【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願は透過率の調節が可能な光学デバイスであって、例えば、少なくとも透過モードと遮断モードの間をスイッチングできる光学デバイスに関するものである。
【0008】
前記透過モードは、光学デバイスが相対的に高い透過率を示す状態であって、遮断モードは、光学デバイスが相対的に低い透過率を示す状態である。
【0009】
一例示において、前記光学デバイスは、前記透過モードでの透過率が約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上または約50%以上であり得る。また、前記光学デバイスは、前記遮断モードでの透過率が約20%以下、約15%以下または約10%以下であり得る。
【0010】
前記透過モードでの透過率は数値が高いほど有利であり、遮断モードでの透過率は低いほど有利であるため、それぞれの上限と下限は特に制限されない。一例示において、前記透過モードでの透過率の上限は約100%、約95%、約90%、約85%、約80%、約75%、約70%、約65%または約60%であり得る。前記遮断モードでの透過率の下限は約0%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%または約10%であり得る。
【0011】
前記透過率は直進光透過率であり得る。用語直進光透過率は所定の方向に光学デバイスに入射した光対比前記入射方向と同じ方向に前記光学デバイスを透過した光(直進光)の比率であり得る。一例示において、前記透過率は、前記光学デバイスの表面法線と平行な方向に入射した光に対して測定した結果(法線光透過率)であり得る。
【0012】
本出願の光学デバイスで透過率が調節される光は、UV−A領域の紫外線、可視光または近赤外線であり得る。一般的に使用される定義によると、UV−A領域の紫外線は320nm〜380nmの範囲内の波長を有する放射線を意味するものとして使用され、可視光は380nm〜780nmの範囲内の波長を有する放射線を意味するものとして使用され、近赤外線は780nm〜2000nmの範囲内の波長を有する放射線を意味するものとして使用される。
【0013】
本出願の光学デバイスは、少なくとも前記透過モードと遮断モードの間をスイッチングできるように設計される。必要な場合に光学デバイスは、前記透過モードおよび遮断モードの他に他のモード、例えば、前記透過モードおよび遮断モードの透過率の間の任意の透過率を示し得る第3のモードも具現できるように設計され得る。
【0014】
このようなモード間のスイッチングは、光学デバイスが能動液晶素子を含むことによって達成され得る。前記で能動液晶素子は、少なくとも2個以上の光軸の配向状態、例えば、第1および第2配向状態の間をスイッチングできる能動液晶層を含む液晶素子であって、前記能動液晶層は配向状態のスイッチングが可能な液晶化合物を含む。前記で光軸は、液晶素子に含まれている液晶化合物が棒(rod)状の場合にはその長軸方向を意味し得、円盤(discotic)状の場合には前記円盤の平面の法線方向を意味し得る。例えば、液晶素子がある配向状態において、互いに光軸の方向が異なる複数の液晶化合物を含む場合に、液晶素子の光軸は平均光軸と定義され得、この場合、平均光軸は前記液晶化合物の光軸のベクトルの和を意味し得る。
【0015】
前記のような液晶素子において、配向状態はエネルギーの印加、例えば、電圧の印加によって変更することができる。例えば、前記液晶素子は電圧の印加がない状態で前記第1および第2配向状態のうちいずれか一つの配向状態を有してから電圧が印加されると他の配向状態にスイッチングされ得る。
【0016】
前記第1および第2配向状態のうちいずれか一つの配向状態で前記遮断モードが具現され、他の配向状態で前記透過モードが具現され得る。便宜上本明細書では前記第1状態で遮断モードが具現されるものと記述する。
【0017】
前記液晶素子は、少なくとも液晶化合物を含む能動液晶層を含むことができる。一例示において、前記液晶層は、いわゆるゲストホスト液晶層であって、液晶化合物と二色性染料ゲストを含む能動液晶層であり得る。用語能動液晶層は、含まれた液晶化合物の光軸の配向を変更できるように設計された液晶層を意味する。
【0018】
前記液晶層は、いわゆるゲストホスト効果を利用した液晶層であって、前記液晶化合物(以下、液晶ホストと称することがある)の配向方向により前記二色性染料ゲストが整列する液晶層である。前記液晶ホストの配向方向は前述した外部エネルギーの印加の有無により調節することができる。
【0019】
液晶層に使用される液晶ホストの種類は特に制限されず、ゲストホスト効果の具現のために適用される一般的な種類の液晶化合物が使用され得る。
【0020】
例えば、前記液晶ホストとしては、スメクチック液晶化合物、ネマティック液晶化合物またはコレステリック液晶化合物が使用され得る。一般的にはネマティック液晶化合物が使用され得る。用語ネマティック液晶化合物は、液晶分子の位置に対する規則性はないが、すべて分子軸方向に秩序を有して配列できる液晶化合物を意味し、このような液晶化合物は棒(rod)状であるか円盤(discotic)状であり得る。
【0021】
このようなネマティック液晶化合物は例えば、約40℃以上、約50℃以上、約60℃以上、約70℃以上、約80℃以上、約90℃以上、約100℃以上または約110℃以上の透明点(clearing point)を有するか、前記範囲の相転移点、すなわちネマティック相から等方相への相転移点を有するものが選択され得る。一例示において、前記透明点または相転移点は約160℃以下、約150℃以下または約140℃以下であり得る。
【0022】
前記液晶化合物は、誘電率異方性が負数または正数であり得る。前記誘電率異方性の絶対値は目的を考慮して適切に選択され得る。例えば、前記誘電率異方性は3超過または7超過であるか、−2未満または−3未満であり得る。
【0023】
液晶化合物はさらに約0.01以上または約0.04以上の光学異方性(n)を有することができる。液晶化合物の光学異方性は他の例示で約0.3以下または約0.27以下であり得る。
【0024】
ゲストホスト液晶層の液晶ホストとして使用され得る液晶化合物は、本技術分野の専門家たちに公知とされており、それらから自由に選択され得る。
【0025】
液晶層は前記液晶ホストとともに二色性染料ゲストを含むことができる。用語「染料」とは、可視光領域、例えば、380nm〜780nm波長範囲内で少なくとも一部または全体範囲内の光を集中的に吸収および/または変形させることができる物質を意味し得、用語「二色性染料ゲスト」は前記可視光領域の少なくとも一部または全体範囲で光吸収が可能な物質を意味し得る。
【0026】
二色性染料ゲストとしては、例えば、液晶ホストの配向状態により整列され得る特性を有すると知られている公知の染料を選択して使用することができる。例えば、二色性染料ゲストとしては、アゾ染料またはアントラキノン染料などを使用することができ、広い波長範囲での光吸収を達成するために液晶層は1種または2種以上の染料を含んでもよい。
【0027】
二色性染料ゲストの二色比(dichroic ratio)は二色性染料ゲストの使用目的を考慮して適切に選択され得る。例えば、前記二色性染料ゲストは二色比が5以上〜20以下であり得る。用語「二色比」とは、例えば、p型染料である場合、染料の長軸方向に平行な偏光の吸収を前記長軸方向に垂直な方向に平行な偏光の吸収で割った値を意味し得る。二色性染料ゲストは可視光領域の波長範囲内、例えば、約380nm〜780nmまたは約400nm〜700nmの波長範囲内で少なくともいずれか一つの波長、一部の範囲の波長または全範囲の波長で前記二色比を有することができる。
【0028】
液晶層内での二色性染料ゲストの含量は二色性染料ゲストの使用目的を考慮して適切に選択され得る。例えば、液晶ホストと二色性染料ゲストの合計重量を基準として前記二色性染料ゲストの含量は、約0.1重量%〜約10重量%範囲内で選択され得る。二色性染料ゲストの比率は液晶素子の透過率と液晶ホストに対する二色性染料の溶解度などを考慮して変更することができる。
【0029】
液晶層は前記液晶ホストと二色性染料ゲストを基本として含み、必要な場合に他の任意の添加剤を公知の形態に応じてさらに含むことができる。添加剤の例としては、キラルドーパントまたは安定化剤などが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0030】
前記液晶層は、約0.5以上の異方性度Rを有することができる。前記異方性度Rは液晶ホストの配向方向(alignment direction)に平行に偏光された光線の吸光度E(p)および液晶ホストの配向方向に垂直に偏光された光線の吸光度E(s)から下記の数学式により測定する。
【0031】
<異方性度数式>
異方性度R=[E(p)−E(s)]/[E(p)+2*E(s)]
【0032】
前記で使用される基準は液晶層内に染料を含有しない他の同じ装置である。
【0033】
具体的には、異方性度Rは染料分子が水平配向された液晶層の吸光度に対する値E(p)および染料分子が垂直配向された同じ液晶層の吸光度に対する値E(s)から測定され得る。前記吸光度を、染料を全く含有しないがその他には同じ構成を有する液晶層と比較して測定する。このような測定は、振動面が一つの場合には配向方向と平行な方向に振動E(p)し、後続の測定では配向方向と垂直な方向に振動E(s)する偏光された光線を利用して実行され得る。液晶層は測定の途中でスイッチングされたり回転されたりせず、したがって前記E(p)およびE(s)の測定は偏光された入射光の振動面を回転させることによって実行され得る。
【0034】
詳細な手続きの一例示は、下記の通りである。E(p)およびE(s)の測定のためのスペクトルは、パーキンエルマー社のラムダ1050 UV分光計(Perkin Elmer Lambda 1050 UV spectrometer)等のような分光計を利用して記録することができる。分光計には測定用ビームおよび基準ビームのいずれにおいても約250nm〜約2500nmの波長範囲用のグラントムソン偏光子(Glan−Thompson polariser)が装着されている。2個の偏光子はステッピングモーター(stepping motor)により制御され、同じ方向に配向される。偏光子の偏光子方向においての変化、例えば0度〜90度の切り替えは測定用ビームおよび基準ビームに対して常に同期的におよび同じ方向に実行される。個別偏光子の配向はヴュルツブルク大学(University of Wurzburg)のT.カルステンス(T.Karstens)の1973年学位論文に記述されている方法を利用して測定することができる。
【0035】
この方法で、偏光子は配向された二色性サンプルに対して5度ずつ段階的に回転され、吸光度は例えば最大吸収領域で固定された波長で記録される。それぞれの偏光子位置について新しい基準線零点(zero line)が実行される。2個の二色性スペクトルE(p)およびE(s)の測定のために、JSR社のポリイミドAL−1054でコーティングされた逆平行‐ラビングされたテストセルは測定用ビームおよび基準ビーム内に位置する。2個のテストセルは同じ層厚で選択され得る。純粋なホスト(液晶化合物)を含有するテストセルは基準ビーム内に位置する。液晶の中に染料の溶液を含有するテストセルは測定用ビーム内に位置する。測定用ビームおよび基準ビームに対する2個のテストセルは、同じ配向方向で音波経路(ray path)内に設置される。分光計のできる限り可能な精密度を保障するために、E(p)は必ずその最大吸収波長範囲、例えば、約0.5〜約1.5の波長範囲内にあり得る。これは30%〜5%の透過度に相応する。これは層厚および/または染料の濃度を相応するように調整することによって設定される。
【0036】
異方性度Rは文献[参照:「Polarized Light in Optics and Spectroscopy」、D.S.Kliger et al.、Academic Press、1990]に記載されているような前記数学式により、E(p)およびE(s)に対する測定値から計算され得る。
【0037】
前記異方性度Rは他の例示で約0.55以上、0.6以上または約0.65以上であり得る。前記異方性度Rは例えば、約0.9以下、約0.85以下、約0.8以下、約0.75以下または約0.7以下であり得る。
【0038】
このような異方性度Rは液晶層の種類、例えば、液晶化合物(ホスト)の種類、二色性染料ゲストの種類および比率、液晶層の厚さなどを制御して達成することができる。
【0039】
前記範囲内の異方性度Rを通じて、より低エネルギーを使用しつつも、透過状態と遮断状態での透過率の差が大きくなってコントラスト比が高くなる光学デバイスの提供が可能となり得る。
【0040】
前記液晶層の厚さは例えば、目的とする異方性度などを考慮して適切に選択され得る。一例示において、前記液晶層の厚さは、約0.01μm以上、0.05μm以上、0.1μm以上、0.5μm以上、1μm以上、1.5μm以上、2μm以上、2.5μm以上、3μm以上、3.5μm以上、4μm以上、4.5μm以上、5μm以上、5.5μm以上、6μm以上、6.5μm以上、7μm以上、7.5μm以上、8μm以上、8.5μm以上、9μm以上または約9.5μm以上であり得る。このように厚さを制御することによって、透過状態での透過率と遮断状態での透過率の差が大きい光学デバイス、すなわちコントラスト比が大きいデバイスを具現することができる。前記厚さは厚いほど高いコントラスト比の具現が可能であるため特に制限されないが、一般に約30μm以下、25μm以下、20μm以下または約15μm以下であり得る。
【0041】
前記第1および第2配向状態は、一例示において、それぞれ水平配向、垂直配向、ツイストネマティック配向またはコレステリック配向状態で選択され得る。例えば、遮断モードで液晶素子または液晶層は、少なくとも水平配向、ツイストネマティック配向またはコレステリック配向であり、透過モードで液晶素子または液晶層は、垂直配向または前記遮断モードの水平配向とは異なる方向の光軸を有する水平配向状態であり得る。液晶素子は、電圧無印加状態で前記遮断モードが具現される通常遮断モード(Normally Black Mode)の素子であるか、電圧無印加状態で前記透過モードが具現される通常透過モード(Normally Transparent Mode)を具現することができる。
【0042】
液晶層の配向状態で該当液晶層の光軸がどのような方向に形成されているかを確認する方式は公知である。例えば、液晶層の光軸の方向は、光軸方向を知っている他の偏光板を利用して測定することができ、これは公知の測定機器、例えば、Jasco社のP−2000等のpolarimeterを使用して測定することができる。
【0043】
液晶ホストの誘電率異方性、液晶ホストを配向させる配向膜の配向方向などを調節して、前記のような通常透過または遮断モードの液晶素子を具現する方式は公知である。
【0044】
前記液晶素子は、対向配置されている2枚の基材層と前記2枚の基材層の間に存在する前記能動液晶層を含むことができる。
【0045】
また、前記液晶素子は、前記2枚の基材層の間で前記2枚の基材層の間隔を維持するスペーサーおよび/または対向配置された2枚の基材層の間隔が維持された状態で前記基材層を付着させているシーラントをさらに含むことができる。前記スペーサーおよび/またはシーラントとしては、特に制限なく公知の素材が使用され得る。
【0046】
基材層としては、例えば、ガラスなどからなる無機フィルムまたはプラスチックフィルムが使用され得る。プラスチックフィルムとしては、TAC(triacetyl cellulose)フィルム;ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer)フィルム;PMMA(poly(methyl methacrylate)等のアクリルフィルム;PC(polycarbonate)フィルム;PE(polyethylene)フィルム;PP(polypropylene)フィルム;PVA(polyvinyl alcohol)フィルム;DAC(diacetyl cellulose)フィルム;Pac(Polyacrylate)フィルム;PES(poly ether sulfone)フィルム;PEEK(polyetheretherketon)フィルム;PPS(polyphenylsulfone)フィルム、PEI(polyetherimide)フィルム;PEN(polyethylenemaphthatlate)フィルム;PET(polyethyleneterephtalate)フィルム;PI(polyimide)フィルム;PSF(polysulfone)フィルム;PAR(polyarylate)フィルムまたはフッ素樹脂フィルムなどが使用され得るが、これに制限されるものではない。基材層には、必要に応じて金;銀;または二酸化ケイ素または一酸化ケイ素などのケイ素化合物のコーティング層や、反射防止層などの機能層が存在してもよい。
【0047】
基材層としては、所定の範囲の位相差を有するフィルムが使用され得る。一例示において、前記基材層は正面位相差が約100nm以下であり得る。前記正面位相差は他の例示で約95nm以下、90nm以下、85nm以下、80nm以下、75nm以下、70nm以下、65nm以下、60nm以下、55nm以下、50nm以下、45nm以下、40nm以下、35nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下、1nm以下または約0.5nm以下であり得る。前記正面位相差は他の例示で約0nm以上、1nm以上、2nm以上、3nm以上、4nm以上、5nm以上、6nm以上、7nm以上、8nm以上、9nm以上、または約9.5nm以上であり得る。
【0048】
基材層の厚さ方向位相差の絶対値は、例えば、約200nm以下であり得る。前記厚さ方向位相差の絶対値は他の例示で約190nm以下、180nm以下、170nm以下、160nm以下、150nm以下、140nm以下、130nm以下、120nm以下、110nm以下、100nm以下、90nm以下、85nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、10nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下、1nm以下または約0.5nm以下であり得、約0nm以上、10nm以上、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、60nm以上、70nm以上または約75nm以上であり得る。前記厚さ方向位相差は絶対値が前記範囲内であれば負数または正数であり得、例えば、負数であり得る。
【0049】
本明細書で正面位相差Rinは下記の数式1で計算される数値であり、厚さ方向位相差Rthは下記の数式2で計算される数値であり、特に別途に規定しない限り、前記正面および厚さ方向位相差の基準波長は約550nmである。
【0050】
[数式1]
正面位相差Rin=d×(nx−ny)
【0051】
[数式2]
厚さ方向位相差Rth=d×(nz−ny)
【0052】
数式1および2において、dは基材層の厚さ、nxは基材層の遅相軸方向の屈折率であり、nyは基材層の進相軸方向の屈折率、nzは基材層の厚さ方向の屈折率である。
【0053】
基材層が光学異方性である場合に対向配置されている基材層の遅相軸がなす角度は、例えば、約−10度〜約10度の範囲内、約−7度〜約7度の範囲内、約−5度〜約5度の範囲内または約−3度〜約3度の範囲内であるか略平行であり得る。
【0054】
また、前記基材層の遅相軸と後述する偏光子の光吸収軸がなす角度は、例えば、約−10度〜約10度の範囲内、約−7度〜約7度の範囲内、約−5度〜約5度の範囲内または約−3度〜約3度の範囲内であるか、略平行であり得るか、あるいは約80度〜約100度の範囲内、約83度〜約97度の範囲内、約85度〜約95度の範囲内または約87度〜約92度の範囲内であるか略垂直であり得る。
【0055】
前記のような位相差調節または遅相軸の配置を通じて光学的に優れ、均一な透過および遮断モードの具現が可能となり得る。
【0056】
基材層は、熱膨張係数が約100ppm/K以下であり得る。前記熱膨張係数は、他の例示で約95ppm/K以下、90ppm/K以下、85ppm/K以下、80ppm/K以下、75ppm/K以下、70ppm/K以下または約65ppm/K以下であるか、約10ppm/K以上、20ppm/K以上、30ppm/K以上、40ppm/K以上、50ppm/K以上または約55ppm/K以上であり得る。基材層の熱膨張係数は、例えば、ASTM D696の規定に沿って測定することができ、該当規格で提供する形態でフィルムを裁断し、単位温度当たりの長さの変化を測定して熱膨張係数を計算することができ、TMA(ThermoMechanic Analysis)等の公知の方式で測定することができる。
【0057】
基材層としては、破断伸び率が約90%以上である基材層を使用することができる。前記破断伸び率は約95%以上、100%以上、105%以上、110%以上、115%以上、120%以上、125%以上、130%以上、135%以上、140%以上、145%以上、150%以上、155%以上、160%以上、165%以上、170%以上または約175%以上であり得、約1,000%以下、900%以下、800%以下、700%以下、600%以下、500%以下、400%以下、300%以下または約200%以下であり得る。基材層の破断伸び率はASTM D882規格に沿って測定することができ、該当規格で提供する形態でフィルムを裁断し、Stress−Strain curveを測定できる装備(力と長さを同時に測定できる)を利用して測定することができる。
【0058】
基材層が前記のような熱膨張係数および/または破断伸び率を有するように選択されることによって、より優秀な耐久性の光学デバイスが提供され得る。
【0059】
前記のような基材層の厚さは特に制限されず、例えば約50μm〜約200μm程度の範囲内であり得る。
【0060】
本明細書で言及する物性のうち測定温度がその結果に影響を及ぼす場合には、特に別途に規定しない限り、該当物性は常温で測定した物性である。用語常温は、加温または減温されていない自然そのままの温度であって、通常約10℃〜30℃の範囲内の温度または約23℃または約25℃程度である。また、本明細書で特に別途に言及しない限り、温度の単位は℃である。
【0061】
本明細書で言及する物性のうち測定圧力がその結果に影響を及ぼす場合には、特に別途に規定しない限り、該当物性は常圧で測定した物性である。用語常圧は、加圧または減圧されていない自然そのままの圧力であって、通常約1気圧程度を常圧と指し示す。
【0062】
本出願では前記のような能動液晶素子の基材層の少なくとも一面に特定のハードコーティング層を形成する。前記ハードコーティング層は特定範囲の厚さを有し、必要な場合にその硬度(hardness)および/または弾性率が所定の範囲に調節され得る。このようなハードコーティング層の存在によって本出願の光学デバイスは、前記能動液晶素子および/または偏光子を接着フィルムを使用してカプセル化する場合にも光漏れやクラックなどの不良が発生しない。
【0063】
このようなハードコーティング層は能動液晶素子の2層の基材層のうちいずれか一つの層の基材層または2層の基材層の両方に形成され得、一つの基材層を基準としてその両面にすべて形成されるか、ある一面にのみ形成されてもよい。
【0064】
一例示において、ハードコーティング層は少なくとも前記基材層の前記能動液晶層に向かう面には形成されていてもよい。
【0065】
用語ハードコーティング層は、業界で一般的に知られているように所定の硬度を有する層であり、本出願でその具体的な種類は特に制限されない。
【0066】
一つの例示において、前記ハードコーティング層としては厚さが約2μm以上である層を使用することができる。このようなハードコーティング層の厚さの制御を通じて、目的とする効果を達成することができる。前記ハードコーティング層はその厚さが厚いほど目的とするクッションまたはバッファー効果を確保することができ、その上限は特に制限されず、例えば、前記ハードコーティング層の厚さは約20μm以下、18μm以下、16μm以下、14μm以下、12μm以下、10μm以下、8μm以下、6μm以下、5μm以下または約4μm以下であり得、場合によっては約3μm以上でもよい。
【0067】
前記のようなハードコーティング層は低い硬度および/または弾性率を有するように設計され得、このような設計によって目的とするクッションまたはバッファー効果が最大化され得る。
【0068】
一例示において、前記ハードコーティング層は、硬度が約0.7GPa以下であり得る。ハードコーティング層の硬度の測定方法は後述する実施例の方式に従う。前記硬度は他の例示で約0.663GPa以下、0.65GPa以下、0.6GPa以下、0.55GPa以下または約0.5GPa以下であり得る。前記硬度の下限は特に制限されないが、ハードコーティング層の機能を考慮して約0.01GPa以上、0.05GPa以上、0.1GPa以上、0.15GPa以上、0.2GPa以上または約0.25GPa以上であり得る。
【0069】
前記硬度はMTS Nano Indenter XP装備を使用してチップ(tip)の速度約10nm/sおよび圧入深さ約1000nmの条件で測定した結果である。
【0070】
一例示において、前記ハードコーティング層は、弾性率が約7.5GPa以下であり得る。ハードコーティング層の弾性率の測定方法は後述する実施例の方式に従う。前記弾性率は他の例示で約7.005GPa以下、7GPa以下、6.5GPa以下、6GPa以下、5.5GPa以下または約5.330GPa以下であり得る。前記弾性率の下限は特に制限されないが、ハードコーティング層の機能を考慮して約1GPa以上、1.5GPa以上、2GPa以上、2.5GPa以上、3GPa以上または約3.5GPa以上であり得る。
【0071】
前記弾性率は、MTS Nano Indenter XP装備を使用してチップ(tip)の速度約10nm/sおよび圧入深さ約1000nmの条件で測定した弾性率である。
【0072】
前記のような硬度および/または弾性率の制御を通じて目的とする効果がより増大され得る。
【0073】
前記のようなハードコーティング層の材料は特に制限されず、業界で公知とされている一般的な材料を適用するものの、その厚さと必要な場合に硬度および/または弾性率を前記範囲に属するように材料の組成を調節して製造することができる。
【0074】
例えば、前記ハードコーティング層は、多官能性(メタ)アクリレートの重合単位を含むことができる。前記で多官能性(メタ)アクリレートは、少なくとも2個以上の(メタ)アクリレートを有する化合物であって、ハードコーティング層の材料として公知とされている物質である。一般的にハードコーティング層内に多官能性(メタ)アクリレートの比率が高くなるほど、その層の硬度および弾性率が高くなる傾向がある。本出願で用語(メタ)アクリレートはアクリレートまたはメタクリレートを意味する。
【0075】
前記多官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールアジペート(neopentylglycol adipate)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバル酸(hydroxyl puivalic acid)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(dicyclopentanyl)ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリルオキシエチルイソシアヌレート、アリル(allyl)化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチルプロパンジ(メタ)アクリレート、アダマンタン(adamantane)ジ(メタ)アクリレートまたは9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン(fluorene)などのような2官能型アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、3官能型ウレタン(メタ)アクリレートまたはトリス(メタ)アクリロキシエチルイソシアヌレートなどの3官能型アクリレート;ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレートまたはペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能型アクリレート;プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能型アクリレート;またはジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートまたはウレタン(メタ)アクリレート(ex.イソシアヌレート単量体およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートの反応物)等の6官能型アクリレート;などを使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0076】
ハードコーティング層は、前記成分に、いわゆるウレタンアクリレートと公知とされている重合性化合物の重合単位をさらに含むことができる。このような単位を適切に使用することによって、目的とする硬度および/または弾性率の設計が可能となり得る。
【0077】
ウレタンアクリレートとしては、前記多官能性アクリレートの種類として言及したものを使用するか、あるいはいわゆる光硬化型オリゴマーとして知られているものであって、当業界でUV硬化型のような光硬化型粘着剤組成物の製造に使用されるすべてのオリゴマー成分が含まれ得る。例えば、前記オリゴマーは、分子中に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネートおよびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを反応させたウレタンアクリレート;ポリエステルポリオールおよび(メタ)アクリル酸を縮合反応させたエステル系アクリレート;ポリエステルポリオールおよびポリイソシアネートを反応させたエステル系ウレタン樹脂をヒドロキシアルキルアクリレートと反応させたエステル系ウレタンアクリレート;ポリエーテルポリオールおよびポリイソシアネートを反応させたエーテル系ウレタン樹脂をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと反応させたエーテル系ウレタンアクリレート;などを使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0078】
前記ウレタンアクリレートの比率は目的とする硬度および/または弾性率を考慮して選択され得るものであって、特に制限されず、例えば、前記多官能性アクリレート100重量部を基準として約5〜約50重量部の範囲内で適正に選択され得る。
【0079】
ハードコーティング層は前記成分にその他の添加剤をさらに含むことができる。その他の添加剤は特に制限されず、公知の添加剤であり得る。一例として、その他の添加剤はシリカ粒子などのフィラーであり得る。
【0080】
ハードコーティング層を形成する方法は特に制限されず、公知の方法によってハードコーティング層を形成することができる。例えば、溶媒に多官能性(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、開始剤および/またはその他の添加剤を配合し、前記配合したハードコーティング組成物を前述した基材層上に塗布および硬化させることによって、目的とするハードコーティング層を形成することができる。
【0081】
前記溶媒は特に制限されず、ハードコーティング層を形成できる公知の溶媒を使用することができる。一例として、溶媒はトルエン(Toluene)、シクロヘキサノン(Cyclohexanone)、シクロペンタノン(Cyclopentanone)、メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、N−メチルピロリドン(N−Methyl Pyrrolidone)、キシレン(Xylene)、ブチルセロソルブ(butyl cellosolve)またはプロピレングリコールメチルエーテル(Propylene glycol methyl ether)を使用することができるが、これに制限されるものではない。
【0082】
一方、前記溶媒はハードコーティング組成物100重量部対比約60重量部〜約90重量部の範囲内の比率で含むことができる。他の例として、ハードコーティング組成物100重量部対比約65重量部以上、70重量部以上または約75重量部以上であり得、約85重量部以下または約80重量部以下の範囲内の比率で含むことができる。
【0083】
液晶素子で前記基材層の一面、例えば、前記能動液晶層に向かう面上には導電層および/または配向膜などの機能性層がさらに存在することができる。
【0084】
基材層の面上に存在する導電層は、能動液晶層に電圧を印加するための構成であって、特に制限なく公知の導電層が適用され得る。導電層としては、例えば、伝導性高分子、伝導性金属、伝導性ナノワイヤーまたはITO(Indium Tin Oxide)等の金属酸化物などが適用され得る。本出願で適用され得る導電層の例は前記に制限されず、この分野で液晶素子に適用され得るものとして知られている公知の導電層が使用され得る。
【0085】
一例示において、前記基材層の面上には配向膜が存在する。例えば、基材層の一面にまず導電層が形成され、その上部に配向膜が形成され得る。
【0086】
配向膜は能動液晶層に含まれる液晶ホストの配向を制御するための構成であって、特に制限なく公知の配向膜を適用することができる。業界で公知とされている配向膜としては、ラビング配向膜や光配向膜などがあり、本出願で使用され得る配向膜は前記公知の配向膜であり、これは特に制限されない。
【0087】
前述した光軸の配向を達成するために前記配向膜の配向方向が制御され得る。例えば、対向配置されている2枚の基材層の各面に形成された2個の配向膜の配向方向は、互いに約−10度〜約10度の範囲内の角度、約−7度〜約7度の範囲内の角度、約−5度〜約5度の範囲内の角度または約−3度〜約3度の範囲内の角度をなすか互いに略平行であり得る。他の例示において、前記2個の配向膜の配向方向は約80度〜約100度の範囲内の角度、約83度〜約97度の範囲内の角度、約85度〜約95度の範囲の角度内または約87度〜約92度の範囲内の角度をなすか互いに略垂直であり得る。
【0088】
このような配向方向に沿って能動液晶層の光軸の方向が決定されるため、前記配向方向は能動液晶層の光軸の方向を確認して確認することができる。
【0089】
前記のような構成を有する液晶素子の形態は特に制限されず、光学デバイスの適用用途によって決定され得、一般的にはフィルムまたはシートの形態である。
【0090】
光学デバイスは、前記能動液晶素子とともに偏光子をさらに含むことができる。前記偏光子としては、例えば、吸収型線形偏光子、すなわち一方向に形成された光吸収軸とそれとは略垂直に形成された光透過軸を有する偏光子を使用することができる。
【0091】
前記偏光子は、前記能動液晶層の第1配向状態で前記遮断状態が具現されると仮定する場合に、前記第1配向状態の平均光軸(光軸のベクトルの和)と前記偏光子の光吸収軸がなす角度が80度〜100度または85度〜95度をなすか、略垂直になるように光学デバイスに配置されているか、あるいは35度〜55度または約40度〜50度になるか略45度になるように光学デバイスに配置されていてもよい。
【0092】
配向膜の配向方向を基準とする時、前述したように対向配置された液晶素子の2枚の基材層の各面上に形成された配向膜の配向方向が、互いに約−10度〜約10度の範囲内の角度、約−7度〜約7度の範囲内の角度、約−5度〜約5度の範囲内の角度または約−3度〜約3度の範囲内の角度をなすか互いに略平行な場合に前記2個の配向膜のうちいずれか一つの配向膜の配向方向と前記偏光子の光吸収軸がなす角度が約80度〜約100度または約85度〜約95度をなすか、略垂直となり得る。
【0093】
他の例示において、前記2個の配向膜の配向方向が約80度〜約100度の範囲内の角度、約83度〜約97度の範囲内の角度、約85度〜約95度の範囲の角度内または約87度〜約92度の範囲内の角度をなすか互いに略垂直である場合には、2枚の配向膜のうち前記偏光子に、より近く配置された配向膜の配向方向と前記偏光子の光吸収軸がなす角度が約80度〜約100度または約85度〜約95度をなすか、略垂直となり得る。
【0094】
例えば、
図1に示した通り、前記液晶素子10と前記偏光子20は互いに積層された状態で前記液晶素子10の第1配向方向の光軸(平均光軸)と前記偏光子20の光吸収軸が前記関係となるように配置され得る。
【0095】
一例示において、前記偏光子20が後述する偏光コーティング層である場合には、前記偏光コーティング層が前記液晶素子の内部に存在する構造が具現され得る。例えば
図2に示した通り、前記液晶素子の基材層100のうちいずれか一つの基材層100と能動液晶層120の間に前記偏光コーティング層201が存在する構造が具現され得る。例えば、基材層100上に前述した導電層(図示されず)、前記偏光コーティング層201および前記配向膜(図示されず)が順次形成されていてもよい。
【0096】
本出願の光学デバイスで適用され得る前記偏光子の種類は特に制限されない。例えば、偏光子としては、既存のLCDなどで使用される通常の素材、例えば、PVA(poly(vinyl alcohol))偏光子などや、リオトロピック液晶(LLC:Lyotropic Liquid Cystal)や、反応性液晶(RM:Reactive Mesogen)と二色性染料(dichroic dye)を含む偏光コーティング層のように、コーティング方式で具現した偏光子を使用することができる。本明細書で前記のようにコーティング方式で具現された偏光子は、偏光コーティング層と呼称され得る。前記リオトロピック液晶としては特に制限なく公知の液晶を使用することができ、例えば、二色性比(dichroic ratio)が30〜40程度であるリオトロピック液晶層を形成できるリオトロピック液晶を使用することができる。一方、偏光コーティング層が反応性液晶(RM:Reactive Mesogen)と二色性染料(dichroic dye)を含む場合、前記二色性染料としては線形の染料を使用するか、あるいは円盤状の染料(discotic dye)が使用されてもよい。
【0097】
本出願の光学デバイスは前記のような能動液晶素子と偏光子をそれぞれ一つずつのみ含むことができる。したがって、前記光学デバイスはただ一つの前記能動液晶素子のみを含み、ただ一つの偏光子だけを含むことができる。
【0098】
光学デバイスは、対向配置されている2枚の外郭基板をさらに含むことができる。例えば、
図3に示した通り、前記対向配置された2枚の外郭基板30の間に前記能動液晶素子10と偏光子20が存在し得る。
【0099】
前記外郭基板としては、例えば、ガラスなどになる無機フィルムまたはプラスチックフィルムが使用され得る。プラスチックフィルムとしては、TAC(triacetyl cellulose)フィルム;ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer)フィルム;PMMA(poly(methyl methacrylate)等のアクリルフィルム;PC(polycarbonate)フィルム;PE(polyethylene)フィルム;PP(polypropylene)フィルム;PVA(polyvinyl alcohol)フィルム;DAC(diacetyl cellulose)フィルム;Pac(Polyacrylate)フィルム;PES(poly ether sulfone)フィルム;PEEK(polyetheretherketon)フィルム;PPS(polyphenylsulfone)フィルム、PEI(polyetherimide)フィルム;PEN(polyethylenenaphthatlate)フィルム;PET(polyethyleneterephtalate)フィルム;PI(polyimide)フィルム;PSF(polysulfone)フィルム;PAR(polyarylate)フィルムまたはフッ素樹脂フィルムなどが使用され得るが、これに制限されるものではない。外郭基板には、必要に応じて金;銀;または二酸化ケイ素または一酸化ケイ素などのケイ素化合物のコーティング層や、反射防止層などの機能層が存在してもよい。
【0100】
外郭基板としては、所定の範囲の位相差を有するフィルムが使用され得る。一例示において、前記外郭基板は正面位相差が約100nm以下であり得る。前記正面位相差は他の例示において、約95nm以下、90nm以下、85nm以下、80nm以下、75nm以下、70nm以下、65nm以下、60nm以下、55nm以下、50nm以下、45nm以下、40nm以下、35nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、9nm以下、8nm以下、7nm以下、6nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下または約1nm以下であり得る。前記正面位相差は他の例示において、約0nm以上、1nm以上、2nm以上、3nm以上、4nm以上、5nm以上、6nm以上、7nm以上、8nm以上、9nm以上、または約9.5nm以上であり得る。
【0101】
外郭基板の厚さ方向位相差の絶対値は、例えば、約200nm以下であり得る。前記厚さ方向位相差の絶対値は他の例示において、約190nm以下、180nm以下、170nm以下、160nm以下、150nm以下、140nm以下、130nm以下、120nm以下、110nm以下、100nm以下、90nm以下、85nm以下、80nm以下、70nm以下、60nm以下、50nm以下、40nm以下、30nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、9nm以下、8nm以下、7nm以下、6nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下または約1nm以下であり得、約0nm以上、5nm以上、10nm以上、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、60nm以上、70nm以上または約75nm以上であり得る。前記厚さ方向位相差は、絶対値が前記範囲内であれば負数または正数であり得、例えば、負数であり得る。
【0102】
前記外郭基板の正面位相差Rinおよび厚さ方向位相差Rthは、それぞれ前記数式1および2で基材層の厚さd、遅相軸方向屈折率nx、進相軸方向屈折率nyおよび厚さ方向の屈折率nzを、外郭基板の厚さd、遅相軸方向屈折率nx、進相軸方向屈折率nyおよび厚さ方向の屈折率nzに代替して計算すること以外は同様に計算され得る。
【0103】
外郭基板が光学異方性である場合に対向配置されている外郭基板の遅相軸がなす角度は、例えば、約−10度〜約10度の範囲内、約−7度〜約7度の範囲内、約−5度〜約5度の範囲内または約−3度〜約3度の範囲内であるか略平行であり得る。
【0104】
また、前記外郭基板の遅相軸と前述した基材層が光学異方性である場合に、その基材層の遅相軸がなす角度は、例えば、約−10度〜約10度の範囲内、約−7度〜約7度の範囲内、約−5度〜約5度の範囲内または約−3度〜約3度の範囲内であるか略平行であり得るか、あるいは約80度〜約100度の範囲内、約83度〜約97度の範囲内、約85度〜約95度の範囲内または約87度〜約92度の範囲内であるか略垂直であり得る。
【0105】
前記のような位相差調節または遅相軸の配置を通じて光学的に優れ、均一な透過および遮断モードの具現が可能となり得る。
【0106】
外郭基板としては、熱膨張係数が約100ppm/K以下のものを使用することができる。前記熱膨張係数は、他の例示において、約95ppm/K以下、90ppm/K以下、85ppm/K以下、80ppm/K以下、75ppm/K以下、70ppm/K以下、65ppm/K以下、60ppm/K以下、50ppm/K以下、40ppm/K以下、30ppm/K以下、20ppm/K以下または約15ppm/K以下であるか、約1ppm/K以上、2ppm/K以上、3ppm/K以上、4ppm/K以上、5ppm/K以上、6ppm/K以上、7ppm/K以上、8ppm/K以上、9ppm/K以上または約10ppm/K以上であり得る。
【0107】
前記外郭基板の熱膨張係数の測定方式は前述した基材層の熱膨張係数の測定方式と同じである。
【0108】
外郭基板が前記のような熱膨張係数を有するように選択されることによって、より優秀な耐久性の光学デバイスが提供され得る。
【0109】
前記のような外郭基板の厚さは特に制限されず、例えば約0.3mm以上であり得る。前記厚さは他の例示において、約0.5mm以上、1mm以上、1.5mm以上または約2mm以上程度であり得、約10mm以下、9mm以下、8mm以下、7mm以下、6mm以下、5mm以下、4mm以下または約3mm以下程度であってもよい。
【0110】
光学デバイスは前記能動液晶素子および/または偏光子を前記外郭基板内でカプセル化している接着フィルムをさらに含むことができる。このような接着フィルム40は、例えば、
図4に示した通り、外郭基板30と能動液晶素子10の間、能動液晶素子10と偏光子20の間および偏光子20と外郭基板30の間に存在し得る。また、接着フィルムは、能動液晶素子および/または偏光子のカプセル化のために能動液晶素子および/または偏光子の側面にも存在し得る。
【0111】
前記接着フィルムは、前記外郭基板30と能動液晶素子10、能動液晶素子10と偏光子20および偏光子20と外郭基板30を互いに接着させ、前記能動液晶素子10と偏光子20をカプセル化していてもよい。
【0112】
例えば、目的とする構造により、外郭基板、能動液晶素子、偏光子および接着フィルムを積層した後に真空状態で圧着する方式で前記構造を具現することができる。
【0113】
前記接着フィルムとしては特に制限なく公知の素材が使用され得、例えば、公知とされている熱可塑性ポリウレタン接着フィルム(TPU:Thermoplastic Polyurethane)、ポリアミド接着フィルム、ポリエステル接着フィルム、EVA(Ethylene Vinyl Acetate)接着フィルム、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン接着フィルムのうち後述する物性を満足するものが選択され得る。
【0114】
接着フィルムとしては、所定の範囲の位相差を有するフィルムが使用され得る。一例示において、前記接着フィルムは正面位相差が約100nm以下であり得る。前記正面位相差は他の例示において、約95nm以下、90nm以下、85nm以下、80nm以下、75nm以下、70nm以下、65nm以下、60nm以下、55nm以下、50nm以下、45nm以下、40nm以下、35nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、9nm以下、8nm以下、7nm以下、6nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下または約1nm以下であり得る。前記正面位相差は他の例示において、約0nm以上、1nm以上、2nm以上、3nm以上、4nm以上、5nm以上、6nm以上、7nm以上、8nm以上、9nm以上、または約9.5nm以上であり得る。
【0115】
接着フィルムの厚さ方向位相差の絶対値は、例えば、約200nm以下であり得る。前記絶対値は他の例示において、約190nm以下、180nm以下、170nm以下、160nm以下、150nm以下、140nm以下、130nm以下、120nm以下または115nm以下であることができるか、0nm以上、10nm以上、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上、60nm以上、70nm以上、80nm以上または約90nm以上であり得る。前記厚さ方向位相差は絶対値が前記範囲内であれば、負数や正数であり得、例えば負数ことである。
【0116】
前記接着フィルムの正面位相差Rinおよび厚さ方向位相差Rthは、それぞれ前記数式1および2で基材層の厚さd、遅相軸方向屈折率nx、進相軸方向屈折率nyおよび厚さ方向の屈折率nzを、接着フィルムの厚さd、遅相軸方向屈折率nx、進相軸方向屈折率nyおよび厚さ方向の屈折率nzに代替して計算すること他には同一に計算され得る。
【0117】
前記で接着フィルムの厚さは前記外郭基板30と 能動液晶素子10の間の接着フィルムの厚さ、例えば前記両者間の間隔、 能動液晶素子10と偏光子20の間の接着フィルムの厚さ、例えば前記両者間の間隔および偏光子20と外郭基板30の間の接着フィルムの厚さ、例えば前記両者間の間隔であり得る。
【0118】
接着フィルムとしては、ヤング率(Young's modulus)が約0.1〜約100MPaの範囲内にあるものを使用することができる。前記ヤング率は、例えば、ASTM D882に規定された方式で測定することができ、該当規格で提供する形態でフィルムを裁断し、Stress−Strain curveを測定できる装備(力と長さを同時に測定できる)を利用して測定することができる。
【0119】
接着フィルムが前記のようなヤング率を有するように選択されることによって、より優秀な耐久性の光学デバイスが提供され得る。
【0120】
前記のような接着フィルムの厚さは特に制限されず、例えば約200μm〜約600μm程度の範囲内であり得る。前記で接着フィルムの厚さは前記外郭基板30と 能動液晶素子10の間の接着フィルムの厚さ、例えば前記両者間の間隔、 能動液晶素子10と偏光子20の間の接着フィルムの厚さ、例えば前記両者間の間隔および偏光子20と外郭基板30の間の接着フィルムの厚さ、例えば前記両者間の間隔であり得る。
【0121】
光学デバイスは前記構成の他にも必要な任意の構成をさらに含むことができ、例えば、位相差層、光学補償層、反射防止層、ハードコーティング層などの公知の構成を適切な位置に含むことができる。
【0122】
前記のような光学素子は多様な用途で使用され得、例えば、サングラスやAR(Augmented Reality)またはVR(Virtual Reality)用アイウェア(eyewear)等のアイウェア類、建物の外壁や車両用サンルーフなどに使用され得る。
【0123】
一つの例示において、前記光学デバイスは、それ自体で車両用サンルーフであり得る。
【0124】
例えば、少なくとも一つ以上の開口部が形成されている車体を含む自動車において、前記開口部に装着された前記光学デバイスまたは車両用サンルーフを装着して使用され得る。
以下、本発明の実施形態の例を項目として示す。
[項目1]
液晶化合物を含み、第1および第2配向状態の間をスイッチングできる能動液晶層を有する能動液晶素子を含む光学デバイスであって、
能動液晶素子は、対向配置された2層の基材層と2層の基材層の間に存在する能動液晶層を含み、
基材層の少なくとも一面には厚さが2μm以上のハードコーティング層が形成されている、光学デバイス。
[項目2]
対向配置されている2枚の外郭基板;偏光子および接着フィルムをさらに含み、2枚の外郭基板の間に能動液晶素子と偏光子が順次配置されており、
接着フィルムは、外郭基板と能動液晶素子の間、能動液晶素子と偏光子の間、偏光子と外郭基板の間および能動液晶素子と偏光子の側面に存在し、
能動液晶素子および偏光子は2枚の外郭基板の間で接着フィルムによってカプセル化されている、項目1に記載の光学デバイス。
[項目3]
ハードコーティング層は、硬度が0.7GPa以下である、項目1または2に記載の光学デバイス。
[項目4]
ハードコーティング層は、弾性率が7.5GPa以下である、項目1から3のいずれか一項に記載の光学デバイス。
[項目5]
ハードコーティング層は基材層の能動液晶層に向かう面に形成されている、項目1から4のいずれか一項に記載の光学デバイス。
[項目6]
ハードコーティング層は、多官能性(メタ)アクリレートの重合単位を含む、項目1から5のいずれか一項に記載の光学デバイス。
[項目7]
能動液晶層の第1配向状態の平均光軸と偏光子の光吸収軸がなす角度が80度〜100度または35度〜55度の範囲内となるように能動液晶素子と偏光子が配置されている、項目2に記載の光学デバイス。
[項目8]
基材層は正面位相差が100nm以下である、項目1から7のいずれか一項に記載の光学デバイス。
[項目9]
基材層は厚さ方向位相差の絶対値が200nm以下である、項目1から8のいずれか一項に記載の光学デバイス。
[項目10]
基材層は、熱膨張係数が100ppm/K以下である、項目1から9のいずれか一項に記載の光学デバイス。
[項目11]
基材層は破断伸び率が100%以上である、項目1から10のいずれか一項に記載の光学デバイス。
[項目12]
基材層の能動液晶層に向かう面上に存在する配向膜をさらに含む、項目2または7に記載の光学デバイス。
[項目13]
2枚の基材層の配向膜の配向方向がなす角度は−10度〜10度の範囲内または80度〜100度の範囲内である、項目12に記載の光学デバイス。
[項目14]
2枚の基材層のうち偏光子に近い基材層上に形成された配向膜の配向方向と偏光子の光吸収軸がなす角度が80度〜100度の範囲内である、項目12または13に記載の光学デバイス。
[項目15]
外郭基板は正面位相差が100nm以下である、項目2または7に記載の光学デバイス。
[項目16]
外郭基板は厚さ方向位相差の絶対値が200nm以下である、項目2、7、15のいずれか一項に記載の光学デバイス。
[項目17]
外郭基板は、熱膨張係数が100ppm/K以下である、項目2、7、15、16のいずれか一項に記載の光学デバイス。
[項目18]
接着フィルムは厚さ方向位相差の絶対値が200nm以下である、項目2、7、15、16、17のいずれか一項に記載の光学デバイス。
[項目19]
一つ以上の開口部が形成されている車体;および開口部に装着された項目1から18のいずれか一項に記載された光学デバイスを含む、自動車。