(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バイオマス由来のグリコール(y)及び前記バイオマス由来のグリコール(z)が、1,3−プロパンジオール、及び/又は、1,4−ブタンジオールである請求項1記載の透湿防水布帛。
前記バイオマス由来の結晶性多塩基酸が、セバシン酸、コハク酸、1,10−デカンジカルボン酸、及び、1,12−ドデカンジカルボン酸からなる群より選ばれる1種以上の化合物である請求項4記載の透湿防水布帛。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の透湿防水布帛は、生地(i)の上に、特定の接着層(ii)、及び、表皮層(iii)を備えるものである。
【0012】
前記生地(i)としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、アセテート繊維、レーヨン繊維、ポリ乳酸繊維、綿、麻、絹、羊毛、グラスファイバー、炭素繊維、それらの混紡繊維等による不織布、織布、編み物等の繊維基材;前記不織布にポリウレタン樹脂等の樹脂を含浸させたもの;前記不織布に更に多孔質層を設けたもの;樹脂基材などを用いることができる。
【0013】
また、本発明においては、前記生地(i)として、前記したものに撥水処理を施したもの(以下、「撥水性生地」と略記する。)であっても優れた接着性を示す。なお、本発明において前記撥水性生地の「撥水性」とは、下記計算により得られる表面自由エネルギーが50mJ/m
2以下であるものを示す。
【0014】
前記生地(i)上での測定用液(水及びジヨードメタン)の接触角を、接触角計(協和界面科学社製「DM500」)を使用して測定した。この結果に基づき、下記の式(1)を用いて生地(i)の表面自由エネルギーを算出した。
(1+cosA)・γL/2=(γsd・γLd)1/2+(γsp・γLp)1/2
【0015】
A;生地(i)上の測定用液の接触角
γL;測定用液の表面張力
γLd;測定用液の表面自由エネルギーの分散力成分
γLp;測定用液の表面自由エネルギーの極性力成分
γsd;生地(i)の表面自由エネルギーの分散力成分
γsp;生地(i)の表面自由エネルギーの極性力成分
【0016】
次に、前記接着層(ii)について説明する。
【0017】
前記接着層(ii)は、特定のポリエステルポリオールを含むポリオール(A)、及び、ポリイソシアネート(B)の反応物であり、イソシアネート基を有するウレタンプレポリマー(C)を含有する湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物により形成されたものである。この接着層(ii)を用いることにより、生地(特に、撥水性生地)との接着性に優れた透湿防水布帛を得ることができる。
【0018】
前記ポリオール(A)は、バイオマス由来の多塩基酸(x)とバイオマス由来のグリコール(y)とを原料とするポリエステルポリオール(a1)を含むことが必須である。この
【0019】
前記バイオマス由来の他塩基酸(x)としては、セバシン酸、コハク酸、ダイマー酸、2,5−フランジカルボン酸等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0020】
前記セバシン酸としては、例えば、ひまし油等の植物油脂の苛性アルカリによる公知の開裂反応で得られたものなどを用いることができる。前記コハク酸としては、例えば、トウモロコシ、サトウキビ、キャッサバ、サゴヤシ等を公知の方法で発酵させたものなどを用いることができる。前記ダイマー酸としては、例えば、植物由来の天然油脂脂肪酸の不飽和脂肪酸を公知の方法で二量化したものなどを用いることができる。前記2,5−フランジカルボン酸としては、例えば、フルクトースを原料とするもの;フルフラール誘導体であるフランカルボン酸と二酸化炭素とを用いた公知の方法で得られたものなどを用いることができる。
【0021】
前記バイオマス由来の他塩基酸(x)としては、前記したものの中でも、より一層優れた生地への接着性が得られる点から、セバシン酸、及び/又は、コハク酸が好ましく、セバシン酸がより好ましい。
【0022】
前記バイオマス由来のグリコール(y)としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,10−デカンジオール、ダイマージオール、イソソルバイド等を用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0023】
前記エチレングリコールとしては、例えば、公知の方法で得られたバイオエタノールからエチレンを経て得られたものなどを用いることができる。前記1,2−プロパンジオールとしては、例えば、糖類の発酵で得られたもの;バイオディーゼルの副生成物として製造されるグリセリンを公知の方法で高温水素化して得られたものなどを用いることができる。前記1,3−プロパジオールとしては、例えば、グリセロール、グルコース、その他糖類から公知の発酵法により、3−ヒドロキシプロピオンアルデヒドを生成した後、さらに1,3−プロパンジオールに転化したもの;グルコースやその他糖類から発酵法により直接得られたものなどを用いることができる。
【0024】
前記1,4−ブタンジオールとしては、例えば、グルコースを公知の発酵法で得られたもの;発酵法により得られた1,3−ブタジエンから得られたもの;コハク酸を還元触媒により水添して得られたものなどを用いることができる。前記1,10−デカンジオールとしては、例えば、セバシン酸を直接またはエステル化反応後に水素添加することで得られたものなどを持ちることができる。前記ダイマージオールは、ダイマー酸を公知の方法で還元して得られたものなどを用いることができる。前記イソソルバイドとしては、例えば、デンプンから得られるソルビトールを公知の方法で脱水縮合して得られたものなどを用いることができる。
【0025】
前記バイオマス由来のグリコール(y)としては、前記したものの中でも、より一層優れた生地への接着性が得られる点から、1,3−プロパンジオール、及び/又は、1,4−ブタンジオールが好ましく、1,3−プロパンジオールがより好ましい。
【0026】
前記ポリエステルポリオール(a1)は、前記バイオマス由来の多塩基酸(x)及び前記バイオマス由来のグリコール(y)を必須原料として用いるが、本発明の効果を損なわない範囲で、それ以外の多塩基酸、及び/又は、グリコールを併用してもよい。
【0027】
前記ポリエステルポリオール(a1)の数平均分子量としては、より一層優れた機械的強度、及び、生地への接着性が得られる点から、500〜100,000の範囲が好ましく、700〜50,000の範囲がより好ましく、800〜10,000の範囲が更に好ましい。なお、前記ポリエステルポリオール(a1)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0028】
前記ポリオール(A)は、前記ポリエステルポリオール(a1)を必須として含有するが、必要に応じてその他のポリオールを含有してもよい。前記ポリオール(A)中の前記ポリエステルポリオール(a1)の含有率としては、20質量%以上であることが好ましく、50質量%以上がより好しく、70質量%以上が更に好ましい。
【0029】
前記その他のポリオールとしては、例えば、前記ポリエステルポリオール(a1)以外のポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリアクリルポリオールなどを用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0030】
前記その他のポリオールの数平均分子量としては、例えば、500〜100,000の範囲が挙げられる。なお、前記その他のポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0031】
前記ポリイソシアネート(B)としては、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネートイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族又は脂環族ポリイソシアネートなどを用いることができる。また、これらのポリイソシアネート(B)としては、石油資源由来のもの、及び、バイオマス由来のものをいずれも用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れた反応性、及び、生地への接着性が得られる点から、芳香族ポリイソシアネートを用いることが好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましい。
【0032】
前記ポリイソシアネート(B)の使用量としては、ウレタンプレポリマー(i)を構成する原料の合計質量中5〜40質量%の範囲であることが好ましく、10〜30質量%の範囲であることがより好ましい。
【0033】
前記ホットメルトウレタンプレポリマー(C)は、前記ポリオール(A)と前記ポリイソシアネート(B)とを反応させて得られるものであり、空気中や湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物が塗布される基材中に存在する水分と反応して架橋構造を形成しうるイソシアネート基を有するものである。
【0034】
前記ホットメルトウレタンプレポリマー(C)の製造方法としては、例えば、前記ポリオール(A)の入った反応容器に、前記ポリイソシアネート(B)を入れ、前記ポリイソシアネート(B)の有するイソシアネート基が、前記ポリオール(A)の有する水酸基に対して過剰となる条件で反応させることによって製造することができる。
【0035】
前記ホットメルトウレタンプレポリマー(C)を製造する際の、前記ポリイソシアネート(B)が有するイソシアネート基と前記ポリオール(A)が有する水酸基との当量比(イソシアネート基/水酸基)としては、より一層優れた接着性が得られる点から、1.1〜5の範囲であることが好ましく、1.5〜3の範囲であることがより好ましい。
【0036】
以上の方法によって得られたホットメルトウレタンプレポリマー(C)のイソシアネート基含有率(以下、「NCO%」と略記する。)としては、より一層優れた接着性が得られる点から、1.7〜5の範囲であることが好ましく、1.8〜3の範囲がより好ましい。なお、前記ホットメルトウレタンプレポリマー(i)のNCO%は、JISK1603−1:2007に準拠し、電位差滴定法により測定した値を示す。
【0037】
本発明の接着層(ii)に用いる、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、前記ウレタンプレポリマー(C)を必須成分として含有するものであるが、必要に応じて、その他の添加剤を用いてもよい。
【0038】
前記その他の添加剤としては、例えば、耐光安定性、硬化触媒、粘着付与剤、可塑剤、安定剤、充填材、染料、顔料、蛍光増白剤、シランカップリング剤、ワックス、熱可塑性樹脂等を用いることができる。これらの添加剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0039】
本発明の接着層(ii)のバイオマス度が、40%以上であること好ましく、70%以上がより好ましい。なお、前記接着層(ii)のバイオマス度は、前記接着層(ii)に用いる湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物の総重量に対する、湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を製造する際に使用するバイオマス由来原料の合計重量割合を示す。
【0040】
次に、表皮層(iii)について説明する。
【0041】
前記表皮層(iii)は、オキシエチレン基を有するポリオール(P1)、及び、バイオマス由来のグリコール(z)と、結晶性多塩基酸(w)とを原料とするポリエステルポリオール(P2)を含むポリオール(P)、並びに、ポリイソシアネート(Q)を必須原料とするウレタン樹脂(R)を含有するウレタン樹脂組成物により形成されたものである。この表皮層(iii)を用いることにより、相反する性能である、透湿性とフィルム強度とを高いレベルで得ることができる。
【0042】
前記オキシエチレン基を有するポリオール(P1)は、優れた透湿性を得る上で不可欠な材料である。前記ポリオール(P1)としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレンポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、優れた透湿性を簡便に得ることができる点から、ポリオキシエチレンポリオールを用いることが好ましい。
【0043】
前記ポリオール(P1)の数平均分子量としては、より一層優れた透湿性、及び、フィルム強度が得られる点から、800〜50,000の範囲が好ましく、1,000〜20,000の範囲がより好ましい。なお、前記ポリオール(P1)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0044】
前記ポリオール(P1)としては、バイオマス原料から製造されたものも用いることができるが、現状、高価で実使用できるものは極めて限られている。よって、このポリオール(a1)以外の原料から、バイオマス度を高めることが現状では優先される。
【0045】
そこで、本発明においては、前記ポリオール(P)として、前記ポリオール(P1)以外に、更に、バイオマス由来のグリコール(z)と結晶性多塩基酸(w)とを原料とするポリエステルポリオール(P2)を用いることでバイオマス度を高めつつ、優れたフィルム強度を両立している。
【0046】
前記バイオマス由来のグリコール(z)としては、前記バイオマス由来のグリコール(y)と同様のものを用いることができる。これらのグリコールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れたフィルム強度が得られる点から、1,3−プロパンジオール、及び/又は、1,4−ブタンジオールが好ましく、1,3−プロパンジオールが好ましい。
【0047】
前記結晶性他塩基酸(w)としては、例えば、セバシン酸、コハク酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸等を用いることができる。これらの多塩基酸は、石油資源由来のもの、及び、バイオマス由来のものをいずれも用いることができる。これらの化合物は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、バイオマス度を高めることができる点から、バイオマス由来の結晶性多塩基酸を用いることが好ましい。なお、本発明において、「結晶性」とは、JISK7121:2012に準拠したDSC(示差走査熱量計)測定において、結晶化熱あるいは融解熱のピークを確認できるものを示し、「非晶性」とは、前記ピークを確認できないものを示す。
【0048】
前記バイオマス由来のセバシン酸としては、例えば、ひまし油等の植物油脂の苛性アルカリによる公知の開裂反応で得られたものなどを用いることができる。前記バイオマス由来のコハク酸としては、例えば、トウモロコシ、サトウキビ、キャッサバ、サゴヤシ等を公知の方法で発酵させたものなどを用いることができる。前記バイオマス由来の1,10−デカンジカルボン酸としては、例えば、ラウリル酸を公知の方法で発酵させたものなどを用いることができる。前記バイオマス由来の1,12−ドデカン二酸としては、例えば、ミリスチン酸を公知の方法で発酵させたものなどを用いることができる。
【0049】
前記結晶性多塩基酸(w)としては、前記したものの中でも、より一層優れたフィルム強度が得られる点から、バイオマス由来のセバシン酸、コハク酸、1,10−デカンジカルボン酸、及び、1,12−ドデカンジカルボン酸からなる群より選ばれる化合物が好ましく、バイオマス由来のセバシン酸、及び/又は、コハク酸がより好ましく、バイオマス由来のセバシン酸が更に好ましい。
【0050】
前記ポリエステルポリオール(P2)の数平均分子量としては、より一層優れたフィルム強度が得られる点から、500〜100,000の範囲が好ましく、700〜50,000の範囲がより好ましく、800〜10,000の範囲が更に好ましい。なお、前記ポリエステルポリオール(a2)の数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0051】
前記ポリオール(P)には、前記(P1)及び(P2)以外にも、分子量が40〜500の範囲の鎖伸長剤(P3)を用いることが、より一層優れたフィルム強度が得られる点から好ましい。なお、前記鎖伸長剤(P3)の分子量は、化学構造式から算出される値を示す。
【0052】
前記鎖伸長剤(P3)としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の水酸基を有する鎖伸長剤;エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、ヒドラジン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のアミノ基を有する鎖伸長剤を用いることができる。また、これらの鎖伸長剤(P3)としては、石油資源由来のもの、及び、バイオマス由来のものをいずれも用いることができる。これらの鎖伸長剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0053】
前記ポリオール(P)としては、前記(P1)、(P2)、及び、(P3)以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、その他のポリオールを併用してもよい。
【0054】
前記その他のポリオールとしては、石油由来のポリエステルポリオール、前記(P1)以外のポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール等を用いることができる。これらのポリオールは単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0055】
前記ポリオール(P)の水酸基当量としては、バイオマス度を高めながら、より一層優れた透湿性、及び、フィルム強度が得られる点から、400〜600g/eq.の範囲であることが好ましい。前記水酸基当量とは、水酸基1個あたりの分子量を示すものであり、係る範囲はウレタン樹脂(R)を構成する原料のうち、ポリオール(P)が比較的高い範囲であり、ウレタン樹脂(R)におけるハードセグメントが比較的少ないことを示す。前記ポリオール(P)の水酸基当量が係る範囲であることにより、より一層優れた透湿性、及び、フィルム強度を両立することができる。
【0056】
前記オキシエチレン基を有するポリオール(P1)の使用量としては、ウレタン樹脂(R)を構成する原料の合計中、10〜30質量%の範囲が好ましく、10〜20質量%の範囲がより好ましい。
【0057】
前記ポリエステルポリオール(P2)の使用量としては、ウレタン樹脂(R)を構成する原料の合計中、40〜70質量%の範囲が好ましく、50〜60質量%の範囲がより好ましい。
【0058】
前記鎖伸長剤(P3)を用いる場合の使用量としては、ウレタン樹脂(R)を構成する原料の合計中、2〜6質量%の範囲が好ましく、2〜4質量%の範囲がより好ましい。
【0059】
前記ポリイソシアネート(Q)としては、前記ポリイソシアネート(B)と同様のものを用いることができる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、より一層優れたフィルム強度、及び、透湿性が得られる点から、芳香族ポリイソシアネートを用いることが好ましく、ジフェニルメタンジイソシアネートがより好ましい。
【0060】
前記ポリイソシアネート(Q)の使用量としては、ウレタン樹脂(R)を構成する原料の合計中、15〜25質量%の範囲が好ましく、17〜23質量%の範囲がより好ましい。
【0061】
前記ウレタン樹脂(R)の製造方法としては、例えば、前記ポリオール(P)と前記ポリイソシアネート(Q)とを一括で仕込み、反応させることによって製造する方法が挙げられ、反応は、例えば、30〜100℃の温度で、3〜10時間行うことが好ましい。また、前記反応は、後述する溶剤中で行ってもよい。
【0062】
前記ポリオール(P)が有する水酸基と、前記ポリイソシアネート(Q)が有するイソシアネート基とのモル比[(イソシアネート基)/(水酸基及びアミノ基)]としては、0.6〜2の範囲であることが好ましく、0.8〜1.2の範囲であることがより好ましい。
【0063】
前記ウレタン樹脂(R)の重量平均分子量としては、より一層優れたフィルム強度が得られる点から、10,000〜1,000,000の範囲が好ましく、30,000〜500,000の範囲がより好ましく、50,000〜100,000の範囲が更に好ましい。なお、前記ウレタン樹脂(R)の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した値を示す。
【0064】
前記表皮層(iii)のバイオマス度としては、優れた透湿性、及び、フィルム強度との両立の観点から、40%以上であることが好ましく、50〜60%の範囲がより好ましい。なお、前記表皮層(iii)のバイオマス度は、ウレタン樹脂(R)の総重量に対する、ウレタン樹脂(R)を製造する際に使用するバイオマス由来原料の合計重量割合を示す。
【0065】
前記表皮層(iii)に用いる前記ウレタン樹脂組成物は、前記ウレタン樹脂(R)を必須成分として含有するが、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
【0066】
前記その他の成分としては、例えば、溶剤、顔料、難燃剤、可塑剤、軟化剤、安定剤、ワックス、消泡剤、分散剤、浸透剤、界面活性剤、フィラー、防黴剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐候安定剤、蛍光増白剤、老化防止剤、増粘剤等を用いることができる。これらの成分は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0067】
前記溶剤としては、例えば、水、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第2ブチル等のエステル溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等アルコール溶剤などを用いることができる。これらの溶剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0068】
前記溶剤の含有量としては、作業性、粘度、及び、フィルム強度の点から、前記ウレタン樹脂組成物中10〜90質量%の範囲が好ましく、50〜80質量%の範囲がより好ましい。
【0069】
次に、本発明の透湿防水布帛の製造方法について、説明する。
【0070】
前記透湿防水布帛の製造方法としては、例えば、離型紙等の基材の上に、前記ウレタン樹脂組成物により表皮層(iii)を形成し、次いで、前記表皮層(iii)上に、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を塗工し、生地(i)と貼り合わせる方法や、生地(i)の上に前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を直接塗工し、前記表皮層(iii)を貼り合わせる方法等が挙げられる。
【0071】
前記ウレタン樹脂組成物を塗工する方法としては、例えば、グラビアコーター法、ナイフコーター法、パイプコーター法、コンマコーター法等が挙げられる。
【0072】
前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を塗工する方法としては、グラビアロールコーター、ディスペンサー等を使用して間欠塗布する方法が好ましい。
【0073】
前記前記ウレタン樹脂組成物、及び、前記湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物は、塗工後、公知の方法で、乾燥・養生し、それぞれ接着層(ii)、及び、表皮層(iii)を形成することができる。
【0074】
前記接着層(ii)の厚さとしては、例えば、5〜50μmの範囲である。また、前記表皮層(iii)の厚さとしては、例えば、0.01〜10mmの範囲である。
【0075】
以上、本発明の本発明の透湿防水布帛は、接着層(ii)、表皮層(iii)ともに、バイオマス原料を用いるものであり、環境対応型の材料である。また、本発明の透湿防水布帛は、様々な生地に対する接着性に優れるものであり、撥水性生地に対しても優れた接着性を有するものである。また、本発明の透湿防水布帛は、透湿性、及び、フィルム強度にも優れるものである。
【実施例】
【0076】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。
【0077】
[合成例1]接着層用湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(C−1)の調製
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四口フラスコに、バイオマスポリエステルポリオール(セバシン酸(豊国製油株式会社製「セバシン酸」、以下「バイオSEBA」と略記する。)と1,3−プロパンジオール(Dupont社製「SUSTERRA プロパンジオール」、以下「バイオPD」と略記する。)との反応物、数平均分子量;2,000、以下「バイオPEs(1)」と略記する。)80質量部を仕込み、110℃にて減圧乾燥して、水分量が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、60℃に冷却後、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」と略記する。)20質量部加え、110℃まで昇温し、イソシアネート基含有量が一定となるまで2時間反応することで、接着層用湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(C−1)のを得た。
【0078】
[合成例2]接着層用湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(C−2)の調製
前記バイオPEs(1)に代え、バイオマスポリエステルポリオール(バイオSEBAと1,4−ブタンジオール(Jenomatica社製「Bio−BDO」、以下「バイオBD」)との反応物、数平均分子量;2,000、以下「バイオPEs(2)」と略記する。)を用いた以外は、実施例1と同様にして接着層用湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(C−2)を得た。
【0079】
[合成例3]接着層用湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(C−3)の調製
前記バイオPEs(1)に代え、バイオマスポリエステルポリオール(コハク酸(SUCCINITY社製「コハク酸」、以下「バイオコハク酸」と略記する。)とバイオPD)との反応物、数平均分子量;2,000、以下「バイオPEs(3)」と略記する。)を用いた以外は、実施例1と同様にして接着層用湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(C−3)を得た。
【0080】
[比較合成例1]接着層用湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(CR−1)の調製
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四口フラスコに、ポリエステルポリオール(無水フタル酸と1,6−ヘキサンジオール(以上、石油系)との反応物、数平均分子量;2,000、以下「RPEs(1)」と略記する。)15質量部、ポリエステルポリオール(無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、エチレングリコール(以上、石油系)との反応物、数平均分子量;3,700、以下「RPEs(2)」と略記する。)を仕込み、110℃にて減圧乾燥して、水分量が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、60℃に冷却後、MDIを20質量部加え、110℃まで昇温し、イソシアネート基含有量が一定となるまで2時間反応することで、接着層用湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物(CR−1)を得た。
【0081】
[合成例4]表皮層用ウレタン樹脂組成物(R−1)の調製
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四口フラスコに、バイオPEs(1)120質量部、石油系ポリエチレングリコール(数平均分子量;2,000、以下「PEG(1)」60質量部と略記する。)を仕込み、110℃にて減圧乾燥して、水分量が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、石油系エチレングリコール(以下「EG」と略記する。)6質量部、ジメチルホルムアミド410質量部を加え、60℃に冷却後、MDI47質量部加え、80℃まで昇温し、4時間反応後、バイオPDを0.5質量部、メチルエチルケトン130質量部を加え、反応を停止し、25℃での粘度が、30,000mPa・sの表皮層用ウレタン樹脂組成物(R−1)を得た。
【0082】
[合成例5]表皮層用ウレタン樹脂組成物(R−2)の調製
前記バイオPEs(1)に代え、バイオPEs(2)を用いた以外は、実施例1と同様にして、25℃での粘度が、30,000mPa・sの表皮層用ウレタン樹脂組成物(R−2)を得た。
【0083】
[合成例6]表皮層用ウレタン樹脂組成物(R−3)の調製
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四口フラスコに、バイオPEs(1)120質量部、石油系ポリエチレングリコール(数平均分子量;8,000、以下「PEG(2)」と略記する。)60質量部を仕込み、110℃にて減圧乾燥して、水分量が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、EG7.5質量部、ジメチルホルムアミド410質量部を加え、60℃に冷却後、MDI47質量部加え、80℃まで昇温し、4時間反応後、バイオPDを0.5質量部、メチルエチルケトン130質量部を加え、反応を停止し、25℃での粘度が、30,000mPa・sの表皮層用ウレタン樹脂組成物(R−3)を得た。
【0084】
[比較合成例2] 表皮層用ウレタン樹脂組成物(RR−1)の調製
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口および還流冷却器を備えた四口フラスコに、ひまし油ジオール(伊藤製油株式会社製「PH-5002」、数平均分子量;2,600)120質量部、PEG(1)60質量部を仕込み、110℃にて減圧乾燥して、水分量が0.05質量%以下となるまで脱水した。次いで、EG6.8質量部、ジメチルホルムアミド410質量部を加え、60℃に冷却後、MDI47質量部加え、80℃まで昇温し、4時間反応後、バイオPDを0.5質量部、メチルエチルケトン130質量部を加え、反応を停止し、25℃での粘度が、30,000mPa・sの表皮層用ウレタン樹脂組成物(RR−1)を得た。
【0085】
[数平均分子量・重量平均分子量の測定方法]
実施例及び比較例で用いたポリオールの数平均分子量、ウレタン樹脂(R)の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測、定した値を示す。
【0086】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0087】
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
【0088】
[実施例1〜9、比較例1〜3]
合成例、及び、比較合成例で得られた表皮層用ウレタン樹脂組成物を、ジメチルホルムアミド30質量部で更に希釈した配合液を、離型紙上に塗布し、70℃、120℃でそれぞれ乾燥し、表皮層(iii)を得た。
次いで、合成例及び比較合成例で得られた接着層用湿気硬化型ポリウレタンホットメルト樹脂組成物を100℃で溶融した後に、グラビアロールコーター(40L/inch、130depth、付量;10g/m
2)を使用して、前記表皮層(iii)上に塗工し、以下の3種類の生地とそれぞれ貼り合わせ、温度23℃、湿度50%の雰囲気下で2日間放置して透湿防水布帛を得た。
生地(1);非撥水生地(表面自由エネルギー;50mJ/m
2を超えるもの。)
生地(2);撥水生地(表面自由エネルギー;10〜50mJ/m
2の範囲のもの。)
生地(3);超撥水生地(表面自由エネルギー;10mJ/m
2の下回るのもの。)
【0089】
[接着性の評価方法]
実施例、及び、比較例で得られた透湿防水布帛を1inch幅にカットし、株式会社島津製作所製「オートグラフAG−1」を使用して、剥離強度(N/inch)を測定し、5(N/inch)以上であるものは、接着性に優れると評価した。
【0090】
[透湿性の評価方法]
合成例、及び、比較合成例で得られた表皮層用ウレタン樹脂組成物を、ジメチルホルムアミド30質量部で更に希釈した配合液を、離型紙上に塗布し、70℃、120℃でそれぞれ乾燥し、表皮層(iii)を得た。得られたそれぞれの表皮層(iii)について
実施例、及び、比較例で得られた透湿防水布帛をJISL1099:2012のB−1法(酢酸カリウム法)に準拠して透湿度(g/m
2/24h)を測定し、20,000g/m
2/24h以上であるものは、透湿性に優れると評価した。
【0091】
[フィルム強度の評価方法]
前記[透湿性の評価方法]にて得られたそれぞれの表皮層(iii)を、幅5mm、長さ50mmの短冊状に裁断し、引張試験機「オートグラフAG−I」(株式会社島津製作所製)を用いて、温度23℃の雰囲気下で、クロスヘッドスピード10mm/秒の条件で引張り、試験片の100%モジュラス(MPa)を測定した。この時のチャック間距離は40mmとした。得られた100%モジュラス値から、2MPa以上であるものはフィルム強度に優れると評価した。
【0092】
【表1】
【0093】
【表2】
【0094】
【表3】
【0095】
本発明の透湿防水布帛は、バイオマス度が高く、かつ、優れた生地との接着性、透湿性、及び、フィルム強度を有することが分かった。特に、撥水生地や超撥水生地に対しても優れた接着性を有することが分かった。
【0096】
一方、比較例1は、表皮層(iii)に、ポリエステルポリオール(a2)に代え、ひまし油ポリオールを用いた態様であるが、フィルム強度が不良、かつ透湿度が低い結果であった。
【0097】
比較例2は、接着層(ii)バイオマス原料を用いていない態様であるが、撥水生地や超撥水生地に対する接着性が不良であった。
【0098】
比較例3は、接着層(ii)、表皮層(iii)ともに、本発明で規定する樹脂組成物以外のものを用いた態様であるが、接着性、フィルム強度、透湿性が不良であった。