特許第6984617号(P6984617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6984617塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体および積層体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984617
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体および積層体
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/06 20060101AFI20211213BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20211213BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20211213BHJP
   B32B 27/40 20060101ALI20211213BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20211213BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20211213BHJP
   C08J 5/00 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   C08L27/06
   C08K3/013
   C08K3/22
   B32B27/40
   B32B5/18
   B32B27/30 101
   C08J5/00CEV
【請求項の数】9
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-566154(P2018-566154)
(86)(22)【出願日】2018年2月5日
(86)【国際出願番号】JP2018003809
(87)【国際公開番号】WO2018143455
(87)【国際公開日】20180809
【審査請求日】2021年1月6日
(31)【優先権主張番号】特願2017-19814(P2017-19814)
(32)【優先日】2017年2月6日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100175477
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 林太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100209679
【弁理士】
【氏名又は名称】廣 昇
(72)【発明者】
【氏名】西村 翔太
【審査官】 長岡 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−167642(JP,A)
【文献】 特開2002−012679(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/141182(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/091867(WO,A1)
【文献】 特開2012−197394(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/037905(WO,A1)
【文献】 特開2004−250553(JP,A)
【文献】 特開2001−311049(JP,A)
【文献】 特開2009−91790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 27/00−27/24
C08K 3/00− 3/40
C08J 5/00− 5/02
C08J 5/12− 5/24
B32B 27/00−27/42
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)塩化ビニル樹脂、(b)可塑剤および(c)遮熱性顔料を含み、
前記(c)遮熱性顔料は、L表色系におけるL値が18.0以上70.0以下であり、且つ、分光反射率曲線での波長800nm以上2400nm以下の領域において反射率が20%以上である波長が存在し、
前記(c)遮熱性顔料がMn−Bi複合酸化物を含むことを特徴とする、
塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項2】
前記(c)遮熱性顔料の含有量が、前記(a)塩化ビニル樹脂100質量部あたり5質量部以上である、請求項1に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項3】
カーボンブラックの含有量が、前記(c)遮熱性顔料100質量部あたり0.1質量部以下である、請求項1または2に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項4】
粉体成形に用いられる、請求項1〜のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項5】
パウダースラッシュ成形に用いられる、請求項に記載の塩化ビニル樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂組成物を成形してなる、塩化ビニル樹脂成形体。
【請求項7】
表面の、L表色系におけるL値が23.0±2.5であり、a値が−0.5±1.0であり、b値が0.0±1.0である、請求項に記載の塩化ビニル樹脂成形体。
【請求項8】
自動車内装部品の表皮用である、請求項またはに記載の塩化ビニル樹脂成形体。
【請求項9】
発泡ポリウレタン成形体と、請求項のいずれか一項に記載の塩化ビニル樹脂成形体と、を有する積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形体および積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塩化ビニル樹脂は、一般に、耐寒性、耐熱性、耐油性などの特性に優れているため、種々の用途に用いられている。
具体的には、例えば、自動車インスツルメントパネルおよびドアトリム等の自動車内装部品の形成には、塩化ビニル樹脂成形体からなる表皮や塩化ビニル樹脂成形体からなる表皮に発泡ポリウレタン等の発泡体を裏打ちしてなる積層体などの自動車内装材が用いられている。
【0003】
そして、自動車インスツルメントパネル等の自動車内装部品の表皮を構成する塩化ビニル樹脂成形体には、例えば、車内に入り込んだ太陽光等によって自動車内装部品自体や車内環境の温度が過度に上昇しないよう、高い遮熱性を発揮することが求められている。
【0004】
例えば、特許文献1では、ポリエステル不織布を表皮とした自動車内装材において、遮熱性を有する樹脂シートを表皮に裏打ちすることにより、自動車内装材の遮熱性を高めている。そして、特許文献1では、ポリビニルアセタール樹脂と、可塑剤と、錫ドープ酸化インジウム粒子とを用いて、上記遮熱性を有する樹脂シートを調製している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−206118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の樹脂シートを裏打ちした技術では、自動車内装材としての表皮部分に高い遮熱性を発揮させる点において、更なる改善の余地があった。
特に、近年では、高級感のある自動車内装材の素材として、黒色系(黒味がかった暗色系)の塩化ビニル樹脂成形体からなる表皮が用いられている。そして、黒色系の塩化ビニル樹脂成形体としては、カーボンブラックを添加した成形体が多く使用されているところ、カーボンブラックは、一般に、蓄熱し易い傾向がある。従って、塩化ビニル樹脂成形体からなる表皮には、カーボンブラックを添加した場合と同様の色調を得つつ、遮熱性を高めることが求められていた。
【0007】
そこで、本発明は、所望の暗色系の色調を得つつ遮熱性に優れた塩化ビニル樹脂成形体を製造可能な塩化ビニル樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、所望の暗色系の色調を得つつ遮熱性に優れた塩化ビニル樹脂成形体および積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決することを目的として鋭意検討を行った。そして、本発明者は、塩化ビニル樹脂と、可塑剤と、所定の明度および所定の反射率を有する遮熱性顔料とを含む塩化ビニル樹脂組成物を使用すれば、所望の暗色系の色調を有し、且つ、遮熱性に優れた、自動車インスツルメントパネル用表皮などの自動車内装材として好適に使用し得る塩化ビニル樹脂成形体が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、(a)塩化ビニル樹脂、(b)可塑剤および(c)遮熱性顔料を含み、前記(c)遮熱性顔料は、L表色系におけるL値が18.0以上70.0以下であり、且つ、分光反射率曲線での波長800nm以上2400nm以下の領域において反射率が20%以上である波長が存在することを特徴とする。上記所定範囲のL値を有し、且つ、上記所定以上の反射率を有する(c)遮熱性顔料を配合すれば、所望の暗色系の色調を得つつ遮熱性に優れた塩化ビニル樹脂成形体を形成することができる。そして、上記塩化ビニル樹脂成形体を、例えば、所望の暗色系の自動車インスツルメントパネル用表皮などの自動車内装材として好適に使用することができる。
なお、本発明において、「L値」とは、国際照明委員会(CIE)で規格化されたL表色系において明度を表す値である。また、「L値」は、本明細書の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
また、本発明において、「分光反射率曲線」は、分光光度計を用いて得ることができる。
【0010】
ここで、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、前記(c)遮熱性顔料が、Mn、Bi、FeおよびCrからなる群から選択される二つ以上の金属元素を含有する金属複合酸化物であることが好ましい。(c)遮熱性顔料が上記所定の金属複合酸化物であれば、所望の暗色系の色調をより良好に得つつ、遮熱性により優れた塩化ビニル樹脂成形体を形成することができるからである。
【0011】
また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、前記(c)遮熱性顔料が、Mn−Bi複合酸化物およびFe−Cr複合酸化物のいずれか一方の金属複合酸化物であることが好ましい。(c)遮熱性顔料が上記所定の金属複合酸化物であれば、所望の暗色系の色調を更に良好に得つつ、遮熱性に更に優れた塩化ビニル樹脂成形体を形成することができるからである。
【0012】
また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、前記(c)遮熱性顔料の含有量が、前記(a)塩化ビニル樹脂100質量部あたり5質量部以上であることが好ましい。塩化ビニル樹脂組成物が(c)遮熱性顔料を上記所定量以上含有すれば、所望の暗色系の色調をより良好に得つつ、遮熱性により優れた塩化ビニル樹脂成形体を形成することができるからである。
【0013】
また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、カーボンブラックの含有量が、前記(c)遮熱性顔料100質量部あたり0.1質量部以下であることが好ましい。塩化ビニル樹脂組成物が含有し得るカーボンブラックの含有量を上記所定以下とすれば、遮熱性に一層優れた塩化ビニル樹脂成形体を形成することができるからである。
なお、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は所定の(c)遮熱性顔料を含んでいるので、カーボンブラックの含有量を上記所定以下にした場合であっても、塩化ビニル樹脂成形体において所望の暗色系の色調を達成することができる。
【0014】
更に、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、粉体成形に用いられることが好ましい。塩化ビニル樹脂組成物を粉体成形に用いれば、例えば、自動車インスツルメントパネル用表皮などの自動車内装材として良好に使用し得る塩化ビニル樹脂成形体が容易に得られるからである。
【0015】
そして、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、パウダースラッシュ成形に用いられることが好ましい。塩化ビニル樹脂組成物をパウダースラッシュ成形に用いれば、例えば、自動車インスツルメントパネル用表皮などの自動車内装材として良好に使用し得る塩化ビニル樹脂成形体がより容易に得られるからである。
【0016】
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、上述した塩化ビニル樹脂組成物のいずれかを成形してなることを特徴とする。上記塩化ビニル樹脂組成物を用いて塩化ビニル樹脂成形体を形成すれば、所望の暗色系の色調を得つつ遮熱性に優れ、例えば、自動車インスツルメントパネル用表皮などの自動車内装材として好適に使用できる塩化ビニル樹脂成形体が得られる。
【0017】
ここで、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、表面の、L表色系におけるL値が23.0±2.5であり、a値が−0.5±1.0であり、b値が0.0±1.0であることが好ましい。塩化ビニル樹脂成形体の表面におけるL値、a値およびb値がそれぞれ上記範囲内であれば、所望の黒味がかった暗色系の色調を有する自動車インスツルメントパネル用表皮などの自動車内装材として好適に使用できる塩化ビニル樹脂成形体が得られるからである。
なお、本発明において、「a値」および「b値」とは、国際照明委員会(CIE)で規格化されたL表色系において色度(色相および彩度)を表す値である。また、「a値」および「b値」は、本明細書の実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0018】
また、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、自動車内装部品の表皮用であることが好ましい。塩化ビニル樹脂成形体を自動車内装部品の表皮に使用すれば、所望の暗色系の色調および優れた遮熱性を有する表皮を備えた、自動車インスツルメントパネル等の自動車内装部品が得られるからである。
【0019】
そして、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の積層体は、発泡ポリウレタン成形体と、上述した塩化ビニル樹脂成形体のいずれかと、を有することを特徴とする。発泡ポリウレタン成形体および上述の塩化ビニル樹脂成形体を有する積層体は、所望の暗色系の色調を発揮し、且つ、遮熱性に優れた表面を有する自動車インスツルメントパネル等の自動車内装部品の製造に用いられる自動車内装材として好適に使用できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、所望の暗色系の色調を得つつ遮熱性に優れた塩化ビニル樹脂成形体を製造可能な塩化ビニル樹脂組成物が得られる。
また、本発明によれば、所望の暗色系の色調を得つつ遮熱性に優れた塩化ビニル樹脂成形体および積層体が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、例えば、本発明の塩化ビニル樹脂成形体を形成する際に用いることができる。そして、本発明の塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体は、例えば、自動車インスツルメントパネルおよびドアトリム等の自動車内装部品が備える表皮などの、自動車内装材として好適に用いることができる。特に、本発明の塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体は、黒味がかった暗色系の表皮などの、自動車内装材としてより好適に用いることができる。
そして、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、例えば、本発明の積層体を形成する際に用いることができる。そして、本発明の塩化ビニル樹脂成形体を用いて形成した積層体は、例えば、自動車インスツルメントパネルおよびドアトリム等の自動車内装部品を製造する際に用いる自動車内装材として好適に用いることができる。特に、本発明の塩化ビニル樹脂成形体を用いて形成した積層体は、黒味がかった暗色系の表皮を備える自動車内装部品を製造する際に用いる自動車内装材としてより好適に用いることができる。
【0022】
(塩化ビニル樹脂組成物)
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、(a)塩化ビニル樹脂、(b)可塑剤および(c)遮熱性顔料を含み、任意に、(d)その他の顔料および添加剤を更に含んでもよい。また、本発明の塩化ビニル樹脂組成物に含まれる(c)遮熱性顔料は、所定範囲の明度および所定以上の反射率を有することを特徴とする。そして、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、少なくとも、上記(a)塩化ビニル樹脂と、(b)可塑剤と、上記所定の性状を有する(c)遮熱性顔料とを含んでいるため、所望の暗色系の色調を確保しつつ遮熱性に優れた塩化ビニル樹脂成形体の形成に使用することができる。従って、本発明の塩化ビニル樹脂組成物を使用すれば、所望の暗色系の色調を有していても優れた遮熱性を発揮し得る、自動車インスツルメントパネルおよびドアトリム用の表皮などの自動車内装材として特に好適な塩化ビニル樹脂成形体を得ることができる。
なお、例えば、本発明の塩化ビニル樹脂組成物を用いて、自動車内装材として良好に使用し得る塩化ビニル樹脂成形体を容易に得る観点からは、本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、粉体成形に用いられることが好ましく、パウダースラッシュ成形に用いられることがより好ましい。
【0023】
<(a)塩化ビニル樹脂>
ここで、(a)塩化ビニル樹脂としては、例えば、1種類または2種類以上の塩化ビニル樹脂粒子を含有することができ、任意に、1種類または2種類以上の塩化ビニル樹脂微粒子を更に含有することができる。中でも、(a)塩化ビニル樹脂は、少なくとも塩化ビニル樹脂粒子を含有することが好ましく、塩化ビニル樹脂粒子および塩化ビニル樹脂微粒子を含有することがより好ましい。
そして、(a)塩化ビニル樹脂は、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法など、従来から知られているいずれの製造法によっても製造し得る。
なお、本明細書において、「樹脂粒子」とは、粒子径が30μm以上の粒子を指し、「樹脂微粒子」とは、粒子径が30μm未満の粒子を指す。
【0024】
また、(a)塩化ビニル樹脂としては、塩化ビニル単量体単位からなる単独重合体の他、塩化ビニル単量体単位を好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上含有する塩化ビニル系共重合体が挙げられる。そして、塩化ビニル系共重合体を構成し得る、塩化ビニル単量体と共重合可能な単量体(共単量体)の具体例としては、例えば、国際公開第2016/098344号に記載のものを使用することができる。また、これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
【0025】
<<塩化ビニル樹脂粒子>>
塩化ビニル樹脂組成物において、塩化ビニル樹脂粒子は、通常、マトリックス樹脂(基材)として機能する。なお、塩化ビニル樹脂粒子は、懸濁重合法により製造することが好ましい。
【0026】
[平均重合度]
そして、塩化ビニル樹脂粒子を構成する塩化ビニル樹脂の平均重合度は、1000以上であることが好ましく、3000以下であることが好ましい。塩化ビニル樹脂粒子を構成する塩化ビニル樹脂の平均重合度が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の物理的強度を十分確保しつつ、例えば、引張特性、特には引張伸びをより良好にできるからである。そして、引張伸びが良好な塩化ビニル樹脂成形体は、例えば、エアバッグが膨張、展開した際に、破片が飛散することなく設計通りに割れる、良好な延性を有する自動車インスツルメントパネルの表皮などの自動車内装材として好適に用いることができる。また、塩化ビニル樹脂粒子を構成する塩化ビニル樹脂の平均重合度が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物の溶融性を向上させ、当該組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の表面平滑性を向上できるからである。
なお、本発明において「平均重合度」は、JIS K6720−2に準拠して測定することができる。
【0027】
[平均粒子径]
また、塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径は、通常30μm以上であり、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、500μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましい。塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性がより向上するからである。また、塩化ビニル樹脂粒子の平均粒子径が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物の溶融性がより向上すると共に、当該組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の表面平滑性をより向上できるからである。
なお、本発明において、「平均粒子径」は、JIS Z8825に準拠し、レーザー回折法により体積平均粒子径として測定することができる。
【0028】
[含有割合]
そして、(a)塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂粒子の含有割合は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、100質量%とすることができ、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。(a)塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂粒子の含有割合が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の物理的強度を十分確保しつつ引張伸びをより良好にできるからである。また、(a)塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂粒子の含有割合が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性が向上するからである。
【0029】
<<塩化ビニル樹脂微粒子>>
塩化ビニル樹脂組成物において、塩化ビニル樹脂微粒子は、通常、ダスティング剤(粉体流動性改良剤)として機能する。なお、塩化ビニル樹脂微粒子は、乳化重合法により製造することが好ましい。
【0030】
[平均重合度]
そして、塩化ビニル樹脂微粒子を構成する塩化ビニル樹脂の平均重合度は、500以上が好ましく、700以上がより好ましく、1000以下が好ましく、900以下がより好ましい。ダスティング剤としての塩化ビニル樹脂微粒子を構成する塩化ビニル樹脂の平均重合度が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性がより良好になると共に、当該組成物を用いて得られる成形体の引張伸びがより良好になるからである。また、塩化ビニル樹脂微粒子を構成する塩化ビニル樹脂の平均重合度が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物の溶融性がより向上し、当該組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の表面平滑性がより向上するからである。
【0031】
[平均粒子径]
また、塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径は、通常30μm未満であり、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径が上記下限以上であれば、例えばダスティング剤としてのサイズを過度に小さくすることなく、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性を更に良好に発揮できるからである。また、塩化ビニル樹脂微粒子の平均粒子径が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物の溶融性がより高まり、形成される塩化ビニル樹脂成形体の表面平滑性を更に向上させることができるからである。
【0032】
[含有割合]
そして、(a)塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂微粒子の含有割合は、0質量%であってもよいが、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましい。(a)塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂微粒子の含有割合が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性が更に向上するからである。また、(a)塩化ビニル樹脂中の塩化ビニル樹脂微粒子の含有割合が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の物理的強度をより高めることができるからである。
【0033】
<(b)可塑剤>
また、(b)可塑剤としては、例えば、国際公開第2016/098344号に記載の一次可塑剤および二次可塑剤などを使用することができる。これらの成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
上述した可塑剤の中でも、塩化ビニル樹脂組成物および塩化ビニル樹脂成形体を容易に良好に得られる観点からは、(b)可塑剤としては、少なくとも一次可塑剤を用いることが好ましく、一次可塑剤および二次可塑剤を併用することがより好ましい。具体的には、(b)可塑剤としては、トリメリット酸エステルおよび/またはピロメリット酸エステルを用いることが好ましく、少なくともトリメリット酸エステルを用いることがより好ましく、トリメリット酸エステルとエポキシ化大豆油とを併用することが更に好ましい。
【0034】
[含有量]
そして、(b)可塑剤の含有量は、(a)塩化ビニル樹脂100質量部に対して、10質量部以上であることが好ましく、60質量部以上であることがより好ましく、80質量部以上であることが更に好ましく、200質量部以下であることが好ましく、160質量部以下であることがより好ましく、120質量部以下であることが更に好ましい。(b)可塑剤の含有量が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の引張伸びを十分に高めることができる。また、(b)可塑剤の含有量が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂成形体の表面に可塑剤が移行して成形体表面がべた付くことを抑制することができる。
【0035】
<(c)遮熱性顔料>
本発明の塩化ビニル樹脂組成物が含む(c)遮熱性顔料は、L値が所定範囲内であり、且つ、反射率が所定以上である。塩化ビニル樹脂組成物が、このような所定の性状を有する(c)遮熱性顔料を含まなければ、当該塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体に所望の暗色系の色調および優れた遮熱性を与えることができない。
【0036】
<<L値、a値、b値>>
[L値]
ここで、(c)遮熱性顔料は、L表色系におけるL値が18.0以上70.0以下である必要がある。また、(c)遮熱性顔料のL値は、19.0以上であることが好ましく、20.0以上であることがより好ましく、21.0以上であることが更に好ましく、60.0以下であることが好ましく、50.0以下であることがより好ましく、40.0以下であることが更に好ましく、25.0以下であることが更に好ましく、23.5以下であることが更に好ましく、23.0以下であることが更に好ましく、22.5以下であることが一層好ましく、22.0以下であることがより一層好ましい。L値は100に近いほど明るく、0に近いほど暗いことを示すところ、(c)遮熱性顔料のL値が上記上限範囲内でなければ、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成される塩化ビニル樹脂成形体に、所望の暗色系の色調を与えることができない。従って、(c)遮熱性顔料のL値が上記範囲内であれば、当該成形体を所望の暗色系の自動車インスツルメントパネルの表皮などに良好に使用することができる。また、(c)遮熱性顔料のL値が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂成形体の色調をより所望の暗さに調整することができるからである。また、(c)遮熱性顔料のL値が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂成形体により高い遮熱性を与え得るからである。
【0037】
[a値]
また、(c)遮熱性顔料は、L表色系におけるa値が−1.0以上であることが好ましく、0.0以上であることがより好ましく、0.5以上であることが更に好ましく、1.1以上であることが一層好ましく、2.0以下であることが好ましい。a値はプラスに向かうほど赤味が強く、マイナスに向かうほど緑味が強いことを示すところ、(c)遮熱性顔料のa値が上記範囲内であれば、例えば、塩化ビニル樹脂成形体に、自動車インスツルメントパネルの表皮などにより適した所望の色調を付与し得るからである。
【0038】
[b値]
更に、(c)遮熱性顔料は、L表色系におけるb値が0.0以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、1.0以上であることが更に好ましく、4.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、1.5以下であることが更に好ましい。b値はプラスに向かうほど黄味が強く、マイナスに向かうほど青味が強いことを示すところ、(c)遮熱性顔料のb値が上記範囲内であれば、例えば、塩化ビニル樹脂成形体に、自動車インスツルメントパネルの表皮などにより適した所望の色調を付与し得るからである。
【0039】
<<反射率>>
また、(c)遮熱性顔料は、分光反射率曲線での波長800nm以上2400nm以下の領域において反射率が20%以上である波長が存在する必要がある。また、(c)遮熱性顔料は、分光反射率曲線での波長800nm以上2400nm以下の領域において反射率が40%以上である波長が存在することが好ましく、反射率が60%以上である波長が存在することがより好ましい。更には、(c)遮熱性顔料は、分光反射率曲線での波長800nm以上2400nm以下の領域における平均反射率が20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることが更に好ましく、50%以上であることが一層好ましい。そして、(c)遮熱性顔料の上記反射率は、通常、100%以下である。
(c)遮熱性顔料に、分光反射率曲線での波長800nm以上2400nm以下の領域において反射率が20%以上である波長が存在しなければ、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の表面に十分な遮熱性を与えることができない。そして、(c)遮熱性顔料が示す反射率および平均反射率が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂成形体の赤外線に対する反射率がより高まるため、例えば、当該成形体を自動車インスツルメントパネルの表皮などに用いた場合に、太陽および人工照明などからの熱に対して更に高い遮熱効果を奏することができるからである。このように、優れた遮熱性を有する塩化ビニル樹脂成形体を、例えば自動車内装部材として用いることにより、更に良好な車内環境を実現し得る。
なお、本発明において、「平均反射率」は、上述した分光光度計を用いて得られる分光反射率曲線から、各波長における反射率を相加平均することにより算出することができる。
【0040】
<<粒子径>>
また、(c)遮熱性顔料の粒子径は、メディアン径(D50)で100μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることが更に好ましく、3μm以下であることが一層好ましく、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であることがより好ましい。(c)遮熱性顔料の粒子径が上記上限以下であれば、(c)遮熱性顔料の赤外線に対する反射率が更に高まり得るため、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の遮熱性をより向上できるからである。また、(c)遮熱性顔料の粒子径が上記下限以上であれば、(c)遮熱性顔料のハンドリング性および塩化ビニル樹脂組成物の粉体流動性をより高め得るからである。
なお、本発明において、「メディアン径」は、本明細書の実施例に記載の方法に従って求めることができる。
【0041】
<<組成>>
ここで、(c)遮熱性顔料の組成は特に制限されないが、Mn、Bi、FeおよびCrからなる群から選択される二つ以上の金属元素を含有する金属複合酸化物であることが好ましく、Mn−Bi複合酸化物およびFe−Cr複合酸化物のうち少なくとも一方の金属複合酸化物を含有することがより好ましく、Mn−Bi複合酸化物およびFe−Cr複合酸化物のいずれか一方の金属複合酸化物であることが更に好ましい。また、(c)遮熱性顔料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(c)遮熱性顔料の組成が上記の通りであれば、(c)遮熱性顔料の反射率、特には赤外線に対する反射率が更に高まるため、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の遮熱性を更に向上できるからである。また、(c)遮熱性顔料の組成が上記の通りであれば、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体に所望の暗色系の色調をより良好に付与し得るからである。
なお、本発明において、(c)遮熱性顔料が「金属複合酸化物である」とは、(c)遮熱性顔料中の金属複合酸化物の含有割合が90質量%以上であることを指し、製造時に不可避的に混入する不純物以外の成分を含まないことが好ましい。
【0042】
<<含有量>>
そして、(c)遮熱性顔料の含有量は、上述した(a)塩化ビニル樹脂100質量部あたり1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましく、6質量部以上であることが更に好ましく、10質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であることがより好ましい。(c)遮熱性顔料の含有量が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成される塩化ビニル樹脂成形体に更に所望の暗色系の色調を付与しつつ遮熱性を更に高められるからである。また、(c)遮熱性顔料の含有量が上記下限以上であれば、塩化ビニル樹脂成形体の引張伸びを良好に維持できるからである。
【0043】
<(d)その他の顔料>
本発明の塩化ビニル樹脂組成物が更に含み得る(d)その他の顔料としては、上述した(c)遮熱性顔料以外の顔料であれば特に制限されない。
ここで、(d)その他の顔料の具体例は、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ポリアゾ縮合顔料、イソインドリノン系顔料、フタロシアニン系顔料、カーボンブラックである。1種または2種以上の顔料が使用される。
キナクリドン系顔料は、p−フェニレンジアントラニル酸類が濃硫酸で処理されて得られ、黄みの赤から赤みの紫の色相を示す。キナクリドン系顔料の具体例は、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンバイオレットである。
ペリレン系顔料は、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸無水物と芳香族第一級アミンとの縮合反応により得られ、赤から赤紫、茶色の色相を示す。ペリレン系顔料の具体例は、ペリレンレッド、ペリレンオレンジ、ペリレンマルーン、ペリレンバーミリオン、ペリレンボルドーである。
ポリアゾ縮合顔料は、アゾ色素が溶剤中で縮合されて高分子量化されて得られ、黄、赤系顔料の色相を示す。ポリアゾ縮合顔料の具体例は、ポリアゾレッド、ポリアゾイエロー、クロモフタルオレンジ、クロモフタルレッド、クロモフタルスカーレットである。
イソインドリノン系顔料は、4,5,6,7−テトラクロロイソインドリノンと芳香族第一級ジアミンとの縮合反応により得られ、緑みの黄色から、赤、褐色の色相を示す。イソインドリノン系顔料の具体例は、イソインドリノンイエローである。
フタロシアニン系顔料は、フタロシアニン類に銅を配位した顔料で、黄みの緑から鮮やかな青の色相を示す。フタロシアニン系顔料の具体例は、フタロシアニンブルーなどのフタロシアニン銅、フタロシアニングリーン(ピグメントグリーン7)などの高塩素化銅フタロシアニンである。
カーボンブラックは、炭素を主成分とし、酸素、水素、窒素を含む黒色顔料である。カーボンブラックの具体例は、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、ボーンブラックである。
【0044】
<<含有量>>
そして、(d)その他の顔料の含有量は、(c)遮熱性顔料100質量部あたり30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましく、0質量部とすることができる。(d)その他の顔料の含有量が上記上限以下であれば、塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成した塩化ビニル樹脂成形体の遮熱性をより高め得るからである。
【0045】
ここで、(d)その他の顔料の中でも、カーボンブラックは一般に蓄熱し易い。従って、(d)その他の顔料としてのカーボンブラックの含有量は、(c)遮熱性顔料100質量部あたり0.1質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以下であることがより好ましく、0質量部である(カーボンブラックが含まれない)ことが更に好ましい。
【0046】
<添加剤>
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、上述した成分以外に、各種添加剤を更に含有してもよい。添加剤としては、特に限定されることなく、過塩素酸処理ハイドロタルサイト、ゼオライト、β−ジケトン、脂肪酸金属塩などの安定剤;離型剤;上記塩化ビニル樹脂微粒子以外のその他のダスティング剤;耐衝撃性改良剤;過塩素酸処理ハイドロタルサイト以外の過塩素酸化合物(過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等);酸化防止剤;防カビ剤;難燃剤;帯電防止剤;充填剤;光安定剤;発泡剤;などが挙げられる。
そして、本発明の塩化ビニル樹脂組成物に含み得る、過塩素酸処理ハイドロタルサイト、ゼオライト、β−ジケトン、脂肪酸金属塩、離型剤、その他のダスティング剤、耐衝撃性改良剤、過塩素酸処理ハイドロタルサイト以外の過塩素酸化合物、酸化防止剤、防カビ剤、難燃剤、帯電防止剤、充填剤、光安定剤、発泡剤としては、例えば、国際公開第2016/098344号に記載のものを使用することができ、その好適含有量も同様とすることができる。
【0047】
<塩化ビニル樹脂組成物の調製方法>
本発明の塩化ビニル樹脂組成物は、上述した成分を混合して調製することができる。
ここで、上記(a)塩化ビニル樹脂と、(b)可塑剤と、(c)遮熱性顔料と、必要に応じて更に配合される(d)その他の顔料および各種添加剤との混合方法としては、特に限定されることなく、例えば、塩化ビニル樹脂微粒子を含むダスティング剤を除く成分をドライブレンドにより混合し、その後、ダスティング剤を添加、混合する方法が挙げられる。ここで、ドライブレンドには、ヘンシェルミキサーの使用が好ましい。また、ドライブレンド時の温度は、特に制限されることなく、50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、200℃以下が好ましい。
【0048】
<塩化ビニル樹脂組成物の用途>
そして、得られた塩化ビニル樹脂組成物は、粉体成形に好適に用いることができ、パウダースラッシュ成形により好適に用いることができる。
【0049】
(塩化ビニル樹脂成形体)
本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、上述した塩化ビニル樹脂組成物を、任意の方法で成形することにより得られることを特徴とする。そして、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、上述した塩化ビニル樹脂組成物のいずれかを用いて形成され、少なくとも、(a)塩化ビニル樹脂と、(b)可塑剤と、上記所定の性状を有する(c)遮熱性顔料とを含んでいるため、所望の暗色系の色調を得つつ遮熱性に優れている。特に、塩化ビニル樹脂成形体を黒味がかった暗色系にしても、優れた遮熱性を発揮し得る。
従って、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、自動車内装部品の表皮用に好適に用いられ、特に、所望の暗色系の自動車インスツルメントパネルの表皮用などにより好適に用いられる。
【0050】
<<L値、a値、b値>>
ここで、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、初期(成形後未加熱)状態において、表面の、L表色系におけるL値が20.5以上であることが好ましく、21.0以上であることがより好ましく、21.7以上であることが更に好ましく、21.8以上であることが特に好ましく、25.5以下であることが好ましく、25.0以下であることがより好ましく、23.7以下であることが更に好ましく、23.5以下であることが特に好ましい。また、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、初期(成形後未加熱)状態において、表面の、L表色系におけるa値が−1.5以上であることが好ましく、−1.0以上であることがより好ましく、0.5以下であることが好ましく、0.0以下であることがより好ましい。また、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、初期(成形後未加熱)状態において、表面の、L表色系におけるb値が−1.0以上であることが好ましく、−0.5以上であることがより好ましく、1.0以下であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましい。更には、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、初期(成形後未加熱)状態において、表面の、L表色系における少なくともL値が上記範囲内であることがより好ましく、L値、a値およびb値の全てが上記範囲内であることが更に好ましい。塩化ビニル樹脂成形体の表面のL値、a値、b値がそれぞれ上記範囲内であれば、塩化ビニル樹脂成形体が所望の黒味がかった暗色系の色調をより良好に有する。従って、塩化ビニル樹脂成形体を、意匠性の高い自動車インスツルメントパネルの表皮などの自動車内装材として、より好適に使用することができるからである。
ここで、上述した通り、暗色系の色調を有する塩化ビニル樹脂成形体は、一般には、蓄熱し易い。しかしながら、本発明の塩化ビニル樹脂成形体は、少なくとも、(a)塩化ビニル樹脂と、(b)可塑剤と、上記所定の性状を有する(c)遮熱性顔料とを含んでいるため、黒味がかった暗色系であっても優れた遮熱性を発揮することができる。
【0051】
また、本発明の塩化ビニル樹脂成形体の表面のL値、a値、b値は、塩化ビニル樹脂成形体が長時間に亘って高温下に置かれた場合であっても、値が大きく変動しないことが好ましい。塩化ビニル樹脂成形体の表面のL値、a値、b値がこのような過酷な環境下にあっても大きく変動しなければ、例えば、塩化ビニル樹脂成形体を、熱老化し難い自動車内装材として一層良好に使用できるからである。
上記観点から、本発明の塩化ビニル樹脂成形体の表面は、例えば、塩化ビニル樹脂成形体が温度130℃の環境下に100時間置かれた加熱後であっても、L値が20.5以上25.5以下であることが好ましい。また、本発明の塩化ビニル樹脂成形体の表面は、上記加熱後であってもa値が−1.5以上0.5以下であることが好ましい。また、本発明の塩化ビニル樹脂成形体の表面は、上記加熱後であってもb値が−1.0以上1.0以下であることが好ましい。更には、本発明の塩化ビニル樹脂成形体の表面は、上記加熱後にあっても、少なくともL値が上記範囲内であることがより好ましく、L値、a値およびb値の全てが上記範囲内であることが更に好ましい。
【0052】
<<塩化ビニル樹脂成形体の形成方法>>
ここで、パウダースラッシュ成形により塩化ビニル樹脂成形体を形成する場合、パウダースラッシュ成形時の金型温度は、特に制限されることなく、200℃以上とすることが好ましく、220℃以上とすることがより好ましく、300℃以下とすることが好ましく、280℃以下とすることがより好ましい。
【0053】
そして、塩化ビニル樹脂成形体を製造する際には、特に限定されることなく、例えば、以下の方法を用いることができる。即ち、上記温度範囲の金型に本発明の塩化ビニル樹脂組成物を振りかけて、5秒以上30秒以下の間放置した後、余剰の塩化ビニル樹脂組成物を振り落とし、さらに、任意の温度下、30秒以上3分以下の間放置する。その後、金型を10℃以上60℃以下に冷却し、得られた本発明の塩化ビニル樹脂成形体を金型から脱型する。そして、金型の形状をかたどったシート状の成形体を得る。
【0054】
(積層体)
本発明の積層体は、発泡ポリウレタン成形体と、上述した塩化ビニル樹脂成形体のいずれかとを有する。なお、塩化ビニル樹脂成形体は、通常、積層体の一方の表面を構成する。
そして、本発明の積層体は、例えば、本発明の塩化ビニル樹脂組成物を用いて形成された塩化ビニル樹脂成形体を有しているため、当該成形体側の表面の遮熱性に優れている。従って、本発明の積層体は、例えば、自動車インスツルメントパネルおよびドアトリム等の自動車内装部品を形成する自動車内装材として好適に用いられ、特に、所望の暗色系の自動車内装部品を形成する自動車内装材として好適に用いられる。
【0055】
ここで、発泡ポリウレタン成形体と塩化ビニル樹脂成形体との積層方法は、特に限定されることなく、例えば、以下の方法を用いることができる。即ち、(1)発泡ポリウレタン成形体と、塩化ビニル樹脂成形体とを別途準備した後に、熱融着、熱接着、または、公知の接着剤などを用いることにより貼り合わせる方法;(2)塩化ビニル樹脂成形体上で発泡ポリウレタン成形体の原料となるイソシアネート類とポリオール類などとを反応させて重合を行うと共に、公知の方法によりポリウレタンの発泡を行うことにより、塩化ビニル樹脂成形体上に発泡ポリウレタン成形体を直接形成する方法;などが挙げられる。中でも、工程が簡素である点、および、種々の形状の積層体を得る場合においても塩化ビニル樹脂成形体と発泡ポリウレタン成形体とを強固に接着し易い点から、後者の方法(2)が好適である。
【実施例】
【0056】
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、量を表す「%」および「部」は、特に断らない限り、質量基準である。
そして、(c)遮熱性顔料および(d)その他の顔料の色調(L値、a値、b値)、反射率、粒子径;塩化ビニル樹脂成形体の表面の色調(L値、a値、b値)および低温での引張特性;積層体における塩化ビニル樹脂成形体の遮熱性;は、下記の方法で測定および評価した。
【0057】
<(c)遮熱性顔料および(d)その他の顔料の色調>
表1に示す各(c)遮熱性顔料および(d)その他の顔料について、色彩色差計(コニカミノルタ製、製品名「CR−400」、C光源)を用いて、CIEで規格化されたL表色系のL値、a値およびb値をそれぞれ測定した。
なお、L値、a値およびb値は、各顔料における任意の3箇所についての測定値の平均値とした。
【0058】
<反射率>
表1に示す各(c)遮熱性顔料および(d)その他の顔料について、分光光度計(日立ハイテクサイエンス製、製品名「U−4100」)を用いて、分光反射率曲線を得た。そして、得られた分光反射率曲線の波長(横軸、nm)が800nm〜2400nmの領域における反射率(縦軸、%)より、反射率が20%以上である波長が存在するか否かについて確認した。
また、得られた分光反射率曲線の波長(横軸、nm)が800nm〜2400nmの領域における各反射率(縦軸、%)の相加平均をとることにより、平均反射率(%)を自動算出した。
【0059】
<粒子径>
表1に示す各(c)遮熱性顔料および(d)その他の顔料の粒子径は、粒度分布計(島津製作所製、製品名「SALD−2300」)を使用し、レーザー回折・散乱法を用いて、メディアン径(D50)を求めた。
【0060】
<塩化ビニル樹脂成形体の表面の色調>
<<初期>>
初期(成形後未加熱)状態の塩化ビニル樹脂成形シートの表面の任意の9箇所について、色彩色差計(コニカミノルタ製、製品名「CR−400」、C光源)を用いて、CIEで規格化されたL表色系のL値、a値およびb値をそれぞれ測定した。
なお、L値、a値およびb値は、上記9箇所についての測定値の平均値とした。
<<加熱(熱老化試験)後>>
発泡ポリウレタン成形体が裏打ちされた積層体を試料とした。当該試料をオーブンに入れ、温度130℃の環境下で100時間、加熱を行った。次に、加熱後の積層体から発泡ポリウレタン成形体を剥離して、塩化ビニル樹脂成形シートのみを取り出した。そして、上記初期の場合と同様の条件にて、加熱(熱老化試験)後の塩化ビニル樹脂成形シートの表面のL値、a値およびb値をそれぞれ測定した。
【0061】
<低温での引張特性>
塩化ビニル樹脂成形体の低温での引張特性は、以下の通り、初期(成形後未加熱)および加熱(熱老化試験)後のそれぞれについて、引張伸び(%)および引張破壊応力(MPa)を測定することにより評価した。
<<初期>>
得られた塩化ビニル樹脂成形シートを、JIS K6251に記載の1号ダンベルで打ち抜き、JIS K7161に準拠して、引張速度200mm/分で、−35℃の低温下における引張伸び(%)および引張破壊応力(MPa)を測定した。引張伸びの値が大きいほど、初期(成形後未加熱)の塩化ビニル樹脂成形体の、低温での延性が優れている。
<<加熱(熱老化試験)後>>
発泡ポリウレタン成形体が裏打ちされた積層体を試料とした。当該試料をオーブンに入れ、温度130℃の環境下で100時間、加熱を行った。次に、加熱後の積層体から発泡ポリウレタン成形体を剥離して、塩化ビニル樹脂成形シートのみを取り出した。そして、上記初期の場合と同様の条件にて、加熱後の塩化ビニル樹脂成形シートの引張伸び(%)および引張破壊応力(MPa)を測定した。引張伸びの値が大きいほど、加熱(熱老化試験)後における塩化ビニル樹脂成形体の、低温での延性が優れていることを示す。
【0062】
<遮熱性>
塩化ビニル樹脂成形シートからなる表皮に発泡ポリウレタン成形体が裏打ちされた積層体を5cm×5cmの寸法に切り出して試験片とした。次に、以下の条件にて、試験片の塩化ビニル樹脂成形シート側の表面全体にハロゲンランプから光を照射することにより、試験片表面を加熱した。そして、以下の照射時間後に、試験片にハロゲンランプからの光を照射させたまま、試験片の塩化ビニル樹脂成形シート側の表面の略中心について、サーモビジョンカメラを用いて温度(℃)を測定した。加熱後の試験片の表面温度が低いほど、塩化ビニル樹脂成形シートが遮熱性に優れていることを示す。なお、塩化ビニル樹脂成形シートの放射率は0.92である。
ハロゲンランプからの光の有効波長:800nm〜2400nm
ハロゲンランプと試験片表面との距離:35cm
ハロゲンランプからの光の照射時間:1時間
【0063】
(実施例1)
<塩化ビニル樹脂組成物の調製>
表1に示す配合成分のうち、可塑剤(トリメリット酸エステルおよびエポキシ化大豆油)と、ダスティング剤である塩化ビニル樹脂微粒子とを除く成分をヘンシェルミキサーに入れて混合した。そして、混合物の温度が80℃に上昇した時点で上記可塑剤を全て添加し、更に昇温することにより、ドライアップ(可塑剤が、塩化ビニル樹脂である塩化ビニル樹脂粒子に吸収されて、上記混合物がさらさらになった状態をいう。)させた。その後、ドライアップさせた混合物が温度100℃以下に冷却された時点でダスティング剤である塩化ビニル樹脂微粒子を添加し、塩化ビニル樹脂組成物を調製した。
<塩化ビニル樹脂成形体の形成>
上述で得られた塩化ビニル樹脂組成物を、温度250℃に加熱したシボ付き金型に振りかけ、8秒〜20秒程度の任意の時間放置して溶融させた後、余剰の塩化ビニル樹脂組成物を振り落とした。その後、当該塩化ビニル樹脂組成物を振りかけたシボ付き金型を、温度200℃に設定したオーブン内に静置し、静置から60秒経過した時点で当該シボ付き金型を冷却水で冷却した。金型温度が40℃まで冷却された時点で、塩化ビニル樹脂成形体としての、200mm×300mm×1mmの塩化ビニル樹脂成形シートを金型から脱型した。
そして、得られた塩化ビニル樹脂成形シートについて、上述の方法に従って、初期(成形後未加熱)状態での色調、初期(成形後未加熱)状態での低温での引張特性を測定した。結果を表1に示す。
<積層体の形成>
得られた塩化ビニル樹脂成形シートを、200mm×300mm×10mmの金型の中に、シボ付き面を下にして敷いた。
別途、プロピレングリコールのPO(プロピレンオキサイド)・EO(エチレンオキサイド)ブロック付加物(水酸基価28、末端EO単位の含有量=10%、内部EO単位の含有量4%)を50部、グリセリンのPO・EOブロック付加物(水酸基価21、末端EO単位の含有量=14%)を50部、水を2.5部、トリエチレンジアミンのエチレングリコール溶液(東ソー社製、商品名「TEDA−L33」)を0.2部、トリエタノールアミンを1.2部、トリエチルアミンを0.5部、および整泡剤(信越化学工業製、商品名「F−122」)を0.5部混合して、ポリオール混合物を得た。また、得られたポリオール混合物とポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(ポリメリックMDI)とを、インデックスが98になる比率で混合した混合液を調製した。そして、調製した混合液を、上述の通り金型内に敷かれた塩化ビニル樹脂成形シートの上に注いだ。その後、348mm×255mm×10mmのアルミニウム板で上記金型に蓋をして、金型を密閉した。金型を密閉してから5分間放置することにより、表皮としての塩化ビニル樹脂成形シート(厚さ:1mm)に、発泡ポリウレタン成形体(厚み:9mm、密度:0.18g/cm)が裏打ちされた積層体が、金型内で形成された。
そして、形成された積層体を金型から取り出し、積層体における塩化ビニル樹脂シートについて、上述の方法に従って、加熱後の色調、加熱後の低温での引張特性、および、遮熱性を測定、評価した。結果を表1に示す。
【0064】
(実施例2)
塩化ビニル樹脂組成物の調製において、(c)遮熱性顔料として、Mn−Bi複合酸化物に替えて、Fe−Cr複合酸化物Aを使用した以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形シートおよび積層体を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0065】
(実施例3)
塩化ビニル樹脂組成物の調製において、(c)遮熱性顔料として、Mn−Bi複合酸化物に替えて、Fe−Cr複合酸化物Bを使用した以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形シートおよび積層体を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0066】
(比較例1)
塩化ビニル樹脂組成物の調製において、(c)遮熱性顔料を使用せず、(d)その他の顔料としてカーボンブラックを3.7部更に添加した以外は実施例1と同様にして、塩化ビニル樹脂組成物、塩化ビニル樹脂成形シートおよび積層体を製造した。
そして、実施例1と同様の方法により測定、評価を行った。結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
1)新第一塩ビ社製、製品名「ZEST(登録商標)2000Z」(懸濁重合法で調製、平均重合度:2000、平均粒子径:125μm)
2)新第一塩ビ社製、製品名「ZEST PQLTX」(乳化重合法で調製、平均重合度:800、平均粒子径:1.8μm)
3)花王社製、製品名「トリメックスN−08」
4)ADEKA社製、製品名「アデカサイザー O−130S」
5)アサヒ化成工業社製、製品名「ブラック6301」(マンガン−ビスマス(Mn−Bi)複合酸化物、色調:L値=21.8、a値=1.2、b値=1.0、波長800nm〜2400nmの領域における平均反射率:50%)
6)アサヒ化成工業社製、製品名「ブラック6340」(鉄−クロム(Fe−Cr)複合酸化物、色調:L値=22.7、a値=1.8、b値=1.3、波長800nm〜2400nmの領域における平均反射率:50%)
7)アサヒ化成工業社製、製品名「ブラック6350」(鉄−クロム(Fe−Cr)複合酸化物、色調:L値=23.8、a値=1.5、b値=3.7、波長800nm〜2400nmの領域における平均反射率:50%)
8)大日精化社製、製品名「DA PX 1720(A)」(カーボンブラック、色調:L値=20.5、a値=1.0、b値=2.7、波長800nm〜2400nmの領域における平均反射率:2%)
9)DIC社製、製品名「FASTOGEN Blue PA5380」(フタロシアニン銅、色調:L値=16.5、a値=4.4、b値=−1.7、波長800nm〜2400nmの領域における平均反射率:20%
10)DIC社製、製品名「FASTOGEN Green S」(ピグメントグリーン7、色調:L値=17.1、a値=1.3、b値=0.7、波長800nm〜2400nmの領域における平均反射率:20%
11)協和化学工業社製、製品名「アルカマイザー5」
12)水澤化学工業社製、製品名「MIZUKALIZER DS」
13)昭和電工社製、製品名「カレンズDK−1」
14)堺化学工業社、製品名「SAKAI SZ2000」
15)ADEKA社製、製品名「アデカスタブ LS−12」
【0069】
表1より、L値が所定以下であり、且つ、反射率が所定以上である(c)遮熱性顔料を用いた実施例1〜3では、上記(c)遮熱性顔料を用いなかった比較例1と比較して、所望の暗色系の色調を得つつ遮熱性に優れた塩化ビニル樹脂成形体を形成できることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明によれば、所望の暗色系の色調を得つつ遮熱性に優れた塩化ビニル樹脂成形体を製造可能な塩化ビニル樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、所望の暗色系の色調を得つつ遮熱性に優れた塩化ビニル樹脂成形体および積層体を提供することができる。