(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記窒素酸化物吸蔵材料は、上記ホーランダイト型金属酸化物の結晶相を主成分とし、該結晶相の粒内及び粒界の少なくとも一方に上記酸化スズからなる微細粒子が分散されている、請求項1に記載の窒素酸化物吸蔵材料。
上記ホーランダイト型金属酸化物と上記酸化スズとの合計量100質量部に対する上記酸化スズの含有量が6質量部以下である、請求項1又は2に記載の窒素酸化物吸蔵材料。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ホーランダイト酸化物は、窒素酸化物の吸蔵量がアルカリ金属を含有する従来の触媒に比べて小さい。そのため、例えば排気ガス浄化触媒として用いたときに、窒素酸化物を十分に吸蔵することができない。実用化にあたっては、窒素酸化物の吸蔵量の向上が求められている。
【0008】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、担体と反応しにくく、窒素酸化物吸蔵量の高い窒素酸化物吸蔵材料、その製造方法、及び排気ガス浄化触媒を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、一般式A
xM
ySn
8-yO
16で表されるホーランダイト型金属酸化物(2)と、酸化スズ(3)とを含有し、
上記一般式において、xが1.0≦x≦2.0を満足し、Aがアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素からなり、Mが2価又は3価の金属元素からなり、Mが2価の場合yが0.5≦y≦1.0を満足し、Mが3価の場合yが1.0≦y≦2.0を満足する、窒素酸化物吸蔵材料(1)にある。
【0010】
本発明の他の態様は、窒素酸化物吸蔵材料が担体(6)に担持された、排気ガス浄化触媒(5)にある。
【0011】
本発明のさらに他の態様は、A源、M源、及びSn源を混合してなる混合物を加熱することにより、窒素酸化物吸蔵材料(1)を製造する方法において、
上記A源と上記M源と上記Sn源との混合割合を、一般式A
xM
ySn
8-yO
16で表されるホーランダイト型金属酸化物が得られる化学量論比よりもSnが過剰となる割合に調整し、
上記一般式において、xが1.0≦x≦2.0を満足し、Aがアルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素からなり、Mが2価又は3価の金属元素からなり、Mが2価の場合yが0.5≦y≦1.0を満足し、Mが3価の場合yが1.0≦y≦2.0を満足する、窒素酸化物吸蔵材料の製造方法にある。
【発明の効果】
【0012】
上記窒素酸化物吸蔵材料は、上記特定のホーランダイト型金属酸化物を含有し、該ホーランダイト型金属酸化物がアルカリ金属及びアルカリ土類金属の少なくとも一方を含有する。ホーランダイト型金属酸化物においては、アルカリ金属、アルカリ土類金属は、結晶構造の内部に存在するため、窒素酸化物吸蔵材料は、化学的に安定である。つまり、窒素酸化物吸蔵材料を加熱しても、アルカリ金属、アルカリ土類金属が、例えば担体などの他部材と反応することを抑制できる。そのため、窒素酸化物吸蔵材料は、加熱による吸蔵性能の劣化を抑制できる。
【0013】
上記窒素酸化物吸蔵材料は、上記特定のホーランダイト型金属酸化物と酸化スズとを含有している。そのため、窒素酸化物の吸蔵性能が高い。窒素酸化物吸蔵材料は、例えばホーランダイト型金属酸化物よりも高い吸蔵性能を示す。したがって、窒素酸化物吸蔵材料は、窒素酸化物に対する優れた吸蔵性能を示し、この優れた吸蔵性能を安定して発揮することができる。
【0014】
上記排気ガス浄化触媒は、窒素酸化物に対する吸蔵性能の高い上記窒素酸化物吸蔵材料を含有する。そのため、排気ガス浄化触媒は、窒素酸化物に対する優れた吸蔵性能を示す。また、窒素酸化物吸蔵材料は、加熱されても担体と化学的に反応しにくい。したがって、排気ガス浄化触媒は、安定して高い吸蔵性能を発揮することができる。
【0015】
窒素酸化物吸蔵材料の製造方法においては、A源、M源、及びSn源を混合してなる混合物を加熱する。このとき、A源とM源とSn源との混合割合を、一般式A
xM
ySn
8-yO
16で表されるホーランダイト型金属酸化物が得られる化学量論比よりもSnが過剰となる割合に調整する。
【0016】
これにより、ホーランダイト型金属酸化物とともに、余剰のSnがSnO
2として析出すると考えられる。つまり、上記特定組成のホーランダイト型金属酸化物と酸化スズとを含有する窒素酸化物吸蔵材料を得ることができる。この窒素酸化物吸蔵材料は、上述のように、窒素酸化物に対して高い吸蔵性能を示し、さらに加熱されても安定である。
【0017】
以上のごとく、上記態様によれば、担体と反応しにくく、窒素酸化物吸蔵量の高い窒素酸化物吸蔵材料、その製造方法、及び排気ガス浄化触媒を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態1)
窒素酸化物吸蔵材料に係る実施形態について、
図1〜
図4を参照して説明する。
図1に例示されるように、窒素酸化物吸蔵材料1は、ホーランダイト型金属酸化物2と、酸化スズ3とを含有する。
【0020】
ホーランダイト型金属酸化物2は、一般式A
xM
ySn
8-yO
16で表される。一般式において、xは1.0≦x≦2.0を満足する。Mが2価の場合にはyは0.5≦y≦1.0を満足し、Mが3価の場合にはyは1.0≦y≦2.0を満足する。x>2.0の場合、Mが2価でy>1.0の場合、あるいは、Mが3価でy>2.0の場合には、窒素酸化物吸蔵材料の窒素酸化物に対する吸蔵性能が低下するおそれがある。
【0021】
一般式において、Aは、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素からなる。窒素酸化物に対する吸蔵性能をより向上させるという観点から、Aは、これらの中でも、K、Li、Na、Rb、Cs、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、K、Na、及びBaからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、Kがさらに好ましい。
【0022】
一般式において、Mは2価又は3価の金属元素からなる。窒素酸化物に対する吸蔵性能をより向上させるという観点から、Mは、これらの中でも、Fe、Ga、Zn、In、Cr、Mn、Co、Al、及びNiからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、Fe、Cr、Co、及びGaからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましく、Fe、Co、及びGaからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがさらに好ましく、Gaがさらにより好ましい。
【0023】
図2及び
図3にホーランダイト型金属酸化物2の結晶構造を示す。
図2においては、a軸方向、b軸方向、c軸方向をそれぞれ矢印にて示す。a軸方向、b軸方向、c軸方向は、相互に垂直となる関係を有する。
図2及び
図3に例示されるように、上述の一般式で表されるホーランダイト型金属酸化物2は、M原子とO原子とによって、チャンネル構造の結晶構造が形成される。この結晶構造はトンネル構造あるいは筒状構造ということもできる。トンネル構造の軸方向、つまり貫通穴の伸長方向がc軸方向である。A原子は、M原子とO原子とによって形成される結晶構造のボトルネックに配置される。
【0024】
このように、ホーランダイト型金属酸化物2においては、アルカリ金属、アルカリ土類金属が結晶構造の穴の内側に取り込まれている。そのため、加熱などによりアルカリ金属、アルカリ土類金属が外部の担体等と反応することを防止できると考えられる。
【0025】
窒素酸化物吸蔵材料1において、ホーランダイト型金属酸化物2と酸化スズ3とは、次の好ましい形態をとることができる。具体的には、
図1に例示されるように、窒素酸化物吸蔵材料1は、ホーランダイト型金属酸化物2の結晶相20を主成分とし、この結晶相20の粒内及び粒界の少なくとも一方に酸化スズ3からなる微細粒子30が分散されていることが好ましい。この場合には、窒素酸化物に対する吸蔵性能や、吸蔵性能の安定性がより向上する。
【0026】
窒素酸化物吸蔵材料1におけるホーランダイト型金属酸化物2と酸化スズ3との形態は、例えば透過型電子顕微鏡(つまり、TEM)観察により調べることができる。
【0027】
酸化スズ3からなる微細粒子30は、ホーランダイト型金属酸化物2の結晶相20よりも小さい。具体的には、微細粒子30は、結晶相20の粒内および粒界の少なくとも一方に分散されることが可能な程度に結晶相20よりも十分に小さい。
【0028】
図4に例示されるように窒素酸化物吸蔵材料1は貴金属4をさらに含有することが好ましい。この場合にも、窒素酸化物吸蔵材料1の窒素酸化物の吸蔵性能をより向上させることができる。貴金属としては、Pt、Rh、及びPdからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することがより好ましく、少なくともPtを含有することがさらに好ましい。なお、
図4には、担体6に担持された窒素酸化物吸蔵材料1を例示している。
【0029】
図4では、貴金属4が担体6に直接担持されている。構成の図示を省略するが、貴金属4は、ホーランダイト型金属酸化物2に担持され、貴金属4を担持すると共にかつ酸化スズ3を含有するホーランダイト型金属酸化物2が担体6に担持されていること好ましい。つまり、窒素酸化物吸蔵材料1は、ホーランダイト型金属酸化物2と、その結晶相20の粒内及び粒界の少なくとも一方に含有される酸化スズ3と、ホーランダイト型金属酸化物2に担持された貴金属4とを含有することが好ましい。
【0030】
貴金属4の含有量は、特に限定されるわけではないが、貴金属の添加による吸蔵量向上効果を十分に得ながら高価な貴金属の量を減らすという観点から、ホーランダイト型金属酸化物2と酸化スズ3との合計100質量部に対して、2質量部以下にすることが好ましく、1質量部以下にすることがより好ましい。
【0031】
窒素酸化物吸蔵材料1が貴金属4を含有する場合には、
図4に例示されるように貴金属4が一酸化窒素を二酸化窒素に酸化することができる。ホーランダイト型金属酸化物2と酸化スズ3とを含有する窒素酸化物吸蔵材料1は、一酸化窒素に比べて二酸化窒素を吸蔵しやすい。窒素酸化物吸蔵材料1が二酸化窒素を硝酸イオンとして取り込むためであると考えられる。
【0032】
次に、窒素酸化物吸蔵材料1の製造方法について説明する。一般式A
xM
ySn
8-yO
16で表されるホーランダイト型金属酸化物と酸化スズとを含有する窒素酸化物吸蔵材料は、次のようにして製造される。
【0033】
まず、一般式におけるA源、M源、Sn源を準備する。A源は、A元素、つまり、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を含有する物質である。このような物質としては、例えば酸化物、塩、水酸化物、その他の化合物、単体の金属、合金等が挙げられる。A源は、金属元素としてA元素を含有していればよく、A元素以外の金属元素を含有していてもよい。例えば、A元素と共に、下記のM元素及びSnの少なくとも一方を含有してもよい。
【0034】
M源は、M元素、つまり、2価又は3価の金属元素からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素を含有する物質である。このような物質としては、例えば酸化物、塩、水酸化物、その他の化合物、単体の金属、合金等が挙げられる。M源は、金属元素としてM元素を含有していればよく、M元素以外の金属元素を含有していてもよい。例えば、M元素と共に、上記のA元素及びSnの少なくとも一方を含有していてもよい。
【0035】
Sn源は、Snを含有する物質である。このような物質としては、例えば酸化物、塩、水酸化物、その他の化合物、単体の金属、合金等が挙げられる。Sn源は、金属元素としてSnを含有していればよく、Sn以外の金属元素を含有していてもよい。例えばSnと共に、上記のA元素及びM元素の少なくとも一方を含有していてもよい。
【0036】
次いで、A源、M源、及びSn源を混合し、混合物を作製する。このとき、A源と上記M源と上記Sn源との混合割合を、一般式A
xM
ySn
8-yO
16で表されるホーランダイト型金属酸化物が得られる化学量論比よりもSnが過剰となる割合に調整する。これにより、後述の加熱により、ホーランダイト型金属化合物の生成と共に酸化スズを析出させることができる。混合物は所望形状に成形することができる。
【0037】
次いで、混合物又はその成形体を加熱する。この加熱により結晶成長、焼結が起こり、ホーランダイト型金属酸化物が生成すると共に、余剰のSnが酸化スズとして析出する。このようにして、ホーランダイト型金属酸化物と酸化スズとを含有する窒素酸化物吸蔵材料を得ることができる。
【0038】
窒素酸化物吸蔵材料の製造方法は、特に限定されるわけではなく、固相反応法、共沈法、クエン酸錯体法、アルコキシド法、熱プラズマ法等を用いることができる。比表面積が大きくなり、窒素酸化物吸蔵材料の吸蔵性能をより向上させるという観点から、熱プラズマ法が好ましい。熱プラズマ法としては、高周波熱プラズマ法を採用することができる。また、低コストで製造ができるという観点からは、固相反応法が好ましい。
【0039】
熱プラズマ法等を行うことにより、例えば比表面積が60g/m
2以上の窒素酸化物吸蔵材料を得ることができる。吸蔵性能を高めるという観点から、窒素酸化物吸蔵材料の比表面積は20g/m
2以上であることがより好ましく、40g/m
2以上であることがさらに好ましい。一方、固相反応法等を行うことにより、例えば比表面積が3g/m
2未満の窒素酸化物吸蔵材料を得ることができる。比表面積は、所謂BET法により測定することができる。
【0040】
熱プラズマ法においては、A源、M源、Sn源としては、単体の金属、金属合金を用いることが好ましい。この場合には、熱プラズマ法による製造時にA源、M源、Sn源の各原料がプラズマ内で蒸発しやすくなる。その結果、目的の窒素酸化物吸蔵材料の製造が容易になる。なお、原料の化学的安定性を考慮して酸化物などを原料にすることも可能である。
【0041】
また、固相反応法においては、A源としては炭酸塩が好ましく、M源、Sn源としては酸化物が好ましい。他の方法においても、A源、M源、Sn源として、それぞれの方法に適した原料を適宜選択することができる。
【0042】
本実施形態の窒素酸化物吸蔵材料1は、
図1〜
図3に例示されるように、特定のホーランダイト型金属酸化物2を含有し、このホーランダイト型金属酸化物2がアルカリ金属及びアルカリ土類金属の少なくとも一方を含有する。ホーランダイト型金属酸化物2においては、アルカリ金属、アルカリ土類金属は、結晶構造の内部に存在する。そのため、窒素酸化物吸蔵材料1は化学的に安定である。
【0043】
つまり、窒素酸化物吸蔵材料1を加熱しても、アルカリ金属、アルカリ土類金属が、例えば担体6などの他部材と反応することを抑制できる。そのため、窒素酸化物吸蔵材料1は、加熱による吸蔵性能の劣化を抑制できる。
【0044】
また、窒素酸化物吸蔵材料1は、特定のホーランダイト型金属酸化物2と酸化スズ3とを含有している。そのため、窒素酸化物の吸蔵性能が高い。窒素酸化物吸蔵材料1は、例えばホーランダイト型金属酸化物2よりも窒素酸化物に対する高い吸蔵性能を示すことができる。この理由は次のように考えられる。窒素酸化物吸蔵材料1は、酸化スズ自体が吸蔵特性を有することに起因して、例えばホーランダイト型金属酸化物よりも高い吸蔵性能を示す。また、酸化スズを含有していることにより、酸化スズがホーランダイト型金属酸化物の分散性を維持する分散剤としての機能を示すため、ホーランダイト型金属酸化物担体よりも高い吸蔵性能を示すことも一因であると推定できる。
【0045】
したがって、窒素酸化物吸蔵材料1は、窒素酸化物に対する優れた吸蔵性能を示し、この優れた吸蔵性能を安定して発揮することができる。
【0046】
(実施形態2)
本実施形態においては、窒素酸化物吸蔵材料を担体に担持してなる排気ガス浄化触媒について
図5及び
図6を参照して説明する。なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0047】
図5及び
図6に例示されるように、排気ガス浄化触媒5は、担体6と、これに担持された窒素酸化物吸蔵材料1とを有する。担体6は例えばハニカム構造体である。つまり、担体6は、筒状の外皮60と、その内側を区画する多数のセル壁61とを有する。これにより、外皮60の内側には、セル壁61に囲まれた多数のセル62が形成されている。
【0048】
担体6は例えば多孔質体である。つまり、
図6に例示されるように、担体6の例えばセル壁61は、多数の細孔611を有している。
【0049】
セル壁61には、窒素酸化物吸蔵材料1が担持されている。窒素酸化物吸蔵材料1は、セル壁61の表面に担持させることができ、細孔611内に担持させることもできる。窒素酸化物吸蔵材料1は、例えば、図示を省略するアルミナ等と共に担体6に担持させることができる。
【0050】
担持方法は、特に限定されるものではないが、例えば窒素酸化物吸蔵材料1を含有するスラリーに担体6を浸漬した後、担体6を乾燥させ、担体6を加熱して焼成する方法がある。この方法を浸漬法という。なお、スラリーに対しては、超音波発生器によって超音波照射を行うことができる。これにより、窒素酸化物吸蔵材料1を微細化しながら溶媒中に均等に分散させることができる。スラリーの溶媒は、特に限定されないが、例えば水である。乾燥は、例えば熱風発生器により行うことができる。
【0051】
窒素酸化物吸蔵材料1としては、実施形態1において説明したものを用いることができる。担体6は、例えばコージェライト、SiC等の耐熱性に優れた材質からなることが好ましい。担体6への窒素酸化物吸蔵材料1の担持量は、例えば80〜200g/Lの範囲で調整することができる。また、貴金属を含有する場合には、貴金属の担持量を例えば0.8〜2.0g/Lの範囲で調整することができる。
【0052】
本形態の排気ガス浄化触媒5は、窒素酸化物に対する吸蔵性能の高い実施形態1の窒素酸化物吸蔵材料1を含有する。そのため、排気ガス浄化触媒5は、窒素酸化物に対する優れた吸蔵性能を示す。また、窒素酸化物吸蔵材料1は加熱されても担体6と化学的に反応しにくい。したがって、排気ガス浄化触媒5は、安定して高い吸蔵性能を発揮することができる。
【0053】
(実験例1)
本例では、窒素酸化物吸蔵材料の窒素酸化物に対する吸蔵性能を比較評価する。まず、実施例及び比較例にかかる3種類の排気ガス浄化触媒を作製した。これらを、それぞれ実施例1、実施例2、及び比較例1という。実施例、比較例の排気ガス浄化触媒は、実施形態2と同様に、ハニカム構造体からなる担体と、これに担持された窒素酸化物吸蔵材料とを有する。
【0054】
実施例1の排気ガス浄化触媒は、ホーランダイト型金属酸化物と、酸化スズとを含有する窒素酸化物吸蔵材料を含有する。実施例2の排気ガス浄化触媒は、ホーランダイト型金属酸化物と、酸化スズと、貴金属とを含有する窒素酸化物吸蔵材料を含有する。比較例1の排気ガス浄化触媒は、ホーランダイト型金属酸化物を含有し、酸化スズや貴金属を含有しない窒素酸化物吸蔵材料を含有する。本例におけるホーランダイト型金属酸化物はK
2Ga
2Sn
6O
16からなる。また、貴金属は白金である。
【0055】
本例においては、熱プラズマ法により各窒素酸化物吸蔵材料を作製した。実施例1においては、まず、1モルのK
2Ga
2Sn
6O
16に対して2モルのSnO
2が生成する化学量論比で、カリウム、ガリウム、及びスズの各金属原料を準備した。つまり、K:Ga:Sn=2:2:8となるような割合で各金属原料を準備した。
【0056】
熱プラズマ装置におけるプラズマトーチの高周波磁場内で発生する熱プラズマに各金属原料を供給して蒸発させた。その後、熱プラズマ装置のチャンバー内で生成物を急速に凝集させることにより、ナノオーダサイズの窒素酸化物吸蔵材料を得た。この窒素酸化物吸蔵材料の比表面積は、63.2m
2/gである。
【0057】
このような熱プラズマ法においては、熱プラズマで発生する高温を利用して原料をプラズマトーチ内で蒸発させ、その下流のチャンバー内の低温領域で蒸気を凝縮させてナノ粒子を合成することができる。プラズマトーチ内は数千℃以上の高温になっており、原料は瞬時に蒸発する。そして、蒸発した原料は、トーチの下流に導入される冷却ガスによって冷却、凝縮される温度まで急冷される。このとき、急冷過程による核生成を抑制することにより、組成の制御された化合物のナノ粒子を合成できる。
【0058】
次に、実施形態2と同様に、ハニカム構造体よりなる担体に窒素酸化物吸蔵材料を担持した。担体のサイズは、直径30mm、外皮の軸方向の長さ50mmである。担持方法は、浸漬法である。担持の際の焼成温度は500℃、焼成時間は2時間である。このようにして、実施例1の排気ガス浄化触媒を作製した。なお、実施例1において、担体への窒素酸化物吸蔵材料の担持量は80g/Lである。
【0059】
実施例2の排気ガス浄化触媒は、実施例1と同様の窒素酸化物吸蔵材料と、白金とを蒸発乾固法により担体に担持した。具体的には、濃度1質量%のジニトロジアミン白金水溶液100mlに、窒素酸化物吸蔵材料を混合した。次いで、溶媒である水を蒸発させることにより、白金を窒素酸化物吸蔵材料に担持させた。
【0060】
次に、実施例1と同様に浸漬法により、白金を担持した窒素酸化物吸蔵材料を担体に担持した。このようにして、実施例2の排気ガス浄化触媒を得た。実施例2において、窒素酸化物吸蔵材料中の貴金属の含有量は、ホーランダイト型金属酸化物と酸化スズとの合計量100質量部に対して1質量部である。窒素酸化物吸蔵材料の担体への担持量は、実施例1と同様である。
【0061】
比較例1においては、まず、K
2Ga
2Sn
6O
16が生成する化学量論比で、カリウム、ガリウム、及びスズの各金属原料を準備した。つまり、KGa:Sn=2:2:6となるような割合で各金属原料を準備した。次いで、実施例1と同様に、熱プラズマ法を行うことにより、K
2Ga
2Sn
6O
16からなる窒素酸化物吸蔵材料を得た。
【0062】
次いで、実施例1と同様に、浸漬法により、窒素酸化物吸蔵材料を担体に担持した。このようにして、比較例1の排気ガス浄化触媒を得た。比較例1における窒素酸化物吸蔵材料の担持量は実施例1と同様である。
【0063】
次に、各実施例、比較例の排気ガス浄化触媒について、窒素酸化物の吸蔵量を調べた。窒素酸化物の吸蔵量は、以下のようにして測定した。まず、NOガス100体積ppm、O
2ガス10体積%を含むN
2ガスを排気ガス浄化触媒内に流通させることにより、ガスを窒素酸化物吸蔵材料に接触させた。ガス流量は23L/分、空間速度は11,000/hである。次いで、排気ガス浄化触媒を通過する前のNO量と触媒通過後のNO量とを比較することにより、窒素酸化物吸蔵材料に吸蔵された窒素酸化物の吸蔵量を測定した。なお、測定温度は300℃である。その結果を
図7に示す。
図7の縦軸は、テストピース(つまり、排気ガス浄化触媒)あたりのNOx吸蔵量を示す。テストピースのことを図中では「T.P.」と表記する。円柱状のテストピースのサイズは、直径が30mm、長さが50mmである。
【0064】
図7より知られるように、実施例1の排気ガス浄化触媒は、比較例1に比べて窒素酸化物の吸蔵量が向上している。これは、実施例1の排気ガス浄化触媒には、ホーランダイト型金属酸化物と共に酸化スズを含有する窒素酸化物吸蔵材料が担持されているためである。つまり、ホーランダイト型金属酸化物を含有し、酸化スズを含有しない比較例1に比べて、ホーランダイト型金属酸化物と酸化スズとを含有する実施例1は、窒素酸化物の吸蔵性能がより優れる。
【0065】
また、実施例2の排気ガス浄化触媒は、実施例1に比べてさらに窒素酸化物の吸蔵性能が向上している。これは、実施例2の排気ガス浄化触媒には、ホーランダイト型金属酸化物と酸化スズと貴金属とが担持されているためである。つまり、ホーランダイト型金属酸化物と酸化スズを含有し、貴金属を含有しない実施例1に比べて、ホーランダイト型金属酸化物と酸化スズと貴金属とを含有する実施例2は、窒素酸化物の吸蔵性能がより一層優れる。
【0066】
(実験例2)
本例は、窒素酸化物吸蔵材料の比表面積とNOx吸蔵量との関係を調べる例である。本例の窒素酸化物吸蔵材料は、実験例1における実施例1と同様に、ホーランダイト型金属酸化物と酸化スズとを含有する。
【0067】
本例における窒素酸化物吸蔵材料は、熱プラズマ法、固相反応法により製造される。熱プラズマ法については、実験例1の実施例1と同様である。
【0068】
固相反応法については、次のようにして行われる。まず、K
2Ga
2Sn
6O
16+2SnO
2が生成する化学量論比で、炭酸カリウム、酸化ガリウム、及び酸化スズの各原料を準備した。つまり、炭酸カリウム中のK:酸化ガリウム中のGa:酸化スズ中のSn=2:2:8となるような割合で各原料を準備した。
【0069】
次いで、各原料をボールミル、乳鉢等で混合して混合物を得た。次いで、混合物を焼成した。これにより、K
2Ga
2Sn
6O
16とSnO
2とを含有する窒素酸化物吸蔵材料を得た。
【0070】
熱プラズマ法や固相反応法における粒子成長過程を変更することにより、比表面積が異なる複数の窒素酸化物吸蔵材料を作製した。熱プラズマ法における粒子成長過程は、瞬時に蒸発した原料の冷却時の温度、冷却速度等を調整することにより制御できる。また、固相反応法における粒子成長過程は、原料の粒径、焼成温度、焼成時間等を調整することにより制御できる。
【0071】
窒素酸化物吸蔵材料の比表面積は、BET法の原理を利用したカンタクローム・インスツルメンツ株式会社製の測定装置Autosorb−iQを用いて測定した。また、各窒素酸化物吸蔵材料を実験例1の実施例2と同様にPtと共に担体に担持して、NOx吸蔵量を測定した。担体のサイズは、実験例1と同様に直径が30mm、長さが50mmである。測定方法は、実験例1と同様である。窒素酸化物吸蔵材料の比表面積とNOx吸蔵量との関係を
図8に示す。
図8の横軸は、窒素酸化物吸蔵材料の比表面積であり、縦軸は、テストピースあたりのNOx吸蔵量を示す。
【0072】
また、熱プラズマ法で作製した比表面積63.2m
2/gの窒素酸化物吸蔵材料の走査型電子顕微鏡写真(つまり、SEM写真)を
図9に示す。また、固相反応法で作製した比表面積2.14m
2/gの窒素酸化物吸蔵材料のSEM写真を
図10に示す。
図9及び
図10より知られるように、熱プラズマ法により得られる窒素酸化物吸蔵材料は、固相反応法により得られる窒素酸化物吸蔵材料に比べて微細であり、比表面積が大きい。
【0073】
図8より知られるように、窒素酸化物吸蔵材料の比表面積が大きくなるほどNOx吸蔵性能が向上する。これは、窒素酸化物吸蔵材料の比表面積が大きくなるほど窒素酸化物との接触面積が向上するためであると考えられる。
【0074】
(実験例3)
本例は、窒素酸化物吸蔵材料中の酸化スズの量とNOx吸蔵量との関係を調べる例である。本例の窒素酸化物吸蔵材料は、ホーランダイト型金属酸化物であるK
2Ga
2Sn
6O
16とSnO
2とを含有し、さらに貴金属としてPtを含有する。
【0075】
まず、熱プラズマ法において、原料のうちのスズの混合割合を変更することにより、酸化スズの含有量の異なる複数の窒素酸化物吸蔵材料を作製した。
【0076】
次に、各窒素酸化物吸蔵材料に、実験例1の実施例2と同様にして白金を担持させた。次いで、白金を担持させた窒素酸化物吸蔵材料を、上述の浸漬法によりハニカム構造体からなる担体にそれぞれ担持させた。これにより、排気ガス浄化触媒を作製した。
【0077】
次に、各排気ガス浄化触媒のNOx吸蔵量を実験例1と同様にして測定した。その結果を
図11に示す。
図11においては、横軸は、窒素酸化物吸蔵材料におけるホーランダイト型金属酸化物と酸化スズとの合計100質量部に対する酸化スズの含有量を示し、縦軸はNOx吸蔵量を示す。
【0078】
図11に示されるように、窒素酸化物吸蔵材料においては、ホーランダイト型金属酸化物と酸化スズとの合計100質量部に対する酸化スズの含有量は6質量部以下であることが好ましく、5質量部以下がより好ましい。この場合には、NOx吸蔵量をより高めることができる。また、
図11より知られるように、酸化スズの含有量が3質量部を超えても、酸化スズの量の増加に見合ったNOx吸蔵量の向上効果が得られなくなるという観点からは、ホーランダイト型金属酸化物と酸化スズとの合計100質量部に対する酸化スズの含有量は3質量部以下であることがより好ましい。
【0079】
また、酸化スズによる窒素酸化物の吸蔵量の向上効果を十分に得るという観点から、酸化スズの含有量は1質量部以上であることがより好ましく、2質量部以上であることがより好ましい。なお、本例において、熱プラズマ法によって得られる窒素酸化物吸蔵材料の比表面積は60m
2/g以上であり、熱プラズマ法で得られた各窒素酸化物吸蔵材料の比表面積は同程度であった。
【0080】
本発明は上記各実施形態、実験例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。一般式におけるA、Mの種類や、x、yの値を変更しても上述の実験例と同様結果が得られると考えられる。また、本明細書においては、窒素酸化物吸蔵材料を担持させる担体として、ハニカム構造体を用いたが、粒子状の担体を用いることも可能である。