特許第6982797号(P6982797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982797
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20211206BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20211206BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   G03G21/00 530
   G03G15/00 303
   G03G21/16 109
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-227461(P2017-227461)
(22)【出願日】2017年11月28日
(65)【公開番号】特開2018-106149(P2018-106149A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2020年9月16日
(31)【優先権主張番号】特願2016-253982(P2016-253982)
(32)【優先日】2016年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 博充
(72)【発明者】
【氏名】立山 晋
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 慶祐
(72)【発明者】
【氏名】熊川 雄祐
【審査官】 三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−324534(JP,A)
【文献】 特開2013−077998(JP,A)
【文献】 特開2009−092790(JP,A)
【文献】 特開2012−093391(JP,A)
【文献】 特開2012−083625(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0259499(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する搬送路と、
前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記記録媒体を加熱する加熱装置と、
撮像素子、前記撮像素子が配置された基板、前記撮像素子に画像を結像するための結像レンズ、および、前記結像レンズを保持するホルダを有し、前記加熱装置を通過した前記記録媒体上の画像を検出する画像検知センサと、
画像検知センサの下端よりも前記搬送路に突出している保護部材とを備えた画像形成装置であって、
前記保護部材は、熱伝導性部材により保持されており、
前記熱伝導性部材の放熱を補助する補助放熱部材を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記補助放熱部材は、前記画像検知センサの基板の熱を受けて放熱することを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記熱伝導性部材は、前記画像検知センサが当接して前記画像検知センサを前記記録媒体の画像形成面と直交する方向に位置決めする位置決め部を有し、
前記補助放熱部材は、前記画像検知センサを前記位置決め部に押圧する押圧手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の画像形成装置において、
前記画像検知センサの基板と、前記補助放熱部材とに密着し、前記基板の熱を前記補助放熱部材へ移動させる基板熱伝導部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記基板熱伝導部材は、絶縁性であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記熱伝導性部材と、前記補助放熱部材とに密着し、前記熱伝導性部材の熱を前記補助放熱部材へ移動させる第二の熱伝導性部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置において、
前記第二の熱伝導性部材は、前記補助放熱部材および前記熱伝導性部材のいずれか一方の部材に取り付けられており、他方の部材と接触する接触部を、前記第二の熱伝導性部材よりも他方の部材との間の摩擦係数が低いシート状部材で構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記補助放熱部材を冷却する冷却手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置において、
前記冷却手段を制御する制御手段を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項8または9に記載の画像形成装置において、
前記熱伝導性部材は、前記画像検知センサおよび前記補助放熱部材を収納する上部が開口した略箱型の形状であり、
前記熱伝導性部材の開口を覆うカバー部材が前記熱伝導性部材に取り付けられており、
前記冷却手段は、前記熱伝導性部材の連通孔に挿入され、空気噴出し口が前記補助放熱部材に対向するように設けられたダクトと、前記ダクトへ空気を送風するファンとを備え、
前記ダクトから前記熱伝導性部材内に空気を送風し、前記熱伝導性部材の排気口から前記空気を排気することで、前記補助放熱部材を空冷することを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記画像検知センサの画像検出位置を通過する前記記録媒体が、前記保護部材に接触しないように、前記記録媒体をガイドするガイド部材を有し、
前記ガイド部材を、前記熱伝導性部材に取り付けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項11に記載の画像形成装置において、
前記ガイド部材の前記熱伝導性部材に取り付けられる取り付け部以外は、前記熱伝導性部材と非接触としたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項12に記載の画像形成装置において、
前記熱伝導性部材は、前記保護部材を保持し記録媒体に対向する対向壁部と、前記対向壁部に直交する側壁部とを有し、
前記ガイド部材は、前記側壁部に取り付けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項13に記載の画像形成装置において、
前記ガイド部材と前記熱伝導性部材とに密着し、前記ガイド部材の熱を前記熱伝導性部材へ移動させるガイド熱伝導性部材を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項11乃至14いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記ガイド部材を、前記保護部材に対し前記記録媒体の搬送方向前後に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項1乃至15いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記熱伝導性部材は、金属であることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、搬送されてきた記録媒体上の画像を加熱してこの画像を記録媒体に定着する加熱装置たる定着装置と、定着装置を通過した記録媒体上の定着画像を検出する画像検出手段と、記録媒体と画像検出手段との間に配置され、画像検出手段を保護する保護ガラスなどの保護部材とを備えた画像形成装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記画像形成装置であって、定着装置を通過した記録媒体を冷却装置により冷却した後、記録媒体に定着された画像を上記画像検出手段で検出するものが記載されている。冷却装置により記録媒体を冷却してから、記録媒体に定着された画像を上記画像検出手段で検出することで、加熱装置たる定着装置により加熱された記録媒体により画像検出手段が温度上昇するのを抑制することができると記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1においては、画像形成装置が大型化するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、記録媒体を搬送する搬送路と、前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記記録媒体を加熱する加熱装置と、撮像素子、前記撮像素子が配置された基板、前記撮像素子に画像を結像するための結像レンズ、および、前記結像レンズを保持するホルダを有し、前記加熱装置を通過した前記記録媒体上の画像を検出する画像検知センサと、該画像検知センサの下端よりも前記搬送路に突出している保護部材とを備えた画像形成装置であって、前記保護部材は、熱伝導性部材により保持されており、前記熱伝導性部材の放熱を補助する補助放熱部材を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、装置の大型化を抑制し、かつ、画像検出手段の温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本実施形態に係るプリンタの概略構成図。
図2】画像検出装置の概略構成図。
図3】画像検知センサの放熱部材への取り付けについて説明する図。
図4】補助放熱部材と、画像検知センサを保持した放熱部材と示す概略構成図。
図5】画像検知センサの位置決めについて説明する図。
図6図5の鎖線で囲んだD付近の拡大断面図。
図7】画像検出装置の斜視図。
図8】補助放熱部材を、放熱部材の外壁に設けた画像検出装置の概略構成図。
図9】補助放熱部材を、放熱部材の外壁に設けた画像検出装置の概略斜視図。
図10】ガイド部材と放熱部材との間に熱伝導性シートを設けた画像検出装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を、画像形成装置である電子写真方式のプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)に適用した一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタ100の概略構成図である。図中の符号「C」、「M」、「Y」、「K」は、それぞれ、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色用の部材であることを示すものである。
【0009】
図1に示すように、プリンタ100は、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの角色のトナー像をそれぞれ生成するための四つのトナー像形成部101(C,M,Y,K)を備えている。四つのトナー像形成部101(C,M,Y,K)は、画像形成物質として、互いに異なる色のC、M、Y、Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっているので、以下、使用するトナーの色を示す符号(C,M,Y,K)は適宜省略して説明する。
【0010】
図1に示すように、プリンタ100は、四つのトナー像形成部101の下方に、中間転写体である中間転写ベルト107を備える。転写手段である中間転写ユニット120は、複数の張架ローラによって中間転写ベルト107を張架しながら無端移動させる。中間転写ユニット120の下方には、加熱装置であり、定着手段である定着装置108を備え、定着装置108の下方には記録媒体である転写紙Pを収容する給紙トレイ105a,105bを備える給紙部105が設けられている。この給紙部105から転写紙Pが転写紙Pを搬送するための搬送路Sへ給送される。搬送路Sへ給送された転写紙は、レジストローラ対116に向けて矢印Aの如く搬送される。
【0011】
それぞれのトナー像形成部101は、潜像担持体であるドラム状の感光体112、帯電手段である帯電装置111、現像手段である現像装置113及び潜像形成手段である露光装置110等を備えている。帯電装置111は、駆動手段によって図1中の反時計回り方向に回転される感光体112の表面を一様帯電する。一様帯電された感光体112の表面は、画像情報に基づいて潜像形成手段である露光装置110から照射されるレーザー光によって露光走査され、各色の画像情報に対応した静電潜像が形成される。各色の感光体112の表面上の静電潜像は、各色トナーを用いる現像装置113によって各色トナー像に現像される。それぞれの感光体112の表面上のトナー像は、中間転写ベルト107上に順次中間転写される。
【0012】
中間転写ユニット120は、中間転写ベルト107の他に、四つの一次転写バイアスローラ114(C,M,Y,K)及び二次転写バックアップローラ103等を備えている。中間転写ベルト107は、図1中の時計回り方向(図1中の矢印「B」方向)に無端移動される。四つの一次転写バイアスローラ114(C,M,Y,K)は、このように無端移動される中間転写ベルト107を、四つの感光体112(C,M,Y,K)との間に挟み込んで、それぞれの一次転写ニップを形成している。四つの一次転写バイアスローラ114は、中間転写ベルト107の裏面(ループ内周面)にトナーとは逆極性(例えばプラス)の転写バイアスを印加する方式のものである。
【0013】
中間転写ベルト107を張架する複数のローラのうち、一次転写バイアスローラ114を除くローラは、全て電気的に接地されている。中間転写ベルト107は、その無端移動に伴ってC,M,Y,K用の一次転写ニップを順次通過していく過程で、感光体112(C,M,Y,K)の表面上のC、M、Y及びKのトナー像が重ね合わせて一次転写される。これにより、中間転写ベルト107上に四色重ね合わせトナー像(以下、「四色トナー像」という)が形成される。
【0014】
二次転写バックアップローラ103は、二次転写ローラ115との間に中間転写ベルト107を挟み込んで二次転写ニップを形成している。給紙トレイ105a,105bに収容された転写紙Pは給紙ローラによって一枚ずつ搬送路Sへ給紙され、レジストローラ対116によって所定のタイミングで二次転写ニップに向けて搬送される。
【0015】
中間転写ベルト107上に形成された四色トナー像は、二次転写ニップで転写紙Pに転写される。二次転写ニップにおいては、転写紙Pが互いに順方向に表面移動する中間転写ベルト107と二次転写ローラ115との間に挟まれて搬送される。二次転写ニップから送り出された転写紙Pは、定着装置108のローラ間を通過する際に熱と圧力とにより、表面に転写された四色トナー像が定着される。
定着装置108を通過した転写紙Pは、冷却ローラ109によって冷却された後、搬送路Sからプリンタ100の筐体の外の排紙トレイ117上に排紙される。
【0016】
装置本体の上面には、表示部及び操作パネルを有する操作部104が設けられている。また、反転再送部を設けて、両面印刷を可能としてもよい。両面印刷するときは、定着後の転写紙を反転再送部へ搬送し、転写紙Pを反転してレジストローラ対116へと再給紙し、用紙裏面に中間転写ベルト107よりトナー像が転写される。その後は、片面印刷時と同じように定着装置108で定着が行われた後、プリンタ100の筐体の外の排紙トレイ117上に排紙される。
【0017】
また、定着装置108と冷却ローラ109との間には、転写紙Pに定着された画像を検知する画像検出手段たる画像検出装置201が設けられている。画像検出装置201は、コンタクトイメージセンサなどの画像検出センサを備えており、画像情報を二次元的に検知できるものである。
【0018】
本実施形態においては、画像検出装置201を通過する転写紙Pの定着画像の位置と、画像濃度(色味)を検出し、その検出結果に基づいて、画像形成条件を補正する。画像検出装置201が検出した画像位置が規定の位置からずれていた場合は、露光装置110の潜像書き込みタイミングを調整したり、レジストローラ対116の駆動開始タイミングを調整したりすることにより、画像位置が調整される。また、画像検出装置201が検出した画像濃度(色味)が、規定から外れた場合は、現像バイアスや帯電バイアス、露光装置110の露光量などを調整することにより、画像濃度(色味)が調整される。
【0019】
多量の画像を連続印刷するときは、転写紙に定着された画像一枚、一枚について、画像検出装置201により画像位置と、画像濃度(色味)とを検出して、後続の印刷にフィードバックする。これにより、多量の画像を連続印刷したときに、最初の画像の品質と、最後の画像の品質とが異なるなど、画像品質ムラが生じるのを抑制することができる。
【0020】
画像検知センサは、複数の発光素子と、複数の撮像素子とが転写紙幅方向に一直線状に並べられて設けられた基板と、画像を撮像素子に結像するための結像レンズたるSLA(セルフォック(登録商標)レンズアレイ)を備えている。
【0021】
画像検知センサは、熱に弱く、例えば、SLAが温度上昇すると、成分が表面に析出し、表面に析出した成分が空気中の水蒸気と反応してSLAの表面を白濁化させ、光学性能を劣化させてしまう。その結果、良好な画像検出が行えない。また、熱により基板が熱膨張することにより、撮像素子の位置が規定の位置からずれるなどして、良好な画像検出が行われないおそれもあった。そのため、良好な画像検出を行うためには、画像検知センサとしては、50℃以下に抑えることが好ましい。
【0022】
一方で、正確に精度よく転写紙の定着画像を検知するためには、画像検知センサと転写紙Pとの距離を数ミリに保たなければならないという制約があり、定着装置の熱で加熱された転写紙と近い距離に画像検知センサを配置する必要がある。定着装置の熱で加熱された転写紙は、100℃を越えており、定着装置により熱せられた転写紙が、画像検知センサの画像検知位置を通過するときに、画像検知センサを加熱し、画像検知センサが、温度上昇してしまう。多量の画像を連続印刷するときは、画像検知センサの温度が50℃を越えることがあり、良好な画像検出を行うことができないおそれがあった。
【0023】
画像検知センサと搬送される転写紙との間には、画像検知センサを保護する保護部材たる保護ガラスが配置されており、転写紙の熱は、この保護ガラスを介して、画像検知センサに伝導し、画像検知センサを温度上昇させる。そこで、本実施形態においては、この保護ガラスを放熱部材で保持し、保護ガラスの熱を放熱部材で放熱することにより、保護ガラスから画像検知センサへ移動する熱を低減し、画像検知センサの温度上昇を抑制するようにした。以下、図面を用いて、具体的に説明する。
【0024】
図2は、画像検出装置201の概略構成図である。
図2に示すように、画像検出装置201は、画像検知センサ1を有している。画像検知センサ1は、フォトダイオードなどの複数の撮像素子3、LEDなどの複数の発光素子4、画像を撮像素子に結像するための結像レンズたるSLA(セルフォックレンズアレイ)2などを備えている。複数の撮像素子3および複数の発光素子4は、転写紙の幅方向(紙面と直交する方向)に並べて、基板5に配置されている。SLA2は、ホルダ6に保持されている。
【0025】
画像検知センサ1と、搬送される転写紙との間には、画像検知センサ1を保護するための透過性の保護部材たる保護ガラス7が配置されている。保護ガラス7は、放熱部材10に保持されており、画像検知センサ1は、放熱部材10に収納されている。放熱部材10には、画像検知センサ1を保持するセンサ保持部11を有しており、画像検知センサ1は、このセンサ保持部11に保持されている。また、放熱部材10は、図中上部が開口した略箱型の形状であり、その上部には、カバー部材31が取り付けられている。
【0026】
放熱部材10は、熱伝導性部材であり、熱伝導性部材とは、熱伝導率が60[W/(m・K)]以上のものを言う。本実施形態においては、熱伝導率が200[W/(m・K)]以上の熱伝導性部材を用いるのが好ましく、400[W/(m・K)]以上の熱伝導性部材を用いるのがより好ましい。本実施形態では、放熱部材を、アルミニウム(熱伝導率が200[W/(m・K)]以上)で構成した。
【0027】
定着装置により加熱された転写紙Pの熱は、画像検知センサ1の画像検知位置を通過するときに、まず、保護ガラス7へ移動する。保護ガラス7へ移動した熱は、保護ガラスを保持する熱伝導性部材で構成された放熱部材10へ移動することで、保護ガラス7の温度が上昇するのを抑制することができる。放熱部材10は、略箱型の形状であって、四方に転写紙の紙面に対して直交する方向に延びる側壁を有している。図中下側の転写紙が搬送される付近は、定着装置で加熱された転写紙が通るため、雰囲気温度が高くなっているが、図中上側の雰囲気温度は、図中下側に対して十分低くなっている。放熱部材10は、上述したように、熱伝導性部材で構成されているため、保護ガラス7から移動してきた熱は、すばやく雰囲気温度の低い図中上側へ移動し、放熱する。これにより、多量の画像連続印刷時でも、転写紙Pにより熱せられた保護ガラス7の熱を良好に放熱部材10へ移動させることができ、保護ガラス7の温度上昇を抑制することができる。よって、保護ガラス7から画像検知センサ1へ熱が移動するのを抑制することができ、画像検知センサ1の温度上昇を抑制することができる。その結果、画像検知センサ1のSLAが白濁化したり、発光素子4や撮像素子3を保持する基板5が熱膨張するなど、熱変形したりするのを抑制することができ、良好な画像検出を行うことができる。
【0028】
放熱部材10には、搬送される転写紙Pをガイドするガイド部材41,42が設けられている。ガイド部材41,42の転写紙をガイドするガイド面は、保護ガラス7よりも転写紙搬送側に突出しており、保護ガラスに接触しないように、転写紙Pをガイドする。これにより、保護ガラス7が、搬送中の転写紙Pと摺擦して表面が傷ついたり、転写紙に付着した汚れが、保護ガラスに付したりするのを抑制することができる。これにより、経時にわたり、画像検知センサで転写紙に定着された画像を良好に検知することができる。
【0029】
また、保護ガラス7に転写紙Pが接触しないようにガイドすることにより、転写紙から直接、保護ガラス7へ熱が移動するのを抑制することができ、保護ガラス7の温度上昇を抑制することができる。
【0030】
また、ガイド部材を保護ガラス7に対して搬送方向手前側と、搬送方向後側とに設けることで画像検知位置へ進入する転写紙が、保護ガラス7に接触するのを抑制でき、かつ、画像検知位置を通過した転写紙が保護ガラス7に接触するのを抑制することができる。
【0031】
本実施形態においては、ガイド部材41,42は、SUSで形成されている。SUSで形成することにより、転写紙上の定着画像により、表面が傷つけられるのを抑制できる。また、ガイド部材41,42は、転写紙と接触するため、転写紙から直接熱が移動して、ガイド部材41,42が温度上昇する。ガイド部材41,42へ移動した熱は、ガイド部材41,42の放熱部材10に接触する部分から放熱部材10へ移動し、放熱部材10の保護ガラス7を保持する周囲が温度上昇してしまう。その結果、保護ガラス7から放熱部材10への熱の移動量が減少してしまい、保護ガラスの温度上昇を十分に抑制できないおそれがある。よって、ガイド部材41,42は、放熱部材10に取り付けられる取り付け部以外は、放熱部材10と非接触とするのが好ましい。これにより、ガイド部材41,42から放熱部材10へ熱が移動するのを抑制することができ、保護ガラス7から放熱部材10への熱の移動量が減少するのを抑制することができる。
【0032】
また、各ガイド部材41、42を熱伝導率の低い材料で構成したり、熱伝導率の低い材料を介して、各ガイド部材41,42を放熱部材10に取り付けたりすることにより、ガイド部材41,42の熱が、放熱部材へ移動し難くするのが好ましい。
【0033】
また、本実施形態においては、各ガイド部材41,42は、転写紙幅方向両端に設けられた側壁部に取り付けられており、ガイド部材41,42が放熱部材に取り付けられる取り付け位置を、放熱部材の保護ガラス7を保持する箇所から離れた位置としている。これにより、放熱部材10の保護ガラス7を保持する付近がガイド部材から移動してきた熱により温度上昇するのを抑制することができる。
【0034】
また、各ガイド部材41,42を、放熱部材10以外の部材に取り付けることにより、各ガイド部材41,42の熱が、放熱部材10へ移動するのを良好に抑制できる。しかし、各ガイド部材41,42を、保護ガラス7を保持する放熱部材10以外に取り付けると、部品公差などの積み上げにより、ガイド部材41,42と保護ガラス7との間の位置精度が悪くなる。その結果、保護ガラス7に転写紙が接触しないように、転写紙をガイドすることができなくおそれがある。このようなことから、各ガイド部材41,42は、放熱部材10に取り付けることが好ましい。
【0035】
また、放熱部材10の内部には、放熱部材10の放熱を補助する補助放熱部材21が設けられている。補助放熱部材21は、放熱部材と同様、アルミニウムで形成されており、図中左側には、受熱部25を有しており、受熱部25は、第1熱伝導シート12を介して、放熱部材10と熱的に接続されている。図中右側には、取り付け部24を有しており、放熱部材10の被取り付け部18にネジにより取り付けられている。補助放熱部材21には、転写紙の幅方向(紙面と直交する方向)に延びる複数のフィンからなる放熱部21aが形成されている。放熱部材10の熱の一部は、第1熱伝導シート12を介して、補助放熱部材21へ移動し、補助放熱部材21の放熱部21aから放熱される。これにより、放熱部材10のみで熱を放熱するものに比べて、放熱効率を高めることができ、放熱部材10の温度上昇を抑制することができる。その結果、保護ガラスの熱を良好に放熱部材10へ移動させることができ、保護ガラスの温度上昇を抑制することができる。その結果、保護ガラス7から画像検知センサ1へ移動する熱を低減することができ、画像検知センサ1の温度上昇を抑制することができる。
【0036】
また、補助放熱部材21は、第2熱伝導シート22を介して画像検知センサ1の基板5と熱的に接続されている。画像検知センサ1の基板5は、撮像素子3が撮像した画像を処理する画像処理チップ5a(図3参照)を有しており、この画像処理チップが、熱を発する。また、基板5が保持するLEDなどの発光素子4も熱を発するため、基板5が温度上昇し、基板5が熱膨張するなど熱変形するおそれがある。基板5が熱変形すると、基板に保持された撮像素子の位置が規定の位置からずれて、焦点位置が変化するおそれがある。その結果、撮像素子3が撮像した画像がピンボケするなどして、画像検出精度が低下するおそれがある。また、基板5の熱が、SLA2へ移動し、SLA2を温度上昇させ、SLA2の表面が白濁化するおそれがある。
【0037】
本実施形態においては、基板5の熱が、第2熱伝導シート22を介して補助放熱部材21へ移動する。そして、補助放熱部材21へ移動した基板5の熱は、放熱部21aによって放熱される。これにより、基板5の温度上昇を抑制することができ、基板5が熱で変形するのを抑制することができ、画像検出精度の低下を抑制することができる。また、基板5の熱で、SLA2が温度上昇するのを抑制することができ、SLA2の表面が白濁化するのを抑制することができる。
【0038】
また、補助放熱部材21はアルミで構成されており、導電性であるため、上記第2熱伝導シート22は絶縁性とするのが好ましい。第2熱伝導シート22を絶縁性とすることにより、第二熱伝導シートを介して、補助放熱部材に、基板5に流れる電流が、補助放熱部材21に流れるのを防止することができる。
【0039】
図3は、画像検知センサ1の放熱部材10への取り付けについて説明する図である。
図3に示すように、放熱部材10には、転写紙の幅方向(図中左右方向)2箇所に箱型形状の画像検知センサ1を保持するセンサ保持部11が設けられている。このセンサ保持部11の転写紙幅方向両端には、画像検知センサ1を転写紙の画像形成面と直交する方向(紙面と直交する方向)に位置決めする位置決め部15が設けられている。そして、2つの画像検知センサ1を、それぞれ対応するセンサ保持部11に嵌め込んで、転写紙の幅方向に並んで放熱部材10に保持される。
【0040】
画像検知センサ1の基板5の撮像素子や発光素子が実装された面と反対側の面(以下、基板の裏面という)には、転写紙幅方向に2箇所、撮像素子が撮像した画像を処理する画像処理チップ5aが実装されている。
【0041】
図4は、補助放熱部材21と、画像検知センサ1を保持した放熱部材10と示す概略構成図である。
図4に示すように、補助放熱部材21の画像検知センサ1の基板5と対向する対向面には、4箇所、板バネ23が取り付けられている。各板バネ23は、図中鎖線Xで示すように、基板5の転写紙幅方向端部に当接するように、補助放熱部材21の画像検知センサの基板5と対向する対向面に設けられている。また、補助放熱部材21の基板5と対向する対向面には、第2熱伝導シート22が貼り付けられている。図4では、基板5の裏面のほぼ全面に第2熱伝導シート22が密着するように、第2熱伝導シート22を設けているが、発熱量の多い画像処理チップ5aとのみ密着させて、画像処理チップ5aの熱を、補助放熱部材へ移動させるようにしてもよい。
【0042】
また、放熱部材10の図中下側の側壁には、第1熱伝導シート12が貼り付けられている。第1熱伝導シート12は、アクリルゴムやシリコーンゴムなどの弾性体からなり、補助放熱部材21により押し潰されることにより補助放熱部材21の受熱部25に密着し、放熱部材10の熱を補助放熱部材21へ良好に熱を移動させるようにするものである。受熱部25で第1熱伝導シート12を押し潰しながら、受熱部25を第1熱伝導シート12の表面と摺動させて、補助放熱部材21を組み付けることになる。しかし、第1熱伝導シート12は、アクリルゴムやシリコーンゴムなどの弾性体からなり、摺動性が悪いため、受熱部25がスムーズに第1熱伝導シート12の表面を摺動せず、第1熱伝導シート12が、放熱部材10からはがれるおそれがあった。
【0043】
そのため、本実施形態においては、第1熱伝導シート12の表面に摺動シート13を貼り付けている。摺動シート13は、第1熱伝導シートよりも、受熱部25との摩擦係数が低い部材であり、本実施形態では、PETフィルムを貼り付けている。これにより、補助放熱部材21を放熱部材10に組み付ける際に、第1熱伝導シート12が放熱部材10からはがれるのを抑制することができる。
【0044】
補助放熱部材21の取り付け部24に設けられた貫通孔24aにネジを貫通させ、放熱部材10の被取り付け部18のネジ穴にネジをねじ込むことで、補助放熱部材21は、放熱部材10に取り付けられる。補助放熱部材21が、放熱部材10に取り付けられると、第2熱伝導シート22が押しつぶされて、基板5の裏面に密着する。
【0045】
なお、図4の符号16は、後述する放熱部材10に内に空気を流すためのダクトを通すための連通穴である。
【0046】
図5は、画像検知センサ1の位置決めについて説明する図であり、図6は、図5の鎖線で囲んだD付近の拡大断面図である。
補助放熱部材21を、放熱部材10に取り付けると、板バネ23が、基板5の転写紙幅方向両端を保護ガラス側へ押圧する。これにより、に画像検知センサ1のホルダ6が、放熱部材10の位置決め部15に突き当たり、画像検知センサ1が、転写紙の画像形成面と直交する方向に位置決めされる。これにより、撮像素子3のピントを、転写紙の搬送領域にあわせることができ、転写紙の画像を精度よく検知することができる。
【0047】
また、補助放熱部材21の放熱部21aにより放熱された熱が、放熱部材10内部に篭ると、放熱部材10が温度上昇し、保護ガラス7の放熱効率が低下するとともに、補助放熱部材21の放熱効率も落ちてしまう。従って、放熱部材10の内部に空気を流し、暖められた放熱部材10内の空気を排気するとともに、補助放熱部材21を空冷するのが好ましい。
【0048】
図7は、画像検出装置201の斜視図である。
図7に示すように、放熱部材10の転写紙幅方向一端には、放熱部材10内にダクト52を通す連通穴16が設けられており、この連通穴16にダクト52が挿入されており、ダクト52の空気噴出し口が補助放熱部材の放熱部21aと対向するように設けられている。ダクト52の空気取り入れ口には、シロッコファン51の送風口が取り付けられている。一方、放熱部材10の転写紙幅方向他端には、複数の排気口32aが設けられた排気蓋32が取り付けられている。
【0049】
シロッコファン51により取り込まれた空気は、ダクト52を通って、放熱部材10内へ移動し、ダクト52の空気噴出し口から噴き出す。そして、図中矢印Aに示すように、転写紙幅方向他端側へ向かって流れていき、補助放熱部材21の放熱部21aを空冷する。放熱部21aから熱を奪って温度上昇した空気は、放熱部材10の転写紙幅方向他端に設けられた排気蓋32の複数の排気口32aから排気される。これにより、補助放熱部材21の温度上昇を抑制することができ、基板および、放熱部材10の熱を良好に放熱することができる。
【0050】
また、画像形成装置内部は、様々な装置からの発熱により外気よりも温度が高いため、シロッコファン51が取り入れる空気としては、外気が好ましい。よって、画像形成装置の筐体に吸気口を設け、この吸気口とシロッコファン51の空気取り入れ口とを繋いで、外気を取り込むようにするのが好ましい。
【0051】
例えば、転写紙が厚紙の場合や、画像面積率が高い画像のときは、定着に要する熱量が増えるため、定着装置の温度を高める。その結果、定着装置を抜けた転写紙の温度が高くなり、画像検知センサの温度が上昇しやすい。よって、このようなときは、放熱部材10内へ流す空気の流量を増やすのが好ましい。一方で、一枚のみの単発の画像形成であれば、補助放熱部材を空冷せずとも、画像検知センサ1が、50℃以上に加熱されることがない。よって、このようなときは、例えば、シロッコファン51の駆動を停止するのが好ましい。
【0052】
そのため、本実施形態においては、シロッコファン51は、制御手段たる制御部90に接続され、制御部90により、放熱部材10へ流す空気の流量を制御している。これにより、転写紙の厚みや画像面積率、印刷する用紙の枚数に基づいて、制御部90によりシロッコファン51を制御して、放熱部材10へ流す空気の流量を制御することができる。これにより、良好の画像検知センサ1の温度上昇を抑制するとともに、シロッコファンから発する風切音などの騒音や、シロッコファンへの電力供給を低減することが可能となる。
【0053】
また、本実施形態では、補助放熱部材21にフィン形状の放熱部21aを設け、放熱部21aを空冷することにより、補助放熱部材21を冷却しているが、液冷装置で補助放熱部材21を冷却してもよい。また、補助放熱部材21を無くして、液冷装置で放熱部材10を冷却して、放熱部材10の放熱効率を高めるようにしてもよい。
【0054】
図8は、補助放熱部材21を、放熱部材10の外壁に設けた画像検出装置の概略構成図であり、図9は、補助放熱部材21を、放熱部材10の外壁に設けた画像検出装置を示す概略斜視図である。
図8、9に示すように、補助放熱部材21を放熱部材10の外壁に設けてもよい。かかる構成でも、放熱部材10の熱を補助放熱部材へ移動させ、補助放熱部材21の放熱部21aで放熱することができる。これにより、放熱部材10の温度上昇を抑制することができ、保護ガラスの熱を良好に放熱部材10へ移動させることができる。また、かかる構成においても、放熱部を空冷して、放熱部を冷却するのが好ましい。
【0055】
また、上述では、ガイド部材41,42から放熱部材10へ熱が移動するのを抑制することで、保護ガラス7から放熱部材10への熱の移動量が減少するのを抑制し、保護ガラス7の温度上昇を抑制している。しかし、装置の構成などによっては、ガイド部材41、42から放熱部材10へ積極的に熱を逃がして、ガイド部材41、42で積極的に転写紙の熱を奪う方が、転写紙から保護ガラス7へ移動する熱が抑制され、保護ガラス7の温度上昇が抑制できる場合もある。
【0056】
図10は、ガイド部材41,42と放熱部材10との間に熱伝導性シートを設け、ガイド部材41、42の熱を放熱部材10へ積極的に逃がすようにした画像検出装置の概略構成図である。
図10に示すように、ガイド部材41と放熱部材10とに密着し、ガイド部材41の熱を放熱部材10へ移動させる第3熱伝導シート43と、ガイド部材42と放熱部材10とに密着し、ガイド部材42の熱を放熱部材10へ移動させる第4熱伝導シート44とを有している。これにより、ガイド部材41の熱の一部は、第3熱伝導シート43を介して放熱部材10へ移動し、放熱部材10から放熱される。また、ガイド部材42の熱の一部は、第4熱伝導シート44を介して放熱部材10へ移動し、放熱部材10から放熱される。さらに、放熱部材10へ移動したガイド部材41,42の熱はの一部は、第1熱伝導シート12を介して補助放熱部材21へ移動し、補助放熱部材から放熱される。その結果、ガイド部材41,42の温度上昇を抑制することができ、ガイド部材41,42で転写紙の熱を良好に奪うことができる。よって、転写紙を冷やすことができ、転写紙から保護ガラス7へ移動する熱の量を低減することができる。これにより、保護ガラス7の温度上昇を抑制することができ、保護ガラス7から画像検知センサ1へ移動する熱を低減することができ、画像検知センサ1の温度上昇を抑制することができる。
【0057】
なお、上述では、加熱装置として定着装置を用いて説明したが、これに限られず、記録媒体を加熱するものであればよい。例えば、加熱装置としては、画像形成装置たるインクジェット記録装置において、記録媒体を加熱して記録媒体上に吐出されたインクを乾燥する乾燥装置を挙げることができる。
【0058】
以上に説明したものは一例であり、以下の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
転写紙Pなどの記録媒体を搬送する搬送路と、記録媒体に画像を形成する画像形成部(本実施形態では、四つのトナー像形成部101、中間転写ユニット120などで構成)と、前記記録媒体を加熱する定着装置108などの加熱装置と、前記加熱装置を通過した前記記録媒体上の画像を検出する画像検知センサ1などの画像検出手段と、該画像検出手段の下端よりも前記搬送路に突出している保護ガラス7などの保護部材とを備えた画像形成装置であって、保護部材は、放熱部材10などの熱伝導性部材により保持されている。
これによれば、実施形態で説明したように、画像検知センサ1などの画像検出手段と転写紙Pなどの記録媒体との間に配置された保護ガラス7などの保護部材を放熱部材10などの熱伝導性部材で保持することで、定着装置108により加熱された記録媒体が画像検出手段の画像検知位置を通過するときに、記録媒体から保護部材へ移動した熱を熱伝導性部材で放熱することができる。これにより、記録媒体の熱により画像検出手段が加熱されるのを抑制することができ、記録媒体を冷却する冷却装置を設けずとも、画像検出手段の温度上昇を抑制することができ、装置の大型化を抑制することができる。
【0059】
(態様2)
態様1において、放熱部材10などの熱伝導性部材の放熱を補助する補助放熱部材21を設けた。
これによれば、実施形態で説明したように、放熱部材10などの熱伝導性部材と補助放熱部材21とで保護ガラス7などの保護部材の放熱を行うことができ、熱伝導性部材で保護部材の熱を放熱するものに比べて放熱効率を高めることができる。これにより、熱伝導性部材の温度上昇を抑制することができ、保護ガラス7などの保護部材の熱を良好に熱伝導性部材へ移動させることができる。これにより、画像検出手段が記録媒体の熱により加熱されるのを良好に抑制でき、画像検出手段の温度上昇を抑制することができる。
【0060】
(態様3)
態様2において、補助放熱部材21は、画像検知センサ1などの画像検出手段の基板5の熱を受けて放熱する。
これによれば、実施形態で説明したように、画像検知センサ1などの画像検出手段の基板5が発した熱で基板5が温度上昇するのを抑制することができ、基板5が熱膨張するのを抑制することができる。これにより、基板5に設けられた撮像素子が規定の位置からずれて、撮像素子で撮像した転写紙などの記録媒体上の定着画像がピンボケするなどの不具合が発生するのを抑制することができる。また、基板5の熱により、画像検出手段のSLA2などの結像レンズが、温度上昇するのを抑制することができる。これにより、結像レンズから成分が表面に析出し、その析出した成分が水蒸気と反応してレンズ表面を白濁化させる事態が生じるのを抑制することができる。よって、良好な画像検出を行うことができる。
【0061】
(態様4)
態様3において、前記補助放熱部材21は、画像検知センサ1などの画像検出手段を位置決めする位置決め部15に押圧する板バネ23などの押圧手段を備える。
これによれば、補助放熱部材21を、画像検知センサ1などの画像検出手段を位置決めする位置決め部15に押圧する押圧機構としても用いることができ、補助放熱部材21と、押圧機構とをそれぞれ設けるものに比べて、部品点数を削減することができ、装置のコストダウンを図ることができる。
【0062】
(態様5)
態様3または4において、画像検知センサ1などの画像検出手段の基板5と、前記補助放熱部材21とに密着し、前記基板5の熱を前記補助放熱部材21へ移動させる第2熱伝導シート22などの基板熱伝導部材を有する。
基板5および補助放熱部材21は、剛体であり、完全な平滑面でもないため、基板の全面がぴったりと補助放熱部材21に接触できず、どうしても隙間(空気層)ができてしまい、基板5から補助放熱部材21への効率的な熱移動が行えないおそれがある。
しかし、態様5において、画像検出手段の基板5および前記補助放熱部材21に密着する第2熱伝導シート22などの基板熱伝導部材を有するので、画像検出手段の基板5および前記補助放熱部材21いずれにも密着する熱伝導部材を介して基板5から補助放熱部材21への効率的な熱移動を行うことができる。これにより、基板の温度上昇を良好に抑制することができる。
【0063】
(態様6)
態様5において、第2熱伝導シート22などの基板熱伝導部材は、絶縁性である。
これによれば、実施形態で説明したように、基板5に流れる電流が、第2熱伝導シート22などの熱伝導部材を介して前記補助放熱部材21へ流れるのを防止することができる。
【0064】
(態様7)
態様2乃至6いずれかにおいて、放熱部材10などの熱伝導性部材と、補助放熱部材21とに密着し、前記放熱部材10の熱を前記補助放熱部材21へ移動させる第1熱伝導シート12などの第二の熱伝導性部材を有する。
放熱部材10などの熱伝導性部材および補助放熱部材21は、剛体であり、完全な平滑面でもないため、熱伝導性部材と補助放熱部材21とぴったりと接触させることができず、どうしても隙間(空気層)ができてしまい熱伝導性部材から補助放熱部材21への効率的な熱移動ができない。
そこで、態様7では、放熱部材10などの熱伝導性部材および前記補助放熱部材21に密着する第1熱伝導シート12などの第二の熱伝導性部材を有するので、熱伝導性部材および補助放熱部材21いずれにも密着する第二の熱伝導性部材を介して熱伝導性部材から補助放熱部材21への効率的な熱移動を行うことができる。これにより、熱伝導性部材の温度上昇を抑制することができ、保護ガラス7などの保護部材を熱を良好に放熱部材10へ移動させることができる。
【0065】
(態様8)
態様7において、第1熱伝導シート12などの第二の熱伝導性部材は、補助放熱部材21および放熱部材10などの熱伝導性部材のいずれか一方の部材(本実施形態では、放熱部材10)に取り付けられており、他方の部材と接触する接触部を、第二の熱伝導性部材よりも他方の部材との間の摩擦係数が低い摺動シート13などのシート状部材で構成した。
これによれば、前記他方の部材(本実施形態では、補助放熱部材21)を、第1熱伝導シート12などの第二の熱伝導性部材と摺動するようにして取り付けるときに、第二の熱伝導性部材の表面をスムーズに摺動し、第二の熱伝導性部材が一方の部材(本実施形態では放熱部材10)から剥がれるのを抑制することができる。
【0066】
(態様9)
態様2乃至8いずれかにおいて、前記補助放熱部材21を冷却する冷却手段(本実施形態では、シロッコファン51、ダクト52などで構成)を設けた。
これによれば、図7を用いて説明したように、補助放熱部材21の温度上昇を抑制することができ、放熱部材10からの移動してきた熱を良好に放熱することができる。
【0067】
(態様10)
態様9において、前記冷却手段(本実施形態では、シロッコファン51、ダクト52などで構成)を制御する制御部90などの制御手段を備えた。
これによれば、図7を用いて説明したように、画像検出手段が画像を検出する画像検出位置に搬送される転写紙の温度などに基づいて、冷却手段を制御することができ、良好に画像検出手段の温度上昇を抑制することができ、かつ、必要最小限の冷却に抑えることができ、装置の電力消費を抑えることができる。
【0068】
(態様11)
態様1乃至10いずれかにおいて、画像検知センサ1などの前記画像検出手段の画像検出位置を通過する転写紙などの記録媒体が、保護ガラス7などの保護部材に接触しないように、前記記録媒体をガイドするガイド部材41,42を有し、前記ガイド部材を、前記熱伝導性部材に取り付けた。
これによれば、実施形態で説明したように、保護部材を保持する放熱部材10などの熱伝導性部材にガイド部材を取り付けることにより部品公差などの積み上げを最小限に抑え、保護部材とガイド部材との関係が規定の関係からずれるのを抑制することができる。これにより良好の記録媒体が保護部材に接触しないようにガイドすることができ、保護部材の汚れや温度上昇を抑制することができる。
【0069】
(態様12)
態様11において、前記ガイド部材41,42の放熱部材10などの熱伝導性部材に取り付けられる取り付け部以外は、放熱部材10と非接触とした。
これによれば、実施形態で説明したように、転写紙がガイド部材41、42に接触するなどにして、ガイド部材41,42を加熱した熱が、放熱部材10などの熱伝導性部材へ移動するのを抑制することができる。これにより、熱伝導性部材が温度上昇するのを抑制することができ、保護ガラス7などの保護部材の熱を良好に熱伝導性部材へ移動させることができ、保護部材の温度上昇を抑制することができる。
【0070】
(態様13)
態様11において、前記ガイド部材41,42と放熱部材10などの熱伝導性部材とに密着し、前記ガイド部材41,42の熱を前記熱伝導性部材へ移動させる第3熱伝導シート43および第4熱伝導シート44などのガイド熱伝導性部材を有する。
これによれば、実施形態で説明したように、ガイド部材41,42の熱をガイド熱伝導性部材を介して放熱部材10などの熱伝導性部材へ移動させることができ、ガイド部材41,42の温度上昇を抑制することができる。これにより、ガイド部材41,42により転写紙などの記録媒体の熱を良好に奪うことができ、記録媒体をガイド部材41,42で良好に冷却することができる。これにより、記録媒体から保護ガラス7などの保護部材へ移動する熱量を低減することができ、保護部材の温度上昇を抑制することができる。
【0071】
(態様14)
態様11乃至13いずれかにおいて、前記ガイド部材を、保護ガラス7などの保護部材に対し転写紙Pなどの記録媒体の搬送方向前後に設けた。
これによれば、実施形態で説明したように、画像検知センサ1などの画像検出手段が画像を検出する画像検出位置へ進入する転写紙など記録媒体が、保護ガラス7などの保護部材に接触するのを抑制でき、かつ、画像検出位置を通過した記録媒体が保護部材に接触するのを抑制することができる。
【0072】
(態様15)
態様1乃至14いずれかにおいて、前記熱伝導性部材は、金属である。
これによれば、保護ガラス7などの保護部材の熱を良好に放熱部材10などの熱伝導性部材へ移動させ、熱伝導性部材で放熱することができる。
【符号の説明】
【0073】
1:画像検知センサ
2:SLA
3:撮像素子
4:発光素子
5:基板
5a:画像処理チップ
6:ホルダ
7:保護ガラス
10:放熱部材
11:センサ保持部
12:第1熱伝導シート
13:摺動シート
15:位置決め部
16:連通穴
18:被取り付け部
21:補助放熱部材
21a:放熱部
22:第2熱伝導シート
23:板バネ
24:取り付け部
24a:貫通孔
25:受熱部
31:カバー部材
32:排気蓋
32a:排気口
41,42:ガイド部材
43:第3熱伝導性シート
44:第4熱伝導性シート
51:シロッコファン
52:ダクト
90:制御部
100:プリンタ
108:定着装置
P:転写紙
S:搬送路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】
【特許文献1】特許第4983813号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10