(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
前述したように、ウェハに反りがあると不具合が生じる。
そこで、本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、ウェハの裏面全面を粗面化処理可能に構成された粗面化処理装置による上記粗面化処理と、当該粗面化処理に対するウェハの反りの変化との間に相関を見出したため、上記粗面化処理装置を用いてウェハの反りを修正することに想到した。
【0017】
まず、本実施の形態にかかるウェハの反り修正方法に用いられる粗面化処理装置(つまりは反り修正装置)の構成について説明する。
図1及び
図2はそれぞれ、粗面化処理装置(反り修正装置)100の構成の概略を示す平面図及び縦断面図である。
【0018】
本実施形態の粗面化処理装置100で処理対象とするウェハは、例えば、裏面の少なくとも最表面がシリコン層で形成されている円形状のウェハである。裏面の最表面がシリコン層で形成されているウェハは、裏面の最表面が窒化シリコン層や酸化シリコン層などシリコン層より固い層で形成されているウェハに比べて、粗面化処理量に対するウェハの反り量の変化が大きい。
【0019】
粗面化処理装置100は、ウェハWの裏面に砥石を摺動させて、言い換えると、ウェハWの裏面を砥石により研磨して、上記裏面を粗面化する。
なお、この粗面化処理装置100は、上記の粗面化が行われた領域に対して、洗浄液を供給すると共にブラシによって擦り、粗面化処理によって発生した異物を除去する洗浄処理を行うこともできる。
【0020】
粗面化処理装置100は、ベース体110と、スピンチャック120と、カップ130と、粗面化・洗浄処理部150と、洗浄部170と、洗浄液として純水を供給する各種ノズルと、を備えている。
【0021】
ベース体110は平面視長方形状に形成されており、粗面化処理装置100の外部に設けられる図示しない搬送機構によって、ベース体110の前方側(図のX方向負側)からウェハWが粗面化処理装置100に搬送される。ベース体110は、前後方向(図のX方向)を長手方向とする角型の凹部111を備えている。この凹部111の前方側(図のX方向負側)に、スピンチャック120が設けられている。
【0022】
スピンチャック120は、ウェハWの裏面の中央部を吸着して、ウェハWを水平に保持する。スピンチャック120の下方側はシャフト121を介して回転機構122に接続されており、回転機構122はスピンチャック120に保持されたウェハWが鉛直軸回りに回転するように、当該スピンチャック120を回転させる。
スピンチャック120の周囲には、垂直な3本の支持ピン123が配設されている。支持ピン123は昇降機構124によって昇降自在に構成されており、上記の搬送機構と、「第2の保持部」であるスピンチャック120及び後述する「第1の保持部」である固定チャック135との間でウェハWを受け渡すことができる。
【0023】
また、スピンチャック120、回転機構122、支持ピン123及び昇降機構124を囲むように、ベース体110の底部から上方に向かって伸びる円筒状のエアナイフ125が設けられている。エアナイフ125の上端面は、内方へ向かって傾斜する傾斜面で形成されている。当該傾斜面には上方へ向けて例えばエアを吐出する吐出口126が設けられている。スピンチャック120にウェハWの裏面が吸着保持されるときにエアナイフ125の上端はウェハWの裏面に近接し、吐出口126からエアが吐出されることで、ウェハWの裏面中央部に洗浄液が付着することを防ぐ。また、吐出口126からエアが吐出されることで、ウェハWの裏面中央部を乾燥させることができる。
【0024】
さらに、ベース体110の凹部111の底部には、ウェハWから凹部111内に落下した廃液を排出するための排液口127が設けられている。排液口127よりもエアナイフ125寄りの位置には、凹部111内を排気する排気管128が設けられている。ウェハWの処理中は当該排気管128からの排気が行われることにより、ウェハWから飛散した洗浄液や粗面化処理時に発生したウェハWの削り屑が、凹部111の外側に飛散することが抑制される。
また、排気管128の開口部分を覆うフランジ129がエアナイフ125に設けられている。このフランジ129により、廃液が排気管128に流入することが抑制される。
【0025】
カップ130は、処理中にウェハWを囲み、ウェハWから廃液が飛散することを抑制する。このカップ130は、エアナイフ125を囲むように、上端部が内方へと突出した円筒形状に形成されている。カップ130の左右(図のY方向の両端)の外壁からは各々支持部131が、凹部111の外縁上へ向けて伸び出しており、ベース体110に設けられる水平移動機構132に接続されている。水平移動機構132によりカップ130は凹部111内を前後方向に移動することができる。また、水平移動機構132の下方には昇降機構133が設けられており、昇降機構133によって水平移動機構32すなわちカップ130は昇降することができる。
【0026】
カップ130には、スピンチャック120を左右(図のY方向の両側)から挟むと共に前後方向(図のX方向)に延伸された2つの橋部134が設けられている。橋部134には固定チャック135が設けられている。この固定チャック135は、ウェハWの裏面の中央部の外側領域を吸着して、ウェハWを水平に保持する。固定チャック135は、ウェハWの裏面中央部等を処理するときに用いられる。なお、スピンチャック120は、ウェハWの裏面の中央部より外側の領域等を処理するときに用いられる。
【0027】
また、カップ130の前方側(図のX方向負側)には周端部洗浄ノズル136が設けられ、後方側(図のX方向正側)には裏面洗浄ノズル137が設けられている。周端部洗浄ノズル136は、ウェハWがスピンチャック120に保持されているときにウェハWの裏面の周端部に向けて純水を吐出する。裏面洗浄ノズル137は、ウェハWが固定チャック135に保持されているときにウェハWの裏面の中央部に向けて純水を吐出し、ウェハWがスピンチャック120に保持されているときにウェハWの裏面の中央部より外側の領域に純水を吐出する。
【0028】
カップ130の水平移動機構132の左側(図のY方向負側)には、昇降機構138を前後方向(図のX方向)に移動する移動機構139が設けられている。
昇降機構138には、当該昇降機構138により昇降自在なアーム140が右側(図のY方向正側)に延びるように設けられている。アーム140の先端には、スピンチャック120に保持されたウェハWの表面の中心部に純水を吐出する表面洗浄ノズル141が設けられている。
また、表面洗浄ノズル141の待機部142が、ベース体110における凹部111より後方側(図のX方向正側)に設けられている。
【0029】
続いて、粗面化・洗浄処理部150について説明する。粗面化・洗浄処理部150は、水平移動機構151、回転機構152、昇降機構153、154、粗面化機構155及び洗浄機構156により構成されている。水平移動機構151は、凹部111内を前後方向(図のX方向)に伸びるように設けられている。回転機構152は、水平移動機構151によって、凹部111内の後端部(図のX方向正側端部)からエアナイフ125の手前に至るまで、前後方向(図のX方向)に移動することができる。
【0030】
また、回転機構152の上部側は、水平な円形のステージとして構成され、このステージはその鉛直な中心軸回りに回転することができる。この回転機構152のステージ上には、周方向に間隔を空けて昇降機構153、154が設けられている。昇降機構153上には粗面化機構155が、当該昇降機構153によって昇降自在に設けられ、昇降機構154上には洗浄機構156が、当該昇降機構154によって昇降自在に設けられている。この昇降機構153、154による昇降、水平移動機構151による水平移動及び回転機構152による回転の協働によって、粗面化機構155及び洗浄機構156はカップ130の内側とカップ130の外側との間を移動することができる。この水平移動機構151、上記のカップ130が接続される水平移動機構132及びスピンチャック120を回転させる回転機構122は、本発明にかかる「相対移動機構」を構成する。
【0031】
図3は、粗面化機構155の構成の概略を示す縦断面図である。
粗面化機構155は
図3に示すように砥石157、支持板158、公転板159及び公転機構である駆動ユニット160を備えている。支持板158は水平な円板であり、例えばその周縁部上に上記の砥石157が当該支持板158の周方向に沿って6つ、等間隔に配置されている(
図1参照)。なお、支持板158に砥石157が設けられたものが「摺動部材」に相当する。砥石157は例えば粒度(番手)が60000番のダイヤモンド砥石であり、水平な円板状に形成され、ウェハWの裏面を擦過することで当該ウェハWの裏面を粗面化する。また、支持板158の裏面の中心部には垂直な第1の自転用シャフト601が設けられている。
【0032】
さらに、公転板159は、水平な円板であり、支持板158の下方に設けられている。この公転板159は、支持部602が設けられており、該支持部602により第1の自転用シャフト601を当該公転板159上に支持する。支持部602は、第1の自転用シャフト601を、垂直軸P1まわりに回転自在に支持するための軸受け603を備えている。また、第1の自転用シャフト601には、垂直軸P1を回転軸として回転するギア604が設けられている。
【0033】
公転板159の下方に駆動ユニット160を構成するボックス605が設けられている。公転板159の中心部からは、ボックス605内に向けて垂直な公転用円筒606が伸び出し、公転板159はベアリング607によってボックス605に対して、垂直軸P2まわりに回転可能に支持されている。公転用円筒606の下端部はボックス605内に位置し、垂直軸P2を回転軸として回転するギア608として構成されている。
【0034】
また、上記の公転用円筒606を貫通する垂直な第2の自転用シャフト609が設けられている。第2の自転用シャフト609の上端部はギア610として構成され、第1の自転用シャフト601のギア604と噛合している。第2の自転用シャフト609の下端部はギア611として構成されている。これら第2の自転用シャフト609、ギア610、611は垂直軸P2を回転軸として回転する。また、公転用円筒606には、第2の自転用シャフト609を当該公転用円筒606に対して回転可能に支持する軸受け612が設けられている。
【0035】
ボックス605内には駆動ユニット160を構成する自転用モーター161及び公転用モーター162が設けられており、自転用モーター161に設けられるギア613に自転用シャフト609のギア611が、公転用モーター162に設けられるギア614に公転用円筒606に設けられるギア608が夫々噛合している。このような構成により、自転用モーター161によって支持板158が、公転用モーター162によって公転板159が互いに独立して回転する。したがって、支持板158は垂直軸P1回りに自転すると共に垂直軸P2回りに公転することができるので、垂直軸P1を自転軸、垂直軸P2を公転軸として夫々記載する場合がある。
【0036】
図4は粗面化機構155の上面図である。この図に示すように、支持板158の直径R1は、支持板158の公転半径R2よりも大きい。ウェハWの裏面の粗面化処理は、例えば、砥石157がウェハWの裏面に接しながら、支持板158が自転軸P1回りに自転すると共に繰り返し公転軸P2回りに公転することで、当該砥石157がウェハWの裏面に対して摺動して行われる。
ウェハWの裏面の中央部の粗面化処理は、ウェハWを固定チャック135により静止した状態で保持し、上述のように、支持板158を自転及び公転させることで行うことができる。
また、ウェハWの裏面の中央部以外の粗面化処理は、例えば、ウェハWをスピンチャック120により回転させながら保持し、上述のように、支持板158を自転及び公転させることで行うことができる。
なお、ウェハWの裏面の粗面化処理の際に、必ずしも、支持板158の自転と公転の両方を行う必要はなく、自転のみまたは公転のみが行われることもある。
【0037】
上記のようにR1、R2が設定されることで支持板158の公転軌道の外縁よりも内側における全ての領域を砥石157が通過するため、ウェハWが静止していても支持板158の公転軌道をウェハWの裏面の中央部に重なるように配置することで、当該裏面の中央部全体の粗面化処理を行うことができる。
【0038】
洗浄機構156は、粗面化機構155の構成と略同一であり、支持板158に砥石157の代わりに円形のブラシ163が設けられている点で異なる。ブラシ163はウェハWの裏面を擦過することで、粗面化処理によって発生し、ウェハWの裏面に付着したパーティクルを除去する。
【0039】
図1及び
図2の説明に戻る。
洗浄部170は、ベース体110の凹部111内の後方側(図のX方向正側)に設けられており、砥石洗浄部171及びブラシ洗浄部172を有する。砥石洗浄部171は、例えばダイヤモンドから構成される不図示のドレッサが設けられており、砥石157のドレッシングを行い、砥石157に詰まった削りかすを除去すると共に砥石157の目出しを行う。ブラシ洗浄部172は、ブラシ163の洗浄を行う。
【0040】
また、粗面化処理装置100は、不図示の純水供給源を有しており、該純水供給源から、周端部洗浄ノズル136、裏面洗浄ノズル137、表面洗浄ノズル141等に夫々独立して純水を供給することができるように構成されている。
【0041】
さらに、粗面化処理装置100は、当該粗面化処理装置100の制御を行う制御部180を有している。
制御部180は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、粗面化処理装置100の各部の動作を制御して、粗面化処理装置100によるウェハWの処理を制御するプログラムが格納されている。上記ブログラムは、例えば、粗面化処理装置100の支持板158及び砥石157からなる摺動部材に関する駆動機構(水平移動機構151、回転機構152、昇降機構15、水平移動機構、回転機構122)を、ウェハWの反り状態を示す情報に基づいて制御し、ウェハWの反りを修正する処理を制御するプログラムを含む。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部180にインストールされたものであってもよい。
【0042】
上述の粗面化処理装置100では、支持板158及び砥石157が自転しながら公転したり、ウェハWが回転されている状態で支持板158及び砥石157が自転したり公転したりする。つまり、粗面化処理装置100による粗面化処理では砥石157によりウェハWの裏面があらゆる方向から擦過されるため、ウェハWの裏面には無数の微小な針状の突起が形成される。上記粗面化処理により形成される微小な針状の突起の先端から基端までの高さは、例えば50nm以下である。
【0043】
上述のような粗面化処理装置100は、ウェハWの裏面全面に上記微小な針状突起を形成し、当該裏面を均等に粗面化するためのものであるが、本実施形態に係るウェハWの反り修正方法では、この粗面化処理装置100を用いて、上記微小な針状突起をウェハWの裏面の一部に形成し、当該一部を粗面化することがある。
【0044】
前述したように、本発明者は、ウェハWの裏面全面を粗面化可能に構成された粗面化処理装置100のような装置による粗面化処理と、当該粗面化処理に対するウェハの反りの変化との間に相関を見出したため、上記粗面化処理装置100で粗面化処理を行うことによりウェハWの反りを修正することに想到した。
【0045】
図5は、粗面化処理時の粗面化圧(研磨圧)すなわち砥石157をウェハWに押し付ける圧力と、粗面化処理に対するウェハWの反りの変化との間に相関があることを示す図である。
本発明者は、中心粗面化処理及び外周粗面化処理を、両処理時の粗面化圧をウェハW毎に異ならせて、複数の平坦なウェハWに行い、また、両処理前のウェハW上の各領域におけるウェハWの反りと、両処理後のウェハW上の各領域におけるウェハWの反りとを測定した。なお、用いたウェハWの直径は300mmである。
図4には、中心粗面化処理時及び外周粗面化処理時の粗面化圧と、両処理によるウェハWの反りの変化量との関係が示されている。
【0046】
図5の横軸は、中心粗面化処理時及び外周粗面化処理時で共通の粗面化圧を示し、縦軸は、両処理によるウェハWの反りの変化量であって各ウェハW内で最大のものを示す。なお、上記両処理によるウェハWの反りの変化量が大きいものほど、ウェハWの裏面側への反りがより大きくなったことを示す。
【0047】
なお、本明細書において、「中心粗面化処理」とは、公転軸P2をウェハWの中心と一致させると共にウェハWを固定チャック135により吸着保持した状態で静止させ、砥石157をウェハWの裏面に接触させ、当該砥石157を支持する支持板158を自転軸P1周りに自転させると共に公転軸P2周りに公転させ、ウェハWの裏面に砥石157を摺動させることで行う処理をいう。
また、本明細書において、「外周粗面化処理」とは、中心粗面化処理で処理される領域より外側の領域を少なくとも含むウェハWの裏面における領域を処理対象とするものであり、ウェハWをスピンチャック120により回転させながら吸着保持し、砥石157をウェハWの裏面に接触させながら、支持板158を自転させずに公転させることで行う処理をいう。
さらに、本明細書において、「平坦なウェハW」とは、ウェハWの反りが当該ウェハWの全面において±10μmの範囲に収まっていることをいう。
【0048】
なお、
図5の相関を得たときの、粗面化圧以外の各処理条件は以下の通りである。中心粗面化処理時の支持板158の自転回転速度、公転回転速度はそれぞれ、1rpm、200rpmであり、外周粗面化処理時の支持板158の公転回転速度、ウェハ回転速度はそれぞれ、1、600rpmであった。
【0049】
粗面化処理時の粗面化圧をウェハW毎に異ならせた場合、図示は省略するが、全てのウェハWにおいて、粗面化処理後のウェハWの形状は、ウェハWの裏面側に凹む凹形状となっており、粗面化処理によるウェハWの反りの変化量が最も大きい領域はウェハWの中心付近であった。
また、
図5に示すように、粗面化処理時の粗面化圧と、粗面化処理によるウェハWの反りの最大変化量との間には、上記粗面化圧が大きくなると上記最大変化量が増加する相関関係にある。
このことから、粗面化処理装置100を用いた粗面化処理時の粗面化圧と、裏面側に凹む方向へのウェハWの反りの変化量に相関があることは明らかである。
なお、粗面化圧の制御は昇降機構153を介して行うことができる。
【0050】
図6は、ウェハWの中央領域を粗面化処理した場合の、ウェハWの反りの変化量を示す図であり、
図7は、ウェハWの外周領域を粗面化処理した場合のウェハWの反りの変化量を示す図である。
なお、
図6及び
図7の結果を得るために、直径が300mmのウェハWを用いた。また、
図6の結果を得る際の粗面化処理領域は、ウェハWの中心から50mmの円形領域であり、
図7の粗面化処理領域は、ウェハWの中心から100mmの部分とウェハWの外周端部とで囲まれる円環状領域であった。
図6及び
図7の縦軸は、粗面化処理によるウェハWの反りの変化量を示し、ウェハWが裏面側に凹む方向に反り量が変化したときは値が負となる。また、
図6及び
図7の横軸は、上記変化量がそれぞれ測定された部分の位置を示し、ウェハの中心を基準点としている。
【0051】
図6及び
図7に示すように、粗面化処理を行った領域は、
図6におけるウェハWの中心から120mm以上離れた領域を除いて、粗面化処理を行うことにより、ウェハWの裏面側に凹む。
このことから、粗面化処理が行われた領域は、当該領域のウェハW内での位置によらず、言い換えると、ウェハWの中心領域であるか、ウェハWの周縁領域であるかによらず、ウェハWの裏面側に凹むことが分かる。
【0052】
このように凹むことと、上述のように、粗面化処理装置100を用いた粗面化処理時の粗面化圧と、粗面化処理による裏面側に凹む方向へのウェハWの反りの変化量に相関があることから、本実施形態にかかる、粗面化処理装置100を用いたウェハWの反り修正方法では以下のようにウェハWの処理を行う。
【0053】
(第1実施形態)
図8は、本実施形態のウェハ処理の対象となるウェハWの説明図である。縦軸は粗面化処理前のウェハWの各領域における当該領域の基準面からの距離すなわち反り量を示し、ウェハWが基準面より表面側に位置する領域では当該領域の値は正となる。また、図の横軸は、上記領域それぞれの位置を示し、ウェハWの中心を基準点としている。
【0054】
処理対象のウェハWが、
図8に示すように、断面視逆U字状でありその中心が表面側に最も突出した形状を有するウェハWであると判明している場合、本実施形態に係る反り修正方法では、例えば以下のようなウェハWの処理を行う。
【0055】
(反り量取得)
粗面化処理装置100の制御部180は、例えば、不図示の記憶部に予め記憶された処理対象のウェハWにかかる反り量の情報を抽出し取得する。当該反り量は、例えば、処理対象のウェハWにかかる最も表面側に突出した部分の反り量であり、また、処理対象のウェハWにかかる表面側に突出した部分の反り量の平均値であってもよい。なお、本例では、反り量の情報は予め記憶されているものとしたが、粗面化処理装置100の内部または外部において距離センサ等を用いてウェハWの反り量を実際に計測し、計測した結果を用いるようにしてもよい。
【0056】
(粗面化圧決定)
制御部180は、取得した上記反り量の情報に基づいて、ウェハWの粗面化処理時の粗面化圧を決定する。粗面化圧の決定方法としては、例えば、反り量を変数とした粗面化圧の計算式を用いて、上記取得した反り量の情報に基づいて、粗面化圧を算出し、該算出された粗面化圧を、粗面化処理時の粗面化圧に決定する方法がある。また、上記決定方法の他の例としては、反り量と粗面化圧との対応テーブルを不図示の記憶部に記憶しておき、該対応テーブルを用いて決定する方法がある。
なお、上述の反り量取得工程及び粗面化圧決定工程は、後述のウェハ搬送工程の前に行われるようにしてもよいし、後に行われるようにしてもよいし、並行して行われるようにしてもよい。
【0057】
(ウェハ搬入)
粗面化機構155が、例えばベース体110の凹部111内における後方側の待機位置(
図1に示す位置)に位置すると共に、カップ130が、その中心がスピンチャック120の中心に重なる基準位置(
図1に示す位置)に位置する状態で、粗面化処理装置100の外部の搬送機構により、ウェハWが粗面化処理装置100に搬送される。ウェハWの中心部がスピンチャック120の上方に位置すると、支持ピン123を上昇させてウェハWを支持する。そして、スピンチャック120よりも高い位置に固定チャック135が位置するようにカップ130を上昇させた後、支持ピン123を下降させて、固定チャック135に当該ウェハWを受け渡し、ウェハWの裏面の周縁領域を、当該固定チャック135に吸着保持させる。続いて、ウェハWの中央部がエアナイフ125よりも後方に位置するように、カップ130を後方へ移動させる。
【0058】
(粗面化)
次に、粗面化機構155を前進させ、カップ130の内側へと移動させる。そして、粗面化機構155を上昇させ、粗面化機構155の公転軸P2がウェハWの中心と重なる状態で且つ粗面化圧決定工程で決定された圧力で、砥石157をウェハWの裏面に押し当て、その後、当該粗面化機構155の支持板158を自転及び公転させ、砥石157によってウェハWの中央部を粗面化処理する。支持板158の自転及び公転によって、ウェハWの裏面の中央部内における各部においては、互いに異なる方向から繰り返し砥石157による擦過を受けて溝が形成される。
【0059】
(ウェハ搬出)
上記粗面化処理後、粗面化機構155の支持板158の自転及び公転を停止させ、粗面化機構155を下降させて、砥石157をウェハWの裏面から離す。そして、粗面化機構155を待機位置へと後退させる。
その後、支持ピン123を上昇させてウェハWを固定チャック135から突き上げ、前述の搬送機構に受け渡し、粗面化処理装置100から搬出させる。
【0060】
なお、粗面化工程とウェハ搬出工程との間に、ウェハWの中央部の洗浄機構156による洗浄を行うことが好ましい。
【0061】
本実施形態によれば、粗面化処理装置100を用いてウェハWの裏面の中央部に対して粗面化処理を行い、上記中央部に溝を形成することで、ウェハWの反りを修正しており、ウェハWの表面に対する処理が必要ない。そのため、ウェハWの表面に影響を与えることなく、ウェハWの反りを修正することができる。
【0062】
また、本実施形態によれば、粗面化処理時の粗面化圧と、粗面化処理による裏面側に凹む方向へのウェハWの反りの変化量とに相関があるという知見に基づいて、ウェハWの表面側への反り量に応じた粗面化圧で粗面化処理を行っているため、ウェハWを適切に平坦化することができる。
【0063】
特許文献1のウェハWの反りの修正方法では、数十μmの反りがあるウェハWを平坦とするためには、ウェハWを数十μm単位で除去しなければならない。それに対し、本実施形態では、50nm以下の微小な突起を形成すること、すなわち、数十nm単位でウェハWの裏面を削ることで、数十μmの反りがあるウェハWを平坦にすることができる。したがって、本実施形態によれば、ウェハWの強度を保ったまま、ウェハWの反りを修正することができる。
【0064】
(第2実施形態)
図9及び
図10は、ウェハWの他の例を示す図であり、
図9はウェハWの平面図であり、ウェハW内の各領域における基準面からの距離を濃淡で示しており、基準面より表面側への突出量が大きいほど濃色で示している。
図10は、
図9の実線L部分の、ウェハWの各領域における当該領域の基準面からの距離と、当該領域の位置との関係を示す図である。
【0065】
図9及び
図10に示すウェハWは、表面側への突出した形状を有し、表面側への突出量が大きい領域が、ウェハWの中央部分ではなく、具体的には、点線で囲われた領域Aである。
第1実施形態のウェハ処理は、処理対象のウェハWが、
図8に示すように、その中心が表面側に最も突出している場合、言い換えると、表面側への突出量が大きい領域がウェハWの中央部分である場合に行われるものである。処理対象のウェハWが、
図9及び
図10に示すように、表面側への突出する形状を有し、表面側への突出量が大きい領域がウェハWの中央部分ではなくウェハWの周縁部である場合は、以下のようなウェハ処理を行う。
【0066】
(反り分布取得)
本実施形態のウェハ処理では、粗面化処理装置100の制御部180は、例えば、処理対象のウェハW内におけるウェハWの反りの分布の情報、言い換えると、処理対象のウェハWの各領域における当該領域の基準面からの情報を取得する。上記ウェハWの反りの分布の情報は、予め不図示の記憶部に記憶されていたものを制御部180が抽出して取得してもよいし、粗面化処理装置100の内部または外部において距離センサ等を用いてウェハWの反り量を実際に計測し、計測した結果に基づいて制御部180が作成し取得してもよい。上記計測した結果に基づいて粗面化処理装置100の外部で作成された上記分布の情報を制御部180が当該外部から取得するようにしてもよい。
【0067】
(粗面化処理領域決定)
制御部180は、取得したウェハWの反りの分布の情報に基づいて、粗面化処理を行うウェハWの裏面内の領域(以下、粗面化処理領域という)を決定する。例えば、ウェハW内において表面側への突出する形状を有すると共に最も突出量が大きく該突出量が所定値以上である領域を粗面化処理領域に決定する。以下では、
図9の領域Aが粗面化処理領域に決定されたものとして説明する。
【0068】
(反り量取得)
次に制御部180は、粗面化処理領域のウェハWの反り量の情報を取得する。当該反り量は、例えば、粗面化処理領域において最も表面側に突出した部分の反り量であり、また、粗面化処理領域におけるウェハWの反り量の平均値であってもよい。なお、反り量の情報は予め記憶されていてもよいし、粗面化処理装置100の内部または外部において距離センサ等を用いてウェハWの反り量を実際に計測し、計測した結果を用いるようにしてもよい。
【0069】
(粗面化圧決定)
制御部180は、取得した上記反り量の情報に基づいて、粗面化処理時の粗面化圧を決定する。
なお、上述の反り分布取得工程、粗面化処理領域決定工程、反り量取得工程及び粗面化圧決定工程は、後述のウェハ搬送工程の前に行われるようにしてもよいし、後に行われるようにしてもよいし、並行して行われるようにしてもよい。
【0070】
(ウェハ搬入及びウェハの角度調整)
粗面化機構155が、例えばベース体110の凹部111内における後方側の待機位置に位置すると共に、カップ130が、その中心がスピンチャック120の中心に重なる基準位置に位置する状態で、粗面化処理装置100の外部の搬送機構により、ウェハWが粗面化処理装置100に搬送される。ウェハWの中心部がスピンチャック120の上方に位置すると、支持ピン123を上昇させてウェハWを支持する。そして、固定チャック135よりも高い位置にスピンチャック120が位置した状態で、支持ピン123を下降させて、スピンチャック120に当該ウェハWを受け渡し、ウェハWの中央領域を、当該スピンチャック120に吸着保持させる。
その後、スピンチャック120を1回転させて、ウェハWの周縁に形成されているノッチを不図示のノッチ検出機構で検出する。そして、検出結果に基づいて、スピンチャック120を回転させ、上記ノッチが所定の方向を向くようにウェハWの向き/角度を調整する。これにより、前述のウェハWの反りの分布における座標軸と、砥石157の駆動機構の座標軸とを一致させる。
【0071】
(粗面化)
次に、粗面化機構155を前進させ、カップ130の内側へと移動させる。そして、支持板158の公転及び/またはウェハWすなわちスピンチャック120の回転を行わせ、粗面化機構の自転軸P1をウェハWの領域Aと重なる位置に位置させる。そして、この状態で、粗面化機構155を上昇させ、粗面化圧決定工程で決定された圧力で、砥石157をウェハWの裏面に押し当て、その後、当該粗面化機構155の支持板158を自転させると共に、支持板158の公転及び/またはウェハWの所定範囲での往復回動を行い、少なくともウェハWの裏面の領域Aを含む領域を砥石157によって粗面化処理する。支持板158の自転、並びに、支持板158の公転及び/またはウェハWの所定の範囲での往復回動によって、ウェハWの領域Aを含む領域における各部においては、互いに異なる方向から繰り返し砥石157による擦過を受けて溝が形成される。
なお、粗面化処理領域がウェハWと同心の円環状領域である場合には、粗面化処理時にウェハWは連続回転される。また、粗面化処理領域がウェハWの中央部分を含む場合、当該中央部部分の粗面化処理時には、第1実施形態と同様に、ウェハWは固定チャック135により保持され連続回転される。
【0072】
(ウェハ搬出)
上記粗面化処理後、粗面化機構155の支持板158の自転を停止させるとともに、支持板158の公転及び/またはウェハWすなわちスピンチャック120の回動を停止させ、粗面化機構155を下降させて、砥石157をウェハWの裏面から離す。そして、粗面化機構155を待機位置へと後退させる。
その後、支持ピン123を上昇させてウェハWをスピンチャック120から突き上げ、前述の搬送機構に受け渡し、粗面化処理装置100から搬出させる。
【0073】
なお、粗面化工程とウェハ搬出工程との間に、洗浄機構156によるウェハWの洗浄を行うことが好ましい。
【0074】
本実施形態のウェハ処理によれば、表面側への突出量が大きい領域がウェハWの中央部分ではなくウェハWの周縁部であるウェハWを処理対象とする場合でも、ウェハWを適切に平坦化することができる。
【0075】
(第1及び第2実施形態の変形例)
以上の例では、粗面化処理領域のウェハWの反り量に応じた粗面化圧で粗面化処理を行っていた。本発明者の検討によれば、粗面化処理条件において、粗面化処理に対するウェハWの反りの変化と相関があるのは粗面化圧だけではない。
【0076】
図11は、粗面化処理時の支持板158の公転速度、より具体的には中心粗面化処理時の支持板158の公転速度と、処理によるウェハWの反りの変化量との間に相関があることを示す図である。
本発明者は、中心粗面化処理時の支持板158の公転速度をウェハW毎に異ならせて、中心粗面化処理及び外周粗面化処理を複数の平坦なウェハWに行い、また、両処理前のウェハW上の各領域におけるウェハWの反りと、両処理後のウェハW上の各領域におけるウェハWの反りとを測定した。
図11には、中心粗面化処理時の支持板158の公転速度と、上記両処理によるウェハWの反りの変化量との関係が示されている。
【0077】
図11の横軸は、中心粗面化処理時の公転速度を示し、縦軸は、粗面化処理によるウェハWの反りの変化量であって各ウェハW内で最大のものを示す。なお、粗面化処理によるウェハWの反りの変化量が大きいものほど、ウェハWの裏面側への反りがより大きくなったことを示す。
【0078】
なお、
図11の相関を得たときの、上記公転速度以外の各処理条件は以下の通りである。中心粗面化処理時の支持板158の自転回転速度、粗面加圧はそれぞれ、1rpm、0.5Nであり、外周粗面化処理時の支持板158の公転回転速度、ウェハ回転速度及び粗面化圧はそれぞれ、1rpm、600rpm、0.5Nであった。
【0079】
中心粗面化処理時の支持板158の公転速度をウェハW毎に異ならせた場合、図示は省略するが、全てのウェハWにおいて、粗面化処理後のウェハWの形状は、ウェハWの裏面側に凹む凹形状となっており、粗面化処理前後で最もウェハWの反りの変化量が大きい領域はウェハWの中心付近であった。
また、
図11に示すように、中心粗面化処理時の支持板158の公転速度と、粗面化処理によるウェハWの反りの最大変化量とは、上記公転速度が大きくなると上記最大変化量が増加する相関関係にある。
このことから、粗面化処理装置100を用いた粗面化処理時の支持板158の公転速度と、裏面側に凹む方向へのウェハWの反りの変化量に相関があることは明らかである。
【0080】
したがって、前述のウェハ処理において、ウェハWの反りの大きさに応じた粗面化圧で粗面化処理を行うことに代えて、ウェハWの反りの大きさに応じた支持板158の公転速度で粗面化処理を行うようにしてもよい。この場合も、ウェハWの反りの大きさによらず、ウェハWを適切に平坦化することができる。
【0081】
ウェハWと砥石157との相対的な滑り方向速度を生じさせる観点で、支持板158の公転速度だけでなく、ウェハWの回転速度を調整してもよい。つまり、ウェハWの反りの大きさに応じた支持板158の公転速度で粗面化処理を行うことに代えて、ウェハWの反りの大きさに応じたウェハWの回転速度で粗面化処理を行ってもよいし、また、ウェハWの反りの大きさに応じた支持板158の公転速度及びウェハWの回転速度で粗面化処理を行ってもよい。
【0082】
(第1及び第2実施形態の他の変形例)
本発明者の検討によれば、粗面化処理条件において、粗面化処理に対するウェハWの反りの変化量と相関があるものは、粗面化圧や支持板158の公転速度だけではない。
【0083】
図12は、粗面化処理時の砥石157の粒度(番手)すなわち表面粗さ、より具体的には粗面化処理時の砥石157の番手と、処理によるウェハWの反りの変化量との間に相関があることを示す図である。
本発明者は、砥石157の番手をウェハW毎に異ならせて、外周粗面化処理を複数の平坦なウェハWに行い、また、当該処理前のウェハW上の各領域におけるウェハWの反りと、当該処理後のウェハW上の各領域におけるウェハWの反りとを測定した。
図12には、外周粗面化処理時の砥石157の番手と、当該処理によるウェハWの裏面側への反りの変化量との関係が示されている。
図12の横軸は、外周粗面化処理時の砥石157の番手を示し、縦軸は、ウェハW上の各領域における粗面化処理によるウェハ裏面側への反りの変化量であって各ウェハW内で最大のものを示す。なお、
図12の相関を得たときにおいて、番手が500番、2000番、30000番、60000番の砥石157が用いられ、砥石157の番手以外の各処理条件は共通とした。
【0084】
外周粗面化処理時の砥石157の番手をウェハW毎に異ならせた場合、図示は省略するが、全てのウェハWにおいて、粗面化処理後のウェハWの形状は、ウェハWの裏面側に凹む凹形状となっており、粗面化処理前後で最もウェハWの反りの変化量が大きい領域はウェハWの中心付近であった。
また、
図12に示すように、外周粗面化処理時の砥石157の番手と、外周粗面化処理によるウェハWの反りの最大変化量とは、上記番手が小さくなると上記最大変化量が増加する相関関係にあった。言い換えると、砥石157の表面粗さと上記最大変化量とは、上記表面粗さが大きくなると上記最大変化量が増加する相関関係にあった。
このことから、粗面化処理装置100を用いた外周粗面化処理時の砥石の番手すなわち表面粗さと、裏面側に凹む方向へのウェハWの反りの変化量に相関があることは明らかである。
また、図示は省略するが、中心粗面化処理時にも同様な結果が得られた。
【0085】
したがって、前述のウェハ処理において、ウェハWの反りの大きさに応じた粗面化圧で粗面化処理を行うことに代えて、ウェハWの反りの大きさに応じた表面粗さの砥石157で粗面化処理を行うようにしてもよい。この場合も、ウェハWの反りの大きさによらず、ウェハWを適切に平坦化することができる。なお、互いに番手の異なる複数の砥石157を回転機構152上に設けておけば、回転機構152のステージを回転させることで、粗面化処理に用いる砥石157の番手を切り替えることができる。
【0086】
なお、砥石157の番手が大きいほど(すなわち砥石157の表面の砥粒が細かいほど)、同一条件下での粗面化処理による結果は、ウェハWの裏面に入る溝(キズ)は細かく且つ浅いものになりやすい。一方、砥石157の番手が小さいほど(すなわち砥石157の表面の砥粒が大きいほど)、同一条件下での粗面化処理による結果は、ウェハWの裏面に入る溝は太く深いものになりやすい。
【0087】
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態のウェハ処理では、ウェハW内において表面側に突出した形状を有する領域であって該突出量が所定値以上である領域を粗面化処理領域としていた。
ウェハW内において表面側に突出した形状を有する領域であって該突出量が所定量以上である領域が複数存在する場合は、その複数の領域全てを粗面化処理領域としてもよい。
また、粗面化処理領域を複数とする場合は、各領域で粗面加圧等の粗面化処理条件を異ならせてもよい。
なお、粗面化処理領域が複数の場合、例えば、表面側への突出量が大きい領域から順に行われる。
【0088】
(第2実施形態の他の変形例)
図13及び
図14は、ウェハWの他の例を示す図であり、
図13と
図14とでは異なるウェハWの様子を示している。また、
図13及び
図14は、ウェハWの中心を含む所定の部分の断面における、各領域での当該領域の基準面からの距離と、当該領域の位置との関係を示す図である。
【0089】
前述の例では、ウェハW面内において表面方向に突出する形状を有する領域を粗面化処理領域としていた。粗面化処理領域はこの例に限られず、
図13に示すように裏面方向に突出する形状を有する領域A11であっても、当該領域A11の基準点からの裏面側への突出量が所定値以下であり、当該領域A11に隣接する領域A12が表面方向に突出する形状を有し該突出量が所定値以上である場合は、当該領域A11を粗面化処理領域としてもよい。
領域A11を粗面化処理することで、当該領域A11は粗面化処理により裏面側への突出量が増加するが、隣接する領域A12の表面側への突出量を減らし、また、裏面側に突出している領域A11の外周端の突出量を減らし、ウェハW全体でその反り量が許容範囲内に収まるようにすることができる。
【0090】
また、
図14に示すように、表面方向にも裏面方向にも突出していない領域A21であっても、当該領域A21に隣接する領域A22が表面方向に突出する形状を有し該突出量が所定値以上である場合は、当該領域A21を粗面化処理領域としてもよい。
領域A21を粗面化処理することで、当該領域A21は裏面方向に突出した形状を有することになるが、隣接する領域A22の表面側への突出量を減らし、ウェハW全体でその反り量が許容範囲内に収まるようにすることができる。
【0091】
なお、以上の例では、ウェハWの裏面の一部分のみを粗面化処理していたが、ウェハWの中央部分のみが表面方向に突出する形状の場合は、ウェハWの裏面全体を粗面化処理するようにしてもよい。
【0092】
(外周粗面化処理による基板の反り修正の他の例)
本発明者は、直径が300mmの複数の平坦なウェハWに対し、以下のような処理条件1〜3で外周粗面化処理を行い、また、ウェハW上の各領域における当該処理後の反り量を算出した。
(処理条件1)処理開始時の公転軸P2の位置:ウェハWの中心から70mm、砥石157の番手:2000番
(処理条件2)処理開始時の公転軸P2の位置:ウェハWの中心から96mm、砥石157の番手:2000番
(処理条件3)処理開始時の公転軸P2の位置:ウェハWの中心から122mm、砥石157の番手:2000番
つまり、本発明者は、ウェハW毎に公転軸P2の位置を異ならせて、番手が2000番の砥石157による外周粗面化処理を行い、ウェハW上の各領域における当該処理後の反り量を算出した。
図15は、外周粗面化処理開始時の公転軸P2の位置と、処理によるウェハWの裏面側への反り量との関係を示す図である。
図15〜(C)はそれぞれ、上記条件1〜3についてのものである。
【0093】
また、本発明者は、直径が300mmの平坦なウェハWに対し、以下の処理条件4で外周粗面化処理を行い、また、ウェハW上の各領域における当該処理後の反り量を算出した。
図16は、上記反り量のウェハW内での分布を示す図である。
(処理条件4)処理開始時の公転軸P2の位置;ウェハWの中心から70mm、砥石157の番手:60000番
【0094】
さらに、本発明者は、直径が300mmの平坦なウェハWに対し、上記処理条件2での外周粗面化処理と上記処理条件4での外周粗面化処理をこの順で連続して行い、また、ウェハW上の各領域における当該処理後の反り量を算出した。
図17は、上記反り量のウェハW内での分布を示す図である。
【0095】
図15〜
図17の縦軸は、各外周粗面化処理後のウェハWの反り量を示し、ウェハWが裏面側に凹む方向に反ったときは値が負となる。横軸は、上記反り量それぞれが得られた部分の位置を示し、ウェハWの中心を基準点としている。なお、
図15〜
図17の結果が得られたときの外周粗面化処理では、ウェハWを連続的に回転させると共に、公転軸P2の位置は当該処理開始時の位置から等速で外側に移動するようにし、砥石157の外周部がウェハWの縁に至った時に処理終了とした。
【0096】
図15に示すように、反り量の最大値が、処理条件1では200μm、処理条件2では112μm、処理条件3では55μmであった。このことから、外周粗面化処理開始時の公転軸P2の位置と、ウェハWの裏面側への反り量とは、外周粗面化処理開始時の公転軸P2の位置が中心に近いほど、ウェハWの裏面側への反り量が大きくなる関係にあることが分かる。
【0097】
また、
図15(B)、
図16及び
図17に示すように、反り量の最大値は、処理条件2では112μm、処理条件4では19μmであった。そして、処理条件2、処理条件4の順で連続した処理した場合の反り量の最大値は、131μmであり、処理条件2での反り量の最大値と、処理条件4での反り量の最大値の和と略等しいものとなっていた。
【0098】
したがって、以下のことが言える。
(A)粗面化処理の開始位置すなわち処理領域の条件と、砥石157の番手(表面粗さ)の条件との組合せにより、所望の反り変化量が得られる。
(B)砥石157の番手等が互いに異なる複数の処理条件を連続して行うことで、所望の反り変化量が得られる。
つまり、
(a)ウェハ処理において、ウェハWの反りの大きさに応じて、処理領域の条件と砥石157の番手の条件との組み合わせ等の、処理条件の組み合わせを変更して、粗面化処理を行うようにしてもよいし、また、
(b)ウェハ処理において、ウェハWの反りの大きさに応じて、砥石157の番
手等が互いに異なる複数の処理条件での粗面化処理を連続して行うようにしてもよい。
【0099】
ところで、大きな粗面化圧が加えられた場合、当該粗面化圧によりウェハWに反りが付与される場合もあるが、この場合、研磨により所望のキズが入らず、所望の反り変化量が得られなくなることがある。そこで、研磨圧を所定の閾値以下としつつ、上記(a)、(b)等の方法を用いることで、所望の反り変化量をより確実に得ることができる。
【0100】
なお、上記(a)のように、処理条件の組み合わせを変更して粗面化処理を行い所望の反り変化量を得る場合、処理条件は例えば以下のように制御部180により決定される。
砥石157の番手でキズの入り方、すなわち、対応可能な反り量の範囲が概ね決まってくるため、番手が異なる複数の砥石157を有する場合、まず、砥石157の番手が決定される。次に、その砥石157に合った粗面化圧と公転速度が決定される。そして、研磨圧が上述の閾値を超える等、決定された粗面化圧や公転速度の処理条件が好ましくない場合、または、予想反り変化量と目標の反り変化量との差を無視できない場合(前者の場合は、好ましい範囲でより近い条件が選択されると共に)、研磨開始位置が変更される。研磨開始位置の変更に代えて、複数の処理条件での粗面化処理が行われるように、制御部180が決定するようにしてもよい。
【0101】
また、本例のように、砥石157の番手(表面粗さ)が異なる複数の処理条件を連続して行う場合は、番手が大きい(表面粗さが細かい)条件を先に行う方が好ましい。なぜならば、前述のように砥石157の番手が小さいほど、ウェハWに入るキズも太く深いものになりやすい。そして、先に番手が小さい処理条件で粗面化処理を行うと、幅が太く深いキズが入ってしまい、その後に番手が大きい砥石157による、幅が小さく浅いキズが入りにくいため、所望の反り変化量を得難くなってしまうからである。
なお、砥石157の番手と粗面化処理領域の組合せた処理条件について述べたが、それに限らず、前述の研磨圧や、ウェハWや砥石の回転速度を組合せた条件で所望の反り変化量を得るようにしてもよい。
【0102】
また、
図15の結果から、粗面化処理の開始位置すなわち処理領域の条件と、外周粗面化処理によるウェハWの反り変化量と、に相関があることは明らかである。
したがって、前述のウェハ処理において、ウェハWの反りの大きさに応じて、外周粗面化処理の開始位置を変更するようにしてもよい。この場合、砥石157の番手や研磨圧を変えなくとも、ウェハWの反りの大きさによらず、当該ウェハWを適切に平坦化することができる。
【0103】
続いて、上述の粗面化処理装置100を搭載した半導体製造装置について説明する。
図18は、上記半導体製造装置の一例である塗布現像処理システム1の内部構成の概略を示す説明図である。
図19及び
図20は、各々塗布現像処理システム1の内部構成の概略を示す、正面図と背面図である。
【0104】
塗布現像処理システム1は、
図18に示すように例えば外部との間でカセットCが搬入出されるカセットステーション2と、レジスト塗布処理やPEB等の所定の処理を施す複数の各種処理装置を備えた処理ステーション3と、処理ステーション3に隣接する露光装置4との間でウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション5とを一体に接続した構成を有している。
【0105】
カセットステーション2は、例えばカセット搬入出部10とウェハ搬送部11に分かれている。例えばカセット搬入出部10は、塗布現像処理システム1のY方向負方向(
図18の左方向)側の端部に設けられている。カセット搬入出部10には、カセット載置台12が設けられている。カセット載置台12上には、複数、例えば4つの載置板13が設けられている。載置板13は、水平方向のX方向(
図18の上下方向)に一列に並べて設けられている。これらの載置板13には、塗布現像処理システム1の外部に対してカセットCを搬入出する際に、カセットCを載置することができる。
【0106】
ウェハ搬送部11には、
図18に示すようにX方向に延びる搬送路20上を移動自在なウェハ搬送装置21が設けられている。ウェハ搬送装置21は、上下方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各載置板13上のカセットCと、後述する処理ステーション3の第3のブロックG3の受け渡し装置との間でウェハWを搬送できる。
【0107】
処理ステーション3には、各種装置を備えた複数、例えば第1〜第4の4つのブロックG1、G2、G3、G4が設けられている。例えば処理ステーション3の正面側(
図18のX方向負方向側)には、第1のブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(
図18のX方向正方向側)には、第2のブロックG2が設けられている。また、処理ステーション3のカセットステーション2側(
図1のY方向負方向側)には、第3のブロックG3が設けられ、処理ステーション3のインターフェイスステーション5側(
図18のY方向正方向側)には、第4のブロックG4が設けられている。
【0108】
第1のブロックG1には、
図19に示すように複数の液処理装置、例えばウェハWを現像処理する現像処理装置30、ウェハWにレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布装置31が下からこの順に配置されている。
【0109】
例えば現像処理装置30、レジスト塗布装置31は、それぞれ水平方向に3つ並べて配置されている。なお、これら現像処理装置30、レジスト塗布装置31の数や配置は、任意に選択できる。
【0110】
これら現像処理装置30、レジスト塗布装置31では、例えばウェハW上に所定の処理液を塗布するスピンコーティングが行われる。スピンコーティングでは、例えば塗布ノズルからウェハW上に処理液を吐出すると共に、ウェハWを回転させて、処理液をウェハWの表面に拡散させる。
【0111】
例えば第2のブロックG2には、
図20に示すようにウェハWの加熱や冷却といった熱処理を行う熱処理装置40や、ウェハWの外周部を露光する周辺露光装置41が上下方向と水平方向に並べて設けられている。これら熱処理装置40、周辺露光装置41の数や配置についても、任意に選択できる。
【0112】
例えば第3のブロックG3には、複数の受け渡し装置50が設けられ、受け渡し装置50の上方には粗面化処理装置100及び反り測定装置200が下から順に設けられている。反り測定装置200は、不図示の距離センサ等を用いてウェハWの各領域における当該領域のウェハWの反り量を測定する。
また、第4のブロックG4には、複数の受け渡し装置60が設けられている。
【0113】
図18に示すように第1のブロックG1〜第4のブロックG4に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域Dが形成されている。ウェハ搬送領域Dには、例えばウェハ搬送装置70が配置されている。
【0114】
ウェハ搬送装置70は、例えばY方向、前後方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム70aを有している。ウェハ搬送装置70は、ウェハ搬送領域D内を移動し、周囲の第1のブロックG1、第2のブロックG2、第3のブロックG3及び第4のブロックG4内の所定の装置にウェハWを搬送できる。ウェハ搬送装置70は、例えば
図20に示すように上下に複数台配置され、例えば各ブロックG1〜G4の同程度の高さの所定の装置にウェハWを搬送できる。
【0115】
また、ウェハ搬送領域Dには、第3のブロックG3と第4のブロックG4との間で直線的にウェハWを搬送するシャトル搬送装置71が設けられている。
【0116】
シャトル搬送装置71は、例えば
図20のY方向に直線的に移動自在になっている。シャトル搬送装置71は、ウェハWを支持した状態でY方向に移動し、同程度の高さの第3のブロックG3の受け渡し装置50と第4のブロックG4の受け渡し装置60との間でウェハWを搬送できる。
【0117】
図18に示すように第3のブロックG3のX方向正方向側には、ウェハ搬送装置72が設けられている。ウェハ搬送装置72は、例えば前後方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム72aを有している。ウェハ搬送装置72は、ウェハWを支持した状態で上下に移動して、第3のブロックG3内の各受け渡し装置50にウェハWを搬送できる。
【0118】
インターフェイスステーション5には、ウェハ搬送装置73と受け渡し装置74が設けられている。ウェハ搬送装置73は、例えばY方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム73aを有している。ウェハ搬送装置73は、例えば搬送アーム73aにウェハWを支持して、第4のブロックG4内の各受け渡し装置60、受け渡し装置74及び露光装置4との間でウェハWを搬送できる。
図18に示すように第1のブロックG1〜第4のブロックG4に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域Dが形成されている。ウェハ搬送領域Dには、例えばY方向、X方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アーム70aを有する、ウェハ搬送装置70が複数配置されている。ウェハ搬送装置70は、ウェハ搬送領域D内を移動し、周囲の第1のブロックG1、第2のブロックG2、第3のブロックG3及び第4のブロックG4内の所定の装置にウェハWを搬送できる。
【0119】
以上の塗布現像処理システム1には、
図18に示すように制御部180に接続されている。制御部180は、粗面化処理装置100におけるウェハWの処理だけでなく、塗布現像処理システム1におけるウェハWの処理を制御する。塗布現像処理システム1におけるウェハWの処理を制御するプログラムは、粗面化処理装置100におけるウェハWの処理を制御するプログラムと同様にプログラム格納部に格納されている。
【0120】
次に、以上のように構成された塗布現像処理システム1を用いて行われるウェハ処理について説明する。
【0121】
先ず、ウェハ搬送装置21によって、カセット載置台12上のカセットCからウェハWが取り出され、処理ステーション3の受け渡し装置50に搬送される。
【0122】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置70によって第2のブロックG2の熱処理装置40に搬送され温度調節処理される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって第1のブロックG1のレジスト塗布装置31に搬送され、ウェハW上にレジスト膜が形成される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって熱処理装置40に搬送され、プリベーク処理される。
【0123】
次に、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって周辺露光装置41に搬送され、周辺露光処理される。その後、ウェハは、ウェハ搬送装置70によって第3のブロックG3の受け渡し装置50に搬送される。
次に、ウェハWは、シャトル搬送装置71によって第4のブロックG4の受け渡し装置60に搬送される。
【0124】
その後、ウェハWは、インターフェイスステーション5のウェハ搬送装置73によって露光装置4に搬送され、所定のパターンで露光処理される。
【0125】
次に、ウェハWは、ウェハ搬送装置73によって第4のブロックG4の受け渡し装置60に搬送される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって、第3のブロックG3の反り測定装置200に搬送され、当該反り測定装置200により当該ウェハWの反りに関する情報が取得される。次に、ウェハWは、ウェハ搬送装置72によって同じ第3のブロックG3の粗面化処理装置100に搬送される。そして、ウェハWの上記反りに関する情報に基づいて定められた粗面化処理領域に対して、上記反りに関する情報に基づいて定められた粗面化処理条件で粗面化処理が行われ、ウェハWの反りが修正される。そして、反りが修正されたウェハWは、ウェハ搬送装置70によって、熱処理装置40に搬送され、露光後ベーク処理される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって現像処理装置30に搬送され、現像される。現像終了後、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって熱処理装置40に搬送され、ポストベーク処理される。その後、ウェハWは載置板13上のカセットCに搬送され、一連のウェハ処理が完了する。
【0126】
なお、粗面化処理装置100や反り測定装置200は、インターフェイスステーション5に設けるようにしてもよい。また、ウェハWの反りの修正は、上述の例では、露光処理後であって露光後ベーク処理の前に行われていたが、露光処理の前や、ポストベーク処理の前などに行ってもよい。
【0127】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到しうることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。