(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表面実装用電気コネクタにおいて、ハウジングに回動自在に取り付けられ、シート状ケーブルを押圧して固定するアクチュエータであって、前記アクチュエータは、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有し、前記複数の貫通孔は、所定の配列軸に沿って一列に配列しており、前記アクチュエータは、厚肉部と薄肉部とからなり、前記薄肉部の厚みは0.1mm以上0.5mm以下であり、前記アクチュエータは、樹脂組成物から成形されたものであって、
前記樹脂組成物は、式(1)〜式(3)で表される繰返し単位を有する液晶ポリエステルと、充填材とを含有し、前記液晶ポリエステル中の2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量が、前記液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して40モル%以上であり、前記充填材はガラス繊維であり、前記ガラス繊維の含有量が、液晶ポリエステル及び充填材の合計量100質量部に対して30質量部以上50質量部以下であることを特徴とするアクチュエータ。
(1)−O−Ar1−CO−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
[式(1)〜式(3)中、Ar1は、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar2及びAr3は、互いに独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は式(4)で表される基を表す。X及びYは、互いに独立に、酸素原子又はイミノ基を表す。Ar1、Ar2及びAr3中の一つ以上の水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基で置換されていてもよい。]
(4)−Ar4−Z−Ar5−
[式(4)中、Ar4及びAr5は、互いに独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又は炭素数1〜10のアルキリデン基を表す。]
前記液晶ポリエステルが、これを構成する全繰返し単位の合計量に対して、式(1)で表される繰返し単位を30モル%以上80モル%以下、式(2)で表される繰返し単位を10モル%以上35モル%以下、式(3)で表される繰返し単位を10モル%以上35モル%以下有する請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<アクチュエータ>
本実施形態のアクチュエータは、表面実装用電気コネクタにおいてハウジングに回動自在に取り付けられ、シート状ケーブルを押圧して固定するものである。
以下に図面を参照しながら本発明の好ましい実施形態によるアクチュエータの詳細を説明する。
本発明の別の側面は、複数の貫通孔を有する樹脂性の本体部と、ハウジングに取り付けられる取り付け部と、を有し、前記樹脂は、樹脂組成物から成形されたものであって、前記樹脂組成物は、式(1)で表される繰返し単位、式(2)で表される繰返し単位、及び式(3)で表される繰返し単位を有する液晶ポリエステルと、充填材とを含有し、前記液晶ポリエステル中の2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量が、前記液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計モル数量に対して40モル%以上であり、前記充填材の含有量が、液晶ポリエステル及び充填材の合計量100質量部に対して55質量部未満であることを特徴とするアクチュエータである。
本発明の別の側面は、前記アクチュエータと、前記ハウジングと、を有する表面実装用電気コネクタであって、前記ハウジングは、シート状ケーブルを挿入するための挿入部を有する本体部と、前記シート状ケーブルが有する導体と接触する導体部である複数のコンタクトと、前記アクチュエータの取り付け部が挿入される非貫通穴を有する側壁部と、を有することを特徴とする表面実装用電気コネクタである。
【0012】
図1は、本実施形態のアクチュエータの本体部1を有する表面実装用電気コネクタ3の概略斜視図である。
図1(a)は、アクチュエータの本体部1の開状態を示す図である。
【0013】
図1(a)及び(b)に示すように、表面実装用電気コネクタ(以下、「FPCコネクタ」と記載することがある。)3は、アクチュエータの本体部1とハウジングの本体部2とを有している。表面実装用電気コネクタ3は、表面実装用電気コネクタ3にあらかじめ接続されている不図示の配線と、シート状ケーブル(以下、「FPCケーブル」と記載することがある。)4と、を電気的に導通させるとともに、シート状ケーブル4を保持するために用いられる。
【0014】
アクチュエータの本体部1は、平面視矩形の略直方体状の外形を有している。アクチュエータの本体部1は、
図1(b)に示す通りz方向(以下、厚さ方向ということもある)に貫通する貫通孔8が複数形成され、複数の貫通孔8がx方向(以下、長手方向ということもある)に1列に配列して配置されている。
本発明の別の側面としては、複数の前記貫通孔8は、FPCケーブルのサイズに合わせて設定すればよく、5〜200個であることが好ましく、5〜150個であることがより好ましい。
アクチュエータの本体部1は、
図1(a)、
図1(b)、
図2(a)、及び
図2(b)に示す通り、長手方向の両端に円柱状の取り付け部9を有している。
【0015】
ハウジングの本体部2は、平面視矩形の略直方体状の外形を有している。ハウジングの本体部2のy方向(以下、短手方向ということもある)の幅は、アクチュエータの本体部1の短手方向の幅よりも広く設定されている。ハウジングの本体部2の上面には、ハウジングの本体部2の短手方向の幅よりも短い幅を有し、長手方向に延在する凸状部7が設けられている。ハウジングの凸状部7には、短手方向に貫通する挿入部5が設けられている。以下、y方向における凸部が設けられている方を後端部(後端方向ともいう)、凸部が設けられてない方を前端部(前端方向ともいう)という。
ハウジングの本体部2のハウジングの凸部7が設けられていない上面の長手方向の両端上に平面視長方形の略直方体状のハウジングの側壁部10が設けられている。ハウジングの側壁部10の長手方向の内側の面(
図2(b)においてアクチュエータの本体部1の長手方向の両端の面と接する面)には、非貫通穴11が設けられている。
【0016】
図1(b)に示す通り、アクチュエータの本体部1は、ハウジングの凸状部7に沿って設けられている。アクチュエータの本体部1の長手方向の長さは、ハウジングの側壁部10のx方向の幅の分、ハウジングの本体部2及びハウジングの凸部7の長手方向の長さよりも短くなっている。アクチュエータの取り付け部9がハウジングの側壁部の非貫通穴11に挿入されることで、アクチュエータの本体部1は、ハウジングの凸部7の長手方向に設定された回動軸Lの周りを
図1(a)に示す両矢印方向に回動自在に支持されている。
ハウジングの本体部2の前端部にはシート状ケーブル4の底面に設けられた導体と接触し、電気的に接続される複数のコンタクト6が設けられている。
図1(b)に示すように、ハウジングの本体部2の後端部から挿入部5にシート状ケーブル4を挿入し、アクチュエータを閉じると、コネクタにシート状ケーブルが保持されるとともに、アクチュエータの本体部1がシート状ケーブル4を下方に押し、シート状ケーブルの底面に設けられた導体と、ハウジングに収容されたコンタクト6とが接触するという構造になっている。
【0017】
図2(a)は、アクチュエータの上面図である。
図2(a)中、上部が前記前端方向、下部が前記後端方向である。
アクチュエータの長手方向の長さとしては、通常5mm以上60mm以下である。
アクチュエータの短手方向の長さとしては、通常1.5mm以上5mm以下である。
本実施形態のアクチュエータにおいては、
図2(a)中、アクチュエータの短手方向の幅(i)が約1mmであり、上端から最短の貫通孔までの幅(ii)が約0.5mmであり、貫通孔の短手方向の幅(iii)は約0.3mmである。
本発明の別の側面としては、前記幅(i)が0.7mm以上1.3mm以下であり、前記幅(ii)が0.3mm以上0.7mm以下であり、前記幅(iii)が0.1mm以上0.5mm以下である。
図2(b)は、アクチュエータの一部の斜視図である。本実施形態のアクチュエータは、厚肉部と薄肉部とからなり、
図2(b)に示すアクチュエータの最前端部の厚さ方向の幅、すなわち厚肉部(v)の厚みは約0.5mmであり、最後端部の厚さ方向の幅、すなわち薄肉部(vi)の厚みは約0.3mmである。
本発明の別の側面としては、前記厚肉部(v)の厚みは0.3mm以上0.7mm以下であり、前記薄肉部(vi)の厚みは0.1mm以上0.5mm以下である。
図2(a)に示す横方向、すなわち長手方向の隣り合う貫通孔間の薄肉部(vii)の厚みは形成する貫通孔間のピッチ幅により適宜調整することができる。例えば、
図2(a)に示す長手方向の任意の貫通孔と前記貫通孔の隣の貫通孔の中心間距離で表される貫通孔間のピッチ幅(iv)が0.2mmの場合には、
図2(a)に示す薄肉部(vii)の厚みは約0.07mm以上0.08mm以下とすればよく、
図2(a)に示す貫通孔8のピッチ幅(iv)が0.25mmの場合には、
図2(a)に示す薄肉部(vii)の厚みは約0.12mm以上0.13mm以下とすればよく、
図2(a)に示す貫通孔8のピッチ幅(iv)が0.3mmの場合には、
図2(a)に示す薄肉部(vii)の厚みは約0.17mm以上0.18mm以下とすればよい。
【0018】
本実施形態のアクチュエータは、
図2(a)(iv)に示す貫通孔8のピッチ幅(iv)が約0.1mm以上0.8mm以下で格子が形成されている。形成される格子のピッチ幅や数は適宜変更することができる。
本実施形態のアクチュエータは、後述するように、特定の樹脂組成物を用いて成形したものである。樹脂の流動性が高い特定の樹脂組成物を用いたことにより、ピッチ幅が微細なアクチュエータを得ることができる。例えば、本実施形態のアクチュエータは、
図2(a)(iv)に示すピッチ幅(iv)を約0.1mm以上0.5mm以下に調整でき、さらには約0.1mm以上0.3mm以下に調整でき、さらには約0.1mm以上0.2mm以下に調整することができる。
本実施形態のアクチュエータは、特定の樹脂組成物を用いて成形したことにより、上記のような微細なピッチ幅に成形した場合であっても、十分な強度と表面硬度を有したものとすることができる。
【0019】
さらに、本実施形態のアクチュエータは、特定の樹脂組成物を用いて成形したことにより、難燃性が高く、ハロゲンフリーを達成でき、ブリスターが発生しにくく耐ハンダ性にも優れたものとすることができる。
【0020】
≪樹脂組成物≫
本実施形態のアクチュエータを成形するために用いる樹脂組成物について説明する。
本実施形態において樹脂組成物は、式(1)で表される繰返し単位、式(2)で表される繰返し単位、及び式(3)で表される繰返し単位を有する液晶ポリエステルと、充填材とを含有する。
さらに詳細には、前記液晶ポリエステル中の2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量が、前記液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計量に対して40モル%以上であり、前記充填材の含有量が、液晶ポリエステル及び充填材の合計量100質量部に対して55質量部未満である。
【0021】
本実施形態のアクチュエータは、上記特定の液晶ポリエステルを含有する樹脂組成物を用いて成形したことにより、難燃性が高く、ハロゲンフリーを達成でき、ブリスターが発生しにくく耐ハンダにも優れたものとすることができる。また、液晶ポリエステルは流動性に優れるため、ピッチ幅の狭い格子形状を有するアクチュエータを成形することができる。
【0022】
(液晶ポリエステル)
本実施形態に用いる液晶ポリエステルは、式(1)で表される繰返し単位、式(2)で表される繰返し単位、及び式(3)で表される繰返し単位を有する。
(1)−O−Ar
1−CO−
(2)−CO−Ar
2−CO−
(3)−X−Ar
3−Y−
[式(1)〜式(3)中、Ar
1は、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar
2及びAr
3は、互いに独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は式(4)で表される基を表す。X及びYは、互いに独立に、酸素原子又はイミノ基を表す。Ar
1、Ar
2及びAr
3中の一つ以上の水素原子は、互いに独立に、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基で置換されていてもよい。]
(4)−Ar
4−Z−Ar
5−
[式(4)、Ar
4及びAr
5は、互いに独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又は炭素数1〜10のアルキリデン基を表す。]
【0023】
式(1)〜(3)中、Ar
1、Ar
2又はAr
3で表される前記基中の1個以上の水素原子と置換可能なハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0024】
式(1)〜(3)中、Ar
1、Ar
2又はAr
3で表される前記基中の1個以上の水素原子と置換可能な炭素数1〜10のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、n−へプチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基及びn−デシル基等が挙げられる。
【0025】
式(1)〜(3)中、Ar
1、Ar
2又はAr
3で表される前記基中の1個以上の水素原子と置換可能な炭素数6〜20のアリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基等のような単環式芳香族基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基等のような縮環式芳香族基が挙げられる。
【0026】
式(1)〜(3)中、Ar
1、Ar
2又はAr
3で表される前記基中の1個以上の水素原子がこれらの基で置換されている場合、その置換数は、Ar
1、Ar
2又はAr
3で表される前記基毎に、互いに独立に、好ましくは1個又は2個であり、より好ましくは1個である。
【0027】
式(4)中、炭素数1〜10のアルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、n−ブチリデン基及び2−エチルヘキシリデン基等が挙げられる。
【0028】
式(1)で表される繰返し単位としては、Ar
1が1,4−フェニレン基であるもの(p−ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位)、及びAr
1が2,6−ナフチレン基であるもの(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位)が好ましく、Ar
1が2,6−ナフチレン基であるものがより好ましい。
本明細書において「由来」とは、前記p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等の化合物が重合するために、化学構造が変化することを意味する。
【0029】
式(1)で表される繰返し単位を形成するモノマーとしては、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、p−ヒドロキシ安息香酸または4−(4−ヒドロキシフェニル)安息香酸が挙げられ、さらに、これらのベンゼン環またはナフタレン環の水素原子が、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基で置換されているモノマーも挙げられる。さらに、後述のエステル形成性誘導体にして用いてもよい。
【0030】
式(2)で表される繰返し単位としては、Ar
2が1,4−フェニレン基であるもの(すなわち、テレフタル酸に由来する繰返し単位)、Ar
2が1,3−フェニレン基であるもの(すなわち、イソフタル酸に由来する繰返し単位)、Ar
2が2,6−ナフチレン基であるもの(すなわち、2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位)、及びAr
2がジフェニルエーテル−4,4’−ジイル基であるもの(すなわち、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸に由来する繰返し単位)が好ましく、Ar
2が1,4−フェニレン基であるもの、及びAr
2が2,6−ナフチレン基であるものがより好ましい。
【0031】
式(2)で表される繰返し単位を形成するモノマーとしては、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸またはビフェニル−4,4’−ジカルボン酸が挙げられ、さらに、これらのベンゼン環またはナフタレン環の水素原子が、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基で置換されているモノマーも挙げられる。さらに、後述のエステル形成性誘導体にして用いてもよい。
【0032】
式(3)で表される繰返し単位としては、Ar
3が1,4−フェニレン基であるもの(すなわち、ヒドロキノン、p−アミノフェノール又はp−フェニレンジアミンに由来する繰返し単位)、及びAr
3が4,4’−ビフェニリレン基であるもの(すなわち、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4−アミノ−4’−ヒドロキシビフェニル又は4,4’−ジアミノビフェニルに由来する繰返し単位)が好ましい。
【0033】
式(3)で表される繰返し単位を形成するモノマーとしては、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ヒドロキノン、レゾルシンまたは4,4’−ジヒドロキシビフェニルが挙げられ、さらに、これらのベンゼン環またはナフタレン環の水素原子が、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基で置換されているモノマーも挙げられる。さらに、後述のエステル形成性誘導体にして用いてもよい。
【0034】
式(1)〜(3)で表される構造単位を形成するモノマーは、ポリエステルを製造する過程で重合を容易にするため、エステル形成性誘導体を用いることが好ましい。このエステル形成性誘導体とは、エステル生成反応を促進するような基を有するモノマーを示し、具体的に例示すると、モノマー分子内のカルボン酸基を酸ハロゲン化物、酸無水物に転換したエステル形成性誘導体や、モノマー分子内のヒドロキシル基(水酸基)を低級カルボン酸エステル基にしたエステル形成性誘導体などの高反応性誘導体が挙げられる。
【0035】
前記液晶ポリエステルの繰返し単位(1)の含有量は、繰返し単位(1)、繰返し単位(2)及び繰返し単位(3)の合計量100モル%に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは30モル%以上80モル%以下、さらに好ましくは40モル%以上70モル%以下、とりわけ好ましくは45モル%以上65モル%以下である。
前記液晶ポリエステルの繰返し単位(1)の含有量は、前記液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計モル数量100モル%に対して、好ましくは30モル%以上、より好ましくは30モル%以上80モル%以下、さらに好ましくは40モル%以上70モル%以下、とりわけ好ましくは45モル%以上65モル%以下である。
【0036】
前記液晶ポリエステルの繰返し単位(2)の含有量は、繰返し単位(1)、繰返し単位(2)及び繰返し単位(3)の合計量100モル%に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%以上35モル%以下、さらに好ましくは15モル%以上30モル%以下、とりわけ好ましくは17.5モル%以上27.5モル%以下である。
前記液晶ポリエステルの繰返し単位(2)の含有量は、前記液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計モル数量100モル%に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%以上35モル%以下、さらに好ましくは15モル%以上30モル%以下、とりわけ好ましくは17.5モル%以上27.5モル%以下である。
【0037】
前記液晶ポリエステルの繰返し単位(3)の含有量は、繰返し単位(1)、繰返し単位(2)及び繰返し単位(3)の合計量100モル%に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%以上35モル%以下、さらに好ましくは15モル%以上30モル%以下、とりわけ好ましくは17.5モル%以上27.5モル%以下である。
前記液晶ポリエステルの繰返し単位(3)の含有量は、前記液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計モル数量100モル%に対して、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%以上35モル%以下、さらに好ましくは15モル%以上30モル%以下、とりわけ好ましくは17.5モル%以上27.5モル%以下である。
【0038】
すなわち、前記液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)、繰返し単位(2)及び繰返し単位(3)の合計量を100モル%として、繰返し単位(1)の含有量が30モル%以上80モル%以下であり、繰返し単位(2)の含有量が10モル%以上35モル%以下であり、繰返し単位(3)の含有量が10モル%以上35モル%以下であることが好ましい。
前記液晶ポリエステルは、前記液晶ポリエステルを構成する全繰返し単位の合計モル数量を100モル%として、繰返し単位(1)の含有量が30モル%以上80モル%以下であり、繰返し単位(2)の含有量が10モル%以上35モル%以下であり、繰返し単位(3)の含有量が10モル%以上35モル%以下であることが好ましい。
【0039】
前記液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)の含有量が上記の範囲であると、溶融流動性や耐熱性や強度・剛性が向上し易くなる。
【0040】
前記液晶ポリエステルにおいては、繰返し単位(2)の含有量と繰返し単位(3)の含有量との割合が、[繰返し単位(2)の含有量]/[繰返し単位(3)の含有量](モル/モル)で表して、好ましくは0.9/1〜1/0.9、より好ましくは0.95/1〜1/0.95、さらに好ましくは0.98/1〜1/0.98である。
【0041】
前記液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)、繰返し単位(2)及び繰返し単位(3)として、それぞれ2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位を有する。
前記液晶ポリエステル中の、2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量は、全繰返し単位の合計モル数量100モル%に対して、40モル%以上であり、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上である。2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量が40モル%以上であると、得られる樹脂組成物は、溶融加工時における流動性がより良好でかつ、強度、表面硬度が良好となり、微細な格子構造を有するアクチュエータの加工により適したものとなる。
本発明の別の側面としては、前記液晶ポリエステル中の、2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量は、全繰返し単位の合計モル数量100モル%に対して、40モル%以上85モル%以下であり、好ましくは50モル%以上85モル%以下であり、より好ましくは60モル%以上80モル%以下であり、更に好ましくは70モル%以上75モル%以下である。
【0042】
前記液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)を、互いに独立に、1種のみ有してもよいし、2種以上有してもよい。また、前記液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)以外の繰返し単位を1種又は2種以上有してもよい。繰返し単位(1)〜(3)以外の繰返し単位を有する場合、その含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは0.1モル%以上10モル%以下、より好ましくは0.1モル%以上5モル%以下である。
【0043】
前記液晶ポリエステルは、繰返し単位(3)として、X及びYがそれぞれ酸素原子であるものを有すること、すなわち、所定の芳香族ジオールに由来する繰返し単位を有することが、溶融粘度が低くなり易いので好ましく、繰返し単位(3)として、X及びYがそれぞれ酸素原子であるもののみを有することが、より好ましい。
【0044】
前記液晶ポリエステルは、これを構成する繰返し単位に対応する原料モノマーを溶融重合させ、得られた重合物(プレポリマー)を固相重合させることにより、製造することが好ましい。これにより、耐熱性や強度・剛性が高い高分子量の液晶ポリエステルを操作性よく製造できる。溶融重合は、触媒の存在下で行ってもよく、前記触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物や、N,N−ジメチルアミノピリジン及びN−メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物が挙げられ、その中でも含窒素複素環式化合物が好ましい。
【0045】
前記液晶ポリエステルの流動開始温度は、好ましくは270℃以上、より好ましくは270℃以上400℃以下、さらに好ましくは280℃以上380℃以下である。前記液晶ポリエステルの流動開始温度が前記の範囲にあると、耐熱性や強度・剛性が向上し易く、また、溶融成形時の熱劣化が起こりにくく、さらに溶融時の粘度が高くなり過ぎず、流動性が低下しにくい傾向がある。
【0046】
流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPaの荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
【0047】
前記液晶ポリエステルは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0048】
本実施形態の樹脂組成物においては、前記液晶ポリエステルの含有量が、液晶ポリエステル及び充填材の合計含有量100質量部に対して、40質量部以上90質量部以下であることが好ましく、45質量部以上85質量部以下であることがより好ましく、50質量部以上80質量部以下であることがより好ましい。
本発明の別の側面としては、前記液晶ポリエステルの含有量が、液晶ポリエステル及び充填材の合計含有量100質量部に対して、35質量部以上70質量部以下であることが好ましく、50質量部以上70質量部以下であることがより好ましく、50質量部以上65質量部以下であることがさらに好ましく、50質量部以上55質量部以下であることが特に好ましい。
【0049】
(充填材)
本実施形態の樹脂組成物が含有する充填材について説明する。
本実施形態においては、樹脂組成物が後述する特定の充填材を含有していることにより、成形後のアクチュエータに十分な強度と硬さを付与することができる。
本実施形態の樹脂組成物に含まれる充填材は、無機充填材、又は有機充填材であってもよい。また、繊維状無機充填材、又は板状の充填材であってもよい。繊維状無機充填材の例としては、ガラス繊維;パン系炭素繊維及びピッチ系炭素繊維等の炭素繊維;シリカ繊維、アルミナ繊維及びシリカアルミナ繊維等のセラミック繊維;ステンレス繊維等の金属繊維が挙げられる。また、チタン酸カリウムウイスカー、チタン酸バリウムウイスカー、ウォラストナイトウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、窒化ケイ素ウイスカー及び炭化ケイ素ウイスカー等のウイスカーも挙げられる。
本実施形態において樹脂組成物中の充填材の含有量は、液晶ポリエステル及び充填材の合計含有量100質量部に対して、30質量部以上50質量部以下であることが好ましく、30質量部以上48質量部以下であることがより好ましい。前記充填材が後述する熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂で被覆、集束剤で処理、カップリング剤、その他表面処理剤で被覆あるいは集束されている場合、前記充填材の含有量を計算する上で、前記熱可塑性樹脂、前記集束剤、前記カップリング剤、前記その他の表面処理剤の質量は充填材の質量に含まれない。前記充填材の含有量が前記の範囲にあることで、機械強度、具体的には、成形体の表面強度が向上しやすくなり、薄肉部分、厚肉部分、狭ピッチの格子部分への充填材の充填性を良好なものとすることができる。
本発明の別の側面としては、樹脂組成物中の前記充填材の含有量は、液晶ポリエステル及び充填材の合計含有量100質量部に対して、30質量部以上55質量部未満であることが好ましく、30質量部以上50質量部以下であることがより好ましく、35質量部以上50質量部以下であることがさらに好ましく、45質量部以上50質量部以下であることが特に好ましい。
本実施形態において、樹脂組成物中の液晶ポリエステル及び充填材の合計含有量は、前記樹脂組成物の総質量に対して、通常70質量%以上100質量%以下であり、80質量%以上99.8質量%以下であることが好ましく、85質量%以上99.8質量%以下であることがより好ましく、99質量%以上99.8質量%以下であることが特に好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において用いられる充填材は、上記のなかでもガラス充填材であることが好ましい。
【0050】
・ガラス充填材
本実施形態においては、樹脂組成物がガラス充填材を含有していることにより、成形体の耐熱性や加工性を向上させ、成形後のアクチュエータに十分な強度と硬さを付与することができる。
前記ガラス充填材は、必要に応じてシラン系カップリング剤、又はチタン系カップリング剤等のカップリング剤で処理されたものでもよい。
【0051】
前記ガラス充填材の形状は特に限定されず、例えば、繊維状、板状、及び球状等の粒状等のいずれでもよいが、これら充填材の中で特に繊維状のガラス繊維が、入手性、機械的強度の点から、好ましく使用される。
本明細書において「ガラス繊維」とは、「繊維径が1μm以上50μm以下、アスペクト比が2以上1000以下のガラス」をいう。繊維径は後述する方法により測定することができる。本明細書において「アスペクト比」とは、繊維長さ(長軸の長さ)/繊維の径(短軸の長さ)の比のことをいう。
【0052】
前記ガラス繊維の例としては、ガラス熔融工程から紡糸されたストランドを紡糸直後に一定の長さに切断加工したチョップドガラス繊維、ガラス繊維を粉砕、または繊維をごく短く切断したミルドガラス繊維等、種々の方法で製造されたものが挙げられ、これらのうち2種以上を併用して使用することもできる。
前記ガラス繊維としては、弱塩基性のものが機械的強度の点で優れており、好ましく使用できる。中でも前記ガラス繊維総質量に対する酸化ケイ素の含有率が50質量%以上80質量%以下であるガラス繊維が好ましく用いられ、65質量%以上77質量%以下であるガラス繊維がより好ましく用いられる。
前記ガラス繊維は、例えば、ウレタン系、アクリル系、エチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂又はエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束剤で処理されていてもよく、また、シラン系、チタネート系などのカップリング剤又はその他表面処理剤で被覆あるいは集束されていてもよく、好ましくはエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されている。
【0053】
原料であるガラス繊維の繊維径(単繊維径)は、5μm以上20μm以下であることが好ましい。ガラス繊維の繊維径が5μm以上である場合、繊維径が5μm未満である場合よりも、成形体への補強効果を高めることができる。ガラス繊維の繊維径は、6μm以上がさらに好ましい。ガラス繊維の繊維径が前記の範囲にあると、樹脂組成物の流動性が向上し、成形体の強化材としてのガラス繊維の効果がより向上する傾向があり好ましい。ガラス繊維の繊維径は、17μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。
すなわち、原料であるガラス繊維の繊維径(単繊維径)は、6μm以上17μm以下であることがより好ましく、8μm以上13μm以下であることがさらに好ましい。
【0054】
本明細書において「ガラス繊維の繊維径」とは、特に断りのない限り、JIS R3420:2013「7.6 単繊維直径」に記載の方法のうち、「A法」で測定された値を意味する。
【0055】
前記ガラス充填材は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0056】
本実施形態において樹脂組成物中の前記ガラス繊維の含有量は、液晶ポリエステル及びガラス繊維の合計含有量100質量部に対して、30質量部以上50質量部以下であることが好ましく、30質量部以上48質量部以下であることがより好ましい。前記ガラス繊維が前記熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂で被覆、前記集束剤で処理、前記カップリング剤、前記その他表面処理剤で被覆あるいは集束されている場合、前記ガラス繊維の含有量を計算する上で、前記熱可塑性樹脂、前記集束剤、前記カップリング剤、前記その他の表面処理剤の質量はガラス繊維の質量に含まれない。前記ガラス繊維の含有量が前記の範囲にあることで、機械強度、具体的には、成形体の表面強度が向上しやすくなり、薄肉部分、厚肉部分、狭ピッチの格子部分へのガラス繊維の充填性を良好なものとすることができる。上記ガラス繊維の含有量は、ガラス充填材の含有量に対しても同様である。
本発明の別の側面としては、樹脂組成物中の前記ガラス繊維の含有量は、液晶ポリエステル及びガラス繊維の合計含有量100質量部に対して、30質量部以上55質量部未満であることが好ましく、30質量部以上50質量部以下であることがより好ましく、35質量部以上50質量部以下であることがさらに好ましく、45質量部以上50質量部以下であることが特に好ましい。
【0057】
本実施形態において、樹脂組成物中の液晶ポリエステル及びガラス繊維の合計含有量は、前記樹脂組成物の総質量に対して、通常70質量%以上100質量%以下であり、80質量%以上99.8質量%以下であることが好ましく、85質量%以上99.8質量%以下であることがより好ましく、94質量%以上99.8質量%以下であることが特に好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、組成物中のガラス繊維の重量平均繊維長が75μm以上350μm以下であることが好ましく、100μm以上330μm以下であることがより好ましい。ガラス繊維の重量平均繊維長が前記の範囲にあることで、成形後のアクチュエータにおけるガラス繊維の充填性を向上させることができ、薄肉部分、厚肉部分、狭ピッチの格子部分のいずれにおいてもガラス繊維が充填された状態を実現でき、成形後のアクチュエータに十分な強度と硬さを付与することができる。
【0058】
ここで、組成物中のガラス繊維の重量平均繊維長は、以下の方法により測定することができる。ガラス繊維を含有する組成物からなるペレット5gを空気雰囲気下マッフル炉にて600℃で8時間加熱して樹脂を除去し、ビデオマイクロスコープVHX1000((株)キーエンス製)を用いて無作為に選んだ500個以上の残存したガラス繊維の繊維長を倍率100倍にて測定する。本明細書において、測定するガラス繊維の数は例えば1000個とすることができる。ここで、重量平均繊維長(Lw)は、式(A)により計算することができる。本明細書において、「ガラス繊維の繊維長」とは、ビデオマイクロスコープから観察でき、前記加熱後に残存した前記ガラス繊維の個々の2次元断面上の各部の長さのうち、最も長い長さを意味する。
Lw=Σ(Ni×Li
2)/Σ(Ni×Li) ・・・(A)
式(A)中、Liは、ガラス繊維の繊維長の階級(範囲)であり、10μmを階級(範囲)に設定する。
式(A)中、Niは、(繊維長がLiに含まれるガラス繊維の本数)/(測定したガラス繊維の全本数)で算出される。
【0059】
(他の成分)
本実施形態の樹脂組成物は、本実施形態の効果を損なわない範囲内において、液晶ポリエステル及び充填材のいずれにも該当しない、他の成分を含有してもよい。
前記他の成分の例としては、前記充填材以外の充填材(以下、「その他の充填材」ということがある。)、添加剤、前記液晶ポリエステル以外の樹脂(以下、「その他の樹脂」ということがある。)等が挙げられる。
前記他の成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0060】
前記その他の充填材は、繊維状充填材であってもよいし、板状充填材であってもよいし、繊維状及び板状以外の球状等のその他の粒状充填材であってもよい。
また、前記その他の充填材は、無機充填材であってもよいし、有機充填材であってもよい。
【0061】
繊維状無機充填材の例としては、パン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維;シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維等のセラミック繊維;ステンレス繊維等の金属繊維;チタン酸カリウムウイスカー、チタン酸バリウムウイスカー、ウォラストナイトウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、窒化ケイ素ウイスカー、炭化ケイ素ウイスカー等のウイスカーが挙げられる。本発明に使用される上記の充填材は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもできる。
【0062】
繊維状有機充填材の例としては、ポリエステル繊維及びアラミド繊維等が挙げられる。
【0063】
板状無機充填材の例としては、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、硫酸バリウム及び炭酸カルシウム等が挙げられる。マイカは、白雲母であってもよいし、金雲母であってもよいし、フッ素金雲母であってもよいし、四ケイ素雲母であってもよい。
【0064】
粒状無機充填材の例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、窒化ホウ素、炭化ケイ素及び炭酸カルシウム等が挙げられる。
【0065】
本実施形態において樹脂組成物が、前記その他の充填材を含有する場合、前記樹脂組成物のその他の充填材の含有量は、前記液晶ポリエステルの合計含有量100質量部に対して、0.1質量部より多く100質量部以下であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、さらに離型剤を添加することで、成形加工性を向上させることが可能である。離型剤として、例えば、モンタン酸及びその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド及びポリエチレンワックスなどが挙げられ、好ましくはペンタエリスリトールの脂肪酸エステルが挙げられる。
離型剤の配合量は、液晶ポリエステル及びガラス繊維の合計含有量100質量部に対して、通常、0.1質量部以上0.5質量部以下であり、好ましくは0.2質量部以上0.4質量部以下である。離型剤の配合量が前記の範囲にあると、金型汚染や成形体のふくれなどが起こりにくい傾向があり、また離型効果が得られる。
【0066】
本実施形態の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない程度の範囲で、酸化防止剤および熱安定剤(たとえばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体など)、紫外線吸収剤(たとえばレゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、可塑剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、界面活性剤、着色剤などの通常の添加剤や他の熱可塑性樹脂(フッ素樹脂など)を添加して、所定の特性を付与することができる。
本実施形態の樹脂組成物は、さらに高級脂肪酸金属塩を添加することで、成形加工性を向上せしめることが可能である。なお、ここでいう高級脂肪酸とは、炭素数12以上の脂肪酸を意味し、炭素数12〜22の脂肪酸が好ましく、それらの具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、およびベヘニン酸などが挙げられる。また、本発明で用いる高級脂肪酸金属塩としては、150℃以上の融点を有するものが、得られる液晶性樹脂組成物の成形加工性の点から好ましく、200℃以上の融点を有するものがより好ましい。具体的には、ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ベヘン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、ベヘニン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウム、ベヘニン酸リチウム、ステアリン酸カリウム、およびステアリン酸ナトリウムが用いられ、好ましくはステアリン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、ベヘニン酸バリウム、ステアリン酸リチウム、ベヘニン酸リチウム、ステアリン酸カリウム、およびステアリン酸ナトリウムが用いられ、より好ましくはステアリン酸カリウム、およびベヘン酸カルシウムが用いられる。本発明において、高級脂肪酸の融点は、示差熱量測定により室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度により測定することができる。上記高級脂肪酸金属塩は、前記液晶ポリエステル及び充填材の合計含有量100質量部に対して、通常、1.0質量部以下、好ましくは0.5質量部以下、より好ましくは0.1質量部以下で用いられる。 本発明の別の側面としては、前記高級脂肪酸金属塩は、前記液晶ポリエステル及び充填材の合計含有量100質量部に対して、通常0質量部以上1.0質量部以下、好ましくは0質量部以上0.5質量部以下、より好ましくは0質量部以上0.1質量部以下で用いられる。
【0067】
本実施形態において樹脂組成物が、前記添加剤を含有する場合、前記樹脂組成物の添加剤の含有量は、前記液晶ポリエステル及び充填材の合計含有量100質量部に対して、0.11質量部より多く5質量部以下であることが好ましい。
【0068】
前記その他の樹脂の例としては、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド等の芳香族ポリスルホン以外の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0069】
本実施形態において樹脂組成物が、前記その他の樹脂を含有する場合、前記樹脂組成物のその他の樹脂の含有量は、前記液晶ポリエステルの合計含有量100質量部に対して、1質量部より多く20質量部以下であることが好ましい。
【0070】
本実施形態において樹脂組成物は、前記液晶ポリエステル、ガラス充填材、及び必要に応じて用いられる他の成分を、一括で又は適当な順序で混合することにより製造できる。
本実施形態の樹脂組成物は、液晶ポリエステル、ガラス充填材、及び必要に応じて用いられる他の成分を、押出機を用いて溶融混練することで、ペレット化したものが好ましい。
前記押出機は、シリンダと、シリンダ内に配置された1本以上のスクリューと、シリンダに設けられた1箇所以上の供給口と、を有するものが好ましく、さらに、シリンダに1箇所以上のベント部が設けられたものがより好ましい。
樹脂組成物中に含まれる前記ガラス繊維の重量平均繊維長を前述した範囲にする方法としては、例えば、長さの異なるガラス繊維をあらかじめブレンドして押出機に供給する方法や、一方のガラス繊維を押出機駆動側の供給口から液晶ポリエステルと一緒に供給し、もう一方を中間供給口から供給する方法が挙げられる。
長さの異なるガラス繊維としては、例えば、ミルドガラス繊維とチョップドガラス繊維の組合せが考えられ、具体的には平均繊維長が30μm以上150μm以下のミルドガラス繊維と平均繊維長が3mm以上4mm以下のチョップドガラス繊維の組合せなどが挙げられる。前記組み合わせのガラス繊維の重量平均繊維長を前述した範囲にする方法としては、ミルドガラス繊維を含有する液晶ポリエステル樹脂組成物のペレットと、チョップドガラス繊維を含有する液晶ポリエステル樹脂組成物のペレットとを、あらかじめブレンドして押出機に供給する方法や、一方のペレットを押出機駆動側の供給口から液晶ポリエステル樹脂と一緒に供給し、もう一方のペレットを中間供給口から供給する方法が挙げられる。
ガラス繊維を押出機に供給後、例えば、スクリュー構成によってガラス繊維の折損程度を調整する方法や、ガラス繊維にかかるせん断力を調整することによってガラス繊維の折損程度を調整する方法によって、ガラス繊維の重量平均繊維長を前述した範囲にすることができる。せん断力を調整する手段としては、例えば、スクリュー回転数やシリンダ温度を制御することにより、溶融樹脂の溶融粘度を調整する方法が挙げられる。
【0071】
・成形方法
前記樹脂組成物の成形方法としては、溶融成形法が好ましく、溶融成形法の例としては、射出成形法;Tダイ法やインフレーション法等の押出成形法;圧縮成形法;ブロー成形法;真空成形法;プレス成形法等が挙げられる。これらの中でも、前記樹脂組成物の成形法は、射出成形法であることが好ましい。
射出成形は、前記樹脂組成物を射出成形機にて金型に前記樹脂組成物を射出成形することにより実施できる。
本発明の別の側面としては、射出成形時のシリンダの設定温度は250℃以上450℃以下であることが好ましく、300℃以上400℃以下であることがより好ましい。
本発明の一つの側面は、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物を前記液晶ポリエステルの流動開始温度に対して、15℃高い温度から65℃高い温度で溶融混練する工程と、60℃以上160℃以下の温度に設定された金型の中に前記溶融した液晶ポリエステル樹脂組成物を注入して成形する射出成形工程と、を含む成形体の製造方法であって、前記樹脂組成物中に重量平均繊維長が75μm以上350μm以下のガラス繊維を含み、前記成形体中のガラス繊維の重量平均繊維長が75μm以上350μm以下である成形体の製造方法である。 成形後のアクチュエータにおけるガラス繊維の重量平均繊維長を特定の範囲にするうえで、好適な射出成形方法としては、成形温度を、液晶ポリエステルの流動開始温度に対して、15℃高い温度から65℃高い温度までの範囲内(流動開始温度+15℃〜流動開始温度+65℃)として、液晶ポリエステル樹脂組成物のペレットを溶融し、60℃以上160℃以下の温度に設定された金型に射出成形する方法が挙げられる。上述のガラス繊維の重量平均繊維長の特定の範囲とは75μm〜350μmが例として挙げられる。
液晶ポリエステルの流動開始温度に対して、上記温度範囲で前記液晶ポリエステル樹脂組成物を溶融、成形することにより、液晶ポリエステル樹脂組成物のペレットと共に溶融混練されるガラス繊維の重量平均繊維長を変化させることなく射出成形することができるため好ましい。溶融、成形温度は、液晶ポリエステルの流動開始温度に対して、15℃高い温度から60℃高い温度までの範囲内であることがさらに好ましい。
金型の温度は、60℃以上160℃以下が好ましい。金型の温度は高ければ高いほど、アクチュエータの強度が向上するため有利であるが、高すぎると冷却効果が低下して冷却工程に要する時間が長くなることにより生産性が低下したり、金型からの離型性が低下しやすくなるため成形体が変形したりするなど問題が生じるため好ましくない。金型の温度は、80℃以上140℃以下がさらに好ましい。
【実施例】
【0072】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0073】
<製造例1>
液晶ポリエステルA1の製造方法
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(1034.99g、5.5モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(378.33g、1.75モル)、テレフタル酸(83.07g、0.5モル)、ヒドロキノン(272.52g、2.475モル、2,6−ナフタレンジカルボン酸及びテレフタル酸の合計モル数量に対して0.225モル過剰)、無水酢酸(1226.87g、12モル)、及び触媒として1−メチルイミダゾール(0.17g)を入れ、反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、攪拌しながら、室温から145℃まで15分間かけて昇温し、145℃で1時間還流させた。次いで、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、145℃から310℃まで3.5時間かけて昇温し、310℃で3時間保持した後、内容物を取り出し、これを室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粒径約0.1〜1mmに粉砕後、窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から310℃まで10時間かけて昇温し、310℃で5時間保持することにより、固相重合を行った。固相重合後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステルA1を得た。この液晶ポリエステルの流動開始温度は324℃であった。
液晶ポリエステルA1中の、全繰返し単位の合計モル数量に対して、2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量は70.9モル%であった。
【0074】
<製造例2>
液晶ポリエステルA2の製造方法
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸(27.6g、0.2モル)、テレフタル酸(415.3g、2.5モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(903.3g、4.8モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(446.5g、2.4モル)、無水酢酸(1123.0g、11.0モル)及び1−メチルイミダゾール0.2gを入れ、窒素ガス気流下、攪拌しながら、室温から150℃まで30分間かけて昇温し、150℃で1時間還流させた。次いで、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、200℃まで30分かけて昇温し、200℃から315℃まで30分かけて昇温し、315℃でトルクの上昇が認められるまで保持した後、反応器から内容物を取り出し、これを室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粉砕して、粉末状のプレポリマーを得た。次いで、このプレポリマーを、窒素ガス雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から320℃まで7時間30分かけて昇温して、320℃で5時間保持することにより、固相重合させた後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステルA2を得た。この液晶ポリエステルの流動開始温度は353℃であった。
液晶ポリエステルA2中の、全繰返し単位の合計モル数量に対して、2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量は48.5モル%であった。
【0075】
<製造例3>
液晶ポリエステルA3の製造方法
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸(994.5g、7.2モル)、テレフタル酸(299.1g、1.8モル)、イソフタル酸(99.7g、0.6モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(446.9g、2.4モル)、(無水酢酸1347.6g、13.2モル)及び1−メチルイミダゾール0.2gを入れ、窒素ガス気流下、攪拌しながら、室温から150℃まで30分間かけて昇温し、150℃で1時間還流させた。次いで、1−メチルイミダゾールを0.9g添加し、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、320℃まで2時間50分かけて昇温し、320℃でトルクの上昇が認められるまで保持した後、反応器から内容物を取り出し、これを室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粉砕して、粉末状のプレポリマーを得た。次いで、このプレポリマーを、窒素ガス雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から285℃まで5時間かけて昇温して、285℃で3時間保持することにより、固相重合させた後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステルA3を得た。この液晶ポリエステルの流動開始温度は327℃であった。
液晶ポリエステルA3中の、全繰返し単位の合計モル数量に対して、2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量は0モル%であった。
【0076】
<製造例4>
液晶ポリエステルA4
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸(994.5g、7.2モル)、テレフタル酸(352.9g、2.12モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(112.9g、0.6モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル(274.8g、1.48モル)、p−アミノフェノール(90.7g、0.83モル)、無水酢酸(1193.7g、11.7モル)及び1−メチルイミダゾール0.2gを入れ、窒素ガス気流下、攪拌しながら、室温から150℃まで30分間かけて昇温し、150℃で1時間還流させた。次いで、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、320℃まで4時間かけて昇温し、320℃でトルクの上昇が認められるまで保持した後、反応器から内容物を取り出し、これを室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粉砕して、粉末状のプレポリマーを得た。次いで、このプレポリマーを、窒素ガス雰囲気下、室温から240℃まで1時間かけて昇温し、240℃から300℃まで5時間かけて昇温して、300℃で5時間保持することにより、固相重合させた後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステルA4を得た。この液晶ポリエステルの流動開始温度は315℃であった。
液晶ポリエステルA4中の、全繰返し単位の合計モル数量に対して、2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量は4.9モル%であった。
【0077】
<製造例5>
液晶ポリエステルA5
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸(1176.8g、8.52モル)、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(654.9g、3.48モル)、無水酢酸(1347.6g、13.2モル)を入れ、窒素ガス気流下、攪拌しながら、室温から150℃まで30分間かけて昇温し、150℃で3時間還流させた。次いで、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、290℃まで3時間50分かけて昇温し、290℃で60分保持した後、反応器から内容物を取り出し、これを室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粉砕して、粉末状のプレポリマーを得た。
次いで、このプレポリマーを、窒素ガス雰囲気下、室温から160℃まで1時間かけて昇温し、160℃から200℃まで30分かけて昇温し、更に200℃から260℃まで7時間かけて昇温し、260℃で5時間保持することにより、固相重合させた。その後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステルA5を得た。この液晶ポリエステルの流動開始温度は273℃であった。
液晶ポリエステルA5中の、全繰返し単位の合計モル数量に対して、2,6−ナフチレン基を含む繰返し単位の含有量は29.0モル%であった。
【0078】
<充填材>
本実施例において、充填材として下記のものを用いた。
B1:チョップドガラス繊維CS3J260S(繊維径11μm)(日東紡績(株)製)
B2:ミルドガラス繊維EFH150−01(繊維径11μm)(セントラルグラスファイバー(株)製)
C1:タルクX−50(日本タルク(株)製)
D1:離型剤ロキシオールVPG861(エメリーオレオケミカルズジャパン(株)製)
【0079】
≪実施例1〜7、比較例1〜9≫
表1〜2に示す種類の樹脂成分、ガラス繊維、充填材及び離型剤をそれぞれ混合した後、サイドフィーダー付2軸押出機(池貝鉄工(株)「PCM−30HS」)と水封式真空ポンプ(神港精機(株)「SW−25」)を用いて、シリンダ温度340℃、150rpmの回転数にて、サイドフィーダーとダイプレートの間にニーディングブロックを挿入したスクリューにて、真空ベントで脱気しながら溶融混練した。吐出されたストランドをカットし、液晶ポリエステル樹脂組成物をペレット状で得た。
【0080】
下記表1〜2中、各記号は以下のものを意味する。また、[]内の数値は配合比(質量部)である。
・A1〜A5:上記液晶ポリエステルA1〜A5。
・B1:上記ガラス繊維B1。
・B2:上記ガラス繊維B2
・C1:上記タルクC1。
・D1:上記離型剤D1。
【0081】
なお、比較例1〜4においては、以下の市販されている樹脂組成物を用いて、以下に記載の条件で成形体を得た。
【0082】
<樹脂組成物>
比較例1;PA1:スタニール46HF4550(ディー・エス・エムジャパン(株)製)、ガラス繊維50%充填
比較例2;PA2:スタニール46HF5040(ディー・エス・エムジャパン(株)製)、ガラス繊維40%充填
比較例3;PPS1:FZ‐1140‐D5(DIC(株)製)、ガラス繊維40%充填
比較例4;PPS2:FZ‐4020‐A1(DIC(株)製)、ガラス繊維40%充填
【0083】
<測定条件>
実施例における各測定条件は下記の通りである。
【0084】
[難燃性試験]
UL94規格に準拠し、難燃性試験を実施し、難燃性の区分を行った。
UL94規格とはアメリカのUnderwriters Laboratories社が定め、同社によって評価される規格である。UL94にて規定される12.7mm×127mm×0.75mmtの試験片に炎を当て燃焼時間と滴下物の有無を確認する試験法を用いた。
本発明の別の側面としては、前記UL94規格において、評価がV−0であることが好ましい。
【0085】
[ハロゲンフリー分析]
ハロゲンフリー分析は、BS EN 14582:2007に準拠した試料燃焼−イオンクロマトグラフ法で行った。
加熱した石英燃焼管中に酸素やアルゴンを導入して試料を燃焼させ、生成した燃焼ガスを、吸収液に吸収し、この吸収液をイオンクロマトグラフにて分別定量し、試料中の塩素(Cl)と臭素(Br)の含有量(ハロゲン値)を求めた。なお、Clの検出下限値は50ppmであり、検出限界以下の場合は、「<50ppm」、Br検出下限値は10ppmであり、検出限界以下の場合は、「<10ppm」とした。
本発明の別の側面としては、前記BS EN 14582:2007に準拠したハロゲンフリー分析において、Cl、及びBrが前記検出下限未満であることが好ましい。
【0086】
[耐熱性試験]
12.7mm×6.4mm×6.4mmtの試験片をASTM D648に準拠し、1.82MPaでの耐熱性(荷重たわみ温度)を測定した。
本発明の別の側面としては、前記耐熱性試験において、前記荷重たわみ温度が270〜350℃であることが好ましく、280〜350℃であることがより好ましく、300℃〜350℃であることがさらに好ましい。
【0087】
[耐ハンダ発泡試験]
JIS K71131(1/2)号ダンベル試験片×1.2mmtを10本成形し、280℃の熱循環式オーブンDN63H(ヤマト科学(株)製)に3分間入れ、試験片に発泡がないか目視で確認した。試験片10本中に1本も発泡がないものを「○」、試験片に発泡が生じたものを「×」、280℃にて樹脂が分解したものは「分解」とした。
本発明の別の側面としては、前記耐ハンダ発泡試験において、評価が「○」であることが好ましい。
【0088】
[流動性測定]
製品厚さを変更できる金型を用い、各厚みにて薄肉流動性試験を行った。
用いた金型の形状と寸法を
図3に示す。厚さは
図3のXに示す厚みを0.12mm、0.20mm、0.30mmの各厚さに変更して成形した。
射出成形機として、「ファナック(株)製ROBOSHOT S2000i30B」を用い、下記表1〜2に示す成形温度、下記に示す成形条件にて射出成形した。取出した成形体の長さを測定し、薄肉流動性とした。
なお、
図3に示される寸法の単位はmmである。
【0089】
・成形条件
シリンダ設定温度:表1〜2の成形温度となるように、以下の通り設定した。
ノズル(成形温度)/シリンダ前部(成形温度)/シリンダ中部(成形温度−20℃)/シリンダ後部(成形温度−40℃)/落下口(成形温度−70℃)
例えば、成形温度350℃の場合は以下のように設定した。
350℃ / 350℃ / 330℃ / 310℃ / 280℃
金型温度:120℃
計量値:20mm
射出速度:200mm/s
VP切替:100MPaにて圧力切替
保圧:20MPa
【0090】
[薄肉曲げ強度測定]
上記流動性測定にて作成した0.3mmの試験片を5mm×35mmにカットし、アイコーエンジニアリング(株)製精密荷重測定器「MODEL−1605IIVL」、試験速度10mm/s、支点間距離5mm、圧子の幅1mmにて、3点曲げによる薄肉曲げ強度試験を行った。
本発明の別の側面としては、前記薄肉曲げ強度測定において、薄肉曲げ強度が、300〜400MPaであることが好ましく、320〜400MPa以上であることがより好ましく、340〜400MPa以上であることがさらに好ましい。
【0091】
[表面硬度測定]
12.7mm×6.4mm×6.4mmtの試験片をロックウエル硬度計FR−1E(東洋精機(株)製)ASTM D785に準拠し、Rスケール及びMスケールにて表面硬度を測定した。
本発明の別の側面としては、前記表面硬度測定において、前記Rスケールの表面硬度が、110〜150であることが好ましい。
本発明のさらに別の側面としては。前記表面硬度測定において、前記Mスケールの表面硬度が、80〜120であることが好ましく、90〜120であることがより好ましい。
【0092】
[ガラス繊維の重量平均繊維長測定]
ガラス繊維の重量平均繊維長の測定方法として、ガラス繊維を含有する組成物からなるペレット5gを空気雰囲気下(ヤマト科学(株)製)マッフル炉空気中にて600℃で8時間加熱して樹脂を除去し、ビデオマイクロスコープVHX1000((株)キーエンス製)を用いて無作為に選んだ1000個の残存したガラス繊維の繊維長を倍率100倍にて測定し、重量平均繊維長を算出した。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
実施例1〜7、比較例1〜9の樹脂組成物について、難燃性、ハロゲン値、耐熱性試験、耐ハンダ発泡試験、薄肉流動性、薄肉曲げ強度及び表面硬度を測定した。その結果を表3〜4に記載する。
【0096】
実施例1〜7、比較例1〜9の樹脂組成物について、成形体の成形収縮率、曲げ強度及び引張強度、アイゾット衝撃強度について、下記の方法で測定した。その結果を表5〜6に記載する。
【0097】
[成形体の成形収縮率の測定]
実施例1〜7、比較例1〜9の各樹脂組成物を、射出成形機PNX40−5A(日精樹脂工業(株)製)を用いて、表1〜2に示す成形温度、金型温度130℃で、射出成形により作製した64mm(MD)×64mm(TD)×3mmtの平板状試験片について、MDの2辺の長さを測定し、その平均値を求め、この平均値と、金型キャビティのMDの長さとから、下記式により、MDの収縮率を算出した。得られた成形体について、TDの2辺の長さを測定し、その平均値を求め、この平均値と、金型キャビティのTDの長さとから、下記式により、TDの収縮率を算出した。結果を表5〜6に示す。
[MDの収縮率(%)]=([金型キャビティのMDの長さ(μm)]−[成形体のMDの2辺の長さの平均値(μm)])/[金型キャビティのMDの長さ(μm)]×100
[TDの収縮率(%)]=([金型キャビティのTDの長さ(μm)]−[成形体のTDの2辺の長さの平均値(μm)])/[金型キャビティのTDの長さ(μm)]×100
本発明の別の側面としては、前記成形体の成形収縮率の測定において、前記MDの収縮率が、0.05〜0.35%であることが好ましく、0.05〜0.30%であることがより好ましく、0.05〜0.20%であることがさらに好ましく、0.05〜0.15%であることが特に好ましい。
本発明のさらに別の側面としては、前記成形体の成形収縮率の測定において、前記TDの収縮率が、0.10〜0.80%であることが好ましく、0.10〜0.70%以下であることがより好ましく、0.10〜0.60%であることが更に好ましく、0.10〜0.50%であることが特に好ましい。
【0098】
[成形体の引張強度、引張伸び率の測定]
実施例1〜7、比較例1〜9の各樹脂組成物を、射出成形機PNX40−5A(日精樹脂工業(株)製)を用いて、表1〜2に示す成形温度、金型温度130℃で、射出成形により作製した厚み2.5mmのASTM4号試験片を使用し、ASTM D638に準拠し測定した。結果を表5〜6に示す。
[成形体の曲げ強度と曲げ弾性率の測定]
実施例1〜7、比較例1〜9の各樹脂組成物を、射出成形機(日精樹脂工業(株)製、PNX−5A)を用いて、表1〜2に示す成形温度、金型温度130℃で、127mm×12.7mm×6.4mmtの試験片に成形し、ASTM D790に準拠し測定した。
結果を表5〜6に示す。
【0099】
[アイゾット衝撃強度]
実施例1〜7、比較例1〜9の各樹脂組成物を、射出成形機PNX40−5A(日精樹脂工業(株)製)を用いて、金型温度130℃で、127mm×12.7mm×6.4mmtの試験片に成形した。この試験片を2等分し、ASTM D256に準拠しアイゾット衝撃強度を測定した。結果を表5〜6に示す。
【0100】
【表3】
【0101】
【表4】
【0102】
【表5】
【0103】
【表6】
【0104】
上記結果に示したとおり、本発明を適用した実施例1〜7の樹脂組成物を用いて成形した成形体は、難燃性が高く、ハロゲンフリーを達成でき、薄肉でも流動性や強度、表面硬度に優れ、発泡せず、耐ハンダ性にも優れていた。