特許第6984561号(P6984561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984561
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】干渉縞間隔可変光回路及び縞投影装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/25 20060101AFI20211213BHJP
   G02F 1/313 20060101ALI20211213BHJP
   G02F 1/225 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   G01B11/25 H
   G02F1/313
   G02F1/225
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-150406(P2018-150406)
(22)【出願日】2018年8月9日
(65)【公開番号】特開2020-26971(P2020-26971A)
(43)【公開日】2020年2月20日
【審査請求日】2020年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片寄 里美
(72)【発明者】
【氏名】笠原 亮一
(72)【発明者】
【氏名】藤原 裕士
【審査官】 仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0290060(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/104631(WO,A1)
【文献】 国際公開第2018/139510(WO,A1)
【文献】 特開2016−206303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
G02F 1/00− 1/125
G02F 1/21− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に光導波路が設けられた導波路型光素子からなり、
前記導波路型光素子は、
光信号が入力される少なくとも1本の入力導波路と、
前記入力導波路の出力に光学的に接続された1入力N出力(Nは2以上の整数)の分岐導波路と、
前記分岐導波路の出力に光学的に接続された1×M(Mは2以上の整数)光スイッチと、
前記光スイッチの出力に光学的に接続された(N×M)本の位相シフタと、前記位相シフタの出力に光学的に接続された(N×M)本の出力導波路と、
を含んでいることを特徴とする導波路型光位相変調器。
【請求項2】
前記1×M光スイッチのうち同一の1×M光スイッチから延伸した出力導波路端間の間隔の長さと、別々の1×M光スイッチから延伸し、隣接した出力導波路端間の間隔の長さとは異なっていることを特徴とする請求項1に記載の導波路型光位相変調器。
【請求項3】
前記分岐導波路の出力うち少なくとも1出力に、多段構造の1×M光スイッチが光学的に接続されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導波路型光位相変調器。
【請求項4】
前記分岐導波路の出力うち少なくとも1出力に、多段構造の1×M光スイッチが光学的に接続され、前記分岐導波路の出力うち少なくとも1出力に、単段構造の1×M光スイッチが光学的に接続されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の導波路型光位相変調器。
【請求項5】
前記(N×M)本の位相シフタに1本以上(N×M)本未満のヒータが設けられている請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の導波路型光位相変調器。
【請求項6】
前記分岐導波路はY分岐導波路、方向性結合器、マルチモード干渉(MMI)カプラ、スターカプラのいずれかにより構成される請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の導波路型光位相変調器。
【請求項7】
前記導波路型光素子の両端のうち少なくとも一方にファイバが接続されていることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の導波路型光位相変調器。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の導波路型光位相変調器と、
前記導波路型光位相変調器の出力導波路から出力される光の干渉により生成される干渉縞の投影パターンを制御するスイッチおよび位相シフタ制御部と、
前記導波路型光位相変調器へ入力する、可干渉性のある光を出力する光源と、
を備えることを特徴とする縞投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、干渉縞間隔が可変な光回路および縞投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触で物体表面の三次元形状を計測する方法として、縞走査法がある。この方法は、可干渉性の光源から生成される、明度が正弦波状に変化する干渉縞を計測物体に投影し、この干渉縞の位相を一定間隔でずらして複数回撮影した画像を解析することにより、形状計測を行う手法である。この方法では、干渉縞の走査量と投影像の各点の光強度の変化から、各点での凹凸の深さ及び高さが求められる。干渉縞の走査量は、干渉させる二以上の光束の位相差を変えることで制御される。例えば、二分岐された光導波路の一方の位相を電気光学効果等を利用して変化させることにより、投影される干渉縞の走査量が制御される(例えば、特許文献1参照)。干渉縞を走査する導波路型光位相変調器は、同一基板上に、光を入力する入力導波路、光を分岐する分岐導波路、光の位相を変化させる位相シフタ、光を出射する出力導波路から構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−87543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光源の波長が一定で、被検面と光源およびカメラ(撮像面)の位置関係が固定された測定系において、縞走査法により3次元形状計測を行う場合を考える。
【0005】
縞走査法における測定のダイナミックレンジは、基本的に位相が2πの範囲に限られる。測定対象のダイナミックレンジが大きく、位相値に換算して2πを越える場合、(-π、π)の主値の間に折り畳まれ、位相分布に2πの整数倍の不確定値を持つことになる。そのため、折り畳みにより生じた不連続段差を取り除き、元の位相分布を復元する位相接続法を必要とするが、この場合、干渉縞の縞間隔を変えることが考えられる。
【0006】
また、ある測定条件にて計測した結果から、さらに測定精度または解像度(分解能)を調整したい場合も、干渉縞の縞間隔を変えることが考えられる。測定精度に着目すると、干渉縞の数が少なく縞間隔が広い間隔で配置された方が、たくさんの干渉縞が狭い間隔に配置された場合より測定精度が増す。一方、分解能を上げるには干渉縞の縞間隔を狭くする必要があるので、測定精度を上げるために縞間隔を広めると、分解能が犠牲になる。そのため、測定対象に合わせ、測定精度・分解能を調整することが必要となる。
【0007】
干渉縞の縞間隔を変えるには、測定波長、被検面と出射点の位置関係、干渉させる光束の出射間隔を調整する方法がある。例えば、干渉縞の縞間隔を狭くするには、光源の波長を短くするか、被検面と出射点の位置関係を遠ざけるか、干渉させる光束の出射間隔を長くする必要がある。いずれにおいても、光源の増設や光学系(光源、スクリーン、カメラ)の位置調整、導波路型光位相変調器を用いる場合においては再設計・再作製が必要で、設備・稼動コストがかかるという問題あった。また、被検面と光源およびカメラの可動域が限られた条件下では、所望の縞間隔を得る位置関係を構築することが困難という問題があった。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、1チップ上で縞間隔が可変な導波路型光位相変調器に関するもので、三次元形状計測の測定レンジ・解像度・測定精度の制御が可能な縞投影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明のある態様は、導波路型光位相変調器を備える縞投影装置に関する。縞投影装置は、光源、スクリーン(被検面)、カメラ(撮像面)の他、光源からの入力光を受ける入力導波路部と、入力導波路に接続された分岐導波路と、分岐導波路に接続された光スイッチと、光スイッチに接続された位相シフタと、位相シフタに接続された出力導波路とを有する位相変調器を備える。
【0010】
また、本発明の導波路型光位相変調器の第一の態様は、基板上に光導波路が設けられた導波路型光素子からなり、前記導波路型光素子は、光信号が入力される少なくとも1本の入力導波路と、前記入力導波路の出力に光学的に接続された1入力N出力(Nは2以上の整数)の分岐導波路と、前記分岐導波路の出力に光学的に接続された1×M(Mは2以上の整数)光スイッチと、前記光スイッチの出力に光学的に接続された(N×M)本の位相シフタと、前記位相シフタの出力に光学的に接続された(N×M)本の出力導波路と、を含んでいることを特徴とする。
【0011】
本発明の導波路型光位相変調器の第二の態様は、前記第一の態様において、前記1×M光スイッチのうち同一の1×M光スイッチから延伸した出力導波路端間の間隔の長さと、別々の1×M光スイッチから延伸し、隣接した出力導波路端間の間隔の長さとは異なっていることを特徴とする。
【0012】
本発明の導波路型光位相変調器の第三の態様は、前記第一の態様又は前記第二の態様において、前記分岐導波路の出力うち少なくとも1出力に、多段構造の1×M光スイッチが光学的に接続されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の導波路型光位相変調器の第四の態様は、前記第一の態様又は前記第二の態様において、前記分岐導波路の出力うち少なくとも1出力に、多段構造の1×M光スイッチが光学的に接続され、前記分岐導波路の出力うち少なくとも1出力に、単段構造の1×M光スイッチが光学的に接続されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の導波路型光位相変調器の第五の態様は、前記第一の態様から前記第四の態様のいずれか一において、前記(N×M)本の位相シフタに、1本以上(N×M)本未満のヒータが設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明の導波路型光位相変調器の第六の態様は、前記第一の態様から前記第五の態様のいずれか一において、前記分岐導波路はY分岐導波路、方向性結合器、マルチモード干渉(MMI)カプラ、スターカプラのいずれかにより構成されることを特徴とする。
【0016】
本発明の導波路型光位相変調器の第七の態様は、前記第一の態様から前記第六の態様のいずれか一において、前記導波路型光素子の両端のうち少なくとも一方にファイバが接続されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の縞投影装置の一態様は、前記第一の態様から前記第七の態様のいずれか一に記載の導波路型光位相変調器と、前記導波路型光位相変調器の出力導波路から出力される光の干渉により生成される干渉縞の投影パターンを制御するスイッチおよび位相シフタ制御部と、前記導波路型光位相変調器へ入力する、可干渉性のある光を出力する光源と、を備えることを特徴とする。
【0018】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、縞投影装置において、スイッチ機能を有する導波路型光位相変調器を備えることにより、光源の増設、出射点と被検面の位置調整を行わずに、装置コストや測定手順を増やすことなく解像度・測定精度を調整することが可能となり、設備・稼動コストの低減が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施例1に係る位相変調器の構成を模式的に示す上面図である。
図2】実施例1に係る位相変調器の動作を模式的に示す上面図である。
図3】変形例1に係る位相変調器の構成を模式的に示す上面図である。
図4】変形例2に係る位相変調器の構成を模式的に示す上面図である。
図5】変形例3に係る位相変調器の構成を模式的に示す上面図である。
図6】変形例4に係る位相変調器の構成を模式的に示す上面図である。
図7】変形例5に係る位相変調器の構成を模式的に示す上面図である。
図8】変形例6に係る位相変調器の構成を模式的に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の干渉縞間隔可変光回路及び縞投影装置の形態について、図を用いて説明する。但し、本発明は以下に示す実施形態及び実施例の記載内容に限定されず、本明細書等において開示する発明の趣旨から逸脱することなく形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者にとって自明である。
【0022】
はじめに、本発明に係る実施形態の概要を説明する。本発明の一態様は、光源、スクリーン(被検面)、カメラ(撮像面)の他、導波路型光位相変調器を備える縞投影装置に関する。ある縞投影装置において、被検面と光源およびカメラの位置関係が固定されている時、干渉縞の縞間隔は、干渉させる光束の出射間隔を短くするほど広くなり、出射間隔を長くするほど狭くなる。本発明は、光学系(光源、スクリーン、カメラなど)の位置関係を動かすことなく、1チップの導波路型光位相変調器上で干渉させる光束の出射間隔を制御することにより、縞間隔を制御するものである。
【0023】
縞投影装置は、光源からの入力光を受ける入力導波路部と、入力導波路に接続された分岐導波路と、分岐導波路に接続された光スイッチと、光スイッチに接続された位相シフタと、位相シフタに接続された出力導波路とを有する導波路型光位相変調器を備える。なお、以上の構成要素の任意の組み合わせ、本発明の表現を方法、装置、システム、などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。以下に述べる構成は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0025】
(実施例1)
本実施例の縞投影装置は、光源101、スクリーン109、カメラ110、導波路型光位相変調器100を備える。導波路型光位相変調器100には、干渉縞パターンを生成するため可干渉性のある光を入力する。例えば、単波長のレーザ光を入力する。入力光は、ファイバ(光ファイバ)102を介して光源101から導波路型光位相変調器100に入力される。導波路型光位相変調器100は、光源から出力される光を受ける1本の入力導波路103と、入力導波路103の出力に光学的に接続された分岐導波路104、例えば、分割比1:1のY分岐導波路と、Y分岐導波路の各出力に光学的に接続されたスイッチ105の1×2のマッハツェンダ型の光スイッチと、光スイッチの出力に光学的に接続された光の位相を変化させる位相シフタ106と、位相シフタの出力に光学的に接続された出力導波路107からなる。スイッチ105は、配線によりスイッチ及び位相シフタ制御部108のスイッチ制御部と電気的に接続されている。スイッチ及び位相シフタ制御部108は、出力導波路107から出力される光の干渉により生成される干渉縞の投影パターンを制御する。
【0026】
光導波路は、いわゆる平面型光集積回路(PLC;Planar Light wave Circuit)であり、例えば、シリコン基板の表面には石英系ガラスで形成されたクラッド層が設けられているとともに、このクラッド層の中層には石英系ガラスで形成されたコア部が設けられ、光導波路が形成されている。また、マッハツェンダ型の光スイッチおよび位相シフタ106は、熱光学効果を用いた熱光学位相シフタによって構成され、クラッド層の表面に薄膜のヒータ106aが形成されている。
【0027】
位相シフタ106において、クラッド層の表面に備えられた薄膜のヒータ106aは導波路を加熱し、導波路の位相を変化させる。ヒータ106aは、配線によりスイッチ及び位相シフタ制御部108の位相シフタ制御部と電気的に接続されており、位相シフタ制御部からの制御信号に基づいて動作する。縞走査法において、位相シフタは干渉させる光束の位相を変化させ、生成される干渉縞の位相を操作する役割を担う。
【0028】
図2に示すように、マッハツェンダ型の光スイッチは、2個の3dB方向性結合器200と、これら方向性結合器間に設けられた薄膜のヒータ201a〜201dを用いた相シフタで構成されている。この光スイッチが、図1の1×2光スイッチに対応する。なお、図2においては、図1の位相シフタに相当する部分を省略している。2個の方向性結合器200を結んでいる2本の導波路の光学的な光路長差|△Lopt|は、用途に応じ、0(|△Lopt|=0)または信号光波長λの2分の1(|△Lopt|=λ/2)に設計されている。
【0029】
ここで、出力導波路の間隔が50μmの場合について、マッハツェンダ型の光スイッチにより、干渉させる光束の出射間隔を制御する(ひいては、干渉縞の縞間隔を変える)動作について説明する。
【0030】
光路長差0のマッハツェンダ型の光スイッチの場合について、以下に説明する。光路長差|△Lopt|が0に設計されている場合、2つの1×2のマッハツェンダ型の光スイッチの両方において薄膜のヒータ201a〜201dが無通電〔オフ(OFF)時〕のときは、公知の干渉原理によりマッハツェンダ光干渉計回路はクロス状態となるので、入力導波路端に入射された信号光は出力導波路202aおよび202d端に伝搬し、光が出射される導波路の間隔は150μmとなる(図2(a))。
【0031】
また、2つある1×2のマッハツェンダ型の光スイッチの一方について、方向性結合器を結んでいる2本の導波路の片側の薄膜のヒータ(この場合、薄膜のヒータ201a)へ通電〔オン(ON)時〕し、熱光学効果により光学的な光路長を信号光波長の2分の1相当分位相変化させると、方向性結合器を結んでいる2本の導波路の光路長差|△Lopt|はλ/2となる。すると、マッハツェンダ光干渉計回路は、ヒータを駆動させた回路のみバー状態となるので、入力導波路端に入射された信号光は出力導波路202bおよび202d端に伝搬し、光が出射される導波路の間隔は100μmとなる(図2(b))。
【0032】
また、2つある1×2のマッハツェンダ型の光スイッチの両方について、方向性結合器を結んでいる2本の導波路の片側の薄膜のヒータ(この場合、薄膜のヒータ201aおよび201c)へ通電〔オン(ON)時〕し、熱光学効果により光学的な光路長を信号光波長の2分の1相当分位相変化させると、方向性結合器を結んでいる2本の導波路の光路長差|△Lopt|はλ/2となる。すると、マッハツェンダ光干渉計回路は両方バー状態となるので、入力導波路端に入射された信号光は出力導波路202bおよび202c端に伝搬し、光が出射される導波路の間隔は50μmとなる(図2(c))。
【0033】
このように、1チップの導波路型光位相変調器上で干渉させる光束の出射間隔を制御することで、光源の増設や光学系(光源、スクリーン、カメラ)の位置調整、導波路型光位相変調器を用いる場合においては再設計・再作製の必要なく、干渉縞の縞間隔を変えることができる。
【0034】
一方、光路長差|△Lopt|がλ/2に設計されている場合は、2つの1×2のマッハツェンダ型光のスイッチの両方において薄膜のヒータが無通電〔オフ(OFF)時〕のときは、公知の干渉原理によりマッハツェンダ光干渉計回路はバー状態となるので、入力導波路端に入射された信号光は出力導波路202bおよび202c端に伝搬し、光が出射される導波路の間隔は50μmとなる。
【0035】
また、2つある1×2のマッハツェンダ型の光スイッチの一方について、方向性結合器を結んでいる2本の導波路の片側の薄膜のヒータ(この場合、薄膜のヒータ202a)へ通電〔オン(ON)時〕し、熱光学効果により光学的な光路長を信号光波長の2分の1相当分位相変化させると、方向性結合器を結んでいる2本の導波路の光路長差|△Lopt|は0となる。すると、マッハツェンダ光干渉計回路は、ヒータを駆動させた回路のみクロス状態となるので、入力導波路端に入射された信号光は出力導波路202aおよび202c(または202bおよび202d)端に伝搬し、光が出射される導波路の間隔は100μmとなる。
【0036】
また、2つある1×2のマッハツェンダ型の光スイッチの両方について、方向性結合器を結んでいる2本の導波路の片側の薄膜のヒータ(この場合、薄膜のヒータ202aおよび202c)へ通電〔オン(ON)時〕し、熱光学効果により光学的な光路長を信号光波長の2分の1相当分位相変化させると、方向性結合器を結んでいる2本の導波路の光路長差|△Lopt|は0となる。すると、マッハツェンダ光干渉計回路は両方クロス状態となるので、入力導波路端に入射された信号光は出力導波路202aおよび202d端に伝搬し、光が出射される導波路の間隔は150μmとなる。
【0037】
以上、本発明を、実施例をもとに説明した。この実施例は例示であり、それらの各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0038】
例えば、分岐導波路の分割比は干渉縞のコントラスト比が高まるように1:1で分割させることが好ましいが、任意であっても良い。分岐導波路はY分岐導波路の他、方向性結合器、マルチモード干渉カプラまたはスターカプラであっても良い。
【0039】
位相変調器は、電気光学効果、キャリアプラズマ分散効果、光弾性効果などを利用しても良い。導波路は全体が直線状に構成されなくてもよく、曲線部を含むように構成されてもよい。
【0040】
位相変調器には、断熱のための断熱溝や、迷光を除去するための遮光剤充填溝が形成されていてもよい。位相変調器は、ファイバブロックを介して光ファイバと結合されていてもよい。位相変調器は、光源からレンズを介して光を入力させても良いし、光源から直接光を入力させても良い。位相変調器は、直接光を出力させても良いし、ファイバを介して光を出力させても良い。縞走査法のみならず、構造化照明法を利用する計測技術に上述の実施例および変形例を適用しても良い。縞投影装置にスクリーンやカメラが備わっていても良い。
【0041】
本実施例では、光信号が入力される1本の入力導波路と、前記入力導波路の出力に光学的に接続された1入力2出力の分岐導波路と、前記分岐導波路の出力に光学的に接続された1×2光スイッチと、前記1×2光スイッチの出力に光学的に接続された4本の位相シフタと、前記位相シフタの出力に光学的に接続された4本の出力導波路とを含んでいる導波路型光素子の例を示したが、光信号が入力される少なくとも1本の入力導波路と、前記入力導波路の出力に光学的に接続された1入力N出力(Nは2以上の整数)の分岐導波路と、前記分岐導波路の出力に光学的に接続された1×M(Mは2以上の整数)光スイッチと、前記光スイッチの出力に光学的に接続された(N×M)本の位相シフタと、前記位相シフタの出力に光学的に接続された(N×M)本の出力導波路と、を含んでいる導波路型光素子も提供が可能である。
【0042】
(変形例1)
図3に、変形例1に係る導波路型光位相変調器300の構成を示す。導波路型光位相変調器300は、入力導波路301と、分岐導波路302と、スイッチ303と、ヒータ304aを設けた位相シフタ304と、出力導波路305とを有する。図3に示すように、隣り合う出力導波路の間隔306は、非等間隔でも良い。スイッチ303の同一の1×2光スイッチから延伸した出力導波路端間の間隔の長さと、別々の1×2光スイッチから延伸し、隣接した出力導波路端間の間隔の長さとは異なっていてもよい。本変形例では、1×2光スイッチを用いたが、Mが3以上の1×M光スイッチを用いてもよい。
【0043】
(変形例2)
図4に、変形例2に係る導波路型光位相変調器400の構成を示す。導波路型光位相変調器400は、入力導波路401と、分岐導波路402と、スイッチ403と、ヒータ404aを設けた位相シフタ404と、出力導波路405とを有する。スイッチ403の点枠内の1×M(この場合、M=4)光スイッチは、多段構成でも良い。
【0044】
光信号が入力される少なくとも1本の入力導波路と、前記入力導波路の出力に光学的に接続された1入力N出力(Nは2以上の整数)の分岐導波路と、前記分岐導波路の出力に光学的に接続された1×M(Mは2以上の整数)光スイッチと、前記光スイッチの出力に光学的に接続された(N×M)本の位相シフタと、前記位相シフタの出力に光学的に接続された(N×M)本の出力導波路と、を含んでいる導波路型光素子の場合には、前記分岐導波路の出力うち少なくとも1出力に、多段構造の1×M光スイッチが光学的に接続されていればよい。
【0045】
(変形例3)
図5に、変形例3に係る導波路型光位相変調器500の構成を示す。導波路型光位相変調器500は、入力導波路501と、分岐導波路502と、スイッチ503と、ヒータ504aを設けた位相シフタ504と、出力導波路505とを有する。スイッチ503内の、各分岐導波路に接続されているスイッチのポート数は、異なっていても良い。
【0046】
また、光信号が入力される少なくとも1本の入力導波路と、前記入力導波路の出力に光学的に接続された1入力N出力(Nは2以上の整数)の分岐導波路と、前記分岐導波路の出力に光学的に接続された1×M(Mは2以上の整数)光スイッチと、前記光スイッチの出力に光学的に接続された(N×M)本の位相シフタと、前記位相シフタの出力に光学的に接続された(N×M)本の出力導波路と、を含んでいる導波路型光素子の場合には、前記分岐導波路の出力うち少なくとも1出力に、多段構造の1×M光スイッチが光学的に接続され、前記分岐導波路の出力うち少なくとも1出力に、単段構造の1×M光スイッチが光学的に接続されている。
【0047】
(変形例4)
図6に、変形例4に係る導波路型光位相変調器600の構成を示す。導波路型光位相変調器600は、入力導波路601と、分岐導波路602と、スイッチ603と、ヒータ604aを設けた位相シフタ604と、出力導波路605とを有する。位相シフタ604においてヒータ604aが設けられていないポートがあっても良い。図6の1×2光スイッチは、ヒータが設けられていない導波路を介して出力導波路505端と接続し、かつ、ヒータ604aが設けられた導波路を介して出力導波路505端と接続している。
【0048】
また、光信号が入力される少なくとも1本の入力導波路と、前記入力導波路の出力に光学的に接続された1入力N出力(Nは2以上の整数)の分岐導波路と、前記分岐導波路の出力に光学的に接続された1×M(Mは2以上の整数)光スイッチと、前記光スイッチの出力に光学的に接続された(N×M)本の位相シフタと、前記位相シフタの出力に光学的に接続された(N×M)本の出力導波路と、を含んでいる導波路型光素子の場合には、前記(N×M)本の位相シフタに、1本以上(N×M)本未満のヒータが設けられていればよい。
【0049】
(変形例5)
図7に、変形例5に係る導波路型光位相変調器700の構成を示す。導波路型光位相変調器700は、入力導波路701と、分岐導波路702と、4個の1×2光スイッチを有するスイッチ703と、ヒータ704aを設けた位相シフタ704と、出力導波路705とを有する。分岐導波路702は、スターカプラを用いてもよい。
【0050】
(変形例6)
図8に、変形例6に係る導波路型光位相変調器800の構成を示す。導波路型光位相変調器800は、入力導波路803と、分岐導波路804と、スイッチ805と、ヒータ806aを設けた位相シフタ806と、出力導波路807とを有する。導波路型光位相変調器800の両端にファイバ802、811が接続されており、ファイバ802は光源と接続する。縞投影装置は、導波路型光位相変調器800、光源801と、スイッチ及び位相シフタ制御部808と、スクリーン809と、カメラ810とを備える。スイッチ及び位相シフタ制御部808は、出力導波路807から出力される光の干渉により生成される干渉縞の投影パターンを制御する。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、干渉縞を走査する導波路型光位相変調器およびそれを用いた縞投影装置に関する技術分野に適用できる。
【符号の説明】
【0052】
100、300、400、500、600、700、800 導波路型光位相変調器
101、801 光源
102、802、811 ファイバ
103、301、401、501、601、701、803 入力導波路
104、302、402、502、602、702、803 分岐導波路
105、303、403、503、603、703、805 スイッチ
106、304、404、504、604、704、806 位相シフタ
106a、201a、201b、201c、201d、304a、404a、504a、604a、704a、806a ヒータ
107、202a、202b、202c、202d、305、405、505、605、705、807 出力導波路
108、808 スイッチ及び位相シフタ制御部
109、809 スクリーン
110、810 カメラ
200 3dB方向性結合器
306 間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8