(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
現像剤を貯蔵する貯蔵部と、前記貯蔵部から前記現像剤が補給される現像装置と、前記現像装置内の前記現像剤の残量を検知する残量検知手段と、前記残量検知手段で検知された前記現像剤の残量に基づいて前記貯蔵部から前記現像装置への当該現像剤の補給量を制御する制御手段と、を備えた現像剤補給制御システムであって、
前記現像剤の消費量をカウントするカウンタを備え、
前記制御手段は、前記貯蔵部の交換により新たな現像剤が前記現像装置へ補給されるとき、当該新たな現像剤の補給量を、前記カウンタのカウント値のみによりカウントされた現像剤の消費量に基づいて決め、前記決めた補給量に基づいて前記現像装置への前記新たな現像剤の補給を段階的に行う制御をし、
前記残量検知手段の予め設定した現像装置内の現像剤の残量が切れたときに対応する所定の値である第1の値および前記第1の値より大きく且つ現像装置内の現像剤量満杯状態より少ない現像剤の残量に対応する所定の値である第2の値としたときに、
前記現像剤の残量が前記第1の値から前記第2の値へ移行するまでの間に前記貯蔵部から前記現像装置への当該新たな現像剤の補給量をカウントされた前記現像剤の消費量よりも多くして前記新たな現像剤の補給をする制御をし、
前記現像装置の現像剤の喫水面が前記第2の値に到達した後は、前記新たな現像剤の補給量を少なくし、常に前記現像装置内の現像剤量が満杯になるように制御することを特徴とする現像剤補給制御システム。
現像剤を貯蔵する貯蔵部と、前記貯蔵部から前記現像剤が補給される現像装置と、前記現像装置内の前記現像剤の残量を検知する残量検知手段と、前記残量検知手段で検知された前記現像剤の残量に基づいて前記貯蔵部から前記現像装置への当該現像剤の補給量を制御する制御手段と、を備えた現像剤補給制御システムであって、
前記現像剤の消費量をカウントするカウンタを備え、
前記制御手段は、前記貯蔵部の交換により新たな現像剤が前記現像装置へ補給されるとき、当該新たな現像剤を装置内の現像剤量が所定量に達するまで複数回に分けて補給し、
前記複数回分けて補給するときの前記現像剤の補給量を、前記カウンタのカウント値のみによりカウントされた現像剤の消費量に基づいて制御し、
前記残量検知手段の予め設定した現像装置内の現像剤の残量が切れたときに対応する所定の値である第1の値および前記第1の値より大きく且つ現像装置内の現像剤量満杯状態より少ない現像剤の残量に対応する所定の値である第2の値としたときに、
前記現像剤の残量が前記第1の値から前記第2の値へ移行するまでの間に前記貯蔵部から前記現像装置への当該新たな現像剤の補給量をカウントされた前記現像剤の消費量よりも多くして前記新たな現像剤の補給をする制御をし、
前記現像装置の現像剤の喫水面が前記第2の値に到達した後は、前記新たな現像剤の補給量を少なくし、常に前記現像装置内の現像剤量が満杯になるように制御することを特徴とする現像剤補給制御システム。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置は、大規模なオフィス環境だけでなく、ホームオフィスや一般ユーザ等の様々な分野で幅広く活用されている。こうした需要に適応した製品を提供するため、低コスト化、小型化、長寿命化、安定稼動化を具現し得る技術が要求されている。特に最近の状況では、画像形成装置の低ランニングコスト化が求められ、ユーザが交換する消耗品の低コスト化と長寿命化とが強く要求されている。長寿命化は部品交換周期を延長できることを示すものである。
【0003】
係る事情により、この種の画像形成装置では、可能な限り現像装置を含む作像ユニット(所謂プロセスユニット)を長寿命化することで交換周期を長くし、低コスト化を図るようにしている。ところが、長寿命化を図ろうとすると、それだけ現像装置で保持すべき現像剤としてのトナーの量が増加するため、トナーの保持容量を確保しなければならない。この結果、現像装置や画像形成装置全体の大型化を招いてしまう。こうした問題を解決するため、最近ではトナーの貯蔵部と現像装置の作像部とを着脱自在に分離し、貯蔵部のみを短い周期で交換しつつ、貯蔵部から現像装置の作像部へトナーを補給する構成が採用される傾向にある。
【0004】
ところが、こうした分離構成を採用しても、例えばトナー切れ検出時に貯蔵部のトナーカートリッジを交換した後、現像装置内のトナー重量が少ない中に新たなトナーが一斉補給されてしまうと、現像装置の規制部材でトナーを規制し切れなくなることがある。こうした場合には、トナー搬送量の過剰に起因して地肌汚れや縦帯スジが発生してしまう。
【0005】
そこで、こうした問題を解決するため、トナーエンドリカバリ(トナー切れ回復)動作後も常に適正なトナー濃度を保って、地肌汚れ等の異常画像やトナー飛散の発生が抑制される「画像形成装置」(特許文献1参照)が挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の現像剤補給制御システム、画像形成装置、及び現像剤補給制御方法について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る現像剤補給制御システムを含む画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
【0014】
図1を参照すれば、この画像形成装置は、モノクロの画像形成用のもので、その装置本体100には、作像ユニットとしてのプロセスユニット1が着脱可能に装着されている。このプロセスユニット1は、表面に画像を担持する像担持体としての感光体2と、感光体2の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラ3と、感光体2上の潜像を可視画像化する現像手段としての現像装置4と、を備える。また、プロセスユニット1は、感光体2の表面をクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニングブレード5を備える。更に、プロセスユニット1には、現像剤としてのトナーを貯蔵する貯蔵部のトナーカートリッジ7が着脱可能に設けられる。
【0015】
トナーカートリッジ7は、その容器本体22として、現像装置4へ補給するトナーを収容するトナー収容部8を有する他、クリーニングブレード5で除去された廃トナーを回収するトナー回収部9も一体的に有している。尚、本実施の形態では、現像剤として、キャリアを含まないトナーのみからなる一成分系の現像剤が使用されるものである。また、トナーとして、母体がポリエステル系樹脂であるポリエステル系のトナーが使用されるものとする。なお、本件発明をトナーとキャリアからなる二成分系の現像剤が使用される現像装置及び画像形成装置に適用することも可能である。二成分系の現像装置に本件発明を適用した場合、現像剤としてのトナーの残量をトナー残量検知手段により検知する。
【0016】
また、画像形成装置には、感光体2に対向する位置にその感光体2の表面を露光する露光手段としての発光ダイオード(LED)ヘッドアレイ6が設けられる。画像形成装置は、プロセスユニット1の他、記録媒体の用紙Pに画像を転写する転写装置10と、用紙Pを供給する給紙装置11と、用紙Pに転写された画像を定着させる定着装置12と、用紙Pを装置本体100から外へ排出する排紙装置13と、を備える。尚、用紙Pには、厚紙、葉書、封筒、普通紙、薄紙、コート紙やアート紙等の塗工紙、トレーシングペーパ等も含まれる。また、用紙P以外の記録媒体として、OHPシート等を用いることも可能である。
【0017】
転写装置10は、転写部材としての転写ローラ14を備える。この転写ローラ14は、プロセスユニット1を装置本体100に装着した状態で感光体2と当接しており、両者の当接部において転写ニップ(接触)が形成される。また、転写ローラ14は、所定の直流(DC)電圧か交流(AC)電圧の少なくとも一方が印加される。給紙装置11は、用紙Pを収容した給紙カセット15と、給紙カセット15に収容されている用紙Pを給送する給紙ローラ16と、を備える。また、給紙ローラ16に対して用紙Pの搬送方向下流側には、搬送タイミングを計って用紙Pを二次転写ニップへ搬送するタイミングローラとしての一対のレジストローラ17が設けられている。
【0018】
定着装置12は、定着部材としての定着ローラ18と、加圧部材としての加圧ローラ19と、を備える。定着ローラ18は、ヒータ等の加熱源によって加熱される。加圧ローラ19は、定着ローラ18側へ加圧されて定着ローラ18に当接し、その当接箇所において定着ニップが形成される。排紙装置13は、一対の排紙ローラ20を備える。排紙ローラ20によって装置外に排出された用紙Pは、装置本体100の上面を凹ませて形成された排紙トレイ21上に積載される。因みに、トナーカートリッジ7、現像装置4、現像装置4内のトナーの残量を検知する残量検知手段、及び貯蔵部から現像装置4へのトナーの補給量を制御する制御手段を含む構成は、現像剤補給制御システムと呼ばれても良い。その細部構成や機能については、後文で説明する。
【0019】
図2は、上述した画像形成装置における装置本体100に対するプロセスユニット1の着脱の様子を示した概略図である。
【0020】
図2を参照すれば、この画像形成装置では、装置本体100の後部に設けられたカバー101が開閉可能となっている。また、カバー101を開状態にすると、リンク機構を介して発光ダイオードヘッドアレイ6が上方へ退避する。このような構成により、カバー101の開状態でプロセスユニット1を発光ダイオードヘッドアレイ6との干渉を回避しつつ後方(側方)から取り外すことが可能となっている。また、ここでは、トナーカートリッジ7がプロセスユニット1に装着された状態でこれらを一体的に装置本体100の後方(側方)から着脱可能となっている。更に、トナーカートリッジ7は、プロセスユニット1が装置本体100に装着された状態と取り外された状態とのいずれにおいても、プロセスユニット1に対して着脱可能となっている。
【0021】
図3は、上述した画像形成装置に備えられる現像装置4の概略構成を示した断面図である。
【0022】
図3を参照すれば、現像装置4は、現像ハウジング30と、トナーを担持する現像剤担持体としての現像ローラ31と、を備える。また、現像装置4は、現像ローラ31にトナーを供給する現像剤供給部材としての供給ローラ32と、現像ローラ31上に担持されたトナー量を規制する規制部材としての現像ブレード33と、を備える。更に、現像装置4は、トナーを搬送する第1トナー搬送部材34及び第2トナー搬送部材35を備える。
【0023】
現像ローラ31は、
図3中において反時計回りの方向に回転し、表面に保持したトナーを現像ブレード33及び感光体2との対向位置へと搬送する。供給ローラ32は、現像ローラ31に当接しており、現像ローラ31に対して反時計回りに回転することにより、現像装置4内のトナーを現像ローラ31の表層まで供給する。因みに、ここでは現像ローラ31と供給ローラ32との回転数比を1に設定することで、良好なトナー供給機能を確保している。現像ブレード33は、その先端側が現像ローラ31の表面に当接している。供給ローラ32によって現像ローラ31上に供給されたトナーは、現像ローラ31と現像ブレード33とのニップ部を通過することにより、厚さが規制されると同時に摩擦荷電させられる。
【0024】
現像装置4の上部には、補給用のトナーを収容するトナーカートリッジ7が着脱可能に装着されている。このため、現像装置4の上部には、トナーカートリッジ7内のトナーを現像装置4内へ補給するための補給口30aが形成されている。トナーの補給は、残量検知手段としての残量検知センサ60による現像装置4内のトナーの残量の検知結果に基づいて行われる。即ち、現像装置4内でトナー消費されてトナー量が所定値以下になったことを残量検知センサ60によって検知すると、予め設定されている時間だけトナーカートリッジ7が駆動される。これにより、所定量のトナーが現像装置4へ補給される。この際、画像形成装置に備えられる制御手段としての制御装置が残量検知センサ60で検知されたトナーの残量に基づいて予め設定した残量下限値及び残量上限値に応じて駆動機構の駆動量を調節する。この結果、貯蔵部のトナーカートリッジ7から現像装置4内へのトナーの補給量が制御される。
【0025】
現像ハウジング30の内部は、現像ローラ31の軸方向とほぼ平行に配設された仕切り壁36により補給口30aを配設した第1収容部Aと、現像ローラ31や現像ブレード33等の現像手段を配設した第2収容部Bと、に分割されている。ここでは、仕切り壁36が上下方向に立設しており、第1収容部Aと第2収容部Bとが水平方向に隣接して配設されている。第1収容部A内には、第1トナー搬送部材34が配設され、第2収容部B内には第2トナー搬送部材35が配設される。尚、現像装置4及びトナーカートリッジ7とは、一体化された構成であっても良い。
【0026】
図4は、
図3に示した現像装置4の軸と直交する方向から見た概略図である。
【0027】
図4を参照すれば、現像ハウジング30の内部における仕切り壁36の長手方向の少なくとも両端側には現像装置4内における第1収容部Aと第2収容部Bとでトナーの移動が可能なように開口部42、43が開口されている。現像装置4内に補給されたトナーは、第1収容部Aに設置した第1トナー搬送部材34によって現像ローラ31の軸方向における一方側に搬送される。この後、搬送方向下流側の開口部42、43からトナーは第2収容部Bに移動し、第2収容部Bに設けた第2トナー搬送部材35によって、第1トナー搬送部材34による搬送方向の逆方向に搬送される。
【0028】
第2トナー搬送部材35の下流側では、仕切り壁36の開口部42、43によって第2収容部Bにトナーが移動可能となり、現像装置4内のトナーを長手方向に循環可能となっている。トナーの搬送速度は、第1トナー搬送部材34及び第2トナー搬送部材35の構成で制御することができる。スクリュー部材を使用する場合、トナーの搬送速度は、スクリューピッチに比例して大きくなる。これはスクリューの1回転当たりに搬送するトナー量が多くなるためであるが、スクリュー径を大きくする等の手法によってもトナーの搬送速度を制御できる。
【0029】
第1トナー搬送部材34及び第2トナー搬送部材35は、ギアやカップリング等から成る駆動伝達部材46により装置本体100等に設置した駆動源から駆動を伝達できる構造となっている。現像装置4内のトナーは、現像ローラ31にトナーを供給可能なスポンジ等で構成される供給ローラ32によって現像ローラ31に対してトナーを移動することができる。駆動伝達部材46は、制御装置によって駆動制御される駆動機構に含まれる。
【0030】
図5は、上述した画像形成装置に備えられるトナーカートリッジ7の概略構成を示した断面図である。
【0031】
図5を参照すれば、トナーカートリッジ7のトナー補給容器50内では、充填されたトナーを回転軸53に固定されたアジテータ52を回転することで流動性を確保しつつ、トナー搬送部51の方向へ供給するように構成されている。アジテータ52は、例えばPETフィルム等の可撓性材料で構成する場合を例示できる。トナー補給容器50内のトナーを使い切るため、トナー補給容器50の形状はアジテータ52の回転起動に合わせて円弧形状にすることが望ましい。トナー搬送部51は、スクリューやコイル等で形成された部材を装置本体100に設置した駆動源により回転することでトナー補給容器50内のトナーを回転軸53の軸方向に送る。この駆動源についても、制御装置によって駆動制御される駆動機構に含まれる。
【0032】
トナー搬送部51では、部材のピッチ径、大きさ、回転速度等でトナーの搬送量を制御し、現像装置4内に設置した残量検知センサ60でトナー不足を検知する。また、トナー搬送部51では、回転動作を開始して残量検知センサによりトナー充填が確認された場合、駆動を止めて現像装置4内のトナー量を安定化する等、周知技術を用いて制御することが好ましい。
【0033】
図6は、上述した現像装置4に設けられた残量検知センサ60の概略構成を一部断面にして示した斜視図である。
【0034】
図6を参照すれば、ここでは現像装置4内のトナーの残量を検知する残量検知センサ60として、光学式センサを使用する場合を例示している。この残量検知センサ60は、発光センサ、透明度の高い樹脂材料等から成る第1の光ガイド62及び第2の光ガイド63、受光センサから構成される。この残量検知センサ60において、現像装置4の本体側面部に取り付けた発光センサにより照射された光は、現像装置4の本体側面部に配置した第1の光ガイド62の入口から入射されて第1の光ガイド62の本体を伝達して現像装置4の内部に導かれる。現像装置4の内部に導かれた光は、第1の光ガイド62の出口から現像装置4の内部空間を介して第2の光ガイド63の入口に入射されて第2の光ガイド63の本体を伝達して現像装置4の外部に導かれる。その後、現像装置4の外部に導かれた光は、第2の光ガイド63の出口近傍となる現像装置4の本体側面部に取り付けた受光センサで受光される。受光センサでは、受光した光量を電圧に変換して光の有無を検出する。
【0035】
この残量検知センサ60の場合、トナー残量検知の実施時に受光センサに電圧を印加することで発光を制御し、受光センサの出力によって現像装置4における内部空間のトナーの存在を検出することが可能となっている。但し、第1の光ガイド62の出口と第2の光ガイド63の入口との間にトナーや異物等が付着していると、残量検知時に伝達光を遮光してしまい、誤検知の原因となる。そこで、第1トナー搬送部材34の残量検知箇所には、スクリューの回転軸にシート材等の清掃部材61を貼り付け、スクリューの回転軸の回転周期で光伝達経路での付着物を除去できる清掃機構を設けることが望ましい。
【0036】
いずれにしても、現像装置4内のトナー残量を検知する残量検知センサ60によるトナーの残量の検知結果は制御装置へ送られる。画像形成装置には、予めトナー残量を消費量としてカウントするカウンタが備えられている。そこで、制御装置はトナーの残量に基づいて予め設定した残量下限値及び残量上限値に応じて駆動機構の駆動量を調節し、トナーカートリッジ7から現像装置4へのトナー補給量を制御する。このとき、制御装置は、トナーカートリッジ7の新品を検出したときに新たなトナーを現像装置4へ補給する際、新たなトナーの補給量をカウンタのカウント値のみに基づいて段階的に制御する。
【0037】
図7は、上述した画像形成装置に備えられる制御装置によるトナー補給制御の概要を比較例と対比して時間tに対するトナー量の関係で示した特性図である。
【0038】
図7を参照すれば、比較例の特性C1では、新品のトナーカートリッジ7の交換後に新たなトナーの補給が一括に行われる。ここでは、トナー量が検知下限から急峻な傾きで検知上限へ短時間で到達するように現像装置4内にトナー補給されるため、これに起因して地肌汚れや縦帯スジが発生する虞がある。
【0039】
これに対し、実施の形態に係る特性C2では、新品のトナーカートリッジ7の交換後の新たなトナー補給の補給量がカウント値のみに基づいて緩やかな傾きで段階的に行われる。なお、「カウント値」とは、以後に詳述する画像形成時の画素数に対応するドット数をカウントするドットカウンタや、現像器の走行距離から算出可能な地肌汚れ(白紙部に微量のトナーが現像する現象)の消費量カウンタ、トナー吐き出し制御時のトナー吐き出し量カウンタなどを含む。トナー検知上限に達するまでは、トナーが一括に補給されるのではなく、このカウント値のみによってトナー消費量が計算され、トナー消費量に対応する量のトナーが徐々に補給される。「段階的に」とは、複数回に分けて、トナー消費量に対応するトナー量が補給されることを示す。トナーがカウント値に基づいて段階的に補給され、残量検知センサ60によって現像装置4内のトナー量の上限が検知された後は、カウント値と現像装置4内に備えられた残量検知センサ60とにより、現像装置内のトナー量が検出され、トナーカートリッジ7から現像装置4へのトナー補給量を制御される。この結果、新品のトナーカートリッジ7へと交換した後に新たなトナーがトナーカートリッジ7から現像装置4内に一括補給されず、これに起因する地肌汚れや縦帯スジの発生が十分に抑制される。また、制御装置は、残量下限値が所定の回数続いたとき、例えば画像形成装置の表示部を警告手段としてトナーカートリッジ7の新品交換を警告表示する指示を行う。或いは音声によりアナウンス警告することも可能である。この結果、画像形成装置の使用者(ユーザ)がトナーカートリッジ7を交換する時期を明確に把握できるようになる。
【0040】
図8は、上述した画像形成装置に備えられる制御装置によるトナー補給制御の動作処理を示すフローチャートである。但し、ここでは例えば予めトナー残量を消費量としてカウントするカウンタが画像形成装置に備えられているものとする。
【0041】
図8を参照すれば、トナー補給制御の動作処理では、まず制御装置がトナーカートリッジ7の新品を検出したか否かの判定(ステップS1)を行う。この判定の結果、新品を検出していなければ、後文で説明する通常補給処理(ステップS2)へ移行する。これに対し、新品を検出していればトナー消費量をカウンタのカウント値Ctにより推定(ステップS3)する。因みに、通常トナーカートリッジ7の新品を検出した時点は、トナーエンド後(トナー切れ後)であると想定されるため、現像装置4内のトナー量は残量下限値を示す場合が多くなる。
【0042】
次に、制御装置は、残量検知センサによる現像装置4内のトナー残量の検知結果に基づいてトナー残量は残量上限値か否かの判定(ステップS4)を行う。この判定の結果、残量上限値であれば、新品のトナーカートリッジ7から新たなトナーの通常補給(ステップS5)を行ってから動作処理を終了する。この通常補給(ステップS5)は、トナー補給量の通常値N1がトナー消費量に相当するカウント値Ctと等しいか、それを超過している条件に該当する。また、残量上限値でなければ(残量下限値又はそれと残量上限値との中間の残量中間値であれば)、新品のトナーカートリッジ7から新たなトナーの段階補給(ステップS6)を行う。その後はトナー消費量をカウンタのカウント値Ctにより推定(ステップS3)する処理に戻ってそれ以降の動作処理を繰り返す。
【0043】
上述した段階補給(ステップS6)は、トナー補給量の下限値から上限値までの範囲値N2がトナー補給量の通常値N1を超過しており、且つトナー補給量の通常値N1がトナー消費量に相当するカウント値Ctと等しいか、それを超過している条件に該当する。即ち、ここではトナー残量が残量下限値から残量上限値へ移行するまでの間に新たなトナーの補給量をカウンタのカウント値Ctよりも多く補給する。それ故、トナー補給量の下限値から上限値までの範囲値N2がカウント値Ctよりも大きい条件を想定している。このようにして、段階補給(ステップS6)をトナー残量検知状態が残量上限値になるまで繰り返した後に動作処理を終了する。
【0044】
因みに、トナー補給量の下限値から上限値までの範囲値N2がカウント値Ctよりも小さければ、消費量に対して補給量が追いつかず、新品のトナーカートリッジ7に交換したにも拘らず早期にトナーエンド検知が発生してしまう。また、トナー補給量の下限値から上限値までの範囲値N2がカウント値Ctよりも過大であれば、新品のトナーカートリッジ7からの新たなトナーの補給量が過剰でトナー搬送量の過剰状態となり、これに起因して画像形成時に縦帯スジが発生してしまう。
【0045】
図9は、
図8に示す動作処理に含まれる通常補給処理(ステップS2)の細部を示すフローチャートである。
【0046】
図9を参照すれば、ここでは、まずトナーカートリッジ7の新品が検出された場合と同様に、制御装置がトナー消費量をカウンタのカウント値Ctにより推定(ステップS21)する。この後、制御装置は残量検知センサによる現像装置4内のトナー残量の検知結果に基づいてトナー残量は残量中間値か否かの判定(ステップS22)を行う。この判定の結果、トナー残量中間値であれば、トナー消費量に相当するカウンタのカウント値に応じてトナーを補給(ステップS23)してから動作処理を終了する。この補給(ステップS23)の処理は、トナー補給量の上限値N3がトナー補給量の通常値N1を超過している条件下に該当する。
【0047】
因みに、トナー補給量の上限値N3がカウント値Ctよりも小さければ、消費量に対して補給量が追いつかず、早期にトナーエンド検知が発生してしまう。また、トナー補給量の上限値N3がカウント値Ctよりも過大であれば、トナーの補給量が過剰でトナー搬送量の過剰状態となり、これに起因して画像形成時に縦帯スジが発生してしまう。
【0048】
更に、トナー残量は残量中間値か否かの判定(ステップS22)の結果、残量中間値でなければ、制御装置は、残量下限値の検知回数が所定回数nか否かの判定(ステップS24)を行う。この判定の結果、残量下限値の検知回数が所定回数nに到達していなければ、先の補給(ステップS23)の処理に移行してから動作処理を終了する。これに対し、残量下限値の検知回数が所定回数nに到達していれば、制御装置は、画像形成装置の表示部に対してトナーエンド表示(ステップS25)してから動作処理を終了する。
【0049】
上述した実施の形態に係る画像形成装置において、
図2を参照して説明したようにプロセスユニット1とトナーカートリッジ7とを装置本体100に着脱できるように一部構造を改造した。プロセスユニット1の駆動は、作像駆動モータと連結させ、トナーカートリッジ7の駆動は、プロセスユニット1の駆動源をクラッチによりトナーカートリッジ7との連結を可能にした。また、必要に応じて駆動源とトナーカートリッジ7の駆動ギアとを連結することでトナーカートリッジ7から現像装置4内へのトナー補給を可能とする構成にした。但し、トナーカートリッジ7、現像装置4、残量検知センサ60を含んで構成されるプロセスユニット1、カウンタ、及び制御装置を含む要部に係る構成は、現像剤補給制御システムとみなすことができる。
【0050】
トナーの作製には、トナー材料として、軟化点130℃のポリエステル樹脂を55部、軟化点104℃のポリエステル樹脂を35部、カーボンブラックを6部、ワックス(パラフィンワックス)を3部、CCA(E−84)を1部用いた。尚、CCAは電荷制御剤(Charge Control Agent)の略記である。これらのトナー材料をヘンシェルミキサーで十分混合した後、二軸押出し混練機の排出部を取り外したものを使用して溶融混練し、得られた混合物を冷却プレスローラで厚さ2mmに圧延し、冷却ベルトで冷却した後、フェザーミルで粗粉砕した。その後、機械式粉砕機で平均粒径10〜12μmまで粉砕し、更にジェット粉砕機で粗粉分級しながら粉砕した後、微粉分級をローター型分級機を使用して分級を行い、体積平均粒径6μm、平均円形度0.925のトナー母体を得た。
【0051】
加えて、このトナー母体の100部に疎水性シリカTS−500を1部、疎水シリカRY50を2部添加し、20Lヘンシェルミキサーで周速30m/secで5分間混合処理した。その後、目開き75μmの篩で篩って粉砕トナーを得た。粉砕トナーの粒径は6μm、平均円形度は0.926であった。
【0052】
そこで、係る粉砕トナー及び改造した画像形成装置(プリンタ)を用いて上述した制御装置によるトナー補給制御を行わせ、トナー補給量の異なる条件下で用紙Pの白紙1枚間欠通紙を10万枚行い、画像形成上で縦帯スジの発生有無を調べた結果を表1に示す。
【0054】
表1からは、実施例1及び実施例2に係る画像形成装置における制御装置によるトナー補給制御によれば、画像形成上で縦帯スジが発生せず、問題のない画像が得られて評価が合格であることが判る。これに対し、比較例1及び比較例2に係る画像形成装置における制御装置によるトナー補給制御によれば、画像形成上で縦帯スジが発生し、問題ある画像が得られて評価が失格であることが判る。トナーが粉砕トナーの場合、粒径が大きく更に形状が不定形なことから粒径選別が起こり易く、新たなトナーと劣化したトナーとの差が大きくなるため、縦帯スジ(縦帯)がトナー補給時に発生し易いという問題を改善する効果が大きい。このような差異は、制御装置による粉砕トナーの補給量の段階的な制御をどのように行わせるかによるものと類推できる。
【0055】
図8及び
図9を参照して説明したトナー補給制御では、トナーの残量を消費量としてカウントするカウンタを備え、制御装置で新たなトナーの補給量の段階的な制御をカウンタのカウント値のみに基づいて行う場合を説明した。また、制御装置は、トナーの残量が残量下限値から残量上限値へ移行するまでの間に新たなトナーの補給量をカウンタのカウント値よりも多く補給する場合を説明した。この補給制御は、トナーカートリッジ7の新品の検知状態からトナーの残量が残量上限値へ移行するまでの間に新たなトナーの補給量をカウンタのカウント値よりも多く補給する場合を含んでいるとみなせる。こうした場合、現像装置4でのトナー消費量よりも多い量のトナー補給を行うことにより現像装置4内のトナー喫水面を残量上限値のレベルまで段階的に持ち上げることができる。
【0056】
ところで、上述したカウンタは、トナー及び新たなトナーを用いた画像形成に供される記録媒体である用紙Pの枚数をカウントする枚数カウンタであっても良い。こうした場合、用紙Pの枚数に応じてトナー消費量を算出することにより、制御の簡素化が図られ、コストを安価に抑えることができる。また、カウンタは、用紙Pを搬送する搬送機構における走行距離をカウントする走行距離カウンタであっても良い。この場合には、搬送機構における走行距離に応じてトナー消費量を算出することにより、制御の簡素化が図られ、コストを安価に抑えることができる。更に、カウンタは、トナー及び新たなトナーを用いた画像形成時の画素数に対応するドット数をカウントするドットカウンタであっても良い。この場合、精度良くトナー消費量を見積もることができる。
【0057】
加えて、実施の形態に係る画像形成装置の現像剤補給制御システムにおいて、制御装置は、トナーの残量が残量上限値に至ると新たなトナーの補給量をカウンタのカウント値よりも少なく補給しても良い。ここでは、現像装置4でのトナー喫水面が残量上限値に到達した後はトナー補給量を減らし、トナーカートリッジ7内にトナーがある場合に常に現像装置4内のトナー量が満杯になる様にする。これにより、一度に大量のトナーを補給する回数を減らすことができる。
【0058】
その他、制御装置は、トナーの残量が残量上限値から残量下限値へ移行するまでの間に新たなトナーの補給量をカウンタのカウント値よりも多く補給しても良い。ここでは、現像装置4内のトナー量が満杯でなくて少なくなった際、トナーの補給量を増やして満杯状態にする。これにより、一度に大量のトナーを補給する機会を減らすことができる。
【0059】
上述した現像剤補給制御システムに係る基本機能は、現像剤としてのトナーを貯蔵する貯蔵部からトナーを現像装置4へ補給する際に制御手段がトナーの補給量を制御可能な現像剤補給制御方法として換言できる。この現像剤補給制御方法は、残量検知手段によって、現像装置4内のトナーの残量を検知する残量検知ステップと、カウンタによって、トナーの消費量をカウントするカウントステップと、を有する。また、この現像剤補給制御方法は、制御手段によって実行される補給量制御ステップを有する。補給量制御ステップでは、貯蔵部の交換により新たなトナーが現像装置4へ補給されるとき、新たなトナーの補給量をカウンタのカウント値のみに基づいて段階的に制御する。
【0060】
尚、本発明は上述した実施の形態や各実施例で開示した主旨に限定されず、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施の形態や各実施例は、好適な例を示したが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現可能であるが、これらは添付した特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。