特許第6983462号(P6983462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6983462二次電池電極用バインダ組成物および電極合剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983462
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】二次電池電極用バインダ組成物および電極合剤
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/62 20060101AFI20211206BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20211206BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20211206BHJP
【FI】
   H01M4/62 Z
   H01M4/13
   H01M4/139
【請求項の数】16
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2020-546987(P2020-546987)
(86)(22)【出願日】2019年11月1日
(65)【公表番号】特表2021-515373(P2021-515373A)
(43)【公表日】2021年6月17日
(86)【国際出願番号】KR2019014718
(87)【国際公開番号】WO2020096287
(87)【国際公開日】20200514
【審査請求日】2020年9月7日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0136197
(32)【優先日】2018年11月7日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ヒ・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ア・カン
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ジョ・リュ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・スプ・ハン
(72)【発明者】
【氏名】チョン・マン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】チョルフン・チェ
【審査官】 前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第107325225(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第102746813(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M4/00−4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)脂肪族共役ジエン系第1単量体由来の第1繰り返し単位;
b1)芳香族ビニル系単量体、b2)アルキル(メタ)アクリル酸エステル系単量体、b3)(メタ)アクリルアミド系単量体、b4)アルケニルシアン化物単量体、およびb5)不飽和カルボン酸系単量体からなる群より選ばれた1種以上の第2単量体由来の第2繰り返し単位;および
c)下記化学式1で表される第3単量体由来の第3繰り返し単位を含み、
前記第3繰り返し単位は、前記第1繰り返し単位、前記第2繰り返し単位および前記第3繰り返し単位の総含有量に対して0.5〜0.95重量%で含まれる、
共重合体を含む、
二次電池電極用バインダ組成物:
【化1】
前記化学式1において、
Mはアルカリ金属であり、
Xは水素またはメチル基であり、
Yは炭素数1〜10のアルキレンであり、
Zは酸素原子、またはNRであり、ここでRは水素、または炭素数1〜10のアルキル基である。
【請求項2】
前記第1単量体は、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,2−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,4−ジメチル−1,3−ブタジエン、1−エチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、3−エチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエンおよび7−メチル−1,6−オクタジエンからなる群より選ばれた1種以上である、請求項1に記載の二次電池電極用バインダ組成物。
【請求項3】
前記第1繰り返し単位は、前記第1繰り返し単位、前記第2繰り返し単位および前記第3繰り返し単位の総含有量に対して0.1〜60重量%で含まれる、請求項1または2に記載の二次電池電極用バインダ組成物。
【請求項4】
前記第2単量体は、b1)芳香族ビニル系単量体、b2)アルキル(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびb5)不飽和カルボン酸系単量体からなる群より選ばれた3種以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の二次電池電極用バインダ組成物。
【請求項5】
前記第2繰り返し単位は、前記第1繰り返し単位、前記第2繰り返し単位および前記第3繰り返し単位の総含有量に対して39〜99.4重量%で含まれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の二次電池電極用バインダ組成物。
【請求項6】
前記化学式1において、
Yはメチレンであり、
Zは酸素原子である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の二次電池電極用バインダ組成物。
【請求項7】
前記共重合体は、下記数式1で計算されるゲル含有量が95%以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の二次電池電極用バインダ組成物:
[数式1]
ゲル含有量(%)=Mb/Ma*100
前記数式1において、
Maは前記共重合体試料を80度で24時間乾燥後測定された重量であり、
Mbは重量が測定された共重合体をTHF(テトラヒドロフラン)50gに24時間以上浸漬した後200Meshを介して濾した後、前記MeshとMeshに残っている共重合体を共に80度で24時間乾燥させた後Meshに残っている共重合体の重量である。
【請求項8】
前記共重合体は、40nm〜500nmの平均粒径を有するラテックス(latex)粒子である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の二次電池電極用バインダ組成物。
【請求項9】
水性溶媒をさらに含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の二次電池電極用バインダ組成物。
【請求項10】
前記水性溶媒は、前記共重合体100重量部に対して、50〜1,000重量部で含まれる、請求項9に記載の二次電池電極用バインダ組成物。
【請求項11】
脂肪族共役ジエン系第1単量体;芳香族ビニル系単量体、アルキル(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、アルケニルシアン化物単量体、および不飽和カルボン酸系単量体からなる群より選ばれた1種以上の第2単量体;および下記化学式1で表される第3単量体を、乳化剤および重合開始剤の存在下で乳化重合して共重合体を製造する段階で、
前記第3単量体は前記第1単量体、前記第2単量体および前記第3単量体の総含有量に対して0.5〜0.95重量%で使用される段階を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の二次電池電極用バインダ組成物の製造方法:
【化2】
前記化学式1において、
Mはアルカリ金属であり、
Xは水素またはメチル基であり、
Yは炭素数1〜10のアルキレンであり、
Zは酸素原子、またはNRであり、ここでRは水素、または炭素数1〜10のアルキル基である。
【請求項12】
前記乳化重合は、単一重合、または多段重合によって行われる、請求項11に記載の二次電池電極用バインダ組成物の製造方法。
【請求項13】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の二次電池電極用バインダ組成物から成る二次電池電極用バインダおよび電極活物質を含む、二次電池電極合剤。
【請求項14】
導電材をさらに含む、請求項13に記載の二次電池電極合剤。
【請求項15】
請求項13または14に記載の二次電池電極合剤を含む、電極合剤層;および
電極集電体を含む、二次電池電極。
【請求項16】
請求項15に記載の二次電池電極を含む、二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2018年11月7日付韓国特許出願第10−2018−0136197号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、二次電池電極用バインダ組成物およびそれを含む電極合剤に関する。
【背景技術】
【0003】
化石燃料使用の急激な増加によって代替エネルギやクリーンエネルギの使用に対する要求が増加しており、その一環として最も活発に研究されている分野が電気化学を利用した二次電池分野である。
【0004】
最近では携帯用コンピュータ、携帯電話、カメラなどの携帯用機器に対する技術開発と需要の増加により、エネルギ源として二次電池の需要が急激に増加しており、このような二次電池のうち、高いエネルギ密度と作動電位を有し、サイクル寿命が長く、磁気−放電率が低いリチウム二次電池に対する多くの研究が行われてきており、また商用化されて広く使われている。
【0005】
また、環境問題に対する関心が高まるにつれ大気汚染の主な原因の一つである化石燃料エンジンを代替できる電気自動車やハイブリッド自動車などに対する研究が多く行われており、リチウム二次電池はこのような電気自動車、ハイブリッド自動車などの動力源としても使われている。
【0006】
リチウム二次電池では、一般的にリチウム遷移金属酸化物を陽極活物質として使用し、黒鉛系物質を陰極活物質として使用する。リチウム二次電池の電極は、このような活物質とバインダ成分を混合し、溶媒に分散させてスラリーを作った後、これを集電体の表面に塗布して合剤層を形成させる方法によって製造される。
【0007】
一般的に、リチウム二次電池は、陽極のリチウムイオンが陰極に挿入されて脱離する過程を繰り返して充電と放電が行われるが、この繰り返し過程で電極活物質または導電材の間の結合が緩くなり、粒子間接触抵抗が増加して電極の自体抵抗も大きくなる。
【0008】
したがって、電極に使用されるバインダは、電極活物質と集電体との間の優れた結着力を維持できながらも、電極でリチウムイオンの挿入、脱離による電極活物質の膨張、収縮に対する緩衝作用ができなければならない。
【0009】
特に、最近では、電極の放電容量を高めるために、理論的放電容量が372mAh/gの天然黒鉛に放電容量が大きいシリコン、スズ、シリコン−スズ合金などのような材料を複合して使用する場合が多い。そのため、充電および放電が繰り返されることにより、材料の体積膨張率が顕著に増加し、そのため陰極材の離脱が発生して結果的に電池の容量が急激に低下して寿命が短くなる問題が発生している。
【0010】
また、リチウムイオン電池は、電池内部の電解質の分解時発生するガスによって膨らむスウェリング現象が発生し得るが、電子製品の使用により、電池の温度が上昇すると、電解質の分解が促進され、スウェリング現象が加速化して電池の安定性が低下する問題が発生し得る。
【0011】
したがって、電極活物質間または電極活物質と集電体との間の分離を防止できる程度に優れた結着力を実現できながらも、繰り返し充放電サイクルにも電極の構造的安定性を維持できるバインダおよび電極材料に対する研究が切実に求められる実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、ラテックス安定性に優れ、かつ活物質および電極に対して優れた結着力を付与できる二次電池電極用バインダ組成物を提供する。
【0013】
また本発明は、前記二次電池電極用バインダ組成物の製造方法を提供する。
【0014】
また本発明は、前記二次電池電極用バインダを含む二次電池電極合剤を提供する。
【0015】
また本発明は、前記二次電池電極合剤を含む二次電池電極を提供する。
【0016】
また本発明は、前記二次電池電極を含む二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記課題を解決するために、本発明は、
a)脂肪族共役ジエン系第1単量体由来の第1繰り返し単位;
b1)芳香族ビニル系単量体、b2)アルキル(メタ)アクリル酸エステル系単量体、b3)(メタ)アクリルアミド系単量体、b4)アルケニルシアン化物単量体、およびb5)不飽和カルボン酸系単量体からなる群より選ばれた1種以上の第2単量体由来の第2繰り返し単位;および
c)下記化学式1で表される第3単量体由来の第3繰り返し単位を含み、
前記第3繰り返し単位は、前記第1繰り返し単位、前記第2繰り返し単位および前記第3繰り返し単位の総含有量に対して0.5〜0.95重量%で含まれる、
共重合体を含む、
二次電池電極用バインダ組成物を提供する:
【0018】
【化1】
【0019】
前記化学式1において、
Mはアルカリ金属であり、
Xは水素またはメチル基であり、
Yは炭素数1〜10のアルキレンであり、
Zは酸素原子、またはNRであり、ここでRは水素、または炭素数1〜10のアルキル基である。
【0020】
本発明はまた、前記二次電池電極用バインダの製造方法を提供する。
【0021】
本発明はまた、前記二次電池電極用バインダおよび電極活物質を含む二次電池電極合剤を提供する。
【0022】
本発明はまた、前記二次電池電極合剤を含む電極合剤層および電極集電体を含む二次電池電極を提供する。
【0023】
本発明はまた、前記二次電池電極を含む二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明による二次電池電極用バインダ組成物は、ラテックス安定性に優れ、かつ活物質および電極に対して優れた結着力を付与でき、これを使用した二次電池の性能を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明で、第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するために使用され、前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。
【0026】
また、本明細書で使用される用語は、単に例示的な実施例を説明するために使用されるものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なる意味を示さない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は実施された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものと理解しなければならない。
【0027】
また、本発明において、各層または要素が各層または要素「上に」または「の上に」形成されると言及される場合は、各層または要素が直接各層または要素の上に形成されることを意味するか、または他の層または要素が各層の間、対象体、基材上に追加的に形成され得ることを意味する。
【0028】
本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるため、特定の実施例を例示して下記で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものとして理解しなければならない。
【0029】
(二次電池電極用バインダ)
発明の一実施形態による二次電池電極用バインダ組成物は、
a)脂肪族共役ジエン系第1単量体由来の第1繰り返し単位;
b1)芳香族ビニル系単量体、b2)アルキル(メタ)アクリル酸エステル系単量体、b3)(メタ)アクリルアミド系単量体、b4)アルケニルシアン化物単量体、およびb5)不飽和カルボン酸系単量体からなる群より選ばれた1種以上の第2単量体由来の第2繰り返し単位;および
c)下記化学式1で表される第3単量体由来の第3繰り返し単位を含む共重合体を含み、
この時、前記共重合体内の前記第3繰り返し単位は、前記第1繰り返し単位、前記第2繰り返し単位および前記第3繰り返し単位の総含有量に対して0.5〜0.95重量%で含まれる:
【0030】
【化2】
【0031】
前記化学式1において、
Mはアルカリ金属であり、
Xは水素またはメチル基であり、
Yは炭素数1〜10のアルキレンであり、
Zは酸素原子、またはNRであり、ここでRは水素、または炭素数1〜10のアルキル基である。
【0032】
本発明の一実施形態による二次電池電極用バインダ組成物は、脂肪族共役ジエン系第1単量体由来の第1繰り返し単位およびその他上述した第2単量体由来の第2繰り返し単位とともに、特定構造を有する前記化学式1で表される第3単量体由来の第3繰り返し単位、具体的に末端にヒドロキシプロピルスルホネート基を有する単量体由来の第3繰り返し単位を同時に含む共重合体を含む。
【0033】
前記末端にヒドロキシプロピルスルホネート基を有する第3単量体由来の第3繰り返し単位が含まれた共重合体はヒドロキシ基およびスルホネート基によって電極活物質間および/または活物質−電極集電体間の結着力を強化させることができる。より具体的には、前記共重合体側鎖または末端に位置したヒドロキシ基およびスルホネート基は電極集電体の金属表面と化学結合をなすことができ、前記第3繰り返し単位を含む共重合体をバインダとして使用する場合、電極合剤層と電極集電体に対する結着力が向上することができる。
【0034】
また、前記共重合体を乳化重合によって製造時、前記化学式1で表される第3単量体は分子内のアルケニル基を含んで重合反応に直接参加するので、粒子表面に安定性を付与でき、そのため最終生成された共重合体の機械的安定度(mechanical stability)が向上することができる。
【0035】
そして、前記第3繰り返し単位は、前記第1繰り返し単位、前記第2繰り返し単位および前記第3繰り返し単位の総含有量に対して0.5〜0.95重量%で含まれる。本発明で、「前記第3繰り返し単位が前記第1繰り返し単位、前記第2繰り返し単位および前記第3繰り返し単位の総含有量に対して0.5〜0.95重量%で含まれる」ことの意味は、前記共重合体は、前記第1単量体、第2単量体および第3単量体の乳化重合によって製造され、この時、前記第3単量体が上述した第1単量体、第2単量体および第3単量体の総含有量に対して0.5〜0.95重量%で使用されることを意味する。前記共重合体において前記第3繰り返し単位が0.5重量%未満で含まれる場合、第3繰り返し単位による安定性改善効果がわずかであるかなく、0.95重量%超えて含まれる場合、凝集量(Coagulum)が増加したりまたはそれを含む合剤層の電極集電体に対する接着力が低くなる。
【0036】
以下、発明の一実施形態による二次電池電極用バインダ組成物に対して繰り返し単位別により詳細に説明する。
【0037】
本発明による第1繰り返し単位は、脂肪族共役ジエン系第1単量体から由来する。具体的には、前記第1繰り返し単位は、重合時脂肪族共役ジエン系単量体を投入して形成された共重合体の構造単位で、このような脂肪族共役ジエン系単量体から由来した第1繰り返し単位が共重合体に含まれる場合、本発明によるバインダは、高温で電解液スウェリング現象が抑制され得、ゴム成分による弾力性を有することになって、電極の厚さを減らすことができ、ガス発生現象を減少させるだけでなく、電極活物質と集電体との間の結着力が維持されるように接着力も向上させる役割を遂行することができる。
【0038】
前記脂肪族共役ジエン系単量体である第1単量体としては、炭素数2〜20の脂肪族共役ジエン系化合物が使用され得る。非制限的な例として、前記脂肪族共役ジエン系第1単量体は、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,2−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,4−ジメチル−1,3−ブタジエン、1−エチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、2,4−ジメチル−1,3−ペンタジエン、3−エチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエンおよび7−メチル−1,6−オクタジエンからなる群より選ばれた1種以上でありうる。好ましくは、前記脂肪族共役ジエン系第1単量体として1,3−ブタジエンが使用され得る。
【0039】
このような第1繰り返し単位は、前記第1繰り返し単位、前記第2繰り返し単位および前記第3繰り返し単位の総含有量に対して0.1〜60重量%で含まれ得る。すなわち、前記共重合体製造時前記第1単量体は、前記第1単量体、第2単量体および第3単量体の総含有量に対して0.1〜60重量%で使用され得る。例えば、前記第1繰り返し単位は、前記第1繰り返し単位、前記第2繰り返し単位および前記第3繰り返し単位の総含有量に対して10重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、または30重量%以上で含まれたり、58重量%以下、55重量%以下、53重量%以下、または50重量%以下で含まれ得る。前記共重合体において前記第1繰り返し単位が60重量%を超えて含まれる場合、バインダの強度が低下したり反応物の収率が減少する問題があり得る。
【0040】
また、本発明による第2繰り返し単位は、b1)芳香族ビニル系単量体、b2)アルキル(メタ)アクリル酸エステル系単量体、b3)(メタ)アクリルアミド系単量体、b4)アルケニルシアン化物単量体、およびb5)不飽和カルボン酸系単量体からなる群より選ばれた1種以上、好ましくは3種以上の第2単量体から由来する。具体的には、前記第2繰り返し単位は重合時上述した第2単量体を投入して形成された共重合体の構造単位に該当する。
【0041】
前記芳香族ビニル系単量体は、スチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、ビニル安息香酸、ビニル安息香酸メチル、ビニルナフタレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレンおよびジビニルベンゼンからなる群より選ばれる1種以上であり得、好ましくは、スチレンでありうる。
【0042】
そして、前記アルキル(メタ)アクリレート系単量体は、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−エチルヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、セリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、セチルメタクリレート、およびステアリルメタクリレートからなる群より選ばれた1種以上であり得、好ましくはメチルメタクリレートでありうる。
【0043】
そして、前記(メタ)アクリルアミド系単量体は、アクリルアミド、−メチロールアクリルアミド、−ブトキシメチルアクリルアミド、メタクリルアミド、−メチロールメタクリルアミド、−ブトキシメチルメタクリルアミドからなる群より選ばれた1種以上でありうる。
【0044】
そして、前記アルケニルシアン化物単量体は、分子内にエチレン性不飽和グループとニトリルグループをすべて含む単量体で、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アリルシアニドなどが挙げられる。
【0045】
そして、前記不飽和カルボン酸系単量体は、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、およびナジック酸からなる群より選ばれた1種以上でありうる。
【0046】
具体的には、前記第2単量体として、b1)芳香族ビニル系単量体、b2)アルキル(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびb5)不飽和カルボン酸系単量体からなる群より選ばれた3種以上が使用され得る。好ましくは、前記第2単量体として、b1)スチレン、b2)メチルメタクリレートおよびb5)アクリル酸およびイタコン酸が使用され得る。
【0047】
このような第2繰り返し単位は、前記第1繰り返し単位、前記第2繰り返し単位および前記第3繰り返し単位の総含有量に対して39〜99.4重量%で含まれ得る。すなわち、前記共重合体製造時前記第2単量体は、前記第1単量体、第2単量体および第3単量体の総含有量に対して39〜99.4重量%で使用され得る。例えば、前記第2繰り返し単位は、前記第1繰り返し単位、前記第2繰り返し単位および前記第3繰り返し単位の総含有量に対して41重量%以上、44重量%以上、46重量%以上、または49重量%以上で含まれたり、89.5重量%以下、84.5重量%以下、79.5重量%以下、または69.5重量%以下で含まれ得る。前記共重合体において前記第2繰り返し単位が39重量%未満で含まれる場合、バインダの強度が低下したりまたは電解液との親和度が劣る問題があり得る。
【0048】
また、本発明による第3繰り返し単位は、前記化学式1で表される第3単量体から由来する。具体的には、前記第3繰り返し単位は、重合時前記化学式1で表される単量体を投入して形成された共重合体の構造単位で、本発明による共重合体が前記第3繰り返し単位を特定水準で含む場合、前述したように、重合工程時重合安定性が改善すると同時にそれを含む合剤層の電極に対する接着力が向上することができる。
【0049】
好ましくは、前記化学式1において、Yはメチレンであり、Zは酸素原子である。
【0050】
例えば、前記化学式1で表される単量体は下記化学式1−1で表されるスルホン酸3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンナトリウムである:
【0051】
【化3】
【0052】
一方、本発明による共重合体は、乳化重合によって製造されたラテックス(latex)粒子形態を有する。具体的には、前記共重合体は、40nm〜500nmの平均粒径を有するラテックス粒子でありうる。前記ラテックス粒子の平均粒径は、動的光散乱法(Dynamic light scattering)を利用した粒度分析機(NICOMP AW380,PSS社製)を用いて測定することができる。
【0053】
具体的には、本明細書における平均粒径は、動的光散乱法(Dynamic light scattering)により測定される粒度分布における算術平均粒径を意味し、この時、算術平均粒径は、散乱強度(Intensity distribution)平均粒径、体積(Volume distribution)平均粒径、または個数(Number distribution)平均粒径で測定することができ、そのうち散乱強度平均粒径で測定することが好ましい。
【0054】
例えば、前記共重合体は、40nm以上、または70nm以上、または100nm以上であり、かつ500nm以下、または400nm以下、または300nm以下、または200nm以下の平均粒径を有するラテックス粒子でありうる。前記ラテックス粒子の平均粒径が過度に小さいとラテックス粒子の安定性が低下し得、逆に前記ラテックス粒子の平均粒径が過度に大きいとそれを含む合剤層の集電体に対する接着力が弱くなる。したがって、このような観点から前記共重合体は、上述した範囲の平均粒径を有するラテックス粒子であることが好ましい。
【0055】
そして、前記共重合体は、下記数式1で計算されるゲル含有量が95%以上でありうる:
[数式1]
ゲル含有量(%)=M/M* 100
前記数式1において、
は前記共重合体試料を80度で24時間乾燥後測定された重量であり、
は重量が測定された共重合体をTHF(テトラヒドロフラン)50gに24時間以上浸漬した後200Meshを介して濾した後、前記MeshとMeshに残っている共重合体を共に80度で24時間乾燥させた後のMeshに残っている共重合体の重量である。
【0056】
前記の共重合体のゲル含有量は、共重合体の架橋程度を意味し、数式1のように計算して電解液に対する不用分率で表される。好ましくは、前記共重合体のゲル含有量は、95%〜99%、または95%〜98%、または96%〜97.5%であり、前記共重合体のゲル含有量が95%未満である場合、電解液に対するスウェリング(swelling)が高まって電池の寿命が低下し得る。
【0057】
また、前記ラテックス粒子形態の共重合体は、150gを容器に入れて3000rpmで10分間shearを加えた後200meshに濾して測定した凝集量(Coagulum)が200ppm以下、または150ppm以下、または130ppm以下であり、同時に前記共重合体をバインダとして使用して製造した電極合剤と集電体間との180度剥離強度が27g/in以上、または28g/in以上、または30g/in以上であり、かつ50g/in以下、または48g/in以下、または45g/in以下でありうる。
【0058】
また、前記二次電池電極用バインダ組成物は、上述した共重合体、すなわちラテックス粒子の他に水性溶媒をさらに含むこともできる。
【0059】
この時、前記水性溶媒は、ラテックス粒子の安定性および粘度調整の側面から、前記共重合体100重量部に対して約50〜約1,000重量部、好ましくは約50〜約200重量部で使用され得、例えば、バインダ組成物総量を基準とした時、総固形分含有量(total solid content,TSC)が約10〜約60%に調整されるように使用され得る。
【0060】
前記水性溶媒が過度に少なく使用される場合、ラテックス粒子の安定性が低下する問題が発生し得、溶媒が過度に多く使用される場合、粘度が低下してバインダの接着力が弱くなり、そのため電池の諸般性能が低下する問題が発生し得る。
【0061】
一方、本発明のまた他の一側面によれば、
脂肪族共役ジエン系第1単量体;芳香族ビニル系単量体、アルキル(メタ)アクリル酸エステル系単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、アルケニルシアン化物単量体、および不飽和カルボン酸系単量体からなる群より選ばれた1種以上の第2単量体;および前記化学式1で表される第3単量体を、乳化剤および重合開始剤の存在下で乳化重合して共重合体を製造する段階で、
前記第3単量体は、前記第1単量体、前記第2単量体および前記第3単量体の総含有量に対して0.5〜0.95重量%で使用される段階を含む二次電池電極用バインダ組成物の製造方法を提供する。
【0062】
この時、前記第1単量体、第2単量体および第3単量体に対する説明は上述したとおりである。
【0063】
また、前記乳化重合は、単一重合または多段重合によって行われ得る。ここで、単一重合は、使用される単量体を単一反応器に入れて同時に重合させる方法を意味し、多段重合は、使用される単量体を2段以上に順次重合させる方法を意味する。
【0064】
また、前記乳化重合は、上述した水性溶媒を含む溶液内で乳化剤および重合開始剤の存在下に行われ得る。
【0065】
前記共重合体の製造のための乳化重合の重合温度および重合時間は、場合によって適宜決定することができる。例えば、重合温度は約50℃〜約200℃であり得、重合時間は約0.5時間〜約20時間でありうる。
【0066】
前記乳化重合時使用可能な重合開始剤としては、無機または有機過酸化物が使用され得、例えば、カリウムパースルフェート、ナトリウムパースルフェート、アンモニウムパースルフェートなどを含む水溶性開始剤と、クメンヒドロペルオキシド、ベンゾイルパーオキサイドなどを含む油溶性開始剤を使用することができる。
【0067】
また、前記重合開始剤とともに過酸化物の反応開始を促進させるために活性化剤をさらに含み得、このような活性化剤としてはホルムアルデヒドスルホキシレートナトリウム、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、硫酸第1鉄、およびデキストロースからなる群より選ばれた1種以上が使用され得る。
【0068】
そして、前記乳化重合のための乳化剤としては、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルソディウムスルホサクシネートなどの陰イオン系乳化剤、またはポリオキシエチレンラウリルエーテルのようなポリエチレンオキシドアルキルエーテル、ポリエチレンオキシドアルキルアリールエーテル、ポリエチレンオキシドアルキルアミン、ポリエチレンオキシドアルキルエステルなどの非イオン系乳化剤が使用され得る。このような乳化剤は、親水性(hydrophilic)基と疎水性(hydrophobic)基を同時に有している物質で、乳化重合過程で、ミセル(micelle)構造を形成し、ミセル構造の内部で各単量体の重合が起きるようにする。好ましくは、前記陰イオン系乳化剤および前記非イオン系乳化剤を単独あるいは2種以上混合して使用でき、陰イオン乳化剤と非イオン乳化剤を混合して使用する場合、より効果的であり得るが、本発明が必ずしもこのような乳化剤の種類に制限されるものではない。
【0069】
そして、前記乳化剤は、例えば、前記共重合体の製造に使用される単量体成分合計100重量部に対して、約0.01〜約10重量部、約1〜約10重量部、または約3〜約5重量部で使用され得る。
【0070】
(電極合剤および電極)
一方、本発明のまた他の一側面によれば、上述した二次電池電極用バインダおよび電極活物質を含む二次電池電極合剤が提供される。
【0071】
そして、本発明のまた他の一側面によれば、このような二次電池電極合剤を含む電極合剤層;および電極集電体を含む二次電池電極が提供される。
【0072】
前述したバインダを除いて、本発明の電極合剤および電極に使用される電極活物質、電極集電体などはそれぞれ一般的に知られている構成要素を含み得る。
【0073】
例えば、前記電極合剤は陰極の製造に使用され得る。すなわち、前記電極合剤は陰極合剤であり得、前記電極活物質は陰極活物質でありうる。
【0074】
ここで、前記バインダは、前記陰極合剤全体重量(100重量%)中の、1重量%〜10重量%、具体的には1重量%〜5重量%で含まれ得る。これを満足する時、前記陰極活物質の含有量を相対的に高めることができ、電極の放電容量をより向上させることができる。
【0075】
一方、前記バインダは結着力、機械的物性などにおいて優れた特性を有するので、前記陰極合剤の陰極活物質として黒鉛系陰極活物質が使用される場合は勿論それより高容量である陰極活物質が使用されても、陰極活物質と陰極活物質との間、陰極活物質と陰極集電体との間などの結着力を維持でき、その自体の機械的物性によって陰極活物質の膨張を抑制することができる。
【0076】
このように前記バインダは、黒鉛系陰極活物質だけでなくそれより高容量である陰極活物質と共に適用するのに適するものであるため、本発明の一実施形態では前記陰極活物質の種類を特に制限しない、
【0077】
具体的には、前記陰極活物質としては、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LiFe(0≦x≦1)、LiWO(0≦x≦1)、SnMe1−xMe’(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me’:Al、B、P、Si、周期表の1族、2族、3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;けい素系合金;スズ系合金;SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、GeO、GeO、Bi、Bi、Biなどの金属酸化物;ポリアセチレンなどの導電性高分子;Li−Co−Ni系材料;チタニウム酸化物;リチウムチタニウム酸化物などを使用することができる。
【0078】
陰極集電体は、一般的に3μm〜500μmの厚さで作られる。このような陰極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ導電性を有したものであれば特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム−カドミウム合金などが使用され得る。また、表面に微細な凹凸を形成して陰極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態で使用され得る。
【0079】
前記陰極は陰極集電体上に陰極活物質、および前記バインダを含む電極合剤を塗布した後乾燥および圧延して製造され、必要によっては、導電材、充填材などをさらに添加して製造することができる。
【0080】
前記導電材は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において化学変化を引き起こさず電子伝導性材料であればいかなるものでも使用可能であり、その例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末または金属繊維などの金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0081】
前記充填材は、陰極の膨張を抑制する成分として選択的に使用され、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ繊維状材料であれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系重合剤;ガラス繊維、炭素繊維などの繊維状材料を使用することができる。
【0082】
一方、前記電極合剤は、陰極用に制限されず、陽極の製造に使用されることもできる。すなわち、前記電極合剤は陽極合剤であり得、前記電極活物質は陽極活物質でありうる。
【0083】
前記陽極活物質は、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO)などの層状化合物や1またはそれ以上の遷移金属に置換された化合物;化学式Li1+xMn2−x(ここで、xは0〜0.33である)、LiMnO、LiMn、LiMnOなどのリチウムマンガン酸化物;リチウム銅酸化物(LiCuO);LiV、LiFe、V、Cuなどのバナジウム酸化物;化学式LiNi1−x(ここで、M=Co、Mn、Al、Cu、Fe、Mg、BまたはGaであり、x=0.01〜0.3である)で表されるNiサイト型リチウムニッケル酸化物;化学式LiMn2−x(ここで、M=Co、Ni、Fe、Cr、ZnまたはTaであり、x=0.01〜0.1である)またはLiMnMO(ここで、M=Fe、Co、Ni、CuまたはZnである)で表されるリチウムマンガン複合酸化物;LiNiMn2−xで表されるスピネル構造のリチウムマンガン複合酸化物;化学式のLiの一部がアルカリ土金属イオンに置換されたLiMn;ジスルフィド化合物;Fe(MoOなどが挙げられるが、これらだけに限定されるものではない。
【0084】
前記陽極集電体は、一般的に3μm〜500μmの厚さで作られる。このような陽極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ高い導電性を有するものであれば特に制限されるものではなくて、例えば、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、またはアルミニウムやステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使用され得る。集電体は、その表面に微細な凹凸を形成して陽極活物質の接着力を高めることもでき、フィルム、シート、箔、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態が可能である。
【0085】
前記導電材は、当該電池に化学的変化を誘発せず、かつ導電性を有するものであれば特に制限されるものではなく、例えば、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維;フッ化カーボン、アルミニウム、ニッケル粉末などの金属粉末;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウイスカ;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの導電性素材などが使用され得る。
【0086】
前記陰極および前記陽極のうち、前述したバインダが使用されていない電極には、一般的に知られているバインダが使用され得る。その代表的な例として、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルクロライド、カルボキシル化したポリビニルクロライド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−ブタジエンゴム、アクリレーティッドスチレン−ブタジエンゴム、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用できるが、これに限定されるものではない。
【0087】
前記陰極と前記陽極は、それぞれ活物質およびバインダ、場合によっては導電材、充填材などを溶媒の中から混合してスラリー相の電極合剤に製造し、この電極合剤をそれぞれの電極集電体に塗布して製造することができる。このような電極製造方法は、当該分野に広く知られている内容であるため本明細書での詳細な説明は省略する。
【0088】
(電池)
一方、本発明の他の一側面によれば、前記二次電池電極を含む、二次電池が提供される。このような電池は、具体的には、陽極;電解質;および陰極を含む形態でありうる。
【0089】
前記二次電池は、リチウム二次電池に実現されることができる。
【0090】
前記リチウム二次電池は、陽極、分離膜、および陰極を含む電極組立体に非水系電解質を含浸させ製造することができる。
【0091】
前記陽極および前記陰極は前述したとおりである。
【0092】
前記分離膜の場合、陰極と陽極を分離してリチウムイオン移動通路を提供するもので、リチウム電池で通常使用されるものであればすべて使用可能である。すなわち、電解質のイオン移動に対して低抵抗であり、かつ電解液含湿能力に優れるものが使用され得る。例えば、ガラス繊維、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはこれらの組み合わせた物の中から選ばれたもので、不織布または織布形態でもよい。例えば、リチウムイオン電池にはポリエチレン、ポリプロピレンなどのようなポリオレフィン系高分子セパレータが主に使用され、耐熱性または機械的強度確保のためにセラミック成分または高分子物質が含まれたコートされたセパレータが使用されることもでき、選択的に単層または多層構造で使用され得る。
【0093】
場合によって、前記分離膜上には電池の安全性を高めるためにゲルポリマー電解質がコートされ得る。このようなゲルポリマーの代表的な例としてはポリエチレンオキシド、ポリビニリデンフルオリド、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。
【0094】
ただし、前記非水電解質でない固体電解質が使用される場合は、固体電解質が分離膜を兼ねることもできる。
【0095】
前記非水電解質は、前記電解質は非水性有機溶媒とリチウム塩を含む液体電解質でありうる。前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割をする。
【0096】
前記非水電解質としては非水電解液、有機固体電解質、無機固体電解質などが使用される。
【0097】
前記非水電解液としては、例えば、N−メチル−2−ピロリジノン、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ガンマ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、ホルム酸メチル、酢酸メチル、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エーテル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの非プロトン性有機溶媒が使用され得る。
【0098】
前記有機固体電解質としては、例えば、ポリエチレン誘導体、ポリエチレンオキシド誘導体、ポリプロピレンオキシド誘導体、リン酸エステルポリマー、ポリリン、ポリエステルスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、イオン性解離基を含む重合体などが使用され得る。
【0099】
前記無機固体電解質としては、例えば、LiN、LiI、LiNI、LiN−LiI−LiOH、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiSiS、LiSiO、LiSiO−LiI−LiOH、LiPO−LiS−SiSなどのLiの窒化物、ハロゲン化物、硫酸塩などが使用され得る。
【0100】
前記リチウム塩は、前記非水系電解質に溶解しやすい物質として、例えば、LiCl、LiBr、LiI、LiClO、LiBF、LiB10Cl10、LiPF、LiCFSO、LiCFCO、LiAsF、LiSbF、LiAlCl、CHSOLi、CFSOLi、LiSCN、LiC(CFSO、(CFSONLi、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、4フェニルほう酸リチウム、などが使用され得る。
【0101】
また、電解液には充放電特性、難燃性などの改善を目的に、例えば、ピリジン、トリメチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グライム(glyme)、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N−置換オキサゾリジノン、N,N−置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2−メトキシエタノール、三塩化アルミニウムなどが添加されることもできる。場合によっては、不燃性を付与するために、四塩化炭素、三フッ化エチレンなどのハロゲン含有溶媒をさらに含ませることもでき、高温保存特性を向上させるために二酸化炭酸ガスをさらに含ませることもでき、FEC(フルオロ−エチレンカーボネート)、PRS(プロペンスルトン)、FPC(フルオロ−プロピレンカーボネート)などをさらに含ませることができる。
【0102】
本発明によるリチウム二次電池は、小型デバイスの電源として使用される電池セルに使用できるだけでなく、多数の電池セルを含む中大型電池モジュールに単位電池としても使用され得る。
【0103】
以下、発明の理解を深めるために好ましい実施例が提示される。しかし、下記の実施例は発明を例示するためであり、発明をこれらだけに限定するものではない。
【実施例】
【0104】
実施例1
(1)バインダの製造
単量体としては(a)1,3−ブタジエン(44g)、(b1)スチレン(47.05g)、(b2)メチルメタクリレート(5g)、(b5)アクリル酸とイタコン酸(3g)、(c)スルホン酸3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンナトリウム(0.95g)を、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウムおよびポリオキシエチレンラウリルエーテル(1.3g)、バッファーとしてNaHCOが含まれている水に添加して75℃まで昇温させた後、重合開始剤としてアンモニウムパースルフェートを入れて単一重合をした。温度75℃を維持して約8時間反応させてラテックス粒子形態の共重合体を含むバインダ組成物を製造した。これにより収得された実施例1のバインダ組成物は全体固形分含有量が40%であり、粒度分析機(NICOMP AW380,PSS社製)を用いて測定されたラテックス粒子の平均粒径は110nmであった。重合が完了したバインダ組成物のpHを水酸化ナトリウムを使用して中性(pH7)に調整した。
【0105】
(2)陰極合剤の製造
陰極は水を分散媒として全体固形分100g重量基準に天然黒鉛(96.9g)、アセチレンブラック(0.4g)、前記実施例1で製造したラテックス粒子形態の二次電池用バインダ(1.5g)、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(1.2g)を混合し、全体固形分含有量が50重量%になるようにして陰極用スラリー相の陰極合剤を製造した。
【0106】
(3)陰極の製造
コンマコーターを用いて、前記実施例1の陰極合剤を銅箔に100マイクロメーターの厚さに塗布した後、90℃のドライオーブンに入れて15分間乾燥した後、総厚さが70μmになるようにロール−プレス(roll−press)して実施例1の陰極を収得した。
【0107】
実施例2
(1)バインダの製造
単量体としては(a)1,3−ブタジエン(45g)、(b1)スチレン(46.3g)、(b2)メチルメタクリレート(5g)、(b5)アクリル酸とイタコン酸(3g)、(c)スルホン酸3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンナトリウム(0.7g)を使用したことを除いては実施例1と同じ方法で重合し、平均粒径111nmであるラテックス粒子形態の共重合体を含むバインダ組成物を製造した。
【0108】
(2)陰極合剤および陰極の製造
前記実施例1のバインダの代わりに前記実施例2のバインダを使用して実施例1と同様の方法で陰極合剤を製造し、その陰極合剤を使用して実施例2の陰極を製造した。
【0109】
実施例3
(1)バインダの製造
単量体としては(a)1,3−ブタジエン(45.2g)、(b1)スチレン(46.3g)、(b2)メチルメタクリレート(5g)、(b5)アクリル酸とイタコン酸(3g)、(c)スルホン酸3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンナトリウム(0.5g)を使用したことを除いては実施例1と同じ方法で重合し、平均粒径110nmであるラテックス粒子形態の共重合体を含むバインダ組成物を製造した。
【0110】
(2)陰極合剤および陰極の製造
前記実施例1のバインダの代わりに前記実施例3のバインダを使用して実施例1と同様の方法で陰極合剤を製造し、その陰極合剤を使用して実施例3の陰極を製造した。
【0111】
実施例4
(1)バインダの製造
単量体としては(a)1,3−ブタジエン(44g)、(b1)スチレン(47.05g)、(b2)メチルメタクリレート(5g)、(b5)アクリル酸とイタコン酸(3g)、(c)スルホン酸3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンナトリウム(0.95g)、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウムおよびポリオキシエチレンラウリルエーテル(0.7g)を使用したことを除いては実施例1と同じ方法で重合し、平均粒径151nmであるラテックス粒子形態の共重合体を含むバインダ組成物を製造した。
【0112】
(2)陰極合剤および陰極の製造
前記実施例1のバインダの代わりに前記実施例4のバインダを使用して実施例1と同様の方法で陰極合剤を製造し、その陰極合剤を使用して実施例4の陰極を製造した。
【0113】
実施例5
(1)バインダの製造
単量体としては(a)1,3−ブタジエン(45g)、(b1)スチレン(46.3g)、(b2)メチルメタクリレート(5g)、(b5)アクリル酸とイタコン酸(3g)、(c)スルホン酸3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンナトリウム(0.7g)、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウムおよびポリオキシエチレンラウリルエーテル(0.7g)を使用したことを除いては実施例1と同じ方法で重合し、平均粒径153nmのラテックス粒子形態の共重合体を含むバインダ組成物を製造した。
【0114】
(2)陰極合剤および陰極の製造
前記実施例1のバインダの代わりに前記実施例5のバインダを使用して実施例1と同様の方法で陰極合剤を製造し、その陰極合剤を使用して実施例5の陰極を製造した。
【0115】
比較例1
(1)バインダの製造
単量体としては(a)1,3−ブタジエン(42.5g)、(b1)スチレン(49.5g)、(b2)メチルメタクリレート(5g)、(b5)アクリル酸とイタコン酸(3g)を、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウムおよびポリオキシエチレンラウリルエーテル(1.3g)、バッファーとしてNaHCOが含まれている水に添加して75℃まで昇温させた後、重合開始剤としてアンモニウムパースルフェートを入れて単一重合をした。温度75℃を維持して約8時間反応させてラテックス粒子形態の共重合体を含むバインダ組成物を製造した。これにより収得された比較例1のバインダ組成物は全体固形分含有量が40%であり、粒度分析機(NICOMP AW380,PSS社製)を用いて測定されたラテックス粒子の平均粒径は113nmであった。重合が完了したバインダ組成物のpHを水酸化ナトリウムを使用して中性(pH7)に調整した。
【0116】
(2)陰極合剤の製造
陰極は水を分散媒として全体固形分100g重量基準に天然黒鉛96.9(g)、アセチレンブラック(0.4g)、前記比較例1で製造したラテックス粒子形態の二次電池用バインダ(1.5g)、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(1.2g)を混合し、全体固形分含有量が50重量%になるようにして陰極用スラリー相の陰極合剤を製造した。
【0117】
(3)陰極の製造
コンマコーターを用いて、前記比較例1の陰極合剤を銅箔に100マイクロメーターの厚さに塗布した後、90℃のドライオーブンに入れて15分間乾燥した後、総厚さが70μmになるようにロール−プレス(roll−press)して比較例1の陰極を収得した。
【0118】
比較例2
(1)バインダの製造
単量体としては(a)1,3−ブタジエン(42.5g)、(b1)スチレン(49.2g)、(b2)メチルメタクリレート(5g)、(b5)アクリル酸とイタコン酸(3g)、(c)スルホン酸3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンナトリウム(0.3g)を使用したことを除いては比較例1と同じ方法で重合し、平均粒径111nmであるラテックス粒子形態の共重合体を含むバインダ組成物を製造した。
【0119】
(2)陰極合剤および陰極の製造
前記比較例1のバインダの代わりに前記比較例2のバインダを使用して比較例1と同様の方法で陰極合剤を製造し、その陰極合剤を使用して比較例2の陰極を製造した。
【0120】
比較例3
(1)バインダの製造
単量体としては(a)1,3−ブタジエン(42g)、(b1)スチレン(47.1g)、(b2)メチルメタクリレート(5g)、(b5)アクリル酸とイタコン酸(2.9g)、(c)スルホン酸3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンナトリウム(3g)を使用したことを除いては比較例1と同じ方法で重合し、平均粒径110nmであるラテックス粒子形態の共重合体を含むバインダ組成物を製造した。
【0121】
(2)陰極合剤および陰極の製造
前記比較例1のバインダの代わりに前記比較例3のバインダを使用して比較例1と同様の方法で陰極合剤を製造し、その陰極合剤を使用して比較例3の陰極を製造した。
【0122】
比較例4
(1)バインダの製造
単量体としては(a)1,3−ブタジエン(41g)、(b1)スチレン(47g)、(b2)メチルメタクリレート(4g)、(b5)アクリル酸とイタコン酸(3g)、(c)スルホン酸3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンナトリウム(5g)を使用したことを除いては比較例1と同じ方法で重合し、平均粒径108nmであるラテックス粒子形態の共重合体を含むバインダ組成物を製造した。
【0123】
(2)陰極合剤および陰極の製造
前記比較例1のバインダの代わりに前記比較例4のバインダを使用して比較例1と同様の方法で陰極合剤を製造し、その陰極合剤を使用して比較例4の陰極を製造した。
【0124】
比較例5
(1)バインダの製造
単量体としては、(a)1,3−ブタジエン(45g)、(b1)スチレン(46.7g)、(b2)メチルメタクリレート(5g)、(b5)アクリル酸とイタコン酸(3g)、(c)スルホン酸3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンナトリウム(0.3g)を、乳化剤としてラウリル硫酸ナトリウムおよびポリオキシエチレンラウリルエーテル(1.3g)、バッファーとしてNaHCO3が含まれている水に添加して70℃まで昇温させた後、重合開始剤としてアンモニウムパースルフェートを入れて重合をした。温度70℃を維持して約10時間反応させてラテックス粒子形態の共重合体を含むバインダ組成物を製造した。これにより収得された比較例のバインダ組成物は全体固形分含有量が38%であり、粒度分析機(NICOMP AW380,PSS社製)を用いて測定されたラテックス粒子の平均粒径は110nmであった。重合が完了したバインダ組成物のpHを水酸化ナトリウムを使用して中性(pH7)に調整した。
【0125】
(2)陰極合剤および陰極の製造
前記比較例1のバインダの代わりに前記比較例5のバインダを使用して比較例1と同様の方法で陰極合剤を製造し、その陰極合剤を使用して比較例5の陰極を製造した。
【0126】
前記実施例および比較例で使用された単量体の含有量を整理すると、下記表1のとおりである。
【0127】
【表1】
【0128】
実験例1:ラテックスの安定性テスト
前記実施例および比較例で製造したラテックス粒子の機械的安定度を確認するために、Homogenizerを用いて各ラテックス粒子150gを容器に入れてheadをラテックスに浸るように固定した後3000rpmで10分間shearを加えて200meshに濾して凝集量(Coagulum)を測定してその結果を下記表2に示した。
【0129】
実験例2:ゲル含有量の測定
前記実施例および比較例で製造したバインダを上述した数式1を使用して計算した。具体的には、所定のバインダを80度で24時間乾燥した後0.5g程度を取って正確な重量を測定し、これを数式1のMとした。その後、重量が測定されたバインダをTHF(テトラヒドロフラン)50gに24時間浸しておいた。その後重量を知っている200MeshにTHFに入っているバインダを濾した後、前記MeshとMeshに残っている共重合体を共に80度で24時間乾燥させた後、MeshとMeshに残っている共重合体の重量を測定し、ここで200Meshの重量を制限値をMeshに残っている共重合体の重量であるMとした。
【0130】
この時、各バインダのゲル含有量を各バインダ当たり3個以上の試料に対する平均値で求めてその結果を下記表2に示した。
【0131】
実験例3:電極接着力テスト
本発明によるバインダ使用時電極合剤と集電体との間の接着力を測定するために、前記実施例および比較例で製造した陽極および陰極それぞれの表面を切ってスライドグラスに固定させた後、集電体を剥がしながら180度剥離強度を測定し、各電極あたり5個以上の剥離強度を測定後平均値を求めてその結果を下記表2に示した。
【0132】
【表2】
【0133】
前記表2を参照すると、本発明の実施例によるラテックス粒子は、優れた機械的安定度を示すと同時に、このようなラテックス粒子をバインダとして採用した合剤層の陰極集電体に対する接着力を向上させることを確認することができる。これに対し、第3単量体であるスルホン酸3−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンナトリウムを使用しなかったり、単量体総含有量中の0.5重量%未満で使用したり、または単量体総含有量中の0.95重量%を超えて使用した比較例によるラテックス粒子は、ラテックス粒子の機械的安定度が低く、スラリー形態に集電体上に塗布するのが容易でないか、またはこのようなラテックス粒子をバインダとして採用した合剤層の陰極集電体に対する接着力が低く、電極不良を引き起こし得る。
【0134】
したがって、本発明の一実施例による電極バインダ組成物は、優れたラテックス安定性を示すラテックス粒子である共重合体を含んでスラリー形態に集電体上に塗布することが容易で、かつ前記電極バインダ組成物を使用して製造される電極合剤の集電体に対する結着力にも優れ、二次電池の諸般性能を大きく向上させることができると期待される。