(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
なお、以下に示す図には、適宜、説明と理解を容易にするために、XYZ直交座標系を設けた。
この座標系では、レンズ鏡筒1をカメラボディ2に装着した際に、撮影者が光軸を水平として横長の画像を撮影する場合のカメラボディ2の位置(以下、正位置という)において撮影者から見て右側に向かう方向をXプラス方向とする。
また、正位置において上側に向かう方向をYプラス方向とする。
さらに、正位置において被写体に向かう方向をZプラス方向(光軸方向)とする。
【0007】
以下の説明において、理解容易のため、必要に応じてピッチ軸P及びヨー軸Yという文言を用いる。実施形態において、ピッチ軸PはX軸と同方向であり、ヨー軸YはY軸と同方向であり、互いに直交している。なお、「直交」とは厳密に90度だけでなく、製造誤差や組立誤差によって90度から、若干ずれた範囲も含まれる。
また、ピッチ軸Pを中心とした回転をピッチング、ヨー軸Yを中心とした回転をヨーイング、ピッチングの方向をピッチ方向、ヨーイングの方向をヨー方向とする。
【0008】
図1は実施形態のレンズ鏡筒1と、カメラボディ2とを備えるカメラシステム3のシステム構成図である。
図2はレンズ鏡筒1の分解図である。
図3はレンズ鏡筒1の縮筒状態における光軸Zに沿った断面図であり、(a)はX―Z断面図(ピッチ軸Pを通る断面図)、(b)はY−Z断面図(ヨー軸Yを通る断面図)である。
図4はレンズ鏡筒1の伸縮状態における光軸Zに沿った断面図であり、a)はX―Z断面図(ピッチ軸Pを通る断面図)、(b)はY−Z断面図(ヨー軸Yを通る断面図)である。
図5はレンズ鏡筒1の(a)はピッチ軸P及びヨー軸Yを通る位置でのX−Y断面図であり、(b)は、後述する押えスライダーピン62Eを通る位置でのX−Y断面図である。
【0009】
(レンズ鏡筒1)
本実施形態のレンズ鏡筒1は、カメラボディ2に対して着脱可能である。また、レンズ鏡筒1は、縮筒状態(非撮影状態,収納状態,沈胴状態)と、伸縮状態(撮影状態)との間で伸縮可能である。
レンズ鏡筒1は、
図1のシステム構成図に示すように、結像光学系であるレンズ群Lを内部に保持する第2筐体10(レンズ内殻)、第2筐体10の外周に配置された第1筐体30、及び第1筐体30の外周に配置された固定筒50(レンズ外殻)等を備える。第2筐体10と第1筐体30とを合わせて支持部40という。
【0010】
本実施形態のレンズ鏡筒1において、第2筐体10は第1筐体30に対して、ピッチ軸Pを中心としてピッチ方向に回転可能で、第1筐体30は、固定筒50に対してヨー軸Yを中心としてヨー方向に回転可能である。
【0011】
レンズ鏡筒1は、さらに、
図2に示すように、第2筐体10の先端を覆う第3筐体80と、レンズ鏡筒1全体の外周を覆う外装筒85とを備える。
【0012】
レンズ鏡筒1の全体としての外形が円筒形状の場合、各筐体も円筒形状が好ましい。しかし、本実施形態の第1筐体30のように、他部品配置等のために内周面または外周面に平坦部を設けてもよい。また、各筐体の円筒形状は、適宜、平坦部・切欠き・厚みの変化する部分等を形成して変形してもよい。
【0013】
(第2筐体10)
図1に示すようにレンズ鏡筒1の第2筐体10は、レンズ群Lと、シフト方向防振システム4と、第1ブレ検出部5と、第2ブレ検出部6と、防振光学系位置検出部7と、レンズ制御部8と、レンズ側内マウント9と、を備える。
また、第2筐体10は、第2筐体10を第1筐体30に対して、ピッチ方向に駆動するピッチ駆動部20の一部を備える。
第1ブレ検出部5は、ピッチ軸P上に配置されていることが好ましい。
【0014】
レンズ群Lは、防振光学系LBを含み、被写体像を、カメラボディ2に配置された撮像素子101に結像する結像光学系である。
【0015】
第1ブレ検出部5は、ジャイロセンサ等であり、カメラシステム3のピッチング、ヨーイングを検出する。
第2ブレ検出部6は、ジャイロセンサ等であり、カメラシステム3のX軸方向およびY軸方向の移動であるシフト方向の振れを検出する。
【0016】
シフト方向防振システム4は、詳細な説明は省略するが、XY方向(シフト方向)に移動する防振光学系LBと、防振光学系LBを保持する可動枠41と、防振光学系LBの位置を検出する防振光学系位置検出部7と、可動枠41をシフト方向に駆動するシフト方向駆動ボイスコイルモータ(シフト方向駆動VCM42)と、を備える。なお、ボイスコイルモータは、以下、VCMと略記する。
【0017】
レンズ制御部8は、第2ブレ検出部6から入力される信号に基づいてシフト方向駆動VCM42を制御する。シフト方向駆動VCM42により、防振光学系LBは、撮影者の手ブレ等に起因する被写体像の像ブレを打ち消す方向に駆動され、シフト方向の像ブレが補正される。
【0018】
レンズ側内マウント9は、第2筐体10のボディ側端部に設けられ、メカマウント91と、通信用接点92と、受電用接点93と、を備える。
【0019】
第2筐体10は、ピッチ方向に駆動するピッチ駆動部20の一部を備える。
図6は、第2筐体10の斜視図であり、ピッチ駆動部20の一部を示す。
図7は、第2筐体10の斜視図であり、ピッチ駆動部20、ヨー駆動部60の一部を示す。
【0020】
(ピッチ駆動部20)
第2筐体10の外周には、第2筐体10をピッチ方向に駆動するピッチ駆動部20が設けられている。
ピッチ駆動部20は、
図6に示すように、第2筐体10に固定されたピッチ駆動コイル保持部21と、そのピッチ駆動コイル保持部21に取り付けられた2つのピッチ駆動コイル22A,22Bとを備える。
【0021】
さらに、
図7に示すように、第1筐体30(
図7に図示せず)に取り付けられた、光軸方向被写体側のピッチ駆動マグネット及びヨーク23A,光軸方向ボディ側のピッチ駆動マグネット及びヨーク23Bとを備える。
なお、第1筐体30へのピッチ駆動マグネット及びヨーク23A,23Bの取付状態は、後述の
図8に示す。
【0022】
ピッチ駆動コイル22A,22Bは、楕円環形状であり、長軸が光軸Z方向に沿うようにして、ピッチ駆動コイル保持部21の被写体側とボディ側とに取り付けられている。
ピッチ駆動コイル保持部21の中央には、ピッチ軸部材24(
図7)が回転可能に挿入されるピッチ軸受25(
図6)が設けられている。ピッチ軸部材24をピッチ軸受25に挿入することにより、ピッチ軸Pを中心とした第2筐体10の第1筐体30に対する相対回転が可能となる。
【0023】
ピッチ駆動コイル保持部21における、ピッチ軸受25と被写体側のピッチ駆動コイル22Aとの間、ピッチ軸受25とボディ側のピッチ駆動コイル22Bとの間には、それぞれ、ボール受け板金26が設けられている。
このボール受け板金26には、
図3(a)及び
図4(a)に図示するボール27が配置される。第1筐体30と第2筐体10との間にボール27を配置することにより、ピッチ軸Pを中心とした第2筐体10の第1筐体30に対する滑らかな相対回転が可能となる。
【0024】
ピッチ軸部材24は
図3に示すように第1筐体30の外側より、第1筐体30の第1筐体軸受37を貫通して、第2筐体10のピッチ軸受25に挿入される。
ピッチ駆動コイル22A,22Bに後述のFPC201を通して電力が供給されると、ピッチ駆動コイル22A,22Bには
図7の矢印の方向に力が加わり、第2筐体10はピッチ軸Pを中心として回転する。
【0025】
(ヨー駆動部60,第1筐体30)
図1に示すようにレンズ鏡筒1は、第1筐体30内に、ピッチ方向の回転を検出するピッチ方向回転検出部29と、第1筐体30を固定筒50に対して、ヨー方向に駆動するヨー駆動部60の一部と、備える。
【0026】
図8は第1筐体30の斜視図であり、ヨー駆動部60の一部を示す。
図9は、ヨー駆動部60の拡大図であり、(a)はヨー駆動部60における、被写体側ヨー駆動コイル61Aとボディ側ヨー駆動コイル61Bとの間隔が延びた状態、(b)は被写体側ヨー駆動コイル61Aとボディ側ヨー駆動コイル61Bとの間隔が縮んだ状態である。
図10はヨー駆動部60を、外側斜め方向から見た分解図である、
図11は、ヨー駆動部60を、内側斜め方向から見た分解図である。
【0027】
第1筐体30は、
図8に示すように略8角形であるが、そのうちの一組の、ピッチ軸Pが通る互いに対向する2面は平面ではなく湾曲している。
この湾曲した面の内側に、上述した
図7及び
図8に示すピッチ駆動マグネット及びヨーク23A,23Bが取り付けられている。
【0028】
ヨー駆動部60は、被写体側に位置する被写体側ヨー駆動コイル61Aと、被写体側ヨー駆動コイル61Aを保持するスライダ部62と、ボディ側に位置するボディ側ヨー駆動コイル61Bと、ボディ側ヨー駆動コイル61Bを保持するヨー駆動コイル保持部63と、を備える。
【0029】
ヨー駆動コイル保持部63は
図10に示すように、ボディ側ヨー駆動コイル61Bが取り付けられるコイル取付部63Aと、コイル取付部63Aから被写体側に延び、第1筐体30に固定される固定部63Bとを備える。
固定部63Bは略長方形で、長手方向が光軸Zに沿うように配置されている。固定部63Bは、光軸Zに沿う2つの側面63Cを有する。
【0030】
スライダ部62は、U字型(コの字型)である。スライダ部62のU字部の内周は、互いに平行で光軸Z方向に沿う2つのスライド側面62Fを有する。2つのスライド側面62F間の距離は、ヨー駆動コイル保持部63の側面63C間の距離(ヨー駆動コイル保持部63の固定部63Bの光軸Z方向と直交する方向の幅)と略同じである。
【0031】
スライダ部62の被写体側には、被写体側ヨー駆動コイル61Aが取り付けられている。
スライダ部62は、U字型の開口側をボディ側にして、その長辺が光軸Z方向に沿うようにして配置されている。スライダ部62は、ヨー駆動コイル保持部63の固定部63Bを、そのU字部の間に挟むようにして配置されている。
これにより、ヨー駆動コイル保持部63の側面63Cと、スライダ部62のスライド側面62Fとが接し、スライド側面62Fは固定部63Bの側面63Cに沿ってスライド可能となる。
【0032】
スライダ部62のU字部の外周は、互いに平行且つ光軸Z方向に延びる2つの外側面62Bを有する。その2つの外側面62Bには、それぞれ爪部係合凹部62Cが設けられている。
スライダ部62のU字部の根本部分には、後述の押ボタン70の先端が挿入される押ボタン係合凹部62Dが設けられている。
さらにスライダ部62の内径側における、カメラボディ2側の先端と、根元部分には、4本のスライダーピン62Eが設けられている。
【0033】
一方、第1筐体30の周面には、この4本のスライダーピン62Eが挿入されるガイド長穴31が設けられている。
ガイド長穴31は、スライダーピン62Eの位置に対応して4つ設けられている。そのうちの2つは、ヨー駆動コイル保持部63の周方向の両側に設けられている。その2つのガイド長穴31のそれぞれに対して、光軸Z方向に一定距離離間した位置に光軸Z方向に延びるように他の2つは設けられている。
4本のスライダーピン62Eは、ガイド長穴31に挿入され、ガイド長穴31に沿って移動する。これにより、スライダ部62は第1筐体30に対する光軸Z方向への移動がガイドされる。
【0034】
また、スライダ部62の外側には、押さえ板64が配置されている。押さえ板64の中央部には光軸Zに沿って3つの孔が形成されている。
押さえ板64の孔は、押さえ板64の中央部の孔64Aと、その孔64Aの両端に設けられた2つの孔64Bである。
ヨー軸部材66は、固定筒50に取り付けられた軸受50Aと、
図10に示すように押さえ板64の孔64Aと、スライダ部62のU字開口と、を通ってヨー駆動コイル保持部63に設けられたヨー軸受63Eに挿入される。
両端の孔64Bには、ねじ65が挿入される。ねじ65は、ヨー駆動コイル保持部63に設けられたねじ穴65Fに挿入されて螺合される。
【0035】
そして、
図9に示すように第1筐体30に取り付けられたヨー駆動部60は、
図9(a)の状態と、(b)の状態との間を移動する。
図9(a)の状態とは、スライダ部62がヨー駆動コイル保持部63に対して光軸Z方向に伸長した状態である。このとき、被写体側ヨー駆動コイル61Aとボディ側ヨー駆動コイル61Bとの間隔が最も長くなる。
図9(b)の状態とは、は被写体側ヨー駆動コイル61Aとボディ側ヨー駆動コイル61Bとの間隔が縮んだ状態である。このとき、被写体側ヨー駆動コイル61Aとボディ側ヨー駆動コイル61Bとの間隔が最も短くなる。
【0036】
(スナップフィット構造)
ここで、スライダ部62の光軸Z方向への移動範囲を、
図9(a)と(b)との間の一定の範囲に規制するために、スナップフィット構造が設けられている。
【0037】
スナップフィット構造は、上述のスライダ部62の2つの外側面62Bにそれぞれ設けられた2つの爪部係合凹部62Cと、その爪部係合凹部62Cと係合する凸状の爪部33bが先端に設けられた4つの板バネ部33(33A,33B)とを備える。
【0038】
板バネ部33は、弾性を有する例えば金属部材で製造されている。
図10に示すように、板バネ部33は、光軸Zに沿って延びる延在部33aと、爪部33bと、第1筐体取付部33cとを備える。
第1筐体取付部33cは、延在部33aの基端に設けられ、第1筐体30の円周面と平行であり、その円周面にねじ34で固定されている。
延在部33aは、第1筐体取付部33cに対して垂直に折れ曲がり、第1筐体30の円周面に対して立設した状態で、長手方向が光軸Zに沿うように延びている。
爪部33bは、延在部33aの先端に設けられている。
【0039】
板バネ部33は、ヨー駆動コイル保持部63及びスライダ部62を挟むようにして、上述のガイド長穴31の周方向に隣接して、被写体側に2つ(被写体側板バネ部33A)、ボディ側に2つ(ボディ側板バネ部33B)配置されている。
被写体側板バネ部33Aは、第1筐体取付部33cが被写体側、爪部33bがボディ側で、爪部33bが互いに対向するように第1筐体30の被写体側に、取り付けられている。
ボディ側板バネ部33Bは、第1筐体取付部33cがボディ側、爪部33bが被写体側で、爪部33bが互いに対向するように第1筐体30のボディ側に取り付けられている。
【0040】
爪部33bは、スライダ部62の側部に設けられた爪部係合凹部62Cと係合する。
図9(a)に示すスライダ部62が延びた位置では、被写体側板バネ部33Aの爪部33bが爪部係合凹部62Cと係合する。
図9(b)に示すスライダ部62が縮んだ位置では、ボディ側板バネ部33Bの爪部33bが爪部係合凹部62Cと係合する。
【0041】
(押ボタン70)
レンズ鏡筒1には、スライダ部62をスライドさせるための押ボタン70が設けられている。また、
図2に示すように、外装筒85及び第3筐体80には、押ボタン70用の孔86,81がそれぞれ設けられている。固定筒50には押ボタン用ガイド長穴54が設けられている。
【0042】
図12は、レンズ鏡筒1の押ボタン70部分を示す部分断面図であり、(a)はレンズ鏡筒1が伸長し、スライダ部62が延びた状態、(b)はレンズ鏡筒1が縮筒し、スライダ部62が縮んだ状態を示す。
図13は、押ボタン70と、固定筒50の押ボタン用ガイド長穴54との位置関係を示した図であり、(a)はスライダ部62が延びた場合の押ボタン70の位置を、固定筒50の内側から見た図、(b)はスライダ部62が延びた場合の押ボタン70の位置を、固定筒50の外側から見た図、(c)はスライダ部62が縮んだ場合の押ボタン70の位置を、固定筒50の内側から見た図、(d)はスライダ部62が縮んだ場合の押ボタン70の位置を、固定筒50の外側から見た図である。
図14は、第3筐体80の斜視図である。
図15は、固定筒50の斜視図である。
【0043】
押ボタン70は、
図12及び
図13に示すように、軸部71と、軸部71の一端(レンズ鏡筒1の径方向外側)の端部を覆う押圧部72と、軸部71のその一端側で且つ押圧部72の内側に取り付けられたバネ部73と、軸部71の他端(レンズ鏡筒1の径方向内側)に設けられた係合部74とを備える。
押ボタン70の軸部71は、外装筒85の孔86、第3筐体80の孔81、固定筒50の押ボタン用ガイド長穴54を貫通している。軸部71の他端に設けられた係合部74は、第1筐体30に取り付けられたスライダ部62の押ボタン係合凹部62Dに挿入可能となっている。
【0044】
押ボタン70の押圧部72を、外側から押すと、バネ部73が収縮して軸部71は下がる(径方向内側に移動する)。そうすると、係合部74が、スライダ部62の押ボタン係合凹部62Dに挿入される。
【0045】
図12(b)に示すようにレンズ鏡筒1が縮筒状態の場合、
図9(b)に示すように、スライダ部62は縮んでおり、ボディ側板バネ部33Bの爪部33bが爪部係合凹部62Cと係合している。
【0046】
この状態からレンズ鏡筒1を伸長状態にする。そして、押ボタン70を押し、押ボタン70の係合部74をスライダ部62の押ボタン係合凹部62Dに挿入する。
この状態で、押ボタン70を被写体側に移動させると、外装筒85、第3筐体80、スライダ部62は、第1筐体30のガイド長穴31に沿って光軸Z方向被写体2側に移動する。
このとき、ボディ側板バネ部33Bの爪部33bは爪部係合凹部62Cを乗り上げ、スライダ部62のスライド側面62Fは、固定部63Bの側面63Cに沿ってスライドする。
【0047】
スライダ部62が被写体側に移動すると、被写体側ヨー駆動コイル61Aも被写体側に移動するので、被写体側ヨー駆動コイル61Aとボディ側ヨー駆動コイル61Bとの間の距離が長くなる。
そして、爪部係合凹部62Cが、被写体側板バネ部33Aの爪部33bの位置に来ると、爪部33bは爪部係合凹部62Cに係合する。
【0048】
押ボタン70を離すと、バネ部73の付勢力により押ボタン70が上がる。押ボタン70の係合部74はスライダ部62の押ボタン係合凹部62Dと非係合状態となるが、爪部33bは爪部係合凹部62Cに係合しているので、スライダ部62は固定される。
【0049】
スライダ部62が、このように延びると、被写体側ヨー駆動コイル61Aとボディ側ヨー駆動コイル61Bとの間の距離が長くなる。
そうすると、被写体側ヨー駆動コイル61Aとボディ側ヨー駆動コイル61Bに電力が供給されたときに生じるヨー軸部材66を中心とした回転モーメントが大きくなる。したがって第1筐体30及び第2筐体10の、固定筒50に対するヨー方向の駆動を、例えば同じ供給電力であっても、より大きな力で行うことができる。
【0050】
これと逆に、
図12(a)に示すレンズ鏡筒1が伸長状態の場合、
図9(a)に示すように、スライダ部62は伸びており、被写体側板バネ部33Aの爪部33bが爪部係合凹部62Cと係合している。
そして、押ボタン70を押し、押ボタン70の係合部74をスライダ部62の押ボタン係合凹部62Dに挿入する。
この状態で、押ボタン70をボディ側に移動させると、外装筒85、第3筐体80、スライダ部62は、第1筐体30のガイド長穴31に沿ってボディ側に移動する。
このとき、被写体側板バネ部33Aの爪部33bは爪部係合凹部62Cから外れ、スライダ部62のスライド側面62Fは、固定部63Bの側面63Cに沿ってスライドする。
【0051】
スライダ部62がボディ側に移動すると、被写体側ヨー駆動コイル61Aもボディ側に移動するので、被写体側ヨー駆動コイル61Aとボディ側ヨー駆動コイル61Bとの間の距離が短くなる。
そして、爪部係合凹部62Cが、ボディ側板バネ部33Bの爪部33bの位置に来ると、爪部33bは爪部係合凹部62Cに係合する。押ボタン70の係合部74はスライダ部62の押ボタン係合凹部62Dと非係合状態となる。
このとき、孔から押ボタン70が非係合状態となるが、爪部33bは爪部係合凹部62Cに係合しているので、スライダ部62は固定される。
このように、スライダ部62が縮むと、被写体側ヨー駆動コイル61Aとボディ側ヨー駆動コイル61Bとの間の距離が短くなり、レンズ鏡筒1を縮筒状態にすることができる。
【0052】
(第3筐体80)
第3筐体80は、
図14に示すように被写体側に、第2筐体10が挿通可能な開口を有する円板部材83が一体的に成型された筒型形状を有する。
第3筐体80の内周の被写体側には、第1筐体駆動被写体側マグネット及びヨーク82が取り付けられている。
【0053】
(固定筒50)
レンズ鏡筒1は、
図1に示すように、ヨー方向の回転を検出するヨー方向回転検出部61と、第3ブレ検出部53と、操作部材59とを備える。第3ブレ検出部53は、ジャイロセンサ等であり、カメラシステム3のピッチング、ヨーイングを検出する。第3ブレ検出部53は、ヨー軸Y上に配置されていることが好ましい。
図15及び
図2、3、4、12に示すように、固定筒50は、円筒部分と、その円筒部分と一体形成され、且つレンズ側外マウント55が取り付けられる円板部材56とを備える。
固定筒50の内周のボディ側には、第1筐体駆動ボディマグネット及びヨーク57が取り付けられている。
【0054】
(球面コイル58)
図16は、レンズ鏡筒1の部分断面図である。
図17は第1筐体30と、固定筒50に設けられた球面コイル58とを示す斜視図である。
上述の
図8に示すように第1筐体30は略8角形であるが、そのうちの一組の、ピッチ軸Pが通る互いに対向する2面は平面ではなく湾曲している。
【0055】
この湾曲した面に上述のピッチ軸部材24が挿通される第1筐体軸受37が設けられている。
図2に示すように、第1筐体軸受37にピッチ軸部材24が挿入された状態で、そのピッチ軸部材24の外側には、球面マグネット38が取り付けられている。
【0056】
一方、
図2、
図16、
図17に示すように、固定筒50の内面における、球面マグネット38と対向する位置には、球面コイル58が取り付けられている。
球面コイル58及び球面マグネット38が取り付けられている位置は、上述のヨー駆動部60が取り付けられている位置に対して、略90度の位置、すなわち、2つのヨー駆動部60の略中間の位置に、球面コイル58及び球面マグネット38が設けられている。
【0057】
球面コイル58及び球面マグネット38でヨー駆動部60を補助するヨー補助駆動部90を構成する。
これらの球面コイル58及び球面マグネット38は、駆動効率よりピッチ軸Pとヨー軸Yとの交点近傍を中心とした半径を有する球面であることが好ましい、ただし、これに限定されるわけではない。
また、本実施形態では球面コイル58及び球面マグネット38であるが、球面でなく、光軸Zを中心とした周方向にのみ湾曲した曲面であってもよい。
【0058】
図18は、ヨー駆動部60及びヨー補助駆動部90の動作を説明する図である。
ヨー駆動部60は、上述のように、第1筐体駆動被写体側マグネット及びヨーク82と、被写体側ヨー駆動コイル61Aと、第1筐体駆動ボディ側マグネット及びヨーク57とボディ側ヨー駆動コイル61Bと、を備える。
また、ヨー補助駆動部90は、上述のように、球面マグネット38と、球面コイル58とを備える。
【0059】
ヨー駆動部60の被写体側ヨー駆動コイル61Aと、ボディ側ヨー駆動コイル61Bとに電力が供給されると、
図18に矢印で示す方向に駆動力が生じ、第1筐体30及び第2筐体10が、固定筒50に対してヨー方向に駆動される。
【0060】
この際、レンズ鏡筒1が伸長した状態で、スライダ部62が被写体側に移動した延びた状態であると、被写体側ヨー駆動コイル61Aとボディ側ヨー駆動コイル61Bとの間の距離は、スライダ部62が縮んだ状態の場合よりも長い。
このようにスライダ部62が延びると、ヨー軸部材66を中心とした回転モーメントが大きくなるので、第1筐体30及び第2筐体10の、固定筒50に対するヨー方向の駆動を、例えば同じ供給電力であっても、より大きな力で行うことができる。
【0061】
また、ヨー補助駆動部90の、球面コイル58にも電力が供給されると、ヨー方向の駆動が補助され、さらにヨー方向の駆動がしやすくなる。
【0062】
そして、本実施形態によると、球面コイル58であるため、
図18に示すようなヨー軸を中心として第1筐体30及び第2筐体10が回転しても、球面コイル58と球面マグネット38との相対的な距離が一定であり、駆動力を一定に保つことができ、制御がしやすい。
【0063】
なお、本実施形態では、固定筒50と第2筐体10との移動において球面コイル58及び球面マグネット38を配置したが、これに限定されず、第2筐体10と第1筐体30との駆動において、球面コイル及びマグネットを配置してもよい。
【0064】
(弾性部材89)
図12に戻る。図示するように、第3筐体80の被写体側先端に設けられた円板部材83の内径側には、円環状の弾性部材89が取り付けられている。
弾性部材89は、外径側が円板部材83に固定され、内径側は、円板部材83の開口部83aよりもさらに内径側に延びている。
そして、内径側に延びる部分の端部は、第2筐体10の外周面と接触している。
【0065】
一方、第2筐体10の先端には、フィルター枠17が取り付けられている。このフィルター枠17は、第2筐体10よりも径が大きく、フィルター枠17は、第2筐体10の側面よりも突き出している。
この突き出した部分は、
図12(b)に示すように、レンズ鏡筒1が縮筒状態の場合、弾性部材89の内径側に延びる部分の被写体側を押圧する。
この押圧により、例えば、レンズ鏡筒1が縮筒状態の場合に、第2筐体10と第3筐体80及び外装筒85との間への水分や塵埃の侵入が阻止される。
さらに、非通電時における第2筐体10の移動や、ぐらつきが、弾性部材89の押圧によって抑制される。
【0066】
これに対して、レンズ鏡筒1が伸長している場合、弾性部材89の内径側に延びる部分は、その端部が第2筐体10の外周面と接しているが、強く押圧している状態ではないので、ズームやフォーカス時において、第2筐体10の移動を妨げることがない。
【0067】
なお、カメラボディ2の電源がONの場合であっても、VCMをOFFにしたい場合、レンズ鏡筒1側を弾性部材89で仮固定し、カメラボディ2側において、撮像素子101をステッピングモータ等で本固定することができる。
【0068】
さらに、カメラボディ2の電源がONで、VCMがOFFの状態で、レンズ鏡筒1側で完全に固定したい場合は、
図19に示す変形形態ように、DCモータ201とウォームギア202を設けることができる。
図19はレンズ鏡筒1側で支持部40(第2筐体10)を固定筒50に完全に固定する変形形態を示した図である。
図20は支持部40(第2筐体10)の固定筒50に対するロック状態を説明する図であり、(a)はロック状態、(b)は非ロック状態を示す。
【0069】
図示するように、変形形態では、レンズ鏡筒1の固定筒50に、DCモータ201とウォームギア202が取り付けられている。また、第2筐体10のレンズ側内マウント9が設けられている筒状部分94の周囲には、ロックリング203が回動可能に取り付けられている。
ロックリング203の周囲にはギア部204が形成され、また、ウォームギア202とギア部204との間には、ギア部材205が配置されている。
【0070】
ロック時にはDCモータ201を駆動してウォームギア202を回転させ、ギア部材205、ギア部204を介してロックリング203を回転させる。
そうすると、ロックリング203の内周側に設けられた突部206が第2筐体10のレンズ側内マウント9の筒状部分94の外周側に設けられた突部207と接触してこれを押さえる。
これにより、支持部40(第2筐体10)が固定される。
【0071】
ロックを解除する時にはDCモータ201を逆方向に駆動してウォームギア202を回転させ、ギア部材205、ギア部204を介してロックリング203を逆方向に回転させる。
そうすると、ロックリング203の内周側に設けられた突部206と、第2筐体10のレンズ側内マウント9の筒状部分94の外周側に設けられた突部207とが非接触状態となり、支持部40(第2筐体10)の固定が解除される。
【0072】
(FPCの配置)
図21(a)及び(b)はピッチ駆動部20、ヨー駆動部60、及びヨー補助駆動部90へ接続されるフレキシブルプリント基板(FPC)の配置を説明する図である。
【0073】
図5(b)及び
図21(a)及び(b)に示すように、ヨー駆動部60へ接続されるFPC600は、光軸方向延在部60Aと、周方向湾曲部60Bとを備える。
光軸方向延在部60Aは、レンズ側内マウント9より被写体側へ延びる。
周方向湾曲部60Bは、光軸方向延在部60Aの被写体側端部に接続されている。そして周方向湾曲部60Bは、周方向においてヨー駆動部60と逆側に一旦延びた後、R1.0以上で湾曲して(ループ状になって)方向転換し、ヨー駆動部60方向に延びている。
【0074】
また、ピッチ駆動部20へ接続されるFPC201は、光軸方向延在部20Aと、周方向湾曲部20Bと、光軸方向延在部20Cと、連結部20Dとを備える。
光軸方向延在部20Aは、レンズ側内マウント9より被写体側へ延びる。
周方向湾曲部20Bは、光軸方向延在部20Aの軸方向被写体側端部に接続されている。そして周方向湾曲部20Bは、周方向においてピッチ駆動部20と逆側に延びた後、R1.0以上で湾曲して(ループ状になって)方向転換してピッチ駆動部20方向に延びる。
光軸方向延在部20Cは、周方向湾曲部20Bに接続され、光軸方向延在部20Aと平行且つ光軸方向延在部20Aよりもピッチ駆動部20に近い位置を延びる。
連結部20Dは、光軸方向延在部20Cからピッチ駆動部20へ延びる。
【0075】
なお、ヨー補助駆動部90へ接続されるFPCは、本実施形態ではレンズ側内マウント9より被写体側へ延びる光軸方向延在部90Aを備える。
【0076】
本実施形態によると、
図5(b)に示すように、径方向断面(XY平面)において、FPC600が周方向に弛みを有する周方向湾曲部60Bを備える。また、この周方向の弛みによって、光軸Z方向の移動も許容する余裕を有することになる。
このため、固定筒50に対して第2筐体10及び第1筐体30がヨー方向に移動したときに移動を妨げることがなく、また、FPC600に無理な力が加わってFPCが破断する等の問題が生じない。
【0077】
また、FPC201が周方向に弛みを有する周方向湾曲部20Bを備えるため、第2筐体10が、固定筒50及び第1筐体30に対してピッチ方向に移動したときに移動を妨げることがなく、また、FPCに無理な力が加わってFPCが破断する等の問題が生じない。
【0078】
また、第1筐体は、略8角形で対角線に略直交な平面を有する。また、固定筒50も
図5(b)に示すように対角線に略直交な平面を有する。
FPC600,201は、これらの平面で固着されるので、曲面に固着する場合と比べて強固に固着することができる。
【0079】
なお、第1筐体30と第2筐体10との間に配置されたFPCの弛みと、第1筐体30と固定筒50との間に配置されたFPCの弛みとがあり、それぞれの弛みは、対角線に対して略対向した配置・向きである。
このように弛みは、複数の対角部位に配置され、光軸Zを基準に対向した配置されている。これにより、FPC600,201による第1筐体30と第2筐体10への付勢力がキャンセルし合い、力のつり合いが取れやすい。
なお、X軸、またはY軸を基準に対向した配置でもよい。
【0080】
(カメラボディ2)
次に、カメラボディ2の説明をする。
図1のシステム構成図に示すように、カメラボディ2は、ボディ内殻110と、ボディ外殻150(ボディ固定部)とを備える。
【0081】
ボディ内殻110は、撮像素子101と、ボディブレ検出部102と、ホディ回転検出部104と、ロール方向防振システム105と、ボディ側内マウント109と、ボディ制御部103と、を備える。
【0082】
撮像素子101は、結像光学系(レンズ群L)から入射した光を受光して電気信号に変換する。
【0083】
ボディブレ検出部102は、ジャイロセンサ等であり、カメラシステム3のローリングを検出する。
【0084】
ロール方向防振システム105は、詳細な説明は省略するが、撮像素子101を回転させることにより、カメラシステム3のロール方向のブレを補正する。
【0085】
ホディ回転検出部104は、撮像素子101の回転を検出する。
【0086】
ボディ制御部103は、ボディブレ検出部102からの出力、ホディ回転検出部104からの出力を受信し、ロール方向防振システム105の駆動量を演算する。
【0087】
ボディ側内マウント109は、ボディ内殻110の被写体側端部に設けられ、メカマウント191と、通信用接点192と、給電用接点193と、を備える。
【0088】
ボディ外殻150は、メカマウントであるボディ側外マウント151と、表示部150Aと、バッテリ挿入部150Bと、操作部材150Cと、を備える。以下、ボディ側内マウント109とボディ側外マウント151とを合わせて、適宜、ボディマウント200という。
なお、カメラボディ2は、少なくともボディ側内マウント109と撮像素子101とボディ外殻(ボディ固定部)150とを備えればよく、操作部材150Cや表示部150Aを備えていなくてもよい。
【0089】
図22は、本実施形態のカメラボディ2の内部を示す図で、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は断面図である。(b)は(c)のZ1−Z1断面図である。
図23は、
図22に示すカメラボディ2の内部の分解斜視図である。
【0090】
カメラボディ2のボディ外殻150は、ボディ側外マウント151と、接点ブロック152と、第1係止レバー153と、第2係止レバー154と、解除板付勢バネ155と、係止レバー付勢バネ156と、取付けナット157と、ステッピングモータ158と、フォトリフレクター159と、ハウジング160と、駆動ナット161とを備える。
【0091】
また、カメラボディ2のボディ外殻150は、さらに、ガイドピン162と、解除板163と、固定板164と、を備える。
【0092】
一方、カメラボディ2のボディ内殻110は、撮像素子搭載可動ブロック111を備える。
図24は、
図23の撮像素子搭載可動ブロック111の分解斜視図である。
図示するように、撮像素子搭載可動ブロック111は、ボディ側内マウント109と、第1ホルダー112と、ローパスフィルター113と、第2ホルダー114と、撮像素子101と、撮像素子FPC115と、取付け板116と、を備える。
【0093】
図25は、ボディ外殻150のハウジング160と、ボディ内殻110の第1ホルダー112とを示し、(a)はボディ内殻110と、ボディ外殻150とがロックされている状態、(b)はボディ内殻110と、ボディ外殻150とのロックが解除された状態を示す。
【0094】
図26は、レンズ側マウント100の周辺図であり、(a)はカメラボディ2側から見た図で、(b)はカメラボディ2側の斜め方向から見た図である。
レンズ側マウント100は、レンズ側内マウント9とレンズ側外マウント55とを有する。また、レンズ側マウント100には、2つの係止レバー駆動ピン100d,100eが設けられている。
【0095】
図27は係止レバー153,154を示す図であり、(a)はハウジング160内にある状態、(b)はハウジング160を省略した状態である。
【0096】
第1係止レバー153は、固定軸153aを中心として揺動可能である。
第1係止レバー153は、内周側にスライド板部153bを有する。スライド板部153bは、係止レバー本体153cに対して光軸側に突出する部分を持つ。
この突出部であるスライド板部153bの外周面と当接するようにして、レンズ鏡筒1のレンズ側マウント100に設けられた係止レバー駆動ピン100d,が移動する。
【0097】
スライド板部153bは、レンズ側マウント100を装着する際にレンズ側マウント100が相対回転する回転方向R(
図27に図示,図中反時計回り)の先方部分153baと、後方部分153bbとを有する。先方部分153baは、後方部分153bbとの連結部よりも先端部のほうが、外側(光軸からの径が大きくなる方向)に曲がっている。
【0098】
また、第1係止レバー153の後方部分153bbの端部(回転方向Rの後方側)に、Zマイナス方向に延びるアームを備え、そのアームの先端には爪部153dが形成されている。
【0099】
第2係止レバー154は、固定軸154aを中心として揺動可能である。
第2係止レバー154は、レンズ側マウント100を装着する際にレンズ側マウント100が相対回転する方向R(
図27に図示,図中反時計回り)の先方部分154baと、後方部分154bbとを有する。先方部分154baは、後方部分154bbとの連結部よりも先端部のほうが、内側(光軸からの径が小さくなる方向)に曲がっている。
この後方部分154bb及び先方部分154baの内周面と当接するようにして、レンズ鏡筒1のレンズ側マウント100に設けられた係止レバー駆動ピン100eが移動する。
また、その先方部分154baの先端(回転方向Rの前方側)には、Zマイナス方向に延びるアームが設けられ、そのアームの先端には爪部154dが形成されている。
【0100】
図28は撮像素子搭載可動ブロック111と解除板163との関係を示す図で、(a)は解除板163の初期位置で、撮像素子搭載可動ブロック111がハウジング160に位置決めされた状態、(b)は解除板163の解除位置で、撮像素子搭載可動ブロック111がハウジング160に位置決め解除された状態を示す。
【0101】
図29は、レンズ側マウント100をボディマウント200に結合する際の、係止レバー153,154の連動図である。
【0102】
(a)ステップ1
レンズ側マウント100とボディマウント200とが、まだ結合されていない状態である。
係止レバー駆動ピン100dは、両方の係止レバー153,154から離れた位置にある。
係止レバー駆動ピン100eは、第1係止レバー153のスライド板部153bと周方向において同じ位置にあるが接触しておらず、第2係止レバー154からは離れた位置にある。
【0103】
(b)ステップ2
ステップ1の状態から35度回転した状態である。
係止レバー駆動ピン100eは、第2係止レバー154の内面と接触し、その内面に沿って移動するが、第2係止レバー154の内面と係止レバー駆動ピン100eの当接部とは、光軸Zから同じ距離にある、第2係止レバー154は移動しない。
係止レバー駆動ピン100dは、第1係止レバー153のスライド板部153bの外面と接触し、その外面に沿って移動するが、スライド板部153bの外面と係止レバー駆動ピン100dの当接部とは、光軸Zから同じ距離にあるので、第1係止レバー153は移動しない。
【0104】
(c)ステップ3
ステップ1の状態から45度回転した状態である。
係止レバー駆動ピン100eは、第2係止レバー154の先方部分154baの内面との接触を開始する。先方部分154baは、後方部分154bbとの連結部よりも先端部のほうが、内側(光軸からの径が小さくなる方向)に曲がっている。
したがって、係止レバー駆動ピン100eは光軸Zから一定の距離を移動するので、第2係止レバー154の先方部分154baを外側に押す。
これにより、第2係止レバー154は固定軸154aを中心として図中時計回りに回転する(矢印r1)。
そして、爪部154dが外方に移動し、
図25(b)に示すように爪部154dが第1ホルダー112から離れる。
このとき、係止レバー駆動ピン100dは、第1係止レバー153のスライド板部153bの外面と接触しているが、外面は光軸Zから径が一定であるので、第1係止レバー153は移動しない。
【0105】
(d)ステップ4
ステップ1の状態から50度回転した状態である。
係止レバー駆動ピン100eは第2係止レバー154の先方部分154baを外側に押しているので、爪部154dが外方に移動し、
図25(b)に示すように爪部154dが第1ホルダー112から離れた状態を維持する。
このとき、係止レバー駆動ピン100dは、スライド板部153bの先方部分153baの外面との接触を開始する。
先方部分153baは、後方部分153bbとの連結部よりも先端部のほうが、外側(光軸からの径が大きくなる方向)に曲がっている。
したがって、係止レバー駆動ピン100dは係止レバー15の先方部分154baの外面を内側に押す。これにより、第1係止レバー153は固定軸154aを中心として図中反時計回りに回転する(矢印r2)。
【0106】
(e)ステップ5
ステップ1の状態から60度回転した状態である。
係止レバー駆動ピン100eは第2係止レバー154の先方部分154baを外側に押しているので、爪部154dが外方に移動し、
図25(b)に示すように爪部154dが第1ホルダー112から離れた状態を維持する。
係止レバー駆動ピン100dは第1係止レバー153の先方部分153baを内側に押しているので、爪部153dが外方に移動し、
図25(b)に示すように爪部153dが第1ホルダー112から離れた状態を維持する。
2つめのピンが外れると、フォトリフレクターが反応する。フォトリフレクターの反応がトリガーになり、
図28に示すステッピングモータ158が駆動を開始し、
図28に示すように解除板163が後ろに下がり、ボディ内殻110とボディ外殻150とが、分離する。
【0107】
本実施形態によると、撮像部に対して着脱可能なレンズ鏡筒であって、撮像素子101を内包するボディ外殻150と連結される固定筒50と、撮像素子101に対して被写体像を結像するレンズ群Lと、レンズ群Lの少なくとも一部のレンズを支持する支持部40とを有し、支持部40は、撮像素子101と着脱可能であるとともにレンズ群Lの光軸に対して略直交する2以上の軸を中心として固定筒50に対して相対的に回転移動可能であるレンズ鏡筒を提供することが可能である。
なお、撮像素子101は、レンズ鏡筒1が未装着な場合はボディ外殻150に対して固定状態となるが、レンズ鏡筒1が装着された場合はボディ外殻150に対しては非固定状態、いわゆる離脱した状態となる。
【0108】
本実施形態によると、ボディ内殻110とボディ外殻150との係止の構成はスラスト方向・ラジアル方向双方から構成される。そして、既存のレンズ取り付けの回転動作で、ボディ内殻110とボディ外殻150とのメカ的係止が段階的に解除される。
ボディ内殻110はレンズ鏡筒1の第2筐体10と連結され、ボディ外殻150はレンズ鏡筒1の固定筒50と連結される。ボディ内殻110はレンズ鏡筒1の第2筐体10とともに、ボディ外殻150及びレンズ鏡筒1の固定筒50に対して、第2筐体10のピッチ軸Pを中心とした回転及びヨー軸Yを中心とした回転が可能となる。
【0109】
ここで、動画の場合、静止画とブレの種類が異なる。また、長時間撮影するのでブレの角度が大きい。このため、補正可能なブレ補正角の拡大が求められている。しかしながら、本実施形態によると、撮像部に対して着脱可能なレンズ鏡筒において、大きなブレを補正可能なレンズ鏡筒を提供することが可能である。
【0110】
仮に、一つの動作で係止動作及び係止の解除動作をすると、全く係止されていない撮像素子搭載可動ブロック111を両サイドより同時に固定することになり、固定しにくい。
しかし本実施形態によると、ボディ内殻110とボディ外殻150との係止動作及び係止の解除動作は2つ以上の連続的動作で段階的に保持するので、固定しやすい。
【0111】
また、実施形態のカメラボディ2は、ボディ側内マウント109とボディ側外マウント151を備える。しかし、レンズ側内マウントを備えていないレンズ鏡筒を取り付けた場合であっても、ボディ側外マウント151にレンズ側マウントが着脱可能である。したがって、レンズ側内マウントを備えていないレンズ鏡筒も装着することができる。
なお、ボディ側内マウント109(ボディ内殻110)とボディ側外マウント151(ボディ外殻150、ボディ固定部)との係止構成に特に限定はなく、本実施形態のようなメカ的係止の他、電磁力で係止する構成としてもよい。
【0112】
(変形形態)
以上、説明した実施形態に限定されることなく、以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
例えば、本実施形態では、レンズ側内マウント9が通信用接点と受電用接点とを備え、ボディ側内マウント109が連結され、通信用接点と給電用接点と、を備える例について説明した。しかし、これに限定されない、
図30は変形形態のレンズ鏡筒1’と、カメラボディ2’とを備えるカメラシステム3’のシステム構成図である。
図示するように、レンズ側外マウント9’が通信用接点92’と受電用接点93’とを備え、ボディ側外マウント151’が連結され、通信用接点192’と給電用接点193’と、を備えてもよい。
【0113】
また、本実施形態では、結像光学系(レンズ群L)と撮像素子101とが一体としてピッチ軸P及びヨー軸Yを中心として回転し、撮像光学系はさらにXY方向に移動し、撮像素子101はロール方向に移動する。しかし、これに限定されない。
例えば、結像光学系(レンズ群L)の一部と撮像素子101を一体としてピッチ軸P及びヨー軸Yを中心として回転してもよい。
撮像素子101だけを、ピッチ軸P及びヨー軸Yを中心として回転してもよい。
さらに、レンズ鏡筒1がピッチ軸P及びヨー軸Yを中心として回転し、撮像素子101がX方向及びY方向に移動してもよい。
また、レンズ鏡筒1がピッチ軸P及びヨー軸Yを中心として回転し、撮像素子101がX方向及びY方向、及びロール方向にしてもよい。
また、複数部材を駆動する場合、粗微動、ブレ周波数等で使い分けてもよい。
低周波は外側でパワーの大きいアクチュエータで除去し、高周波は内側で軽いアクチュエータで動かすというように分けてもよい。
【0114】
本実施形態ではレンズ鏡筒1が、第2筐体10をピッチ方向に駆動するピッチ駆動部20と、第1筐体30及び第2筐体10をヨー方向に駆動するヨー駆動部60を備える構成について説明した。
しかし、本実施形態では、レンズ鏡筒1が、第2筐体10をピッチ方向に駆動するピッチ駆動部20と、第1筐体30及び第2筐体10をヨー方向に駆動するヨー駆動部60を備える構成について説明したが、これに限らず、これらの駆動部はカメラボディ2側に設けられていてもよい。
【0115】
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。