとしては、例えば、ケイ酸ナトリウム水溶液を原料として公知の方法により製造される水性シリカゾル及び該水性シリカゾルの分散媒である水を有機溶媒に置換して得られるオルガノシリカゾルが挙げられる。
上記オルガノシリカゾルにおける有機溶媒(分散媒)の例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)等のグリコール類;メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等のアミド類;酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類;テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類などを挙げることができる。
【0029】
上記無機微粒子において、好適なシリカ微粒子(シリカゾル)の市販品としては、例えば日産化学工業(株)製:オルガノシリカゾル(登録商標)MEK−AC−2140Z、同MEK−AC−4130Y、同MEK−AC−5140Z、同PGM−AC−2140Y、同PGM−AC−4130Y、同MIBK−AC−2140Y、同MIBK−SD、同MIBK−SD−L等が挙げられる。これらのシリカ微粒子は、活性エネルギー線重合性基を有する。
【0030】
上記成分(B)無機微粒子の配合量は、上記成分(A)100質量部に対して、表面硬度の観点から、100質量部以上、好ましくは200質量部以上、より好ましくは400質量部以上である。一方、耐クラック性の観点から、好ましくは1,000質量部以下、より好ましくは900質量部以下、更に好ましくは800質量部以下である。
また(B)無機微粒子は、プライマー層の全体積に占める(B)無機微粒子の体積分率が50〜90体積%となるように配合することが好ましい。
【0031】
[(C)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤]
本発明に使用するプライマー層形成用組成物において、活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤(以下、単に「(C)重合開始剤」とも称する)は、例えば、電子線、紫外線、X線等の活性エネルギー線により、特に紫外線照射によりラジカルを発生する重合開始剤である。
なお後述の硬化性組成物における(c)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤は、(C)重合開始剤で挙げた化合物と同様の重合開始剤を使用できる。
【0032】
上記(C)重合開始剤としては、例えばベンゾイン類、アルキルフェノン類、チオキサントン類、アゾ類、アジド類、ジアゾ類、o−キノンジアジド類、アシルホスフィンオキシド類、オキシムエステル類、有機過酸化物、ベンゾフェノン類、ビスクマリン類、ビスイミダゾール類、チタノセン類、チオール類、ハロゲン化炭化水素類、トリクロロメチルトリアジン類、ヨードニウム塩、スルホニウム塩などのオニウム塩類等が挙げられる。これらは一種単独で或いは二種以上を混合して用いてもよい。
中でも本発明では、透明性、表面硬化性、薄膜硬化性の観点から(C)重合開始剤として、アルキルフェノン類重合開始剤を使用することが好ましい。アルキルフェノン類重合開始剤を使用することにより、耐擦傷性がより向上した硬化膜を得ることができる。
【0033】
上記アルキルフェノン類重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシル=フェニル=ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−(4−(4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル)フェニル)−2−メチルプロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアルキルフェノン類;2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン等のα−アミノアルキルフェノン類;2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン;フェニルグリオキシル酸メチルなどが挙げられる。
【0034】
本発明において(C)重合開始剤は、前述の(A)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー及び活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーからなる群から選択される多官能化合物及び(B)無機微粒子の合計100質量部に対して、1〜20質量部、好ましくは2〜10質量部の割合で使用することが望ましい。
【0035】
[(D)溶媒]
本発明に使用するプライマー層形成用組成物は、(D)溶媒を含むワニス(膜形成材料)の形態とすることができる。
【0036】
上記溶媒としては、前記(A)〜(C)成分を溶解し、また後述する硬化物(プライマー層)形成にかかる塗工時の作業性や硬化前後の乾燥性等を考慮して適宜選択すればよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素類;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類又はエステルエーテル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン等の複素環式化合物類、並びにこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられる。
これら(D)溶媒の使用量は特に限定されないが、例えば本発明に使用するプライマー層形成用組成物における固形分濃度が1〜70質量%、好ましくは10〜60質量%となる濃度で使用する。ここで固形分濃度(不揮発分濃度とも称する)とは、本発明に使用するプライマー層形成用組成物の前記(A)〜(D)成分(及び所望によりその他添加剤)の総質量(合計質量)に対する固形分(全成分から溶媒成分を除いたもの)の含有量を表す。
【0037】
[その他添加物]
また、本発明に使用するプライマー層形成用組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて一般的に添加される添加剤、例えば、重合促進剤、重合禁止剤、光増感剤、レベリング剤、界面活性剤、密着性付与剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、貯蔵安定剤、帯電防止剤、無機充填剤、顔料、染料等を適宜配合してよい。
【0038】
特に本発明で使用するプライマー層形成用組成物にあっては無機微粒子を配合していることから、プライマー層形成時の塗膜の表面を平滑にし、塗布外観や透明性を損なうような欠陥の発生を防止するべく、レベリング剤を配合することが好ましい。
該レベリング剤としては公知のシリコーン系、フッ素系、アクリル系、ビニル系等を挙げることができる。
上記レベリング剤としては、例えば、アクリル系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、シリコーン・アクリル共重合体系レベリング剤、フッ素変性アクリル系レベリング剤、フッ素変性シリコーン系レベリング剤、及びこれらに、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、アシルオキシ基、ハロゲン基、アミノ基、ビニル基、エポキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシ基、イソシアネート基等の官能基を導入したレベリング剤などを挙げることができる。
レベリング剤を配合する場合、前述の(A)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー及び活性エネルギー線硬化性多官能ポリマーからなる群から選択される多官能化合物及び(B)無機微粒子の合計100質量部に対して、透明性、塗布外観、密着性、硬度の観点から5質量部以下であることが好ましく、0.001〜2質量部であることがより好ましく、0.01〜1質量部であることがさらに好ましい。
【0039】
《ハードコート層》
<硬化性組成物>
本発明の高硬度ハードコート積層体におけるハードコート層は、下記(a)〜(c)を含む硬化性組成物から得られる硬化物(すなわち硬化膜)からなる。
(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー100質量部、
(b)ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の両末端に、ポリ(オキシアルキレン)基を介して又はポリ(オキシアルキレン)基及び1つのウレタン結合基をこの順に介して、活性エネルギー線重合性基を有するパーフルオロポリエーテル0.1〜10質量部、及び
(c)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤1〜20質量部。
以下、上記(a)〜(c)の各成分について説明する。
【0040】
[(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー]
本発明で使用する硬化性組成物に用いる(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマーは、紫外線等の活性エネルギー線を照射することで重合反応が進行し硬化するモノマーを指し、前述のプライマー層形成組成物に配合する(A)多官能化合物のうち〈活性エネルギー線硬化性多官能モノマー〉と同様の化合物、すなわち、前述の多官能(メタ)アクリレート化合物及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物からなる群から選択されるモノマーである。
【0041】
硬化性組成物において、上記(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマーとして、上記多官能(メタ)アクリレート化合物及び上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物からなる群から一種を単独で、或いは二種以上を組合せて使用することができる。得られる硬化物の耐擦傷性の観点から、多官能(メタ)アクリレート化合物及び多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物を併用することが好ましい。また、上記多官能(メタ)アクリレート化合物として、5官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物及び4官能以下の多官能(メタ)アクリレート化合物を併用することが好ましい。
また、上記多官能(メタ)アクリレート化合物と上記多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物とを組み合わせて使用する場合、多官能(メタ)アクリレート化合物100質量部に対し、多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物20〜100質量部を使用することが好ましく、30〜70質量部を使用することがより好ましい。
さらに、上記多官能(メタ)アクリレート化合物において、上記5官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物と上記4官能以下の多官能(メタ)アクリレート化合物とを組み合わせて使用する場合、5官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物100質量部に対し、4官能以下の多官能(メタ)アクリレート化合物10〜100質量部を使用することが好ましく、20〜60質量部を使用することがより好ましい。
また、多官能(メタ)アクリレート化合物100質量部に対し多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物20〜100質量部かつ5官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物100質量部に対し4官能以下の多官能(メタ)アクリレート化合物10〜100質量部にて使用すること、
多官能(メタ)アクリレート化合物100質量部に対し多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物20〜100質量部かつ5官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物100質量部に対し4官能以下の多官能(メタ)アクリレート化合物20〜60質量部にて使用すること、
多官能(メタ)アクリレート化合物100質量部に対し多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物30〜70質量部かつ5官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物100質量部に対し4官能以下の多官能(メタ)アクリレート化合物10〜100質量部にて使用すること、
多官能(メタ)アクリレート化合物100質量部に対し多官能ウレタン(メタ)アクリレート化合物30〜70質量部かつ5官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物100質量部に対し4官能以下の多官能(メタ)アクリレート化合物20〜60質量部にて使用することが好ましい。
【0042】
[(b)ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の両末端に、ポリ(オキシアルキレン)基を介して又はポリ(オキシアルキレン)基及び1つのウレタン結合基をこの順に介して、活性エネルギー線重合性基を結合するパーフルオロポリエーテル]
本発明では、(b)成分として、ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の両末端に、ポリ(オキシアルキレン)基を介して又はポリ(オキシアルキレン)基及び1つのウレタン結合基をこの順に介して、活性エネルギー線重合性基を結合するパーフルオロポリエーテル(以降、単に「(b)両末端に重合性基を有するパーフルオロポリエーテル」とも称する)を使用する。(b)成分は、本発明に使用する硬化性組成物を適用するハードコート層における表面改質剤としての役割を果たす。
【0043】
上記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基におけるアルキレン基の炭素原子数は特に限定されないが、好ましくは炭素原子数1〜4であることが好ましい。すなわち、上記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基は、炭素原子数1〜4の2価のフッ化炭素基と酸素原子が交互に連結した構造を有する基を指し、オキシパーフルオロアルキレン基は炭素原子数1〜4の2価のフッ化炭素基と酸素原子が連結した構造を有する基を指す。具体的には、−[OCF]−(オキシパーフルオロメチレン基)、−[OCFCF]−(オキシパーフルオロエチレン基)、−[OCFCFCF]−(オキシパーフルオロプロパン−1,3−ジイル基)、−[OCFC(CF)F]−(オキシパーフルオロプロパン−1,2−ジイル基)等の基が挙げられる。
上記オキシパーフルオロアルキレン基は、一種を単独で使用してもよく、或いは二種以上を組み合わせて使用してもよく、その場合、複数種のオキシパーフルオロアルキレン基の結合はブロック結合及びランダム結合の何れであってもよい。
【0044】
これらの中でも、耐擦傷性が良好となる硬化膜が得られる観点から、ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基として、−[OCF]−(オキシパーフルオロメチレン基)と−[OCFCF]−(オキシパーフルオロエチレン基)の双方を繰り返し単位として有する基を用いることが好ましい。
中でも上記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基として、繰り返し単位:−[OCF]−と−[OCFCF]−とが、モル比率で[繰り返し単位:−[OCF]−]:[繰り返し単位:−[OCFCF]−]=2:1〜1:2となる割合で含む基であることが好ましく、およそ1:1となる割合で含む基であることがより好ましい。これら繰り返し単位の結合は、ブロック結合及びランダム結合の何れであってもよい。
上記オキシパーフルオロアルキレン基の繰り返し単位数は、その繰り返し単位数の総計として5〜30の範囲であることが好ましく、7〜21の範囲であることがより好ましい。
また、上記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基のゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量(Mw)は、1,000〜5,000、好ましくは1,500〜2,000である。
【0045】
上記ポリ(オキシアルキレン)基におけるアルキレン基の炭素原子数は特に限定されないが、好ましくは炭素原子数1〜4であることが好ましい。すなわち、上記ポリ(オキシアルキレン)基は、炭素原子数1〜4のアルキレン基と酸素原子が交互に連結した構造を有する基を指し、オキシアルキレン基は炭素原子数1〜4の2価のアルキレン基と酸素原子が連結した構造を有する基を指す。上記アルキレン基としては、エチレン基、1−メチルエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。
上記オキシアルキレン基は、一種を単独で使用してもよく、或いは二種以上を組み合わせて使用してもよく、その場合、複数種のオキシアルキレン基の結合はブロック結合及びランダム結合の何れであってもよい。
中でも、上記ポリ(オキシアルキレン)基は、ポリ(オキシエチレン)基であることが好ましい。
上記ポリ(オキシアルキレン)基におけるオキシアルキレン基の繰り返し単位数は、例えば1〜15の範囲であり、例えば5〜12の範囲、例えば7〜12の範囲であることがより好ましい。
【0046】
上記ポリ(オキシアルキレン)基を介して又はポリ(オキシアルキレン)基及び1つのウレタン結合基をこの順に介して結合する活性エネルギー線重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、ウレタン(メタ)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
【0047】
上記活性エネルギー線重合性基は、(メタ)アクリロイル部分等の活性エネルギー線重合性部分を1つ有するものに限られず、2つ以上の活性エネルギー線重合性部分を有するものであってもよく、例えば、以下に示すA1〜A5の構造、及びこれらの構造中のアクリロイル基をメタクリロイル基に置換した構造が挙げられる。
【0048】
【化1】
【0049】
このような(b)両末端に重合性基を有するパーフルオロポリエーテルとして、工業的製造が容易であるという点から、以下に示す化合物及びこれらの化合物中のアクリロイル基をメタクリロイル基に置換した化合物を好ましい例として挙げることができる。なお、構造式中、Aは前記式[A1]〜式[A5]で表される構造のうちの1つを表し、PFPEは前記ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を表し、nはそれぞれ独立してオキシエチレン基の繰り返し単位数を表し、好ましくは1〜15の数を表し、より好ましくは5〜12の数を表し、さらに好ましくは7〜12の数を表す。
【化2】
【0050】
中でも、本発明の(b)両末端に重合性基を有するパーフルオロポリエーテルは、ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の両末端に、ポリ(オキシアルキレン)基及び1つのウレタン結合基をこの順に介して、すなわち、ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の両末端にポリ(オキシアルキレン)基がそれぞれ結合し、該両端の各ポリ(オキシアルキレン)基にそれぞれウレタン結合基が1つ結合し、そして該両端の各ウレタン結合に活性エネルギー線重合性基がそれぞれ結合したパーフルオロポリエーテルであることが好ましい。さらに、前記パーフルオロポリエーテルにおいて、活性エネルギー線重合性基が少なくとも2つ以上の活性エネルギー線重合性部分を有する基であるパーフルオロポリエーテルであることが好ましい。
【0051】
本発明において(b)両末端に重合性基を有するパーフルオロポリエーテルは、前述の(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜5質量部の割合で使用することが望ましい。
【0052】
上記(b)両末端に重合性基を有するパーフルオロポリエーテルは、例えば、ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基の両末端にポリ(オキシアルキレン)基を介してヒドロキシ基を有する化合物において、その両端のヒドロキシ基に対して2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートや1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等の重合性基を有するイソシアネート化合物をウレタン化反応させる方法、(メタ)アクリル酸クロリド又はクロロメチルスチレンを脱塩酸反応させる方法、(メタ)アクリル酸を脱水反応させる方法、無水イタコン酸をエステル化反応させる方法などにより得られる。
中でも、ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基の両末端にポリ(オキシアルキレン)基を介してヒドロキシ基を有する化合物において、その両端のヒドロキシ基に対して、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートや1,1−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等の重合性基を有するイソシアネート化合物をウレタン化反応させる方法、或いは、該ヒドロキシ基に対して(メタ)アクリル酸クロリド又はクロロメチルスチレンを脱塩酸反応させる方法が、反応が容易である点で特に好ましい。
【0053】
なお本発明に使用する硬化性組成物には、(b)ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の両末端に、ポリ(オキシアルキレン)基を介して又はポリ(オキシアルキレン)基及び1つのウレタン結合基をこの順に介して、活性エネルギー線重合性基を結合するパーフルオロポリエーテルに加えて、ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の一端にポリ(オキシアルキレン)基を介して又はポリ(オキシアルキレン)基及び1つのウレタン結合基をこの順に介して、活性エネルギー線重合性基を有し、且つその他端にポリ(オキシアルキレン)基を介してヒドロキシ基を有するパーフルオロポリエーテルや、ポリ(オキシパーフルオロアルキレン)基を含む分子鎖の両端にポリ(オキシアルキレン)基を介してヒドロキシ基を有するパーフルオロポリエーテル[活性エネルギー線重合性基を結合していない化合物]が含まれていてもよい。
【0054】
[(c)活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤]
本発明に使用する硬化性組成物において好ましい活性エネルギー線によりラジカルを発生する重合開始剤(以下、単に「(c)重合開始剤」とも称する)は、例えば、電子線、紫外線、X線等の活性エネルギー線により、特に紫外線照射によりラジカルを発生する重合開始剤であり、前述のプライマー層形成組成物に配合する(C)重合開始剤と同様の開始剤を使用できる。
中でも本発明では、透明性、表面硬化性、薄膜硬化性の観点から(c)重合開始剤として、アルキルフェノン類を使用することが好ましい。アルキルフェノン類重合開始剤を使用することにより、耐擦傷性がより向上した硬化膜を得ることができる。
本発明において(c)重合開始剤は、前述の(a)活性エネルギー線硬化性多官能モノマー100質量部に対して、1〜20質量部、好ましくは2〜10質量部の割合で使用することが望ましい。
【0055】
[(d)溶媒]
本発明に使用する硬化性組成物は、更に(d)溶媒を含んでいてもよく、すなわちワニス(膜形成材料)の形態としてもよい。
上記溶媒としては、前記(a)〜(c)成分を溶解し、また後述する硬化膜(ハードコート層)形成にかかる塗工時の作業性や硬化前後の乾燥性等を考慮して適宜選択すればよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、テトラリン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン、ミネラルスピリット、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素類;塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル、メトキシブチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類又はエステルエーテル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジ−n−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ベンジルアルコール、エチレングリコール等のアルコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン等の複素環式化合物類、並びにこれらの2種以上の混合溶媒が挙げられる。
これら(d)溶媒の使用量は特に限定されないが、例えば本発明に使用する硬化性組成物における固形分濃度が1〜70質量%、好ましくは5〜50質量%となる濃度で使用する。ここで固形分濃度(不揮発分濃度とも称する)とは、本発明に使用する硬化性組成物の前記(a)〜(d)成分(及び所望によりその他添加剤)の総質量(合計質量)に対する固形分(全成分から溶媒成分を除いたもの)の含有量を表す。
【0056】
[その他添加物]
また、本発明に使用する硬化性組成物には、本発明の効果を損なわない限り、必要に応じて一般的に添加される添加剤、例えば、重合促進剤、重合禁止剤、光増感剤、レベリング剤、界面活性剤、密着性付与剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、貯蔵安定剤、帯電防止剤、無機充填剤、顔料、染料等を適宜配合してよい。
【0057】
《高硬度ハードコート積層体》
前述したとおり、本発明の高硬度ハードコート積層体は、基材と、該基材の上方のプライマー層と、該プライマー層より上方のハードコート層からなる、3層の積層体である。
本発明の高硬度ハードコート積層体は、
(i)基材上にプライマー層形成用組成物を塗布して塗膜を形成する工程、
(ii)該プライマー層形成用組成物の塗膜に活性エネルギー線を照射し該塗膜を硬化させ、プライマー層を形成する工程、
(iii)前記プライマー層上に硬化性組成物を塗布して塗膜を形成する工程、及び
(iv)該硬化性組成物の塗膜に活性エネルギー線を照射し硬化させ、ハードコート層を形成する工程、を含みて製造される。
ここでプライマー層形成用組成物及び硬化性組成物は、上記の各組成物を適用できる。
【0058】
上記(i)及び(iii)工程におけるプライマー層形成用組成物及び硬化性組成物のコーティング方法は、キャストコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、インクジェット法、印刷法(凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等)等を適宜選択し得、中でもロール・ツー・ロール(roll−to−roll)法に利用でき、また薄膜塗布性の観点から、凸版印刷法、特にグラビアコート法を用いることが望ましい。ここで用いるプライマー層形成用組成物及び硬化性組成物は、前述のワニスの形態にあるものを好適に使用できる。なお事前に孔径が2μm程度のフィルタなどを用いて、プライマー層形成用組成物及び硬化性組成物を濾過した後、コーティングに供することが好ましい。
【0059】
上記(i)工程のプライマー層形成用組成物のコーティング後、並びに、(iii)工程の硬化性組成物のコーティング後、好ましくは続いてホットプレート又はオーブン等で予備乾燥して溶媒を除去する(溶媒除去工程)。この際の加熱乾燥の条件としては、例えば、40〜120℃で、30秒〜10分程度とすることが好ましい。
乾燥後、(ii)又は(iv)工程として紫外線等の活性エネルギー線を照射して光硬化させ、プライマー層並びにハードコート層を形成する。活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線等が挙げられる。紫外線照射に用いる光源としては、太陽光線、ケミカルランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、UV−LED等が使用できる。
その後、ポストベークを行うことにより、具体的にはホットプレート、オーブンなどを用いて加熱することにより重合及び重縮合を完結させることができる。
【0060】
こうして得られた本発明の積層体において、上記プライマー層の厚さは特に限定されないが、例えば0.1〜1,000μm、好ましくは1〜100μmの範囲とすることができる。
またハードコート層の厚さは特に限定されないが、例えば1〜30μmの範囲、好ましくは1〜20μm、より好ましくは3〜10μmである。
【実施例】
【0061】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例において、試料の調製及び物性の分析に用いた装置及び条件は、以下の通りである。
【0062】
(1)バーコート塗布
装置:(株)エスエムテー製 PM−9050MC
塗布速度:4m/分
バー1(bar1):オーエスジーシステムプロダクツ(株)製 A−Bar OSP−25、最大ウエット膜厚25μm(ワイヤーバー#10相当)
バー2(bar2):オーエスジーシステムプロダクツ(株)製 A−Bar OSP−30、最大ウエット膜厚30μm(ワイヤーバー#12相当)
バー3(bar3):オーエスジーシステムプロダクツ(株)製 A−Bar OSP−52、最大ウエット膜厚52μm(ワイヤーバー#20相当)
バー4(bar4):オーエスジーシステムプロダクツ(株)製 A−Bar OSP−100、最大ウエット膜厚100μm(ワイヤーバー#37相当)
(2)オーブン
装置:アドバンテック東洋(株)製 無塵乾燥器 DRC433FA
(3)UV照射
装置:ヘレウス(株)製 CV−110QC−G
ランプ:ヘレウス(株)製 高圧水銀ランプH−bulb
(4)擦傷試験
装置:新東科学(株)製 往復摩耗試験機 TRIBOGEAR TYPE:30S
荷重:1kg/cm
走査速度:3m/分
(5)鉛筆硬度
装置:(株)安田精機製作所製 電動鉛筆引っかき硬度試験機 No.553−M
荷重:750g
鉛筆:三菱鉛筆(株)製 ユニ(登録商標)
測定温度:20℃
(6)ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
装置:東ソー(株)製 HLC−8220GPC
カラム:昭和電工(株)製 Shodex(登録商標)GPC KF−804L、GPC KF−805L
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
検出器:RI
(7)膜厚
装置:(株)ニコン製 デジタル測長機 デジマイクロ MH−15M + カウンタTC−101A
(8)全光線透過率、ヘーズ
装置:日本電色工業(株)製 ヘーズメーター NDH5000
(9)接触角
装置:協和界面科学(株)製 DropMaster DM−501
測定温度:20℃
【0063】
また、略記号は以下の意味を表す。
PFPE1:両末端にポリ(オキシアルキレン)基(繰返し単位数8〜9)を介してヒドロキシ基を有するパーフルオロポリエーテル[ソルベイスペシャルティポリマーズ社製 Fluorolink 5147X]
BEI:1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート[昭和電工(株)製 カレンズ(登録商標)BEI]
DBTDL:ジラウリン酸ジブチル錫[東京化成工業(株)製]
4ELA:テトラエチレングリコールモノラウリルエーテルアクリレート[日油(株)製 ブレンマー(登録商標)ALE−200]
HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート[新中村化学工業(株)製 NKエステルA−HD−N]
LA:アクリル酸ラウリル[日油(株)製 ブレンマー(登録商標)LA]
ADVN:2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)[和光純薬工業(株)製 V−65]
C6FA:アクリル酸2−(パーフルオロヘキシル)エチル[ユニマテック(株)製 FAAC−6]
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート[新中村化学工業(株)製 1G]
VEEA:アクリル酸2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチル[(株)日本触媒製 VEEA]
MAIB:ジメチル2,2’−アゾビスイソブチラート[大塚化学(株)製 MAIB]
AA1:ポリアクリルアクリレート[DIC(株)製 ユニディック(登録商標)V−6840、有効成分50質量%MIBK溶液]
AA2:ポリアクリルアクリレート[ダイセル・オルネクス(株)製 ACA Z200M、有効成分50質量%PGME溶液]
AA3:ポリアクリルアクリレート[ダイセル・オルネクス(株)製 ACA Z230AA、有効成分50質量%PGME溶液]
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレート/ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート混合物[日本化薬(株)製 KAYALAD DN−0075]
PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート/ペンタエリスリトールテトラアクリレート混合物[新中村化学工業(株)製 NKエステル A−TMM−3LM−N]
UA:6官能 脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマー[ダイセル・オルネクス(株)製 EBECRYL(登録商標)5129]
IP1:活性エネルギー線重合性基含有シリカゾル[日産化学工業(株)製 PGM−AC−2140Y、40質量%PGME分散液、1次平均粒子径10〜15nm、シリカ比重1.24]
IP2:活性エネルギー線重合性基含有シリカゾル[日産化学工業(株)製 MIBK−SD、33質量%MIBK分散液、1次平均粒子径10〜15nm、シリカ比重0.99〜1.03]
IP3:シリカゾル[日産化学工業(株)製 PGM−ST、33質量%PGME分散液、1次平均粒子径10〜15nm、シリカ比重1.11〜1.15]
LA1:非フッ素系レべリング剤[共栄社化学(株)製 ポリフローNo.77]
SM2:パーフルオロポリエーテル構造を有するUV反応型フッ素系表面改質剤[DIC(株)製 メガファック(登録商標)RS−75、有効成分40質量%MEK/MIBK溶液]
I184:1−ヒドロキシシクロヘキシル=フェニル=ケトン[BASFジャパン(株)製 IRGACURE(登録商標)184]
I2959:2−ヒドロキシ−1−(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)−2−メチルプロパン−1−オン[BASFジャパン(株)製 IRGACURE(登録商標)2959]
EPA:p−ジメチルアミノ安息香酸エチル[日本化薬(株)製 KAYACURE EPA]
PET:片面易接着処理ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム[東洋紡績(株)製 コスモシャイン(登録商標)A4100、厚み125μm]
PMMA:ポリメタクリル酸メチル(PMMA)フィルム[住友アクリル販売(株)製 テクノロイフィルムS000、厚み125μm]
MEK:メチルエチルケトン
MIBK:メチルイソブチルケトン
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0064】
[製造例1]両末端にポリ(オキシアルキレン)基及び1つのウレタン結合を介してアクリロイル基を有するパーフルオロポリエーテルSM1の製造
スクリュー管に、PFPE1 1.05g(0.5mmol)、BEI 0.26g(1.0mmol)、DBTDL 10mg(0.016mmol)、及びMEK 1.30gを仕込んだ。この混合物を、スターラーチップを用いて室温(およそ23℃)で24時間撹拌した。この反応混合物をMEK 3.93gで希釈して、目的化合物であるSM1の20質量%MEK溶液を得た。
得られたSM1のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは3,400、分散度:Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は1.2であった。
【0065】
[製造例2]長鎖アルキル基を有する高分岐ポリマーLA2の製造
200mL反応フラスコに、MIBK54gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、内液が還流するまで(およそ温度116℃)加熱した。
別の100mL反応フラスコに、HDDA6.7g(30mmol)、LA3.6g(15mmol)、4ELA18.6g(45mmol)、ADVN6.0g(24mmol)、及びMIBK54gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行い、氷浴にて0℃まで冷却した。
前述の200mL反応フラスコ中の還流してあるMIBK中に、HDDA、LA、4ELA、ADVNが仕込まれた前述の100mL反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。
この反応混合物を室温(およそ23℃)に冷却し、目的とする高分岐ポリマー(LA2)を、ポリマー濃度25質量%のMIBK溶液として143.0g得た。
得られた高分岐ポリマーLA2のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量:Mwは7,300、分散度:Mw/Mnは4.6であった。
【0066】
[製造例3]フルオロアルキル基を有する高分岐ポリマーLA3の製造
200mL反応フラスコに、トルエン59gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み、内液が還流するまで(およそ110℃)加熱した。
別の100mL反応フラスコに、EGDMA4.0g(20mmol)、C6FA5.2g(12.5mmol)、VEEA1.9g(10mmol)、MAIB2.8g(12mmol)、及びトルエン59gを仕込み、撹拌しながら5分間窒素を流し込み窒素置換を行い、氷浴にて0℃まで冷却した。
前述の200mL反応フラスコ中の還流してあるトルエン中に、EGDMA、C6FA、VEEA、MAIBが仕込まれた前述の100mL反応フラスコから、滴下ポンプを用いて、内容物を30分間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間撹拌した。
この反応混合物をヘキサン277gに添加して、ポリマーをスラリー状態で沈殿させた。このスラリーを減圧ろ過し、真空乾燥して、目的とする高分岐ポリマー(LA3)を、白色粉末として6.6g得た。
得られた高分岐ポリマーLA3のGPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量:Mwは8,400、分散度:Mw/Mnは2.5であった。
【0067】
[製造例4−1〜4−8]プライマー組成物(プライマー層形成用組成物)の調製
表1の記載に従って以下の各成分を混合し、表1に記載の固形分濃度のプライマー組成物(PR1〜PR8)を調製した。なお、ここで固形分とは溶媒以外の成分を指す。また、表中、[部]とは[質量部]を表し、[%]とは[質量%]を表す。
(1)多官能化合物:表1に記載の多官能ポリマー及び/又はモノマーを表1に記載の量(有効成分換算)
(2)無機微粒子:表1に記載の無機微粒子を表1に記載の量(固形分換算)
(3)重合開始剤:表1に記載の重合開始剤 5質量部
(4)重合促進剤:EPA 表1に記載の量(表中、“−”は未添加を表す。)
(5)レベリング剤:表1に記載のレベリング剤を表1に記載の量(固形分又は有効成分換算)
(6)溶媒:PGME 表1に記載の量(表中、負の数値は、エバポレーターで溶媒を留去した。)
【0068】
【表1】
【0069】
[製造例5−1〜5−2]ハードコート組成物(硬化性組成物)の調製
表2の記載に従って以下の各成分を混合し、固形分濃度40質量%のハードコート組成物(HC1〜HC2)を調製した。なお、ここで固形分とは溶媒以外の成分を指す。また、表中、[部]とは[質量部]を表し、[%]とは[質量%]を表す。
(1)多官能モノマー:DPHA 50質量部、UA 30質量部、及びPETA 20質量部
(2)表面改質剤:表2に記載の表面改質剤 1質量部(固形分又は有効成分換算)
(3)重合開始剤:I2959 5質量部
(4)重合促進剤:EPA 0.1質量部
(5)溶媒:PGME 表2に記載の量
【0070】
【表2】
【0071】
[実施例1〜6、比較例1〜5]
表3に記載のプライマー組成物を、表3に記載の基材上(PETについては易接着処理面)に、表3に記載のバーを使用してバーコート塗布し、塗膜を得た。この塗膜を表3に記載の乾燥温度のオーブンで1分間乾燥させ溶媒を除去した。得られた膜を、空気雰囲気下、露光量100mJ/cmのUV光を照射し露光することで、表3に示した厚さのプライマー層(硬化膜)を形成した。なお、比較例1は、プライマー層にクラックが入ったため以降の操作を中断した。
このプライマー層上に、表3に記載のハードコート組成物を、表3に記載のバーを使用してバーコート塗布し、塗膜を得た。この塗膜を表3に記載の乾燥温度のオーブンで3分間乾燥させ溶媒を除去した。得られた膜を、窒素雰囲気下、露光量300mJ/cmのUV光を照射し露光することで、表3に示した厚さのハードコート層(硬化膜)を有するハードコート積層体を作製した。なお、比較例3は、プライマー層を形成せず、基材上に直接ハードコート層を形成した。また、比較例5は、ハードコート層を形成せず、プライマー層のみを有するハードコート積層体とした。
【0072】
得られたハードコート積層体の、耐擦傷性、鉛筆硬度、全光線透過率、ヘーズ、及び水の接触角を評価した。耐擦傷性、鉛筆硬度、及び接触角の評価の手順を以下に示す。また、結果を表4に併せて示す。
【0073】
[耐擦傷性]
ハードコート層表面を、往復摩耗試験機に取り付けたスチールウール[ボンスター販売(株)製 ボンスター(登録商標)#0000(超極細)]で1kg/cmの荷重を掛けて1,000往復擦り、その擦った部分に油性マーカー[ゼブラ(株)製 マッキー極細(青)、細側を使用]で線を描いた。続けて描いた線を不織布ワイパー[旭化成(株)製 BEMCOT(登録商標)M−1]で拭き取り、傷の程度を目視で確認し以下の基準に従い評価した。なおハードコート積層体として実際の使用を想定した場合、少なくともBであることが求められ、Aであることが望ましい。
A:傷がつかず油性マーカーで描いた線がきれいに拭き取れる
B:かすかに傷がつくが油性マーカーで描いた線がきれいに拭き取れる
C:油性マーカーのインクが傷に入り込み拭き取れない
【0074】
[鉛筆硬度]
JIS 5600−5−4に準拠して、鉛筆硬度(ひっかき硬度)を測定した。なおハードコート積層体として実際の使用を想定した場合、少なくとも5H以上であることが求められ、7H以上であることが望ましい。
【0075】
[接触角]
水1μLをハードコート層表面に付着させ、その5秒後の接触角θを5点で測定し、その平均値を接触角値とした。
【0076】
【表3】
【0077】
【表4】
【0078】
表1乃至表4に示すように、表面改質剤として両末端にポリ(オキシアルキレン)基及び1つのウレタン結合基を介して、アクリロイル基を結合するパーフルオロポリエーテルSM1を用いたハードコート層の形成にあたり、無機微粒子を含有するプライマー層を設けた実施例1乃至実施例6の積層体1乃至積層体6にあっては、耐擦傷性に優れ、鉛筆硬度も実使用において満足できる品質であり、さらに透明性に優れる積層体となった。
一方、プライマー層に、活性エネルギー線重合性基を有していない無機微粒子を用いた場合(比較例1)、プライマー層形成時にクラックが発生し、積層体の形成に至らなかった。
またプライマー層において無機微粒子の含有量が規定量に満たない場合(比較例2)、並びに、プライマー層を設けない場合(比較例3)、本発明の積層体と同等の耐擦傷性は示したものの、鉛筆硬度が低く、所望の硬度を得られなかった。
さらに、ハードコート層に、表面改質剤としてパーフルオロポリエーテル構造を有するUV反応型フッ素系表面改質剤SM2を用いた場合(比較例4)、鉛筆硬度については良好な結果が得られるものの、所望の耐擦傷性を得られなかった。
なお、ハードコート層を設けず、ハードコート層の表面改質剤SM1をプライマー層に配合した場合(比較例5)、無機微粒子の配合により高い硬度を有する層は得られたものの、耐擦傷性を有する層を得ることはできなかった。
【0079】
以上、実施例の結果に示すように、表面改質剤として特定のパーフルオロポリエーテルを採用したハードコート層を有する積層体において、無機微粒子を含有するプライマー層を設けることにより、耐擦傷性に優れ、高い硬度を有する積層体を得ることができる。