(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6982859
(24)【登録日】2021年11月25日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】耳石観察用一次包埋ブロック、耳石観察用標本ブロック、耳石試料片の製造方法
(51)【国際特許分類】
G01N 1/36 20060101AFI20211206BHJP
G01N 1/28 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
G01N1/36
G01N1/28 J
G01N1/28 H
G01N1/28 G
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-195215(P2017-195215)
(22)【出願日】2017年10月5日
(65)【公開番号】特開2019-66442(P2019-66442A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2020年8月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】504196300
【氏名又は名称】国立大学法人東京海洋大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】ストルスマン・カルロス・アウグスト
(72)【発明者】
【氏名】コラウチ・ダリオ・セザル
【審査官】
山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第105136541(CN,A)
【文献】
中国実用新案第206387635(CN,U)
【文献】
特開2007−126457(JP,A)
【文献】
特開2011−247647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 − 1/44
G01N 33/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚類の耳石試料と、該魚類の耳石試料を固定する平坦な試料固定面を有する基材と、前記耳石試料を前記基材の前記試料固定面に固定する包埋部材と、を備え、
前記試料固定面には、前記耳石試料の核の位置を示す位置決め指標を形成し、
前記位置決め指標は、前記核の中心点で互いに交差する2本の直線からなる交差線であり、
前記中心点から離間した位置に形成され、前記交差線のうち一方の直線に沿った前記中心点までの距離を示す加工指標線を更に備えたことを特徴とする耳石観察用一次包埋ブロック。
【請求項2】
前記交差線に対して所定の角度で傾いた方向に沿って、一端が前記中心点に向けて延び、かつ前記一端が前記中心点とは離間した位置にある補助指標線を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の耳石観察用一次包埋ブロック。
【請求項3】
請求項2記載の耳石観察用一次包埋ブロックと、前記耳石試料が固定された前記耳石観察用一次包埋ブロックを覆う透明な被覆部材と、からなることを特徴とする耳石観察用標本ブロック。
【請求項4】
請求項3記載の耳石観察用標本ブロックを用いた耳石試料片の製造方法であって、
前記耳石試料の核が前記交差線の前記中心点に合致するように、前記耳石試料を前記試料固定面に固定する耳石固定工程と、
前記耳石試料が固定された耳石観察用一次包埋ブロックを透明な被覆部材で覆い、前記耳石観察用標本ブロックを形成する被覆工程と、
前記交差線を成す一方の直線に沿って、前記耳石試料の核に向けた2方向から、前記耳石観察用標本ブロックを削る研磨工程と、を少なくとも有し、
前記研磨工程では、加工指標線および補助指標線を参照して前記耳石試料の核までの距離を把握しつつ、前記耳石試料の核の一部が露出する位置まで前記耳石観察用標本ブロックを削ることを特徴とする耳石試料片の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、魚類の耳石の断面を観察する耳石試料片を形成するための耳石観察用一次包埋ブロック、耳石観察用標本ブロック、および耳石試料片の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
魚類の脳下部、三半規管には、炭酸カルシウムからなる耳石が存在する。この耳石は、核を中心として樹木の年輪のように成長と共にリングが形成されるため、これらをカウントすることによって、その魚類の年齢を把握することができる。また、耳石のリングを拡大して観察すると、日輪と言う1日ごとに形成された更に細かなリングも観察することが可能である。こうした耳石を利用して、魚類の日齢査定を行うほか資源解析や、稚魚の成長過程の観察など、幅広い魚類の研究を行うことができる。
【0003】
耳石の解析にあたっては、耳石の核およびその周囲を覆うリングを露出させた観察断面を、耳石の研磨によって形成する。従来、試料を研磨して特定の観察断面を形成する方法として、例えば非特許文献1には、エポキシ樹脂に試料となる耳石を包埋させた後にこのエポキシ樹脂を硬化させ、この耳石包埋ブロックを耳石の中心付近でカットした後に研磨することによって、耳石の核およびその周囲を覆うリングを露出させた観察断面を有する試料片を形成することが記載されている。
【0004】
一方、耳石を用いた魚類の研究には、解析精度を向上させるために、数百個ないし数千個単位の耳石を解析する必要がある。従来、多数の耳石の観察断面を効率的に形成するために、例えば、多数の耳石を透明な樹脂などに包埋させ、硬化させた樹脂およびこれに包埋された多数の耳石を一括して研磨することにより、効率的に耳石の観察断面を形成する方法が行われている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】鹿児島大学水産学部紀要−Memoirs of Faculty of Fisheries Kagoshima University,52:51-56
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来、観察試料である耳石を樹脂などに包埋させる際に、包埋位置の位置決めが困難であるという課題があった。このため、耳石を固定した際にその傾きや固定位置が一定にならず、耳石の核とその周囲のリングとが全体的に観察可能な観察断面を正確に形成することが困難である。
【0007】
本発明は、前述した状況に鑑みてなされたものであって、魚類の耳石の核を含む観察断面を容易に、かつ正確に形成することが可能な耳石観察用一次包埋ブロック、耳石観察用標本ブロック、耳石試料片の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明の耳石観察用一次包埋ブロックは、以下の構成を有する。
魚類の耳石試料と、該魚類の耳石試料を固定する平坦な試料固定面を有する基材と、
前記耳石試料を前記基材の前記試料固定面に固定する包埋部材と、を備え、前記試料固定面には、前記耳石試料の核の位置を示す位置決め指標を形成し、前記位置決め指標は、前記核の中心点で互いに交差する2本の直線からなる交差線であり、前記中心点から離間した位置に形成され、前記交差線のうち一方の直線に沿った前記中心点までの距離を示す加工指標線を更に備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、耳石観察用一次包埋ブロックの試料固定面に耳石試料の核の位置を示す位置決め指標を形成することによって、耳石の核の位置を確実に把握して耳石試料を試料固定面に固定することができる。
【0012】
また、本発明は、前記交差線に対して所定の角度で傾いた方向に沿って、一端が前記中心点に向けて延び、かつ前記一端が前記中心点とは離間した位置にある補助指標線を更に備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の耳石観察用標本ブロックは、以下の構成を有する。
前記耳石観察用一次包埋ブロックと
、前記耳石試料が固定された
前記耳石観察用一次包埋ブロックを覆う透明な被覆部材と、からなることを特徴とする。
【0014】
本発明の耳石試料片の製造方法は、以下の構成を有する。
前記耳石観察用標本ブロックを用いた耳石試料片の製造方法であって、前記耳石試料の核が前記交差線の前記中心点に合致するように、前記耳石試料を前記試料固定面に固定する耳石固定工程と、前記耳石試料が固定された耳石観察用一次包埋ブロックを透明な被覆部材で覆い、前記耳石観察用標本ブロックを形成する被覆工程と、前記交差線を成す一方の直線に沿って、前記耳石試料の核に向けた2方向から、前記耳石観察用標本ブロックを削る研磨工程と、を少なくとも有し、前記研磨工程では、加工指標線および補助指標線を参照して前記耳石試料の核までの距離を把握しつつ、前記耳石試料の核の一部が露出する位置まで前記耳石観察用標本ブロックを削ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の耳石観察用一次包埋ブロック、耳石観察用標本ブロック、耳石試料片の製造方法によれば、魚類の耳石の核を含む観察断面を容易に、かつ正確に形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】耳石(耳石試料)を固定した状態の本発明の一実施形態の耳石観察用一次包埋ブロックを示す斜視図、側面図である。
【
図2】耳石(耳石試料)を固定した状態の本発明の別な実施形態の耳石観察用一次包埋ブロックを示す斜視図、側面図である。
【
図3】試料固定面に形成される交差線、補助指標線、および補助指標線を示す平面図である。
【
図4】本発明の一実施形態の耳石観察用標本ブロックを示す斜視図である。
【
図5】耳石観察用標本ブロックの製造過程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態の耳石観察用一次包埋ブロック、耳石観察用標本ブロック、耳石試料片の製造方法について説明する。なお、以下に示す各実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0018】
図1(a)は、耳石(耳石試料)を固定した状態の本発明の耳石観察用一次包埋ブロックを示す斜視図である。また、
図1(b)は、
図1(a)のY軸方向に沿った側面図である。また、
図1(c)は、
図1(a)のX軸方向に沿った側面図である。
耳石観察用一次包埋ブロック10は、耳石試料Sを固定する平坦な試料固定面11aを有する基材11を備えている。基材11は、本実施形態では直方体を成し、任意の一面が試料固定面11aとされている。基材11は、研磨加工が容易な材料、例えば樹脂材料から構成されている。また、樹脂材料は、透明な(光透過性の)樹脂材料で形成する必要がある。
【0019】
試料固定面11aには、耳石試料Sの中心にある耳石核SCの位置を示す中心点Cを示す2本の直線13a,13bからなる交差線(仮想交差線)13が形成されている。こうした交差線13は、耳石試料Sの軸線(短軸、長軸)の位置を示す指標である。
本実施形態では、交差線13は、試料固定面11aに沿って互いに直交する2本の直線a,13bからなる。なお、以下の説明では、直線13aに平行な軸をX軸、直線13bに平行な軸をY軸、X軸およびY軸に直角な軸をZ軸と称する。こうした交差線13は、例えばインク、例えばトナーによって構成されている。
【0020】
耳石試料Sは、こうした試料固定面11aに形成された交差線13の中心点Cに耳石試料Sの中心にある耳石核SCが一致するように、耳石試料Sが試料固定面11aに固定される。耳石核SCは、例えば耳石試料Sに光を透過させることによって、黒点として容易に認識することができる。このため、基材11は、光透過性の樹脂を用いる。
なお、耳石試料Sと試料固定面11aとは、例えば紫外線硬化樹脂を用いて固定されればよい。これにより、耳石試料Sを試料固定面11aに速やかに固定することが可能になる。
【0021】
また、試料固定面11aには、2本の直線13a,13bのうち一方の直線、本実施形態ではY軸に沿って所定の間隔を空けて配置された加工指標線14a,14b,14c,14dが形成されている。この加工指標線14a〜14dは、交差線13の中心点CからY軸に沿った離間幅を示すものであり、本実施形態では、加工指標線14aが交差線13の中心点CからY軸に沿って+0.5mmの位置に、加工指標線14bが交差線13の中心点CからY軸に沿って+1.0mmの位置に、加工指標線14cが交差線13の中心点CからY軸に沿って−0.5mmの位置に、加工指標線14dが交差線13の中心点CからY軸に沿って−1.0mmの位置に、それぞれ形成されている。加工指標線14a〜14d自体の長さは、本実施形態で1.0mmになるように形成されている。こうした加工指標線14a〜14dは、例えばインクによって構成されている。
【0022】
更に、試料固定面11aには、交差線13に対して所定の角度で傾いた方向に沿って、一端が中心点Cに向けて延び、かつ一端が中心点Cは離間した位置にある補助指標線15a〜15dが形成されている。この補助指標線15a〜15dは、本実施形態では、例えば、交差線13に対してそれぞれ45°の角度で傾斜して延びている。補助指標線15a〜15d自体の長さは、本実施形態では1.0mmになるように形成されている。こうした補助指標線15a〜15dは、例えばインクによって構成されている。
【0023】
以上の様な試料固定面11aに形成される交差線13、加工指標線14a〜14d、および補助指標線15a〜15dを
図3に示す。なお、交差線13は、
図3のように中心点Cの近傍を実際の線として形成せずに仮想線として、交差線13の一端および補助指標線15a〜15dの一端で囲まれた微小な円形領域を中心点Cとしてもよい。また、補助指標線15a〜15dも中心点C付近においては仮想線である。
【0024】
耳石試料Sは、平たい楕円形を成しており、一方の楕円平面を試料固定面11aに固定させる。また、
図1に示す実施形態では、楕円形の耳石試料Sの長軸が交差線13のうち直線13a、即ちX軸に沿うように耳石試料Sを試料固定面11aに固定させる。
【0025】
なお、
図2(a)、
図2(b)に示す実施形態のように、楕円形の耳石試料Sの短軸が交差線13のうち直線13b、即ちX軸に沿うように耳石試料Sを試料固定面11aに固定させることもできる。
【0026】
次に、本発明の耳石観察用標本ブロックについて説明する。
図4は、本発明の一実施形態の耳石観察用標本ブロックを示す斜視図である。
耳石観察用標本ブロック20は、
図1に示す耳石観察用一次包埋ブロック10と、この耳石観察用一次包埋ブロック10の試料固定面11aに固定された耳石試料Sと、被覆部材21とを有する。
【0027】
被覆部材21は、例えば、外形が円筒形に成型される。耳石観察用標本ブロック20は、試料固定面11aに形成された交差線13、加工指標線14a〜14d、および補助指標線15a〜15dを外部から容易に観察できる。
【0028】
次に、耳石観察用標本ブロック20を用いた耳石試料片の製造方法について、
図1、
図5を参照して、耳石観察用一次包埋ブロック10の作用を含めて説明する。
本発明の耳石試料片の製造方法によって、耳石試料Sの耳石核SCを含む試料断面を露出させた耳石試料片を形成する際には、まず、本発明の耳石観察用一次包埋ブロック10を用意する。そして、この耳石観察用一次包埋ブロック10の試料固定面11aに形成された交差線13の中心点Cを上にして、その付近に少量の硬化性樹脂を形成する。
【0029】
次に、耳石試料Sを試料固定面11aに配置して、耳石試料Sを透過する光を照射し、
例えば黒点として視認される耳石試料Sに存在する耳石核SCを確認する。この時、光学顕微鏡等を用いて、拡大して観察することが好ましい。
【0030】
そして、耳石核SCが確認できたら、この耳石核SCが交差線13の中心点Cに合致するように、耳石試料Sを試料固定面11a上で微動させる。
更に、楕円形の耳石試料Sの長軸が交差線13を成す直線13a(X軸)または直線13b(Y軸)に合致するように耳石試料Sを回転させる。
そして、硬化性樹脂を硬化させ、耳石試料Sを耳石観察用一次包埋ブロック10の試料固定面11aに固定する(耳石固定工程)。
【0031】
このように、耳石観察用一次包埋ブロック10の試料固定面11aに中心点Cで互いに交差する2本の直線13a,13bからなる交差線13を形成することにより、耳石試料Sの耳石核SCが交差線13の中心点Cに重なる位置にあり、また、楕円形の耳石試料Sの長軸の方向が交差線13を成す直線13a(X軸)または直線13b(Y軸)の何れかに合致していることが容易に把握できるように、耳石試料Sを試料固定面11aに固定することができる。
【0032】
次に、
図5に示すように、被覆部材21を構成する透明な硬化前の樹脂材料液Qに、耳石試料Sが固定された耳石観察用一次包埋ブロック10を浸漬する。そして、樹脂材料液Qを硬化させ、耳石観察用一次包埋ブロック10と、この耳石観察用一次包埋ブロック10の試料固定面11aに固定された耳石試料Sと、この耳石試料Sが固定された耳石観察用一次包埋ブロック10を覆う被覆部材21と、からなる耳石観察用標本ブロック20を形成する(被覆工程)。
【0033】
なお、被覆部材21を構成する透明な樹脂材料としては、耳石観察用一次包埋ブロック10の基材11を構成する樹脂材料と同一のものを用いる。また、被覆部材21を構成する透明な樹脂材料の例としては、紫外線硬化樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂などが挙げられる。
【0034】
次に、耳石観察用標本ブロック20を研磨装置に載置して、交差線13を成す直線13b、即ちY軸に沿って、耳石試料Sの耳石核SCに向けた2方向から耳石観察用標本ブロック20を研磨していく(研磨工程)。
【0035】
この時、加工指標線14a〜14dを参照することによって、耳石試料Sの耳石核SCまでの距離を容易に把握することができる。例えば、加工指標線14bから加工指標線14aまでの間、および加工指標線14dから加工指標線14cまでの間は、研磨している面が耳石核SCまで少なくとも0.5mm以上離れていることが明らかであるため、高い研磨レートで高速研磨を行うことができる。
【0036】
そして、研磨している面が加工指標線14aおよび加工指標線14cの位置まで来たら、低い研磨レートで研磨を行い、耳石核SCを削り取ってしまうことなく、耳石核SCとその回りを囲むリング全体の観察断面を容易に、かつ確実に形成することができる。
【0037】
なお、この加工指標線14aおよび加工指標線14cの位置以降の研磨では、交差線13に対して45°の角度で傾いた補助指標線15a〜15dと直線13a(X軸)、直線13b(Y軸)との間の距離を確認しつつ研磨することで、三角関数によって研磨面から耳石核SCまでの距離を正確に把握することができ、より一層確実に耳石核SCを削り取ってしまうことなく耳石試料Sの目標の観察断面を形成することができる。
また、耳石試料Sが大きい場合など、研磨工程の前に、耳石観察用標本ブロック20を切断装置に載置して、例えば、X軸方向に沿って、加工指標線14aおよび加工指標線14cの位置で両側から耳石観察用標本ブロック20を切断してもよい。
【0038】
このようにして得られた耳石試料片の一例を
図6に示す。
図6に示す耳石試料片30では、耳石観察用標本ブロック20(
図4参照)のX軸に沿って耳石試料Sの両側から研磨を行い円板状にする。
【0039】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0040】
例えば、上述した実施形態では、核の位置決め指標として交差線を形成しているが、これ以外にも、例えば、中心点と長軸または短軸の指標となる線、中心点と長軸および短軸の指標となる線、中心点と円形領域などを核の位置決め指標として用いることができ、核の位置決め指標の具体的な形態が限定されるものでは無い。
また、上述した実施形態では耳石観察用一次包埋ブロックの形状を直方体にしているが、これ以外にも、例えば六角形板状、円板状など、各種形状にすることができる。また、耳石観察用一次包埋ブロックを複数成型可能な金型を用いて、複数の耳石観察用一次包埋ブロックを一括成型することもできる。これによって、多数の耳石試料を一括して耳石観察用一次包埋ブロックに固定し、これを被覆部材で覆うことで、多数の耳石試料の観察断面を効率的に形成することが可能になる。
また、上述した実施形態では、耳石観察用標本ブロック20は円筒形に形成しているが、これ以外にも、例えば立方体状、六角柱状など、各種形状にすることができる。
また、本発明の耳石観察用一次包埋ブロックの構成を適用して、例えば他の生物の硬組織(骨、貝殻、軟体動物の耳石、真珠、など)を包埋することができる。その場合、それぞれの生物の核に相当するような観察対象を、交差線、加工指標線、補助指標線によって研磨の方向性や研磨中の位置を決定することができる。
【符号の説明】
【0041】
10…耳石観察用一次包埋ブロック
11…基材
11a…試料固定面
13…交差線
13a,13b…直線
14a〜14d…加工指標線
15a〜15d…補助指標線
20…耳石観察用標本ブロック
21…被覆部材
C…中心点
S…耳石試料(耳石)
SC…耳石核
Q…樹脂材料液