(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ジヒドロキシナフタレン縮合物の製造方法であって、ジヒドロキシナフタレンとして、成分元素中の硫黄元素の含有量が、質量比で100ppm以下のものを用い、該ジヒドロキシナフタレンと縮合剤を酸又は塩基の存在下で縮合させて前記ジヒドロキシナフタレン縮合物を製造するジヒドロキシナフタレン縮合物の製造方法であって、
前記縮合剤として、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、又はヒドロキシナフトアルデヒドを用いることを特徴とするジヒドロキシナフタレン縮合物の製造方法。
前記縮合剤の使用量が、前記ジヒドロキシナフタレン1モルに対し0.01〜5.0モルであることを特徴とする請求項1に記載のジヒドロキシナフタレン縮合物の製造方法。
前記ジヒドロキシナフタレンとして、1,5−ジヒドロキシナフタレン又は2,7−ジヒドロキシナフタレンを用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のジヒドロキシナフタレン縮合物の製造方法。
前記ジヒドロキシナフタレンとして、成分元素中の硫黄元素の含有量が、質量比で50ppm以下のものを用いることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のジヒドロキシナフタレン縮合物の製造方法。
ジヒドロキシナフタレン縮合物であって、ジヒドロキシナフタレンと縮合剤の縮合物であり、前記ジヒドロキシナフタレン縮合物に含まれる成分元素中の硫黄元素の含有量が、質量比で100ppm以下であるジヒドロキシナフタレン縮合物であって、
前記縮合剤が、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、又はヒドロキシナフトアルデヒドであることを特徴とするジヒドロキシナフタレン縮合物。
【背景技術】
【0002】
近年、LSI(large scale integration)の高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が求められている中、現在汎用技術として用いられている光露光を用いたリソグラフィーにおいては、用いられる光源に対して如何により微細かつ高精度なパターン加工を行うかについて種々の技術開発が行われている。
【0003】
このような加工線幅の縮小に伴い、炭素を主成分とするハードマスクをマスクとして被加工基板をドライエッチングするときに下層膜がよれたり曲がったりする現象が起きる事が報告されている(非特許文献1)。当該ハードマスクをCVD(chemical vapor deposition)やALD(atomic layer deposition)で作製したアモルファスカーボン(以後CVD−C)膜は、膜中の水素原子を極めて少なくすることが出来、よれ防止には非常に有効であることは、一般的によく知られている。
【0004】
しかしながら、被加工基板に段差がある場合、段差が存在するままで次のリソグラフィーによるパターン形成工程に当該被加工基板を適用させると、リソグラフィー工程における焦点深度等のプロセス裕度が不足する。そのため、当該被加工基板を下層膜によって当該段差を平坦化させる必要がある。下層膜で被加工基板を平坦化させることによって、その上に成膜する中間層やフォトレジストの膜厚変動を抑え、リソグラフィーの焦点深度を拡大し、プロセス裕度を拡大することが出来る。
【0005】
しかしながら、メタンガス、エタンガス、アセチレンガスなどを原料に用いたCVD−C膜は、基板上に均一な膜厚の下層膜を形成することには優れた膜であるが、基板上に段差がある場合は、加工されている段差の深さによって膜厚が変わらないと平坦な表面を持つ下層膜を形成することが出来ないため、CVD−C膜は段差基板を平坦にする方法としては適していない。
【0006】
このような場合、有機樹脂を含有する下層膜形成材料を回転塗布によって有機下層膜を形成すると、基板の段差を下層膜形成材料が埋め込むことが出来るだけでなく、基板表面を平坦に出来る長所がある。しかしながら、このような有機下層膜は、有機ハードマスクとして従来より多層レジストプロセスの下層膜として利用されているが、有機物を基材としているためCVD−C膜に対して微細パターン形成時のよれ性能が不足していた。そこで、有機ハードマスクとしての埋め込み平坦化性能を有しながら、CVD−C膜並みのよれ耐性を有する有機下層膜用の有機樹脂が求められている。
【0007】
そこで、有機ハードマスクとしての埋め込み平坦化性能を有しながら、CVD−C膜並みのよれ耐性を有する有機下層膜用の有機樹脂として、ジヒドロキシナフタレン縮合物が見出されている。
【0008】
ジヒドロキシナフタレン(1)は工業的には、下記の方法で製造するのが一般的である。即ち、出発物質のナフタレン(1−1)をスルホン化し、スルホン酸化合物(1−2)とした後、アルカリ溶融で水酸基に変換してジヒドロキシナフタレン(1)を得る。
【化1】
(式中、n及びmは0≦m≦2、0≦n≦2、m+n=2を満たす整数である。)
【0009】
この製造工程では、アルカリ溶融でスルホン酸化合物(1−2)が完全に消費されることがなく、元素成分中の硫黄元素の含有量として質量比で数100ppmから数1000ppm程度のスルホン酸化合物(1−2)が一般的な工業グレードのジヒドロキシナフタレン(1)中に残留している(以下当該スルホン酸化合物を「硫黄分」ともいう)。このような不純物が含まれている工業グレードのジヒドロキシナフタレンは、従来、染料が主な用途であるため、このような不純物が問題になることはなかった。
【0010】
一般に、半導体装置製造用有機膜形成用組成物を半導体装置の製造工程で使用する場合、塗布膜での欠陥やドライエッチング後の欠陥をなくすため、微細な目開きを持つフィルターを適用した精密濾過で精製しなければいけない。この精製操作が不足すると、塗布膜での欠陥やドライエッチング後の欠陥による半導体装置中の電子回路に不具合が発生し半導体装置製造時の歩留まりが低下する。このような半導体装置製造時の歩留まり低下を防止するため、フィルター前後で当該組成物の液圧の差を精密に制御して精密濾過しなければいけない。
【0011】
従来知られている工業グレードのジヒドロキシナフタレンを出発原料として製造されたジヒドロキシナフタレン樹脂で半導体装置製造用有機膜形成用組成物を製造すると、最先端の半導体装置製造用プロセス材料にとって必須である20nm以下の目開きの微細なフィルターによる精密濾過精製工程で閉塞が発生し、半導体装置製造用プロセス材料として適用することが困難であった。
【0012】
このようなジヒドロキシナフタレン樹脂には、硬い異物(以下、ハードパーティクルとする)や溶媒を含んで僅かな力で変形可能な柔らかい異物(以下、ソフトパーティクルとする)が含まれていると考えられている。このようなジヒドロキシナフタレン樹脂の溶液や当該樹脂を含有する組成物(以下、ジヒドロキシナフタレン組成物とする)を半導体装置製造用組成物に適用するためには微細なフィルターで精製する必要がある。例えば、ジヒドロキシナフタレン組成物中のハードパーティクルを除去精製するために微細なフィルターを用いて精密濾過すると、フィルター表面でハードパーティクルを捕獲することが出来る。このハードパーティクルはフィルター表面で捕獲されてもハードパーティクル同士に空隙があるため、濾過時の通液量は変化することが無く、ジヒドロキシナフタレン樹脂組成物の精製能力は保たれる。一方、当該組成物中のソフトパーティクルは、一旦、フィルター表面で捕獲されるが当該組成物の流れに対応して変形し、ソフトパーティクル同士の空隙が無くなり、フィルターの通液が困難となり当該組成物の精製能力が低下する。更にこの状態が進んでいくと、最終的にはフィルターが閉塞しフィルター交換が必要となる。このようなフィルター交換が繰り返されると、当該組成物を生成するためのフィルターの消費量が大きくなり不経済である。
【0013】
この時、当該組成物の通液量を確保するためにフィルター前後の液圧差を50KPaより大きくすると、本来フィルターで捕獲されなければいけない異物、特にソフトパーティクルが当該圧力差によってフィルターの細孔を通り抜け濾液側に混入し、濾過精製が不十分になる。これにより塗布欠陥やエッチング後欠陥が多くなり、半導体装置製造時の歩留まりが低下してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、ソフトパーティクルの発生を抑制し、濾過性の良好な組成物に好適に用いることが出来るジヒドロキシナフタレン縮合物及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明では、ジヒドロキシナフタレン縮合物の製造方法であって、ジヒドロキシナフタレンとして、成分元素中の硫黄元素の含有量が、質量比で100ppm以下のものを用い、該ジヒドロキシナフタレンと縮合剤を酸又は塩基の存在下で縮合させて前記ジヒドロキシナフタレン縮合物を製造するジヒドロキシナフタレン縮合物の製造方法を提供する。
【0017】
本発明のジヒドロキシナフタレン縮合物の製造方法であれば、ソフトパーティクルの発生を抑制し、濾過性の良好な組成物に好適に用いることが出来るジヒドロキシナフタレン縮合物を製造できる。
【0018】
また、前記縮合剤の使用量が、前記ジヒドロキシナフタレン1モルに対し0.01〜5.0モルであることが好ましい。
【0019】
このような量の縮合剤を使用すれば、ソフトパーティクルの発生を抑制し、濾過性の良好な組成物に好適に用いることが出来るジヒドロキシナフタレン縮合物をより確実に製造できる。
【0020】
また、前記ジヒドロキシナフタレンとして、1,5−ジヒドロキシナフタレン又は2,7−ジヒドロキシナフタレンを用いることが好ましい。
【0021】
本発明のジヒドロキシナフタレン縮合物の製造方法には、例えばこのようなジヒドロキシナフタレンを用いることが出来る。
【0022】
また、前記ジヒドロキシナフタレンとして、成分元素中の硫黄元素の含有量が、質量比で50ppm以下のものを用いることが好ましい。
【0023】
硫黄元素の含有量がこのようなものを用いれば、精製後のジヒドロキシナフタレンを用いた組成物において、最先端の半導体装置製造用プロセス材料にとって必須である20nm以下の目開きのフィルターによる精密濾過精製がより確実に可能となる。
【0024】
また、前記縮合剤として、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、又はヒドロキシナフトアルデヒドを用いることが好ましい。
【0025】
縮合剤としてこれらのアルデヒド類を用いれば、ソフトパーティクルの発生を抑制し、濾過性の良好な組成物に好適に用いることが出来るジヒドロキシナフタレン縮合物をより確実に製造できる。
【0026】
また、本発明は、ジヒドロキシナフタレン縮合物であって、ジヒドロキシナフタレンと縮合剤の縮合物であり、前記ジヒドロキシナフタレン縮合物に含まれる成分元素中の硫黄元素の含有量が、質量比で100ppm以下であるジヒドロキシナフタレン縮合物を提供する。
【0027】
本発明のジヒドロキシナフタレン縮合物であれば、ソフトパーティクルの発生を抑制し、濾過性の良好な組成物に好適に用いることが出来るジヒドロキシナフタレン縮合物となる。
【0028】
また、前記ジヒドロキシナフタレン縮合物の重量平均分子量が、500〜500,000であることが好ましい。
【0029】
このようなジヒドロキシナフタレン縮合物であれば、塗膜性、硬化性、及びフロー性に優れたものとなる。
【0030】
また、前記ジヒドロキシナフタレンが、1,5−ジヒドロキシナフタレン又は2,7−ジヒドロキシナフタレンであることが好ましい。
【0031】
本発明のジヒドロキシナフタレン縮合物は、例えばこのようなジヒドロキシナフタレンの縮合物とすることができる。
【0032】
また、前記縮合剤が、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、又はヒドロキシナフトアルデヒドであることが好ましい。
【0033】
このような縮合剤を用いたジヒドロキシナフタレン縮合物であれば、確実にソフトパーティクルの発生を抑制し、濾過性の良好な組成物に好適に用いることが出来るジヒドロキシナフタレン縮合物となる。
【発明の効果】
【0034】
このように、本発明のジヒドロキシナフタレン縮合物の製造方法であれば、ソフトパーティクルの発生を抑制し、濾過性の良好な組成物に好適に用いることが出来るジヒドロキシナフタレン縮合物を製造できる。また、本発明のジヒドロキシナフタレン縮合物であれば、ソフトパーティクルの発生を抑制し、濾過性の良好な組成物に好適に用いることが出来る。また、パターンを形成した時にパターン曲がり耐性が高く、特には40nmより微細で高アスペクトなラインパターンにおけるドライエッチング後のラインの倒れやよれが発生しない有機下層膜を形成することが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0036】
上記のように、ソフトパーティクルの発生を抑制し、濾過性の良好な組成物に好適に用いることが出来るジヒドロキシナフタレン縮合物及びその製造方法の開発が求められていた。
【0037】
前述の様に、有機膜形成用組成物中にソフトパーティクルが含まれていると、有機膜形成用組成物の製造工程の生産性を低下させたり、半導体製造装置の歩留まりを低下させたりする場合があるため、ソフトパーティクルの発生を防止する必要がある。
【0038】
そこで本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、出発物質であるジヒドロキシナフタレン中に含まれるスルホン酸化合物の量を、元素成分中の硫黄元素の含有量として質量比で100ppm以下になるように精製してから縮合物を製造すれば、最先端の半導体装置製造用プロセス材料にとって必須である20nm以下の目開きのフィルターによる精密濾過精製が可能となることを見出して本発明を完成するに至った。
【0039】
すなわち、本発明は、ジヒドロキシナフタレン縮合物の製造方法であって、ジヒドロキシナフタレンとして、成分元素中の硫黄元素の含有量が、質量比で100ppm以下のものを用い、該ジヒドロキシナフタレンと縮合剤を酸又は塩基の存在下で縮合させて前記ジヒドロキシナフタレン縮合物を製造するジヒドロキシナフタレン縮合物の製造方法である。
【0040】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0041】
[ジヒドロキシナフタレン縮合物]
本発明のジヒドロキシナフタレン縮合物は、ジヒドロキシナフタレンと縮合剤の縮合物であり、前記ジヒドロキシナフタレン縮合物に含まれる成分元素中の硫黄元素の含有量が、質量比で100ppm以下のものである。
【0042】
(ジヒドロキシナフタレン)
本発明のヒドロキシナフタレン縮合物の原料は、下記一般式(1)で示されるジヒドロキシナフタレンである。
【化2】
(式中、n及びmは0≦m≦2、0≦n≦2、m+n=2を満たす整数である。)
【0043】
ここで、一般式(1)に挙げられるジヒドロキシナフタレンとしては、特に限定されないが、例えば1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン等を挙げることが出来、特に好ましいのは1,5−ジヒドロキシナフタレン又は2,7−ジヒドロキシナフタレンである。
【0044】
前述のように、ジヒドロキシナフタレン(1)は工業的には、下記の方法で製造するのが一般的である。即ち、出発物質のナフタレン(1−1)をスルホン化し、スルホン酸化合物(1−2)とした後、アルカリ溶融で水酸基に変換してジヒドロキシナフタレン(1)を得る。
【化3】
(式中、m、nは上述の通りである。)
【0045】
この時、アルカリ溶融によってスルホン酸化合物(1−2)が完全に消費されることがなく、元素成分中の硫黄元素の含有量として質量比で数100ppmから数1000ppm程度のスルホン酸化合物(1−2)が一般的な工業グレードのジヒドロキシナフタレン(1)中に残留している。以下の表1には、一般的な工業グレードのジヒドロキシナフタレンに含まれる硫黄元素の質量比での含有量を示す。
【0047】
なお、ジヒドロキシナフタレン(1)中の硫黄元素の定量方法としては、試料燃焼と滴定の組合せ法、試料燃焼とイオンクロマトグラフィーの組合せ法、及び誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES/OES)などが知られている。不純物が除去されたジヒドロキシナフタレン中の硫黄元素の定量方法としては、より高感度なICP−AES/OESが好ましい。
【0048】
本発明のジヒドロキシナフタレン縮合物は、成分元素中の硫黄元素の含有量が、質量比で100ppm以下のものである。用いられるジヒドロキシナフタレンの成分元素中の硫黄元素の含有量が、質量比で100ppm以下のものであれば、本発明のジヒドロキシナフタレン縮合物の硫黄元素を質量比で100ppm以下とすることができる。また、用いられるジヒドロキシナフタレンの硫黄元素は、質量比で50ppm以下であることが好ましい。
【0049】
数100ppmから数1000ppmのスルホン酸化合物(硫黄分)が含まれている一般的な工業グレードのジヒドロキシナフタレンからスルホン酸化合物を除去する方法としては、ジヒドロキシナフタレンを有機溶剤に溶解してアルカリ水溶液で洗浄分液する方法や、活性炭、シリカゲル、アルミナ等の吸着剤で吸着処理することでスルホン酸化合物を除去する方法等を挙げることが出来る。この中で、吸着剤で処理する方法が好ましく、中性アルミナでの吸着処理が特に好ましい。また、これらの吸着剤を混合使用してもよい。
【0050】
また、このとき用いる中性アルミナの粒度分布は、63μm〜250μmのものが80%以上、63μm未満のものが10%未満であることが好ましい。更に、吸着後の吸着剤の除去プロセスを容易にするために、60μm未満のものが5%未満であることがより好ましい。
【0051】
(縮合剤)
本発明のヒドロキシナフタレン縮合物の縮合剤としては、特に限定されないが、例えばホルムアルデヒド、トリオキサン、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、アダマンタンカルボアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−ニトロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒド、1−ナフチルアルデヒド、2−ナフチルアルデヒド、6−ヒドロキシ−2−ナフチルアルデヒド、アントラセンカルボアルデヒド、ピレンカルボアルデヒド、フルフラール、メチラール等を挙げることができる。また、好ましくは、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドを挙げることが出来る。
【0052】
ジヒドロキシナフタレンと縮合剤の比率は、ジヒドロキシナフタレン1モルに対して、縮合剤が0.01〜5.0モルであることが好ましく、より好ましくは0.05〜2.0モルである。
【0053】
本発明のジヒドロキシナフタレン縮合物のポリスチレン換算の分子量は、重量平均分子量(Mw)が500〜500,000であることが好ましく、1,000〜100,000であることがより好ましく、1,000〜10,000であることが更に好ましく、2,000〜6,000であることが特に好ましい。重量平均分子量がこのようなものであるジヒドロキシナフタレン縮合物を用いれば、塗膜性、硬化性、及びフロー性のより優れた組成物となる。また、分子量分散度は1.2〜20の範囲内であることが好ましい。
【0054】
本発明では、特に1,5−ジヒドロキシナフタレン又は2,7−ジヒドロキシナフタレンと、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、又はヒドロキシナフトアルデヒドの縮合物であるジヒドロキシナフタレン縮合物であることが好ましい。このようなジヒドロキシナフタレン縮合物であれば、最先端の半導体装置製造用プロセス材料にとって必須である20nm以下の目開きのフィルターによる精密濾過精製が確実に可能になるだけでなく、40nmより微細で高アスペクトなラインパターンにおけるドライエッチング後のラインの倒れやよれが発生しない有機下層膜を形成可能な材料となる。
【0055】
このような本発明のジヒドロキシナフタレン縮合物であれば、ソフトパーティクルの発生を抑制し、濾過性の良好な組成物に好適に用いることが出来る。また、パターンを形成した時にパターン曲がり耐性が高く、特には40nmより微細で高アスペクトなラインパターンにおけるドライエッチング後のラインの倒れやよれが発生しない有機下層膜を形成することが出来る。
【0056】
[ジヒドロキシナフタレン縮合物の製造方法]
また、本発明では、ジヒドロキシナフタレン縮合物の製造方法であって、ジヒドロキシナフタレンとして、成分元素中の硫黄元素の含有量が、質量比で100ppm以下のものを用い、該ジヒドロキシナフタレンと縮合剤を酸又は塩基の存在下で縮合させて前記ジヒドロキシナフタレン縮合物を製造するジヒドロキシナフタレン縮合物の製造方法を提供する。
【0057】
(ジヒドロキシナフタレン)
本発明のジヒドロキシナフタレン縮合物の製造方法に用いられるジヒドロキシナフタレンとしては、上記で説明した成分元素中の硫黄元素の含有量が質量比で100ppm以下のものを用いることが出来る。
【0058】
このような成分元素中の硫黄元素の含有量が質量比で100ppm以下のジヒドロキシナフタレンを得るための原料の精製方法としては、以下の方法が挙げられる。
【0059】
工業グレードのジヒドロキシナフタレンに含まれている不純物であるスルホン酸化合物を除去するため、中性アルミナで吸着処理を行うことが好ましい。中性アルミナで吸着処理を行う際、活性炭、酸性アルミナ、又は塩基性アルミナ等、中性アルミナ以外の吸着剤を混合使用してもよい。
【0060】
このとき用いる中性アルミナは、色相は、淡黄色から白色の細粒が好ましく、白色細粒のものがより好ましい。また、酸化アルミニウムの純度が好ましくは85%以上であり、94.0%以上であることがより好ましい。吸着剤部の強熱減量は8%以下が好ましく、5.5%以下であればより好ましい。吸着剤のかさ密度は8〜20ml/10gが好ましく、12〜16ml/10gがより好ましい。また、活性アルミナのpHは、6.5〜8.5が好ましく、7.0〜8.0のものがより好ましい。
【0061】
吸着剤として使用する中性アルミナの粒度分布は、前述のように、63μm〜250μmのものが80%以上、63μm未満のものが10%未満であることが好ましい。更に、吸着後の中性アルミナの除去プロセスを容易にするために、60μm未満のものが5%未満であることがより好ましい。
【0062】
また、中性アルミナを吸着剤として用いる方法としては、特に限定されないが、例えば、ジヒドロキシナフタレンを有機溶媒に溶解し、該溶液に吸着剤として中性アルミナを加え、撹拌し、中性アルミナを濾別する方法が好ましい。
【0063】
このとき、ジヒドロキシナフタレンを溶解させる有機溶媒としては、特に限定されないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、プロピレングリコールメチルエーテル、メチルセルソルブ、エチルセルソルブの様なアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノンの様なケトン類、酢酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、γブチロラクトンの様なエステル類、ペンタン、ヘキサンの脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレンの様な芳香族系炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサンの様なエーテル類等が挙げられる。
【0064】
中性アルミナの添加量としては、ジヒドロキシナフタレン100質量部に対して5質量部以上であることが好ましい。このような中性アルミナの添加量であれば、確実にジヒドロキシナフタレン中の硫黄分を除去することができる。上限は特に限定されないが、大量の使用は不経済であるので、100質量部も用いれば十分である。
【0065】
上記の方法において、中性アルミナを加えた後、溶液を撹拌する時の温度としては、0〜150℃であることが好ましい。また、撹拌時間としては、0.1時間以上であることが好ましい。撹拌時間の上限は特に限定されないが、20時間も行えば十分である。
【0066】
(縮合剤)
また、本発明のジヒドロキシナフタレン縮合物の製造方法に用いられる縮合物としては、上記で説明したものと同様のものを用いることが出来る。
【0067】
(縮合反応方法)
上記のような原料を使用する重縮合反応は、通常、無溶媒又は溶媒中で酸又は塩基を触媒として用いて、室温又は必要に応じて冷却又は加熱下に行うことが出来る。
【0068】
用いられる溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセロール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、塩化メチレン、クロロフォルム、ジクロロエタン、トリクロロエチレン等の塩素系溶剤類、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル類、アセトン、エチルメチルケトン、イソブチルメチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどのエステル類、γ−ブチロラクトンなどのラクトン類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒類が例示でき、これらを単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。これらの溶媒は、反応原料100質量部に対して0〜2,000質量部の範囲で使用できる。
【0069】
用いられる酸触媒としては、特に限定されないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ヘテロポリ酸等の無機酸類、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機酸類、三塩化アルミニウム、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、四塩化錫、四臭化錫、二塩化ジブチル錫、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫オキシド、四塩化チタン、四臭化チタン、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、酸化チタン(IV)等のルイス酸類を挙げることができ、中でもp−トルエンスルホン酸が好ましい。
【0070】
用いられる塩基触媒としては、特に限定されないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の無機塩基類、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、塩化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム等のアルキル金属類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルコキシド類、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基類を挙げることができる。
【0071】
上記触媒の使用量は、原料に対して0.001〜100重量%であることが好ましく、より好ましくは0.005〜50重量%の範囲である。反応温度は−50℃から溶媒の沸点程度が好ましく、室温から100℃がより好ましい。
【0072】
重縮合反応方法としては、ジヒドロキシナフタレン、縮合剤、及び触媒を一括で仕込む方法、触媒とジヒドロキシナフタレンの混合溶液に縮合剤を滴下していく方法、ジヒドロキシナフタレンと縮合剤の混合物に触媒を滴下していく方法等がある。
【0073】
重縮合反応終了後、縮合物を分別する方法としては、系内に存在する未反応原料、触媒等を除去するために、適切な溶媒や水を加えて、縮合物を分画する方法、縮合物を良溶媒に溶解後、貧溶媒中で再沈する方法等が挙げられ、これらの方法を得られた反応生成物の性質により使い分けることができる。
【0074】
このような本発明のジヒドロキシナフタレン縮合物の製造方法であれば、ソフトパーティクルの発生を抑制し、濾過性の良好な組成物に好適に用いることが出来るジヒドロキシナフタレン縮合物を製造することが出来る。また、パターンを形成した時にパターン曲がり耐性が高く、特には40nmより微細で高アスペクトなラインパターンにおけるドライエッチング後のラインの倒れやよれが発生しない有機下層膜に好適に用いることが出来るジヒドロキシナフタレン縮合物を製造することが出来る。
【実施例】
【0075】
以下、合成例、比較合成例、実施例、比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。なお、分子量として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を求め、それらから分散度(Mw/Mn)を導いた。
【0076】
(合成例1)
市販の1,5−ジヒドロキシナフタレン(以下15DHN、硫黄元素含有量400ppm、ICP−OESで測定)72.2gをプロピレングリコールメチルエーテル(以下PGME)127.6g、メチルイソブチルケトン(以下MIBK)353.6gの混合溶媒下にて溶解した。そこに、中性アルミナ(富田製薬製 トミタ―AD−250NS 粒径60〜250μm pH7.5)57.2gを加え、室温で12時間撹拌した後、中性アルミナを濾別し、得られた15DHNのPGME/MIBK溶液をイオン交換水にて水洗し、PGMEを追加、濃縮し500gの13wt%15DHN−PGME溶液を得た。この15DHN溶液の固形分当りの硫黄元素含有量をICP−OESで測定したところ45ppmであった。
【0077】
次に、1000mlのフラスコに13wt%15DHN−PGME溶液を500g(0.5モル)、パラトルエンスルホン酸2.8g、及びPGME2.8gを混合し、80℃で撹拌しながら50wt%ホルムアルデヒド水溶液14.3gを添加した。温度を80℃に維持したまま6時間撹拌後、室温に冷却した(モノマー転化率 77%)。得られた溶液を減圧濃縮した後、ヘキサン540gを加え、ポリマー分を分離沈殿させた。上部濾液を濾別、除去後、本操作を繰り返し、残留モノマーを5%以下とした。残留したポリマー分をMIBK200gに再溶解し、イオン交換水200gを加えて、金属イオン分の除去を実施した。金属イオン分が除去されたMIBK溶液に、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)300gを加え、減圧濃縮して約20wt%の下記式のようなポリマー1のPGMEA溶液を得た。得られたポリマーのポリスチレン換算の分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定、硫黄元素含有量をICP−OES測定したところ、分子量(Mw)3,500、分散度(Mw/Mn)=2.01、固形分当りの硫黄元素含有量は45ppmであった。
【化4】
(式中、nは隣の繰り返し単位の数を示し、2〜100である。)
【0078】
(比較合成例1)
市販の15DHNを中性アルミナで処理せずに重合反応に使用した以外は合成例1と同様の反応で比較ポリマー1を得た。得られた比較ポリマー1のポリスチレン換算の分子量(Mw)、分散度(Mw/Mn)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定、硫黄元素含有量をICP−OES測定したところ、分子量(Mw)3,600、分散度(Mw/Mn)=2.03、硫黄元素含有量は435ppmであった。
【0079】
[ICP−OESによる硫黄元素含有量測定方法]
(前処理:マイクロウエーブ分解法)
本サンプルのICP−OES用の前処理は、マイクロウエーブ試料分解装置(MULTIWAVE3000 Anton Paar社製)にて実施した。サンプル0.5g及び69.0%硝酸(Ultrapur−100 関東化学製)10mlをPTFE(polytetrafluoroethylene)製分解容器に入れて1時間静置した後、85分間本装置にてマイクロウエーブ分解を実施した。分解後、溶液をTPX製保存容器に移液し、全量が50gになる様に蒸留水にて希釈し、100倍希釈サンプルを作製した。
【0080】
(ICP−OES測定)
ICP−OESによる硫黄元素含有量の分析は、CID/ICP発光分析装置(iCAP6000DUO Thermo Fisher SCIENTIFIC社製)にて実施した。前述の前処理された100倍希釈サンプルを以下設定条件にて測定を行った。
【0081】
(ICP−OES設定条件)
高周波出力:1150W
プラズマガス流量:12.0L/min
補助ガス流量:0.5L/min
ネブライザーガス流量:0.5L/min
ペリスタリックポンプ回転数:50rpm
測定方向:アキシャル
分析積分時間(低波長/高波長):10秒/10秒
分析積分回数:3回
試料置換時間:30秒
【0082】
[ポリマー(縮合物)の濾過検討1]
合成例1で得られたポリマー1(中性アルミナ処理品)、比較合成例1で得られた比較ポリマー1(中性アルミナ未処理品)の20質量%PGMEA溶液を調製し、0.1μmの目開きを持つ10インチ(250mm)PTFE製フィルターにて濾過を実施したところ、濾過時間と通液重量の関係は
図1のようになり、比較ポリマー1の濾過性が著しく悪いのに対し、ポリマー1の濾過性が良好なことが確認された。
【0083】
また、比較ポリマー1の濾過不良をおこしたフィルター上をSEMで観察したところ、
図2のように、フィルター上に粘稠物10(ソフトパーティクル)の成分が付着していることが確認された。
【0084】
比較ポリマー1においては、下記で示されるようなスルホン酸不純物がポリマー中に組み込まれることにより、濾過性を悪化させるフィルター付着物を生成しているものと推測される。
【化5】
(式中、x、y、zは繰り返し単位の数を示す。x+y+zは2〜100である。)
【0085】
[ポリマー(縮合物)の濾過検討2]
合成例1で得られたポリマー1(中性アルミナ処理品)、比較合成例1で得られた比較ポリマー1(中性アルミナ未処理品)の20質量%PGMEA溶液を調整し、20nmの目開きを持つナイロン製フィルターで濾過を実施したところ、ポリマー1では濾過圧力が50kPaで濾過することが出来たが、比較ポリマー1ではフィルターが閉塞し、圧力を500kPaに上げても、濾液を得ることが出来なかった。
【0086】
以上のように、硫黄元素の含有量が質量比で100ppm以下としたジヒドロキシナフタレンを用いた合成例1であれば、濾過性が良好であったが、比較合成例1のように硫黄分を除去していないジヒドロキシナフタレンを用いたポリマーは、濾過性が悪かった。
【0087】
[有機下層膜形成用組成物(ジヒドロキシナフタレン組成物)の調製]
ポリマー1、比較ポリマー1、各種添加剤を下記の表2に示されている組成(()内の単位はkg)で調整し、有機下層膜形成用組成物の製造設備を用いて、10インチサイズで20nmの目開きを持つナイロン製フィルターで濾過することによって有機下層膜形成用組成物(SOL−1、2、比較SOL−1、2)を製造した。
【0088】
【表2】
【0089】
使用した架橋剤CL1、酸発生剤AG1、界面活性剤SF1は、以下の通りである。
【化6】
SF1:スリーエム社製FC−4430
【0090】
フィルターで濾過した時の流速、フィルター前後での圧力差を表3に示す。
【0091】
【表3】
【0092】
得られた有機下層膜形成用組成物を東京エレクトロン社製クリーントラックACT12に接続し、接続配管にフィルターを接続しないで12インチ(直径300mm)シリコンウエハーに塗布、250℃、60秒ベークして塗布膜を作製し、その塗布膜の欠陥をケーエルエーテンコール社製暗視野欠陥検査装置SP5で60nm以上の大きさの欠陥検査を実施した(実施例1〜4、比較例1〜4)。その結果を表4に示す。
【0093】
【表4】
【0094】
これらの結果から、実施例1〜4のように、ジヒドロキシナフタレン縮合物中に含まれている硫黄元素の含有量が質量比で100ppm以下のものを使用すると、得られた組成物によって作製された塗布膜中の欠陥が少ないことが判った。また、比較例1〜4のように、ジヒドロキシナフタレン縮合物中に含まれている硫黄元素の含有量が質量比で100ppmを超えているものを使用すると、組成物を濾過精製している時のフィルター前後の差圧が上昇し、それにより組成物中の異物がフィルターで捕捉されにくくなり、得られた組成物によって作製された塗布膜中の検査をすると、塗布膜中の欠陥が多いことが判った。
【0095】
以上のことから、本発明のジヒドロキシナフタレン縮合物であれば、硫黄分に由来するソフトパーティクルの発生を抑制し、濾過性の良好な組成物に好適に用いることが出来ることが明らかになった。
【0096】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。