特許第6983854号(P6983854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6983854酸化ケイ素腐食防止剤を有するエッチング溶液、及びその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983854
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】酸化ケイ素腐食防止剤を有するエッチング溶液、及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/308 20060101AFI20211206BHJP
   H01L 21/8234 20060101ALI20211206BHJP
   H01L 27/088 20060101ALI20211206BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20211206BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20211206BHJP
【FI】
   H01L21/308 B
   H01L27/088 C
   H01L29/78 301P
   H01L29/78 301F
【請求項の数】23
【外国語出願】
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2019-208645(P2019-208645)
(22)【出願日】2019年11月19日
(65)【公開番号】特開2020-88391(P2020-88391A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2020年1月16日
(31)【優先権主張番号】62/769,195
(32)【優先日】2018年11月19日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】16/681,246
(32)【優先日】2019年11月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517114182
【氏名又は名称】バーサム マテリアルズ ユーエス,リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100210697
【弁理士】
【氏名又は名称】日浅 里美
(72)【発明者】
【氏名】リウ ウェン ダル
(72)【発明者】
【氏名】リー イー−チア
(72)【発明者】
【氏名】チャン チュン−イー
【審査官】 宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−199521(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0084719(US,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2018−0047816(KR,A)
【文献】 特開2002−100603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/308
H01L 21/8234
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水;
水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化エチルトリメチルアンモニウム(ETMAH)、水酸化2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリエチルアンモニウム、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、水酸化メチルトリエチルアンモニウム及びこれらの混合物から選択される水酸化第4級アンモニウム化合物の少なくとも1種;
少なくとも1種の水混和性有機溶媒;及び
4〜12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン、ポリアミン、窒素含有複素環式化合物、窒素含有芳香族化合物、及び窒素含有複素環式芳香族化合物から選択される少なくとも1種の窒素含有化合物
を含む、マイクロ電子デバイスからの酸化ケイ素に対するポリシリコンの選択的除去に適しているエッチング溶液。
【請求項2】
エッチング溶液は、少なくとも1種のアルカノールアミン化合物及び/又は界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載のエッチング溶液。
【請求項3】
少なくとも1種のアルカノールアミン化合物が存在し、かつ、N−メチルエタノールアミン(NMEA)、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール(AEE)、トリエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミンジエタノール、ジイソプロパノールアミン、シクロヘキシルアミンジエタノール、及びこれらの混合物から選択される、請求項1又は2に記載のエッチング溶液。
【請求項4】
水酸化第4級アンモニウム化合物の少なくとも1種が水酸化エチルトリメチルアンモニウムであり、アルカノールアミンが存在し、かつ、モノエタノールアミンである、請求項1又は2に記載のエッチング溶液。
【請求項5】
少なくとも1種の水混和性有機溶媒が、スルホラン、DMSO、及びプロピレングリコールから選択される、請求項4に記載のエッチング溶液。
【請求項6】
少なくとも1種の窒素含有化合物が、ペンタメチルジエチレントリアミン、オクチルアミン、又はポリアルキレンイミンである、請求項5に記載のエッチング溶液
【請求項7】
少なくとも1種の窒素含有化合物が、アニリン、3,4−(メチレンジオキシ)アニリン、アニリン−2−スルホン酸、N−(2−ヒドロキシエチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(メチルチオ)アニリン、3−(メチルチオ)アニリン、3−(1−アミノエチル)アニリン、4−(オクチロキシ)アニリン、4−(ピペリジン−1−イルメチル)アニリン、p−トルイジン、n−エチル4−フルオロアニリン、4−イソプロピルアニリン、4−ニトロアニリン、p−アニシジン、4−クロロアニリン、4−ヨードアニリン、メチル4−アミノベンゾエート、N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、N−フェニルエチレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,5−ジメチル−1,2−フェニレンジアミン、4−メチル−o−フェニレンジアミン、4−メチル−m−フェニレンジアミン、2−メチル−m−フェニレンジアミン、N−フェニル−o−フェニレンジアミン、4−ニトロ−o−フェニレンジアミン、3−ニトロ−1,2−フェニレンジアミン、4,5−ジクロロ−o−フェニレンジアミン、2,3−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミン安息香酸、3,4−ジアミノアニソール、キノリン、キノリン−8−メタノール、7−ブロモ−8−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリン(8−HQ)、8−ヒドロキシキノリン硫酸塩一水和物、8−キノリノールヘミ硫酸塩、5−クロロ−8−キノリノール、2−アミノ−8−キノリノール、4,8−ジメチル−2−ヒドロキシキノリン、2−メチル−8−キノリノール、8−ヒドロキシ−2−メチルキノリン、8−ヒドロキシ−5−ニトロキノリン、8−ヒドロキシ−2−キノリンカルボキシアルデヒド、8−ヒドロキシ−2−キノリンカルボン酸、2,8−キノリンジオール、ピリジン、ピリジン塩酸塩、4−(アミノメチル)ピリジン、2−(メチルアミノ)ピリジン、2−(ジメチルアミノ)ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、2−ピコリン酸、2−アミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、ベンゾイミダゾール、メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール(MBI)、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、チオール−トリアゾール及びその誘導体、ベンゾトリアゾール(BTA)、トリルトリアゾール、5−フェニル−ベンゾトリアゾール、5−ニトロ−ベンゾトリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−アミノ−1,2,4−トリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2−(5−アミノ−ペンチル)−ベンゾトリアゾール、1−アミノ−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−5−メチル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール、5−フェニルチオール−ベンゾトリアゾール、ハロ−ベンゾトリアゾール(ハロ=F、Cl、Br又はI)、ナフトトリアゾール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトチアゾリン、5−アミノテトラゾール、メチルテトラゾール、5−アミノテトラゾール一水和物、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、1,5−ペンタメチレンテトラゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、チアゾール、トリアジン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジアミノメチルトリアジン、イミダゾリンチオン、メルカプトベンゾイミダゾール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、1H−ピラゾール、又は1−(2−アミノエチル)ピペラジンから選択される、請求項1又は2に記載のエッチング溶液
【請求項8】
少なくとも1種の窒素含有化合物が、8−HQ(8−ヒドロキシキノリン)、3,4−トルエンジアミン、4−イソプロピルアニリン、8−ヒドロキシ−2−メチルキノリン、ベンゾイミダゾール、又は1H−ピラゾールから選択される、請求項5に記載のエッチング溶液
【請求項9】
ポリアルキレンイミンがポリエチレンイミンである、請求項6に記載のエッチング溶液
【請求項10】
窒素含有化合物が、ヘキシルアミン、ヘキシルアミンの界面活性剤塩、オクチルアミン、オクチルアミンの界面活性剤塩、デシルアミン、デシルアミンの界面活性剤塩、ドデシルアミン、及びドデシルアミンの界面活性剤塩、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、トリエチレンジアミン(TEDA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、及びジエチレントリアミン(DETA)から選択される、請求項1又は2に記載のエッチング溶液
【請求項11】
少なくとも1種の窒素含有化合物が、8−HQ(8−ヒドロキシキノリン)、3,4−トルエンジアミン、4−イソプロピルアニリン、8−ヒドロキシ−2−メチルキノリン、ベンゾイミダゾール又は1H−ピラゾールから選択される、請求項1又は2に記載のエッチング溶液
【請求項12】
少なくとも1種の窒素含有化合物が、フェニレンジアミン、フェニレンジアミンの誘導体、キノリン又はキノリンの誘導体から選択される、請求項1又は2に記載のエッチング溶液
【請求項13】
約1〜約15%の前記水酸化第4級アンモニウム化合物の少なくとも1種;
約5〜約15%の前記少なくとも1種のアルカノールアミン化合物;
約45〜約55%の前記少なくとも1種の水混和性有機溶媒;及び
約0.10〜約5%の、C4〜12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン、ポリアミン、窒素含有複素環式化合物、窒素含有芳香族化合物、又は窒素含有複素環式芳香族化合物から選択される前記少なくとも1種の窒素含有化合物
を含む、請求項2に記載のエッチング溶液
【請求項14】
ポリシリコン及び酸化ケイ素を含む複合半導体デバイスにおいて、酸化ケイ素に対するポリシリコンのエッチング速度を選択的に高める方法であって、
ポリシリコン及び酸化ケイ素を含む複合半導体デバイスを、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化エチルトリメチルアンモニウム(ETMAH)、水酸化2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリエチルアンモニウム、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、水酸化メチルトリエチルアンモニウム及びこれらの混合物から選択される水酸化第4級アンモニウム化合物の少なくとも1種;少なくとも1種の水混和性溶媒;及びC4〜12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン、ポリアミン、窒素含有複素環式化合物、窒素含有芳香族化合物、及び窒素含有複素環式芳香族化合物から選択される少なくとも1種の窒素含有化合物を含む水性組成物と接触させる工程と;
ポリシリコンが少なくとも部分的に除去された後、複合半導体デバイスをリンスする工程と
を含み、
酸化ケイ素に対するシリコンのエッチ選択性が1,000を超える方法。
【請求項15】
水性組成物が、少なくとも1種のアルカノールアミン化合物及び又は界面活性剤をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
半導体デバイスを乾燥させる工程をさらに含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
酸化ケイ素に対するシリコンのエッチ選択性が15,000を超える、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項18】
酸化ケイ素に対する窒化ケイ素のエッチ選択性が20,000を超える、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項19】
前記接触させる工程が、約25℃〜約100℃の温度で実施される、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1種のアルカノールアミン化合物が存在し、かつ、N−メチルエタノールアミン(NMEA)、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール(AEE)、トリエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミンジエタノール、ジイソプロパノールアミン、シクロヘキシルアミンジエタノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項21】
水酸化第4級アンモニウム化合物の少なくとも1種が水酸化エチルトリメチルアンモニウムであり、アルカノールアミンが存在し、かつ、モノエタノールアミンである、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1種の水混和性有機溶媒が、スルホラン、DMSO、及びプロピレングリコールからなる群から選択される、請求項14または15に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1種の窒素含有化合物が、ペンタメチルジエチレントリアミン、オクチルアミン、ポリアルキレンイミン、アニリン、3,4−(メチレンジオキシ)アニリン、アニリン−2−スルホン酸、N−(2−ヒドロキシエチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(メチルチオ)アニリン、3−(メチルチオ)アニリン、3−(1−アミノエチル)アニリン、4−(オクチロキシ)アニリン、4−(ピペリジン−1−イルメチル)アニリン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニルエチレンジアミン、p−トルイジン、4−エチル4−フルオロアニリンラニリン、4−イソプロピルアニリン、4−ニトロアニリン、p−アニシジン、4−クロロアニリン、4−ヨードアニリン、メチル4−アミノベンゾエート、N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,5−ジメチル−1,2−フェニレンジアミン、4−メチル−o−フェニレンジアミン、4−メチル−m−フェニレンジアミン、2−メチル−m−フェニレンジアミン、N−フェニル−o−フェニレンジアミン、4−ニトロ−o−フェニレンジアミン、3−ニトロ−1,2−フェニレンジアミン、4,5−ジクロロ−o−フェニレンジアミン、2,3−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミン安息香酸、3,4−ジアミノアニソール、キノリン、キノリン−8−メタノール、7−ブロモ−8−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリン(8−HQ)、8−ヒドロキシキノリン硫酸塩一水和物、8−キノリノールヘミ硫酸塩、5−クロロ−8−キノリノール、2−アミノ−8−キノリノール、4,8−ジメチル−2−ヒドロキシキノリン、2−メチル−8−キノリノール、8−ヒドロキシ−5−ニトロキノリン、8−ヒドロキシ−2−キノリンカルボキシアルデヒド、8−ヒドロキシ−2−キノリンカルボン酸、2,8−キノリンジオール、ピリジン、ピリジン塩酸塩、4−(アミノメチル)ピリジン、2−(メチルアミノ)ピリジン、2−(ジメチルアミノ)ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、2−ピコリン酸、2−アミノピリジン、2,4−ジアミノピリジン、ベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、チオール−トリアゾール及びその誘導体、ベンゾトリアゾール(BTA)、トリルトリアゾール、5−フェニル−ベンゾトリアゾール、5−ニトロ−ベンゾトリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−アミノ−1,2,4−トリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2−(5−アミノ−ペンチル)−ベンゾトリアゾール、1−アミノ−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−5−メチル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、3−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール、5−フェニルチオール−ベンゾトリアゾール、ハロ−ベンゾトリアゾール(ハロ=F、Cl、Br又はI)、ナフトトリアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール(MBI)、2−メルカプトベンゾチアゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−メルカプトチアゾリン、5−アミノテトラゾール、5−アミノテトラゾール一水和物、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、チアゾール、トリアジン、メチルテトラゾール、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,5−ペンタメチレンテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、ジアミノメチルトリアジン、イミダゾリンチオン、メルカプトベンゾイミダゾール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール、1H−ピラゾール、又は1−(2−アミノエチル)ピペラジンから選択される、請求項14又は15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、2018年11月19日に出願された「酸化ケイ素腐食防止剤」というタイトルの米国仮出願第62/769,195号に対して優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
本発明は、半導体デバイスの製造において用いられる水性エッチング溶液に関する。より具体的には、本発明は、少なくとも高誘電体材料膜と、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、タンタル又はタングステンを含有する金属ゲートと置き換えられる、シリコンで製造されたダミーゲートとをラミネートすることにより形成されたダミーゲートラミネートを含む構造ボディーを用いてトランジスタを製造するプロセスにおいて、シリコンで製造されたダミーゲートを選択的にエッチングするために用いられるエッチング溶液、及びエッチング溶液を用いてトランジスタを製造する方法に関する。
【0003】
半導体は、トランジスタのゲート長及びゲート厚の低減、すなわち、いわゆるそのミクロン化によって、性能、コスト及び電力消費において改善され続けている。将来の要求を満たすようにトランジスタのミクロン化を達成し続けるために、酸化ケイ素で製造された従来のゲート絶縁膜を用いたトランジスタのゲート厚は過度に小さくなり、その結果トンネル電流に起因する漏れ電流が増加し、電力消費が大きくなる。さらに、近年、携帯電話、ノート型パソコン及びポータブル音楽プレーヤー等の、半導体デバイスを用いたモバイル装置に対する需要が増加している。この場合、係るモバイル装置のためのパワーサプライは、可充電電池に頼ることが多い。したがって、長期使用を達成するために、モバイル装置において用いられる半導体デバイスが低い電力消費を有することが要求されている。結果として、装置のスタンバイ状態中の漏れ電流を低減する目的に関し、トランジスタの構成として絶縁材料及びゲート電極を組み合わせる技術が提案されており、そこでは、高誘電体材料及び金属ゲートが、シリコーン酸化物及びポリシリコンの従来の組み合わせの代わりに用いられる。
【0004】
高誘電体材料及び金属ゲートを製造する1つの方法は、ゲートラスト方法と呼ばれ、そこでは高誘電体材料及びポリシリコンの組み合わせを用いてトランジスタを製造した後、ポリシリコンを除去して、それと金属ゲートを置き換える。図1において、ダミーゲート除去プロセスを説明するトランジスタの部分の概略断面図が示される。絶縁材料15間で上に堆積したポリシリコンを備えた酸化物層11が図1に示される。絶縁材料15、ポリシリコン12及び酸化物層11は、シリコン層又は基材10の上にある。ダミーポリシリコンゲート12を除去して(図1に示されるように、部分的に除去し、次いで完全に除去する)アルカリ性湿式化学プロセスによって開口部13を形成する際、ゲート酸化膜11はアルカリ性配合物に曝露される。ゲート酸化物層11が薄い(典型的には約10〜30Å)ため、ゲート酸化物がよく保護されない場合、湿式化学品がゲート酸化物を介して浸透することができる大きな可能性がある。この理由のために、単位時間当りのポリシリコン12のエッチング量(以下、「エッチング速度」と呼ぶ)が小さい場合、エッチングに必要な時間は延長される傾向があり、酸化物層の腐食の危険が増加する。従来のポリシリコン湿式エッチング化学は、典型的には適当なポリシリコン除去能力を示すNHOH又はTMAHのようなエッチャントを使用するが、例えば酸化ケイ素等のゲート酸化物上のエッチング速度は、デバイス設計がより小さくなる場合重要である。ダミーゲート除去プロセスでの酸化物損失を最小限にすることは、先端のテクノロジーノードの成功にとって重要になる。
【0005】
したがって、当分野において、ポリシリコンに対して非常に高いエッチング速度を有し、湿式化学品に曝露される場合がある酸化物層又は任意の他の金属、側壁、及び中間層絶縁膜のエッチングを著しく抑制する、湿式化学品配合物に対する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
発明の概要
この必要は本開示により満たされ、本発明者らは、ある界面活性剤及び窒素含有化合物が、ポリシリコンのエッチング速度を著しく抑制することなく、アルカリ性湿式化学品エッチング配合物における酸化物エッチング速度を著しく抑制することができることを発見した。
【0007】
1つの側面において、水;水酸化第4級アンモニウム化合物の少なくとも1種;任意選択的に少なくとも1種のアルカノールアミン化合物;水混和性溶媒;C4〜12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン、ポリアミン、窒素含有複素環式化合物、窒素含有芳香族化合物、窒素含有複素環式芳香族化合物、又は他の窒素含有化合物からなる群から選択される(又はから選択される)少なくとも1種の窒素含有化合物;及び任意選択的に界面活性剤を含むか、本質的にこれからなるか、これからなるマイクロ電子デバイスからの酸化ケイ素に対するポリシリコンの選択的除去に適しているエッチング溶液が提供される。
【0008】
別の側面において、ポリシリコン及び酸化ケイ素を含む複合半導体デバイスを、水酸化第4級アンモニウム化合物の少なくとも1種;任意選択的に少なくとも1種のアルカノールアミン化合物;水混和性溶媒;C4〜12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン、ポリアミン、窒素含有複素環式化合物、窒素含有芳香族化合物又は窒素含有複素環式芳香族化合物からなる群から選択される(又はから選択される)少なくとも1種の窒素含有化合物;及び任意選択的に界面活性剤を含むか、本質的にこれからなるか、これからなる水性組成物と接触させる工程と;ポリシリコンが少なくとも部分的に除去された後、複合半導体デバイスをリンスする工程とを含み、酸化ケイ素に対するシリコンのエッチ選択性が1,000を超える、ポリシリコン及び酸化ケイ素を含む複合半導体デバイスにおいて、酸化ケイ素に対するポリシリコンのエッチング速度を選択的に高める方法が本開示で提供される。
【0009】
発明の実施態様は、互いに単独で又は組み合わせにおいて用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、アルカリ性ポリシリコンエッチャントによるダミーゲート除去プロセスの図である。
図2図2は、ポリシリコンエッチャントの蒸留水(DIW)希釈及び酸化ケイ素エッチング速度に対する影響を説明するグラフである。
図3図3は、ポリシリコンエッチャントのDIW希釈及びポリシリコンエッチング速度に対する影響を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
本開示で引用される出版物、特許出願、及び特許などのすべての参考文献は、各参考文献が、参照により組み込まれるように個々に具体的に示され、その全体において本開示に記載されたのと同程度に参照により本開示に組み込まれる。
【0012】
本発明を記載する文脈において(特に以下の特許請求の範囲の文脈において)、「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」という用語並びに同様の指示語の使用は、本開示で別段の指摘がないか又は文脈によって明確に否定されない限り、単数及び複数の両方を包含すると解されるべきであり、「1つ又はそれより多くの」又は「少なくとも1つの」と置き換えることができる。 「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」という用語は、特に断りのない限り、オープンエンドの用語(すなわち、「含むが、制限されない」ことを意味する)として解されるべきである。
【0013】
本開示における値の範囲の記載は、本開示で別段の示唆がない限り、範囲内に含まれる各々の別個の値を個々に言及することの省略方法として機能することが意図されるに過ぎず、各々の別個の値は、それが本開示で個々に列挙されたかのように本明細書中に組み込まれる。本開示に記載のすべての方法は、本開示で別段の示唆がないか又は文脈によって明確に否定されない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本開示で提供される任意の及びすべての例又は例示的な語(例えば「等(such as)」)の使用は、本発明をより明らかにすることを意図したものに過ぎず、特許請求の範囲に別段の記載がない限り、本発明の範囲に関する限定を与えるものではない。本明細書中の如何なる言語も、本発明の実施に必須であるように、特許請求の範囲に記載されていない任意の要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0014】
明細書及び特許請求の範囲における「含む(comprising)」という用語の使用は、「本質的にこれからなる(consisting essentially of)」、及び「これからなる(consisting of)」の、より狭い語を包含する。
【0015】
本発明の実施に関して本発明者らが知っているベストモードを含む本発明の実施態様を本開示に記載する。これらの実施態様の変形は、前述の記載を読んだ当業者に明らかになるであろう。本発明者らは、当業者がそのような変形を適切に採用することを期待し、本発明者らは本開示に具体的に記載された以外の方法で本発明を実施することを意図する。したがって、本発明は、適用法によって許容されるように、本開示に添付の特許請求の範囲に記載の主題のすべての修正形態および均等物を含む。さらに、そのすべての可能な変形形態における上記の要素の任意の組み合わせは、本開示中に別段の示唆がないか、文脈によって明確に否定されない限り、本発明に包含される。
【0016】
概して、本発明は、その製造中に係る材料をその上に有するマイクロ電子デバイスからの酸化ケイ素に対するポリシリコンの選択的除去に有用な組成物に関する。
【0017】
マイクロ電子デバイス上の材料として堆積される「ポリシリコン」という用語は、シリコンを含むと理解される。
【0018】
参照を簡単にするため、「マイクロ電子デバイス」又は「半導体デバイス」は、半導体基材(例えば、ウェハ)、フラットパネルディスプレイ、相変化メモリデバイス、ソーラーパネル及びソーラー基材を含む他の製品、太陽光発電装置、並びに、マイクロ電子機械システム(MEMS)に対応し、マイクロ電子、集積回路、又はコンピュータチップ用途で使用されるために製造される。ソーラー基材としては、限定されないが、シリコン、非晶質シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコン、CdTe、セレン化銅インジウム、硫化銅インジウム、及びガリウム上ガリウムヒ素が挙げられる。ソーラー基材はドープされていてもよく又はドープされていなくてもよい。「マイクロ電子デバイス」又は「半導体デバイス」という用語は何らかの形で制限されることを意図せず、マイクロ電子デバイス又はマイクロ電子アセンブリに最終的になるあらゆる基材を含むことを理解されたい。
【0019】
「複合半導体デバイス」又は「複合マイクロ電子デバイス」は、デバイスが、非導電性基材上に存在する1つより多くの材料及び/又は層及び/又は層の一部を有することを意味する。材料は、高k誘電体及び/又は低k誘電体及び/又はバリア材料及び/又はキャッピング材料及び/又は金属層及び/又は当業者に公知の他のものを含むことができる。
【0020】
本明細書で規定される場合、「低k誘電体材料」は、層状又は複合マイクロ電子デバイスで誘電体材料として使用される約3.5未満の誘電率を有する任意の材料に対応する。好ましくは、低k誘電体材料としては、低極性材料、例えば、シリコン含有有機ポリマー、シリコン含有有機/無機ハイブリッド材料、有機ケイ酸塩ガラス(OSG)、TEOS、フッ素ケイ酸塩ガラス(FSG)、二酸化シリコン、及び炭素ドープ酸化物(CDO)ガラスが挙げられる。低k誘電体材料は、様々な密度及び様々な多孔度を有することができることを理解されたい。
【0021】
本明細書で規定される場合、「高k誘電体材料」(又は高誘電体材料)は、層状又は複合マイクロ電子デバイスにおいて誘電体材料として用いられる、SiO2の誘電率より高い誘電率を有する任意の材料に対応する。高k誘電体材料としては、典型的には原子層堆積を用いて堆積した酸化アルミニウム、二酸化ハフニウム、二酸化ジルコニウム、ケイ酸ハフニウム、ケイ酸ジルコニウムを挙げることができる。
【0022】
本明細書で規定される場合、「バリア材料」という用語は、金属ライン、例えば、銅相互接続をシールして、前記金属、例えば銅の誘電体材料中への拡散を最小限にするために当分野で使用される任意の材料に対応する。好ましいバリア層材料としては、タンタル、チタン、ルテニウム、ハフニウム、並びに他の耐熱金属及びそれらの窒化物及びケイ化物が挙げられる。
【0023】
「実質的に含まない」は、本明細書では0.001wt%未満として規定される。「実質的に含まない」はまた、0.000wt%を含む。「含まない」という用語は、0.000wt%以下を意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合、「約」は、述べられた値の±5%に相当することが意図される。
【0025】
組成物の特定の成分がゼロの下限値を含む質量パーセントの範囲に関連して議論されるすべてのそのような組成物において、組成物の様々な特定の実施形態では、そのような成分は存在することができるか又は存在しないことができること、及び、例えば、そのような成分が存在する場合は、それらの成分が、そのような成分が用いられる組成物の総重量に対して0.001wt%程度の濃度で存在することができることが理解される。成分のすべてのパーセンテージは質量パーセントであり、組成物の総質量、すなわち100%に対するものであることに留意されたい。
【0026】
この側面の広い実行において、本開発のエッチング溶液は、水;水酸化第4級アンモニウム化合物の少なくとも1種;任意選択的に少なくとも1種のアルカノールアミン化合物;水混和性溶媒;C4〜12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン、ポリアミン、窒素含有複素環式化合物、窒素含有芳香族化合物、窒素含有複素環式芳香族化合物からなる群から選択される(又はから選択される)少なくとも1種の窒素含有化合物、及び任意選択的に界面活性剤を含むか、これから本質的になるか、これからなる。
【0027】
幾つかの実施態様において、本開示に開示したエッチング溶液組成物は、以下の化合物の少なくとも1種を実質的に含まないか含まないように処方される:過酸化物、水酸化アンモニウム、金属水酸化物、及び弗化物イオンの任意の源。
【0028】
本発明の組成物は、電子デバイス上の構造全体にゲートを製造するプロセスにおいて用いられるのに適している。係るプロセスは当分野において知られており、例えばUS2017/0179248、US2017/0104062、US2017/0133462、及びUS2017/0040321において開示され、その開示は、参照により本開示に組込まれる。
【0029】
本明細書で用いられる見出しは、限定することを意図するものでなく、むしろ、それらは組織的な目的のみのために含まれる。
【0030】
本開示に開示される組成物は、酸化ケイ素に対して優れたポリシリコン除去を優先的に示す。
【0031】
本開示に開示したエッチング溶液は、例えば、基材、並びに基材上に与えられた、少なくとも高誘電体材料膜及びポリシリコンで製造されたダミーゲートのラミネートにより形成されたダミーゲートラミネート、ラミネートの側面を覆うように配置された側壁、及び側壁を覆うように配置された中間層絶縁膜を含む構造ボディーを用いたトランジスタを製造するプロセスにおいて、ポリシリコンで製造されたダミーゲートの除去において用いるのに適しており、ダミーゲートは、ハフニウム、ジルコニウム、チタン、タンタル又はタングステンを含有する金属ゲートと置き換えられる。
【0032】

本開発のエッチング組成物は水系であり、したがって水を含む。本発明において、水は様々に機能し、例えば、組成物の1つ又は複数の成分を溶解するため、成分のキャリアとして、残留物の除去の助剤として、組成物の粘度改質剤として、及び希釈液として機能する。好ましくは、洗浄組成物中で用いられる水は脱イオン(DI)水である。次の段落で説明する水の範囲は、あらゆる源由来の組成物中のすべての水を含む。
【0033】
ほとんどの用途に関し、組成物中の水の質量パーセントは、以下の数字群:0.5、1、5、10、12、15、17、20、23、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、80、85、及び90から選択される始点及び終点を有する範囲に存在すると考えられる。組成物中で使用することができる水の範囲の例としては、例えば、約0.5〜約60wt%又は1〜約60wt%の水;又は約0.5〜約40wt%又は約1〜約25wt%又は約1〜約20wt%又は約1〜約15wt%;又は約5〜約20wt%;又は5〜約15wt%;又は20〜約60wt%又は25〜約60wt%;又は約30〜約60wt%又は約23〜約35wt%;又は約20〜約40wt%;又は約35〜約55wt%;又は約15〜約30wt%;又は約5〜約35wt%;又は約10〜約20wt%の水が挙げられる。本発明のさらに他の好ましい実施形態では、他の成分の所望の質量パーセントを達成する量で水を含むことができる。
【0034】
ポリシリコンエッチャント
本発明のエッチング組成物は、水酸化第4級アンモニウムの少なくとも1種であるシリコンエッチャントを含む。また、水酸化第4級アンモニウムは、エッチング溶液にアルカリ性も与える。実施態様において、得られるエッチング溶液のpHは、約7.5〜14、約9.0〜14、及び約11〜14、又は以下のリスト:7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、13、13.5及び14から選択される端点によって定義されるpH範囲の任意のpHである。
【0035】
水酸化第4級アンモニウムは、アルキル基がすべて同じである水酸化第4級アンモニウム、すなわち、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、及び/又は水酸化テトラブチルアンモニウム等の水酸化テトラアルキルアンモニウムであることができる。
【0036】
代わりに、アルキル基のすべてが同じではない水酸化テトラアルキルアンモニウムを含む水酸化第4級アンモニウムが好ましい。アルキル基のすべてが同じではない水酸化テトラアルキルアンモニウムの例としては、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化エチルトリメチルアンモニウム(ETMAH)、水酸化2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリエチルアンモニウム、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、水酸化メチルトリエチルアンモニウム及びこれらの混合物からなる群が挙げられる。
【0037】
組成物中の水酸化第4級アンモニウム化合物の量は、ほとんどの用途に関して、数の以下の群から選択される始点及び終点を有する範囲内の質量パーセントを構成すると考えられる:0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、10、12、15、20、25、30及び35。本発明の組成物中の水酸化第4級アンモニウムの範囲の例は、組成物の質量により約1%〜約35%、又は約1%〜約20%、又は約1%〜約10%、具体的には組成物の質量により約8%〜約35%、又はより具体的には組成物の質量により約20%から約35%であることができる。例として、水酸化第4級アンモニウム化合物がETMAH(20%溶液)であり、質量により25%で加えられる場合、5%(活性)の水酸化第4級アンモニウム化合物が存在する。別の言い方では、活性成分は「ニート」基準であり、両方とも、成分、例えば、水酸化第4級アンモニウムが組成物中へ加えられた(水であることができる)溶媒は、成分の量に含まれないが、組成物中の水又は溶媒量には加えられることを意味する。したがって、水酸化第4級アンモニウム化合物がETMAH(20%の水溶液)であり、25グラムが組成物に加えられる場合、5グラムのETMAH及び20グラムの水が組成物に加えられる。幾つかの実施態様において、水酸化第4級アンモニウム化合物(ニート基準)は、数の以下の群から選択される始点及び終点を有する範囲内の質量パーセントを構成することができる:0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.8、1、1.2、1.4、1.6、2、2.4、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、17、20、25、30及び35。本発明の組成物中の水酸化第4級アンモニウム(ニート)の範囲の例は、約2%〜約15%質量パーセント、より具体的には組成物の質量により約3〜約12%、又は約3〜約7%、約1〜約10%、又は約1〜約12%、又は約0.1〜約10%、又は約1〜約8%、又は約0.5〜約5%、約1〜約7%、又は約0.5〜約7%であることができる。
【0038】
水酸化第4級アンモニウムに関して、本開示に開示したエッチング組成物は、水酸化アンモニウム及び水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を実質的に含まないか含まないことができ、アルキル基がすべて同じであるすべての水酸化テトラアルキルアンモニウムを実質的に含まないか含まないことができる。
【0039】
アルカノールアミン(任意選択)
本発明のエッチング組成物は、少なくとも1種のアルカノールアミンを含むシリコンエッチャントを任意選択的に含む。
【0040】
適切なアルカノールアミン化合物としては、1〜5つの炭素原子を有する第1級、第2級、及び第三級の、低級アルカノールアミンが挙げられる。係るアルカノールアミンの例としては、N−メチルエタノールアミン(NMEA)、モノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン、モノ−、ジ−及びトリイソプロパノールアミン、2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、トリエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、シクロヘキシルアミンジエタノール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
好ましい実施態様において、アルカノールアミンは、トリエタノールアミン(TEA)、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、モノエタノールアミン、アミノ(エトキシ)エタノール(AEE)、N−メチルエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、シクロヘキシルアミンジエタノール、及びこれらの混合物から選択されることができる(又はこれからなる群から選択されることができる)。
【0042】
組成物中のアルカノールアミン化合物の量は、ほとんどの用途に関して、数の以下の群から選択される始点及び終点を有する範囲内の質量パーセントを構成すると考えられる:0.5、1、2、3、5、7、8、10、12、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65及び70。本発明の組成物のアルカノールアミン化合物の範囲の例は、組成物の質量により約1%〜約50、具体的には組成物の質量により約8%〜約50%より具体的には組成物の質量により約20%〜約50%であることができる。幾つかの実施態様において、アミン化合物は、約20質量%〜約65量%、より具体的には組成物の質量により約10〜約60%、又は約15〜約55%、又は約20〜約50%、又は約1〜約12%、又は約25〜約45%、又は約30〜約40%を構成する。
【0043】
例えば多官能性の有機酸等の対応する共役酸が用いられる場合、アルカノールアミン化合物は、過剰量で用いられる場合、バッファーの塩基成分としても振る舞うことができる。代わりに、本発明の組成物は、追加の多官能性酸及び/又は無機酸及び/又は有機酸を実質的に含まないか、含まないことができる。さらに、他の実施態様において、本発明の組成物は、上記の示された個々のアルカノールアミンのうちのいずれかを単独で又は任意の組み合わせにおいて実質的に含まないか、含まないことができる。
【0044】
水混和性有機溶媒
本発明のエッチング組成物は水混和性有機溶媒を含む。使用することができる水混和性有機溶媒の例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル(BDG)(例えば販売名Dowanol(登録商標)DBの下で市販で入手可能)、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPM)ヘキシロキシプロピルアミン、ポリ(オキシエチレン)ジアミン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフルフリルアルコール、グリセロール、アルコール、スルホラン、スルホキシド、又はこれらの混合物である。好ましい溶媒はアルコール、ジオール、又はこれらの混合物である。ほとんどの好ましい溶媒は、スルホラン、並びに例えばエチレングリコール及びプロピレングリコール等のジオール、及び例えばグリセロール等トリオールなどのポリオールである。
【0045】
ほとんどの用途に関して、組成物中の水混和性有機溶媒の量は、質量パーセントの以下のリストから選択される始点及び終点を有する範囲であることができると考えられる:0.5、1、5、7、10、12、15、20、25、29、30、33、35、40、44、50、59.5、65、70、75、及び80。溶媒の係る範囲の例としては、質量により約0.5%〜約59.5%;又は質量により約1%〜約50%;又は質量により約1%〜約40%;又は質量により約0.5%〜約30%;又は質量により約1%〜約30%;又は質量により約5%〜約30%;又は質量により約5%〜約20%;又は質量により約7%〜約20%、又は約10%〜約30%;又は組成物の質量により約20〜約70%、又は約15%〜約25%が挙げられる。
【0046】
窒素含有化合物(酸化ケイ素腐食防止剤)
本発明のエッチング組成物は、C4〜12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン、ポリアミン、窒素含有複素環式化合物、窒素含有芳香族化合物、窒素含有複素環式芳香族化合物から選択される(又はこれからなる群から選択される)少なくとも1種の窒素含有化合物を含む。窒素含有複素環式芳香族化合物は、芳香族複素環又は少なくとも1つの複素環及び少なくとも1つの芳香環を含んでもよい。
【0047】
適切なC4〜12アルキルアミンの例としては、ヘキシルアミン、ヘキシルアミンの界面活性剤塩、オクチルアミン、オクチルアミンの界面活性剤塩、デシルアミン、デシルアミンの界面活性剤塩、ドデシルアミン、及びドデシルアミンの界面活性剤塩が挙げられる。
【0048】
好ましくは、ポリアルキレンイミンはポリエチレンイミン(PEI)である。任意のPEIを用いることができるが、ホモポリマーポリエチレンイミンが用いられることが好ましい。PEIは分岐状又は鎖状であることができるが、好ましくは、それは分岐状である。
【0049】
用いられるPEIは、有効性のために任意の式量を有することができることが分かっているが、好ましくはPEIはより低い分子量を有する。実施態様において、PEIは、100〜50,000、400〜25,000、800〜10,000、又は1000〜3000の分子量を有する。
【0050】
実施態様において、ポリアルキレンイミンはポリエチレンイミン(PEI)を含み、好ましくは、PEIは、組成物の質量により5%未満、好ましくは質量により1.5%未満、好ましくは組成物の質量により0.5%未満、又は0.25%未満、最も好ましくは組成物の質量により0.02%未満を構成する。好ましくは、PEIは、100〜2500、好ましくは200〜1500、最も好ましくは400〜1200の分子量を有する。
【0051】
好ましい実施態様において、ポリアルキレンイミンは100〜2500、200〜1500、400〜1200、又は700〜900の重量平均分子量を有する。800の分子量は特に適切である。分子量は、当分野において既知の光散乱法によって適切に決定される。
【0052】
ポリエチレンイミンは市販で入手可能であり、例えばBASFによって供給されるLupasol(登録商標)800である。
【0053】
ポリアミンの例としては、ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)トリエチレンジアミン(TEDA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、及びジエチレントリアミン(DETA)が挙げられる。
【0054】
窒素含有複素環式化合物の例としては、アニリン、及び/又はアニリンの誘導体、トリアゾール、及び/又はトリアゾールの誘導体;チアゾール及び/又はチアゾールの誘導体;テトラゾール及び/又はテトラゾールの誘導体;並びにチアジアゾール及び/又はチアジアゾールの誘導体が挙げられる。
【0055】
窒素含有芳香族化合物の例としては、アミノベンゾエート(aminobenzolate)及び/又はアミノベンゾエートの誘導体;並びにフェニレンジアミン及び/又はフェニレンジアミンの誘導体が挙げられる。
【0056】
窒素含有複素環式芳香族化合物の例としては、キノリン及び/又はキノリンの誘導体;ピリジン及び/又はピリジンの誘導体;ベンゾイミダゾール及び/又はベンゾイミダゾールの誘導体及び/又はベンゾイミジゾールの誘導体;イミダゾール及び/又はイミダゾールの誘導体;並びにトリアジン及び/又はトリアジンの誘導体;並びにピペラジン及び/又はピペラジンの誘導体が挙げられる。
【0057】
アニリン及び/又はアニリンの誘導体の例としてはアニリン、3,4−(メチレンジオキシ)アニリン、アニリン−2−スルホン酸、N−(2−ヒドロキシエチル)アニリン、4−(トリフルオロメチル)アニリン、4−(メチルチオ)アニリン、3−(メチルチオ)アニリン、3−(1−アミノエチル)アニリン、4−(オクチロキシ)アニリン、4−(ピペリジン−1−イルメチル)アニリン、p−トルイジン、n−エチル4−フルオロアニリン、4−イソプロピルアニリン、4−ニトロアニリン、p−アニシジン、4−クロロアニリン及び4−ヨードアニリンが挙げられる。
【0058】
アミノベンゾエート及び/又はアミノベンゾエートの誘導体の例としてはメチル4−アミノベンゾエートが挙げられる。
【0059】
フェニレンジアミン及び/又はフェニレンジアミンの誘導体の例としては、N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、N−フェニルエチレンジアミン;m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,5−ジメチル−1,2−フェニレンジアミン、4−メチル−o−フェニレンジアミン、4−メチル−m−フェニレンジアミン、2−メチル−m−フェニレンジアミン、N−フェニル−o−フェニレンジアミン、4−ニトロ−o−フェニレンジアミン、3−ニトロ−1,2−フェニレンジアミン、及び4,5−ジクロロ−o−フェニレンジアミン、2,3−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノトルエン、3,4−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミン安息香酸、及び3,4−ジアミノアニソールが挙げられる。
【0060】
キノリン及び/又キノリンの誘導体の例としては、キノリン、キノリン−8−メタノール、7−ブロモ−8−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシキノリン(8−HQ)、8−ヒドロキシキノリン硫酸塩一水和物、8−キノリノールヘミ硫酸塩、5−クロロ−8−キノリノール、2−アミノ−8−キノリノール、4,8−ジメチル−2−ヒドロキシキノリン、8−ヒドロキシ−2−メチルキノリン、2−メチル−8−キノリノール、8−ヒドロキシ−5−ニトロキノリン、8−ヒドロキシ−2−キノリンカルボキシアルデヒド、8−ヒドロキシ−2−キノリンカルボン酸、及び2,8−キノリンジオールが挙げられる。
【0061】
ピリジン及び/又はピリジンの誘導体の例としては、ピリジン、ピリジン塩酸塩、4−(アミノメチル)ピリジン、2−(メチルアミノ)ピリジン、2−(ジメチルアミノ)ピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、2−ピコリン酸、2−アミノピリジン及び2,4−ジアミノピリジンが挙げられる。
【0062】
ベンゾイミダゾール及び/又はベンゾイミダゾールイミダゾールの誘導体の例としては、ベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール(MBI)、メルカプトベンゾイミダゾール、及び4−メチル−2−フェニルイミダゾールが挙げられる。
【0063】
トリアゾール及び/又はトリアゾールの誘導体の例としては、チオール−トリアゾール及びその誘導体、ベンゾトリアゾール(BTA)、トリルトリアゾール、5−フェニル−ベンゾトリアゾール、5−ニトロ−ベンゾトリアゾール、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、1−アミノ−1,2,4−トリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2−(5−アミノ−ペンチル)−ベンゾトリアゾール、1−アミノ−1,2,3−トリアゾール、1−アミノ−5−メチル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、3−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、3−イソプロピル−1,2,4−トリアゾール、5−フェニルチオール−ベンゾトリアゾール、ハロ−ベンゾトリアゾール(ハロ=F、Cl、Br又はI)及びナフトトリアゾールが挙げられる。
【0064】
チアゾール及び/又はチアゾールの誘導体の例としては、チアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール及び2−メルカプトチアゾリンが挙げられる。
【0065】
テトラゾール及び/又はテトラゾールの誘導体の例としては、5−アミノテトラゾール、メチルテトラゾール、1,5−ペンタメチレンテトラゾール、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール及び5−アミノテトラゾール一水和物が挙げられる。
【0066】
チアジアゾール及び/又はチアジアゾールの誘導体の例としては、5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオールが挙げられる。
【0067】
トリアジン及び/又はトリアジンの誘導体の例としては、2,4−ジアミノ−6−メチル−1,3,5−トリアジン、ジアミノメチルトリアジン、トリアジン、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが挙げられる。
【0068】
さらに、上記の窒素含有化合物のうちの幾つかは、硫黄及びアミノ置換された環及び/又は複素環を含むことができ、たとえば1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、イミダゾリンチオン、メルカプトベンゾイミダゾール、4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−チオール、及び5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−チオール;並びに1H−ピラゾール及び1−(2−アミノエチル)ピペラジンである。
【0069】
少なくとも1種の窒素含有化合物は主として、腐食又はエッチングから酸化ケイ素を保護するように機能する。
【0070】
幾つかの実施態様において、組成物は窒素含有芳香族化合物及び/又は窒素含有複素環式芳香族化合物を含有する。幾つかの実施態様において、組成物は、フェニレンジアミン及び/又はフェニレンジアミンの誘導体、及び/又はキノリン及び/又はキノリンの誘導体を含有する。幾つかの実施態様において、窒素含有化合物は、8−HQ(8−ヒドロキシキノリン)、3,4−トルエンジアミン、4−イソプロピルアニリン、8−ヒドロキシ−2−メチルキノリン、ベンゾイミダゾール、及び1H−ピラゾールから選択される、1種又はそれより多くであることができる。
【0071】
ほとんどの用途に関して、組成物中のC4〜10アルキルアミン、ポリアルキレンイミン、ポリアミン、窒素含有複素環式化合物、窒素含有芳香族化合物、窒素含有複素環式芳香族化合物から選択される(又はからなる群から選択される)少なくとも1種の窒素含有化合物の総量は、質量パーセントの以下のリストから選択される始点及び終点を有する範囲であることができると考えられる:0.01、0.05、0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.0、1.25、1.5、2.5、2.75、3.0、3.25、3.5、3.75、及び4.0。窒素含有化合物の係る範囲の例としては、質量により約0.01%〜約4.0%;質量により0.5%〜約3%又は質量により約0.10%〜約3.0%;又は質量により約0.10%〜約0.25%;又は組成物の質量により約0.1%〜約0.20%;又は約0.1%〜約5.0%が挙げられる。
【0072】
界面活性剤(任意選択)
本発明のエッチング組成物は、任意選択的に少なくとも1種の界面活性剤を含む。界面活性剤は、エッチングから酸化ケイ素を保護するように機能する。本開示に記載された組成物で使用される界面活性剤としては、以下に制限されるものではないが、ビス(2−エチルヘキシル)リン酸塩、パーフルオロヘプタン酸、パーフルオロデカン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ホスホノ酢酸、ドデセニルコハク酸、ジオクタデシルリン酸水素、オクタデシル二水素リン酸塩、ドデシルアミン、ドデセニルコハク酸モノジエタノールアミド、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ビャクシン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、及びドデシルリン酸塩などの両性塩、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、両性イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0073】
企図される非イオン界面活性剤としては、以下に制限されるものではないが、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(Emalmin NL−100(Sanyo)、Brij 30、Brij 98、Brij 35)、ドデセニルコハク酸モノジエタノールアミド(DSDA、Sanyo)、エチレンジアミンテトラキス(エトキシレート−ブロック−プロポキシレート)テトロール(Tetronic 90R4)、ポリエチレングリコール(例えばPEG 400)、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン又はポリプロピレングリコールエーテル、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドに基づくブロックコポリマー(Newpole PE−68(Sanyo)、Pluronic L31、Pluronic 31R1、Pluronic L61、Pluronic F−127)、ポリオキシプロピレンスクロースエーテル(SN008S、Sanyo)、t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール(TRITON X100)、10−エトキシ−9,9−ジメチルデカン−1−アミン(TRITON(登録商標)CF−32)、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル、分岐(IGEPAL CO−250)、ポリオキシエチレン(40)ノニルフェニルエーテル、分岐(IGEPAL CO−890)、ポリオキシエチレンソルビトールヘキサオレエート、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレアート(Tween 80)、ソルビタンモノオレアート(Span 80)、Tween 80及びSpan 80の組み合わせ、アルコールアルコキシレート(例えばPlurafac RA−20)、アルキルポリグルコシド、エチルパーフルオロブチレート、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ビス[2−(5−ノルボルネン−2−イル)エチル]トリシロキサン、SIS6952.0(Siliclad、Gelest)等のモノメリックオクタデシルシラン誘導体、PP1−SG10 Siliclad Glide 10(Gelest)等のシロキサン変性ポリシラザン、Silwet L−77(Setre Chemical Campany)、Silwet ECO Spreader(Momentive)等のシリコーンポリエーテルコポリマー、及びエトキシル化フルオロ界面活性剤(ZONYL(登録商標)FSO−100、ZONYL(登録商標)FSN−100)が挙げられる。
【0074】
企図されるカチオン界面活性剤としては、以下に制限されるものではないが、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、ヘプタデカンフルオロオクタンスルホン酸、テトラエチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド(Econol TMS−28、Sanyo)、4−(4−ジエチルアミノフェニルアゾ)−1−(4−ニトロベンジル)ピリジウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド一水和物、ベンザルコニウムクロリド、ベンゼトニウムクロリドベンジルジメチルドデシルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムp−トルエンスルホネート、ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ジ(水素化牛脂)ジメチルアンモニウムクロリド、テトラへプチルアンモニウムブロミド、テトラキス(デシル)アンモニウムブロミド、Aliquat(登録商標)336及びオキシフェノニウムブロミド、グアニジン塩酸塩(C(NHCl)又はトリフレート塩、たとえばテトラブチルアンモニウムトリフルオロメタンスルスルホネート、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、ジメチルジヘキサデシルアンモニウムブロミド及びジ(水素化牛脂)ジメチルアンモニウムクロリド(例えば、Arquad 2HT−75、Akzo Nobel)が挙げられる。幾つかの実施態様において、カチオン界面活性剤は、例えば、1−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド等の臭化物含有界面活性剤が好ましい。
【0075】
企図されるアニオン界面活性剤としては、以下に制限されるものではないが、アンモニウムポリアクリレート(例えばDARVAN 821A)、水中の変性ポリアクリル酸(例えばSOKALAN CP10S)、ホスフェートポリエーテルエステル(例えばTRITON H−55)、デシルホスホン酸、ドデシルホスホン酸(DDPA)、テトラデシルホスホン酸、ヘキサデシルホスホン酸、オクタデシルホスホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ポリ(アクリル酸ナトリウム塩)、ナトリウムポリオキシエチレンラウリルエーテル、ナトリウムジヘキシルスルホスクシネート、ジシクロヘキシルスルホスクシネートナトリウム塩、ナトリウム7−エチル−2−メチル−4−ウンデシルサルフェート(Tergitol 4)、SODOSIL RM02、及びホスフェートフルオロ界面活性剤、たとえばZonyl FSJ及びZONYL(登録商標)URが挙げられる。
【0076】
両性イオン界面活性剤としては、以下に制限されるものではないが、アセチレンジオール又は変性アセチレンジオール(例えばSURFONYL(登録商標)504)、コカミドプロピルベタイン、エチレンオキシドアルキルアミン(AOA−8、Sanyo)、N,N−ジメチルドデシルアミンN−オキシド、ナトリウムコカミンプロピネート(LebonApl−D、Sanyo)、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルホネート、及び(3−(4−ヘプチル)フェニル−3−ヒドロキシプロピル)ジメチルアンモニオプロパンスルホネートが挙げられる。好ましくは、少なくとも1種の界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシルホスホン酸、ドデシルホスフェート、TRITON X−100、SOKALAN CP10S、PEG400、及びPLURONIC F−127を含む。
【0077】
存在する場合、界面活性剤の量は、組成物の総質量に基づいて、約0.001wt%〜約5wt%、又は0.001wt%〜約1wt%、又は約0.01〜約1wt%、又は約0.1wt%〜約1wt%の範囲であることができる。代わりに、存在する場合、幾つかの用途に関して、1種又はそれより多くの界面活性剤は、組成物の約0.1質量%〜約15質量%;又は組成物の約0.1質量%〜約10質量%、又は約0.5質量%〜約5質量%、又は約0.05質量%〜約2質量%、又は約0.5質量%〜約5質量%を構成すると考えられる。他の実施態様において、組成物の総質量に基づく組成物中の界面活性剤の質量パーセントは、以下から選択される始点及び終点を有する任意の範囲内であることができる:0.001、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、4、5、8、10及び15。
【0078】
幾つかの実施態様において、本発明の組成物は、上記の示された界面活性剤のいずれか又はすべてを含まないか実質的に含まず、他の実施態様において、界面活性剤は、組成物中に存在することができる。
【0079】
他の任意選択成分
本発明のエッチング組成物は、以下の添加剤の1種又はそれより多くをさらに含むことができる:キレート剤、化学改質剤、染料、バイオサイド、及び他の添加剤。添加剤は、それらが組成物の性能に悪影響を及ぼさない程度に加えられてもよい。これらとしては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ブチレンジアミン四酢酸、(1,2−シクロヘキシレンジアミン)四酢酸(CyDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DETPA)、エチレンジアミンテトラプロピオン酸、(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、N,N,N’,N’−エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン)酸(EDTMP)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン−N,N,N’,N’−四酢酸(DHPTA)、メチルイミノ二酢酸、プロピレンジアミン四酢酸、ニトロ三酢酸(NTA)、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、糖酸、グリセリン酸、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸、マンデル酸、マロン酸、乳酸、サリチル酸、没食子酸プロピル、ピロガロール、及びシステインが挙げられる。好ましいキレート剤は、EDTA、CyDTA、及びEDTMP等のアミノホスホン酸等のアミノカルボン酸である。
【0080】
幾つかの実施態様において、本発明の組成物は、任意の組み合わせで上記のキレート剤のいずれか又はすべてを含まないか、実質的に含まない。
【0081】
染料、バイオサイド等の他の一般に知られている成分は、従来の量、例えば合計で組成物の約5質量%までの量で洗浄組成物中に含まれることができる。
【0082】
他の実施態様は、任意の組み合わせで染料及び/又はバイオサイド及び/又は他の添加剤を含まないか、実質的に含まないことができる。
【0083】
本発明の幾つかの実施態様の例は、質量により約10%〜約50%、又は質量により約20%〜約30%、又は質量により20%〜約40%、又は質量により約23%〜約27%の水;質量により約0.1%〜10%、質量により1%〜約4%、又は質量により1%〜約3%、又は質量により約1.6%〜約2.4%の水酸化第4級アンモニウム化合物の少なくとも1種(ニート);質量により約10〜約70%、又は質量により約10%〜約60%、又は質量により約20%〜約30%、又は質量により約45%〜約55%の水混和性溶媒;任意選択的に質量により約0.05〜約5%の界面活性剤;任意選択的に約5〜約40%、又は質量により約10%〜約20%、又は約12%〜約17%のアルカノールアミン;及び質量により約0.01%〜約5.0%、又は質量により約0.1%〜約0.35%、又は質量により約0.10%〜約0.20%の、C4〜12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン、ポリアミン、窒素含有複素環式化合物、窒素含有芳香族化合物、又は窒素含有複素環式芳香族化合物(からなる群)から選択される少なくとも1種の窒素含有化合物を含む。
【0084】
1つの実施態様において、エッチング溶液は、マイクロ電子デバイスからの酸化ケイ素に対するポリシリコンの選択的除去に適しており、以下を含むか、本質的に以下からなる:質量により約0.1%〜10%又は1〜約15%の水酸化第4級アンモニウム化合物の少なくとも1種(ニート);約5〜約40%、又は約5〜約15%の少なくとも1種のアルカノールアミン化合物;質量により約10〜約70%、又は45〜約55%の水混和性有機溶媒;及び約0.10〜約5%(又は約0.10〜約0.2%)の、C4〜12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン、ポリアミン、窒素含有複素環式化合物、窒素含有芳香族化合物、又は窒素含有複素環式芳香族化合物(からなる群)から選択される少なくとも1種の窒素含有化合物、剰余は水である。
【0085】
別の実施態様において、エッチング溶液は、マイクロ電子デバイスからの酸化ケイ素に対するポリシリコンの選択的除去に適しており、以下を含むか、本質的に以下からなる:10%の水酸化第4級アンモニウム化合物(20%水溶液)の少なくとも1種;10%の少なくとも1種のアルカノールアミン化合物;50%の水混和性有機溶媒;及び約0.10〜約0.2%の、C4〜12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン、ポリアミン、窒素含有複素環式化合物、窒素含有芳香族化合物、窒素含有複素環式芳香族化合物(からなる群)から選択される少なくとも1種の窒素含有化合物、剰余は水である。
【0086】
本発明のエッチング溶液組成物は、典型的には、すべての固体が水系媒体に溶解するまで、室温で容器内で成分をともに混合することにより調製される。
【0087】
方法
別の側面において、例えばシリコン及び酸化ケイ素を含む複合半導体デバイス等のマイクロ電子デバイスにおいて、水;水酸化第4級アンモニウム化合物の少なくとも1種;任意選択的に少なくとも1種のアルカノールアミン化合物;水混和性溶媒;C4〜12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン、及びポリアミン、窒素含有複素環式化合物、窒素含有芳香族化合物、又は窒素含有複素環式芳香族化合物(からなる群)から選択される少なくとも1種の窒素含有化合物;及び任意選択的に界面活性剤を含むか、本質的にこれからなるか、これからなる組成物における複合半導体デバイスのエッチングにより酸化ケイ素に対するポリシリコンのエッチング速度を選択的に高める方法が提供される。
【0088】
提供される方法は、ポリシリコン及び酸化ケイ素を含む複合半導体デバイス上の酸化ケイ素に対するポリシリコンのエッチング速度を選択的に高め、方法は、ポリシリコン及び酸化ケイ素を含む複合半導体デバイスを、水酸化第4級アンモニウム化合物の少なくとも1種;任意選択的に少なくとも1種のアルカノールアミン化合物;水混和性溶媒;C4〜12アルキルアミン、ポリアルキレンイミン、ポリアミン、窒素含有複素環式化合物、窒素含有芳香族化合物、又は窒素含有複素環式芳香族化合物(からなる群)から選択される少なくとも1種の窒素含有化合物;及び任意選択的に界面活性剤を含むか、本質的にこれからなる水性組成物と接触させる工程と;ポリシリコンが少なくとも部分的に除去された後、複合半導体デバイスをリンスする工程とを含み、酸化ケイ素に対するポリシリコンのエッチ選択性は1,000を超える。
【0089】
追加の乾燥工程も方法に含まれることができる。「少なくとも部分的に除去される」とは、材料の少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%の除去を意味する。最も好ましくは、本開発の組成物を用いた100%除去である。
【0090】
接触させる工程は、例えば、浸漬、スプレー、又はシングルウェハプロセス経由などの任意の適切な手段により行なうことができる。接触させる工程の間の組成物の温度は、好ましくは約25〜100℃、より好ましくは約40〜75℃である。接触時間は約1〜60分であることができる。
【0091】
ポリシリコン及び酸化ケイ素を含む基材上で用いられる場合、例えば、トランジスタの製造中に用いられる場合、本発明の組成物は、驚くべきことに、酸化ケイ素に対するポリシリコンの優れたエッチ選択性を示す。「選択性」という用語は、典型的には2種の材料のエッチング速度の比を指して用いられる。幾つかの実施態様において、本発明による組成物は、>1000のポリシリコン/酸化ケイ素の湿式エッチ選択性を示す。他の実施態様において、ポリシリコン/酸化ケイ素のエッチング速度選択性は>5000である。他の実施態様において、ポリシリコン/酸化ケイ素のエッチング速度選択性は>10,000である。さらに他の実施態様において、ポリシリコン/酸化ケイ素のエッチング速度選択性は>15,000である。さらに別の実施態様において、ポリシリコン/酸化ケイ素のエッチング速度選択性は>20,000である。
【0092】
接触させる工程の後、任意選択のリンス工程がある。リンス工程は、任意の適切な手段、例えば浸漬又はスプレー法により脱イオン水で基材をリンスすることにより実施することができる。好ましい実施態様において、リンス工程は、脱イオン水及び有機溶媒(例えば、イソプロピルアルコール等)の混合物を用いて実施することができる。
【0093】
接触させる工程及び任意選択のリンス工程の後、任意の適切な手段、例えばイソプロピルアルコール(IPA)蒸気乾燥、熱、又は向心力により実施される任意選択の乾燥工程がある。
【0094】
特徴及び利点は、以下で説明される例示の例により完全に示される。
【0095】
実施例
洗浄組成物を調製するための基本手順
本例の対象であるすべての組成物を、1”テフロン(登録商標)コーティング撹拌子を用いて250mLビーカー中で成分を混合することで調製した。典型的に、ビーカーに加えた第1の材料は脱イオン(DI)水であり、次いで特に順序はなく他の成分を加えた。
【0096】
処理条件
エッチング試験は、400rpmに設定された、1/2”円形テフロン(登録商標)撹拌子を備えた250mlビーカー中の100gのエッチング組成物を用いて実施された。エッチング組成物は、ホットプレート上で約50〜60℃の温度に加熱された。試験片は撹拌しつつ、約10分間組成物に浸漬された。
【0097】
次いで、断片をDI水浴又はスプレーにおいて3分間リンスして、その後、ろ過窒素を用いて乾燥させた。ポリシリコン及び酸化ケイ素のエッチング速度は、エッチング前後の厚さの変化から見積もられ、分光エリプソメトリー(SCI FilmTek SE2000)によって測定された。典型的な初期層厚さは、Siについて1000Å、酸化ケイ素について1000Åであった。
【0098】
本開示に開示されるポリシリコンエッチング溶液の温度、すなわち、ダミーゲートのエッチングで用いられる温度は、典型的には約20〜約80℃、好ましくは約20〜約70℃、より好ましくは約20℃〜約60℃である。使用時のエッチング溶液の温度は、エッチング条件、又は用いられる基材の材料によって適切に決定することができる。
【0099】
本開示に開示されるシリコンエッチング溶液によるエッチング処理の際の処理時間、すなわち、ダミーゲートのエッチングに必要な時間は、通常約0.1〜約10min、好ましくは0.2〜8min、より好ましくは0.3〜5minの範囲であり、エッチング条件、又は用いられる基材の材料によって適切に決定することができる。他の実施態様において、ダミーゲートのエッチングに必要な時間は、通常約0.1〜約30min、好ましくは0.2〜20min、より好ましくは0.3〜10分の範囲である。
【0100】
以下で評価される配合物は、アルカリ性の配合物へ酸化物防止剤を加えることにより、酸化ケイ素エッチング速度を抑制することができることを実証する。Si/酸化ケイ素のエッチング速度選択性は、加えられた防止剤によって異なった。
【表1】
【0101】
表1において、Surfynol(登録商標)485、Dynol(登録商標)607は非イオン界面活性剤であり、SAS10は、Hostapur(登録商標)SAS 10アニオン界面活性剤であり、CTABはセチルトリメチルアンモニウムブロミド、カチオン界面活性剤であり、Lupasol(登録商標)800は、窒素含有ポリマーであるポリエチレンイミンである。
【0102】
表1から、界面活性剤が良好な酸化物保護を生み出すが、さらに、それらはポリシリコンエッチング速度を同時に抑制することを理解することができる。Lupasol(登録商標)800、オクチルアミン、及びPMDETAなどの窒素含有分子は、ポリシリコンエッチング速度を維持しつつ、良好な酸化物保護性能を示す。これらの化合物を有するさらなる配合物が作られ、試験された。結果は表2及び3に示される。
【表2】
【表3】
【0103】
表2及び3中のデータから、酸化物エッチング速度(e/r)は、0.5から0.01A/分まで抑制されている。Si/酸化ケイ素の選択性は著しく増加する。
【0104】
ダミーポリシリコンゲートを除去する湿式エッチングプロセスに関し、脱イオン水(DIW)リンス工程が、配合された混合物処理工程の後に典型的には行なわれる。配合された混合物がDIWでリンスされる場合、アミンの加水分解は、大量の水酸化物イオンを生成し、それは、さらにゲート酸化物を攻撃し、望まれない欠陥を生成する場合がある。
【0105】
実験は、DIWリンス工程の影響を理解するために配合物308U及び506L(酸化物腐食防止剤を含む)で行なわれた。配合された混合物は、DIWの種々の割合で希釈され、次いでSi及び酸化物のエッチング速度が試験された。組成物は表4に示され、結果は表5及び6に示される。
【表4】
【表5】
【表6】
【0106】
図2及び3は、配合された混合物をDIWと混合する際の酸化物及びポリシリコンのエッチング速度の維持において、腐食防止剤が重要な役割を果たすことを示す。配合物308U(酸化ケイ素腐食防止剤なし)のポリシリコン及び酸化物エッチング速度が急激に上昇した一方で、酸化ケイ素腐食防止剤を含む配合物506Lは、DIWと混合した際に、より安定なエッチング速度を与えた。
【0107】
ゲート酸化物保護をシミュレートするために、防止剤のゲート酸化物保護能力を、1時間の全酸化物損失を測定することにより区別することができる。この評価のための組成物は表7に示される。
【表7】
【0108】
実験は、表7中の種々の種類の防止剤の酸化物保護能力を理解するために行なわれた。それは、窒素含有芳香族化合物が、防止剤を含まない配合物と比較して、より良好な酸化物保護を与えることを示す。8−ヒドロキシキノリン(8HQ)を含む配合物008Qは、酸化物層のための最良の保護を与えた。
【0109】
前述の説明は、例示の目的を主に意図している。本発明は、本発明の例示の実施形態に関して示され説明されてきたが、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、形態及びその詳細部において前述及び様々な他の変更、省略、及び追加をなすことができることは、当業者に理解されるべきである。
図1
図2
図3