(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
【0021】
(A)エポキシ樹脂
本発明に用いられる(A)成分のエポキシ樹脂は、1分子中に2個以上エポキシ基を有するものが好ましい。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert−ブチル−カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、トリスフェニロールメタン型エポキシ樹脂、テトラキスフェニロールエタン型エポキシ樹脂、フェノールビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂の芳香環を水素化したエポキシ樹脂、フェノールジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の芳香環を水素化したエポキシ樹脂、トリアジン誘導体エポキシ樹脂及び脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0022】
エポキシ樹脂は1種または2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂が少なくとも(A)成分中の50質量%含ませることが好ましい。
また、エポキシ樹脂組成物が硬化前の状態で可とう性を有し、取扱い(ハンドリング性)に優れ、硬化後の破断強度を向上しやすくするため、25℃で液状のエポキシ樹脂と25℃で固体のエポキシ樹脂を併用してもよい。25℃で液状のエポキシ樹脂と25℃で固体のエポキシ樹脂を併用する場合、これらの配合割合は、25℃で液状のエポキシ樹脂が10〜90質量%であり、25℃で固体のエポキシ樹脂が10〜90質量%である(ただし、25℃で液状のエポキシ樹脂と25℃で固体のエポキシ樹脂の合計が100質量%である)ことが好ましい。
【0023】
(B)活性エステル系硬化剤
活性エステル系硬化剤としては、特に制限はないが、一般にフェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N−ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の反応活性の高いエステル基(活性エステル基)を1分子中に2個以上有する化合物が好ましく用いられる。該活性エステル系硬化剤は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。中でも、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系硬化剤が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系硬化剤がより好ましい。
【0024】
カルボン酸化合物としては、例えば、炭素原子数1〜20(好ましくは2〜10、より好ましくは2〜8)の脂肪族カルボン酸、炭素原子数7〜20(好ましくは7〜10)の芳香族カルボン酸が挙げられる。好適な脂肪族カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。好適な芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
【0025】
フェノール化合物としては、例えば、炭素原子数6〜40(好ましくは6〜30、より好ましくは6〜23、さらに好ましくは6〜22)のフェノール化合物が挙げられ、好適な具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、カテコール、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール等が挙げられる。フェノール化合物としてはまた、フェノールノボラックを使用してもよい。
ナフトール化合物としては、例えば、炭素原子数10〜40(好ましくは10〜30、より好ましくは10〜20)のナフトール化合物が挙げられ、好適な具体例としては、α−ナフトール、β−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。ナフトール化合物としてはまた、ナフトールノボラックを使用してもよい。
【0026】
活性エステル系硬化剤の好適な具体例としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物、アセチル化されたフェノールノボラック構造を含む活性エステル化合物、ベンゾイル化されたフェノールノボラック構造を含む活性エステル化合物が挙げられ、中でもナフタレン構造を含む活性エステル化合物、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物がより好ましい。なお本発明において、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン−ジシクロペンタレン−フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
【0027】
ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物の具体例としては、下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。
【化3】
式(2)中、R”はフェニル基又はナフチル基を示し、kは0または1であり、lは繰り返し単位の平均値で0.05〜2.50である。
【0028】
(B)成分の活性エステル系硬化剤としては、市販のものを用いることができる。市販されている活性エステル系硬化剤としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル化合物として、EXB9451、EXB9460、EXB9460S、EXB9460S−65T(以上、DIC(株)製)、アセチル化されたフェノールノボラック構造を含む活性エステル化合物としてDC808、ベンゾイル化されたフェノールノボラック構造を含む活性エステル化合物としてYLH1026、YLH1030、YLH1048(以上、三菱化学(株)製)、ナフタレン構造を含む活性エステル化合物として、EXB9416−70BK(DIC(株)製)などが挙げられる。
【0029】
硬化物の誘電特性や耐熱性の観点から、(B)成分としては、式(2)においてR”はナフチル基、k=0、l=0.25〜1.25である活性エステル化合物が好ましい。活性エステル系硬化剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0030】
(B)成分の配合量は、(A)成分中のエポキシ基に対し、(B)成分中の活性エステル基の当量比が、0.5〜2.0となる量、好ましくは0.7〜1.5となる量である。当量比が、0.5未満となる量又は2.0を超える量となる場合、硬化性、機械特性等が低下するおそれがある。
【0031】
(C)環状イミド化合物
(C)成分は環状イミド化合物であって、分子中に少なくとも1つのダイマー酸骨格、少なくとも1つの炭素数6以上の直鎖アルキレン基、及び少なくとも2つの環状イミド基を有する。(C)成分の環状イミド化合物が炭素数6以上の直鎖アルキレン基を有することで、これを含む組成物の硬化物は優れた誘電特性を有するだけでなく、フェニル基の含有比率が低下し、耐トラッキング性が向上する。また、(C)成分の環状イミド化合物が直鎖アルキレン基を有することで、これを含む組成物の硬化物を低弾性化することができ、硬化物による半導体装置へのストレス低減にも効果的である。
また、未硬化の組成物のハンドリング性の観点から、(C)成分の環状イミド化合物は25℃で固体であるものが好ましい。
【0032】
また、中でも(C)成分の環状イミド化合物としてはマレイミド化合物であることが好ましく、下記一般式(1)で表されるマレイミド化合物を使用することがより好ましい。
【化4】
一般式(1)中、Aは独立して芳香族環または脂肪族環を含む4価の有機基を示す。Bは2価のヘテロ原子を含んでもよい脂肪族環を有する炭素数6から18のアルキレン基である。Qは独立して炭素数6以上の直鎖アルキレン基を示す。Rは夫々独立に炭素数6以上の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示す。nは1〜10の数を表す。mは0〜10の数を表す。
【0033】
式(1)中のQは直鎖のアルキレン基であり、これらの炭素数は6以上であるが、好ましくは6以上20以下であり、より好ましくは7以上15以下である。
【0034】
また、式(1)中のRはアルキル基であり、直鎖のアルキル基でも分岐のアルキル基でもよく、これらの炭素数は6以上であるが、好ましくは6以上12以下である。
【0035】
式(1)中のAは芳香族環または脂肪族環を含む4価の有機基を示し、特に、下記構造式で示される4価の有機基のいずれかであることが好ましい。
【化5】
(なお、上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、一般式(1)において環状イミド構造を形成するカルボニル炭素と結合するものである。)
【0036】
また、式(1)中のBは2価のヘテロ原子を含んでもよい脂肪族環を有する炭素数6から18のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は好ましくは炭素数8以上15以下である。式(1)中のBは下記構造式で示される脂肪族環を有するアルキレン基のいずれかであることが好ましい。
【化6】
(なお、上記構造式中の置換基が結合していない結合手は、一般式(1)において環状イミド構造を形成する窒素原子と結合するものである。)
【0037】
式(1)中のnは1〜10の数であり、好ましくは2〜7の数である。式(1)中のmは0〜10の数であり、好ましくは0〜7の数である。
【0038】
(C)成分の環状イミド化合物の重量平均分子量(Mw)は、室温(25℃)での性状を含めて特に制限はないが、室温(25℃)で固体である範囲であるほうが好ましく、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定によるポリスチレン標準で換算した重量平均分子量が2,000〜50,000であることがより好ましく、特に好ましくは2,500〜40,000である。該分子量が2,000以上であれば、得られるマレイミド化合物は固形化しやすく、2,000より小さいと硬化前の組成物はタックを有しやすくなる。該分子量が50,000以下であれば、得られる組成物は粘度が高くなりすぎて流動性が低下するおそれがなく、ラミネート成形などの成形性が良好となる。
なお、本発明中で言及する重量平均分子量(Mw)とは、下記条件で測定したGPCによるポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量を指すこととする。
[測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流量:0.35mL/min
検出器:RI
カラム:TSK−GEL Hタイプ(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:5μL
【0039】
(C)成分の環状イミド化合物としては、BMI−2500、BMI−2560、BMI−3000,BMI−5000、(以上、Designer Molecules Inc.製)等の市販品を用いることができる。
また、環状イミド化合物は1種単独で使用しても2種以上を併用しても構わない。
【0040】
本発明の組成物において、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総和(以下、(A)成分、(B)成分及び(C)成分をまとめて「樹脂成分」ともいう)に対して、(A)成分及び(B)成分の和は5〜95質量%、(C)成分は5〜95質量%含むことが好ましく、(A)成分及び(B)成分の和は10〜90質量%、(C)成分は10〜90質量%含むことがより好ましい。なお、(A)成分と(B)成分の比率は既出の当量比の範囲に従うものとする。
【0041】
(D)硬化促進剤
本発明のエポキシ樹脂組成物には(D)成分として硬化促進剤を添加する。硬化促進剤は(A)成分のエポキシ樹脂のエポキシ基、(B)成分の活性エステル系硬化剤の反応基(活性エステル基)、及び(C)成分の環状イミド化合物の環状イミド基の反応を促進するためのものである。
硬化促進剤としてはエポキシ樹脂に使用されるものであればよく、ステアリン酸亜鉛、安息香酸亜鉛等の金属塩系化合物及び後述するアニオン系硬化促進剤が挙げられる。
【0042】
一般的に、環状イミド基の反応を促進させるためにはラジカル反応開始剤がよく用いられる。本発明の場合、エポキシ基や活性エステル基との反応を考慮するとラジカル反応開始剤を単独で用いることは好ましくないが、アニオン系硬化促進剤と併用することは構わない。
【0043】
アニオン系硬化促進剤としては、一般的なエポキシ樹脂組成物の硬化反応を促進させるものであれば特に限定されない。アニオン系硬化促進剤の例としては、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン等のアミン系化合物;トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスフォニウム・テトラボレート塩等の有機リン系化合物;2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール系化合物等が挙げられるが、イミダゾール系化合物が好適に用いられる。
【0044】
これらの硬化促進剤は、種類に関わらず1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(D)成分の添加量としては、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の総和100質量部、つまり樹脂成分の総和100質量部に対して、0.1質量部から10質量部、好ましくは0.2質量部から5質量部である。
【0045】
本発明は、上記成分に加え、下記の任意の成分を配合することができる。
【0046】
(E)無機充填材
(E)成分である無機充填材は、本発明のエポキシ樹脂組成物をフィルム状に成形する場合、その硬化物の強度や剛性を高めたり、熱膨張係数を調整するのに配合される。(E)成分の無機充填材としては、通常エポキシ樹脂組成物やシリコーン樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、球状シリカ、溶融シリカ及び結晶性シリカ等のシリカ類、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド、硫酸バリウム、タルク、クレー、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、ガラス繊維及びガラス粒子等が挙げられる。さらに誘電特性改善のためにフッ素樹脂含有及び/またはコーティングフィラーも挙げられる。
【0047】
(E)成分の無機充填材の平均粒径及び形状は特に限定されないが、フィルム状に成形する場合は特に平均粒径が0.5〜5μmの球状シリカが好適に用いられる。なお、平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D
50(又はメジアン径)として求めた値である。
【0048】
(E)成分の無機充填材の配合量は、樹脂成分の総和100質量部に対し、40〜800質量部、特に50〜700質量部が好ましい。40質量部未満では、硬化物の熱膨張率(CTE)が大きくなるだけでなく、十分な強度を得ることができないおそれがあり、800質量部を超えると、フィルムとしての柔軟性が失われたり、外観不良が発生したりする場合がある。なお、この無機充填材は、組成物全体の30〜90質量%、特に35〜85質量%の範囲で含有することが好ましい。
【0049】
<その他の添加剤>
本発明のエポキシ樹脂組成物には、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。該添加剤として本発明の効果を損なわない範囲で、樹脂特性を改善するためにオルガノポリシロキサン、シリコーンオイル、シアネート樹脂などその他の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、光安定剤、顔料、染料等を配合してもよいし、フィラーとの濡れ向上や基材との密着性向上のためにカップリング剤、電気特性を改善するためにイオントラップ剤、難燃性を付与させるためのリン化合物や金属水和物を代表とする非ハロゲン系の難燃剤等を配合してもよい。さらには誘電特性を改善するために含フッ素材料等を配合してもよく、硬化促進剤としてアニオン系硬化促進剤を用いる場合はラジカル反応開始剤を配合してもよい。
【0050】
エポキシ樹脂組成物の製造方法
本発明のエポキシ樹脂組成物の製造方法は特に制限されるものではない。例えば、(A)〜(D)成分及び必要に応じてその他の成分を、所定の組成比で配合し、ミキサー等によって十分均一に混合、撹拌、溶解、分散及び/又は溶融混練させる方法が挙げられる。各成分は、同時に又は別々に配合してもよく、必要に応じて加熱しながら混合等を行なってもよい。
混合等を行なう装置は、特に限定されないが、具体的には、撹拌及び加熱装置を備えたライカイ機、2本ロールミル、3本ロールミル、ボールミル、プラネタリーミキサー及びマスコロイダー等が挙げられ、これらの装置を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0051】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、温度:150〜200℃、時間:1〜24時間の条件で硬化することで、耐熱性に優れ、低比誘電率、低誘電正接の硬化物となる。また、組成物の硬化は、以下に詳述する組成物の用途又は形態に応じて、適宜後述する方法で硬化してもよい。
【0052】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、接着フィルム、プリプレグ、多層プリント配線板用途等の回路基板、ソルダーレジスト、アンダーフィル材、ダイボンディング剤、半導体封止材等の広範囲の用途に使用でき、特に、多層プリント配線板の絶縁層の形成に好適に用いることができる。
【0053】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、各種用途に応じて、上述した方法により製造した樹脂組成物をそのまま用いてもよく、ワニスとして用いてもよく、フィルム状に成形して(すなわち、フィルム状積層材料として)から用いてもよい。フィルム状積層材料とする場合、ラミネート性の観点から、エポキシ樹脂組成物の軟化点は40〜140℃であることが好ましい。
【0054】
[ワニス]
ワニスは、本発明のエポキシ樹脂組成物及び有機溶剤を含むものであり、上述した(A)〜(D)成分、有機溶剤及び必要に応じてその他の成分を、例えば、所定の組成比で配合し、必要に応じて3本ロール、ボールミル、ビーズミル、サンドミルなどで混練を行ったり、必要に応じてプラネタリーミキサーなどで撹拌を行ったりすることにより製造することができる。
【0055】
本発明のエポキシ樹脂組成物をワニスとする場合に用いる有機溶剤としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒及びシクロヘキサノン等が挙げられる。なお、有機溶剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0056】
また、ワニスにおける本発明のエポキシ樹脂組成物の固形分濃度(不揮発分濃度)は目的の用途又は形態に応じて適宜調整すればよく、例えば固形分濃度が30〜70質量%となるよう有機溶剤を配合することが好ましく、35〜65質量%となるよう配合することがより好ましい。
【0057】
[フィルム状積層材料]
フィルム状積層材料は、支持体上に、本発明のエポキシ樹脂組成物からなる樹脂組成物層を有するものである。フィルム状積層材料の製造方法としては、エポキシ樹脂組成物を、そのまま支持体上に塗工してもよく、ワニスとしてからダイコーターなどにより塗工してもよい。ワニスを塗工した場合は、加熱又は熱風吹付け等により有機溶剤を乾燥させて、支持体上に樹脂組成物層を形成することができる。
【0058】
支持体(支持フィルム)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等のポリオレフィンフィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルムなどの各種プラスチックフィルム;離型紙;銅箔、アルミニウム箔等の金属箔等が挙げられる。中でも、汎用性の観点から、プラスチックフィルムが好ましく、PETフィルムがより好ましい。支持体及び後述する保護フィルムには、マッド処理、コロナ処理等の表面処理が施してあってもよい。また、シリコーン樹脂系離型剤、アルキッド樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤等の離型剤で離型処理が施してあってもよい。
【0059】
[接着フィルム]
フィルム状積層材料の具体的態様として、接着フィルムが挙げられる。
接着フィルムの製造方法としては、上述の方法でワニスを調製し、このワニスを、ダイコーターなどを用いて、支持体上に塗布し、更に加熱又は熱風吹きつけ等により有機溶剤を乾燥させて樹脂組成物層を形成させる方法が挙げられる。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層における有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させることが好ましい。ワニス中の有機溶剤量及び有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30〜60質量%の有機溶剤を含むワニスの場合、50〜150℃で3〜10分間程度乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。なお、より高温で長時間乾燥させると、組成物の硬化反応が進行して組成物が硬化するおそれがある。
また、接着フィルムの別の製造方法として、Tダイを設置した押し出し機を用いて製造する方法も挙げられる。この製造方法では、ワニスではなく、各成分を溶融混合して調製したエポキシ樹脂組成物を用いる。
【0060】
接着フィルムの樹脂組成物層の厚さは、10〜120μmの範囲であることが好ましい。特に、接着フィルムを後述する回路基板に用いる場合は、接着フィルムの樹脂組成物層の厚さは、回路基板の導体層の厚さ以上とすることが好ましい。回路基板の導体層の厚さは、通常、5〜70μmの範囲であるので、樹脂組成物層の厚さは10〜100μmの範囲であることが好ましく、層の薄型化の観点からは15〜80μmの範囲であることがより好ましい。
【0061】
また、樹脂組成物層の支持体と接触していない面には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層してもよい。この場合、接着フィルムは、支持体と、該支持体上に形成された樹脂組成物層と、該樹脂組成物層上に形成された保護フィルムとを含む。保護フィルムの厚さは、特に限定されないが、例えば、1〜40μmとし得る。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを防止することができる。接着フィルムは、ロール状に巻きとって保管することができる。
【0062】
[プリプレグ]
プリプレグは、本発明のエポキシ樹脂組成物を有するものであり、補強基材に本発明のエポキシ樹脂組成物を含浸又は塗工し、加熱して該エポキシ樹脂組成物を半硬化させることにより製造することができる。
【0063】
補強基材としては、例えば、ガラスクロス、石英ガラス、アラミド不織布、液晶ポリマー不織布等のプリプレグ用基材として常用されているものを用いることができる。
【0064】
含浸又は塗工する方法としては、ホットメルト法又はソルベント法が挙げられる。
ホットメルト法は、溶融状態にある本発明のエポキシ樹脂組成物をダイコーターにより補強基材に直接塗工する方法又は上述した方法により作製したフィルム状積層材料を該補強基材にラミネートする方法である。
ソルベント法は、補強基材を上述した方法により作製したワニスに浸漬し、その後乾燥する方法である。
さらに、上述した方法により作製した接着フィルムを補強基材の両面から加熱、加圧条件下、連続的に熱ラミネートすることでプリプレグを調製してもよい。支持体や保護フィルムは、接着フィルムについて上述したものと同じものを使用してよい。
【0065】
本発明のエポキシ樹脂組成物が含浸又は塗工された補強基材を、例えば、60〜150℃で、5〜60分の条件で加熱することにより、該エポキシ樹脂組成物が半硬化状態となる。
【0066】
本発明のプリプレグにおいて、補強基材に対して、本発明のエポキシ樹脂組成物を25〜75質量%含有することが好ましい。
【0067】
[回路基板(多層プリント配線板)]
本発明の回路基板は、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物である絶縁層を有する。回路基板に用いられる基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。なお、回路基板とは、上記のような基板の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成されたものをいい、導体層と絶縁層とが交互に積層され、最外層の片面又は両面にパターン加工された導体層(回路)が形成された多層プリント配線板も含まれる。なお導体層の表面は、黒化処理、銅エッチング等の粗化処理が予め施されていてもよい。
【0068】
回路基板に絶縁層を形成する方法としては、上述した方法で調製したワニスを回路基板に塗布し、乾燥し、加熱硬化する方法が挙げられる。具体的には、ディスペンサーを用いて塗布し、乾燥は60〜150℃で0.5〜2時間行ない、加熱硬化は120〜200℃で1〜12時間行なう方法が挙げられる。また、必要に応じて真空乾燥させてもよい。
【0069】
また、回路基板に絶縁層を形成する別の方法としては、上述した方法で作製したフィルム状積層材料を、真空ラミネーターを用いて回路基板の片面又は両面にラミネートする方法も挙げられる。フィルム状積層材料が保護フィルムを有している場合には、該保護フィルムを除去した後、必要に応じてフィルム状積層材料及び回路基板をプレヒートし、フィルム状積層材料を加圧及び加熱しながら回路基板にラミネートする。ラミネートの後に、常圧下、例えば、フィルム状積層材料を熱プレスすることにより、ラミネートされたフィルム状積層材料の平滑化処理を行うことが好ましい。平滑化処理の条件は、上記ラミネートの加熱圧着条件と同様な条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、ラミネート処理と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
【0070】
フィルム状積層材料を回路基板にラミネートした後、室温付近に冷却してから、支持体を剥離する場合は剥離し、樹脂組成物を加熱硬化して絶縁層を形成することができるが、支持体を剥離する順番などは適宜入れ替えたりすることができる。これにより、回路基板上に絶縁層を形成することができる。加熱硬化の条件は、樹脂組成物中の樹脂成分の種類、含有量などに応じて適宜選択すればよいが、好ましくは150℃〜220℃で20〜180分間、より好ましくは160℃〜210℃で30〜120分間の範囲で選択される。
【0071】
また、回路基板に絶縁層を形成するさらに別の方法としては、上述した方法で作製したフィルム状積層材料を、真空プレス機を用いて回路基板の片面又は両面に積層する方法も挙げられる。この方法では、一般の真空ホットプレス機を用いて、減圧下、加熱及び加圧を行うことで、回路基板上で樹脂組成物が加熱硬化して絶縁層となる。
【0072】
また、上述した方法により製造したプリプレグを用いて回路基板(多層プリント配線板)を製造する方法も挙げられる。内装回路基板に本発明のプリプレグを1枚又は複数枚重ね、離型フィルムを介して金属プレートをはさみ加圧、加熱条件下でプレス積層することで製造可能である。
【0073】
回路基板を作製した後、回路基板上に形成された絶縁層に穴あけ加工を行ってビアホール、スルーホールを形成したり、絶縁層の表面の粗化処理を行ったり、メッキを絶縁層上に形成し、導体層を作製することができる。これらの工程は一般的な回路基板又は多層プリント配線板を製造する方法に従って行うことができる。
【0074】
[半導体装置]
本発明の半導体装置は、本発明のエポキシ樹脂組成物の硬化物を有するものである。
【実施例】
【0075】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0076】
(A)エポキシ樹脂
(A−1):25℃で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂(jER−828、三菱化学(株)製、エポキシ当量180)
(A−2):25℃で固体のビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(NC−3000、日本化薬(株)製、エポキシ当量291)
【0077】
(B)活性エステル系硬化剤
(B−1):活性エステル化合物−1(EXB9460S−65T、DIC(株)製、活性エステル当量223、固形分65質量%のトルエン溶液)
【0078】
(C)環状イミド化合物
(C−1):下記式で示される直鎖アルキレン基含有マレイミド化合物−1(BMI−2500、Designer Molecules Inc.製)
【化7】
(C−2):下記式で示される直鎖アルキレン基含有マレイミド化合物−2(BMI−3000、Designer Molecules Inc.製)
【化8】
(C−3)4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド(BMI−1000:大和化成(株)製、比較例用)
【0079】
(D)硬化促進剤
(D−1):イミダゾール系硬化促進剤(1B2PZ、四国化成(株)製)
(D−2):有機リン系硬化促進剤(TPP、北興化学(株)製)
(D−3):金属塩系硬化促進剤(ステアリン酸亜鉛、富士フィルム和光純薬(株)製)
【0080】
(E)無機充填材
(E−1)溶融球状シリカ(SO−25R、(株)アドマテックス製、平均粒径0.5μm)
【0081】
[実施例1〜6、比較例1〜7]
表1に示す配合(質量部)で各成分をシクロヘキサノンに溶解、分散させ、不揮発分が60質量%になるように調整し、樹脂組成物のワニスを得た。なお、表1中の(B)成分の部数は固形成分の値である。樹脂組成物のワニスを厚さ38μmのPETフィルム上に、乾燥後の厚みが50μmになるようにローラーコーターにて塗布し、80〜120℃で10分乾燥させることでフィルムを得た。
なお、比較例6、7では、PETフィルム上に本発明の樹脂組成物を有するフィルムの代わりに、市販されているフィルム状層間絶縁材料であるABF GX13及びGX92(ともに味の素ファインテクノ(株)製)を使用した。
【0082】
<フィルム特性>
各フィルムを25℃の条件下で180度折り曲げた際にフィルムにクラックが発生したり、破断したりするかを目視で確認した。クラック又は破断が全く確認されなかった場合は○、少しでもクラック又は破断が確認された場合を×とした。
【0083】
<比誘電率、誘電正接>
各フィルムを150℃で1時間、さらに200℃で2時間のステップキュアを行うことで硬化させた。その後、ネットワークアナライザ(キーサイト社製 E5063−2D5)とストリップライン(キーコム株式会社製)を接続し、上記フィルムの周波数10GHz及び20GHzにおける比誘電率と誘電正接を測定した。
【0084】
<重量減少率(耐熱性)>
各フィルムを150℃で1時間、さらに200℃で2時間のステップキュアを行うことで硬化させた。硬化後のフィルムが十分冷めた後にフィルムの質量を測定し「加熱前のフィルム質量」とした。続いて、硬化させたフィルムをさらに200℃のオーブンで300時間加熱し、十分フィルムが冷めた後「加熱後のフィルム質量」を測定した。下記式によって、重量減少率を算出した。
重量減少率(%)=[(加熱前のフィルム質量−加熱後のフィルム質量)/加熱前のフィルム質量]×100
【0085】
【表1】
【0086】
表1に示すように、本発明の組成物の硬化物は、市販の層間絶縁フィルムと比べても、誘電率及び誘電正接の値が小さく誘電特性に優れ、耐熱性にも優れることがわかった。一方、本願発明の特定の(C)環状イミド化合物を含まない組成物の硬化物は誘電特性が十分でなく、また(A)エポキシ樹脂及び(B)活性エステル系硬化剤を含まない組成物の硬化物は高温放置後の重量減少率が高く耐熱性に劣るものであった。
したがって、本発明の組成物は樹脂フィルム、それを用いた多層プリント基板及びその基板を用いた半導体装置として有用である。