(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱可塑性樹脂は、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、フェノキシ、反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合ゴムおよび(メタ)アクリレート系樹脂からなる群より選択された一つ以上の高分子樹脂を含む、請求項1または2に記載の半導体接着用樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、発明の具体的な実施形態の半導体回路接続用接着剤組成物および半導体用接着フィルムについてより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は発明を例示するためのものに過ぎず、発明をこれらだけに限定するものではない。
【0018】
発明の一実施形態によれば、熱可塑性樹脂;熱硬化性樹脂;硬化剤;および下記化学式1の化合物を含む半導体接着用樹脂組成物が提供され得る。
【0020】
前記化学式1で、R
1は水素、炭素数1乃至10のアルキル基、または炭素数6乃至20のアリール基(aryl group)であり、R
2は水素結合可能な作用基を含む有機作用基であり、R
3は水素、ハロゲン、炭素数1乃至10のアルキル基、または炭素数6乃至20のアリール基(aryl group)であり、nはR
3の置換数であって、1乃至4である。
【0021】
本発明者らは、半導体素子の接着またはパッケージングに用いることができる成分に対する研究を進行して、前記化学式1の化合物を含む組成物または接着フィルムが半導体回路接続のための素材として適用されて、熱圧着ボンディングの際に高温下で短時間内に硬化可能であると共に、常温下での優れた保管安定性を有するという点を実験を通じて確認して発明を完成した。
【0022】
具体的に、前記化学式1の化合物は、R
2に水素結合可能な作用基を含む有機作用基を含み、水素結合が形成される常温では触媒の非活性化を通じて硬化反応を遅延させることができ、熱圧着ボンディングの際に硬化温度以上では水素結合が切れ、触媒が活性化され得る。そのために、前記実施形態の半導体接着用樹脂組成物が高温で速い速度で硬化する特性と常温で長期間の保管安定性を有することができる。
【0023】
前述のように、前記化学式1で、R
1は水素、炭素数1乃至10のアルキル基、または炭素数6乃至20のアリール基(aryl group)であり、R
2は水素結合可能な作用基を含む有機作用基であり、R
3は水素、ハロゲン、炭素数1乃至10のアルキル基、または炭素数6乃至20のアリール基(aryl group)であり、nはR
3の置換数であって、1乃至4でありうる。より具体的に、前記化学式1で、R
1は水素またはベンゼン基であり、R
2はヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、ホルミル基、またはアミン基でありうる。
【0024】
前記半導体接着用樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂;熱硬化性樹脂;硬化剤;および前記化学式1の化合物の総和100重量部に対して、前記化学式1の化合物0.1乃至15重量部、または0.5乃至10重量部を含むことができる。
【0025】
前記熱可塑性樹脂;熱硬化性樹脂;硬化剤;および前記化学式1の化合物の総和100重量部に対して、前記化学式1の化合物の重量が過度に低ければ、硬化反応が行われ難いため、硬化度が確保されないか、反応温度区間が広く示されて特定温度で急速に硬化する速硬化特性を失う虞がある。
【0026】
前記熱可塑性樹脂;熱硬化性樹脂;硬化剤;および前記化学式1の化合物の総和100重量部に対して、前記化学式1の化合物の重量が過度に高ければ、常温でも一部触媒が活性化されて反応が行われ得るため、フィルムの保管安定性が確保されない虞がある。
【0027】
一方、発明の実施形態によれば、前記半導体回路接続用接着剤組成物は、前述した化学式1の化合物以外に、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂および無機充填材をさらに含むことができる。
【0028】
また、前記半導体回路接続用接着剤組成物は、前述した化学式1の化合物以外に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、硬化剤、および無機充填材をさらに含むことができる。
【0029】
前記実施形態の半導体接着用樹脂組成物に含まれる前記熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、硬化剤としては、半導体回路接続用接着剤組成物の分野で知られた通常の成分が適用され得る。
【0030】
前記熱硬化性樹脂の例が大きく限定されるのではなく、例えば前記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂が好ましく適用され得る。
【0031】
具体的に、前記エポキシ樹脂は、ビスフェノール系エポキシ樹脂、ビフェニル系エポキシ樹脂、ナフタレン系エポキシ樹脂、フルオレン系エポキシ樹脂、フェノールノボラック系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック系エポキシ樹脂、トリスヒドロキシルフェニルメタン系エポキシ樹脂、テトラフェニルメタン系エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、およびジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂からなる群より選択された1種以上でありうる。
【0032】
ここで、前記ビスフェノール系エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0033】
非制限的な例として、前記熱硬化性樹脂として2種のエポキシ樹脂が適用される場合、10乃至35℃下で液状であるエポキシ樹脂と10乃至35℃下で固体状であるエポキシ樹脂を1:0.1乃至1:5の重量比で混合して用いることができる。
【0034】
この時、前記固体状であるエポキシ樹脂の含有量が前記液状であるエポキシ樹脂に対して0.1重量比未満であれば、ダイアタッチ工程時に樹脂が多量に流れ出て汚染を誘発することがあり、接着層の粘りが強いため、ピックアップ特性が顕著に低下することがある。反面、前記固体状であるエポキシ樹脂の含有量が前記液状であるエポキシ樹脂に対して5.0重量比を超えれば熱可塑性樹脂との相溶性、反応性の側面で不利になり得る。
【0035】
そして、前記エポキシ樹脂は、50℃乃至100℃の軟化点を有するビフェニル系エポキシ樹脂と共に50℃乃至100℃の軟化点を有するクレゾールノボラック型エポキシ樹脂および50℃乃至100℃の軟化点を有するビスフェノールAエポキシ樹脂からなる群より選択された1種以上のエポキシ樹脂をさらに含むことができる。
【0036】
この時、前記エポキシ樹脂は、50℃乃至100℃の軟化点を有するビフェニル系エポキシ樹脂に対して、前記50℃乃至100℃の軟化点を有するクレゾールノボラック型エポキシ樹脂および50℃乃至100℃の軟化点を有するビスフェノールAエポキシ樹脂からなる群より選択された1種以上のエポキシ樹脂を0.25乃至1.25、または0.3乃至1.1の重量比で含むことができる。
【0037】
前記エポキシ樹脂は、100乃至1,000の平均エポキシ当量を有することができる。前記平均エポキシ当量は、前記エポキシ樹脂に含まれるそれぞれのエポキシ樹脂の重量比率およびエポキシ当量に基づいて求めることができる。
【0038】
前記熱可塑性樹脂もその種類が大きく限定されるのではなく、例えばポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、フェノキシ、反応性ブタジエンアクリロニトリル共重合ゴムおよび(メタ)アクリレート系樹脂からなる群より選択された一つ以上の高分子樹脂を含むことができる。
【0039】
好ましくは、前記熱可塑性樹脂として、−10乃至30℃のガラス転移温度および200,000乃至1,000,000g/molの重量平均分子量を有する(メタ)アクリレート系樹脂が適用され得る。
【0040】
前記アクリル系樹脂は、エポキシ基含有アクリル共重合体であって、全体重量中のグリシジルアクリレートまたはグリシジルメタクリレートを1乃至25重量%、あるいは2乃至20重量%、あるいは2.5乃至15重量%含むことができる。
【0041】
ここで、前記(メタ)アクリレート系樹脂内のエポキシ基含有量が1重量%未満である場合、エポキシ樹脂との相溶性と接着力が十分でなく、25重量%を超えれば硬化による粘度上昇速度が過度に速くて半導体素子の熱圧着工程でソルダバンプの接合および埋め込みが十分になされないことがある。
【0042】
前記熱可塑性樹脂は、接着フィルム製造時に組成物の流れ性の制御などを考慮して、前記熱硬化性樹脂100重量部を基準に10乃至1,500重量部で含まれ得る。
【0043】
前記硬化剤としては、前記熱硬化性樹脂の硬化剤の役割を果たすことができると知られた化合物を用いることができる。より具体的に、前記硬化剤は、アミン系硬化剤、および酸無水物系硬化剤からなる群より選択された1種以上の化合物を含むことができる。
前記硬化剤としては、ノボラック系フェノール樹脂が好ましく適用され得る。
【0044】
前記ノボラック系フェノール樹脂は、反応性作用基の間に環が位置する化学構造を有する。このような構造的特性によって、前記ノボラック系フェノール樹脂は、前記接着剤組成物の吸湿性をより低めることができ、高温のIRリフロー工程で安定性をより高めることができるため、接着フィルムの剥離現像やリフロー亀裂などを防止する役割を果たすことができる。
【0045】
前記ノボラック系フェノール樹脂の具体的な例としては、ノボラックフェノール樹脂、ザイロックノボラックフェノール樹脂、クレゾールノボラックフェノール樹脂、ビフェニルノボラックフェノール樹脂、ビスフェノールAノボラックフェノール樹脂、およびビスフェノールFノボラックフェノール樹脂からなる群より選択された1種以上が挙げられる。
【0046】
前記ノボラック系フェノール樹脂は、60℃以上、または60℃乃至150℃、または105℃乃至150℃、または70℃乃至120℃の軟化点を有するものが好ましく適用され得る。60℃以上の軟化点を有するノボラック系フェノール樹脂は、接着剤組成物の硬化後、十分な耐熱性、強度および接着性を有することができるようにする。しかし、前記ノボラック系フェノール樹脂の軟化点が過度に高ければ前記接着剤組成物の流動性が低くなって実際の半導体製造工程で接着剤内部に空いた空間(void)が生成されて最終製品の信頼性や品質を大きく低下させることがある。
【0047】
前記ノボラック系フェノール樹脂は、80g/eq乃至300g/eqの水酸基当量および60℃乃至150℃の軟化点を有することが好ましい。
【0048】
前記硬化剤の含有量は、最終製造される接着フィルムの物性などを考慮して適切に選択することができる。例えば、前記硬化剤は、前記熱硬化性樹脂100重量部を基準に10乃至700重量部または30乃至300重量部で用いることができる。
【0049】
前記半導体接着用樹脂組成物は、硬化触媒をさらに含むことができる。
前記硬化触媒は、前記硬化剤の作用や前記半導体接着用樹脂組成物の硬化を促進させる役割を果たし、半導体接着フィルムなどの製造に使用されると知られた硬化触媒を大幅な制限なしに用いることができる。
【0050】
例えば、前記硬化触媒としては、リン系化合物、ホウ素系化合物、リン−ホウ素系化合物、およびイミダゾール系化合物からなる群より選択された1種以上を用いることができる。前記硬化触媒の使用量は、最終製造される接着フィルムの物性などを考慮して適切に選択することができる。
【0051】
一方、前記実施形態の半導体接着用樹脂組成物は、無機充填材をさらに含むことができる。
【0052】
前記無機充填材としては、アルミナ、シリカ、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、およびホウ酸アルミニウムからなる群より選択された1種以上の無機粒子が適用され得る。
【0053】
イオン性不純物を吸着して信頼性を向上させることができるイオン吸着剤を無機充填剤として用いることもできる。前記イオン吸着剤としては、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウムのようなマグネシウム系、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミニウムウィスカ、ジルコニウム系無機物、およびアンチモンビスマス系無機物からなる群より選択された1種以上の無機粒子が適用され得る。
【0054】
前記無機充填材は、0.01乃至10μm、あるいは0.02乃至5.0μm、あるいは0.03乃至2.0μmの平均粒径(最長外径基準)を有するものが好ましく適用され得る。前記無機充填材の粒径が過度に小さい場合、前記接着剤組成物内で簡単に凝集されることがある。反面、前記無機充填材の粒径が過度に大きい場合、前記無機充填材による半導体回路の損傷および接着フィルムの接着性低下が誘発されることがある。
【0055】
前記無機充填材の含有量は、前記熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂の総和100重量部を基準に10乃至300重量部または15乃至250重量部で用いることができる。
【0056】
また、前記半導体回路接続用接着剤組成物は、前記熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂、そして無機充填材の総和100重量部を基準に10乃至90重量部の有機溶媒を含むことができる。前記有機溶媒の含有量は、前記接着剤組成物および最終的に製造される接着フィルムの物性や製造工程を考慮して決定され得る。
【0057】
前記有機溶媒は、エステル類、エテール類、ケトン類、芳香族炭化水素類、およびスルホキシド類からなる群より選択された1種以上の化合物でありうる。
【0058】
前記エステル類溶媒は、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、オキシ酢酸アルキル(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチルなど))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチルなど(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチルなど))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピルなど(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシエチル))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチルおよび2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチルなど)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチルなどでありうる。
【0059】
前記エテール類溶媒は、ジエチレングリコールジメチルエテール、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエテール、エチレングリコールモノエチルエテール、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエテール、ジエチレングリコールモノエチルエテール、ジエチレングリコールモノブチルエテール、プロピレングリコールモノメチルエテール、プロピレングリコールモノメチルエテールアセテート、プロピレングリコールモノエチルエテールアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエテールアセテートなどでありうる。
【0060】
前記ケトン類溶媒は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、N−メチル−2−ピロリドンなどでありうる。
【0061】
前記芳香族炭化水素類溶媒は、トルエン、キシレン、アニソール、リモネンなどでありうる。
前記スルホキシド類溶媒は、ジメチルスルホキシドなどでありうる。
【0062】
この他にも、前記半導体回路接続用接着剤組成物は、カップリング剤を含むことができる。前記カップリング剤の種類は特に制限されないが、好ましくは2−(3,4エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチル−ジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピル−トリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、メルカプト含有3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどが好ましく適用され得る。
【0063】
発明の他の一実施形態によれば、前述した接着剤組成物を含む半導体回路接続用接着フィルムが提供される。
【0064】
前記半導体回路接続用接着フィルムは、前述した実施形態の半導体回路接続用接着剤組成物を含むことによって、常温下で優れた保管安定性を示しながらも、熱圧着ボンディングの際には高温下で短時間内に硬化可能な特性を示すことができる。
【0065】
一方、前記接着フィルムは、5rad/sの剪断速度で3,000乃至6,000Pa・sの溶融粘度を有することができる。
【0066】
この時、溶融粘度は、特定温度での粘度ではなく、前記接着フィルム全体区間で有することができる最低の粘度と定義され得、例えばTA社のadvanced rheometric expansion system(ARES)を利用して5rad/sの剪断速度で10℃/分の昇温速度を適用して測定した値の最も低い数値の粘度値を溶融粘度と判断することができる。
【0067】
溶融粘度の場合、樹脂の種類、アクリル樹脂の含有量、充填材の種類および含有量などにより多様に変動され得るが、前記接着フィルムは前述した実施形態の半導体回路接続用接着剤組成物を含むことによって従前の接着フィルムに比べて相対的に低い溶融粘度値を有することができる。
【0068】
これは前記接着剤組成物が分子構造内の水素結合が可能な前記化学式1の化合物を含むことによるもので、前記化学式1の化合物が水素結合可能な作用基を含む有機作用基を含んで反応が開始される温度を遅延させ、そのために反応の開始地点(Onset point)が共に移動することによって、従前の接着フィルムに比べて相対的に低い溶融粘度を有することができるようになる。もし、分子構造内の水素結合が可能な前記化学式1の触媒を含まない場合、このような反応の遅延効果がないため、より低い温度で反応が開始するようになり、それによって、溶融粘度が共に上昇するようになり、相対的に高い溶融粘度値を有するようになる。
【0069】
このような溶融粘度の変化は、非導電性フィルム(NCF)との接合の可能性、通電の可能性など全体フィルムの特性に影響を与え得る。
【0070】
一方、前記接着フィルムは、初期反応ピーク(peak)に対して、25℃で4週放置後の反応ピーク(peak)の変化量(△H)が20%以下、または5rad/sの剪断速度で初期溶融粘度に対して、25℃で4週放置後の溶融粘度の変化量が50%以下でありうる。
【0071】
この時、△H peak変化量は、示差熱分析器(DSC)を利用して測定した反応peak値の変化を通じて計算することができ、前記溶融粘度変化量は、前述した最低溶融粘度測定方法を利用して測定した溶融粘度値の変化量で計算することができる。
【0072】
前記接着フィルムの△H peak変化量が20%以下、または溶融粘度の変化量が50%以下である場合、常温での変化が少ないことから保管安定性に優れ、そのために常温で長時間放置後にも正常的な工程が可能になり得る。
【0073】
一方、前記フィルムを支持するための支持基材としては、耐熱性や耐薬品性に優れた樹脂フィルム;前記樹脂フィルムを構成する樹脂を架橋処理した架橋フィルム;または前記樹脂フィルムの表面にシリコン樹脂などを塗布して剥離処理したフィルムなどを利用することができる。
【0074】
前記樹脂フィルムを構成する樹脂としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエンのようなポリオレフィン、塩化ビニル、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリウレタンなどを適用することができる。
【0075】
前記支持基材の厚さは特に限定されないが、3乃至400μm、あるいは5乃至200μm、あるいは10乃至150μmでありうる。
【0076】
前記接着層は、前述した接着剤組成物からなる。前記接着剤組成物に関する内容は前述したとおりである。
【0077】
また、必要に応じて、前記支持基材と前記接着層との間には前記粘着層が介在してよい。前記粘着層としては、当該分野に公知のものを特別な制限なしに適用され得る。
【0078】
前記保護フィルムの種類は特に制限されず、当該分野に公知のプラスチックフィルムが適用され得る。例えば、前記保護フィルムは、低密度ポリエチレン、線形ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ポリプロピレンのランダム共重合体、ポリプロピレンのブロック共重合体、ホモポリプロピレン、ポリメチルペンテン(polymethylpentene)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−アイオノマー共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリブテン、スチレンの共重合体などの樹脂を含むプラスチックフィルムでありうる。
【0079】
前記半導体回路接続用接着フィルムは、前記接着剤組成物の構成成分を混合した後、これを支持基材上に所定の厚さにコーティングして接着層を形成し、前記接着層を乾燥する方法で製造され得る。
【0080】
また、前記接着フィルムは、前記支持基材上に接着層を形成した後、前記接着層上に保護フィルムを積層する方法で製造され得る。
【0081】
また、前記接着フィルムは、前記支持基材上に粘着層を形成した後、前記粘着層上に接着層および保護フィルムを順に積層する方法で製造され得る。
【0082】
前記支持基材上に接着層を形成する方法は、前記接着剤組成物をそのままあるいは適切な有機溶媒に希釈してコンマコーター、グラビアコーター、ダイコーター、リバースコーターなど公知の手段で前記支持基材または離型フィルム上に塗布した後、60℃乃至200℃の温度で10秒乃至30分間乾燥させる方法が利用され得る。
【0083】
必要に応じて、前記接着層の十分な架橋反応を進行させるためのエイジング工程が追加的に行われ得る。
【0084】
前記接着層の厚さは、1乃至500μm、あるいは5乃至100μm、あるいは5乃至50μmの範囲で適切に調節され得る。
【0085】
発明の具体的な実施形態を下記の実施例でより詳細に説明する。但し、下記の実施例は、発明の具体的な実施形態を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記の実施例により限定されるのではない。
【0086】
実施例1:半導体接着用樹脂組成物および接着フィルムの製造
(1)半導体回路接続用接着剤組成物の製造
エポキシ樹脂の硬化剤であるフェノール樹脂(KH−6021、DIC社製品、ビスフェノールAノボラック樹脂、水酸基当量121g/eq、軟化点:133℃)40g;高粘度液状エポキシ樹脂(RE−310S、日本化薬社製品、ビスフェノールAエポキシ樹脂、エポキシ当量180g/eq)40g;熱可塑性アクリレート樹脂KG−3015(Mw:90万、ガラス転移温度:10℃)40g;2−(1H−Imidazol−2−yl)benzoic acid(Sigma−Aldrich社)1.5g;および無機充填材(SC−2050、アドマテックス、球状シリカ、平均粒径約400nm)80gをメチルエチルケトンに混合して、半導体回路接続用接着剤組成物(固形分40重量%濃度)を得た。
【0087】
(2)接着フィルムの製造
コンマコーターを利用して前記接着剤組成物を離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ38μm)上に塗布した後、110℃で3分間乾燥して約20μm厚さの接着層が形成された接着フィルムを得た。
【0088】
(3)半導体装置の製造
高さ15μmおよびピッチ50μmの銅フィラーに鉛フリーソルダが3μm高さに形成されている半導体素子であるバンプチップ(4.5mmX4.5mm)を含むウエハーを準備した。
【0089】
前記ウエハーのバンプ面に前記接着フィルムの接着層が位置するようにして50℃で真空ラミネーションを進行した後、各々のチップに個別化した。
個別化されたバンプチップは、熱圧着ボンダを利用して50μmピッチ接続パッドを有している6mmx8mm基材チップに熱圧着ボンディングを進行した。その時の条件は、ヘッド温度100℃で2秒間100Nで仮接し、100℃で10分間放置した後、ヘッド温度を瞬間260℃に上げて4秒間100Nで熱圧着ボンディングを進行した。
【0090】
実施例2乃至3および比較例1乃至4
下記表1および2に示す成分と含有量を適用したことを除き、前記実施例1と同様な方法で半導体回路接続用接着剤組成物およびこれを適用した接着フィルムを製造し、これを用いて半導体装置を製造した。
【0092】
【表2】
*KH−6021:フェノール樹脂(DIC、水酸基当量:121g/eq、軟化点133℃)
*RE−310S:エポキシ樹脂(日本化薬、エポキシ当量180g/eq)
*KG−3015:アクリレート系樹脂(グリシジルメタクリレート系繰り返し単位3重量%包含、ガラス転移温度:10℃、重量平均分子量90万)
*化学式1−1:2−(1H−Imidazol−2−yl)benzoic acid
*化学式1−2:2−(4,5−Dihydro−1H−imidazol−2−yl)phenol
*化学式1−3:Methyl 2−(1H−imidazol−2−yl)benzoate
*2MZ−H:イミダゾール硬化促進剤(Curezol 2MZ−H、SHIKOKU)
*2PZ:イミダゾール硬化促進剤(Curezol 2PZ、SHIKOKU)
*2−(2−Methylphenyl)−1H−imidazole:イミダゾール硬化促進剤(Aldrich)
*3−(1H−Imidazol−2−yl)benzoic acid:イミダゾール硬化促進剤(化学式1−1と異性体、Aldrich)
*KBM−403:カップリング剤(エポキシ系、3−glycidoxypropyl trimethoxysilane、Shin−Etsu Chemical Co., Ltd.)
*SC−2050:充填材(アドマテックス、球状シリカ、平均粒径約400nm)
【0093】
[実験例:物性評価]
試験例
(1)溶融粘度測定
実施例および比較例でそれぞれ得られた接着層を厚さ320μmになるまで重ねて積層した後、60℃のロールラミネータを利用してラミネートした。その後、各試片を直径8mmの円形に成形した後、TA社のadvanced rheometric expansion system(ARES)を利用して5rad/sの剪断速度で10℃/分の昇温速度を適用して測定値の最も低い数値の粘度値を溶融粘度と判断した。
【0094】
(2)DS Conset評価
示差熱分析器(DSC)を利用して30乃至300℃範囲で10℃/min速度で測定を進行し、初期反応ピーク(peak)が形成され始める部分とbaselineを外挿して接する地点の温度をonsetと指定した。
【0095】
(3)ボイド評価
実施例および比較例でそれぞれ得られた半導体装置に対してScanning Acousitic Tomography(SAT)を通じてバンプチップと基材チップとの間にボイドが占める面積が1%以下になるものを合格(O)、そして1%超えるものを不合格(X)と評価した。
【0096】
(4)導通評価
実施例および比較例でそれぞれ得られた半導体装置に対してデイジーチェーン接続を確認することができたものを合格(O)、そしてデイジーチェーン接続を確認することができなかったものを不合格(X)と評価した。
【0097】
(5)接続状態評価
実施例および比較例でそれぞれ得られた半導体装置に対して接続部を断面研磨して露出させ、光学顕微鏡で観察した。接続部に接着組成物トラッピングが見えず、ハンダが配線に十分に濡れているものを合格(O)、そしてそれ以外のものを不合格(X)と評価した。
【0098】
(6)常温経時性評価
実施例および比較例でそれぞれ得られた接着フィルムを25℃で放置後、日別に示差熱分析器(DSC)を利用して△H peak変化量を計算し、前記最低溶融粘度測定方法を通じて最低溶融粘度の変化量を計算した。△H peakの場合、変化率が20%以上、最低溶融粘度の場合、変化率が50%以上変化時に経時変化があると判断した。4週が越えて経時変化がなければ合格(O)、そして4週以内に経時変化があれば不合格(X)と評価した。
【0101】
前記表3および4に示すように、実施例1乃至3で提供される半導体用接着フィルムは、相対的に低い溶融粘度を有しながらも、DS Conset温度が高く示されることが確認された。これは実施例1乃至3の組成物が高いDS Conset温度を有してコーティング時に乾燥工程の温度領域で実質的に微細反応が示されず、そのために相対的に低い粘度を有することができるようになることによるものとみられる。そのために、実施例1乃至3の接着フィルムを適用した半導体装置では、ボイドが実質的に残存せず、また100℃で仮接後、10分間放置する時間の間に△H peak変化量の低いため、経時変化が発生せず、導通不良および接続状態不良も発生しなかったことが確認された。
【0102】
これに反し、比較例の接着組成物のonsetが低いため、コーティング時に乾燥工程の温度で微細反応が行われて高い粘度を形成し、そのために比較例の接着フィルムを適用した半導体装置は、ボイドが残存しやすく、100℃で仮接後、10分間放置する時間の間に経時が発生して導通不良および接続状態不良が発生したことが確認された。また、比較例の接着フィルムは、常温で保管時にも反応が急速に進行されて4週以内に経時変化が発生することが確認された。