特許第6983457号(P6983457)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6983457-硬化性組成物 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983457
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20211206BHJP
   C08L 71/10 20060101ALI20211206BHJP
   C09J 4/02 20060101ALI20211206BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20211206BHJP
   C09J 163/02 20060101ALI20211206BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20211206BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   C08L63/00 A
   C08L71/10
   C09J4/02
   C09J163/00
   C09J163/02
   C09J11/06
   G02F1/1337 520
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-508924(P2019-508924)
(86)(22)【出願日】2017年11月24日
(65)【公表番号】特表2019-532125(P2019-532125A)
(43)【公表日】2019年11月7日
(86)【国際出願番号】KR2017013556
(87)【国際公開番号】WO2018097663
(87)【国際公開日】20180531
【審査請求日】2019年2月15日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0158599
(32)【優先日】2016年11月25日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ヒョン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ミン・イ
(72)【発明者】
【氏名】セ・ウ・ヤン
【審査官】 西山 義之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−219682(JP,A)
【文献】 特開2016−145865(JP,A)
【文献】 特開2016−122178(JP,A)
【文献】 特表平11−508301(JP,A)
【文献】 特開2007−199710(JP,A)
【文献】 特開平08−328026(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/145167(WO,A1)
【文献】 特開平04−261421(JP,A)
【文献】 特開2008−112137(JP,A)
【文献】 特開2004−302272(JP,A)
【文献】 特開2002−338900(JP,A)
【文献】 TRiiSO,Kukdo Epoxy Brochure,2021年07月05日,06-31,https://www.tri-iso.com/documents/Kukdo_Epoxy_Brochure.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00−59/72
C08L 1/00−101/14
G02F 1/1337
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ化合物と、前記エポキシ化合物100重量部に対して100重量部未満の比率のビスフェノール型(メタ)アクリレートと、フェノキシ樹脂とを含む硬化性組成物であって、
前記エポキシ化合物は、軟化点または融点が50℃以上であるビスフェノール型エポキシ化合物と、ASTM D2196−05規格またはKD−AS−005規格によって測定した常温での粘度が20,000cP以下であるエポキシ化合物とを含む、硬化性組成物。
【請求項2】
エポキシ化合物は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、および水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂よりなる群から選択された一つ以上である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
エポキシ化合物は、ビスフェノール型エポキシ化合物である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
軟化点または融点が50℃以上であるビスフェノール型エポキシ化合物は、エポキシ当量が150g/eq以上であるビスフェノール型エポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
軟化点または融点が50℃以上であり、エポキシ当量が150g/eq以上であるビスフェノール型エポキシ樹脂は、エポキシ化合物の全体重量を100重量%とした時、10重量%以上含まれている、請求項4に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
ASTM D2196−05規格またはKD−AS−005規格によって測定した常温での粘度が20,000cP以下であるエポキシ化合物は、エポキシ当量が300g/eq以下であるビスフェノール型エポキシ化合物を含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
ASTM D2196−05規格またはKD−AS−005規格により測定した常温での粘度が20,000cP以下であり、エポキシ当量が300g/eq以下であるビスフェノール型エポキシ化合物は、軟化点または融点が50℃以上であり、エポキシ当量が150g/eq以上であるビスフェノール型エポキシ樹脂100重量部に対して10〜200重量部の比率で含まれる、請求項6に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
ビスフェノール型(メタ)アクリレートは、少なくとも1個の(メタ)アクリル系官能基が連結されたビスフェノール骨格を有する化合物である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
ビスフェノール型(メタ)アクリレートが下記化学式1で表される、請求項1に記載の硬化性組成物:
【化1】
化学式1でLは、炭素数1〜8のアルキレン基またはアルキリデン基であり、R〜R10は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、−(O−A)−R、−(A−O)−R、−(O−A−O)−R、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基または(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキシ基であり、前記でAは、アルキレン基であり、Rは、(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基であり、nは、1〜10の範囲内の数であり、R〜R10のうち少なくとも1個は、−(O−A)−R、−(A−O)−R、−(O−A−O)−R、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基または(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキシ基である。
【請求項10】
フェノキシ樹脂は、ビスフェノール型フェノキシ樹脂である、請求項に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
フェノキシ樹脂は、重量平均分子量が30,000〜150,000g/molの範囲内である、請求項に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
カチオン開始剤をさらに含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項13】
ラジカル開始剤をさらに含む、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の硬化性組成物の層に配向処理を行う段階と、配向処理が行われた前記硬化性組成物の層を硬化させる段階と、硬化処理後に前記硬化性組成物の層を熱処理する段階と、を含む液晶配向性接着剤層の製造方法。
【請求項15】
熱処理は、50℃〜100℃の範囲内の温度で行う、請求項1に記載の液晶配向性接着剤層の製造方法。
【請求項16】
熱処理は、10分〜60分間行う、請求項1に記載の液晶配向性接着剤層の製造方法。
【請求項17】
対向配置されている第1および第2基板と、前記第1および第2基板の間に存在する液晶層と、前記第1および第2基板のうちいずれか一つの基板の前記液晶層に向かう表面に存在する請求項1に記載の硬化性組成物の硬化層と、を含む光学デバイス。
【請求項18】
第1および第2基板のうちいずれか一つの基板の液晶層に向かう表面には、レンズ層が存在し、前記レンズ層と他の基板が硬化性組成物の硬化層により付着している、請求項1に記載の光学デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年11月25日付けで提出された韓国特許出願第10−2016−0158599号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本出願は、硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
LCD(Liquid Crystal Display)等の液晶を利用したデバイスの駆動には、液晶の光学的異方性と分極特性が用いられる。このようなデバイスには、通常、液晶の初期配向を決定する配向膜が使用される。
【0004】
場合によって、前記のような配向膜には、液晶に対する配向能に加えてさらに接着性能が要求される場合がある。そのような場合の代表的な例として、3D表示装置(3−dimensional display)、特にメガネなしタイプの3D表示装置がある。
【0005】
このような表示装置は、例えば、図1のように構成された単位素子を含む。図1の単位素子は、対向配置された2個の基板100、200(一般的に液晶の駆動のための電極層としてITO(酸化インジウムスズ)電極層のような電極層が形成された基板)を含み、そのうちいずれか一つの基板上にレンズ300が存在し、前記レンズ300が存在する基板100と対向配置された基板200の表面には、配向膜400が存在する。また、前記配向膜400とレンズ300との間に形成された空間500には、液晶が存在するが、レンズ300と配向膜400が接触している構造であるため、配向膜400がレンズ300に対して接着能を有することが要求され得る。
【0006】
前記のようなメガネなし3D装置の構成の他にも、液晶配向能と接着能を同時に有することが要求される多様な分野が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本出願は、硬化性組成物に関する。本出願の硬化性組成物は、接着剤組成物、すなわち硬化して接着剤として作用する組成物であってもよく、このような接着剤組成物は、液晶配向能を示す接着剤を形成することができる。本出願の硬化性組成物は、一例として、液晶配向性接着剤組成物であってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願の硬化性組成物は、エポキシ化合物とビスフェノール型(メタ)アクリレート を含む。
【0009】
本出願において用語「エポキシ化合物」は、少なくとも一つのエポキシド官能基(epoxide functional group)を有する化合物であって、硬化前または後に接着性能を示すことができる化合物を意味する。場合によっては、後述するフェノキシ化合物またはフェノキシ樹脂も、エポキシ化合物に分類される場合があるが、本明細書において言及するエポキシ化合物には、フェノキシ化合物は除外される。
【0010】
本出願において適用できるエポキシ化合物の種類は、前記のように硬化前または硬化後に接着性能を示すことができるものであれば、特に限定されず、例えば、脂肪族、脂環族または芳香族であってもよいエポキシド基含有単量体、巨大単量体、オリゴマー、ポリマーおよび/またはそれらの混合物が例示でき、このようなエポキシ化合物は、たびたび単にエポキシ樹脂と呼称されることがある。前記のようなエポキシ化合物は、それぞれ少なくとも一つのエポキシド官能基を有し、一般的に2個以上のエポキシド官能基を有し得る。一例として、本出願は、重量平均分子量が約300〜10,000の範囲内にあるエポキシ樹脂が使用できる。
【0011】
例えば、前記エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン(DCPD)型エポキシ樹脂、シラン変性エポキシ樹脂または水添(Hydrogenated)ビスフェノールA型エポキシ樹脂と知られている群から選択された一つ以上を適用することができる。一例として、エポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂またはビスフェノールF型エポキシ樹脂;またはクレゾールノボラックエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、4官能性エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペタジエン型エポキシ樹脂またはジシクロペタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等のように2個またはそれ以上の官能基を有する多官能性エポキシ樹脂等が使用できるが、これに限定されるものではない。例えば、前記言及した種類の他にも、シラン変性エポキシ化合物や、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が適用され得る。前記のようなエポキシ化合物は、常温で固状または液状であってもよい。
【0012】
このようなエポキシ化合物は、硬化性組成物内に約10重量%以上の比率で存在し得る。前記エポキシ化合物の比率は、他の例として、約15重量%以上または約20重量%以上であるか、または、約90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、70重量%以下、65重量%以下、60重量%以下、55重量%以下、50重量%、45重量%または40重量%以下程度であってもよい。前記でエポキシ化合物の硬化性組成物内における比率は、硬化性組成物が溶媒を含む場合、溶媒の重量を除いた合計重量を基準としたものであって、例えば、硬化性組成物内に存在する単量体、オリゴマー、樹脂成分、開始剤成分およびその他添加剤成分の合計を100重量%とした場合の比率である。
【0013】
本出願の硬化性組成物においてエポキシ化合物としては、前述した多様な種類の化合物が使用でき、液晶の配向能を考慮するとき、ビスフェノール型エポキシ化合物、例えば、ビスフェノールA型またはビスフェノールF型のエポキシ化合物が使用できる。
【0014】
一例として、前記ビスフェノール型エポキシ化合物は、固状または半固状のエポキシ化合物と液状のエポキシ化合物の混合物を適用することができる。前記で固状、半固状または液状の基準は、常温常圧状態での状態を基準とする。
【0015】
本出願において用語「常温」は、加温されるか減温されない自然そのままの温度であり、例えば、約10℃〜30℃の範囲内のいずれか一つの温度、25℃または23℃程度の温度を意味し得る。
【0016】
本出願において用語「常圧」は、特に減らしたり高めない時の圧力であって、通常、大気圧のような1気圧程度を意味し得る。
【0017】
一例として、前記固状または半固状のエポキシ化合物としては、軟化点または融点が50℃以上のビスフェノール型エポキシ化合物、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物を適用することができる。エポキシ化合物の前記のような軟化点または融点により、前記エポキシ化合物は、常温/常圧で固状または半固状に存在する。前記軟化点または融点は、他の例として、約55℃以上または60℃以上であってもよく、200℃以下、190℃以下、180℃以下、170℃以下、160℃以下、150℃以下、140℃以下、130℃以下、120℃以下、110℃以下、100℃以下、90℃以下または80℃以下であってもよい。
【0018】
前記固状または半固状のエポキシ化合物としては、エポキシ当量(Epoxy Equivalent Weight)が180g/ep〜約1,000g/eqであるか、または、約150g/eq以上であるビスフェノール型エポキシ化合物を適用することができる。前記エポキシ当量は、他の例として、約200g/eq以上、250g/eq以上、300g/eq以上、約350g/eq以上または約400g/eq以上であってもよく、約4,000g/eq以下、約3,500g/eq以下、約3,000g/eq以下、約2,500g/eq以下、約2,000g/eq以下、約1,500g/eq以下、約1,000g/eq以下、約900g/eq以下、約800g/eq以下、約700g/eq以下または約600g/eq以下であってもよい。
【0019】
接着剤の分野においては、前記のような特性のエポキシ化合物が多様に公知されており、例えば、エピクロン(epiclon)1050、1055、2050、3050、4050、7050、HM−091またはHM−101等の名称でDIC社で市販中である化合物であるか、または、YD−020、YD−020L、YD−019K、YD−019、YD−017H、YD−017R、YD−017、YD−014、YD−014ERまたはYD−013Kの名称で国都化学社で市販中の化合物が使用できる。
【0020】
前記のような固状または半固状エポキシ化合物は、硬化性組成物内において全体エポキシ化合物の重量を100重量%とした時、約10重量%以上、約15重量%以上、約20重量%以上、約25重量%以上、約30重量%以上、約35重量%以上、約40重量%以上、約45重量%以上または約50重量%以上であるか、または、約90重量%以下、85重量%以下または約80重量%以下程度の比率で存在し得る。
【0021】
前記のような固状または半固状のエポキシ化合物と共に適用され得る液状のビスフェノール型エポキシ化合物、例えば、液状のビスフェノールA型エポキシ化合物は、融点が常温未満のエポキシ化合物であり、このような融点によりエポキシ化合物は、常温/常圧で液状で存在し得る。
【0022】
液状のエポキシ化合物は、他の例として、ASTM D2196−05規格またはKD−AS−005規格によって測定した常温(約25℃)での粘度が約20,000cP以下である化合物であってもよい。前記粘度は、他の例として、約18,000cP以下、約16,000cP以下、約14,000cP以下、約12,000cP以下、約10,000cP以下、約8,000cP以下、約6,000cP以下、約4,000cP以下、約2,000cP以下、約1,900cP以下、約1,800cP以下、約1,700cP以下、約1,600cP以下、約1,500cP以下または約1,450cP以下であってもよく、約500cP以上、約600cP以上、約700cP以上、約800cP以上、約900cP以上または約1,000cP以上であってもよい。
【0023】
前記液状のエポキシ化合物としては、エポキシ当量(Epoxy Equivalent Weight)が180g/ep〜約1,000g/eqであるか、または、約300g/eq以下であるビスフェノール型エポキシ化合物を適用することができる。前記エポキシ当量は、他の例として、約280g/eq以下、260g/eq以下、240g/eq以下、220g/eq以下または200g/eq以下であってもよく、約50g/eq以上、約70g/eq以上、約90g/eq以上、約110g/eq以上、約130g/eq以上または約150g/eq以上程度であってもよい。
【0024】
接着剤の分野においては、前記のような特性のエポキシ化合物が多様に公知されており、例えば、YD−128SH、YD−128SM、YD−128S、YD−128H、YD−128M、YD−128A、YD−128、YD−127、YD−2209またはYD−119の名称で国都化学社で市販中の化合物が使用できる。
【0025】
前記液状のエポキシ化合物は、前記固状または半固状エポキシ化合物100重量部に対して約10〜200重量部の比率で硬化性組成物に含まれていてもよい。前記比率は、他の例として、約15重量部以上、20重量部以上、25重量部以上、30重量部以上または35重量部以上程度であってもよく、約180重量部以下、約160重量部以下、約140重量部以下、約130重量部以下、約120重量部以下、約110重量部以下、約100重量部以下、または約90重量部以下程度であってもよい。
【0026】
本出願の硬化性組成物は、前記エポキシ化合物と共にビスフェノール型(メタ)アクリレート、例えば、ビスフェノールA型(メタ)アクリレートを含む。前記でビスフェノール型(メタ)アクリレートは、ビスフェノール骨格(例えば、ビスフェノールA骨格)を有し、少なくとも1個以上、2個以上、2個〜10個、2個〜8個、2個〜6個、2個〜4個または2個〜3個の(メタ)アクリル系の官能基、例えば、(メタ)アクリロイル基が前記骨格に連結されている化合物を意味する。この際、前記化合物は、前記ビスフェノール骨格に直接または適切なリンカーにより連結されていてもよい。
【0027】
本明細書において用語(メタ)アクリルは、メタクリルまたはアクリルを意味する。
【0028】
このような化合物としては、例えば、下記化学式1で表される化合物が例示され得る。
【0029】
【化1】
【0030】
化学式1でLは、炭素数1〜8のアルキレン基またはアルキリデン基であり、R〜R10は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、−(O−A)−R、−(A−O)−R、−(O−A−O)−R、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基または(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキシ基であり、前記でAは、アルキレン基であり、Rは、(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイルオキシ基であり、nは、1〜10の範囲内の数であり、R〜R10のうち少なくとも1個は、−(O−A)−R、−(A−O)−R、−(O−A−O)−R、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基または(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキシ基である。
【0031】
化学式1でLは、他の例として、炭素数1〜6、炭素数1〜4または炭素数1〜3または炭素数3のアルキレン基またはアルキリデン基であってもよい。
【0032】
また、化学式1でハロゲンとしては、フッ素または塩素原子が例示され得る。
【0033】
また、化学式1でAのアルキレン基は、例えば、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキレン基であってもよく、この官能基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよく、必要な場合に任意に一つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0034】
また、化学式1でアルキル基またはアルコキシ基は、例えば、炭素数1〜20、炭素数1〜16、炭素数1〜12、炭素数1〜8または炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基であってもよく、この官能基は、直鎖状、分岐状または環状であってもよく、必要な場合に任意に一つ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0035】
また、化学式1でnは、他の例として、2以上、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上または9以上であるか、または、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下または2以下であってもよい。
【0036】
また、化学式1のR〜R10のうち少なくとも1個以上、2個以上、2個〜10個、2個〜8個、2個〜6個、2個〜4個または2個〜3個または2個は、−(O−A)−R、−(A−O)−R、−(O−A−O)−R、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基および(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキシ基よりなる群から選択されたいずれか一つであってもよく、この際、少なくともRおよびRは、前記−(O−A)−R、−(A−O)−R、−(O−A−O)−R、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基および(メタ)アクリロイルオキシアルキルオキシ基から選択されたいずれか一つであってもよい。
【0037】
前記のような化合物としては、例えば、サートマー社の液状ビスフェノールA型エポキシアクリレート(CN110NS)等が例示されるが、これに限定されるものではない。
【0038】
前記ビスフェノール型(メタ)アクリレートは、前記エポキシ化合物100重量部に対して約100重量部以下、100重量部未満、90重量部以下、80重量部以下、70重量部以下または65重量部以下の比率で硬化性組成物に含まれていてもよい。前記化合物の比率が極めて過量になると、後述する硬化層の形成工程の1次硬化過程で硬度(hardness)が不十分になり、液晶配向性に劣り、2次硬化時に流動性が極めて高くなる問題があるので、前記比率に調節されることが好適である。前記ビスフェノール型(メタ)アクリレートの比率の下限は、特に限定されず、例えば、前記エポキシ化合物100重量部に対して約1重量部以上程度、5重量部以上程度、10重量部以上程度、15重量部以上程度、20重量部以上程度、25重量部以上程度、30重量部以上程度、35重量部以上程度、40重量部以上程度、45重量部以上程度または50重量部以上程度であってもよい。
【0039】
硬化性組成物は、さらなる成分として、フェノキシ樹脂を含んでいてもよい。このようなフェノキシ樹脂は、組成物のコーティング性、硬度、液晶配向能や接着能を考慮して適正量を導入してもよい。
【0040】
フェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールAF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールS型フェノキシ樹脂、臭化ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、臭化ビスフェノールF型フェノキシ樹脂、リン含有フェノキシ樹脂またはこれらのうちから2種以上の混合物が使用できる。
【0041】
フェノキシ樹脂としては、液晶配向能等を考慮してビスフェノール型フェノキシ樹脂を使用することが好適である。
【0042】
また、フェノキシ樹脂としては、重量平均分子量が約30,000〜150,000g/mol程度の樹脂が使用できる。本出願において用語「重量平均分子量」は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定した標準ポリスチレン換算数値であり、特に別途規定しない限り、単に分子量と呼ぶこともある。フェノキシ樹脂の分子量は、他の例として、約35,000g/mol以上、40,000g/mol以上または45,000g/mol以上であってもよく、140,000g/mol以下、130,000g/mol以下、120,000g/mol以下、100,000g/mol以下、90,000g/mol以下または80,000g/mol以下であってもよい。
【0043】
前記フェノキシ樹脂は、前記エポキシ化合物100重量部に対して約500重量部以下、450重量部以下、400重量部以下、350重量部以下、300重量部以下または250重量部以下の比率で硬化性組成物に含まれていてもよい。前記化合物の比率が極めて過量になると、硬化性組成物の硬化層の接着力が低下し得るため、前記比率に調節されることが好適である。前記フェノキシ樹脂の比率の下限は、コーティング性や硬度、液晶配向能を考慮して調節され得、例えば、前記エポキシ化合物100重量部に対して約10重量部以上程度、20重量部以上程度、30重量部以上程度、40重量部以上程度、50重量部以上程度、60重量部以上程度、70重量部以上程度、75重量部以上程度または80重量部以上程度であってもよい。
【0044】
硬化性組成物は、前記成分に加えてさらに硬化剤を含んでいてもよい。このような硬化剤は、例えば、前記エポキシ化合物を硬化させることができる硬化剤であってもよく、熱硬化剤、すなわち熱の印加によりエポキシ化合物を硬化させることができる成分であってもよい。
【0045】
当業界においては、エポキシ化合物を硬化させることができる硬化剤が多様に知られており、本出願は、このような硬化剤が制限なしに使用できる。例えば、硬化剤としては、フェノール系硬化剤、トリフェニルホスフィン硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、イミダゾール系硬化剤またはメルカプタン系硬化剤等と知られている硬化剤が使用できる。
【0046】
硬化性組成物内において前記硬化剤の比率は、エポキシ化合物の適切な硬化が起こり得る場合、特に限定されず、例えば、前記エポキシ化合物100重量部に対して約0.5重量部以上、1重量部以上、1.5重量部以上または2重量部以上使用されてもよく、その上限は約15重量部以下、13重量部以下、11重量部以下、10重量部以下、9重量部以下、8重量部以下、7重量部以下、6重量部以下または5重量部以下程度であってもよい。
【0047】
また、硬化性組成物は、前記硬化剤と共に、または、硬化剤の代わりに、エポキシ化合物の硬化のためのカチオン開始剤を含んでいてもよい。一例として、硬化性組成物は、硬化剤を含まずに、カチオン開始剤を含んでいてもよい。
【0048】
前記カチオン開始剤としては、前記エポキシ化合物のカチオン硬化反応を誘導できるものと公知になっている一般的な光カチオン開始剤または熱カチオン開始剤が適用され得る。例えば、カチオン開始剤には、例えばオニウム塩、および特定の有機金属錯体等とその混合物等が含まれる。例示的な有機金属錯体と、それを多数のエポキシ化合物と共に使用することに関する説明は、例えば米国特許第5,252,694号(Willettら)、米国特許第5,897,727号(staralら)、および米国特許第6,180,200号(Haら)に開示されており、前記特許の開示内容は、本明細書に参考として含まれる。
【0049】
有用なオニウム塩は、構造式AXを有するものを含み、ここで、Aは、有機カチオン(例えば、ジアゾニウム、ヨードニウムおよびスルホニウムカチオンから選択され;好ましくは、ジフェニルヨードニウム、トリフェニルスルホニウム、およびフェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムから選択される)であり、Xは、アニオン(例えば、有機スルホネートまたはハロゲン化金属または半金属)である。特に有用なオニウム塩は、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、およびトリアリールスルホニウム塩を含むが、これらに限定されるものではない。有用なオニウム塩のさらなる例には、開示内容が本明細書に参考として含まれた米国特許第5,086,086号(Brown−Wensleyら)(例えば、第4段、第29行目〜第61行目)に記載された内容が含まれる。
【0050】
硬化性組成物内において前記カチオン開始剤の比率は、エポキシ化合物の適切な重合が可能である場合、特に限定されず、例えば、前記エポキシ化合物100重量部に対して約0.5重量部以上、1重量部以上、1.5重量部以上、2重量部以上、2.5重量部以上、3重量部以上、3.5重量部以上、4重量部以上または4.5重量部以上が使用でき、その上限は、約50重量部以下、45重量部以下、40重量部以下、35重量部以下、30重量部以下、25重量部以下、20重量部以下、15重量部以下、10重量部以下または5重量部以下程度であってもよい。
【0051】
また、硬化性組成物は、前記(メタ)アクリレートの硬化のための成分として、ラジカル開始剤、例えば、光ラジカル開始剤または熱ラジカル開始剤をさらに含んでいてもよい。
【0052】
(メタ)アクリレート化合物の硬化に有用なラジカル開始剤は、広く公知されており、例えば、ベンゾインエーテル(例えば、ベンゾインメチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテル)、置換されたベンゾインエーテル(例えば、アニソインメチルエーテル)、置換されたアセトフェノン(例えば、2、2−ジエトキシアセトフェノンおよび2、2−ダイメトキシ−2−フェニルアセトフェノン)、置換されたアルファ−ケトール(例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン)、芳香族ホスフィンオキシド(例えば、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド)、芳香族スルホニルクロリド(例えば、2−ナフタレン−スルホニルクロリド)および/または光活性オキシム(例えば、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2(O−エトキシカルボニル)オキシム)等のような光ラジカル開始剤や、(1)アゾ化合物、例えば、2、2’−アゾ−ビス(イソブチロニトリル)、ジメチル2、2’−アゾ−ビス(イソブチラート)、アゾ−ビス(ジフェニルメタン)、および4、4’−アゾ−ビス(4−シアノペンタン酸);(2)過酸化物、例えば、過酸化水素、ベンゾイルペルオキシド、クミルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、グルタル酸ペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、およびメチルエチルケトンペルオキシド;(3)ヒドロ過酸化物、例えば、tert−ブチルヒドロペルオキシドおよびクメンヒドロペルオキシド;(4)過酸、例えば、過酢酸、過安息香酸、過硫酸カリウムおよび過硫酸アンモニウム;(5)パーエステル、例えば、ジイソプロピルパーカルボネート;および/または(6)熱的酸化還元(redox)開始剤等のような熱ラジカル開始剤等が使用できる。
【0053】
硬化性組成物内において前記ラジカル開始剤の比率は、(メタ)アクリレート化合物の適切な重合が可能であれば、特に限定されず、例えば、前記ビスフェノール型(メタ)アクリレート100重量部に対して約0.5重量部以上、1重量部以上、1.5重量部以上、2重量部以上、2.5重量部以上、3重量部以上、3.5重量部以上、4重量部以上または4.5重量部以上が使用でき、その上限は、約50重量部以下、45重量部以下、40重量部以下、35重量部以下、30重量部以下または25重量部以下程度であってもよい。
【0054】
また、本出願は、前記のような硬化性組成物を使用して硬化層、例えば、液晶配向能を有する接着剤層を形成する方法および前記接着剤層に関する。
【0055】
本出願において液晶配向能を有する接着剤層は、前記言及した硬化性組成物の硬化物を含んでいてもよい。
【0056】
前記接着剤層は、例えば、前記硬化性組成物を使用して形成したフィルムを乾燥する段階と、熱処理後に前記フィルムをラビングする段階と、前記ラビング後に前記フィルム内でエポキシ化合物および/または(メタ)アクリレートの硬化を誘導する段階と、硬化誘導後に熱処理(aging)する段階とを含んでいてもよい。前記過程で前記ラビングにより接着剤層に液晶配向能が付与され、前記硬化および熱処理反応により接着力が上昇し得る。
【0057】
例えば、前記方法は、前記硬化性組成物の層に配向処理を行う段階と、配向処理が行われた前記硬化性組成物の層を硬化させる段階と、硬化処理後に前記硬化性組成物の層を熱処理する段階とを含んでいてもよい。
【0058】
前記で硬化性組成物の層は、例えば、前記硬化性組成物を適正の厚さでコーティングおよび乾燥して形成することができる。
【0059】
このような場合に、前記コーティングの厚さ、すなわち硬化性組成物の層の厚さは、特に限定されないが、例えば、約1μm〜50μmの範囲内であってもよい。
【0060】
前記で行われる配向処理方式は、特に限定されず、例えば、一般的に公知されたラビング配向方式等を適用して目的とする配向方向を考慮して行うことができる。
【0061】
前記配向処理後に硬化および熱処理(aging)工程が行われ、これにより、目的とする液晶配向能と接着能を有する層が形成され得る。必要な場合に、前記配向処理後に接着が必要な他の部材と前記硬化性組成物の層を接触させた状態で前記硬化および熱処理を行うことができる。
【0062】
前記で熱処理は、例えば、約50℃〜100℃の範囲内の温度で行うことができる。また、前記熱処理は、約10分〜100分間行うことができ、前記熱処理の実行時間は、他の例として、約90分以下、約80分以下、約70分以下または約60分以下であってもよい。前記のような条件での熱処理を通じて液晶配向能と付着性に優れた硬化性組成物の層を形成することができる。
【0063】
なお、ラビング処理後に行う硬化の条件は、特別な制限がなく、適用された化合物および開始剤または硬化剤の種類に応じて適正な熱を印加したり、光を照射する方式で行うと良い。
【0064】
前記のように液晶配向能を有する接着剤層は、多様な用途、特に接着剤層が液晶と隣接して存在し、当該液晶を配向する必要がある場合に効果的に適用され得る。
【0065】
例えば、本出願の前記接着剤層を含む光学デバイスに関し、対向配置されている第1および第2基板と、前記第1および第2基板の間に存在する液晶層と、前記第1および第2基板のうちいずれか一つの基板の前記液晶層に向かう表面に存在する請求項1に記載の硬化性組成物の硬化層とを含む光学デバイスに関する。
【0066】
前記のような光学デバイスのうち、特に本願のように液晶配向能と接着能を有する層が要求される用途の代表的な例としては、レンチキュラーレンズ等のようなレンズ構造物を適用するメガネなし方式の3Dデバイスが例示され得る。
【0067】
このようなデバイスは、図1に示されたように、レンチキュラーレンズ等のレンズ構造物300と、該レンズ構造物300の一面に付着した導電性フィルムのような基板200と、前記基板200とレンズ構造物300との間の空間500に注入されている液晶とを含む基本単位を有するが、前記単位において前記レンズ構造物300に前記基板200を付着すると共に、内部空間500の液晶の配向を決定する役割をする層400として、前記接着剤層が適用され得る。
【0068】
これにより、前記光学デバイスは、図1に示されたように、第1および第2基板100、200のうちいずれか一つの基板100の液晶層に向かう表面には、レンズ層またはレンズ構造物300が存在し、前記レンズ層またはレンズ構造物300と他の基板200が硬化性組成物の硬化層400により付着している構造を有し得る。
【0069】
前記光学デバイスにおいて本出願によって適用される接着剤層を除いた他の構成、例えば、基板や、レンズ層またはレンズ構造物の種類ないしは材料等は、特に限定されず、公知の内容がいずれも適用され得る。
【発明の効果】
【0070】
本出願は、硬化性組成物に関する。本出願の硬化性組成物は、硬化前または硬化後に優れた接着能と液晶配向能を同時に示して、多様な光学的用途に効果的に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1図1は、本出願の硬化性組成物が適用され得る一例としてのメガネなし方式の3D表示装置の例示的な単位構造である。
【発明を実施するための形態】
【0072】
以下、本出願による実施例および本出願によらない比較例を通じて本出願を詳細に説明するが、本出願の範囲が下記提示された実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0073】
1.ラビング工程性の評価
実施例または比較例で製造された硬化性組成物は、一般的なITOフィルム(ポリエチレンテレフタラート;PET)フィルムの一面にITO(酸化インジウムスズ)が蒸着されたフィルム)(図1の基板200)のITO層上に約10μm程度の厚さでコーティングし、約130℃程度の温度で約3分間乾燥した後、一般的なラビング配向に適用されるラビング布でラビング処理する。その後、レンズ構造物が形成された基板(図1のレンズ層300が形成された基板100)を、前記熱処理後にラビング配向処理された硬化層に付着し、メタルハライドランプで3J/cm程度の紫外線を照射し、それら間の空間(図1の500)に液晶を注入した後、偏光顕微鏡(ニコン社、ECLIPSE E600WPOL)を使用して液晶の配向が良好に行われたか否かを確認する。液晶の配向が行われた場合にはPで評価し、行われていないか、または、配向欠陥が観察される場合にはNGで評価した。
【0074】
2.液晶配向性の評価
ラビング配向性の評価時に適用されたサンプルをさらに約50℃〜100℃の温度で約10分〜1時間程度さらに熟成(aging)させた後、ラビング工程性の評価時と同一に、偏光顕微鏡(ニコン社、ECLIPSE E600WPOL)を使用して液晶の配向が良好に行われたか否かを確認する。液晶の配向が行われた場合には、Pで評価し、行われていないか、または、配向欠陥が観察される場合には、NGで評価した。
【0075】
3.レンズ付着性
液晶配向性の評価時に適用されたサンプルを曲げてから伸ばした後に、レンズおよびITO層との硬化性組成物の層の付着程度を観察して、異常がない場合にはPで評価し、付着が脱離したり、液晶配向の不良が観察される場合はNGで評価した。
【0076】
4.ITO付着性
実施例または比較例で製造した硬化性組成物をITOフィルムのITO層にコーティングし、ラビング工程性および液晶配向性の評価時に適用されたものと同一に紫外線照射および熱処理(aging)し、ASTM D3359規格によりクロスカット試験を行い、硬化層が全く脱離しない場合をPで評価し、一部あるいは全部が脱離した場合にはNGで評価した。
【0077】
実施例1
固状エポキシ化合物として、DIC社のEpiclon 1055(ビスフェノールA型エポキシ化合物、エポキシ当量:450〜500g/eq、軟化点:64℃〜74℃)、液状エポキシ化合物として、国都化学社のYD−128(液状ビスフェノールA型エポキシ化合物、エポキシ当量:184〜190g/eq)、ビスフェノール型(メタ)アクリレートとして、サートマー社のCN110NS(ビスフェノールA型エポキシアクリレート、液状)、フェノキシ樹脂として、YP−50(ビスフェノールA型フェノキシ樹脂、分子量:60,000〜80,000g/mol)、光ラジカル開始剤として、BASF社のIrgacure 184、および光カチオン開始剤として、SAN−APRO社のCPI−101Aを、約15:10:15:58:1:1(Epiclon 1055:YD−128:CN110NS:YP−50:Irgacure 184:CPI−101A)の重量比で反応器内に投入し、メチルエチルケトンで適正に希釈した後、反応器の内部を窒素で置換し、均一化して、硬化性組成物を製造した。実施例1の硬化性組成物の場合、物性評価時の熱処理(aging)温度は、約50℃であり、時間は、約1時間程度であった。
【0078】
実施例2〜7および比較例1〜3
使用された成分の種類および比率を下記表1のように変更したことを除いて、実施例1と同一に硬化性組成物を製造した。
【0079】
【表1】
【0080】
前記各実施例および比較例について測定した評価結果は、下記表2の通りである。
【0081】
【表2】
【符号の説明】
【0082】
100、200 基板
300 レンズ構造物
400 配向層、硬化性組成物の硬化層
500 内部空間
図1