特許第6983969号(P6983969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6983969樹脂被覆金属積層体、樹脂被覆金属積層体の製造方法、電池外装体及び電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6983969
(24)【登録日】2021年11月26日
(45)【発行日】2021年12月17日
(54)【発明の名称】樹脂被覆金属積層体、樹脂被覆金属積層体の製造方法、電池外装体及び電池
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/088 20060101AFI20211206BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20211206BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20211206BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20211206BHJP
   B32B 27/38 20060101ALI20211206BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20211206BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20211206BHJP
   H01M 50/124 20210101ALI20211206BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20211206BHJP
   H01G 11/84 20130101ALI20211206BHJP
【FI】
   B32B15/088
   B32B7/12
   B32B27/30 102
   B32B27/32 101
   B32B27/38
   B32B27/34
   B32B27/20 A
   H01M50/124
   H01G11/78
   H01G11/84
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2020-164451(P2020-164451)
(22)【出願日】2020年9月30日
(62)【分割の表示】特願2016-55580(P2016-55580)の分割
【原出願日】2016年3月18日
(65)【公開番号】特開2021-8121(P2021-8121A)
(43)【公開日】2021年1月28日
【審査請求日】2020年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100155066
【弁理士】
【氏名又は名称】貞廣 知行
(72)【発明者】
【氏名】高波 正充
(72)【発明者】
【氏名】村田 穂
(72)【発明者】
【氏名】土方 宏一
【審査官】 小石 真弓
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−194759(JP,A)
【文献】 特開2011−96552(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第103042763(CN,A)
【文献】 国際公開第2016/52394(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00−43/00
H01M 50/10
H01G 11/78
H01G 11/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、樹脂層、バリア層、及びシーラント層をこの順に備えてなる樹脂被覆金属積層体であって、
前記樹脂層が、有色顔料を含むポリイミド樹脂からなり、
前記樹脂層の膜厚が1〜15μmであり、
前記バリア層の、少なくとも前記シーラント層の側の面には、腐食防止層が設けられ、
前記シーラント層と、前記腐食防止層が設けられた前記バリア層との間には、接着剤層が設けられ、
前記腐食防止層は、フッ化クロムと、リン酸と、ポリビニルアルコールとを含有する腐食防止処理剤からなる層であり、
前記接着剤層は、無水マレイン酸変性ポリプロピレンと、エポキシ樹脂とを含有する接着剤からなる層であることを特徴とする樹脂被覆金属積層体。
【請求項2】
前記有色顔料がカーボンブラックである、請求項1に記載の樹脂被覆金属積層体。
【請求項3】
前記樹脂層が、当該樹脂層単層のJIS−K−7127の方法による引張伸度が50%以上である、請求項1又は2に記載の樹脂被覆金属積層体。
【請求項4】
前記樹脂層と前記バリア層との間に、さらにアンカー層を備える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の樹脂被覆金属積層体。
【請求項5】
前記バリア層が、厚さ30μm以下のステンレス鋼箔である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の樹脂被覆金属積層体。
【請求項6】
電池外装用である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の樹脂被覆金属積層体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の樹脂被覆金属積層体の製造方法であって、
前記腐食防止層が設けられた前記バリア層の上に、アンカー層を介さずにポリアミック酸を塗布し、加熱することにより前記ポリイミド樹脂を含む樹脂層を形成することを特徴とする樹脂被覆金属積層体の製造方法。
【請求項8】
請求項6に記載の樹脂被覆金属積層体を備える電池外装体であって、
電池を収納する内部空間を有し、前記樹脂被覆金属積層体のシーラント層の側が当該内部空間の側となることを特徴とする電池外装体。
【請求項9】
前記電池外装体は、前記樹脂被覆金属積層体の絞り成形体である、請求項8に記載の電池外装体。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の電池外装体を備えることを特徴とする電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の外装体、包装体等の用途に有用な樹脂被覆金属積層体、及び当該樹脂被覆金属積層体の製造方法、並びに、当該樹脂被覆金属積層体を用いて得られた電池外装体及び電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、電池等の工業製品や、食品、飲料、化粧品、医薬品等の日用品の外装、包装等に使用される外装体や包装体の分野では、外層側に位置する樹脂層と、金属箔からなるバリア層と、熱シール性を備えた樹脂からなるシーラント層とを備える樹脂被覆金属積層体が使用される。
【0003】
例えば、二次電池等の電池に用いられる外装体としては、小型化と軽量化とを目的として、上記のような樹脂被覆金属積層体(電池外装体)が用いられている。このような電池外装用積層体を、凹部を有するトレー状となるように絞り成形等によって成形し、外装体容器本体とする。また、前記外装体容器本体と同様にして、電池外装用積層体を成形して外装体蓋部を得る。この外装体容器本体の凹部に電池本体を収納した後、収納された電池本体を覆うように外装体蓋部を重ね、容器本体と外装体蓋部との側縁部を融着することにより、外装体に電池本体が収納された電池が得られる。
【0004】
上記のような外装体や包装体には、ガスバリア性、耐久性(耐熱性、耐水性、耐薬液性)等の機能性が求められるのみならず、外装体や包装体の外観に関して高い意匠性も求められるようになっている。意匠性を高める方法の一つとして、着色層を別途設けた樹脂被覆金属積層体が提案されている。
例えば特許文献1には、外層側からこの順に、耐熱性樹脂延伸フィルム層(樹脂層)、易接着層、着色インキ層、第1接着剤層、金属箔層(バリア層)、第2接着剤層、及び熱可塑性樹脂層(シーラント層)が積層された、電池外装に用い得る包装材が記載されている。特許文献1では、耐熱性樹脂延伸フィルム層として、熱水収縮率が2〜20%のフィルムを用いており、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム又は二軸延伸ポリエチレンナフタレートフィルムが好ましい例として挙げられ、実施例で用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−44626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、携帯電話や、タブレット端末、カメラ等の携帯用電子機器においては、筐体の外形寸法の小型化、軽量化及び薄厚化が求められている。また、これらの携帯用電子機器では、従来の携帯用電子機器に比してより多くの電力を消費する傾向があり、電池の小型化及び薄厚化のみならず、電池の大容量化も求められている。そのため、このような電子機器に用いられ得る電池外装体にも、さらなる薄膜化が要求される。
【0007】
特許文献1に記載のような積層体では、着色インキ層を設けることにより意匠性が向上する一方、着色インキ層が一層増えることにより、積層体全体の厚さが厚くなるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであって、高い意匠性を有し、且つ、薄膜化が可能である樹脂被覆金属積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記目的を達成すべく検討を重ねた結果、樹脂層として有色顔料を含むポリイミドからなる層を用いることにより、高い意匠性と、薄膜化とを両立し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の第一の態様の樹脂被覆金属積層体は、少なくとも、樹脂層、バリア層、及びシーラント層をこの順に備えてなる樹脂被覆金属積層体であって、前記樹脂層が、有色顔料を含むポリイミドからなり、前記樹脂層の膜厚が1〜15μmであることを特徴とする。
前記有色顔料は、カーボンブラックであることが好ましい。
前記樹脂層は、当該樹脂層単層のJIS−K−7127の方法による引張伸度が50%以上であることが好ましい。
前記樹脂被覆金属積層体は、前記樹脂層と前記バリア層との間に、さらにアンカー層を備えることが好ましい。
前記バリア層は、厚さ30μm以下のステンレス鋼箔であることが好ましい。
前記ステンレス鋼箔は、表面処理された金属箔であることが好ましい。
前記樹脂被覆金属積層体は、電池外装用であることが好ましい。
本発明の第二の態様の樹脂被覆金属積層体の製造方法は、第一の態様の樹脂被覆金属積層体の製造方法であって、バリア層の上に、接着剤層を介さずにポリアミック酸を塗布し、加熱することによりポリイミド樹脂を含む樹脂層を形成することを特徴とする。
本発明の第三の態様の電池外装体は、第一の態様の樹脂被覆金属積層体を備える電池外装体であって、電池を収納する内部空間を有し、前記樹脂被覆金属積層体のシーラント層の側が当該内部空間の側となることを特徴とする。
前記電池外装体は、前記第一の態様の樹脂被覆金属積層体の絞り成形体であることが好ましい。
本発明の第四の態様の電池は、前記第三の態様の電池外装体を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高い意匠性を有し、且つ、薄膜化が可能である樹脂被覆金属積層体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る樹脂被覆金属積層体の、一実施形態を示す概略断面図である。
図2】本発明に係る樹脂被覆金属積層体を用いて作製した、2次電池の一例を示す斜視図である。
図3】本発明に係る樹脂被覆金属積層体を用いて2次電池を製造する工程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、好適な実施の形態に基づき、本発明を説明する。
【0014】
[樹脂被覆金属積層体]
本発明の第一の態様の樹脂被覆金属積層体(以下、単に「積層体」ということがある。)は、少なくとも、樹脂層、バリア層、及びシーラント層をこの順に備えてなる樹脂被覆金属積層体であって、前記樹脂層が、有色顔料を含むポリイミドからなり、前記樹脂層の膜厚が1〜15μmであるものである。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂被覆金属積層体10(以下、「積層体10」ということがある。)の概略構成を示す断面図である。なお、特徴部分を明示するため、すべての図面において縮尺は実際の態様と必ずしも一致しておらず、積層体10は図面の縮尺に限定されるものではない。
本実施形態に係る積層体10は、樹脂層11、第1腐食防止層12、バリア層13、第2腐食防止層14、接着剤層15、及びシーラント層16をこの順に備える、6層構成である。
以下、各層について詳述する。
【0016】
<樹脂層11>
樹脂層11は、有色顔料を含むポリイミドからなる。
ポリイミド樹脂からなる層は、他の樹脂からなる層に比して高い機械的強度を有するため、積層体10に対する薄膜化要求に対応して1〜15μmとした場合にも、優れた機械的強度を実現することが可能となる。また、ポリイミド樹脂からなる層は、機械的強度のみならず、優れた高温耐性や、優れた絶縁性を有することから、当該ポリイミド樹脂からなる層を外層側に有する積層体10を過酷な条件下で用いた場合にも良好な特性が得られ得る。
【0017】
樹脂層11は、有色顔料を含む。本発明において「有色顔料」とは、可視光下において有彩色又は無彩色を呈する顔料をいう。樹脂層11が有色顔料を含有することにより、樹脂層11と別に着色層等を設けることなく高い意匠性を積層体10に付与することが可能となり、積層体10の意匠性と薄膜化とを両立することができる。
【0018】
樹脂層11が含有する有色顔料は特に限定されるものではなく、公知の無機顔料や有機顔料から、積層体10の外観の要求に応じて適宜選択して用いることができる。例えば、積層体10を黒色とする要求がある場合には、例えば黒色の有機顔料を用いることができる。黒色有機顔料としてはカーボンブラックが好ましい。
樹脂層11が含む有色顔料としては、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有色顔料の含量は、所望の外観や用いる顔料の特性に応じて適宜決定することができるが、例えば、有色顔料をポリイミド中に0.5〜60質量%で含有させることができ、1〜50質量%がより好ましく、3〜20質量%がさらに好ましい。
【0019】
樹脂層11の単層におけるJIS−K−7127の方法による引張伸度は、50%以上であることが好ましく、80%以上がより好ましく、100%以上がさらに好ましく、110%以上が特に好ましい。このような比較的高い引張伸度を有する樹脂層11を用いることにより、バリア層13、シーラント層16等に対する樹脂層11の追従性が良好となり、深絞り成形等の際にも不具合が発生することのない積層体10が得られる。
樹脂層11の引張伸度は、JIS−K−7127に準拠して、プラスチックの引張ひずみとして測定を行うことができる。
【0020】
ポリイミドからなる樹脂層11の形成方法は特に限定されるものではない。
例えば、第1腐食防止層12が積層されたバリア層13上に、ポリイミドからなる樹脂層の原料を公知の塗布装置を用いて塗布して樹脂層11を形成してもよい。
【0021】
ポリイミドには、ポリアミック酸を加熱することによる脱水縮合反応で生じる熱硬化型ポリイミドと、非脱水縮合型である溶剤に可溶な溶剤可溶性ポリイミドがある。
熱硬化型ポリイミドでは、まず、極性溶媒中でジアミンとカルボン酸二無水物を反応させることによりイミド前駆体であるポリアミック酸を合成する。このポリアミック酸を200〜300℃程度で加熱する、若しくは触媒を用いて反応させることにより脱水環化して、ポリイミド層とするものである。
一方、溶剤可溶性ポリイミドは、そのポリイミドのイミド化が完結していて、且つ溶剤に可溶であるものである。そのため、溶剤に溶解させた溶剤可溶性ポリイミド塗布液を塗布した後、200℃未満の比較的低温で溶剤を揮発させることにより、ポリイミド層を形成することができる。
【0022】
上述のように、熱硬化型ポリイミドでは層形成に高温加熱が必要となる。そのため、下層等に耐熱性の低い材料を用いる場合には用いることができないという問題がある。一方、溶剤可溶性ポリイミドは、イミド化が完了したポリイミドを溶剤に可溶としなければならない。そのため、ポリイミドの構造が非常に限定され、各種特性を有するポリイミドを得るための自由度が低いという問題がある。
本実施形態では、金属箔からなるバリア層13上に、第1腐食防止層12を介してポリイミドからなる樹脂層11を形成する。ここで、これらバリア層13、及び第1腐食防止層12は、いずれも耐熱性の高い層とすること、或いは耐熱性の高い構成とすることが容易である。そのため、本実施態様において樹脂層11を塗布により形成する場合には、ポリアミック酸を経由して、構造の自由度が高い熱硬化型ポリイミド層を形成することが好ましい。
【0023】
上記のような塗布によりポリイミドからなる樹脂層11を形成する場合、下層となる層(例えば、後述する第1腐食防止層12等)の上にポリアミック酸又は溶剤可溶性ポリイミド塗布液を塗布する際、それらの中に有色顔料を分散させることにより、有色顔料を含む樹脂層11を形成することができる。
樹脂層11がその内部に有色顔料を含む構成とすることにより、別の層として着色層等を設ける必要がなく、積層体10をより薄膜化することが可能となる。
【0024】
また、予め製造された有色顔料を含むポリイミドフィルムを、第1腐食防止層12が積層されたバリア層13上に、樹脂層11として積層してもよい。後者の場合には、第1腐食防止層12と、樹脂層11とは、任意の接着剤層を介して接着されることが好ましい。この接着剤層の詳細については、任意の「アンカー層」として後述する。
【0025】
本発明では、積層体10の膜厚は薄いことが好ましい。そのため、接着剤層(アンカー層)の省略の観点から、樹脂層11は塗布によって形成されることが好ましく、有色顔料を分散させたポリアミック酸を下層上に塗布した後、加熱して形成されることが好ましい。
【0026】
樹脂層11の厚さは1〜15μmであって、1〜10μmが好ましく、5〜10μmがさらに好ましい。
【0027】
<アンカー層>
積層体10は、樹脂層11と第1腐食防止層12との間に、任意のアンカー層(図示せず)を備えていてもよい。アンカー層は、樹脂層11と第1腐食防止層12とを接着させるため、或いはこれら層の接着性を向上させるための層である。
【0028】
例えば、樹脂層11として、予め成膜されたフィルムを貼り付ける場合には、アンカー層として接着剤層を設けることができる。接着剤層としては、後述する接着剤層15と同様の構成としてもよく、一般的なウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤等の接着剤からなる層であってもよい。アンカー層として接着剤層を設ける場合、その厚さは、例えば、0.05〜10μmとすることができ、0.1〜5μmが好ましい。厚さをこの範囲とすることによって、樹脂層11と第1腐食防止層12とを高い接着力で接着させることができ、層間剥離を防ぐことができる。
【0029】
また、樹脂層11を塗布により形成する場合は、接着剤層としてのアンカー層を備えないことが好ましい。一方、第1腐食防止層12の表面性状を改良し得る下引き層であれば、アンカー層として設けることも好ましい。下引き層を設けることにより、樹脂層11と第1腐食防止層12との密着性を向上させることができる。下引き層としては、例えば、樹脂層11に用いられるポリイミド樹脂との親和性が高い官能基を有する樹脂からなる層;樹脂層11に用いられるポリイミド樹脂と反応して架橋等の構造を形成し得る樹脂からなる層、等が挙げられる。
【0030】
<第1腐食防止層12・第2腐食防止層14>
第1腐食防止層12、第2腐食防止層14は、いずれも本発明では任意の構成であって、金属からなる層であることが好ましいバリア層13(詳細は後述)の、錆等による腐食を防ぐための表面処理層である。
第1、第2腐食防止層12、14はいずれも任意構成ではあるが、本発明の積層体10を、金属腐食を亢進し得る成分と接触し得る用途で用いる場合には、第1、第2腐食防止層12、14をバリア層13表面に設けることが好ましい。例えば、本発明の積層体10を、電池外装用として用いる場合であれば、内包される電池から電解液等の薬液が漏れ出るおそれがある。このような漏出した薬液は、バリア層13の金属を腐食させ得るため、バリア層13表面に腐食防止処理(表面処理)を施すことが好ましい。また、電池外装用途の場合、電解液と接触する可能性が高い側は、内包される電池の側、即ち、バリア層13のシーラント層16の側となるため、少なくとも第2腐食防止層14を設けることが好ましい。
【0031】
第1、第2腐食防止層12、14は、ハロゲン化金属化合物を含有することが好ましく、後述するようなハロゲン化金属化合物を、直接バリア層13の表面にメッキ処理してもよい。このような第1、第2腐食防止層12、14を設けることにより、バリア層13に良好に防錆効果を付与することが可能となる。
また、第1、第2腐食防止層12、14は、ハロゲン化金属化合物に加えて、さらに、水溶性樹脂と、キレート剤又は架橋性化合物とを含有することが好ましい。よって、第1、第2腐食防止層12、14としては、ハロゲン化金属化合物と、水溶性樹脂と、キレート剤又は架橋性化合物とを含有することが好ましく;第1、第2腐食防止層12、14は、ハロゲン化合物と、水溶性樹脂と、キレート剤又は架橋性化合物とを含有する水溶液を、下層となる層の上に塗布した後、乾燥・硬化させることによって形成されることがことが好ましい。以下、第1、第2腐食防止層12、14を形成する材料を、「腐食防止処理剤」ということがある。
【0032】
(ハロゲン化金属化合物)
ハロゲン化金属化合物は、耐電解液性等の耐薬品性を向上させる作用を有する。すなわち、バリア層13の表面を不動態化し、電解液に対する耐腐食性を高めることができる。第1、第2腐食防止層12、14が後述する水溶性樹脂を含有する場合には、ハロゲン化金属化合物は水溶性樹脂を架橋させる作用も有する。
ハロゲン化金属化合物は、後述の水溶性樹脂との混和性や水溶性媒体に分散して塗布する場合を鑑みて、水溶性を有することが好ましい。
ハロゲン化金属化合物としては、例えば、ハロゲン化クロム、ハロゲン化鉄、ハロゲン化ジルコニウム、ハロゲン化チタン、ハロゲン化ハフニウム、チタンハロゲン化水素酸、およびそれらの塩、等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素、臭素、フッ素が挙げられ、塩素又はフッ素が好ましい。また、特に好ましくはフッ素である。ハロゲン化金属化合物がフッ素を含有することにより、条件によっては腐食防止処理剤からフッ酸(HF)を発生させることが可能となる。
また、ハロゲン化金属化合物は、ハロゲン原子、金属以外の原子を有していてもよい。
なかでも、ハロゲン化金属化合物としては、鉄、クロム、マンガン又はジルコニウムの塩化物又はフッ化物が好ましい。
【0033】
(水溶性樹脂)
水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂又はその誘導体、及び、ポリビニルエーテル系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0034】
ポリビニルアルコール樹脂又はその誘導体は、ポリビニルアルコール樹脂又は変性ポリビニルアルコール樹脂が好ましい。
ポリビニルアルコール樹脂は、例えば、ビニルエステル系モノマーの重合体又はその共重合体をケン化することで製造することができる。ポリビニルアルコール樹脂は変性されていてもよい。
ビニルエステル系モノマーの重合体又はその共重合体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、酪酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステルや、安息香酸ビニル等の芳香族ビニルエステル等のビニルエステル系モノマーの単独重合体又は共重合体、及びこれと共重合可能な他のモノマーの共重合体などが挙げられる。共重合可能な他のモノマーは特に限定されない。また、重合や共重合は常法により行うことができる。
【0035】
ポリビニルエーテル系樹脂としては、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ノルボルニルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、ノルボルネニルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル等の、脂肪族ビニルエーテルの単独重合体又は共重合体、及びこれと共重合可能な他のモノマーの共重合体などが挙げられる。ビニルエーテル系モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、上述したビニルエステル系モノマーと共重合可能な他のモノマーと同様なものが挙げられる。
特に、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、その他、各種グリコールや多価アルコールのモノビニルエーテル等の、水酸基を有する脂肪族ビニルエーテルをモノマーに含むポリビニルエーテル系樹脂は、水溶性を有し、かつ水酸基に対する架橋反応が可能なので、本発明に好適に用いることができる。
【0036】
水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール樹脂又はその誘導体とポリビニルエーテル系樹脂のうち、いずれか一方のみを用いてもよいし、両方を併用してもよい。
【0037】
(キレート剤)
キレート剤は、金属イオンに配位結合し金属イオン錯体を形成し得る材料である。
キレート剤は、ハロゲン化金属化合物に由来の金属化合物(酸化クロム等)と、前記水溶性樹脂とを結合させて、第1、第2腐食防止層12、14の圧縮強度を高める。そのため、第1、第2腐食防止層12、14の厚みが、例えば0.2μmを越え、1.0μm以下である場合でも、第1、第2腐食防止層12、14が脆化して割れや剥離が生じることはない。このため、バリア層13と、樹脂層11や接着剤層15との間の接着強度及び密着性を高めることができる。
また、キレート剤は、水溶性樹脂またはハロゲン化金属化合物と化学反応することにより、水溶性樹脂を耐水化する作用を有する。
【0038】
キレート剤としては、例えば、アミノカルボン酸系キレート剤、ホスホン酸系キレート剤、オキシカルボン酸系、(ポリ)リン酸系キレート剤が使用できる。
なかでもキレート剤としては、ホスホン酸系キレート剤、(ポリ)リン酸系キレート剤等のリン酸系のキレート剤(リン酸化合物)が好ましく、ホスホン酸系キレート剤がより好ましい。
【0039】
(架橋性化合物)
架橋性化合物は、前記水溶性樹脂と反応して架橋構造を形成し得る化合物をいう。このような架橋性化合物を用いることにより、第1、第2腐食防止層12、14内において前述の水溶性樹脂と架橋性化合物とが緻密な架橋構造を形成し、バリア層13表面の不動態性及び耐腐食性をより向上させることができる。
架橋性化合物としては、水溶性樹脂内の親水性基(例えば、カルボキシ基、カルボン酸基等)と反応して架橋構造を形成し得るものであれば特に限定されるものではないが、例えば、エポキシ基を有する化合物や、オキサゾリン基を有する化合物が挙げられる。
【0040】
腐食防止処理剤において、キレート剤と架橋性化合物とは、いずれか一方のみを用いてもよく、両方を併用してもよい。
【0041】
腐食防止処理剤は、水溶性樹脂と、ハロゲン化金属化合物と、キレート剤及び/又は架橋性化合物とを、水を含む溶媒に溶解して製造することができる。
【0042】
第1、第2腐食防止層12、14の厚さは、0.05μm以上が好ましく、0.08μm超がより好ましい。また、1.0μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。
【0043】
<バリア層13>
バリア層13は、積層体10において、当該積層体で密閉された内容物の漏れ(例えば電池の液漏れ)を低減するために重要な役割を果たすものである。また、機械的強度の高い金属を用いることにより、積層体10を用い、絞り成形によって電池収納用の凹部を形成する際に、ピンホールの発生を低減することができ、結果として積層体で密閉された内容物の漏れ(例えば電池の液漏れ)を低減することが可能となる。
バリア層13としては、金属又は合金を薄く展延したものであれば特に限定されるものではなく、アルミニウム、銅、鉛、亜鉛、鉄、ニッケル、チタン、クロム等の金属箔;ステンレス鋼等の合金箔が挙げられる。ステンレス鋼箔としては、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系などのステンレス鋼からなるものであれば特に限定されない。オーステナイト系としては、SUS304,316,301等があり、フェライト系としてはSUS430等が挙げられ、マルテンサイト系としてはSUS410等が挙げられる。
なかでも、加工性、入手の容易さ、価格、強度(突き刺し強度、引張強度、等)、耐腐食性等の観点から、アルミニウム箔又はステンレス鋼箔が好ましい。
【0044】
バリア層13としては金属箔又は合金箔が用いられ、このようなバリア層13は高い機械的強度を有する。しかしながら、金属箔又は合金箔は樹脂薄膜に比して高い機械的強度を有するが故に、成形性が低い場合が多い。そのため、例えば金属箔又は合金箔をバリア層として有する積層体を、電池外装体用に絞り成形する場合であれば、絞り成形時に積層体の一部が破断する、絞り後の成形体の角に何らかの不具合が生じる等の問題が発生する場合があった。
本発明では、樹脂層11にポリイミドを用いることにより、バリア層13として金属箔又は合金箔を用いた場合にも、絞り成形等において良好な成形性が得られる。このような効果が得られる理由は定かではないが、機械的強度の高い金属箔又は合金箔からなるバリア層13を、同じく機械的強度の高いポリイミドを含む樹脂層11が被覆することにより、層同士の機械的強度の差異による層間の剥離や歪みによる層の断裂等を防ぐことができると考えられる。
【0045】
上述のような成形性に関する効果は、バリア層13としてステンレス鋼箔を用いた場合にも良好に得られる。
ステンレス鋼箔は、従来包装体用積層体や外装体用積層体のバリア層材料として広く用いられていたアルミニウム箔等に比して、特に高い機械的強度を有する。そのため、ステンレス鋼箔を用いることにより、バリア層13を薄膜とした際にも良好な強度を維持することができ、且つ、積層体10全体の薄膜化が達成され得る。一方で、機械的強度が特に高いことから、成形性に関しては特に劣る場合があった。
本発明では、このようなステンレス鋼箔に関しても、ポリイミドと組み合わせて用いることにより成形性の課題が解決され得ることが見出された。そして、ステンレス鋼箔とポリイミドとを組み合わせて用いることにより、積層体10全体の膜厚をさらに薄くすることも可能となる。
【0046】
バリア層13の厚さは、100μm以下でが好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。さらに具体的には、5〜30μmが好ましく、10〜30μmがより好ましく、10〜20μmが特に好ましい。上記下限値以上とすることによって、積層体10に十分な機械的強度を与え、二次電池等の電池に使用した際に、電池の耐久性を高めることができる。また、バリア層13の厚さを上記上限値以下とすることによって、積層体10を十分に薄いものとすることができ、且つ、十分な絞り加工性を与えることができる。
【0047】
<接着剤層15>
接着剤層15は、本発明においては任意の層であって、シーラント層16と、第2腐食防止層14が表面に形成されたバリア層13とを接着するために設けられる層である。
接着剤層15を形成する接着剤としては、上記の層を良好に接着し得るものであればその材料は特に限定されるものではないが、例えば、接着性と貯蔵弾性率とを満たし得ることから、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を含むことが好ましい。また、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)と、複数のエポキシ基を含有する化合物(B)と、を含有する接着剤からなる層であることがさらに好ましい。
以下、酸変性ポリオレフィン樹脂(A)を「(A)成分」、複数のエポキシ基を含有する化合物(B)を「(B)成分」ということがある。
【0048】
(酸変性ポリオレフィン樹脂(A))
酸変性ポリオレフィン樹脂(A)((A)成分)とは、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン系樹脂であって、ポリオレフィン系樹脂中に、カルボキシ基や無水カルボン酸基等の酸官能基を有するものである。
(A)成分は、不飽和カルボン酸またはその誘導体によるポリオレフィン系樹脂の変性や、酸官能基含有モノマーとオレフィン類との共重合等により得られる。なかでも(A)成分としては、ポリオレフィン系樹脂を酸変性して得られたものが好ましい。
【0049】
前記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、プロピレンとエチレンとの共重合体、プロピレンとオレフィン系モノマーとの共重合体等が挙げられる。
共重合する場合の前記オレフィン系モノマーとしては、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン等が挙げられる。
【0050】
なかでも(A)成分としては、接着性、耐久性等の観点から、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが好ましい。
【0051】
(複数のエポキシ基を含有する化合物(B))
(B)成分は、エポキシ基を複数含有する化合物である。(B)成分は(A)成分に添加される添加剤であり、任意の成分である。(B)成分は低分子化合物であっても高分子化合物であってもよい。前記(A)成分との混和性、相溶性を良好とする観点からは(B)成分は高分子化合物(樹脂)であることが好ましい。一方、接着剤が溶剤型のドライラミネート用接着剤である場合には、有機溶剤への溶解性を良好とする観点から、(B)成分が低分子化合物であることも好ましい。
【0052】
(B)成分の構造は、エポキシ基を複数有するものであれば特に限定されず、例えば、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンより合成されるフェノキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、1分子あたりのエポキシ含量が高く、(A)成分と共に特に緻密な架橋構造を形成できることから、フェノールノボラック型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。
【0053】
上記のような(B)成分を用いることにより、上記(A)成分の酸官能基と、(B)成分のエポキシ基との双方が、被着体(特に、第2腐食防止層14が有するカルボキシ基等の官能基)に対する接着性官能基として機能することにより、シーラント層16と、第2腐食防止層14を表面に有するバリア層13とに対して、優れた接着性を奏することが可能となると考えられる。
また、上記(A)成分の酸官能基の一部と、(B)成分のエポキシ基の一部とが反応し、(A)成分と(B)成分との架橋構造が第2腐食防止層14内で形成される結果、この架橋構造により接着剤層15の強度が補強され、優れた接着性と共に良好な耐久性が得られるものと考えられる。
【0054】
接着剤層15において、(A)成分の100質量部に対して、(B)成分の1〜30質量部が含有されることが好ましく、(A)成分の100質量部に対して、(B)成分の3〜20質量部がより好ましく、(A)成分の100質量部に対して、(B)成分の5〜10質量部が特に好ましい。
【0055】
(任意成分)
本発明で用いられる接着剤は、さらに、有機溶剤を含有していてもよく、含有していなくてもよい。
有機溶剤を含有して液状の接着剤とすることにより、溶剤型ドライラミネート用接着剤とすることができる。このような液状接着剤を、下層となる層(例えば、バリア層13の第2腐食防止層14を設けた面)の上に塗布及び乾燥することにより、接着剤層15を形成することができる。押出し成形に代えて塗布を選択することにより、接着剤層をより薄層で形成可能となり、接着剤層の薄層化及び接着剤層を用いた積層体全体の薄膜化が可能である。
一方、有機溶剤を含有しない場合、(A)成分と(B)成分とを溶融混練し、もしくは(A)成分を溶融し、その後押出し成形等することにより、熱ラミネート等に好適な接着剤層を形成することができる。
【0056】
有機溶剤を含有する場合、用いる有機溶剤としては上記(A)成分、(B)成分、及び必要に応じて用いられる他の任意成分(詳細は後述)を好適に溶解して均一な溶液とすることができるものであれば特に限定されるものではなく、溶液型接着剤の溶剤として公知のものの中から任意の溶剤を用いることができる。
【0057】
有機溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて混合溶剤として用いてもよい。複数種の有機溶剤を混合して用いる場合、各有機溶剤の割合は特に限定されるものではないが、たとえばトルエンとメチルエチルケトンとを組み合わせて用いる場合、これらの混合割合は、トルエン:メチルエチルケトン=60〜95:5〜40(質量比)が好ましく、トルエン:メチルエチルケトン=70〜90:10〜30(質量比)がより好ましい。
【0058】
本発明で用いられる接着剤は、上記(A)成分に加え、(B)成分を添加することができ、また有機溶剤に加えて、さらに他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、混和性のある添加剤や付加的な樹脂が挙げられ、より具体的には、触媒、架橋剤、可塑剤、安定剤、着色剤等を用いることができる。
【0059】
本発明で用いられる接着剤の固形分中、(A)成分は50質量部超、99.5質量部以下で含有され、(B)成分は0.5質量部以上、50質量部未満で含有されることが好ましい。すなわち、接着剤の固形分中、質量比において半量超が(A)成分であって、本発明で用いられる接着剤は(A)成分を主成分とする。より好ましくは、(A)成分の70〜99.5質量部に対して(B)成分0.5〜30質量部であり;さらに好ましくは、(A)成分80〜98質量部に対して(B)成分2〜20質量部であり;(A)成分90〜95質量部に対して(B)成分5〜10質量部が特に好ましい。
【0060】
また、本発明で用いられる接着剤が任意成分として(A)成分及び(B)成分以外の固形成分を含有する場合であっても、(A)成分は必ず主成分となる。そのため、任意成分を含有する場合にも、接着剤の全固形分中(A)成分は50質量部超となる。例えば、全固形分中、(A)成分の70〜99.5質量部と、(B)成分の0.5〜29.5質量部と、その他の成分の0.5〜29.5質量部とを含有する接着剤が挙げられる。
【0061】
本発明で用いられる接着剤が有機溶剤を含有する場合、有機溶剤の使用量は、(A)成分、(B)成分、任意成分等の各成分を良好に溶解し得る量であれば特に限定されるものではないが、一般的には固形分濃度が3〜30質量%であることが好ましく、5〜25質量%がより好ましく、10〜20質量%がさらに好ましい。
【0062】
接着剤層15の厚さは、例えば、0.1〜50μmとすることができ、0.5〜10μmが好ましい。厚さをこの範囲とすることによって、シーラント層16と、第2腐食防止層14が設けられたバリア層13とを高い接着力で接着させることができ、層間剥離を防ぐことができる。
【0063】
<シーラント層16>
シーラント層16は、本発明の樹脂被覆金属積層体10を重ねあわせ、ヒートシールにより互いに接着させることを可能とする層である。
シーラント層16としては、上記のようなシーラント層としての機能を果たし得る層であれば特に限定されるものではないが、入手の容易さ、ヒートシール性等の観点から、ポリオレフィンからなる層が好ましい。ポリオレフィンからなる層は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、プロピレンとエチレン又はα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンとエチレン又はα−オレフィンとのブロック共重合体等が挙げられる。
なかでも、接着剤層15との接着性が向上することから、ホモポリプロピレン(プロピレン単独重合体;以下、「ホモPP」ということがある。)、プロピレン−エチレンのブロック共重合体(以下、「ブロックPP」と言うことがある。)、プロピレン−エチレンのランダム共重合体(以下、「ランダムPP」と言うことがある)等のポリプロピレン系樹脂が好ましい。なかでも、ホモPP又はブロックPPがより好ましく、機械強度に優れることから、ブロックPPが特に好ましい。
シーラント層16は、単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。
【0064】
シーラント層16に用いるポリオレフィンからなる層の融点は、積層体10に必要な耐熱性を備えるものであれば特に限定されない。
シーラント層16の厚さは、例えば、1〜50μmとすることができ、5〜30μmが好ましい。
【0065】
図1に示した積層体10では、樹脂層11を最外層としているが、樹脂層11のさらに外面側に、コーティング層やマット層を形成することもできる。
コーティング層(表面保護層)は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合樹脂、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、フッ素樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリアリールエーテル樹脂(PAE)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)からなる樹脂群より選択された少なくとも1種の樹脂より形成されている。コーティング層は、耐熱性に優れた材料で構成されていることが好ましい。これら樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0066】
コーティング層は、前記樹脂を一般的な有機溶剤に溶解して調製された溶剤型塗料を塗布・乾燥させて形成された、薄膜硬化層であることが好ましい。
コーティング層の形成によって、絶縁性の向上、表面の傷付防止、表面印刷特性の向上等の効果が得られ得る。また、積層体10が、仮に電解液に触れた場合でも、外観の変化(変色等)を防止することができる。
また、コーティング層は、文字、図形、画像、模様などを表示するように着色や印刷を加え、意匠性をさらに高めることもできる。
コーティング層の厚さは、例えば、0.001〜10μmとすることができ、0.01〜10μmが好ましい。
【0067】
マット層は、積層体10にマット性を付与するための層である。マット層により艶消し状の外観が得られるのみならず、光沢度が高い場合に比して積層体10表面の摺り傷等が見え難いという効果も奏し得る。
良好なマット効果を簡便に得るため、マット層は微粒子を有することが好ましい。微粒子がマット層中に含有されることにより、マット層表面に微細な凹凸が形成され、この凹凸によって光が散乱する結果、光沢度が低下してマット効果が得られる。
マット層は具体的には、主剤となる樹脂中に微粒子が分散された組成物からなる層が好ましく、樹脂と微粒子とを溶剤に分散したマット層形成剤を、樹脂層11上に薄く塗布して形成されることがより好ましい。
【0068】
マット層が含有する樹脂の具体例としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合樹脂、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、フッ素樹脂、セルロースエステル樹脂、セルロースエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリアリールエーテル樹脂(PAE)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)等が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでもマット層の樹脂としては、アクリルウレタン樹脂が好ましい。
【0069】
マット層が含有する微粒子は、有機微粒子であっても、無機微粒子であってもよい。微粒子としては、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機微粒子;シリカ、アルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化チタン、ガラスビーズ、等の無機微粒子が挙げられる。これらの微粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
微粒子の形状、大きさは特に限定されず、定形、不定形のいずれでもよいが、略球状が好ましく、その大きさは平均粒子径において1〜10μmが好ましく、特に2〜5μmが好ましい。
なかでもマット層の微粒子としてはアクリル粒子(アクリルビーズ)、及びシリカ粒子からなる群から選ばれる1種以上が好ましく、これらの併用がより好ましい。
【0070】
マット層を形成するマット層形成剤は、全固形分中、上記樹脂の70〜98質量%と、微粒子の2〜30質量%とを含有することが好ましく;樹脂の80〜95質量%と、微粒子の5〜20質量%とを含有することがより好ましく;樹脂の85〜95質量%と、微粒子の5〜15質量%とを含有することがさらに好ましい。
【0071】
マット層は、微粒子によって形成され得る微細な凹凸を、マット層表面に反映させるため、樹脂層11上に薄く形成されることが好ましく、上述のようなマット層形成剤を樹脂層11上に塗布することにより形成されることが好ましい。塗布方法は特に限定されず、例えば公知のバーコーター等を用いて行うことができる。
また、マット層を形成するためのマット層形成剤の塗布量は特に限定されるものではなく、積層体10に要求される光沢度や、マット層に用いられる微粒子の粒径、量、形状等に応じて適宜決定されることが好ましい。一例として、マット層形成剤としてアクリルウレタン樹脂とシリカ粒子とアクリルビーズとを使用する場合であれば、当該成分を固形分10〜50質量%で含有する溶液を準備し、バーコーターやグラビア印刷機を用いて当該溶液を2〜15g/mで基材層13上に塗布することが好ましい。
このようにして形成されるマット層の膜厚は、例えば、0.1μm〜1mmとすることができ、0.5μm〜100μmが好ましい。
【0072】
樹脂被覆金属積層体10の厚さは、10〜200μmであることが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜85μmがさらに好ましい。
【0073】
本発明の樹脂被覆金属積層体10は、電池外装用として特に好適である。電池としては、二次電池であるリチウムイオン電池等の二次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタなどの、電解液に有機電解質を使用したものが挙げられる。有機電解質としては、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチレンカーボネートなどの炭酸エステル類を媒質とするものが一般的であるが、特にこれに限定されない。
【0074】
(樹脂被覆金属積層体10の製造方法)
本実施形態の樹脂被覆金属積層体10を製造する方法は特に限定されないが、例えば以下のようにして製造することができる。
【0075】
まず、バリア層13となる金属箔等を準備し、その両面に、第1腐食防止層12及び第2腐食防止層14を形成する。
具体的には、上述のような腐食防止処理剤をバリア層13の表面に塗布した後、加熱乾燥する。このとき、バリア層13の片面のみに腐食防止処理剤を塗布することにより、第2腐食防止層14のみを形成してもよく、バリア層13の両面に腐食防止処理剤を塗布することにより、第1腐食防止層12を同時に形成してもよい。なお、バリア層13の両面に腐食防止層を設ける場合、腐食防止処理剤中にバリア層13を浸漬させてバリア層13の両面に腐食防止処理剤を付着させた後、加熱乾燥する方法を採用し、第1、第2腐食防止層12、14を同時に形成することも好ましい。
【0076】
次いで、バリア層13上に形成された第1腐食防止層12の上に、樹脂層11を形成する。
樹脂層11を塗布により形成する場合であれば、第1腐食防止層12の上に、有色顔料を含有するポリアミック酸又は溶剤可溶性ポリイミド塗布液を塗布し、加熱又は乾燥させることにより樹脂層11が形成される。このとき、第1腐食防止層12の上には、上述のようなアンカー層(下引き層)が形成されていてもよいが、接着剤層は形成されていないことが好ましい。
また、樹脂層11として、予めフィルム形成されたものを用いる場合であれば、バリア層13又は第1腐食防止層12の上に、上述のアンカー層(接着剤層)を塗布等により形成し、必要に応じて乾燥する。
の後、アンカー層上に樹脂層11となるポリイミドフィルムを積層し、必要に応じてラミネートすることにより、樹脂層11が形成される。
【0077】
その後、樹脂層11等が形成されたバリア層13の第2腐食防止層14の上に、接着剤層15を形成する。具体的には、バリア層13の第2腐食防止層14が設けられた面の上に、上述のような接着剤からなる層を形成し、必要に応じて加熱し、乾燥する。
【0078】
接着剤が有機溶剤を含まない熱ラミネート用接着剤である場合、(A)成分と(B)成分とを溶融混練することにより両成分を反応させた後、第2腐食防止層14上に塗工することにより、接着剤層15が形成される。
溶融混練は、一軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー、プラストミル、加熱ロールニーダー等の公知の装置を用いることができる。溶融混練時のエポキシ基の分解を抑制するため、水分等のエポキシ基と反応し得る揮発成分は、予め装置外へ除去しておき、且つ、反応中に揮発成分が発生する場合には脱気等により随時装置外へ排出することが望ましい。前記酸変性ポリオレフィン樹脂が、酸官能基として酸無水物基を有する場合、エポキシ基との反応性が高く、より穏和な条件下で反応が可能となるため好ましい。溶融混練時の加熱温度は、両成分が十分に溶融し、且つ熱分解しないという点で、240〜300℃の範囲内から選択することが好ましい。なお、混練温度は、溶融混練装置から押し出された直後における、溶融状態の接着剤に、熱電対を接触させる等の方法によって測定することが可能である。
【0079】
また、接着剤が有機溶剤を含むドライラミネート用接着剤である場合、(A)成分もしくは、(A)成分と(B)成分とを有機溶剤中に溶解させた後、この溶液を第2腐食防止層14上に塗布して乾燥させることにより、接着剤層15が形成される。また、接着剤層15の形成は、後述するシーラント層20とのラミネート工程と共に、公知のドライラミネータ等を用いて一連の工程として行ってもよい。
【0080】
その後、シーラント層16と、形成された接着剤層15とが接するように配して、当該積層体をラミネートする。ラミネートは、ドライラミネートであっても熱ラミネートであってもよいが、70〜150℃のドライラミネートが好ましい。ドライラミネート時の圧力は、0.1〜0.5MPaとすることが好ましい。
具体的には、シーラント層20を構成するフィルムを予め準備し、当該フィルムを接着剤層15上に配した上で、ラミネートを行う。ラミネートの温度は、接着剤層15を介してシーラント層16と、第2腐食防止層14及びバリア層13とが良好に接着される温度であれば特に限定されるものではなく、接着剤層15を構成する接着剤の材料や融点を考慮して決定することができる。ドライラミネートの場合の温度は、一般的には70〜150℃であって、80〜120℃が好ましい。
【0081】
なお、接着剤層15を形成する工程と、シーラント層16を配して(ドライ)ラミネートをする工程とは、一連の工程として公知の(ドライ)ラミネート装置を用いて行ってもよい。
【0082】
本実施形態の樹脂被覆金属積層体10の製造方法は上述の方法に限定されるものではないが、樹脂層11をポリアミック酸の塗布により形成する場合であれば、上述のようにバリア層13上に、第1腐食防止層12を介して樹脂層11を形成した後に、バリア層13上に第2腐食防止層14及び接着剤層15を介してシーラント層16を形成することが好ましい。このような順とすることにより、ポリアミック酸を用いてポリイミド層である樹脂層11を形成する際の熱の影響を、シーラント層16の樹脂に及ぼすことがなく、シーラント層16の材料の選択の幅が広がる。
【0083】
このようにして樹脂被覆金属積層体10を製造することができる。得られた積層体は、規定の幅に切断して用いることができる。
【0084】
以上、図1に示す樹脂被覆金属積層体10に基づき、本発明の一実施形態を説明したが、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0085】
[電池外装体]
本発明の第二の態様の電池外装体は、前記第一の態様の樹脂被覆金属積層体を備える電池外装体であって、電池を収納する内部空間を有し、前記樹脂被覆金属積層体のシーラント層の側が当該内部空間の側となる電池外装体である。具体的には、シーラント層が内部空間に面するように第一の態様の樹脂被覆金属積層体を所望の形状に成形し、必要に応じて端部を密封等することにより得られるものである。
電池外装体の形状、大きさ等は特に限定されず、用いられる電池の種類に応じて適宜決定することができる。
電池外装体は、一の部材からなるものであってもよく、図2を用いて後述するように二以上の部材(例えば、容器本体及び蓋部)を組み合わせて形成されるものであってもよい。
【0086】
[電池]
本発明の第三の態様の電池は、前記第二の態様の電池外装体を備えたものである。
電池としては二次電池であるリチウムイオン電池等の二次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタなどの、電解液に有機電解質を使用したものが挙げられる。本発明の樹脂被覆金属積層体は、良好な耐薬液性(耐電解液性)を有し得るため、LiPF等を含む電解液を用いた場合にも好適に動作し得る電池を得ることが可能となる。
一例として、二次電池50の斜視図を図2に示す。二次電池50は、電池外装用容器30に、リチウムイオン電池37を内包したものである。
電池外装用容器30は、本発明の第一の態様の樹脂被覆金属積層体10からなる容器本体40と、樹脂被覆金属積層体10からなる蓋部43とを重ね、周縁部39をヒートシールすることにより形成されている。符号38は、リチウムイオン電池37の正極および負極に接続された電極リードである。
【0087】
図2に示す電池は、以下のようにして製造することができる。
まず、図3(a)に示すように、樹脂被覆金属積層体10を、凹部41を有するトレー状となるように、絞り成形などにより成形し、容器本体40を得る。凹部41の深さは、例えば、2mm以上とすることができる。
容器本体40の凹部41に、リチウムイオン電池(図2中のリチウムイオン電池37)を収納する。
次いで、図3(b)に示すように、樹脂被覆金属積層体10からなる蓋部43を容器本体40の上に重ね、容器本体40のフランジ部42と蓋部43の周縁部44をヒートシールすることによって、図2に示す二次電池50が得られる。すなわち、図3に示す電池では、容器本体40の上面が蓋部43に覆われることにより、凹部41と蓋部43とによって電池を収容する内部空間が形成される。
【実施例】
【0088】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0089】
[実施例1〜9、比較例1]
<実施例1〜7>
まず、バリア層として厚さ15μmのステンレス鋼箔を用意し、ステンレス鋼箔の両面に腐食防止処理剤を塗布し、200℃のオーブンにて加熱乾燥し、厚さ0.1μmの第1腐食防止層及び第2腐食防止層を両面にそれぞれ形成した。腐食防止処理剤は、フッ化クロムとリン酸、ポリビニルアルコールを混合したものを用いた。
次いで、形成された第1腐食防止層上に、表1に示す割合でカーボンブラックを含有するポリアミック酸を塗布し、200℃で5分間加熱することで脱水縮合反応によりポリイミドとして、表1に示す厚さの樹脂層を形成した。
【0090】
さらに、上記で形成された第2腐食防止層上に接着剤を塗布し、厚さ2μmの接着剤層を形成した。接着剤は、マレイン酸変性ポリプロピレンに対し、エポキシ樹脂を5質量%混練したものを用いた。
この金属箔を含む積層体における接着剤層と、厚さ15μmのポリプロピレン樹脂(ブロックPP)フィルムからなるシーラント層とをドライラミネートにより積層した。
その後、60℃で2日間に次いで80℃で3日間、その後40℃で1日間のエージング処理を経て、樹脂被覆金属積層体を得た。
【0091】
<実施例8>
ステンレス鋼箔に第1、第2腐食防止層を設けなかった以外は実施例1〜7と同様にして、樹脂被覆金属積層体を得た。
【0092】
<実施例9、比較例1>
上記実施例1〜7と同様にして、ステンレス鋼箔の両面に、第1、第2腐食防止層を形成した。
次いで、形成された第1腐食防止層上に接着剤を塗布し、厚さ3μmのアンカー層(接着剤層)を形成した。接着剤は、ウレタン系接着剤を用いた。
さらに、形成されたアンカー層上に、カーボンブラックを10質量%含有し、且つ、表1に示す厚さを有するポリイミドフィルムを積層し、80℃の熱圧着によるドライラミネートにより積層した。
その後、上記実施例1〜7と同様にして、第2腐食防止層上に接着剤を介してシーラント層を積層し、エージングを経て樹脂被覆金属積層体を得た。
【0093】
(引張伸度の測定)
上記各例で用いられた樹脂層に関し、JIS−K−7127「プラスチック−引張特製の試験方法−フィルム及びシートの試験条件」に準じて樹脂層単層の引張伸度を測定した。
具体的には、上記各例の樹脂層を形成し、インストロン型引張試験機((株)島津製作所製)を用いて、引張伸度を測定した。
結果を「単層引張伸度」として表1中に示す。
【0094】
(薄膜特性)
上記各例で得られた積層体に関し、総膜厚について以下の基準で評価した。結果を「薄膜特性」として表1中に示す。
A:40μm以下
B:40μm超、50μm以下
C:50μm超
【0095】
(積層体外観)
上記各例で得られた積層体を目視により観察し、以下の評価条件で評価を行った。結果を「積層体外観」として表1に示す。
なお、以下の評価基準において、B−1とB−2とは積層体として同等程度の好ましさであり、同様にC−1とC−2とは同等程度の好ましさであった。
A:剥がれ等の明らかな欠陥は認められず、且つ、平面性が高かった。
B:剥がれ等の明らかな欠陥は認められず、且つ、十分な平面性を有していた。
C−1:平面性が低い部分が認められた。
C−2:層間の剥がれが若干生じていた。
D:層間の剥がれが生じており、平面性も非常に低かった。
【0096】
(電池外装体外観)
上記各例で得られた積層体を用いて、深絞り成形により電池外装体を製造した。得られた電池外装体を目視により観察し、以下の評価条件で評価を行った。結果を「電池外装体外観」として表1に示す。
なお、以下の評価基準において、B−1とB−2とは電池外装体として同等程度の好ましさであり、同様にC−1とC−2とは同等程度の好ましさであった。
A:電池外装体の深絞り成形による角部分も、平面部分も均一な黒色を呈している。
B−1:全体的に黒色が薄く見える。
B−2:深絞り成形による角部分の形状等が一部不十分であった。
C−1:角部分の黒色が明らかに薄く見える。
C−2:角部分の黒色は平面部分と同等に均一であるが、角部分にシワがよっている。
【0097】
【表1】
【0098】
表1に示す結果から、本発明に係る樹脂層を備えた樹脂被覆金属積層体を用いる実施例1〜9は、比較例1に比して、優れた薄膜特性、低減された面欠陥、電池外装体とした際の優れた特性を有することが確認できた。
【符号の説明】
【0099】
10 樹脂被覆金属積層体、11 樹脂層、12 第1腐食防止層、13 バリア層、14 第2腐食防止層、15 接着剤層、16 シーラント層、30 電池外装用容器、37 リチウムイオン電池、38 電極リード、39 周縁部、40 容器本体、41 凹部、42 フランジ部、43 蓋部、44 周縁部、50 二次電池
図1
図2
図3